• 検索結果がありません。

情勢分析_イラン情報-新たな欧米制裁措置をめぐる攻防;今後予想される追加的な米国制裁措置

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "情勢分析_イラン情報-新たな欧米制裁措置をめぐる攻防;今後予想される追加的な米国制裁措置"

Copied!
7
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

(2012年1月31日付)  米国連邦議会は,イラン産原油の購入やイラ ン中央銀行(CBI)との取引を実施する第三国 に対する制裁措置発動を承認する「国防権限法」 (NDAA)の修正を実施するための規則案の起 草をオバマ政権に命じることを模索している。 これらの制裁措置の実施に向けたオバマ政権の 不十分な取り組み方に腹立たしさを感じている 同法修正案の主要な支持者であるロバート・メ ネンデス上院議員(民主党,ニュージャージー 州選出)及びマーク・カーク上院議員(共和党, イリノイ州選出)は,自らの不満を記録した書 簡をティモシー・ガイトナー財務長官に送り, 同法修正案を実施する米国行政府規則に関する 連邦議会のレッドラインを明確に規定するよう 要請した。 ◦両上院議員は数量に関して「イラン産原油の 購入量を大幅に削減する」と解釈しているこ とに反対している。そうではなく,両議員は これを「原油を購入するための一国によるイ ランへの送金額の上限」を引き下げる―具体 的には,「年率ベースでの購入額を最低限18% 削減する(支払われる総価格;値引きかつ/ または輸入量の削減を通じて実現される)」― こととオバマ政権が解釈することを望んでい る。 ◦さらに,両上院議員は「同法に違反している ことが発覚した各外国金融機関に対して国家 安全保障上の利益にかなった適用除外(na-tionalsecurityinterestwaiver)が要求され るべきである」と考えており,それによって オバマ政権が包括的な適用除外や国別の適用 除外を発動するのを阻止することを模索して いる。  最近制定された制裁措置の実施をめぐってオ バマ政権に圧力をかけることに加え,連邦議会 は追加的な制裁措置の法制化に取り組んでい る。 ◦これらの措置には,非米国企業に対してイラ ン国内で展開しているあらゆる事業を米国証 券取引委員会への提出書類に開示するよう義 務付けることや米国の二次的制裁措置の活動 対象範囲を拡大することが含まれる可能性が ある。 ◦これらの措置には,イランが実質的なパート ナーまたは投資家を務めている世界各地にお けるジョイントベンチャーへの参加,イラン のエネルギー部門への物品・サービス・「援 助」の提供,ならびにイランの事業体への輸 送及び保険サービスの提供に関する禁止令も 含まれる可能性がある。  CBI 及びイラン石油輸出に対する欧米の動き

イラン情報   新たな欧米制裁措置をめぐる攻防;

今後予想される追加的な米国制裁措置

(2)

を受けて,著しい石油価格の高騰につながりか ねない市場混乱を招く深刻なリスクが高まって いる。 ◦テヘランのイラン政府当局者は現在,新たな 欧州の制裁措置が発動される前に欧州へのイ ラン産原油輸出を打ち切るか,少なくとも削 減するための一連の選択肢を積極的に探究し ている。今後数週間のうちに,イランは欧州 市場への現行石油輸出の流れの一部を削減す るために積極的な行動に出る可能性がますま す高くなると思われる―これは制裁措置支持 者が予想していなかった事態である。 ◦サウジアラビアの最近の生産履歴―リビアの 石油生産及び輸出の大部分を途絶させた同国 への昨年のアラブ-西側諸国の軍事介入を含 む―は,イラン産原油数量の消失分を補うこ とに関するサウジアラビア当局者による簡単 な声明が現実性を反映していない可能性があ ることを示唆している。(いずれにしても,市 場においてサウジアラビアの余剰能力が失わ れれば,原油価格上昇圧力が一段と高まるこ とは避けられないであろう)。  その一方で,米国とそのパートナー国はイラ ンに対する広く知られている次なる段階の準備 を続けている。 ◦米国が引き金を引く軍事衝突が近いうちに発 生するとは思われない一方で,米国軍はイラ ンの原子核標的を攻撃するための選択肢の強 化及び拡充に取り組んでいる。 ◦イラン問題に直面するなか,米国海軍はホル ムズ海峡の開放を確保する能力を強化するた めの措置を講じている。最終的に政策がその 方向に向かった場合に,これらの同じ措置が イラン封じ込めを強化する米国海軍の能力の 向上にもつながるであろう。 国防権限法の解釈をめぐるオバマ政権と連邦議 会の攻防  オバマ政権と米国連邦議会はともに複数分野 における米国のイラン関連制裁措置の範囲をさ らに綿密に練り上げることに取り組んでいる。 さしあたって,連邦議会はイラン産原油の購入 やCBIとの取引を実施する第三国に対する制裁 措置発動を承認する国防権限法の修正を実施す るための規則案の起草をオバマ政権に命じるこ とを模索している。 ◦これらの制裁措置の実施に向けたオバマ政権 の不十分な取り組み方に腹立たしさを感じて いる同法修正案の主要な支持者であるロバー ト・メネンデス上院議員(民主党,ニュージ ャージー州選出)及びマーク・カーク上院議 員(共和党,イリノイ州選出)は自らが抱い ている不満を記録した書簡を今月始めにティ モシー・ガイトナー財務長官に送り,同法修 正案を実施する米国行政府規則に関する連邦 議会のレッドラインを明確に規定するよう要 請した。 ◦CBI 及びイラン石油輸出に対する制裁措置に 関する立法意図を記録に残すことも両上院議 員を突き動かしている要因であると思われ る。 ◦具体的には,両上院議員は書簡において4つ の重要事項を提起している。  最も重要なこととして,両上院議員は当該国 が「『イラン産原油の購入数量を大幅に削減』し ている」場合に,「外国企業が石油取引に関する 制裁措置発動の『適用除外』資格を得られる基 準」に関して断定的な立場をとった。 ◦この問題に関して,両上院議員は「削減」が 「原油輸入数量のみ」に適用されると解釈する ことに反対の意を表明した―たとえ「原油購

(3)

入数量」という明確な意味で使われる場合で あってもそれに変わりはない。 ◦そうではなく,両議員は次のように主張した。 オバマ政権は「『原油』という用語ではなく 『購入』という用語を強調するために『原油購 入』の解釈において柔軟な姿勢をとるべきで ある。これによって,『原油購入』の大幅な削 減を『原油』を購入するための一国によるイ ランへの送金額の上限に適用できるようにな る。そのような削減は原油輸入量(1日当た りのバレル数)の削減かつ/またはイラン人 によって提供される値引きによって達成され る可能性がある。制裁政策が成功を収めたか どうかは,結局は,イランの『最終損益』に 与える影響―市場への実質的な石油供給とは 関係なく純石油収益を押し下げる原動力―に よって判断される」。 ◦さらに,両上院議員は「大幅な削減」という 用語は―新保守主義的かつ熱烈な親イスラエ ル 派 の 民 主 主 義 防 衛 財 団(Foundationfor DefenseofDemocracies)によって提供され た論点に基づいて―「年率ベースでの購入額 を最低限18%削減する(支払われる総価格; 値引きかつ/または輸入量の削減を通じて実 現される)」と解釈されるべきであると明確に 述べた。  これは,国防権限法修正案において「原油購 入量」に言及した条項を事後に効果的に書き換 えるための高圧的な取り組みである。さらに, 両上院議員の書簡のこの部分は,国防権限法修 正案の実施をめぐる課題をオバマ政権に真っ向 から突き付けている。 ◦制裁措置の実施について討議する関係政府高 官との会合において,米国高官は一国のイラ ンからの輸入の削減を評価するためのオバマ 政権の基準は「数量」であることを強調して きた。これは,バレルまたはトンを測定基準 とする「数量」の削減を明確に示唆している。 ◦数量を測定基準とするこれらの輸入の削減を めぐってオバマ政権がイラン産原油の重要な 輸入国と合意に達することが困難なものにな ると十分に考えられる。連邦議会勢力がオバ マ政権にアプローチ方法を改めさせ,イラン 産原油購入量に対する一国による支払い限度 額を設けるよう強要することに成功した場 合,イラン産原油の主要購入国との合意はよ り一層困難なものとなるであろう。韓国はす でに国防権限法の修正案において義務付けら れる「大幅な削減」を構成する要素に関して 米国政府内でコンセンサスが得られていない ことに公然と懸念を表明している。  両上院議員の書簡には,このプロジェクトが 極めて慎重に管理されない限り,欧州市場や他 の市場からのイラン産原油の置き換えが原油価 格の高騰を招く可能性があり,結果的に,たと え輸入量が減少しても,イランが輸出収益の減 少に見舞われることがないという,CBI 及びイ ラン産原油輸出に対する制裁措置の支持者によ る認識が高まっていることも反映されている。 このシナリオでは,米国人が支払うガソリン代 の高騰を招く結果となる。(CBI及びイラン産原 油輸出に対する最近の欧米制裁措置がもたらす 予想される影響については後述する)。  さらに,両上院議員は書簡の中で,「個々の金 融機関に対する制裁措置の免除の見返りとして 受けるまたは期待される便益/協力についての 記述を含めて,同法に違反していることが発覚 した各外国金融機関に対して国家安全保障上の 利益にかなった適用除外が要求されるべきであ る」と主張した。これは,国内政治の観点から 大統領が同修正案に基づいて承認される制裁措 置発動を免除することをより困難なものにする ための措置である。

(4)

◦両上院議員は,CBI との取引を「承知のうえ で実施する」非米国金融機関に的を絞った修 正案に盛り込まれた文言が「建設的な知識」 ―米国法に基づけば,「ある金融機関が実際に その時点で知っていたかどうかだけでなく, その金融機関が禁じられた取引を行っている ことを知っていて当然だったかどうか」を含 む実際の知識より高い基準―を意味するもの と解釈されるべきであるとも主張した。 ◦さらに,両上院議員は「実際の金額を設定す る」のではなく「一連の基準」に基づいて「実 質的な金融取引」と「広義に」解釈される制 裁対象とされる行動の閾値を規定する文言も 要求している。両議員はそのような「より広 義な定義によって,オバマ政権は状況に応じ てごく少額であっても『相当な額』に及ぶと 見なすことが可能となる」⑴ 連邦議会,追加的な制裁措置の採択に動く  最近制定された制裁措置の実施をめぐってオ バマ政権に圧力をかけることに加え,連邦議会 は追加的な制裁措置の法制化に取り組んでい る。 ◦2月上旬に,イラン国営石油会社(National IranianOilCompany)及びイラン国営タン カ ー 会 社(NationalIranianTankerCompa-ny)に対する既存の米国制裁措置を法制化 し,非米国企業に対してイラン国内で展開し ているあらゆる事業を米国証券取引委員会へ の提出書類に開示するよう義務付ける法案に 関する委員会による最終的仕上げが予定され ている。 ◦さらに,同法案はイラン革命防衛隊の関連会 社から石油を購入する非米国事業体,イラン が実質的なパートナーまたは投資家を務めて いる世界各地におけるジョイントベンチャー に参加する非米国事業体,ウランの採掘・生 産・輸送を目的としたイラン事業体とのジョ イントベンチャーに参加する非米国事業体, イランのエネルギー部門への物品・サービス・ 技術または他の種類の「援助」を提供する非 米国事業体,もしくはイランの貨物に対する 輸送または保険を提供する非米国事業体に対 する二次的制裁措置を承認する。 ◦同法案には,イランの銀行による国際銀行間 通信協会(SWIFT)ネットワークへのアクセ スを阻止することを目的とするカーク上院議 員が起草した条項(この場合も先と同様に, 民主主義防衛財団から提供された論点に基づ いている)も含まれる可能性がある。  2008年に,アメリカ・イスラエル公共問題委 員会(AIPAC)は米国大統領に事実上のイラン 封じ込めを発動するために米国軍を使用する連 邦議会承認を与える法案の起草を主催及び支援 した。(その年の米国選挙運動が活発化するな か,同法案は足踏み状態となった)。 ◦現在,イスラエル政府高官は一段と強化され た制裁措置の必要性にとどまらず,対イラン 封じ込め政策の必要性についても公然と議論 している。 ◦我々は,今後数ヵ月のうちに先の法案の復活 があるのかどうか判断するために連邦議会の 動向を監視している。 最近の制裁措置からもたらされる副次的影響  前述したとおり,制裁措置の支持者は米国及 び欧州連合(EU)による CBI 及びイラン石油 輸出に対する制裁措置の発動が慎重に管理され ない限り原油価格の高騰を招き―何よりもまず 西側消費国の原油価格の高騰を招く―やイラン が輸出収益の減少を回避する可能性があること を懸念している。

(5)

◦需要供給市場ファンダメンタルズや世界経済 情勢に浮かび上がっている脆弱性をはらんだ 大規模な分野に照らして現行原油価格を検証 した場合に,価格上昇圧力をもたらしている イラン関連のリスクプレミアムがすでに存在 するように思われる。 ◦このリスクプレミアムの大部分は,今後数週 間または数ヵ月のうちに米国軍かつ/または イスラエル軍がイランと対立する可能性をめ ぐる懸念―我々の試算においていくぶん誇張 されている―によって牽引されているように 思われる。  しかしその一方で,CBI 及びイラン石油輸出 に対する欧米の動きを受けて,著しい石油価格 の高騰につながりかねない市場混乱を招く深刻 なリスクが高まっている。先の覚書で述べたと おり,過去1年間に制裁措置支持者による CBI 及びイラン石油輸出に対する制裁措置をめぐる 議論に重要な方向転換が生じている。 ◦自らの提案が深刻な国際石油取引の混乱を促 し,その結果,著しい価格高騰を招くという 批判に対して,制裁措置支持者は損害をもた らすような形で急激にイラン産原油を市場か ら締め出すことは望んでいないと受け答えて いる。 ◦むしろ,CBI 及びイラン石油輸出に対する制 裁措置はイラン産原油の顧客の数を減らすこ とを目的とするべきである。その結果,欧州 が包括的な対イラン石油輸出禁止を実施する 一方で,一部のアジアの主要消費国(例えば, 日本)だけがイラン産原油の取り込みをある 程度削減するかもしれないが,他の消費国 (例えば,中国)は全く削減しない可能性があ る⑵。顧客数が減れば,残った購入国に大幅な 値引きを引き出す余地を与えることになる。 そうなれば,イランが石油輸出から上げる収 益が減少し,それ受けて,核問題をめぐるイ ラン政府に対する圧力が強まることになる。 ◦当然のことながら,EU は供給途絶(と同時 に発生する経済的逆流)のリスクを最小限に 抑えるために加盟国にかなりの時間の猶予を 与えている―少なくとも夏までの猶予が与え られ,さらに延長される可能性がある。  これはすべて,イランが EU や他の国によっ て採択される制裁措置が実施されるのを黙って 見過ごし,イランに対応策の選択肢がほとんど ないという前提に基づいている。しかし,テヘ ランのイラン政府当局者は現在,新たな欧州の 制裁措置が実施される前に欧州へのイラン石油 輸出を打ち切るか,少なくとも削減するための 一連の選択肢を積極的に探究している。 ◦先週,一部のイランの国会議員が欧州への今 後のイラン石油輸出を阻止する法律の制定を 強く要求し,これがEU禁輸措置に対して「先 手を打つ」効果的な手段となると主張した。 ◦これまでのところ,これらの議員の取り組み は他の議員によって制限されている。こうし た抵抗は少なからずイラン政府(イラン石油 省やイラン国営石油会社を含む)から提供さ れた情報を反映しており,欧州経済よりもイ ラン経済に大きな損害を与えかねないという 理由で,性急または断定的な行動に対して警 鐘を鳴らしている。  このような状況を背景にして,今後数週間の うちに,イランは欧州市場への現行石油輸出の 流れの一部を削減するために積極的な行動に出 る可能性がますます高くなると思われる―これ は制裁措置支持者が予想していなかった事態で ある。 ◦一部の政府当局者やイラン国営石油会社

(6)

(NIOC)職員の発言から,こうした削減は特 定の欧州諸国に的が絞られる可能性があり, ユーロ圏の現在進行中の債務危機や金融危機 に最大限にさらされている各国がその中に含 まれる。 ◦イランがこれらの方針に沿って進む場合に, 原油価格上昇圧力が一段と高まるであろう。 同時に,個別の商取引関係から撤退すること が妥当な開戦理由になるとは決して思われな いため,西側が「報復措置を取る」ことが困 難になるであろう。  将来の展望を見すえた場合,最近採択された 対イラン制裁措置から今後もたらされる一連の 副次的影響を欧州諸国が予測または管理するこ とができないというリスクが多分に存在する。 ◦例えば,石油貿易に対する EU 制裁措置がも たらす地域への影響に加え,ひとたび制裁措 置が実施されれば,欧州法に基づいて事業を 展開する事業体によって保険がかけられてい る世界の石油タンカーの約95%―イラン産原 油貨物を輸送するタンカーを含む―に影響を 与える可能性がある。 ◦潜在的には,このことが国産原油を市場に投 入するイランの能力に影響を与える可能性が あり,イラン産原油が今後も引き続き歓迎さ れる地域においても同様のことが言える。そ のようなシナリオがイランの経済情勢に多大 な影響を与える可能性があると同時に,原油 価格の急騰を引き起こすことはほぼ確実であ る。  長期的にみれば,西側大国の原油価格に多大 な影響を与えることなく市場からのイラン産原 油の段階的な排除を管理する能力は,他の石油 供給国からの増産分を通じて市場に対するイラ ンの現行貢献度を賄うことができるかどうかに かかっている。 ◦突き詰めれば,これはサウジアラビアが自国 の(申告した)余剰生産能力の事実上すべて をフル稼働する能力及び意欲にかかってい る。 ◦サウジアラビアの最近の生産履歴―リビアの 石油生産及び輸出の大部分を途絶させた昨年 の同国へのアラブ-西側諸国の軍事介入を含 む―は,イラン産原油数量の消失分を補うこ とに関するサウジアラビア当局者による簡単 な声明が現実性を反映していない可能性があ ることを示唆している。(いずれにしても,市 場においてサウジアラビアの余剰能力が失わ れれば,原油価格上昇圧力が一段と高まるこ とは避けられないであろう)。 想定される次なる段階  その一方で,米国とそのパートナー国はイラ ンに対する広く知られている次なる段階の準備 を続けている。 ◦米国が引き金を引く軍事衝突が近いうちに発 生するとは思われない一方で,米国軍はイラ ンの原子核標的を攻撃するための選択肢の強 化及び拡充に取り組んでいる。 ◦特に,米国防総省はイランのフォルドに新設 された地下式核濃縮施設に対する空爆の潜在 的実効性を高めるとされるより強力な「大型 貫 通 爆 弾(MassiveOrdnancePenetrator)」 (または「バンカー・バスティング」爆弾)の 調達を進めている。  米国海軍も,イラン問題に直面するなか,ホ ルムズ海峡の開放を確保する能力を強化するた めの措置を講じている―ペルシャ湾内の機雷除 去及びコマンド部隊奇襲作戦を支援するための 「洋上前方展開基地(AfloatForwardStaging

(7)

Base)」の急ピッチの建設がその中に含まれる。 最終的に政策がその方向に向かった場合に,こ れらの同じ措置がイラン封じ込めを強化する米 国海軍の能力の向上にもつながるであろう。 イランの政策を左右する米国大統領選挙  イラン問題―及び最強硬派米国政策を可能な 限りイランに向けて利用することへのイスラエ ルの関心―が米国大統領選挙運動において果た す役割がますます重要性を増している。 ◦イスラエル当局者によれば,イスラエルのネ タニヤフ政府はオバマ大統領が再選挙におい て共和党対立候補―ニュート・ギングリッチ 元下院議長であろうと,ギングリッチ氏の挑 戦を受けてイラン関連問題に強硬路線を取ら ざるをえなくなっているミット・ロムニー前 マサチューセッツ州知事であろうと―に敗れ る可能性を高めることを画策している。 ◦ネタニヤフ首相の顧問たちも,たとえオバマ 大統領が再選挙に勝利しても二期目に入った 大統領は弱体化し,外交政策を操作する大統 領の自由が制限される可能性があると推測し ている。  この目的を達するために,ネタニヤフ政府は 今月上旬に米国-イスラエル合同軍事演習を延 期し,オバマ大統領がイランに対して弱腰で, イスラエルの真の友人ではないように思わせる ように演出した。さらに,ネタニヤフ首相の最 大の献金者(イスラエル国内または米国内)が ギングリッチ氏の大統領選出馬を支援する「Su-per-pac」に1,000万ドルを献金している。 (注) ⑴ 書簡が発送された2日後,カーク上院議員 は脳卒中で倒れ,脳神経外科手術を受けるた めに緊急入院した。同議員の病気欠席が CBI 及びイラン石油輸出に対する新たに法制化さ れる制裁措置の実施問題をめぐる連邦議会に よるホワイトハウスに対する圧力の減退を招 く可能性は低い。メネンデス,カーク両上院 議員によって提出された修正案は100対0の 票差で可決された。これは,ガイトナー財務 長官に宛てられたメネンデス-カーク書簡の 行間に沿った同修正案の実施に対して,連邦 議会の幅広い超党派的な支持が得られている ことを物語っている。 ⑵ インドは現在,イラン産原油の輸入削減を 迫る米国の圧力に屈しないと公表している中 国の仲間入りを果たしている。インドの公表 は同国財務相によって行われた―しかも,財 務相のワシントン訪問中のことであった。

参照

関連したドキュメント

テキストマイニング は,大量の構 造化されていないテキスト情報を様々な観点から

世界的流行である以上、何をもって感染終息と判断するのか、現時点では予測がつかないと思われます。時限的、特例的措置とされても、かなりの長期間にわたり

幕末維新期に北区を訪れ、さまざまな記録を残した欧米人は、管見でも 20 人以上を数える。いっ

ウェブサイトは、常に新しくて魅力的な情報を発信する必要があります。今回制作した「maru 

こらないように今から対策をとっておきた い、マンションを借りているが家主が修繕

今回、新たな制度ができることをきっかけに、ステークホルダー別に寄せられている声を分析

賠償請求が認められている︒ 強姦罪の改正をめぐる状況について顕著な変化はない︒

①配慮義務の内容として︑どの程度の措置をとる必要があるかについては︑粘り強い議論が行なわれた︒メンガー