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行政機関としての検察制度

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(1)

行 政 機 関 と し て の 検 察 制 度

4.総

2.検

察 と警察 との関係 および沿車 5。 検察行政組織

4.検

察 官 の機能 5。 わが国検察制度の歴史的考察

6.特

殊 の検察 につ いて

7.英

国の検察 につ いて

8.英

米法 におけ る司法警察 と検察の関係 (わが国 との比較)

1.

説 「 検察」 とは

,犯

罪を捜査 し

1),公

訴を提起 し

2),公

判 を維持 し3), 刑 の執行 を監督す る4)国家 の作用であ る。 これに対 し裁判 とは

,法

の宣言であ り

,明

りょうに区別す る必要がある。 国家の統 治作用を三分 した場合

,法

の定立を立法

,法

の執行 を行政

,法

の宣言 を司法 と称す るのが通説 であ るか ら

,こ

の点で検 察 は明 らかに行政部 に属す る。 旧法 においては

,裁

判所 その ものが行政機関た る司法大臣の管轄 の下 にあ り5)行 政機構 の中でそ の作用面 の司法権 だけが天皇の名 において行 なわれ6), 天皇主権 の下 で他 の立法

,行

政 の二権 に対 立 していた とい うことがで きた。 このため旧裁判所構成法 は検事局を裁判所 に付置 させ

7),司

法 機 関 と行政機関の区分 は甚 だ不明確であ った といわざるを得 ないのであ る。 検察庁 の行政上 の地位 が独立化 されたのは

,第

二 次大戦後 であ り

,検

察 は司法機関 とは裁判所検 事局か ら検察庁 の分離独立 とい う措置 によって鼓然 と分 離 され るにいた った8)。

1)刑

事訴訟法 191①,コ95,検察庁法なお旧刑法 246,検察庁法 4

2)刑

訴24乃 なお旧刑訴 る 5) 刑訴 291, 2%, 296 なお十日升」ヨ噺6

4)刑

訴472,なお旧刑訴6

5)旧

裁判所構成法 154 6) 1日憲法 57 つ 旧裁半J所構成法6

0

検察庁法

1, 2

(2)

2.

検 察 と 警 察 と の 関 係 お よ び 沿 車 警察 は公共 の安全 と秩序維 持1)の ために自然の 自由を制御す る行政作用である。 この点で検察 の 作用 とは相 違す るので あ るが

,ま

た あ る点では きわめて近 い関連を もつ ものであ る。すなわ ち

,現

行法上警察 の責務 とされ る生命財産 の保護

,犯

罪 の予防鎮圧

,交

通 の取締 りもの

,生

命財産が侵 害 され

,犯

罪 が予防 されず

,結

果 とな って あ らわれた とき

,ま

たは

,交

通 の取締 りに服 しない者 があ らわれ た とき

,そ

れ らはすべて犯罪 と して評価 され るか らその行為者 (犯人

,被

疑者

)と

,証

拠 が 捜査 され

,被

疑者が逮捕 されな けれ ばな らない。)。 司法 警察 とい う言葉 が用 い られ るのは このため で ある。す なわち

,本

来行政機関 に属す るものが国家 の公訴権 と司法催 につ なが るために別 の機能 を い となむ とい う意味であ って

,

フ ランスのよ うに別個 の機関を概念 と してはいない。 旧法時代 においては

,捜

査 の主 体 は検事であ り4)警 察 官 (司法警察 官

),憲

兵 の将 校

,準

士 官及 び下士 (陸

,海

軍 司法警察官

)は

,

これを補佐す るものされ

5),巡

査 (司 法警察吏

),

憲兵卒 (陸海軍 司法警察吏)。

)は

,さ

らに これを補助す るもの とされた。 これに対 し

,現

行 の刑事訴訟 法 は原則 と して第一次の捜査権 は警察 が担 道す ることとされ

7),第

二 次 の捜査権 いわゆ る補充捜査 を 検察官 が担 当す るもの とされ る3)。 これ は

,

検察官 は公益 の代表者 と して

,

公 訴を提起す ること を主任務 とす る機 関

(PubliC PrOsecutor)で

あ ることに焦点を絞 り

,犯

罪 の捜査 は

,公

訴 を提起 す るための前提要件

9)の

しか も必要最小限の枠 内に とどめよ うとす る趣 旨にほか な らない。 従 ち て

,同

じ捜査 とい う言葉を使 って もその質 は異な り

,警

察 の捜査 が実体捜査 であ るのに対 し

,検

察 の捜査 は法律捜査 であるともい うことがで きるのである。

3.検

察 行 政 組 織

現在 の組織 は

,法

務省 の外局iO)た る最高検察庁 を頂点 と し高等検察庁

,地

方検 察庁

,区

検察庁 を 官署とこ)と し

,そ

れぞれ検事総長12),高 検検事長,1。)検事正,14)上席検察 官15)を長 とす るが

,他

の行

1)警

察法 2 の 同 2

5)同

2

4)旧

刑訴246

9

旧刑訴 248

6)旧

刑訴 249

7)刑

訴 189②

8)刑

訴 191①,195①,195③ り 刑訴205①

,204,205

10

国家行政組織法5

11)検

察庁法1 1り 同法 7 1の 同法 8 ηつ 同法 9 1の 同法10

(3)

行政機関としての検察制度 政機 関 と異 な り

,官

署 の長を行政官庁 と し,以下 の ス タ ッフを補 佐 機関 とす るので な く,各 個検察官 すべ てが行政官庁 で ある。す なわ ち

,各

検察 官 は各 々独立 して国家を代表 して公訴権を行使す るの で あ り

,1)い

ず れかの検察官2)の 公訴権 の行使 は国家行政権 の発動3)と み られ る点で「検察官一体 の原則」 とい う概ム が生ず るのである。 ただ し,公訴権 の行使 につ いて は,検事総長 を項 点つ と した 上命下服 の指揮命令系統8)に 属す る点で

,裁

判 官の独立。)とは意義を異 にす るか ら注 意を要す る。 この意味か ら検察官の身分 について少 しのべてお きたい。 旧制 の「検事」 はそれ 自体 官名7)で ぁ り

,奏

任官 または親任官

,勅

任官 と して の身分 を もち

a),検

事総長

,控

訴院検事長

,検

事 正

,上

席 検 事 もすべて単 な る職名で あ り

,検

事総 長 は親任検 事 の中か ら親補。

),検

事長 は勅任又 は勅 任検事 か らの補職であ り

,そ

の他 の検事 は奏任検事 の中か らの補職であ った10)。 これに反 し

,現

行制度下 の検察官 は

,官

名 の中にさらに種類 を設 けて お り11),検 事総長

,次

長検事

,高

検検事 長

,検

事,冨J 検 事 の

5つ

の種類 があ り

,旧

制 の「 検事」の概念 は

,ほ

ぼ現行 の検察官 に相 当 し

,検

事正 は地 方検 察庁 の長 と しての補職であ り

,旧

制 の地 方裁判所検事局 の長 と しての補職 と同様 であ るユめ。 検察官 は個 々の事件 の公訴をす るにあた って上司の指揮を うけるが

,法

務大臣は検事総長を指揮 で きるだけであ って

,個

々の検事を指揮す ることはで きないこ3)。 しか し検察行政の最高 機 関で ある 検 事総長を内閣の一員たる法務大臣が指揮 し得 ることは

,検

察行政 が上命下服 の ピラ ミッ ド体制 に あ るためその頂点を押 えることにな り

,政

治 的 に所謂指揮権発動 の現象が生 じ

,天

皇大権 の下 に立 法

,行

政 の分立 していた旧制度下 のそれを政党 内閣制 の議院 内閣制下 にlVA襲す ることは無理 が ある よ うであ る。 検察 官は一切 の事件 について捜査す ることがで きる14)。 また必要 とみ とめ るときは 自らを巳罪を捜 査 す ることがで きる。 この点 に関す るか ざ り検察官15)は依然 と して犯 罪捜査機 関 と して の実質 を備 えてい ることになる。 しか し

,そ

の本質 において は旧法 と格段 の相違がある。す なわ ち旧法下 のそ れ が捜査主体であ り

,司

法警察官以下を補佐 ない し補助 と して指揮で きたのに対 し現行法下 のそれ は

,相

互 に独立 した捜査機関 とい う形 を とってい ることであ る。 もっとも司法巡査 か ら被 疑者 また

1)同

法 4

D

同法 5

0

刑事訴訟法 247

4)検

察庁法7

5)同

法7∼10,な お同法 14

6)憲

法 お③ 7) I日刑‐JFる, 7

0

旧刑訴79 の 旧刑訴 79 刊

0)同

79

11)検

察庁法 5 ¬

2)一

級検事を以てこれに充てる(検察庁法9①) 1⊃ 検察庁法14条 1つ 検察庁法6

45)刑

訴 191①

(4)

輔 和 は現行犯人を受 けとった司法警察員 が481)時 間の取 り調べの後

,検

察 官 に身柄

,証

拠 を送致 し (書 類送 検 の場合 を除 く

),24の

時間の取 り調べの後

,原

則 と して起訴

,不

起 訴 を決定す るか ら

,順

序 段階 的 に警察捜査 の投階 よ り検察捜査 の段階 は上位 といえ

,ま

,捜

査 にあた り

,検

察官 は

,司

法 警察職員 (司法警察員

,司

法巡査

)に

対 し必要 に応 じ一般 的指示

0),個

別指揮

4),_般

指揮5)をす る ことがで きるか ら公訴提起 のための捜査指揮 だけはで きるとい うことにな る。 以上 の意味 における捜査 とその指揮 はす ることがで きるが

,検

察官 はその手足 となるべ きスタ ッ フと捜査 のための装備 (鑑 識

,

科学捜査設備

,

武器等

)を

ま った く持たないか ら

,

新制度発足 の 際

,こ

れを補 い

,検

察 官直属 の司法警察職員 ともい うべ き存在 と してみ られ たのが検察事務 官6)で あ る。 検察事務官 は

,

検 察官で はない。 司法警察職員で もない。また一般省庁 の現在 の事務官で もな い。検察官でないか ら公訴権 はない。司法警察職員でないか ら独立 した捜査権 もない。 しか し一般 省庁 の事務官 とは相違す る。す なわ ち

,検

察事務 官 は検察 官 の個別指揮 を受 けて犯 罪 の捜査 を し, あ るいは

,そ

の他 の強制 の処分 (捜索

,押

,逮

,勾

,収

監等 の令状 の執行

)を

行 な うもので あ るが

,

もっぱ ら庶務

,会

計 の よ うな一般事務 に従 事す る配置 の者 も潜在 的 に これ らの権 限をすべ てみ とめ られてい る点で一般省庁 の事務官 とは甚 だ しく相違す るので ある。検察事務官 は副検事選 考審査会7)の 選考を経て

,一

定以上 の官職等級 に所定年数在載す るときは副検事 に任官す ることが で きる。 また この官 は

,一

般 職 国家公務員公安職等級表口8)の 適用を受 け

,検

察官が一般職の国家 公務員 であ りなが ら裁判官 に準ず る身分 の保障上

,国

家公 務員法 の職階制 に関す る規定を積 局的 に つF除されてい る。

)の

とい ち じる しく異 なるのであ る。 つ ぎに検察行政組織 ではないが

,検

察 に準 じた作用を い となむ場合 につ いてのべ ることにす る。 現行 法上起 訴独 占主 義I。)が とられ ,刑事事件 については一切私 人訴追を許 さず,検察官が国家を代表 して この任務 を行 な うのであるが

,前

述 の司法警察員か ら検察官 に被疑者

,証

,書

類送 致 の段階 において

,あ

らか じめ指定 された犯種 に限 り,11'そ の枠 内で犯人の性情

,傾

,犯

罪の動機

,状

況 によ って微罪処分 とす ることがで きることにな って お り

,検

察官 の起訴 の裁 量権 (起訴便宜主義) が司法警察員 に迄下 げ られているといえる。

1)同

法205①

2)同

法205① の 同法 195① つ 同法 195③

5)同

法 の 検察庁法27,刑訴 191② の 検察庁法 18②

9

警察庁に所属す る警部補以上の国家公務員たる警察官

,皇

宮巡査以上皇宮警視監迄の皇宮護衛官

,都

道府 警に勤務す る警視正以上の地方警務官については公安職等級表

9が

適用される。 検察庁法ψ条の二 刑訴 247 刑訴法 246 の の り

(5)

行政機関 としての検察制度 微 罪処分 は

,い

わゆ る警察限 りで検察官 に送致 しない ことをい うのであ るが

,本

人 の更生をはか る意味 と

,過

失 を宥恕す るとい う点 で

,人

道上

,基

本権上甚 だ当を得 た制度 であ り

,検

察官 が裁量 の枠 を定 めている点で問題 はない とはいえ るが

,司

法警察機 関が準検察機能をい となむ ことに疑い がないで はない。

4.検

察 官 の 機 能 検察 官 は前述 の如 く公訴官 と しての機能を もつ。公訴官 とは国家 の名 において

,犯

罪 について訴 えを提起す ることであ り

,科

罪権 の発 動を うながす ことであ る。民事裁判 における原告 の立場を と るわけであるか ら

,こ

の訴訟追行を公半」維持 とい う。 ここで注意すべ きは

,犯

罪事実 につ き処罰を 求 め る (求刑

)者

,

これ に有罪

,無

罪 の判 断を示めす者 (裁判所

)も

共 に国家機 関であ るとい う ことであ る。 領域 と人 口と主権 と政府 の綜合 が政治学 か らと らえた国家 であ るか ら

,国

民 が主権者 であ り

,主

権 者総意 (相対 的多数

)の

行政表現 と して政府 が意識構成 され

,そ

の一省 と しての法務省 。その外 局 と して の検察庁所属検察官 は

,国

民 の意思 と公益 を代表 してお り

,行

政部 と対立す る裁判所 もま た 国民主権 の一表現 と して司法作用を担 送す るのであるか ら

,形

の上 では訴え る者 も訴え られ る者 も

,裁

く者 もひと しく国民 であ り

,国

民不在 の裁判

,検

察 な どはあ り得 ないはず であ る。 しか し, 第二 次大攻 後 の政治意識 は

,基

本 的民主主義概念を発達 させ

,裁

判 の民主化 が制度 的に確立 した反 面

,一

部 では

,国

民 の階級性

,国

家の権力性を説 き

,国

民 に対立す る概念 と しての国家を想定す る 立場を政治感覚 と して底流 に持 たせた点 もあ り

,少

数 意見 ではあるが

,検

察行政 は民主主義 に対立 す る概念 であるかのごと くいわれ るのは

,甚

だ遺憾 である。 裁判所

,検

察庁

,共

に国家機関であるとい うことに対 して

,裁

判 の民 主 化 とい う観点か ら陪審 と い う方法が考 え られ

,諸

外 国 に行 なわれ

,わ

が国にも戦前 は存在 したのであるが

,素

人裁判 に依 る 危 険 と却 って人権 が侵 害 され る ことへ の配慮 か ら停止 されて今 日にいた っている。陪審 は一般人か ら無作為 に抽出された者を審理 に立合わせ

,そ

の評 決 の結果 に依 り有罪無 罪を決定す る ものである が,(ドイツで行 なわれてい る参審制 は職業裁判官 に

,民

間素人裁判 官を加 えて審理 その ものを行 な う もので あ り

,わ

が国で行 なわれている調停 も民事 について正式裁判 に先立 って

,民

間人 の中か ら あ らか じめ嘱託 された調停委員 に依 って行なわれる点で異 な る)。 ここで注 目すべ きは,合衆 国の陪 審制度 であ って,連邦憲法 で規定 してお り,各州 もこれ に倣 った憲法規定 を設 けてい る。合衆 国の階 審制度 は

,有

,無

罪を決定す る小 陪審 のほかに

,起

,不

起訴 を決定す る大陪審 (Grand jury)

=起

訴陪審 があ る。 ここに検察官の職能上重要 な相違 がみ られ る。す なわ ち

,大

陪審 は捜査 を行 な い

,そ

の結果を検察官 に執行 (起 訴

)さ

せ るのであるか ら

,検

察 官 は公訴官 とは名 ばか りの存在 に な るとい うことである。現在

,合

衆 国 において この制度 は弊 害 が多 い とされ検察官 において一切 の 起 訴事務を とることが多 くな って きてお り

,そ

の理 由は

,素

人主義の限界 と

,専

門事項へ の介入 の

(6)

輔 俊 和 危 険 と繁雑 にあ るようである。 それに もかかわ らず

,あ

る種 の重大な連邦犯罪 につ いては

,こ

の素 人市民 による検察 が生 きてい ることは政治的 市民権 の発達 した この国の特色 とい うべ きであろ う。 つ ぎに検察官の職能 と任命 にっいてのべ ることにす る。検察官は前述 のよ うに公訴官であ り

,国

家 の科罰権を うながす者である。 しか し同時 に民事 につ いて意見をのべ ることがで き

,狭

義 の行政 について国家機関が被告 とな った とき (例えば公務員 の不法行為 によ り国家賠償法が適用 され る場 合

,営

造・IBの管理行為 に瑕庇 あ りと して訴え られた場合 な ど

)各

国機 関その ものには法人格 がない か ら当事者能力 がない。当時者能力 は国その ものに しかないか ら国を代表 して訴え られ る者 が必要 で ある。 国を代表 して訴え られ る能力を訴訟能力 と称す るが現行法上 この者 は法務 大臣であ り

,現

実 に訴訟適格者 と して行動す るのが法務省訟務課 の検事 である。 このよ うな点か ら綜合す ると検察 官 は単 に公訴官に とどま らず

,国

家 の弁護人 であ り

,行

政機関直属の法律専 門家であ り

,あ

る場合 は国家の行政組織 その ものの抽象体 ともいえ るのである。合衆国の検事の ことを

attorneyと

呼 び 弁 護士 と用語 の上 では区別 しに くい点 は ここにあると思 われ る。英米法系 の検事 と大陸法系 の検事 とはその概ム が甚 だ異 な ってお り

,わ

が国の ものが戦前大陸法系 (殊 にフラ ンス法系

)で

あ り

,戦

後 のそれ が英米法殊 に合衆国法の霊響 を強 く受 けなが ら政治休系 の相違か ら完全 に これ とも一致せ ず

,独

特 の行政組織 の中に存在 してい るので

,

この点を少 し明 らかに してお きたい。

`

わが国の検察官は前 にも一言 したよ うに起訴独 占主義の下 における公訴機関であ る。 しか も専 門 職 的職業公務員 である。 これに対 し

,英

法 の検事は名称 こそ

public procecutorで

あ るが

,工

室 の法律顧間 と国家 の法律顧間 とい う性質を もち

,警

察 か らの告発や

,陪

審 か らの告訴を うけて起 訴 す る場合 もあ るが

,検

事 が (検 事代理を使 って

)起

訴す る件数は

,き

わめて少 ない。 もっとも英 国 は

,政

治組織 がわが国 と根本 的に異 な り立法 と司法が分化 されてお らず

,英

国の最高裁判所 の機能 は貴族院

(Star Chamber)が

っか さど り

,わ

が国の法務大臣に相 章す る者 が大法官であ り

,大

法 官 や検事総長 に任ぜ られ ると

,終

身 の官 とな り

,貴

族 に列せ られ る ことな どか ら推 して英 国 におけ る国家はあ る程度玉室 によって象徴 され る面 があるか ら検事 の国家王室法律顧 問 と しての地位 と機 能 も首肯 され るのであ る。 合衆国の検事 は州 によって若子 の相違 があ り

,検

事 が捜査 にタ ッチす る州 とそ うでな い 州 が あ り

,前

述 の大陪審 が存続す るものと廃止 された もの と

,任

意的なもの

,犯

罪 の種類 によるもの とに 分 け られ るが

,私

人訴追 とい う憲法上 の大前提か ら

,不

便 と弊害が伴 うにかかわ らず 大陪審 が憲法 上 の制度 と して存続 している。合衆国の検事 (わが国の検事正 がこれに相 当 し

,わ

が国の検事 は合 衆 国の検事補 に相 当す るが

)は ,わ

が国のよ うな競争選抜試験 も しくは選考 によ る定年制排他的専 門職業公務員ではな く

,公

選 によ る任期制の公務員である。 しか も地方検事 は大部分州知事へ の ワ ンステ ップ とされてお り

,公

訴官ない し州 によっては捜査指揮官を兼ね ると して も

,わ

が国の検察 官 とは身分 において甚だ異な るとせ ざるを得 ない。 職能 において も

,当

然の起訴独 占宮ではな く

,被

害者 (告 訴者

)か

らの起訴依頼 と黙示 の起訴依

(7)

行政機関としての検察制度

27

頼 があ った もの と して発動す る公訴

,ま

たは連邦 の一部犯罪 と

,州

によ っては全面 的な大陪審 (起 訴 陪審

Grand iury)の

票決 を待 って起訴す るのであるか ら

,英

国の検事 を国家 または王室 の法律 顧 間 (弁護士

)と

名 づ けれ ば

,合

衆 国のそれ は

,市

民 の公 的な法律顧 問 (弁護士

)と

呼 ぶ ことも可 能 であろ う。 わが国の検察制度 は主 と して フランス法系 によ っていたようであ るが

,仏

・ 独 もあ る程度私 人訴 追 を許 してい るよ うであ るか ら

,戦

後 の合衆 国系 の刑事訴訟法 が逮捕

,捜

,勾

留 に令状・ 時間・ 日数 の厳重な制限を加 えた り

,黙

否権をみ とめるとか

,予

断排除 (予審廃止

),伝

聞排除 (直 接主 義

),補

強証褪 の必要性

,な

ど被告人 の人権保護 と真実発見 のために捜査 に困難を来 たすおそれ さ え あ る法制 “合衆 国においてみ とめ られている当事者処分主義の

Arraignment(犯

罪事実 認否) さえ もみ とめていない

"の

下 にあ って さえ

,依

然検察官 その ものの身分 と職能は独特の もの といわ ざるを得 ない。 つ ぎにわが国の検察官の職能 について付言 しな ければな らないのは

,犯

罪捜査機関の うちのあ る 者 につ いて一種 の人事権 のあることである。 旧制時代か らみ とめ られ

,現

行法上特別司法警察職員 と呼 ばれ るグル ープの うち

,特

別法 で規定 され る海上保安官や

,麻

薬取締官

,入

国警備官

,

自衛 隊 警務官

,刑

務 官

,皇

宮護衛 官

,郵

政監察官

,鉱

山保安監督官

,船

員労務官

,労

働基 準監督官な どを のぞ き司法警察官吏 の職務を行な う者 の指定 に関す る件

,司

法警察官吏指定応急措置法 な どに もと づ く指定を検事正 におぃて行な うことができる。 この点 はあきらかに特別 の事項に関 しては検察官 が捜査の直属者を もつ ことを意味す るよ うである。一例をあげると

,特

別 司法警察職員 ではないが 刑訴訟法上 の捜査権 をみ とめ られ る特殊 の 者 であ るところの 鉄道公安職員 の捜査の 指揮 命令系統 は

,検

事 ―運輸大臣一鉄道公安本部長―公安支部長一国鉄管理局公安課長―公安室長一公安員 とな ってお り

,

一般 司法警察職員 については 捜査 の二本立てで検察 と警察 は並列 関係 にな った

,各

省庁 (合公共企業体等 の特殊法人

)に

属 す る特別 司法警察職員 との関係はなお

,上

下 の関係 にあるといえよう。 この ことは

,旧

軍 隊の一部 に属す る憲兵 が一般警察を補佐 し

,旧

憲兵令 に基 き 主 と して軍事警察を掌 り

,行

政警察

,司

法 警察 にその権及ぶ とされたため

,陸

軍 現役軍人 と して陸 軍 大 臣直属 とされなが ら職掌 に応 じ海軍

,司

,内

務各省 に隷直す るもの とされたため一般犯 罪捜 査 につ いて もきわめて有力 な検事の手足 であ った ことが想起 され るのである。 この点は主 と して フ ラ ンスの検察 と憲兵制度

(gentdarme)に

な らった もので あるが

,捜

査の 機動性 と統一

,能

率性 とい う面か らは今一度再検討の余地 のある問題 であろ う。 検察官の機能 につ いて今一つの重要点 は

,公

益 代表者 と しての役割 である。民事 につ いて父 を定 め る訴えの被告 とな った り

,禁

治産

,準

禁 治産 の宣告 を要求 した り,失踪宣告を求 めた り,刑で はな いが

,行

政違反事件 の制裁 と しての過料 の徴収を執行 した り

,刑

事事件 について非常上告を して不 利益処分者を救済 した りす ることである。 出生 した子 にとって父 の定 ま らないとい うことは甚だ不 幸 な ことであ るが

,い

や しくも争 いのある人の実父子関係を外部か ら判断 し確定す ることは重大 な

(8)

輔 俊 和 田 問題 であ る。禁治産

,準

禁 治産 の宣告 につ いて も

,

自己の行為能 力 を無 ない し不充分 と判定 され る ことは

,取

引の安 全 と社会秩序 の維持

,本

人及 び相手方 の保護 とい う意味か らは必要な ことであ る が

,本

人 に とって は苦痛 で もあ るはず である。従来の居所 を去 って容易 に帰来す る見込みのない者 を何時迄 も待 ってや ることが人情 と しては美 しいことであ って も

,の

こされた配偶者 の再婚関係, 推 定相続人の相続 関係

,財

産 関係 な ど本人をめ ぐる法律 関係の結着をつ けておかない と社会秩序 の 混 乱を来す場合 がある。過料 の制裁 も行政法規違反 の秩序 罰であるか らこの執行 も社会秩序の維持 とい う公益 につ なが る。刑事事件 につ いての非常上告 も基本権 の保護者 と しての作用で ある。 以上 の点か ら綜合 して

,検

察官 は狭 い意味で も公 益 の代表者 と して の地位 を 占め るわ けで あ る。 5。

わが国検察制度の歴史的考察

旧幕時代 における行政組織 その ものが

,中

央集権 的地方分権制 度 といわれ る独 特 の ものであ った た め現在 の検察制度 と比較す ることは困難であるが

,武

家 と庶民 に大別 され る身分 社会 にあ って別 々のサー クルの秩序を独立 に維持 しつつ

,

同時 に両サー クル共通 の秩序 を 維持 した とみ られ る点 で

,旧

幕時代 の検察制度 はかえ りみ る必要 がある。 旧幕 藩体制 な るものは

,将

軍 を首 班 とす る幕閣を中心 と し

,

この下 に各藩を独 立 させ各藩主 を主 権 者 とす る一 国をな してお り

,支

配機関であ りなが ら幕閣 もまた

,そ

れ 自体独立の国家

,江

戸 藩 と い うような形体 を もっていた。 この点か ら見 るか ぎ り幕藩体制 は

,一

種 の二 重国家 と連邦 国家 の様相を呈 してお り

,今

日の合衆 国や ソビエ ト連邦

,旧

神聖 ローマ帝国な どの政治体系 に類 似 して い る。 しか し

,合

衆 国は徹底 した 基 本権 にもとづ く市民権を もとに した地方 自治が主流であ り

,宣

,

講 和

,

貨 幣鋳造

,

郵便

,

軍 隊

,連

邦 にまたが る司法 (連邦最高裁

),警

(F,B.I.)の

よ うな

,国

家全体 と しての主権事 項 をのぞいては

,全

く州 の主権 をみ とめてお り

,封

建身分 を もとに独 立主権 をみ とめ られた幕藩体 制 とは根本 的に相違す る。 また ソビエ ト連邦は職能的労働組合 (ソ ビエ ト

)に

よ る自治国家の連邦 で あ り

,そ

の連合 た る最高 ソビエ ト会議 は連邦国家の主権行使 の上 で最高 の権力を もつ が

,資

本家 と労働者

,地

主 と小作 とい う生産手段 と分配 における階級 の廃止 のための階級 と してプ ロレタ リア ー トを位置づ け

,

これに ソビエ トの運営 にあた らせて いるのであ るか ら

,

これ も幕藩 体制 とは全 く 相 違 す るといわな けれ ばな らない。 ただ旧神聖 ローマ帝国は

,封

建 身分 (王 侯

,貴

,地

,農

)を

前提 に組織 された諸王 国の連合 であ り

,各

王 国の連合体 か ら選 出された者 が皇帝 とな る点で, 幕 藩体制 とい くらか共通点 がある といえ るが

,幕

藩体制下 の最高権威者 たる将軍 は徳川宗家の当主 で あ り

,原

則 と して世襲 であ り

,後

継者 のない場合 には じめて三 家 (尾 張

,紀

,水

),三

卿 ( 一 つ橋

,清

,日

)か

ら選考 され るのであ って

,諸

藩主 の互 選 で な い点 で

,神

聖 ローマ帝国の選 帝侯

(Kurfurst)と

相 違す る。

(9)

行政機関としての検察制度

29

ここに

,旧

幕藩体制 の下 では

,独

特 の官治行政 を行 な う必 要 が生 じ支配者 と しての武士 階級 の 自 治 的統治 と

,被

支配者 た る農

,工 ,商

に対す る統制

,さ

らに

,

この時代 における特別身分 た る禁裏 構成者 た る公卿

,神

,僧

侶 にたいす る監察 的支配 を軸 に した検察制 度 が生 まれ た と考 え られ る。 武家社会 における検察制度 と しては

,

目付

,大

目付 が考え られ

,一

般 の町方 の検察制 度 は これ に 及 ばなか った。 もちろん封建社会 の政治的特色 と して

,立

,行

,司

法 は分 立 してお らず

,三

権 を一手 に掌握す るのは将軍 であ るか ら

,最

終審判者 は将軍である。 しか し実質的には大名格 の武家 の検察 は大 目付 (大老又 は老 中の所属機関

)に

おいて行ない

,将

軍 (大 老又 は老 中の意見を徴 して

)が

裁 断を下 し

,旗

(400俵

以上

4万

石末 満 で

,直

参かつ お 目見得以上 の士

)に

対 す る検察 は 目 付 (若年 寄所 属機 関

)に

おいて行 ない

,竜

の 口評定所 において三手方 (寺 社奉行

,町

奉行

,勘

定奉 行

)の

取 り調べ (公 判

)を

行 な い

,将

軍 の名 において (上意

)裁

断 が下 され

,御

家人 (直参 ではあ るがお 目見得身分 に達 しない士

),お

抱 え席 (直参 ではあ るが譜代で はな く一 代限 りで採用 の形 を 採 り

,毎

年大晦 日において

,切

年 も相 変 らず つ とむ ることとい う申 し渡 しを受 け ることに依 って任 期更新す るもので

,与

,同

心 が これ に相 当す る。ただ し

,事

実上 は

,

一定年令 に達す ると

,

与 力

,同

心 の子供 が見習 に出て

,父

親 の職 と 家禄 をつ ぐのが例 であ ったか ら

,譜

代 同様 で あ った。) に対す る検察は御従士 目付 において行 な っていた。 このような ことは

,武

家社会を被支配身分 た る 農

,工 ,商

と載然 と区分 し

,支

配階級 身分 同志 のいわ ば同族裁 判 が行 なわれた ことを意味す る。 一般 町人

,

いわゆ る庶民階級 に対 しては

,

町奉行 が裁判

,

検察

,

警察 を兼 ね た形 で のぞん でお り

,神

,僧

侶 に対 しては寺社奉行 が

,百

姓 に対 して は勘定 奉行 が あた って お り

,検

察官 と しての 奉行 の下 にあ って庶務

,警

察 の ことに当 った吏 が

,与

力・ 同心 で あ る。与力

,同

心共 に前述 のごと く

,お

抱 え席の直参 であ るが

,与

力 は禄高

200石

でその面か らは旗本なみであるが

,お

目見得 身分 で なか ったか らその点 では御家人格 であ り

,

しか も形式的には譜代でない とい うきわめて特殊 な身 分 の武士 であ った。 その職分 は同心 を指揮 して犯罪の捜査

,摘

,予

,鎮

圧 にあた り

,同

時 に, 逮 捕 された者 に対 し

,予

審判事 の職掌 を もち (吟味与力

),或

いは本案判決 を行 な った。 同心 は, 直接犯 人逮 捕の ことにあた る司法警察官 (ほぼ現在 の警部 に相当

)で

あ るが

,定

廻 り (警 遜

),臨

時廻 り (警 備

)穏

密廻 り (公安

)の

三廻 りがあ り

,実

際の逮 捕 は小 者

,

日明か し (奉行所 の職員で はな く同心か ら手金 を貫 って行動す る庶民

)を

指揮 して行 な ったか ら

,同

心 は捜査担 造の検察官 に 類 した作用をいとなんだよ うであ る。 以上 は江戸時代の江戸市 中における検察 であ るが

,諸

藩 において も類 似 した職制 を もって いたよ うであ る。 これ らにたい して

,幕

府 は も う一つ の検察警察体系 をもっていた。加役 (火 付盗賊改 め

)が

これ で あ り

,元

来 は

,戦

陣 において犯 罪

,非

違 を取 り締 まるものであったが

,幕

府 開設後 も持 ち越 され た機関である。その性質上武官であ ることと取 り締 ま り対象 が庶民 に属す る兇悪犯 であることか ら 町奉行配下 の系列 に属す る検察 とは別 に行動 し

,即

決裁判や

,執

行妨 害行為 に対 す る直接武 力行使

(10)

輔 田 (殺 傷

)が

で きることな ど独特 の検察制度であ った といえよ う。

′ 以上 のよ うな検察制度 が明治 にな って根本的 に改正 され今 日の制度 にいた るのであるが

,新

政府 発足 道時 の弾正台 は

,旧

幕時代の町奉行 の職能 の 中か ら検察部分 のみを分化 させ た形体 で あ り

,明

治初期 の警察制度下 では

,上

級警察官の中に検事の職務 を行 な う者 があ った り

,明

治 中期以 降確立 され昭和22年 迄継続 した検察制度 において も検事 は捜査 の主体 と して司法警察官吏を指揮 で きた こ とな ど

,江

戸 時代の検察制度 の伝統 が フランス流の検察

,憲

兵制度 の影響 を うけなが ら発 達 した と 考 え られ る。

6.

特 殊 の 検 察 に つ い て 特別 の行 政組織 と特別 の事項 については

,特

殊 の検 察 が必要 とされ ることが あ る。 旧陸海軍 を は じめ各国の軍隊

,合

衆 国軍 隊の一部 を構成 す る沿岸警備隊

(COast Guard)(も

っともこれは平時 は財務省

(TreaSure Bureau)戦

時 は海軍 に所 属 し

,組

織 その ものが特殊 の機 関で あ るが

)の

行 な う検察 などが これ に該 当す るが

,海

難審判 における理事官

,裁

判 官弾劾における訴追委員会 な ど も同列 に解 してよい と思 われ る。 わが国の旧軍隊は天皇の統師権 と編成大権 の下 にあ ったため軍政 その ものは内閣の一省を構成す る陸軍海軍両省 において行 ない

,そ

の長 たる大臣は官制上 は文官 とされた (文 官任用令 によ り陸海 軍 の現役 →予備役 でよか った 時代 もあるが →将官 は

,

これを部 内の勅任文官 に 任 用 す ることを 得)。 軍 隊 はその秩序維持 と統制を他 のすべての行政機 関よ りも強化すべ きことは当然であ る。天 皇 を頂点 とす る特別権力 関係 に服す る特殊 な身分を もつ官吏 (陸 海軍将校

,

同親 任相 当官

, <勅

,奏

>,陸

軍準士 官

,下

<判

>,陸

海軍 属

<親

,勅

,奏

,判

>),

と徴集兵 よ り な り

,軍

機 の保持 と

,壮

丁 の監察

,軍

隊 に対す る犯罪

,軍

隊 内の犯罪 に対す る捜査 も特殊 な形態を とらざるを得 ない。捜査形態が特殊 であることは

,

これにつ らな る検察 と裁判 も特殊化 され ざるを 得 ない。 しか し

,現

実 には統 師権直属 とい う特別権力関係 か ら くる身分上 の性格か ら特別裁判所 の 判 断に服す るもの と し

,裁

判所 が特別 であるところか ら検察機構 も特別でなければな らず

,検

察機 構 が特別 で あ ることが

,司

法警察機構 も特別化せ ざるを得 なか った とみ るべ きで あろ う 。 陸海軍軍人は一般刑法犯

,諸

法令犯 の場合 も

,特

別裁判所 たる陸海軍軍法会議 で審理 され

,一

般 人 は

,陸

海軍刑法を犯 した場合で も普通司法裁判所 で審理 され た。審理 の前提 とな る検察 について も軍法会議検察官があ り,陸軍大臣海軍大臣の指揮監督 の下 に犯罪の捜査,公訴 の任 に当 った。軍法 会議検察 官 は陸海軍法務官 (文 官

,終

戦 直前武 官に編入

)で

あ り

,捜

査 の主体であ った。 この補 佐 を なすのは陸海軍司法警察官であり

,補

助を な したの は陸海軍司法警察吏であ った。陸海軍 司法警 察 官は

,陸

軍大 臣直属 の憲兵 の将校

,準

士 官及 び下士

,陸

海軍司法警察吏 は

,憲

兵 卒を主体 とす る が

,陸

海軍 の一般兵科将校 も部隊指揮官の地位 にある時

,(陸

軍 にあ っては中隊長以上 の配 置

,海

(11)

行政機関 としての検察制度

51

軍 にあ って は部隊 の長又 は分隊長

)は

陸海軍司法警察官 と しての資格を保有 していた し

,憲

兵 の将 校 とい って も,憲兵科の将校 に限 らず憲兵司令官のよ うに一般兵科の将校で も,憲兵 の業務遂行 中は これに包合 して考 え られ た。 このような形 で行 なわれた犯罪の捜査 は

,軍

法会議検察官 に依 って起 訴 され るが

,そ

の場合 も

,各

軍 法会議 (高等 軍法会議

,師

団軍法会議

,特

設軍 法会議

)の

長官 (各 陸軍大臣

,師

団長

,部

隊又 は地域司令官)(高 等軍法会議

,東

京軍 法会議

,鎮

守府軍 法会議

,要

港軍 法会議

,特

設軍法会議)(各 海軍大臣

,鎮

守府 司令 長官

,要

港部 司令官

,部

隊又 は地域指揮 官

)が

, 公 訴を提起すべ きか否かを決定 し

,検

察 官に命ず るのであ り

,公

訴 を提起後 で も長官の命 令 によ っ て公訴を取消す ことがで きるとされ

,こ

の点で軍 の検察 は全 く兵科将校 によ って主導権が あった こ とにな る。検察 官は前述 の ごと く陸海軍法務官で あ り終戦直前 に式官にな った とはいえ

,そ

れ迄 は 文 官であ り

,高

等 試験合格 の司法官 と して専 門法律家である者 の ウエ イ トはきわめて低か った とい わ ざるを得 ない。 しか も軍 法会議 の審理 は構成裁判官

5人

の会議を以て行 なわれ

,そ

の内

4人

迄 が 兵科将校 であ り法務官

1人

を加 え るにす ぎなか った こと

,構

成裁判官たる兵科将校 は判士 と称せ ら れ

,そ

の上級者 が裁判長 となる点 で

,普

通 司法裁判所 における検察 とは全 く相違 した同族検察

,同

族裁判であ った といわ ざるを得 ない。 現在 のわが国の 自衛 隊 は警務官を もつが

,

これ は

,部

内の秩序推持 に専従す る者で

,自

衛隊法

%

条 の定 め るところによ り

,

自衛 官 とこれに準ず る者 (各幕僚監部 と部隊 に所属す るが 自衛 官以外の 隊員

,学

,訓

練 招集 中の予備 自衛官

)の

犯 罪

,職

務従事 中の隊員 に対す る犯 罪

,そ

の他隊員 の職 務 に関 し隊員以外 の者の犯 した犯罪

,

自衛 隊の使用す る船舶

,庁

,営

舎 その他 の施設 内にお け る 犯 罪

,

自衛 隊 の所有 し

,又

は使用す る施設又は物 に対す る犯罪 につ き

,司

法警察職員 と して職務 を 行 な うだけであ り

,捜

査 その ものが対 内的な もので ある。 しか も

,捜

査 か ら公 訴 に移 ると一般検察 にひ きつ ぐわけであるか ら

,旧

軍 の検察制度 は全 くもたない。現行憲法がその76条

2項

において, 特別裁判所 は

,

これを設 置す ることができない と して

,旧

軍人 が軍人 た るの身分故 に

,普

通裁判所 の審理 に服 さなか ったよ ぅな ことを禁止 してい るが

,そ

れ につ らな る検察 も同義に解釈 された もの と思 う。 しか し各 国の軍隊はすべ て軍人軍属の刑事裁判 と検察 は軍法会議乃至軍事裁判で行 なわれ るか ら

,

この意味か ら逆 に 自衛隊 は軍隊ではない とい う論理 も成 り立つ と思われる。 旧軍 の検察 につ いて今一つ重要であった ことは

,前

述 の陸軍大臣直属 の憲兵 が軍以外の一般人 に 対 す る執行権 を もっていた ことである。すなわち

,旧

憲兵令 によれば

,「

憲兵 の本務 は軍事蟹察を つか さどり

,司

法警察

,

行 政警察 にその権及ぶ」 とされ

,

軍 事 司法警察

,

軍 事行政警察

,

司法警 察

,行

政警察の権 限をみ とめ られていた。 この ことは旧陸軍軍法会議法75条「 憲兵 ノ将校

,准

士 官 又 ハ下士ハ陸軍司法警察官 トシテ捜査 ヲ為 ス」同65条「 陸軍大臣ハ公訴及捜査 フ指揮監督 ス」旧海 軍法会議法65条「海軍大臣ハ公訴及捜査 ヲ指揮監督 ス

J同

75条「 憲兵 ノ将校

,准

士 官又ハ下士ハ 海軍 司法警察官 トシテ捜査 フ為 ス」旧刑事訴訟法24『条「 左二掲 クル者ハ検事 ノ補佐 トンテ其 ノ指 揮 ヲ受 ケ司法警察官 トシテ犯罪 フ捜査スヘ シ①庁府県 ノ警察官②憲兵 ノ将校

,准

士 官及下士」旧刑

(12)

輔 俊 和 訴

249条

「 左二掲 クル者 ハ検 事又ハ 司法警察 官 ノ命令 フ受 ケ 司法警察吏 トンテ捜査 ノ補 助 ヲ為 ス ペ シ①巡査②憲兵卒」 旧刑訴

247条

「 警視総監

,地

方長官及憲兵 司令官ハ各其 ノ管轄 区域 内二於 テ 司法警察官 トンテ犯罪 ヲ捜査 スルニ付地方裁判所検事 卜同一 ノ権 ヲ有 ス但 シ東京府知事ハ此 ノ限ニ 在 ラス」 旧司法警察職務規 範20条 「警視総監

,地

方長官 (東京 府知事 フ除 ク

)及

憲兵司令官ノ捜査 ノ権ハ異常 ノ場合二於 テ之 ヲ行 フフ例 トス此 ノ場合二於 テモ成 ルヘ ク其 ノ処分 ヲ検事 二譲 ルヘ シ」 な どの規定 にあ らわれてい る。 しか しもっと注 目すべ きは

,旧

裁 判所構成 法 18条 によ り

,「

区裁判 所検事局 ノ検事 ノ事務ハ其 ノ地 ノ警察官

,憲

兵将校

,下

士 又ハ林務 官之 ヲ取扱 フコ トヲ得 」 と し, 憲兵将校や下士

,警

部補以上 の警察官は

,「

拘留

,科

料 二該 ル罪

,短

4年

以上 ノ懲役 又ハ禁 錮ニ 該 ル罪 ヲ除 ク有 期 ノ懲役若ハ禁 錮又ハ罰金 二該 ル罪デ予審 ヲ経 ナ イモ ノ」(同 法16条

)に

つ いては, 検事 の事務 すなわ ち公訴 官 と して の地位 を 占めた とい うことで あ る。 つ ぎに現行刑事訴訟法 内で の特殊 の検察 た る準起訴手続 につ いてのべ る。前述 のよ うにわが国で は

,旧

刑訴時代か ら

,国

家訴追主義

,起

訴独 占主義を とり

,検

察官以外 の者 が公訴を行 な うことは で きない (刑訴

247条

)。 この ことは

,検

察行政 の特nJl■ (検 察庁 法52条 の二

)と

,専

門性 (同法 18条

,19条

)裁

判所 法44条 ∼44条

),(弁

護士法

5条

)か

ら資格 身分を法定 された行政官庁 である 検察 官 に委ね ることは

,能

率性 と人権保護 の意味か らは全 く妥 当であ る。 しか し

,英

米 法 (殊 に米 法

)の

よ うな判例法の立場か らは

,司

法行 政 は住民 の もので あ り

,一

般 住 民 が裁判や

,検

察 に参加 す ることが司法行 政 の民主 化 と観念 づ け られ てい る。 このよ うな考 え方 が

,裁

判官や検察官を

appointed staffで

な く

,公

選 に依 る職 (ёlected staff)と してい る。先 に述べ た合衆 国連邦裁判所 における大賠審 (起訴賠審

)(Grand iury)は

,人

民 に依 る検察の典 型 的な例である う。 わが国では明治初年以来 なが く大陸法系の刑事訴訟法の下 にあ った こともあっ て このよ うな考え方 は採用 されなか った。 ただ刑事事件 に付

,事

実判 断を国民 が評議の形で行 な う 制度 と して陪審が採用 されて きたが (旧陪審 法4条

),死

,無

期 の懲役

,禁

錮 に該 る事件 につ い て も

,被

告人 が陪審 の評議 に付 す ることを辞退 すれば行 えず

,(同

2条

,44条

,6条 )ま

,長

5年

を越 え る有期 の懲役

,禁

錮 に該 る事件 で地方裁判所 の管轄 に属す るもの につ いて被告人 の請求 が あった ときは陪審 の評議 に付 す る (同法

5条 )こ

とにな ってお り

,被

告人 の辞退

,請

求 とい う形 で

,そ

の意思 が尊重 された ことにはな るが

,一

旦陪審の答 申を採択 して判決 の言渡があ ると

,陪

審 の評議 に付 して事実の判 断を した ことにな り (同法97条

)控

訴 に もち こむ ことがで きない ことにな り (同法401条

),上

告 だけはで きたが

,上

告審 は法律審であ るか ら

,事

実 の誤認を理 由 とす る上 告 はで きなか った (同法

102条

)(な

お旧刑訴409条

,444条

)。 この ことは

,民

意 を間 うて事実 の 判 断を して も らった以上

,客

観 的事実 は不変 で あ るが

,専

門法 官僚 の審判 は不変ではない とい う矛 盾 が あ りなが ら

,被

告人 が陪審 を請求 した り

,陪

審を辞退 しな い ことは余程 の決心 と覚 悟 を もたね ばな らぬ とい う危険があった ことにな る。 その上

,陪

審 の採択権 は

,あ

く迄 も裁判所 にあ り

,何

等 答 申に拘束 され ることな く

,決

定 を以 て更 に他 の陪審 の評議 に付す ることがで きた (旧陪審法95条

(13)

行政機関 としての検察制度

)こ

のよ うな ことか ら到底

,陪

審 を以 て

,国

民 の裁判 とか

,裁

判 の民主化 とす ることは解釈上不可 能 であ った。現行 裁判所法 は

,そ

5条 5項

において

,「

この法律 の規定 は

,刑

事 につ いて

,別

に 法律で陪審の制度を設 け ることを妨 げない」 と してい るが

,「

陪審法 ノ停止二関スル法律」 によっ て停止 されたまま今 日に至 っている。前述 の弊害面 と

,わ

が国におけ る一般民間人 の法律常識 と感 覚 が未 だ合理的水準 に達 しない と考 え られたため と思 われ る。現在 の ところ

,民

間人 が司法 に参与 しうる制度 と しては

,民

事訴訟 にお ける和解 の補助をす る司法委員 (民訴法

558条

4),家

事審 判 において

,

ドイッ式 の一種 の参審をみ とめ る参与員 (家事審判法40条

),家

庭裁判所 において , 人 事訴訟事件

,一

般 に家庭 に関す る事件 につ いて調停を行 な う際の調停委員 (家事審判法17条

,22

条 ②③

),民

事 に関す る紛争 につ き

,当

事者互譲 によ り

,条

理 にかない実情 に即 した解決 を図 るこ とを 目的 とす る民事調停委員 (民事 調停法

7条

②①

),公

訴権 の実行 に関 し民意を反映せ しめてそ の適正を図 るため政令 で定 め る地方裁判所及 び地方裁判所支部の所在地 におかれる検察審査会の検 察 審査員 (検 察審査会法

4条

)が

あ る。 この うち検察行政 に最 も関係を もつのは検察審査会である

,そ

の所掌 は検察官の公訴を提起 しない処分 の当否の審査 に関す る事項 と

,検

察事務 の改善 に関 す る建議又 は勧告 に関す る事項 であ り (検察審査会法

22),要

す るに検察官の公訴を提起 しない処 分 に不服 のある告訴

,告

,請

求者

,被

害者 が

,そ

の処分の当否の審査 の申立 (同法50条

)を

した 場 合 に議決 し

,章

該検察 官を指揮監督す る検事正 に送付す ることであ るが (同法40条

),そ

の処理 は検事正 に委せ られてお り起訴を強制 され るものではない。「議決を参考 に して公訴を提起すべ き もの と思料す るときは

,起

訴 の手続 を しなければな らない」 (同法44条

),と

あ って

,決

定 は全 く 検事正 の (法律上 のではあ るが

)主

観 的判断に委ね られてい るのである。 準起訴手続 は このよ うな各種 の民間人司法参与方式の弱点 と欠点を補充す る強力な手段であると 思 われ る。 ただ し

,こ

の手続 で

,公

訴 の維持 にあた る者 は素人 ではな く弁護士 であ るか ら (刑訴法

268条

),

厳密 には民 間人参与 とはいえない。 しか し

,国

家訴追主義

,起

訴独 占主義のわが国に お いて

,民

間人 であ る弁護士 に検察官の職務 を行 なわせ ること (刑訴 法

268条

)は

,公

務員 とみな す 画期的な ことであ る。 その意味では

,合

衆 国の

attorneyが

州 の公益 を代表す る弁護士 とい うよ うな立場 であ り

,prOs∝utorの

おかれ る州 において も

,

私 人訴追 の代行者 とい う形 が原則 である の と類似 してい るよ うに思 われ る。準起訴手続 とは

,職

権濫用や公安調査官の職権濫用 の罪 につい て告訴又 は告発を した者 が

,検

察 官の不起訴処分 に不服 を となえて当該検察 官所属 の検察庁 の所在 地 を管轄す る地方裁判所 に事件 を裁判所 の審判 に付す ることを請求す ることがで き (刑訴法

262条

),検

察官が この請求を理 由あるもの と して公訴を提起すればそれで解決す るが (同法264条), 不 提起 の場合 に裁判所 が請求 を理 由あるもの した場合 は

,事

件 を管轄地方裁判所 の審判 に付す る ( 同法

266条

②)。 注 目すべ きは

,

これ らの手続 を経て

,事

件 が その裁判所 の審判 にThl・され た とき, その事件 について公訴 の維持 にあたる者 が弁 護士であるとい うこ とであ り (刑訴

268条

)し

か も

,事

件 につ いて公訴を維持す るため裁判の確定 に至 るまで検察官の職務を行 ない (同条②

),職

(14)

輔 俊 和 54 務 中は公務員 とみ なす とい うことであ る (同条①

)こ

の ことは

,公

務 員 の職権 濫用 か ら国民 の基本 権 を ま もるとい うよ り

,公

権力 その ものか ら人権 を ま もるとい う意味 があ り

,行

政機 関の構成員で ない弁護士 に この公訴維持行為を担 当 させ ることは

,国

民 のための検察か ら

,国

民 の検 察 とい う意 義 が うかがわれ るのであ る。 そ して また国家訴追主義 と起 訴独 占主義 が この程 度 において修正 され た ことは

,

検察審査会制度 が形式的で無力 な 目付制度 にす ぎないの に比べ (わが国 の陪審 員 の構 成

,就

職禁止 範 囲

,辞

退資格

,裁

判所 がその評議 に拘束 されない ことな どの点 で類似 し

,合

衆 国連 邦 の起 訴 陪審 とは

,決

定 に拘束力がない点 で相 違す る

),私

人訴追 に一歩近 づいた といえよ う。 司法権 はか って は天皇 の名 において行 なわれ

,法

廷 は宮廷 になぞ らえ ることがで きた。現在 は国 民 の名 において行 なわれ

,法

廷 は議会 で あ る。 旧憲法57条 が「 司法権ハ天皇 ノ名 工於 テ法律 二依 リ 裁 判所之 ヲ行 フ」 とあ ったのが

,新

憲法76条 ① に「 すべて司法権 は

,最

高裁 判所及 び法律 の定 め る と ころによ り設置す る下級裁判所 に属す る」同①「 すべて裁判官は

,そ

の良心 に従 い独 立 してその 職 務 を行 ない

,

この憲法及 び法律 にのみ拘束 され る」 と変革 されたのは

,

この意味 であ る。司法権 につ なが る司法行 政たる検察が これに応 じて変車 されたのは当然であ るが

,立

法権 が

,一

般 的抽象 的 な法 の定立 であ って

,そ

れだ けに国民 の良識 さえあれば

,必

ず しも専 門的知識 を前提 と しな くて も

,否

常識 的 な素 人主義 こそ民意 の反 映 と して官僚制 の独 菩 を排除す る長所 もあ るので あ るが

,司

法権 の作用 は

,法

の宣言であ り

,

ことが人 の生命

,身

,自

,財

,名

誉 に対 して取返 しのつ か ない損失を与 え る場合がある。民主主義 の政治理念 は本来

,生

,自

,幸

福 の追求 で あ り

,基

本 権 の尊重 も

,主

権在民 もそのため に

,

これか ら発展 した概念 である。司法権 の作用は一歩誤 ると, 本 来 の 目的 と反対 の結果を生 じかね ない。 ここにひ と しく国民主権 か ら発 した統 治作 用 なが ら

,玄

人主 義が存続す る価値観 が高 いのであ る。 ただわず かに

,行

政機関の干渉 か らの独 立 が強 く叫ばれ て現行 の裁判所 はか っての司法省 (法務省

)か

ら独立 して職権を行 な うとされてい るのであ る。 し` か もそ こで宣言 され る法 その ものは国民全 体を代表す る議会 で制定 された ものなので あ るか ら

,国

民 の信託 によって高度の職業的専 門公務員が裁判を行 な ってい るとい うことにな る。 しか しこれは あ く迄論理上 の形式論であ って

,官

僚集回 は専 門化

,永

く身分化 され ることによ って支 配 的 にな る お それが あ る。素人化

,任

期化

,更

に任命制を公選制 にす ることに依 って この欠点 は救 え るが

,素

人 化す るには内容が専門的にす ぎかえ って危院であ ることは前述 の とお りであ る。 このよ うな二律 背 反 の調和 と して考 え られ るのが

,前

述 の よ うな陪審

,家

事審判調停

,検

察審査会

,準

起 訴手続 な どであ るが

,英

米法 の陪審や

,私

人訴追

,

ドイツの参審制 などとは程遠い ものであ る。 裁判 と検察 の民主 化 は きわめて大切 な ことであ るが

,そ

の実現のためには

,先

,国

民 の法律 感 覚 と知識 の向上 と関心を高 め るよ りないで あろ う。 つ ぎにかかげ るのは

,英

国の検察 で ,前述 のよ うに私人訴追 か ら出発 しなが ら,今日原則 が例外 と な って公務員

,殊

に警察訴追が本則 にな り

,私

訴 は例外 とな り

,

しか も1935年 以降

,起

訴陪審 は廃 止 された。 では

,英

国 において は検事 とい うものが ないのか とい うとそ うで はな く

The Director

(15)

行政機関 としての検察制度

of Public PrOsecutions(公

訴局長

)と

か これを指揮す るAttorney‐

General(法

務 長宮

)な

どが あ るの であ るが

,彼

等 の役割 は

,警

察や各官庁 の訴追指導

,助

言 と

,国

,王

室直属 の弁護士 とい う任務 と

,わ

ずか にの こる私人訴追の引継 ぎ (必 要 とみ とめた場合

)な

どであ り

,丁

度 わが 国の法 務 省 (訟務課検事

)の

よ うな役割

,官

選弁護士 のよ うな形

,さ

らに刑事 につ いての法制局 のよ うな 仕 事

,そ

れ に加 えて重要犯罪の起訴 を行 な うことはあるが

,犯

罪 の捜査機関ではな く

,起

訴件数,

人数共 にきわめて少 ない。 この ことは ヨー ロッパゃ ァメ リカ合衆国

,

日本 の検察 とはあま りにも相 違 す るので以下

David Fellman THE DEFENDANT'S RIGHTS uNDER ENGLISH LAW

を飛訳引用す る。

7.英

国 の 検 察 に つ い て イギ リスには

,現

,大

陪審が廃止 されてお り

1),私

人による刑事訴追の開始はもちろん

,常

任 の職業検事による トムデューィ方式もないことは

,

イギ リスの刑事訴追概念をあらわす重要条項で ある。それと反対に制定法の規定がない場合には

,何

人 も自発的に弁護士 に 通 告 することに依 っ

,刑

事手続を開始することができる。

しかか し公訴2)局長 (Director of Public Prosecutions)ま たの名公訴官 (PubliC prOsecutor) は適当とみとめれば

,如

何なる私人訴追でもその投階の如何をとわず引き継 ぐことができる。そ し

,法

務長官

(Attorney General)は ,

如何なる段階にある訴訟で もその絶対権限で

,

起訴猶予 を提起することによって

,訴

追を中止 させ ることができる。今 日私人訴追は多 くない。それは主に 商業分野におけるものである3)。 多 くの刑事事件は

,警

察に依て行なわれるのでる。ただ例外 として公訴局長は

,す

べての謀殺事 件を引き継 がねばならず

,瘍

動罪

,秩

序破壊共謀罪

,貨

幣鋳造犯罪のようなものを合咎犯罪を引き 継 ぐことができる。ただ し

,一

般的な公衆の利益 がそれによって役立つ場合のみである。そのほか 多 くの訴追は制定法による国家機関に準 じた政府部局に依て開始 される。たとえば郵政省は郵便法 関係の犯罪の訴追を提起す るし

,労

働大臣は工場立法に関連 した訴追に掛かり合 うし

,通

商産業省 は

,度

量衡

,破

,会

社のような事項を合む事件に関係がある。部局のなかには独 自の訴追職員を もつ ものもあ り

,公

訴局長は

,彼

らが行なわない仕事の補いをする。 合衆国におけるように

,合

理的妥当な原因なき悪意の訴追は訴訟対象になる違法である。

1)1955年

の司法制度法 (Adminisstration of Justice Act)第 1節第1項

2)1879年

法律でイギ リスに設置 された公訴局 の訴追局長

,犯

罪が重大であ るか

,難

事件で あ って

,公

益 に必 要 と考 え られ る場合 に

,私

人の訴追をまたず

,国

の名で訴追 を開始遂行す る者高柳賢三・ 末延二次編集英米 法 辞典有斐閣 P.589参照

5)Da

d Fellman THE DEFENDANT'S RIGHTS UNDER ENGLISH LAW.THE UNIVERSITY

(16)

郵 田 和 俊 輔 刑 事事件の訴追 に関 して

,制

定 法 は種 々の規則を 出 して い る。 議員法 によれば多 くの犯 罪 は内務大 臣

,法

務官

,公

訴局長

,警

察 官

,地

方 官 の よ うなあ る種 の官 吏 の指揮 または同意 によ ってのみ訴追せ られ得 る。 このように し

,貨

幣犯 罪法第

4節

5項

,4956年

公衆秩序法第

1節

2項

2節

2項

の下 で犯 罪 を訴 追す るのに法務 長官 の同意 が必要 とされ る。 また1951年 危院薬 品法第48節 第

1項

a号

の下での訴追は公訴局長 の許可を必要 とす る。 1952年 関税消費税法第231節 第

1項

5項

違反 の訴追は関税委員 その他 の官 吏 の同意を必要 とす る。郵 政長官は1955年 郵便法第56節 第

5項 ,65節

5項

の下 での一定 の犯罪 に関 して同意を与えな けれ ばな らない。制定 法 の一 つ であ る1888年 の修正文書誹 毀罪法第

8節

は新聞に対す る文書ヲ「毀刑 事 訴 訟は判事 の命 令 によ ってのみ開始 され る。 公訴 局長の官署 は4879年 に議会法 に依 て制定 され

,4884年

に廃止 されたのち

,1908年

に独立局 と して改正 された。局長 は首相 の同意 と

,法

務長官 との協議 の後 に

,内

務 大臣 に依 て任命 され るが, 事 実上

,法

務長 官の監督下 にある。 内務大臣 と公訴局長 の間 には

,刑

事事件 において きわ めて密接 な連絡 が あ る。 しか し内務大臣は 局 長 に責任を負 わず

,局

長 に訓令 も しない。当然の ことなが ら

,内

務 大 臣は

,も

はや昔 のよ うに訴 追 とは何 の関係 もない。 勿論 内務省 は刑法 と法廷 の機能をかな り処理 しなければな らないが

,訴

追 機関

,司

法大 臣で はな セヽ。 しか し

,法

務 長官 はその司法機能 においては

,政

治か ら独立 してい る。 そ して

,法

廷 の許可を要 す る略式事件 は別 と して如何な る事件で も起訴猶予 を出す ことによって

,却

下 す る権 能 があ る。公 訴局長はいろいろな機能 を もってい る。 死刑 を以て処 断 され るべ きすべての犯罪

,通

貨犯罪 を合 む犯 罪

,刑

事手続 を提起 す る ことを妥 当 と考え られ

,政

府部長 によ って彼 に照会 されたすべ ての事件

,ま

たは

,局

長 が重要

,困

難 と考 えた 事 件 や

,彼

の訴訟参加 が何等 かの理 由で必要 とされ るよ うな事件 において刑事手続提起

,維

持す る ことはその義務であ る。彼 は法務長官か国務長官の命 に基 いて起 訴す る義務 がある。公訴局長は ど ん な私人訴追で も引 き継 ぐことがで きる。 もっとも銀行 や祐福な会社 に依 て訴追が提起 されている 場 合 に常 にそ うす るとは限 らないが。 あ る種 の犯罪は彼 の手 で処理す るのが可能であると して局長 に報告 されなければな らない。 たと え ば全社会 に影響す るような犯罪 が これに合 まれ る (動乱教唆罪

,

秩序破 壊共 同謀 議

,

公務員 買 収

,公

務員 汚職

),ま

たは他 の重要犯罪 (故殺

,強

,風

俗 壊乱文書誹毀

),訴

追が取下 げ られ, 取 消 された事件

,逃

亡犯罪人 引渡事件

,買

収 または選挙違反訴訟手続 (実務

)な

どであ る。 このほか

,局

長 は刑事控訴院に訴え られたたいていの上訴で工 室側被告の事務 を処理す る。 このほか訴追に関連 してそれ以外 の任務 もある。局長 は

,自

発 的 にまたは

,申

し出に基 いて

,政

(17)

行政機関としての検察制度 府部局 や裁判所書記官や

,検

屍 官

,警

察署長

,そ

の他 の者 に口頭 または書面 で助言 を与 え る。 あ る公訴局長の経歴者 はつ ぎのよ うに述べてい る「 これ こそが多 くの仕 事 の中で公訴局長の最 も 重要な ものである」 と。 合衆 国の批評家の一人 はつ ぎのよ うに見解をのべている。すなわ ち「 公訟局長の官署 は事実上, 最近警察 のための法定受付 機 関 にな って来 てい る」 と。 公訴局長 は決 して イギ リスの唯― の公訴官ではない。 そ して彼 の部門は犯罪 の調査を しない。 そ の訴追権 は非常 に任意的な ものであ り

,事

実 その部 門は全訴追事件 の中で は比較 的小 さなパ ーセ ン テー ジ しか処理 していない。 た とえば1948年 には

,略

式で処理 された674′000人 の うちわずか487人 を起訴 したにすぎず

,四

期裁判所 と巡 回裁判 において処理 された22′750人 の うちかずか 900人 を起 訴 したにす ぎない。 1955年 には

,公

訴局長 は総計444′344件 の中か ら起訴犯罪 と して989件 を引 き受 け

,非

起訴犯罪 と しては

145件

を処理 したに過 ぎない。デ ブ リン '言 lがのべ た ことであるが

,(英

国 の判事 は「検事 は被告 を補助す るに公正でなければな らぬ」 と主張す るので

,前

半世紀 は訴追 され る側の弁護士か ら司法大臣へ訴追す る弁護士へ と弁護士の役割が好 ま しい変遷 を とげた

)と

い うこ とはいぜ ん と して注意 されな けれ ばな らない。今 日英 国においては

,デ

ニ ング卿 が記 しているよ う に

,起

訴を命ぜ られたあ らゆ る弁護士 は

,そ

の起訴 が女口何に公正 でなけれ ばな らな い か 知 ってい る。 国家 もそれを期待 してい る。判 事 もそれを必要 と してい る。彼 は有 罪判決 を迫 ってはな らない。 も し彼 が囚人 に有利 とな るよ うな事実 を知 ってい るな らば

,そ

れを発表 しなければな らない。彼 は それが厳 しい判決 に都合 の良 い保証 とな ると否 とを問わず。 その事実を公平 に述 べ なければな らな い。 反対訊問の権利に関 して も同様 に

,訴

追 に追 る弁護士は穏健 な 自制 された態度で行 なわなければ な らず

,審

理 中の人間を威嚇す るよ うな如何なる方法 もとってはな らない1)。

8.

英 米 法 にお け る司 法 警 察 と検 察 の 関係 (わが 国 と の比 較) わが国の検察が旧法時代は独罪捜査の主体であ り

,司

法警察はこの補助ない し補佐 として定義づ けられ

,戦

後のそれは合衆国法のつよい影響を受け実体捜査は警察にうつ り

,検

察は公訴を主 たる 任務 とし

,公

訴提起の条件を整える目的の範囲内での捜査すなわち法律捜査 とか補充捜査 と称せ ら れ るものに限 られるようになったことは既に述べた。 しか し

,詳

細に合衆国法を見てみると

,合

衆 国法のみの影響を受 けているといい切れぬものがあるのである。たとえば

,わ

が国では司法巡査か ら司法警察員に引き渡 された被疑者はこの時点で弁解の機会

,黙

否権

,弁

護士依頼権を与え られ,

1)D.Fellman THE DEFENDANT'S RIGHTS UNDER ENGHSH LA耶

.THE UNIVERSITY OF

ヽVISC()NSIN PRESS, lWadison, Milwaukee, and London 1966 pp,28-33

参照

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