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戦後西ドイツにおける

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(1)戦後西ドイツにおける ー西ドイッ競争制限禁止法︵一九五七年︶制定史ー. 過度経済力集中排除政策と法. 一︑は じ め に. 二︑対独占領経済政策の形成と過度経済力集中排除法の成立 e. 8号の運用の実態 軍政府法第56/7. 軍政府法第56/78号の執行機関とカルテル禁止手続. カルテル禁止規定の概要. 三︑カルテルの禁止 ⇔. 鈎カルテル禁止政策のその後の経緯. ㊧. 四︑コンツェルンの解体. ω特別法にもとづくコンツェルソの解体. e軍政府法第56/78号にもとづくコンツェルソの解体. 括. ㊧ コンツェルン解体政策のその後の経緯 五︑小. 戦後西ドイッにおける過度経済力集中排除政策と法. 高. 橋. 岩. 二〇一. 禾口.

(2) 戦後西ドイッにおける過度経済力集中排除政策と法. 一 はじめに. 二〇二. 西ドイッが競争制限禁止法︵O︒ω︒言σq£9≦葺冨蓄昌昏①零ぼぎざ躍8︶を制定するにいたったことの思想的背景. には︑まず︑ドイッ国民経済学説︵オイケソ︑べーム︑エハルト等を中心とするいわゆるフライブルク学派 新自由主義の学. 説︶があり︑それとともに︑敗戦・占領期に連合国︑主としてアメリカによりもたらされた反トラスト思想︵一九四八 ︵1︶. 年のハバナ憲章および一九四七年の過度経済力集中排除法はこの思想にもとづく︶があったといってよいであろう︒これら学. ︵2︶ 説ー思想にもとづいて立案された競争制限禁止法案は︑一八九七年の大審院カルテル契約合法化判決以降︑一九二三. 年の経済力濫用防止令等により具体化されてきた伝統的な濫用防止法制の立場からする強い批判を受けた︒そして︑. 議会で法案提出以来五年もの長期にわたり審議したすえに︑両者の妥協が成立してようやく制定されたのは一九五七. 年のことであった︒この競争制限禁止法の制定過程をあとづけることが︑ここでの課題である︒このためには︑占領. 軍政府による過度経済力の集中排除措置をめぐる諸問題︑競争制限禁止法の立法作業をめぐる諸問題i例えば︑先. 駆的法案︵ヨーステソ法案︶をめぐる問題︑禁止法制と濫用防止法制をめぐる間題︑政府法案の合憲性をめぐる論争等. の検討︑さらには︑競争制限禁止法の制定初期の法運用の検討などを行う必要がある︒本稿では︑これらのうち︑過. o﹄OS 9①号β富oぎざ濤亀括o窪&ωω窪のo訂ヰ一漣㎝ー一〇思国ぎo屏簿一ω魯odぴo誘一〇窪一譲仁毒一〇器O. 度経済力集中排除法の検討を中心として︑占領軍政府によるカルテルの禁止およびコンツェルンの解体措置をめぐる. 軍訂暮 ω 魯 o び 譲. 諸問題を取り扱う︒ ︵1︶.

(3) 一九七四年︑. 一六一ー一九一. フライブルク学派目新自由主義の理論については︑適確かつ示唆に富む︑舟田正之﹁ドイツ ﹃経済制度﹄理論史﹂㈲㈹紛︑. 高橋岩和﹁ドイッ大審院一八九七年カルテル判決と営業の自由﹂早稲田法学会誌第二五巻︑. 国家学会雑誌︑八九巻一一・一二号︑九〇巻五・六号︑同九・一〇号︑一九七七年 参照︒ ︵2︶. 対独占領経済政策の形成と過度経済力集中排除法の成立. 頁参照︒. 二. ドイッ占領後の対独︹経済︺政策の検討が︑アメリカでは第二次大戦中のかなり早い時期から開始されていたが︑. ︵1︶. 一九四二年春のアメリカ参戦後︑とくに一九四三年春以降の戦局好転後には︑かなり具体的な政策の立案がなされる. ようになった︒この政策の策定作業は︑国務省︑国防省を中心として進められてきていたが︑後に︑財務省がこれに. 加わり︑この財務省案がアメリカの対独︹経済︺政策の基礎となった︵後に大きな修正が︑国務省および国防省の巻きか. えしや国際情勢の変化等にょり加えられた︶と考えられる︒この財務省案︵モ1ゲソソー構想蜜︒お8爵窪由き一九四四年九. 月成案︶は︑領土の分割︵ドイッ東部および西部の重工業地帯をポーラソドとフランスヘ割譲し︑残りをさらに三分割する︒およ. びルール地方を国際管理下におく︶︑工業施設の破壊・撤去︵軍需産業および関連基幹産業の工場施設を破壊もしくは賠償として. 田園化は不. 撤去する︶等により︑ドイッを完全に非軍事化して︑農業国へ転化させるというものであった︒このモーゲンソー構. 想は︑その後︑国務省の反対︑イギリスの反対︵これにより︑イギリス占領地域となったルール地方の非工業化. 二〇三. 可能となる︶︑さらにはルーズベルト大統領の死去等により︑序々に修正されることとなったが︑一九四五年二月の米 戦後西ドイッにおける過度経済力集中排除政策と法.

(4) 戦後西ドイッにおける過度経済力集中排除政策と法. 二〇四. ︵2︶ 英ソ三国首脳会談︵ヤルタ会談︶でソ連の対独政策に関する合意をとりつけるためにも︑その基本は維持されていた︒. このヤルタ会談をふまえて︑対独︹経済︺政策の再検討が行なわれたが︑国務省︑国防省︑財務省間の調整がつか. ず︑審議は行きづまった︒これを打開するため︑対独経済介入措置の制限︑経済力の集中排除措置等が新たに盛りこ. まれることにより妥協がはかられ︑﹁対独政策要綱﹂として取りまとめられた︒この要綱は︑JCS一〇六七指令と. して︑一九四五年四月に︑米軍最高司令官宛送られた︒この指令は︑﹁総論および政治﹂︑﹁経済﹂︑﹁財政金融﹂の三. 部からなっており︑このうち第二部﹁経済﹂では︑農地解放が指令され︑また軍需産業の禁止とその生産設備の賠償 ︵3︶. としての撤去または破壊︑一般の重化学工業の生産禁止ないし制限とともにカルテルの禁止およびコンツェルンの解. 全てのカルテルもしくはその他の事業者の結合およびカルテル組織を禁止すること︒この中には︑公法的あるいは半公法. 体が指令された︒すなわち︑それは次のようなものである︒ ﹁OD. 的性格のもの︑例えば︑生産︑価格︑技術的情報と工程の排他的交換︑および販売市場の分割を含む市場関係の規制を行なう経. ドイッ産業の所有と支配の解体を達成すること︒ならびに︑コソツ昌ルソとプール︑頂上会社の併合と事業経営の集中につ. 済団体が含まれる︒このような団体に課された公法上の責務は︑できるだけ速やかに︑官庁により引き受けられるべきである︒. 国際カルテルないしその他の制限的契約と協定に参加することを禁止する措置をドイッ企業に講ずること︒ならびに︑その ︵4︶. いて調査を行ない︑この原則の実現を援助すること︒. ②. ③. ようなカルテル契約とその他の協定への全ての既存の参加を終了せしめるよう強調すること︒﹂. この対独政策要綱︵JCS一〇六七指令︶を素材にして︑一九四五年七月に米英ソ三国首脳によるポツダム会談が開. かれ︑賠償問題を別としてほぽ要綱どおりで合意が得られたので︑同年八月二日にポツダム協定が結ばれた︒このポ.

(5) ツダム協定第一二条で︑ドイッ経済力の集中排除につき︑次のように取決められた︒ ︵5︶. 第一二条﹁ドイッ経済は︑可能なかぎりすみやかに非集中化されるべきである︒そのために︑とりわけカルテル︑. トラスト︑およびその他の独占的な結合のうちにみられる経済力の過度集中が排除される︒﹂. シンジケート︑. このポツダム協定に基づいて︑米英仏ソ四国共同のドイッ経済力過度集中排除政策が立案・実行されるはずであっ ︵6︶. たが︑これは失敗した︒それは︑連合国の対独政策が一致した目的をもっていたものではなく︑国により意図すると. ころが異なっていたためである︒このために︑西側三国とソ連とはしだいに対立を深めてゆくこととなった︒このよ ︵7︶. うな情勢のなかで︑一九四七年に西側三国はあいついで過度経済力集中排除法を制定することとなった︒これを米英. 占領地域についてみてゆくなら︑一九四七年一月に︑米英軍政府は過度経済力集中排除法案を南ドイッ州議会とミン. デン︵二ーダーザクセン︶の米英統合経済地区経済行政理事会︵<R毒暮巨閃鴇ヨニ驚き冨魯聾︶に提出した︒しかし. これは︑法案の前文︵後述︶に掲げられた法目的︵前文1︑豆︶にドイッ側が反対をしたことにょりドイッ法としては. 成立せず︑一九四七年二月一二日に︑軍政府法第5 6/78号・ドイッ経済力の過度集中排除法︵<Rげ9◎震ま︒§鐘磯8. 囚o召窪貫&8身暮ω9①﹃譲算ω魯養簿声雰召一勾β−o$簿器25誘毒山<Oα段言菊謂写﹄︒︒︶として発布されること. となった︒またフランス占領地域では︑仏軍政府が︑米英軍政府からの法案の提示を受けて経済労働委員会と州議会. とで法案の審議をしたが︑法案の前文の法目的に反対している︵前文Wに︑﹁本法は刑罰措置であるのみならず⁝・−﹂とい. う表現を挿入することを要求︶うちに︑米英軍政府法第56/78号が発布されたので︑一九四七年六月九日にいたり︑軍政. 二〇五. 府条例第96号・ドイッ経済力の過度の集中排除条例︵<①旨琶霞琶騎警︒§羨ひq①二≦8耳き鼠覧き磯ぎα霞畠5ω9窪. 戦後西ドイッにおける過度経済力集中排除政策と法.

(6) ︵8︶. 戦後西ドイッにおける過度経済力集中排除政策と法. 二〇六. ≦三零訂守<OユR峯菊郵寄・8︶を発布した︒軍政府法︵条例︶・過度経済力集中排除法︵条例︶は︑ 以上のよう. 8号を中心として考察していくこととし︑ 仏軍政府条 な経緯で成立したものであるが︑本稿では米英軍政府法第5 6/7 例第96号については必要に応じてふれることとする︒ 米英軍政府法第56/78号は︑その前文で︑法律の目的を次のように定めている︒ ﹁本法は︑次の目的のために︑ポツダム協定第一二条により発布される︒. カルテル︵シンジケートを含む︶とカルテル類似の協定︵第二条︶︑②. 執行官庁の権限と責任を定め︑第九条には︑定義規定がおかれている︒以下︑本法に違反する法令の廃棄︵第一〇条︶︑. は︑国際カルテルヘドイッが参加することを禁止し︑第六条は︑本法の適用除外を規定する︒第七条および第八条は︑. コンツェルン︵トラスト︑利益共同体︶︵第二条︶︑③独占的地位にある巨大企業︵第三条および第四条︶である︒第五条. そしてこの過度の集中とみなされるのは︑①. このような前文に続いて︑以下の規定がおかれている︒第一条は︑ドイッ経済力の過度の集中を包括的に禁止する︒. カルテルおよび類似の国際的協定に参加することを阻止する必要がある︒﹂. としてドイッにより利用されるものであるーをできる限りすみやかに除去する必要がある︒ またこれとともに︑ドイッが国際. ト ︑利益共通契約ならびにその他の独占的あるいは制限的な協定を意味するものであって︑政治的あるいは経済的な攻撃の手段. これらの目的を達成するために︑ドイッ経済を再編成し︑経済力の集中1それはとくに︑カルテル︑シンジケート︑トラス. 健全で民主的なドイッ経済の構造的基盤を創出する︒. ドイッの再建措置が︑平和的かつ民主的な目的で行なわれることを保障する︒. ドイッの 経 済 上 の 戦 争 遂 行 能 力 を 破 壊 す る ︒. ドイッが隣国の安全をおびやかし︑再び国際平和をおびやかすことを防止する︒. W X皿 X豆鼠ーラ (.

(7) ︵9︶. 刑罰︵第一一条および第一二条︶︑本法の効力発生の期日︵第一三条︶が規定されている︒なお別に本法の施行規則が定 められている︒. 以上のような内容をもつ軍政府法第5 6/78号の法的性格が︑どのようなものであるかをめぐって見解は対立する︒ ︵10︶. すなわち肯定的見解は︑﹁経済力の過度の集中の排除は︑ドイッの経済構造および政治的制度を民主化するためのア. メリカの政策の鍵となる要素である︒﹂と主張する︒これに対し否定的見解は︑それが﹁軍政府の関与した︑敗戦国 ︵11︶ の国内間題に関する最も痛烈な干渉である︒﹂ことを指摘する︒この後者の見解は︑その根拠を主としてコンツェル. 6/78号は︑その前文で︑ポツダム協定第一二条に ンの解体措置の峻厳さにおくものである︒ところで︑軍政府法第5. 基づいて︑カルテルの禁止とコンツェルンの解体とによってドイッの経済力と国際競争力を制限し︑国際平和と民主. 主義を守ること︵前交1︑丑︑皿︶︑すなわち軍備能力の破壊と平時の生産能力の制限を目的として規定しているが︑こ. れとともに︑健全で民主的なドイッ経済構造の創出︵前文N︶︑すなわちドイッの経済秩序をアメリカ反トラスト政策. の原理 自由競争の原則で再組織することもあわせて規定している︒このことから言えば︑本法の性格は︑単に否定 ︵12︶. 的見解の説くように懲罰的なものではなく︑むしろドイッ経済組織の民主的再建という積極的性格をそのうちに含ん. でいたものといえよう︒本法の性格については︑その規定を個別的に検討しまたその運用の実際をみたうえで︑あら. ためて考えてみる必要があると思われる︒それで以下︑カルテルの禁止とコンツェルンの解体とにわけて整理・検討 してゆくこととする︒. 二〇七. ︵1︶ 国務省案および国防省案の立案作業については︑戸原四郎﹁西ドイッにおける戦後改革﹂東大社研編﹃戦後改革2国際環. 戦後西ドイッにおける過度経済力集中排除政策と法.

(8) 戦後西ドイッにおける過度経済力集中排除政策と法. お誘ω・. 二〇八. 総\まq・により引用︒このような経済力の. 閃言ヨ℃犀曽曽昌巴o竃舞罧零一旨8ぽ鋒ゴ譲算零げ鉱房8犀凶犀Nミ凶8冨昌. 一80ω︒一零1一8︒参照︒. モーゲソソー構想とその後の経緯については︑. 境﹄一九七四年︑九三ー九七頁参照︒ ︵2︶. ︼W冒目・帥・ρρψ一爵ーSOR戸原前掲書一〇四−一〇六頁︒. 200一凶 ぴ 震 巴 齢 日 5 仁 5 α O 包 o 一 ま R 巴 虜 ヨ 島. ︵3︶. 田器O賊β昌9£自昌ひq. 集中排除措置の必要性については︑すでに︑一九四四年九月に︑アメリカ上院キルゴール委員会に対して︑司法省反トラス. ︵4︶ ピ魯三〇FU8ミ9昌o名Rぴ害80日ぎ犀β躍. ト部長が提出した﹁安定化計画﹂第三項で指摘されていた︒すなわち次のようなものである︒﹁③我々は︑ドイッにおける. 諸企業結合を解体しなければならない︒これら結合のヨー・ッパの会社に対する行動ならびに参加は中止されなければなら. ソ連は︑自国経済の復興のため︑賠償としてドイッに残存していた工場施設の徹底的な撤去を行ない︑また占領地域での. ピ魯旨oダ鋭鐸ρψ&9により引用︒. ない︒ドイッ国内においても︑強力な独占としてこれらの結合が存続することは許されない︒﹂ ︵5︶. 社会変革−私有財産制の否定と計画経済の建設1を敢行することをその政策の中心としていた︒これに対して西側三国. ︵6︶. は程度の差はあったとしても︑ドイッを資本主義制度のもとで復興させることで基本的合意が成立しており︑その政策も経. 北バーデソ︑ブレーメソであり︑イギリス占領地域は︑シュレスヴィヒ. 地方自治という考えにもとづいて︑一九四五年五. プファルツ︑. ホルシュタイン︑二ーダー. 米英仏の占領地域は一九四五年二月のヤルタ協定で画定された︒すなわちアメリカ占領地域は︑バイエルン︑ヘッセン︑. 済力の集中排除を中心とするものであった︒ ︵7︶. 北ヴュルテソペルク. 南バーデンである︒アメリカ占領地域では民主化. ザクセン︑ノルトライソ ヴュストファーレソ︑ハンブルクである︒またフラソス占領地域は︑ライソラソト. 南ヴュルテソペルク. 月に州政府が樹立され︑この政府への権限移譲が試みられており︑また一九四七年一月一日からは︑米英統合経済地区が発 足し︑経済行政理事会がミンデンに設置された︒. ︵8︶露暮げ9F浮ヨ良︒幕乙窪§ぽ昌08欝8鐙£8≦聾び︒葦彦冨零耳ぎざ躍β≦仁≦ま一9霧占陣フ.

(9) ラソス法 の 原 文 は 閃 切 お 鼻 刈 ω ・ N O S. ≦乞o●脇即勾o磯q冨該o昌20﹂u↓ゲoUo℃. 旨Bo客ohω鼠富ぴ三一9ぎ<o一●図<一Zρ. 軍政府 法 第 5 8号の原文はピ魯三〇F>昌げきαq〆鉾鋭ρψ9ω融・による︒英文については次のものによる︒ d三岳O 6/7. 望讐oのNoロo︾昌儀い餌昌αω器ヨo昌ピ. ︵9︶. 鳶O.一罐刈℃︒倉ωー瞳S. 宰きぎ一4︾ヨoユ8昌℃o一陣身8昌8旨凶凝ORヨき竃880一凶oω一↓冨U①冨旨日o暮ohω9汁oび巨①菖口<o一し︻≦Zρ 匿ρ一逡刈℃︒O一〇〇●. ﹁アメリカの希望は︑自由と安寧の保障として︑また﹃計画経済﹄により経済的混乱をもたらすこととなる共産主義的独. ピ8︵gω鼠p鼠毛印注二一①い囲巨帥怠く①準08器一pO8后一aOR3岩ざ竃属︾い国ダ﹈●一震o︒p一〇8︒. ︵10︶. ︵11︶. カルテルの禁止. カルテ ル の 禁 止 規 定 の 概 要. 三. 国馨竃自hρ≦凶濤の9鋒80箆講βp磯目づαω$暮くoほ器ωβづ堕一〇拐ω・一〇︒刈.︶. のような考えの背景には反トラスト思想があった︒﹂︵O儲暮ぽき国 900色ω菖鵬窪O歪昌亀甜9α3ω罐8き昌件oロ匂8冨亭. 裁への予防として︑自由な﹃事業者経済﹄︵d暮震器びヨ震宅凶旨8富砕︶を樹立することであった︒﹂︵切一qβ鉾鉾9ψoo︶﹁こ. ︵12︶. 顧. 8号第一条は経済力の過度集中を包括的に禁止する︒ 軍政府法第5 6/7. 第一条﹁ドイッ経済力の過度の集中は︑ドイッの国内と国外とのいかんを問わず︑またその形態ならびに性格を顧慮することも に規定される場合を除いて排除される︒﹂. 二〇九. なく︑それが︑全部または部分的に軍政府の管轄下にある限り︑禁止される︒その活動は不法と宣告され︑第六条︵適用除外︶. 戦後西ドイッにおける過度経済力集中排除政策と法.

(10) 戦後西ドイッにおける過度経済力集中排除政策と法. 二一〇. 同法第二条から第四条までに﹁経済力の過度の集中﹂とみなされる場合が規定されているが︑カルテルと関連する のは第二条である︒すなわち次のような規定である︒. 第二条﹁カルテル︑利益共同体︑シンジケート︑トラスト︑全ての結合および協定のこのような形態あるいは個人の共同事業で. あって︑その目的あるいは効果が国内外の取引および他の経済活動の制限︑独占的支配の促進あるいは国内外市場への参入の制. コンツェルンの解体の両者が含まれるが︑ここでは前者に限って検. 限となるものは︑経済力の過度集中であって本法の適用を受ける︒﹂. この第二条には︑① カルテルの禁止と︑② 討することとする︒. 第五条﹁軍政府の管轄下にあるドイッ人が︑カルテル︑結合︑事業等︑その目的もしくは効果が国際取引あるいは経済的活動の. ︵1︶ 8号第五条がある︒ なおこのほかに︑カルテルに関する規定には︑国際カルテルヘのドイッの参加の禁止を定めた軍政府法第56/7. 制限となる活動もしくは関係に︑直接たると間接的たるとを問わず︑参加することは︑本条にょり違法と宣告され禁止される︒. 但し︑本条は︑このような目的もしくは効果をもたない日用品の販売契約および購入販売会社を禁止するものと解釈されてはな. 6号第五条はこれと異なり︑い 次に︑米英軍政府法第56/7 8号は︑以上のように詳細な規定を設けているが︑仏軍政府条例第9. らない︒﹂. ︵2︶. かなる制限もしくは規約によろうとも競争を抑圧する目的でする独立の事業者間の経済的合意︵協定︶は︑軍政府長官の﹁審査﹂. 個別的な審査にょり︑それが経済力の濫用にわたる場合にカルテルの禁止をするという濫用防止法制にょるものである︒けれど. 8号のように︑カルテルの一般的禁止を定めたものではなく︑ に屈させられることを規定する︒この規定は︑米英軍政府法第5 6/7. も︑一九四九年九月に︑米英仏の執行官庁が統合されたことを契機として︑この規定の解釈は変更された︒すなわち︑全てのカ. ルテル的結合は︑それが合法的であるか否かのための事前審査を受けることが必要とされるとともに︑執行官庁の同意を用する ︵2︶ こととなり︑これにより︑適用除外の場合を除いては︑一般的にカルテルを禁止する禁止法制へと移行したのである︒.

(11) 軍政府法第56/78号第二条は︑カルテルに関して︑全体として市場における競争の制限を目的とする結合︑合意お. よびそのための手段の一般的禁止を定めたものであって︑契約およびそれに基づいた指示等にとどまらず︑あらゆる. 種類の紳士協定をも禁止したものと考えられる︒この第二条により禁止される競争制限の概念については︑第九条c. 項の一号から七号に定義されている︒この定義規定によると︑競争制限の概念は︑価格︑支払および取引条件に関す ︵4︶ る競争制限と︑その他の競争制限に類別することができるので︑以下それに従って整理をしてみることとする︒第九 条c項一号は︑競争制限となる場合を次のように定義する︒. 第九条c項一号﹁あらゆる種類の生産物および物資の売買に際して価格もしくは支払条件あるいはその他の条件を決定するこ と︐﹂. ω 水平的価格拘束. この定義規定により︑禁止されるのは︑まず契約もしくはその他の合意による価格協定および価格決定である︒と. くに水平的な価格およびリベートの拘束は違法である︒例えば︑事業者連盟が︑価格リストおよび価格割引率をその ︵5︶. 構成員のために決定したり︑事業者が相互にそれを了解しあうことは禁止される︒この禁止された協定や決定に基づ ︵6︶. いて締結された第三者との契約は無効とされない︒なお︑政府機関による法律に基づく価格の規制は本号に違反しな. いが︑政府機関も人に含まれる︵第九条a項︶ので︑カルテル的な価格協定に参加する場合は本号違反となる︒また事. 業者連盟がその構成員に対して行なう﹁標準価格の勧奨︵国日冨︒巨ロ轟く8困9ε邑の窪︶﹂は︑通常それが価格決定と. 二一一. 同様の効果を持つので禁止される︒さらに︑購入カルテル︵田昌ぎ鼠器ぼa窪︶︵商品の購入に際して一定価格を超えた額で 戦後西ドイッにおける過度経済力集中排除政策と法.

(12) 戦後西ドイッにおける過度経済力集中排除政策と法. 垂直的価格 拘 束. は購入しないことの決定︶や入札協定︵ω昌巨段8器ぼ亀9︶も禁止される︒. ③. 一二二. 本号により︑垂直的価格拘束が禁止されているとみるべきか否かは間題となった︒伝統的なドイッ法の理解に従え. ば︑垂直的協定は︑それが水平的協定と結びついているとき︵売手グループが︑その顧客を一様の拘束のもとにおく場合な. ど︶にのみ違法な拘束とみなされているにすぎず︑個々の事業者が︑商品または役務について︑自己の顧客と競争制. 限をもたらすような契約︵再販売価格維持契約︶を締結しても︑それはなんらカルテルとはみなされていなかった︒そ ︵7︶. れで︑ドイッ側は︑当初︑本号が水平的協定の禁止にのみ向けられていると受けとっていたのに対し︑アメリカ側か. ら︑この垂直的協定も競争制限協定となることが通知されまた強調された︒これは︑第二条が︑﹁協定の全ての形態﹂. 取引条件の決定と勧奨. を禁止していることから当然のことであった︒. ③. 本号により︑競争制限的な支払条件および引渡条件に関する銀行間︑運輸業者間︑生産者間および販売業者間の水. 平的協調︵販売︑引渡または手形割引を含む支払条件を統一的に採用することを目的とする協定U条件カルテル︶も禁止される︒. ただし︑競争と関係のない実務上の取決めはこの限りではない︒また事業者連盟による標準的取引条件の勧奨も許さ れる︒. 次に︑以上にみてきたもの以外の競争制限の形態を列挙する︒. ω排他契約.

(13) ︵8︶. ︵9︶. 第九条c項二号により︑市場もしくは営業活動領域から競争者を排除する水平的および垂直的な全ての排他契約お. 市場分割協定︑生産制限協定等. よび相互契約は禁止される︒. ②. 顧客割当てもしくは数量割当て︑およびそのためのカルテル︵市場分割協定︑数量割当てカルテル︶ならびにシンジケ. ートは禁止される︵第九条c項二号︶︒また︑流通業者の立地もしくは顧客に対する製品の割当て︑およびそのための. カルテルも禁止される︵第九条c項三号︶︒さらに︑生産制限もしくは生産額の決定︑およびそのためのカルテルは禁. ボイコットおよび差別的取扱. 止される︵第九条c項五号︶︒. ③. 競争の排除もしくは阻害の目的をもって︑生産者︑流通業者︑顧客もしくはその他の人に対して︑ボイコットもし. くは差別的取扱をすることは禁止される︵第九条c項四号︶︒本号は︑第九条c項二号と広範にその規制対象が交差し. 特許もしく は 発 明 の 抑 圧. ている︒. ω. 特許されていると否とを問わず︑技術もしくは発明を抑圧することは禁止される︵第九条c項六号︶︒また︑特許あ. るいは他の排他的専用実施権の保護されるべき範囲を超えて制限を課することも禁止される︵第九条c項七号︶︒. 二ニニ. 以上が規制の概要である︒これらについての詳細な検討は︑ 判例・学説およびアメリカ反トラスト法ならびに競争 戦後西ドイッにおける過度経済力集中排除政策と法.

(14) 戦後西ドイッにおける過度経済力集中排除政策と法. 二一四. 制限禁止法案とその一九五七年制定法との関連で︑次稿以下で行う予定である︒ それで次に︑ カルテルの禁止を実施. 軍政府法第56/78号の執行機関とカルテル禁止手続. する官庁ならびにそのための手続について述べることとしたい︒. 二 ︵10︶. 8号第七条お 軍政府法で定められたカルテルの禁止を実施するために︑特別の執行機関が設置された︵軍政府法第56/7. よび第八条︶︒それは︑二国カルテル禁止委員会︵田冨三aU︒8幕壽畳89ヨ巨塗︒昌届目国O﹈・フラソス占領地区には. O︒B巨里8号U888曇翼一8号一.田8︒邑8≧一①導き8が設置された︶である︒これら米英の官庁とフラソスの官庁. は︑連合国管理委員会︵西側︶によって︑一九四九年九月に︑カルテル禁止ならびに産業の集中排除グループ︵U︒︒四.︐. 琶一N豊9帥巳冒2鋒芭u①858簿揖二89︒遇﹇目u国O﹈︶に統合され︑法の統一的執行官庁となった︒軍政府法の. 執行に関する全ての決定権はこのDIDEGが保持しており︑ドイッ側には補助機関が設置されたにすぎない︒すな. わちそれは︑州経済省内に設置されたカルテル課︵U畠翼亀尋⁝鴨.︒h㊦.即εであって︑事前審査と鑑定とを行ない︑. 証拠を発見し︑また審理も代行することによって︑DlDEGの決定に協力し︑その指示を実行し︑執行手続を実施. するなどの業務を行なうものである︒これに対して︑連邦経済省はなんらの直接的な管轄権をもたず︑個別的なヶー ハじロ. スについて助言︑指示および鑑定作業を行ない︑それを発表し︑また当事者間の和解のための調停を行うなどをする にすぎない︒.

(15) ︵12︶. 次に︑カルテル禁止手続は次のようなものである︒まず︑全ての法に低触するおそれのある事業者および事業者連 ︵13︶. 盟に対し︑一九四七年二月一二日︵軍政府法の発効日︶に自己が参加するカルテル協定とカルテル団体についてDlD. ︵14︶. EGに通告するように命じられた︒そして︑この通告にもとづいて審査が行なわれ︑法に違反しているという審査結. 果が出た場合には︑これらの事業者等に対して︑協定もしくは団体へ参加することの停止が命じられ︑また他の参加. 者に対しても﹁当事業者︹団体︺は︑活動もしくはその存立を禁止され︑法律的に無効であり︑軍政府法第56/78号. により閉鎖される︒﹂という通知を行う義務が課せられた︒ただし︑全ての事業者は︑右で通知を義務づけられたカ. ルテルおよび新たに結成しようとするカルテルに関して︑それが軍政府法の目的に反しておらず︑もしくはその法目. 的の促進に寄与するものであることを理由として︑カルテル禁止原則の適用除外を求めることがでぎた︵軍政府法第. 8号第六条︶︒以上の措置が終了したのちに︑DIDEGは︑適用除外となる場合を除いて︑法に違反するカルテ /7 56 ルに対して次のような行政手続および刑事手続で断固たる措置を取ることとなった︒. ω行政手続. DIDEGは︑禁止されているカルテル行為が行なわれていることを申立てもしくは職権により知りえたときには︑. 行政手続を開始する︒DIDEGは︑カルテル参加者にまず釈明の催告︵>象︒包R彗頒Nξ諺島①旨凝︶を送達する︒. 釈明の催告を受けた事業者︹団体︺は︑これに対して︑その行為が法に違反していない旨を事実と法の根拠を示して. 釈明しなければならない︒この審理手続においては︑立証責任は事業者︹団体︺側が負い︑必要であれば口頭による. 二一五. 審理︵B彗象9︒<魯富且一琶磯︶も行なわれる︒そしてこの審理の結果︑事業者︹団体︺の釈明に根拠がないと判断さ 戦後西ドイッにおける過度経済力集中排除政策と法.

(16) 戦後西ドイッにおける過度経済力集中排除政策と法. 一二六. れた場合には差止命令︵q三豊器ω琶鵯目︒巳窪躍︶が下される︒この差止命令には︑禁止されているカルテル行為の中. 止と︑所有権その他の権利の侵害を含む差止命令の目的を充足するのに必要な指示とが含まれる︒. ②刑事手続. 違法なカルテル行為に対しては︑右でみた差止命令のほかに刑罰も課せられうる︵軍政府法第56/78号第一一条および一. 二条︶︒すなわち︑軍政府法第56/78号の規定に違反し︑またそれにもとづく施行令︑指示︑命令︵釈明の催告および差. 止命令を含む︶に違反し︑もしくはそれらを回避する者は罰せられる︒この刑事手続を行なう管轄権はドイッの刑事裁. 判所にあるが︑DIDEGは︑請求により︑自己の刑事裁判所に事件を移送することができる︒刑事手続においては︑. ︵15︶. 立証責任はDIDEGが負う︒刑罰は︑一〇年までの禁鋼刑もしくは二〇万ドイッマルクまでの罰金またはその両方. 民事手続. の併科である︒. ③. 以上の行政手続︑刑事手続の他に︑民事手続がある︒すなわち︑差止命令もしくは刑罰を受ける競争制限行為によ. り損害をこうむった全ての事業者は︑損害を与えた者に対して民事上の損害賠償請求︵民法第八二三条︶をなしうる︒. これは民事法上の請求であるから︑ドイッ正式裁判所が管轄権を有する︒. 三 軍政府法第56/78号の運用の実態. ︵16︶ ︵ DIDEGによりカルテル禁止原則からの適用除外が認められるのはまれなことであった︒ 行政手続はたびたび開.

(17) 始され︑釈明催告が送達されて︑それに基づき審理は進められた︒口頭による審理も可能ではあったが︑初期には一. 般に認められることはなかった︒そして審理が終了すると︑DIDEGは︑法の適用はない旨を通知するか︑もしく. は差止命令を下すのであったが︑この差止命令の下されたケ:スは多くはなく︑一九五五年までに四件を数えるにと どまる︒すなわち次のものである︒ ①ドイッ合同製靴会社事件︵一〇舞一一﹄Sミ信≦\国≧一︒9一ω一朝︶●. ドイッ合同製靴会社は︑特許機械を他の製靴会社に賃貸するに際してつける条件︵他の機械の利用禁止︑販売先の制限その他. ≦.ロ≦.\団・≧一■ω●一㎝i嵩︶. 利用上の強制︶の排除を命じられた︒ ②ドイッ研摩剤連盟事件︵一〇罫bo.器. 連盟は︑価格︑支払条件その他販売上の拘束を行なうこと︵価格表の作成・回覧︑リベ;トや割引率その他の決定︑輸出カル テル︶を禁止された︒. ドイッ電機産業連盟事件︵這寧o︒﹂9譲営ミ\中>F9一〇︒i旨︶・. 連盟の電機設備専門部会と白熱灯部会は︑価格︑リベートおよび割引率について協定すること︑構成員に価格リストを回覧さ. ③. せ価格勧奨すること︑外国の事業者連盟と市場分割協定を締結すること等が禁止された︒. 連合会は︑紙袋の販売に関して市場統制のために行なった行為ーボイコット︑差別的取扱︑国際カルテル︑条件カルテル︑. ④ドイッ紙袋製造業連合会事件︵一〇q鋭一一﹄9≦=譲\甲>Fω●&ー畠︶・. 価格拘束︑顧客割当ーを禁止された︒. 以上が差止命令の下された事件であるが︑次に刑事事件についてみれば︑次の二件がみられる︒. 一二七. 連盟が︑価格や支払条件およびリベートの決定等を行なったことは︑経済力の過度集中であり違法である︒また競争制限の目. ①ドイッ研摩剤連盟事件︵一〇器鋳︶. 戦後西ドイッにおける過度経済力集中排除政策と法.

(18) 戦後西ドイッにおける過度経済力集中排除政策と法. ≦. ≦\国<O・ω﹂ー. ︶・. 二一八. 的で国際カルテルに参加したことも違法である︒これらの理由に基いて︑連盟およびその代表者に︑第四アメリカ地区裁判所 ︵184 は︑総額一四万ドイッマルクの罰金を課し︑五人の連盟代表者に十ヶ月の禁鋼を言渡した︒. 連盟は︑鶏の販売価格を他地域の養鶏家連盟と連絡のうえで決定したもので違法であるとして︑第五アメリカ地区裁判所によ. ②バイェルソ養鶏家連盟事件︵一〇㎝一﹂900. り︑一四万ドイッマルクの罰金を課せられた︒. ︵19︶. 次に︑民事手続について言及しておけば︑違法行為の差止めと損害賠償を求める訴えーとくにボイコットに関連 してーは︑しばしばドイッの裁判所に民法第八二三条等にもとづいて提起された︒. ︵20︶. 以上の法運用の実際からみれば︑一般的に言って︑DIDEGは︑その権限を︑その保持していた権限の大きさと. 比べて︑自制的に行使したと言うことができよう︒しかしカルテルは︑当然違法︵窟﹃紹三£&なものとして禁止さ. れ︑違反行為は︑すでにみたように︑くりかえし差止命令により排除され︑また刑罰により罰せられてきているので︑. これらによって︑カルテル禁止原則はドイッ経済にかなりの程度定着したものと考えられる︒. 四 カルテル禁止政策のその後の経緯. 一九四九年五月の憲法制定会議による基本法の制定と︑それにもとづく同年八月の国会議員選挙をへて︑同年九月. にドイッ連邦共和国が成立した︒このことに伴って︑従来の軍政府による直接統治の形式が変えられて︑新設の連合. 国高等弁務官府︵︾⁝a田讐oo目且量8︶による間接統治の体制がととのえられた︒これにより軍政府法第56/78/.

(19) 号の執行権限も高等弁務官府の所鯉するところとなった︒こののち︑一九五一年七月に対独戦争状態の終結が宣言. ⑥. 戸22︶. コンツェルン解体のための特別法は解体終了まで有効であること等. 戦後西ドイッにおける過度経済力集中排除政策と法. 二一九. 6号は︑議会により変更な 限り︑廃棄しまたは変更する権限を付与されるものであった︒従って軍政府法第5 6/78/9 ︵23︶ いし廃棄されるか︑もしくはドイッ法により取って換えられるまで有効とされるかのいずれかになるものであった︒. 連邦共和国は﹁基本法で確保された管轄権に従って﹂占領軍政府により発布された法令を︑条約に特段の定めのない. イッ条約へ移行するための条約第一部にある占領法の取扱いに関する一般規定によることとなった︒これによれば︑. 議定書では放棄されることとなり︑軍政府法第56/7 8/96号の取扱いは︑パリ議定書で削除も変更も受けなかったド. 変化等により︑ドイッは西側諸国の重要な構成員であるとの認識が深まったことなどの理由で︑この第二部は︑バリ. が定められており︑これは︑ドイッ議会で︑非常に不利な定めであると感じられていた︒しかしその後の国際情勢の. 府との合意により保持しうること︑さらに. 発効するまで︑軍政府法第5 6/78/96号およびその施行令は有効であり︑② DIDEGは︑その執行権限を連邦政. ところでフランス議会で批准されなかった︑ドイッ条約へ移行するための条約の第二部で︑① 競争制限禁止法が. 五日にドイッ条約は発効することとなり︑ドイッは占領状態を脱して主権を回復することとなった︒. に︑ドイッにおける占領体制の終結に関する議定書︵パリ議定書︶が結ばれた︒これにより︑ようやく一九五五年五月. いた欧州防衛共同体条約と組合されていたため︑フランス議会で批准されなかったので︑改めて︑一九五四年一〇月. で︑戦争と占領から生じた諸問題の解決がはかられることとなった︒しかしこの条約は︑ドイッも参加を予定されて. され︑一九五二年五月には︑ドイッ条約︵ドイツ連邦共和国と三国との関係に関する条約︶へ移行するための条約を結ん. 96.

(20) 戦後西ドイッにおける過度経済力集中排除政策と法. 二二〇. 6号は︑一九四八年の通貨改革まで︑カルテル禁止規定については︑物資の不足のた ところで軍政府法第56/78/9. めに統制が広範に行なわれていたので適用領域をもたず︑従って軍政府の活動はもっぽら解体惜置の分野に向けられ. ていた︒しかし通貨改革後︑統制は除々に解除されて︑ドイッ経済は市場経済に復帰しはじめたので︑カルテル禁止. 規定が有効に機能するようになってきた︒そして厳格な法運用が行なわれ︑カルテル禁止原則がドイッの経済社会に. 定着するに到ったことはすでに述べたとおりである︒このことは他方で︑ドイッ経済界からの強い反発をひきおこし. た︒そして︑経済界の保守的な勢力は︑軍政府法を廃棄してカルテルに保護を再び与え︑監督官庁の干渉を濫用の場. 合に限定しようとする伝統的な法制の導入に努力し始めたのである︒しかし連邦政府は︑濫用防止法制の欠陥を充分. ︵24︶. に知っており︑﹁禁止法制﹂を保持しようとしていたから︑カルテル禁止原則にもとづく競争制限禁止法が制定され. 6号を継続して有効なものとしておくことに決定したのである︒従って︑一九五五 るときまで︑軍政府法第5 6/78/9 ︵25︶. 年以降︑軍政府法第5 6/78/96号はドイッ法となり︑その執行は経済大臣により行なわれることとなった︒経済大臣 は厳格な法の執行を続けた︒. 国際カルテルヘのドイッ人の参加の禁止は︑一九四五年四月のアメリカ軍指令﹁対独政策要綱﹂︵岩ω一〇爲︶にも掲げら. 8号の前文および軍政府条例第9 6号第六条にも規定されている︒このように一貫して国際カ れており︑また軍政府法第56/7. ︵1︶. ルテルヘの参加を禁止している理由は︑﹁ドイッ企業とアメリカ企業との戦前の国際カルテルが米国政府の戦争準備を阻害. ω切一濾 刈 ω ● N O S. の理論﹄㈲︑一九七六年︑九〇七頁︶︒. したという苦い経験に基づく︒﹂と指摘されている︵小原喜雄﹁独占禁止法の場所的適用範囲﹂田中二郎先生古稀記念﹃公法. ︵2︶.

(21) ︵3︶. 以下の第九条c頂一号に関する整理は︑別に注のない限り︑主として国鐸ぴR輸鉾ρρψω認foo刈Oによる︒. =口ぴ9戸妻算ωo富津ω︿段類帥一昌凝段09戸ド>島躍①.切ユ國﹂O㎝ωψω零\ωo︒o︒.. 国昌震は︑以上の価格とリベートの拘束については︑連盟あるいは事業者の協定︑決定がそれ自体として無効な︵且o算蒔︶. ︵4︶ ︵5︶. のであって︑それに基づいて締結された﹁第三者との契約﹂が無効なのではない︑と言う︒問冒旨oは次のように言う︒禁. て︑その市場価格で合意し︑もしくは支払をなした第三者は︑損害賠償請求をなしえない︒これに反して︑当該価格協定に. 止された価格協定により市場価格が形成されている場合には︑その市場価格に基づいてなした第三者との契約は有効であっ. より市場価格が形成されていない場合には︑その価格協定に基づいてなした第三者との契約に関して︑その第三者は︑民法. 第八二三条に基づく損害賠償請求をなしうる︵固qBρ≦・・<震げ08まギ9器富鷺8げo自盆固震oぞR葺譜妻β≦一〇3. 第九条a項﹁本法において﹃人﹄とは公法もしくは私法のもとにある自然人および法人を意味するものであって︑団体︑. ω︒&O︶ ︒. 会社および政府機関を含む︒﹂. ︵6︶. この垂直的協定の違法性について︑イギリスは︑この協定は法的に許されるのみでなく経済の正常な運営に欠くべからざ. る要素であると考えていたが︑法解釈上は許されないと解していた︒またフランスは︑生産者がフラソス占領地域内におり︑. ︵7︶. 8号の規定に服すると了解していた︒ 顧客が米英占領地域内にいる場合には︑軍政府法第56/7. 第九条c項2号﹁一定の市場もしくは営業活動領域から人を排除し︑顧客を割り当て︑もしくは売買価格を決定すること︒. ただしその合意が︑競争の制限を目的としていず︑その生産物に関する特定の事業者とその販売者との間で︑善良の風俗に. ︵8︶. 排他契約とは︑事業者が︑自已の所属する事業者連盟に加盟していない他の事業者と取引をしない契約であり︑相互契約. 従って締結されたものである場合はこの限りではない︒﹂ ︵9︶. とは︑二以上の事業者が︑排他的に相互間でのみ営業活動を行うものである︒これは︑とくに独占的地位にある事業者が︑. 二二一. 8号第七条﹁軍政府により本法の執行をゆだねられた官庁は︑本法により禁止される事業もしくは事業活 軍政府法第56/7. その取引の相手方に契約上排他的取引を強制する場合にみられる︒ ︵10︶. 戦後西ドイツにおける過度経済力集中排除政策と法.

(22) 戦後西ドイッにおける過度経済力集中排除政策と法. 二二二. ラスト︑利益共同体およびその他の独占的もしくは制限的な性質をもつ組織によって引き受けられた義務の廃棄を含む︑本. 動の排除に関連して︑社団の解散︑財産・投資およびその他の資産の再配分および移転︑またカルテル︑シンジケート︑ト. 名露譲一〇q刈ω.. 区m旨o=窪まω§騎仁注民8Noヨ睾注8ザε躍ぎαR矩8区09の魯8毛算ωo訂津ωo詳一漣ρ. 一〇 〇および頃仁びoび鉾鉾O●ψω刈紳ピoげ昌一〇F鉾鉾O︒ψ蔽OP. ω8F= ︒ 仁 区 区 o ﹃ ω o F =. の権限に基づいて︑本法の実施と適用のために必要と考えられる命令を発することができる︒﹂. 8号第八条﹁第七条における官庁は︑相当なトイッ政府官庁にその権限を譲渡することができる︒またそ 軍政府法第56/7. もつ︵以下略︶︒﹂. 法の目的実現に適当と考えられる措置を取らなければならず︑また本法の目的の実施に必要である限りで︑以下の権限を. ︵n︶. この場合の通知には︑会社の資産の状況︑当該協定に一九三八年一月以降に参加したものであることの証明︑会社の株主. ︒\合O℃国呂05 ωo臭仁︒囚oおoFPpO.ω■癖一〇. ︒鱒い魯巳oF騨ρρω●&9 卜ρω.ωo︒Oーωo. ︵3 1︶. ︵12︶. 一般的見解に従えば︑軍政府法第56/78号は︑民法第八二三条第二項の意味における﹁他人の保護を目的とする法律﹂で. もしくは本法の適用を免れるものであるかを︑通知しなければならない︵施行規則昌︵ゆ︶︶︒. DIDEGは︑受け取った報告を委細にわたり検討して︑各事業者に対して︑その参加が法に違反しており無効であるか. 名とその住所ならびに持株数︑最新の貸借対照表︑および従業員数等が添付されなければならない︵施行規則<︶︒ ︵4 1︶. ︵15︶. 8号は︑﹁一般的性格の経済制度法 o︶︒軍政府法第56/7 ある︵言βo一一R・国 90U魯貰帯≡忽o旨口暢oq80言Pωω一逡刈9一ωo. でない︒なぜなら︑﹁制度法﹂も保護法の性格を︑それが︑公共の利益の他に︑個々人の保護をもあわせ認めるものである. ︵≦凶旨ω3鋒富拐躁器誓づoqω磯窃9器︶﹂であるからそれから個々人の請求権を導びき出すことはできない︑という反対は有効. ラジオおよびテレビの生産. この適用除外の認められたケースを列挙する︒①特許権の実施許諾契約における価格と販売地域の拘束の認可︵一〇貴. 場合には持ちうるのであって︑本法の場合にこのことは明白だからである︵=G冨び斜斜ρψω8︶︒ ︵16︶. 技術の新発明の保護期間に関する協定の認可︵一〇㎝G︒.も︒・ω一ゑ但≦\国≧一●ω︒島︶③綱の輸出カルテルの認可︵一〇舞. oミ器・以下≦犀ミ\国・>Fとして引用︶② 癖・8≦仁妻自暮ω30箆仁昌αQの器ヨ日ピ昌の︾Fgo.

(23) o︒. ⑤. 製粉業者の危機カルテルの認可︵一〇脇●=︒P≦犀≦這緕ω■おq︶ ⑥チーズの輸出カ. ﹂O譲仁譲\国・︾Fψ置\瀕︶④石けん製造業者のカルテルの認可︵一3斜・o︒﹂ρ≦β≦\鼻≧一・幹㎝一−器︶︹以上D IDEGの認可によるもの︺. ルテルの認可︵一〇墨餅虞・譲仁妻這鴇ψ島㌣麻NO︶⑦アルミニウム箔の輸出カルテルの認可︵一〇3・P§≦β≦. ︵17︶. ωoげ巧震言 閏4︾昌二賃霧貯い①ひq一ω一帥ユo昌帥ロ傷︸o犀qぎORヨ. U器く段富日8鴨αq窪象①ωo包o罵B禅け︒一ぎ身ω三〇︵譲oω日8窪︶︸匹W一〇㎝Oo D﹄&\Oミ・. ωo畠F国oおoF曽●帥b.ω︒酷O\合ρ. 限禁止法︵一九五七年︶でも認められることとなったものである︒. 一〇㎝Oω︒お﹃︶︒これらの認可されたケースは︑危機カルテル︑合理化カルテルおよび輸出カルテル等であって︑後の競争制. ︵18︶. 昌図・>Ooヨ℃貰暮凶<oωεqざ℃o旨pピ︒国︒<o一﹂09一〇鴇℃●鐘q●. ︵19︶. 8号︶に違反し︑ 民法第八二三条第二項は︑故意過失によって他人の保護を目的とする法律︵この場合は軍政府法第56/7. これによって他人に損害を加えた者も賠償責任を負うことを規定する︒なお注⑮を参照︒民法第八二三条第二項の他に︑民. ︵20︶. 国餌旨o=o冒山段︼Wロ注8﹃8昌一一貫︾昌薯o旨8ωω仁呂8&味けωo富粋ω昌三曾oおき協α一Φ霞o冒o>蔑醤鴨ミ一くo昌. ωoo犀F因o誘oF鉾鐸O●ω︒合O︒. 法第ニニ八条および第八二六条さらには不正競争防止法第一条に基づいてこれらの訴は提起された︒. ︵21︶. 8/96号は︑当時議会で審議中の競争制限禁止法案よりも厳格な規定を持 い魯三〇F鉾鉾9ψ鳶qーミO︒軍政府法第56/7. O一9ωω ︾⁝q固ざ暮ω3︒﹃ ミ 毛①一け①茜Φ一εおq8Uoざ旨o⁝R琶ひQ巽oo辟9≦ロ≦一〇緕ω.認ρ. 切〇三ω07名①旨①ン90犀鋤旨o一マo島菖一〇ぽピ謂Φ昌mo﹃αoヨ℃餌ユω震︸88犀o一一︸≦仁≦一〇鯉ω︒刈ooO\﹃o o S. ω仁昌ユoω9σqωぎひq8益pgoP≦β≦一〇㎝Oω︒①①㎝ーO①﹃●ωoげ毛霞尽一〇唱●9け.b︒900・. ︵23︶. ︵22︶. ︵24︶. っておりまた執行官庁の権限も強大であったから︑ドイッ連邦法となる以上は当然基本法との適合性が問題とされることと. なった︒そこで間題とされたことは︑カルテル契約の原則的禁止が︑自由な人格の発展の権利に基づく契約自由の原則と低. 二二三. 用が中止されていたーという点︑さらには︑コンツェルンの解体規定の合憲性等の諸間題であった︵O一①一ωω鐸罰冨昌零冨5. 触しないかという点︑特に垂直的価格拘束の禁止が基本法に違反しないかーもっともこれについては︑一九五二年以降適. 戦後西ドイッにおける過度経済力集中排除政策と法.

(24) 戦後西ドイッにおける過度経済力集中排除政策と法 .鋭O●ω●認Olαω一︶︒. 二二四. 造者に対する件︹再販売価格維持制度の廃棄︺︵一〇q9ド罫譲β譲這3ω﹄8︶②更紗製造者連盟に対する件︹価格. o・経済大臣により︑一九五五年以降下された差止命令には︑次のものがある︒①フィルム製 ︵25︶ω9胡帥濤即8︒o霊戸罐o. ⑤. 西ドイッ建築資材販売業者連盟に対する件︹価格カルテルの破棄︺︵一〇蜜・9Sミ蔭名這9ρ㎝潟\㎝漣︶︒. ︒≦償≦這9ψω鵠\ω器︶④螢光燈製造者に対する件︹競争制限的な競争規約の廃棄︺︵一〇㎝O﹂・㎝・白蔭ミ這器ω﹄脇\. カルテルの破棄︺︵一〇q①る・9≦g≦這3ψミω︶③乳業振興基金に対する件︹牛乳の取引価格の決定破棄︺︵一〇㎝9劇・. ω㎝①︶. 四 コンッェルンの解体 ラ 葡 軍政府法第56/78号にもとづくコンツェルソの解体. ポツダム協定第一二条およびこれに基づく軍政府法第56/78号の前文で︑カルテルの禁止のみならずトラスト︵. 戦争遂行能力を制限することにより︑ドイツが再び国際平和に対する脅威となるこ. コソツェルン︶の解体によりドイッ経済を﹁非集中化する﹂ことが定められている︒これは︑コンツェルンに基づい. て発展してきたドイッの生産力. とを防止しようとするものであった︒従ってコンツェルンは︑それが﹁経済力の過度集中﹂に該当する限り解体され なければならなかった︒. るが︑このコンツェルンがドイッで最初に形成されたのは︑一八八六年にまでさかのぽる︵この年に︑最初のドィッにおける持. コンツェルソにおいては︑結合企業の独立性が制限を受けているかもしくは独立性を失っている点で︑カルテルとは相違してい. 株会社の設立がみられた︶︒しかし︑コソツェルソは︑カルテル組織のめざましい発展の影にかくれて当初はめだたなかったが︑. 今世紀に入ると︑大規模なコンツェルンの形成が活発となってきた︒コンツェルソは︑石炭︑鉄鋼︑重機械などの重工業分野で.

(25) 主として形成され︑ライソ・ルール地方および上部シレジア地方を支配した︒やがて巨大企業の成長や合併等にょりコンツェル. コソツェルソにとっても重要な意味を持った︒すなわち戦争経済にょり︑コソツェルソは︑軍備の増強に奉仕することにょりさ. ンは化学︑電機︑軽金属のちには繊維などの産業にまで広まっていった︒第一次世界大戦は︑カルテル組織を助長したように︑. ・レーヌ地方とシレジア地方で失った資産の求償のために企業合同を行なったこと︑さらにはそのような企業集中は社会主義へ. らに成長したし︑また戦後は︑インフレーショソによって立ち行かなくなった中小企業の財産がコンツェルンに集中したことや︑. の道であるとして社会主義経済理論からも容認されたこと︑またコンツェルン内部の合理化努力等にょり︑一層発展をとげるこ. ととなった︒一九三〇年代になると︑世界的な経済恐慌の影響で一連の巨大コンツェルンが行きづまりをみせることとなったた. めに︑コンツェルン組織を法的に規制する必要が生じ︑これは︑一九三七年の株式法にょる規制で一部実現された︒しかし株式. 法にょる規制は︑コンツェルンにおける経済力の集中自体を規制するものではなく︵一九二三年の経済力濫用防止令も︑コンツ. ェルンに対して︑カルテルに対するのとは反対に︑最初から倣とんどなにも規制をしてこなかった︶︑むしろ︑コンツェルソの行 動は民法第二二八条と第八二六条による﹁善良の風俗﹂に反するものではないことが帝国裁判所の判決で認められさえしていた. 独占的大. えば︑一九一三年に独立の石炭鉱山は五割を超えていたが︑一九四〇年には九割がコンツェルンの支配下にあった︶︑戦争遂行. のである︒こののち︑一九三九年以降の動員経済とそれに続く国家社会主義経済において︑コンツェルソは一層の発展をとげ︵例 ︵1︶ に徹底的に奉仕したのである︒. 軍政府法第56/78号は︑コンツェルン的な企業集中のみならず﹁経済力の過度集中﹂となる個別企業︵ ︵2︶. 企業︶にも適用されるものであるが︑一般的に︑これら独占的大企業もコンツェルン的連関のうちにあると考えられ ︵3︶. 二二五. るので︑以下では︑コンツェルン解体規定の一部として取り扱うこととする︒従ってコンツェルン解体関係の規定は 次のとおりである︒ 第二条﹁⁝⁝トラスト⁝⁝は︑経済力の過度集中であって本法の適用を受ける︒﹂. 戦後西ドイッにおける過度経済力集中排除政策と法.

(26) 戦後西ドイッにおける過度経済力集中排除政策と法. 二二六. 第三条﹁アメリカ占領地域あるいはブレーメン州に所在し︑本法の発効日あるいはそののちに︑直接であると間接であるとをと. わず︑ドイッ国内において一万人以上の従業員を雇傭する全ての事業者は︑その存続が軍政府により許可されない限り本法の規. 度集中であるとして明白に示される場合には︑一応︵寝冒即富90︶︑経済力の過度集中として審理に服させられ︑本法の規定に. 定に従って経済力の過度集中として処置されるとの条件に従って︑軍政府またはそれにより指示を受けた官庁により経済力の過. 従って処置される︒﹂. 第四条﹁第二条および第三条で呈示された概念に該当せずとも︑その性格もしくは行為形態が疑わしい事業者あるいは活動を経. 済力の過度集中であると決定するために必要な一般的もしくは特別の基準を設定することは︑軍政府により設立せられたる官庁. ドイッの全生産量︑あるいは当該事業者が従事している経済活動のうちにしめる当該事業者により生産もしくは支配されて. の義務である︒そのような設定に際しては︑次の諸点が顧慮されるべきである︒ いる部分の割合. ω. 当該事業者の現有資産の価値とその売上高 2 ︵ 3 直接であると間接であるとを問わず︑当該事業者により雇傭されている従業員の数. ︵ 当該事業者の生産品の種類とその活動の性質 @ 句 契約︑合意︑結合︑営業取引︑もしくは制限的あるいは独占的性質をもった次のような協定もしくは結びつきに対する当該 ︵. は流通の制限︑ 価格の決定︑営業もしくは販売の地域の分割に関して優越的立場を獲得することを目的とするものや︑あるいは. 事業者の参加の方法と程度︒ この協定もしくは結びつきとは︑第二条で掲げられているか︑もしくは原材料の売買︑生産もしく. コンツェルンは︑カルテルの場合とは異なり︑当然違法となるような禁止措置によっては解体されえな. ⑥ 同種もしくは異種の事業あるいは活動の集中︑または一定の生産段階の統合﹂. 圏特許もしくは技術情報に関してその排他的交換をめざすものを意味する︒. ところで︑. いであろう︒ なぜなら︑コンツェルンの要件をみたすような複雑な株式法上および事実上の関連を︑単に一般的な解.

(27) 体規定によって自動的に解体することは事実上不可能だからである︒従って︑具体的・個別的なケースにおいて︑そ. れが過度の経済力の集中にあたるか否か︑また解体を具体的に行うためにはいかなる手段を取ることが適当であるか. を決定するための特別の手続がさらに必要とされる︒このために制定されたのが︑軍政府法第5 6/78号の施行令第一. 号︵︾場h爵﹃巷鵯く震自身巨鵬Z5一弘漣刈﹄・旨︶である︒次にこの施行令に規定されている解体手続をみてゆくことと. DIDEGによる﹁暫定的決定︵<o轟急鴨田§ぎ箆琶騎︶﹂. する︒. ω. DIDEGは︑事業者から提出された書類を審査し︑特定の事業者︹グループ︺が経済力の過度集中に該当する可. 能性のあるときにこの暫定的決定を下す︒この決定を下すにあたっては︑当該事業者の提出した報告書および決定を. ﹁決定と命令﹂︵穿§富こ彗伊q§α︾毫︒冨⁝閃︶. 下すのに必要な他のより広範囲にわたる事情とが顧慮されなければならない︒ ②. DIDEGが解体を必要と認めた場合は︑﹁決定と命令﹂を下して手続を進める︒この決定と命令には︑①当該. 軍政府法第5 6/78号の法目的を充足するのにいかなる措置が適当であるかを述べる﹁解体措. 事業者︹グループ︺が過度の集中に該当することを確定する﹁過度集中であることの決定﹂︑②そのための﹁基礎と なる事実の確定﹂︑③. 二二七. 置の提出﹂︑④ 当該事業者︹グループ︺が法目的を充足するために取るべき措置を自ら提出するよう命じてもらう. ﹁最終的な決定と命令﹂︵窪凝葬一鴨穿§ぽ箆§晦⁝q>ぎ益慧彪︶. ﹁措置の提出を求める命令﹂が含まれる︒ ③. 戦後西ドイッにおける過度経済力集中排除政策と法.

(28) 戦後西ドイツにおける過度経済力集中排除政策と法. 二二八. 当該事業者︹グループ︺は︑右の﹁決定と命令﹂に関して︑三〇日を限って︑DIDEGに対し﹁異議の申立て﹂. をすることができる︒DIDEGは︑この申立を考慮した上で︑﹁最終的な決定と命令﹂を下す︒これに対しては︑. 一四日以内に︑解体事項を管轄する控訴裁判所に対し﹁控訴﹂を提起することができる︒これに対しては︑﹁控訴裁. 判所の判決﹂により︑DIDEGの﹁最終的な決定と命令﹂が有効と宣せられるか︑もしくは破棄される︒破棄判決. が下された場合に︑DlDEGは新たな﹁決定と命令﹂を下すか︑もしくはもとの﹁最終的な決定と命令﹂を変更す. る︒有効と宣言された場合には命令が執行されることになる︒この場合に取られる解体措置には実際上いかなるもの. 会社の. が含まれるかについては施行令にも定めがないが︑この解体措置には︑会社法︑契約法および所有権法に対する重大. 経営権の一部譲渡などの措置等である︒. な侵害を含む︑軍政府法の目的に反しない限りでのあらゆる措置が含まれるものと解される︒すなわち︑① ハ ヴ. 解散︑②会社の分離設立︑③資本持分の譲渡︑@. o言仲霞翼︶のケースのみであ 男o冨旨国890ヨげ鍔o. 以上のコンツェルンの一般的解体手続を最後まで経過して解体措置が取られたのは︑自動車電装の分野における企. ︵5︾. 業体であるボッシュ・コンツェルン︵ω︒習ギ図8器ヨ馴象︒固﹃ヨ. る︒本件は︑一九四八年三月から約四年間の長きにわたって紛糾した結果︑結着をみたものであって︑次のような内. 容の事案である︒ボッシュは︑すでに︑DIDEGの命令に従って︑一五の工場を解散し︑二つの子会社を解体し︑. さらに㈱ヴェストファーレン金属工業に対する四ニパーセントの保有株式を譲渡するなどにより︑明確な解体措置を. 講じていた︒しかしDIDEGは︑ボッシュに対してより一層の解体措置を講ずるよう命令したので︑ボッシュはこ. れに対して裁判所に﹁控訴﹂した︒そしてこの訴訟手続中に︑ボッシュとDIDEGとの間に和解が成立した︒この.

(29) 和解は︑ポッシュが保有する㈱ノリス社と㈱アドラ!工業の株式を適当な価格で第三者に譲渡すること︑ボッシュの. 自動車電装の分野で保有している特許を一部は有償で他の一部は無償で競争事業者に供与すること等を内容とするも. のであった︒この和解によりボッシュは控訴を取り下げたので︑ボッシュに対する解体手続はこれで終了した︒この. ボッシュ・コンツェルンの解体は︑業績競争により成長してきたドイッ企業に対するDIDEGの過度の干渉を示す ︵6︶ ものとして批判されている︒. 二 特別法にもとづくコンツェルンの解体. ②. 軍政府の支配下におかれている巨. 軍政府法第56/78号の施行令第一号第二条は︑同法第六条をうけて︑同法の適用を免れる産業を具体的に規定して. いる︒すなわちそれらは︑ω 国有鉄道︑国有郵便事業︑公益事業︑および. 大企業︵コンツェルン︶である︒ここでは︑この②のコンツェルンの解体措置を検討する︒これらコンツェルンはそ. 巨大銀行︑ω 映画産業である︒次に︑これら産業に対する解体. 石. の経済的・政治的意義ードイッ軍国主義への奉仕1のゆえに︑軍政府法第56/78号から適用除外され︑特別法に. IG染料︶︑③. ょる解体手続にゆだねられたものと考えられる︒この特別手続︵特別法︶により解体措置を受けた産業は︑ω. 炭・鉄鋼産業︑③化学産業︵. 石炭・鉄鋼産業の解体・再編成. 戸7︾ 措置を順次みてゆくこととする︒. ①. 二二九. ドイッの石炭業は︑終戦時︵一九四五年五月︶︑四〇〇の子会社を持つ一三の大鉱山コンツェルン︵石炭.鉄鋼コソツ 戦後西ドイッにおける過度経済力集中排除政策と法.

(30) 戦後西ドイツにおける過度経済力集中排除政策と法. 二三〇. エルン︶の手中にあった︒これらの鉱山コンツェルンは︑結合経営︵<︒&自注三算零鼠3ー石炭炭坑と鉄鋼工場の垂. 直的一貫生産体制1を特徴としていたが︑これらの解体・再編成は占領軍政府がとりわけ努力したものである︒こ. れらの鉱山コンツェルンは︑イギリス占領地域に多く炭坑等の鉱山施設を持っていたので︑占領後イギリス軍により. 直ちに差し押えられ︑その所有者には︑いかなる方法であれその権利を行使することが禁じられた︒この差し押えら. れた鉱山会社は︑﹁管理団﹂︵ギ窪ご包零富3により管理.監督されていたが︑一九四五年一二月二二日に発効した. 法律第五二号︵ω=︾胃6窃︒訂Z鉾器︶に基づく一般指令第五号︵石炭業関係︶によって設立された北ドイッ石炭管理. 部︵乞o﹃300§弩08一〇〇暮8一﹇NGCC﹈︶によりその管理が引き継がれた︵この一般指令第五号は︑既存のコγツェルン. 関係を顧慮することなしに︑炭坑を鉄鋼部門と分離することを指令するものである︶︒こののち︑米英統合経済地域が成立し. てからは︑管理機関は英米石炭管理グループ︵d渓\59巴9旨邑90后︶に変わり︑フランスがこれに加わって︑. 合同石炭管理グループ︵O︒ヨげぎ&08一〇8窪o一〇﹃o后﹇CCCG﹈︶へと拡大された︒またドイッ側機関として︑一九. 四七年一一月に︑ドイッ石炭鉱山局︵U窪§冨因呂一窪冨茜富三簿言①q﹇DKBL﹈︶がエッセンに設立された︒このD. KBLの職務は︑CCCGの管理指示のもとで西ドイッ全石炭鉱山を指導する︵経営管理︑石炭販売︶ことであった︒. 一九四八年一一月に英米軍政府は︑ドイッ石炭業およびドイッ鉄鋼業の再編に関する法律第七五号を発布した︒本. 法は︑米英占領地域内のこれら産業の将来の所有関係の決定権を︑﹁自由な選挙に基づき︑住民の政治的意思により ︵8︶. 形成されるドイッ政府﹂に任せていた︒そして一九五〇年五月に︑フラソス地域にも適用地域を拡大した法律第七五. 号にかわる法律第二七号が高等弁務官府により発布されても︑この点は︑フランス政府の反対が克服されたのちであ.

(31) るが︑更新され是認された︒また同法においてもCCCGとDKBLの機能は変更を受けなかった︒石炭鉱山及び鉄. 鋼産業の企業は︑その取り扱いに従って︑㈲既存のコンツェルン︑⑧石炭シンジケ1トおよびシンジケートの共販機. 関︑⑥四二の石炭鉄鋼会社︑⑨二四の鉄鋼会社︑③三つの特別コンツェルンに分けられ︑それぞれの性格に従って︑. 解体措置が取られた︒こうして解体したコンツェルン企業は︑炭坑とコークス製造所ごとに新たに数十の会社に集約. しなおされた︒これら新設会社の設立は︑﹁管理者﹂︵↓器昌ぎα窪︶の手により強制的に行なわれ︑またこれら新会社 の株式は私人に譲渡された︒. 石炭鉱山と同様に︑イギリス占領地域で占領後直ちに鉄鋼プラントが差し押えられた︒法律第五二号に基づく一般. 且ω富巴08ヰ9冒臼ωO﹈︶とそのドイッ人からなる補助. 指令第七号により︑石炭鉱山の場合と同様に︑形式的な所有関係は従前のまま維持されたが︑事実上は︑イギリスの 管理機関である北ドイッ鉄鋼管理部︵Z︒味夢O霞ヨ累ぎ昌. 機関︑すなわち﹁鉄鋼管理団﹂により管理された︒米英統合経済地域ができてからは︑このNGISCに変わり︑英. 米鉄鋼グループ︵d区\¢ωω8包oo旨巨90唇︶が設立され︑さらにこれにフラソスが加入して合同鉄鋼グループ. ︵9善ぎ包望亀90后﹇80﹈︶に拡大された︒このCSGの指導のもとで︑二五の新たなコンツェルンから分離さ. れた工場設備を管理する鉄鋼会社が設立され︑その運営は管理団により引き受けられた︒. 一九四八年に法律第七五号が発布されて︑管理団はドイッ人からなる﹁鉄鋼管理団﹂に変えられ︑一一人の管理者. 二三一. がドイッ側の推薦に基づいて軍政府により任命された︒これは︑CSGに対して直接の責任を負い︑その指示に拘束 戦後西ドイツにおける過度経済力集中排除政策と法.

(32) 戦後西ドイツにおける過度経済力集中排除政策と法. 二三二. されるものであるが︑鉄鋼業の解体再編計画を立案することをその任務としており︑先の二五の新設会社およびその. 他の会社の再編計画の実施を任されていた︒一九五〇年の法律第七五号にかわる法律第二七号においても︑CSGと. 鉄鋼管理団の権限は承継され︑解体再編措置が続けて取られた︒この場合の最大の問題は︑石炭業と鉄鋼業との結合. 経営を再度認めるか否かということであった︒これは︑結合経営が経済的合理性︵生産合理化︑費用削減︶の要求する. ところであったから︑長い討議の後に︑一定限度内で認められた︒すなわち︑新設鉄鋼会社のうちの一一社には︑解. 体された石炭鉱山会社との資本結合︵このうち五社は石炭会社への一〇〇%出資を認められ︑他は五〇%出資である︶によっ. て石炭鉱山との再結合が認められた︵必要量の七五%以内の自己石炭供給に限定︶が︑鉄鋼大量生産会社︵例えば︑ドイッ. ・エーデル鉄鋼会社︑ボッフム鉄鋼会社等︶にはこれは認められなかった︒この鉄鋼会社と石炭会社の結合は経営持株会 ︵9︶ 社︵o︒9げ養ω誉耳︒且窪o富磯霧︒房魯弾8︶により統轄された︒これらの結果︑CSGの指令により解体再編された. IG染料の解体・再編成. 会社は二八社であった︒. ②. ドイッ最大の化学コンツェルンーG染料AGの施設および資産は︑各占領地域の地区司令官により︑一九四五年の. 占領直後に差し押えを受けた︒それは︑ドイッによる近隣諸国もしくは世界平和に対する全ての将来の危険を除去す. る目的で︑IG染料が︑本来的にもしくは結果的に︑ドィッの潜在的戦争遂行能力の獲得と維持にたずさわってきた. という事実を考慮して行なわれたものであった︒一九四五年一一月一二日の連合国管理委員会による法律第九号によ. り︑lG染料の資産管理を実施するために四力国管理委員会が設けられたが︑これは︑IG染料の資産からの損害賠.

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