低強度および中強度下肢運動時の呼吸様式の違いは運動 - 呼吸同調に影響を与えない

理 学療 法 学

　

第

36

巻

第

7

号

　

34

亅

〜

347

頁 （2009年 ）

研 究 論 文

低 強 度

お

よ び

中強 度 下肢 運 動 時

の

_{呼 吸 様 式}

の

違

い

_は

　　　　　　

運

動

一

呼

吸 同

調

に

_影

響

を

与

え

な

い

＊

岩本

え

り

か

1）＃

関 川

清

一

1）

　

高

橋



真

1）



稲 水



惇

D

要 旨

【

R

的

1

運 動 中

の1

呼

吸

様 式

と 運

動

一

呼

吸

同調

の

関 係

に

着

目 し た 研

究

は

少

な

く

，

不 明 な

点

が

多

い 。

本 研 究

で は

運 動 時

にお

け

る

呼

吸

様 式

の違いが

，

運

動

一

呼

吸 同 調 に 与 え る

影

響 を 検 討 し た

。

【

方

法

】

対

象

は

健

常 男

性

10

名

と し

，

運 動

は

6

分 間

の

定 常 負 荷

と し た。

運 動 強 度

は

事 前

に

算

出 し た

換 気 性 作 業 閾

値

（

以 下

VT

）

に よ り

60

％

VT ，

100

％

VT

，

呼 吸 様 式

は

自 由 呼 吸

，

横 隔 膜 呼 吸

の

4

条 件

を

，

各

々

_別

の 日 に実 施 し た

。

運

動

一

呼

吸 同 調 は，

呼 吸

リ ズムと

運 動

テン ポ よ

り解 析

し た。

【

結 果

】

同 調 発

生

率

は

呼 吸 様 式

に よ

り有 意

差 を

認

め な かっ た

。

同

調 時 と非

同

調 時

の比

較

で は

，

同

調 時

の

酸 素 摂 取 量

が

，

自 由呼 吸

で の

60

％

VT

時

のみ

有 意

に 高

値

を 示 し た が （p＜

0

，

05

）

，

他

の

呼

吸 諸 量 で は

有 意 差 を

認 め な かっ た

。

同

調 発 生 率

と

酸 素 摂 取 量

，

換 気

効 率

に

有

意 に 高い相 関 は 認 め な かっ た

。

【

結 論

】

以上 の

結

果よ り， 健

常 者

において

60

〜

100

％

VT

強 度

の 運

動 時

に

横

隔 膜

呼

吸 を 行

う

こ と は

，

同 調 発 生

率

に

影 響

が

少

な く

，

同 調 現

象

の利

得

で あ る

酸 素 摂 取 量

の

減 少

，

換 気 効 率

の

改 弄

が

得

に

く

い こと が

示

峻 さ れ た

。

キ

ー

ワ

ー

ド

　 運 動

一

呼 吸 同 調

，

呼 吸 様 式

，

換 気 効 率

は じ め に

　慢 性呼

吸

器

疾 患 患

者

で は_，

呼

吸 困

難

に よっ て

H

常

生

活

活 動 能 力

が

制

限 さ れ て お

り

， そ れ が

患 者

の

生 活

の

質

を

損

な

う と考 え

ら れてい る

02

）

。

呼 吸 困 難

に よ る

労 作 制

限 は デ ィコ ンデ ィショ ニ ング を 生 じ

，

さ ら に

呼

吸

困 難

を

増

悪 さ せ

，

よ

り

デ ィコ ンディ ショニ ング を 生 じ る とい

う悪 循

環

を 生 じる3）ため

，

呼

吸

困 難

は 運

動

の

大 き

な

制 限 因 子

で

あ

る と

考 え

ら れ る。 こ の

呼 吸 困 難

へ の

対 策

と して

，

呼

吸

リハ _{ビ リ テ}

ー

シ ョ ン で は

，

横 隔 膜 呼 吸 を 行

い

な が ら

，

運 動

と

呼 吸

を 同 調 させ

，

呼 気 時

に

動作

を

合

わ せ る こ と に よ

り

，

呼 吸

リ ズム

を 整 え

る

指 導

が

行

わ れ てい る3）

。

　

慢 性 呼 吸 器 疾 思 患 者

で は

，

運 動 時

に

呼 吸 数 を増 加

させ _，

呼 気 時

間

を 短 縮

して

換 気 量

を

増 大

させ よ

う

とす るた め に

，

エ _ア

ー

_{ト ラッ}ピング や

肺 過 膨 張 を起

こ

す

可

能性

が あ る，

従

っ て

，

運

動 時

に は

一

回

換 気 量 を増 加

さ せ

，

分 時

換

＊

　Brealhing　PatLer　ls　do　nol　InnL］ence 　Coordinuti〔m 　　betweeli

　 BreaLhing　and 　L〔，w 〔，r　ModeraLe　In亡ensity 　Excrcisc　Rhythms

D

広 島 大学 大 学 院 保 健 学 研 究 科

　 （〒734

−

S551 広 島 県 広 島 市 南 区霞1

−

2

−

3）

　 Erilca　Iwam 〔jt【｝

，

　RPT

，

　Kiyokazu 　Sekikawa

、

　RPT

、

　PhD

．

　Mak〔，to

　 Takahashl

，

　RPT

．

　PllD

，

　Tsuromu　lnamiztl　MD

，

　PhD ： Graduate

　 School　of 　Health　Scienccs

，

　Hilroshitna　University

＃

　

艮［nalL：eエi

．

iwam〔｝t〔，〔9⊇hiroshinLa

．

u

．

aCjp

　 （受 付凵　2008年12月3F」／受理H　2009年 7月27 口）

気 量 を減 少

させ

た

，

深 く

てゆっ

く り し

た

呼 吸 が 望 ま

しい と さ れてい る4｝

。

横 隔膜 呼 吸

は

，．

・

回

換 気 量 を増 加 さ

せ

，

呼

吸

数

，

分 時換 気 量

を

減 少

させ る ことに よ

り

，

換 気 効 率

を改 善 す

る 凵

的

で

指 導

さ れ て お

り

57 〕

，

運

勤 巾

に おいて

も

，

横 隔 膜 呼 吸 を行

わ せ るこ

と

に よ

り

，

換 気 効率

が

改 善

し た との

_{報 告}

が あ るS ）

。

　

ま た

，

慢 性 呼

吸

器 疾 患 患 者

で は

，

動 作 時

に

呼

吸 と

動 作

の タイ ミン グが

ず

れ

，

呼 吸

リ ズム が

乱

れや

す

い ため に

，

呼 吸 仕 事 量 を増 大

させ

，

呼 吸 困 難 を増 悪

させる

傾 向

が み

られ

る 9）。 この

た

め

，

動 作 時

に

は

よ

り効 率

の よい

呼 吸 法

を

行 う

必要があ り

，

呼

吸 リ ズムを

整 え

る こ と

，

およ び運

動 と呼 吸

の同 調 を

考 慮

す ること が

重 要

で あ る と

考

え ら れ る 3

’

）　le） 。

一

定

の テ ンポの運

動 中

に

も

， この

運 動 と呼 吸

の 同 調は発 生 して お り

，

呼 吸 リズ ムが 運 動テ ンポの 影 響

を受

け，互いの

位

相

が

同

期

化

し てい く

「

運

動

一

呼

吸

同 調 」

とい

う

現

象

が 報

_告

さ れてい る 111Ei）

。

運

_動

一

_呼

吸

_{同 調}

の 発 生 率 は

，

ド肢エ ルゴ メ

ー

タ運 動

，

歩 行 および 走

行

な ど

，

運

動

の

種

類 に よっ て

異

な

り

，

個 人

差 が 大

き

い こ とが

報 告

さ れてい る12｝17）

。

ま た

，

運 動

一

呼

吸 同 調 が 発 生

す

る こ と によ り

呼

吸 機 能 に どの よ う な 利 得 が あ るのか につ い て

，

同 調 発 生 時

に は 運 動 時の

呼

吸 困

難

が

軽

減 さ れ る とい

う報 告

捌 や

，

同 調

は

運 動 時

の

酸 素 摂 取 量 を低

ドさ せ

，

換 気

効 率

を 改

善

し

，

エ ネル ギ

ー

消 費

を

抑 制 す

る とい

う報

342

理学 療 法 学 　 第36巻 第7号

告

11〕14〕が

さ れ

てい る。

　

以 上の よ

う

に

，

運 動 中

の

呼 吸 様 式

お よ び

，

運 動

中の運

動

一

呼 吸

同 調につ い て の

報 告

はあるが

，

呼

吸

様

式 と 運

動

一

呼

吸 同 調の 関

係

に

着

凵 し た

研

究 は な

く

，

不 明 な 点

が

多

い

，

、

し か し

，

慢 性 呼

吸

器

疾

患

患

者

では

，

運

動 時

に

呼 吸

様 式

と運

動

一

呼

吸

同 調

を

同 時

に

指 導 す

る

可 能 性

が

あ

るた め に

，

両者

の

関 係 性

につ い て

も明

ら かに

す

る必

要

が

あ

るtt

　

そこ で

，

本 研

究で は

，

慢 ［

生

呼 吸 器疾 患 患 呂

に おける

基

礎

デ

ー

タ

を収 集 す

る こ と

を 目的

と し

，

健 常 者 を対 象

に ド

肢 運 動 時

に

お け

る

呼 吸 様 式

の

違

い が

，

運動

一

呼 吸 同 調

に

ラえ

る

影 響 を検 討

した

。

対 象

と

方 法

1

．

対

象

　 対 象 者

に は

，

予

め

研 究

の

趣 旨

を

説 明

し

同 意

を

得

た。

対

象 者

は

，

運

動 負 荷

に支

障

を

き

た

す 恐

れ の

あ

る

呼 吸 循 環 系

お よ び

骨 関 節 疾

患の

既 往

歴が な

く

，

運

動 習 慣

お よび

喫

煌

習慣

の ない

健 常 男性

10

名

（

年 齢

122

．

0

±

1

．

4

_歳

，

_{身 長}

：

172

．

5

±

5

．

lcm

，

_{体 重}

_：

66．

9

_±

59

  _）

と し た

。

本 研 究 を

行 う

に

あ

た

り広 島大

学

大 学 院心 身 機 能 生 活 制 御

科

学 講座

倫

理

審 査 委

員

会

の承 認

を得

た

（

承 認

番 号

0749

）

。

2

．

方 法

1

）

運

動

負

荷 試

験

　 定 常 負 荷

運

動

の

負 荷

量 を

決 定 す

るた めに

，

白 転 車

エ ル ゴ メ

ー

タ

（

COMBI

，

　

ERGOMETER

　

232CXL

_）

，

_{呼 気}

_ガ ス

分 析 装 置

（

ミナ

ト医 科 学

，

エ ア ロ モ ニ タ

AE300s

）

，

12

誘

導

心 電 計

〔［

1

本 光 電

，

ECG

−

9522

）

を

用

い て ，

20wat

レ分の

漸 増 負 荷

に よ る

運 動 負 荷 試

験 を

行

っ た

。

ペ ダ リン グ 回

転 数

は

50rpm

に

規 定

し

，

運

動

終

了

基

準

は

，

対 象 者

が

疲 労 困 憊

に 至っ た

時 点

と し た

。

得

ら れ た

結 果

か ら

，

換 気 性 作 業 閾 値

（以

下

VT

）

を

算

出 し た

。

　

VT

の

算

出

は

，

分 時 換 気

景 （以

ド

VE

）の

非 直線 的 増 加

，

酸 素 換

気 当 量

の

増 加

，

「

_{酸化 炭 素排 出 量}

の

非 直 線 的 増 加

，

呼 吸

交 換 比

の

急 増

に よ

り当

ては

ま

る

点

と し た tg

’

　） 。

2

） 定

常

負 荷

運

動

　

運 動 強

度

は， 運

動 負 荷 試 験

に よ

り算 出

し た

VT

検 出 時

点

の 連

動 強 度 を 基

準

に し て

，60

％

VT

， 100

％

VT

の

2

強 度 と し

，

強 度の 選 択 はランダム と し だ

，

呼 吸 様 式は

自

由

呼

吸 と

横

隔

膜

呼

吸の

2

_様

式 と

し，

横 隔 膜 呼 吸

の

学 習 効

果の影 響 を 排 除

す

る ため に

自 由呼 吸 後

に

横 隔 膜 呼 吸

での 運 動 を 行っ た

。

これ ら

4

条

件

の

糸

IJ

み

合

わ せ を それぞれ別 の 凵 に

実 施

し た，

，

　 定 常 負 荷 運 動

の プロ トコ ル は

，

3

分 問

の

安 静 後

に

，

20watt

で

1

分 間

の ウ ォ

ー

ム ア ップ を

行

い

，

6

分 問の

定 常

負 荷 運 動

を

実 施

し たtt その

後

，

1

分 問

の ク

ー

ル ダ ウンを

行

い

，

運 動 終 了

と し た

，

，

ペ ダ リン グ 囘 転 数 は

50

±

10rp

_皿 の 範 囲

内

で対

象 者

の 好 みの 回

転 数

を

維 持

させ た

。

呼 吸 諸

量 は

安

静

時

か ら 測

定

し

，

運

動 直 後

に

呼

吸

努 力

の程

度

につ いて の主

観

的 運 動 強 度 （以 ド

RPE

）

を

，

修

正 ボル グ ス ケ

ー

ル を

用

い て

聴 取

し た

。

3

＞

測 定 項 目

（

1

） 運 動

テ ン ポ

，

呼 吸

リズム

　 運 動

テン ポ は

，

電 気 角 度 計 を

用い て

膝

関

節 角 度

に よ り

決 定

し

，

呼 吸

リ ズムは

，

呼 気

ガス

分 析 装 置

を 用い て

呼

吸 フ ロ

ー

に よ

り

決

定

し た

。

　

全

ての 信

号

は， サンプ リング 周 波 数

100Hz

で

A

／

D

変

換 器

CADInstruments，

　

Power

　

I

．

ab ，’

16s）

を 用いて ア ナログ か ら デ ジ タル に 変 換 し

，

パ

ー

ソナル コ ン ピュ

ー

タ に

取 り込

みハ

ー

ドデ ィ ス ク に

保 存

し た

。

そ

の

後

，

パ

ー

_{ソ ナ ル} コ ン ピ ュ

ー

タ

．

E

で デ

ー

タ

解 析

ソ フ ト

（

ADIIistruments

，

　

Chart

　ver

．

5

） を

用

い て

運 動

と

呼 吸

を

同 期 表示 さ

せ た。

（

2

） 呼

吸

様 式

　

自 由呼 吸

お よ び

横

隔

膜 呼 吸

を 判

断

する た めに，

呼

吸 ピ

ッ _クア ップ

（

ADInstru

皿 ents

，

　

Piezo

　respiratory 　

be

_］

L

transducer 　

MLT

】

132

） を 胸 部 （腋 窩 レ ベ ル） と 腹 部

（

第

／

0

肋骨

レベ ル

）

に 巻 き

，

呼

吸

時

の

_胸

腹

部

運

動

に

伴 う

電 位

変

化 を 測

定

し た

。

電 位 変 化 が 大 きい ほ ど

，

その

部 位

の

円周

変

化

が 大 きい こ と を 示 す

。

自 由

呼

吸 とは

，

指 示

な しに

対 象 者

が

一

番 自然

に

行

える

呼

吸

様 式

と し た。

横 隔 膜

呼 吸

と は

，

先

行 研

究 に よ り吸

気 時

に

横 隔 膜

運

動

を

増 幅

さ せ

，

そ れに

伴 う腹

壁の

拡 張

運

動

を

強 調

させて

換 気

を

行 う

呼 吸 法

5） と し

，

吸 気 時

に

胸 部

よ

り も腹 部

を

膨 隆 さ

せる こ と を

意 識

さ せ た

．

横 隔 膜 呼 吸

の

施 行 前

に は

，

運 動 中

の

対

象

者

の

胸 腹 部

の

動 き

をモニ タ リ ン グ し

，

適 切

に

横 隔膜

呼 吸 を行 え

る

ま

で

指 導

を

繰 り返

し た

。

運

動負 荷

は

，

運

動

中

の

適 切

な

横 隔膜 呼 吸

が

可 能 と

なっ た

後

に

行

っ

た

。

（

3

） 呼

吸

諸

量

　 呼

吸

諸

量 は

，

呼 気

ガス

分 析

装

置

を 用い て

breath−by−

breath

法

に て

測 定

し

，

呼

気 ガス分

析

装 置

専

用 ソ フ ト

（

ミナ ト

医 科 学

，

AT

　

Window

_）

によ

り

VE

，

酸 素 投 取

量

（

以

ド

マ02

）

，

換 気 効 率

（

以

ド

寸

E

バ

℃2

）

，

1

回

換

気

量

（

以 ド

VT

）

，

呼

吸 数 （以 ド

f）

を

算

出 し た

／

t

3

，

デ

ー

タ

解 析

1）

呼

吸

様 式

　 吸 気 時

に

胸 部

と

腹 部

の ど

ち

ら

が

よ

り拡 張

して いる かの

呼 吸 様 式

の

指 標

と して

，

胸

腹

部拡 張

比

率

を 以 ドの式 に よ

り算

出し た

。

胸 腹 部 拡

張

比 率

＝

腹

部の

電 位 変 化

／

胸 部

の

電 位 変化

2） 運 動

一

呼

吸

1

μ亅調

　

6

分

の運

動 時

間の

う ち

の

，

呼 吸 諸 量

が

定 常 状 態

に

達

し た

最 後

の

2

分 間

の

値

をデ

ー

タ

解 析

に 用い _た

、

、

呼 吸 様 式の違いが 運 動

．

呼 吸 同調に与 える

影

響

343

　

運

動

一

呼

吸

同 調

の

判 定

に は

，

運

動

と

呼

吸の 周 期 間 位 相

差 を用

い

た

。

位 相 差 は

，

エル ゴメ

ー

タ のペ ダル

が 最 ド部

に あ る 時 点と

，

呼 気

ま た は 吸

気

の開 始 時

点

との

差

とした （図 1

_）

_。

運 動

一

呼

吸 同 調の判

定

は，

Ilill

ら ILI

）

の

基

準に

基

づ き

，

位 相 差

の

安 定

し た

状 態

（

変 動

が 土

0．

⊥

秒

以 下 ） の

4

呼 吸 以 上の持 続 と し た

。

1

呼 吸ご と に 呼 吸

番

弓

』

をふ

り

， その

呼

吸

番

号

ごと に

位 相 差

をプ ロ ッ ト し た

。

これ に よ り

，

位 相 差

が

4

呼

吸 以 ヒ連 続 し て

変

動 が±

0．

1

秒

以 ド と な る 部 分 を 同 調 時 と し た

（

図

2

）

。

　

ま た

，

運 動

一

11

乎吸 同 調 発

生

率

は 以

F

の

_式

か ら

算 出

し た13）D

胸 部

周 囲 径

甑 U

，

1

al

b

’ ： 一 一 　 　 ま　 　 　 ロ

！

，，

lt

　

＞

S

運 動

一

呼

吸 同 調 発 生 率

（

％

）

＝

　 　　

（

同 調

し た

呼

吸

数

／

解

析

区 間

の

全

呼

吸 数

）

xlOO

　

以 上 に よ

り

，

位 相 差

の

判 定

に

呼 気 開 始 時

点 を用い た伺

調 発 生 率

，

吸 気 闕 始 時 点 を用

いた

同調 発

生

率

を

算 出

し た。 さ ら に

吸気 も

し

く

は

呼 気

開

始 時 点

で

個 人

が

同調

し や

す

い

方

での

同 調 発

生

率 を算 出

した

。

ま

た

，

各 試行 内

で

，

同調

が

発 生

し てい る

期 間 （

以 下

同 調 時 ）

と

同 調 し

て い

な

い

期

間 （以 ド非 同 調 時 ） を 分 け

，

そ れ ぞ れの

呼

吸 諸 量 を

算 出

し た

。

腹 部

周

囲

径

膝 関 節 角度

呼 気

フ ロ

ー

i



_d

；

1

　 摩 i　　 i　　　　　　　　　I 崋 華　　　　　　11 1_一 一

3

壅

l

　

C

i

　 C

，

…

1 壅 摯 1 壅 　 　呼気

…

巨

吸 気

_…

砥

1

鼠

_＿

ノ

ヨ

N

　 　 　 図

1

運 動

一

呼 吸 同 調 a ：_{呼 気}開始

，

b

・

b

’

：_{吸 気}開始

，

　c ：_{吸 気}開始 時 点 との位 椙 差

，

C

’

：_呼気開 始 時 点 との位 相 差

，

d

： ペ ダル最 下 部

．

位 祁 差 （C

，

　C

’

｝ の安 定し た 状態 〔±

O

．

1

_秒以 ［

・

’

の変 動

）

の

4

呼吸 以 上の持 続 で 運

動

一

呼 吸 同調と し た

，

A

　 　 O

．

8 　 　 0

、

7 位 　o

．

6 相 　o

．

s

養

。

．

4tt °

・

3 　 　 0

．

2 　 　 0

．

1 　 　 〔｝

B

　 　O

．

8 　 　0

．

7 位 　o

．

6 相 　o

．

s

糞

。

．

4tt 　o3 　 　0

．

2 　 　0

．

1 　 　 0 123456789 艮G11 　 　 　 陣 吸番号 123456789iel ［ 　 　 　 呼 吸 番 号 　 　 　 　 図

2

　 連 動 と呼 吸の _{周 期}問位 相 差の変 動 呼吸番 号と は

，

1

呼吸ごと に 順 に 番 号 を 付 け た もの と す る

，

A ：同 調 発生時 （位 祁 差の変 動が ±

0

．

1

_秒以 ドの

4

呼 吸 以

．

lt

の 持 続 ） B ：非 同 調 発 生 時 （位 相 差の変 動が ±

0

．

1

_{秒以 下}の持 続が

4

呼 吸 未 満

，

4

．

統 計 処

埋

　 得

ら

れ

た

結 果

は

，

平 均 値

±

_{標 準 偏 差}

で

表

し たc

，

胸 腹 部

拡 張 比 率

の

呼 吸 様 式 間

の

比 較

，

お

よ び

呼 吸 諸 量

．

同 調 発

生

率

の同

強 度

で の

呼 吸 様 式 間

の比

較

に

対 応

の

あ

る t

検 定

を

用い た

。

ま

た

，

同

調 を発 生

し た

対 象 者

に

対

し て

，

各 試

行 内

で の同 調

時 と非

同

調 時

の 比

較

に

対 応

の

あ

る

t

検 定 を

用い た

、

ま た

，

同 調 発 生

率

と

呼

吸 諸 量の 関 連 性の有

無

を ス ピアマ ンの柑

関

関

係

分

析

を 用いて

検 定

を

彳

∫っ た

。

　

統 計 処

理には

統

計

用ソ フ トウェ ア （

SPSS

　

Japan

　

Inc

．

．

SPSS

　ver

．

12

．

OJ

　

f

〔〕r　

Willd

〔，ws

）

を

使 用

し

，

有 意 水 準

は

5

％ 未満

と し た。

結

果

1

．

呼

吸

様 式

　

自 山 呼 吸 に おいて は

，

60

％

VT

で は

，

10

名 中

4

名 が

胸 部

の

方

が よ

り拡 張

してお

り

，

6

名

が

腹 部

の

方

が よ

り拡

張

し てい た

。

ま た

，

100

％

VT

で は全て

腹 部

の

方

が よ

り

拡 張

し てい た

。

横 隔 膜 呼 吸

に おい て は

，

60

％

VT

お よ

び

100

％

VT

と も

に

，

腹 部

の

方

が よ

り拡 張

し ていた

。

自

由 呼 吸 と横 隔 膜 呼 吸の比 較で は

，

胸 腹 部 拡 張 比 率 は 自 山

呼

吸では

2

．

0

±

1

，

4

，

_横

隔

膜 呼 吸

では

5

，

9

±

7

，

1

で

あ り

，

横

隔 膜

呼

吸の方 が

有

意 に 高

値

を

示

し た

（

p

＝

0

．

035

）

。

2

．

運 動

一

呼 吸 同 調

　 運 動

一

呼 吸 同調 発

生

率

は

呼 吸 様 式

に よっ て

有 意 差 を認

めな かっ た

俵 1

）

。

各

運 動で 同 調 を 発 生 し た

対 象 者

は

，

10

名

中

，60

％

VT

に おい て

自

山

呼

吸 で

8

名

， 横 隔 膜

呼

吸

で

6

名

で あ り

，

ユ

00

％

VT

に おい て

自

由

呼

吸で

6

名

，

横

隔

膜 呼 吸

で

7

名

で

あ

っ た

（

表

2

）

。

ま

た

，

各 強 度

で

白

由

呼

吸

_，

横

隔

膜 呼

吸の ど ち ら に

も同 調

を

発

生 し た

対 象 者

は

，

10

名

中

，

60

％

VT

で

4

名

，

100

％

VT

で

5

名

であっ た

。

3．

呼 吸諸 量

1

）

同 強

度

での 呼 吸 様 式 間の比 較

　

60

％

VT

で は

，

呼

吸 諸 量 は

呼

吸

様

式 間で

有

意 差 を

認

め

な

かっ た

。

100

％

VT

で は

，

横

隔

膜 呼

吸で の

VE

，

344

理学 療 法学

　

第

36

巻 第7号 表1

　

運 動 別の呼吸 諸 量

，

同調 発 生率 60％VT 100％

VT

（n

＝

10

）

自

山

呼

吸

　 　

横 隔 膜呼 吸 自 山呼 吸 横 隔 膜 呼 吸 運 動 強 度 （waU

．

） 同 調 発生率 （％ ）

　 　

吸気開

始

　 　 呼 気 開 始 　 　吸 気 も しくは呼 気 開始

寸

02



（nl虐 ／nliI1／

kg

）

“

E （ξ

．

，

’

MiT1 ）

寸E

バ

  2f （／rl血 ）

VT

（

e

） RPE 84

．

6± 19

．

1 33

．

6 ±27

．

5

29

．

6

ゴ：

20

．

0

36

．

9 ±26

．

3

20

．

4

．

±3

．

6

34

．

31

　±

4

．

59 25

_．

₅

±

2

．

826

．

1±

4

．

2L34

±

024

　

2

．

4± 1刀 26ρ±

29

．

5

29

．

8

± 31

，

3

35

．

5

±

42

．

］ 20

．

0 ± 3

．

8

31

、

42 ± 724

23

．

5

±

2

．

622

．

4± 9

．

61

．

49

±

0

．

28

　2

．

7± 1

．

9 14／

．

0

±

3L9

34

．

6

±

42

，

3

27

．

8 ±

34

．

5

34

．

⊥　±

33

．

0

32

．

6±

8

．

4

61

．

74 ± 16

．

92

28

．

5

±

2

．

63

δ

．

0±

7

．

21

．

78

±

0

．

39

　5

．

0± L7 30

．

5 ±32

．

8

29

．

2

±

32

．

9

35

．

5±33

．

8

31

．

7

±

7

．

5

　 　 　 ＊ ＊ 53

．

93 ±　16

．

36

25

．

5

±

38

＊

29

．

9±11

．

2＊ 1

．

89 ±

O

．

37 　5

．

0± 2

．

1

〔

Illeall±

S

．

D

．

_）

＊

p＜0

．

05vs 自由呼吸 100％VT

_，

＊＊ p ＜0

．

Ol　 vs 自山呼 吸100％

VT

　

対 応の あるt検定

†

E

：_分時 換気量

，

†

02

：酸 素 摂 取 量

，

Ψ

E〆†

Oz

：換 気 効

率

，

　

_f

：

_呼

吸 数

，

　

_VT

：

一・

回

換気

量

，

　

_RPE

： 主観 約 運 動 強 度 表

2

　 同調 時

，

非 同 調 時の 呼 吸諸 量

60

％

VT

100％

VT

自由 呼 吸 （n

＝

8

）　 横 隔 膜 呼 吸 （n

＝

6

） 自 虍呼 吸

（

n

＝

6

〕

　

横 隔膜

呼

吸

Cn；

7

）

†

E

（

e

’

／min

：

〕

寸

02

（m 彦／min ／

kg

）

†

E／

マ02

同調 時 非 同 調lr寺 同 調時 非 同 調 時 同調時 非 同 調 時

35

．

47

±

5

．

36

34

．

15

±

4

．

79

2D

．

5 ± 4

．

0＊

20

．

1

　±

3

．

826

．

7± 2

．

1

26

，

2

±

2

」

33

．

52

±

9

．

01

33

．

03

±

8

．

24

19

．

6±4

．

519

．

3

±

4

，

024

．

5± 2

，

62

，

₁

_．

₆

±

2

．

8

−

一．

　 p＜0

．

05

63

．

5⊥± 14

．

90

63

．

94

±

16

．

32

35

，

3

±

7235

．

2

±

8

．

1

27

_．

₇

±

2

．

728

．

〔〕±2

．

5 50

，

73 ± 17

．

11 50

．

94 ± 15

，

25

30

．

9

：ヒ

7

．

73

⊥

．

2± 7

．

625

．

3

±

4

．

1

25

．

3± 3

．

8 （mean ±

S

．

D

．

）

マ

E

：分時 換 気量

，

S

）

’

02

：

_酸

_素

_摂

_取量

，

章

E

／

寸

021

換 気 効 率 vs　自 由60％VT 非 同調 時 　 　対応のあ る t検 定 　11，〔〕 　 go 　 呂0 　 1［r

羂

、。

 

礬

斗け 　 30 　 20 　 i〔卜 　 o 　 磐 由 岬 吸 　 　 　 o

▲

　 　 　 O 　　 　 Q

　　　　　　　　　

D 　 　 ゐ　▲ 　 ▲ ▲ 　 　 　 L

・

r2D 　 ▲ 　 　 　

厂

．

．

0

、

111 　 ▲ 　 　 　 　ρ

．

．

D　642 　 　 　 ▲　o 　 ▲ 　 　 　 　o L

−一

一

」

L

−一

一

一

一

一

io

−一一

Io　　　 ？ロ　　　3o　 　　ヰむ　　 　so 　 　 VO

：

〔m2

．

尸

nlin ’kg_） 　 1（｝［｝ 　 go 　 so 　 TO

誤

、。

塞

5。

裏

4。 　 30 　 ユu 　 l〔〕 　 〔｝ 横隔糢 呼吸 ▲ 　 　 ▲ 　 a ▲

　　

oo D 　 　 ▲ム　　　 　　　　n

−

2  　 　 　 r 　Oエロ44 　 　 　 0_n

−

_〔1

．

_ss4 　 ▲ 　 　 　 　 O 　o 　 　

▲

　　 　　0 − 1o　 　　2o　　 　 ユ　　　 　4o 　　 　Sb 　 　 守〇

三

（m2／tubVkg 冫

　　　

図3

や

o、と 同 調 発 生

率

の欄 〔▲

60

％

VT

，

　

O

　

mO

％

VT

）

VO2

：酸 素 摂 取 量 　1軸 　 りじ 　 脳， 　 アリ

羂

、。

埀

，。

養

、。

阜

　

3〔｝ 　 ！ゆ 　 1ゆ 　 o BPtop吸 　 o

　 ▲

　 　 θ 　 　 　 o ▲　　 　▲ 　 ▲ 　 　 　 　▲ ▲ ▲ 　 ▲ o ▲ 　 L

］

−

20 　 r

．

．

o 騨 1 　戸

一

〇7030 一 lF　 　 　20　 　 　25　 　 　 ］0　 　 　35 　 　 　 　 ΨE

，

，

VO2 　 100 　 りo 　 踟 　 JO

騎

・・

梁

，・

轡

、。 診 5   　 2〔， 　 Io 　 o 戯…冨 膜呼 吸 ▲ o ▲ o o

▲

o 　▲　　ら 　 　 　 1

．

／

−

2〔， 　 O　 　 　 rO

．

34s 　 　 ▲ o　　　　厂 O

・

L32

晃

［− 5 　 　 　 s，E

，

’

“c）：

　　

図4



や

E

バ

て）_{2 と}同 調発生率の相 関 （▲ 6〔〕％

VT

，

　

O

　tOD％

VT

＞

X

：

．

EAITO2

：換 気 効 率

VE

〆

VO2

，

　

f

が 自 由 呼 吸

に

対

して

有 意

に

低 値

を

示

し た

（

p

〈

0

．

OOI

，

　

_p

＝

0

、

009

，

　

_p

≡

0

．

Ol

ユ）

（

表

1

）

。

2

） 各 試 行 内

で の

_{同 調 時}

と

非 同 調 時

の比

較

　

各 試 行

で

1

司調

を 発 生 し た

対 象 者

に おい て

，

自 由

呼

吸 で の

60

％

vT

で

，

同 調 時の

VO2

が 非 同 調 時 に対 して有 意 に

高 値

を

示

し た

（

p

＝

0

．

016

） （

表

2

）

、

，

3

） 同 調 発

生

率

と

換 気 効 率

，

酸 素 摂 取

量の

相 関

　

同 調 発 生 率 と

60

％

VT

，

100

％

VT

にお け る

て

E

〆

マ02

，

VO2

に

有

意 な

相 関

は

認

め られ な かっ た （図

3

，

4

）

。

考

察

　

本 研 究では，

自

由 呼 吸 と横 隔 膜

呼

吸の呼 吸 様 式の

違

い が

，

運 動

一

呼 吸 同 調

に

与 え

る

影響

につ い て

検 討

し た。

呼吸様 式の違いが 運動

一

呼 吸 同 調に与 える影 響 345

　 呼

吸

様 式

の

確 認

と して

，

運

動 巾

の

胸 腹 部

運

動

をモ ニ タ リング し た

。

その

結 果

，

横 隔膜 呼 吸 時

に

は胸 部

よ

り も腹

部 が よ り拡 張 してお り

，

さ ら に 横 隔 膜

呼

吸 時の

腹 部

の

拡

張

は

，

自

由

呼

吸 時 よ り も

有 意

に

高 値

を 示 した

。

以 上 に よ

り

，

横 隔 膜

呼

吸

時

に は

，

自 山 呼 吸

よ

り も

よ り

吸 気 時

の

腹

壁の

拡 張

運

動

が 強 調 さ れ た 呼 吸 が 行 えてい た と 考 え ら れ る。

呼 吸 諸 量

の

呼 吸 様 式 問

の比

較

で は

，

100

％

VT

（

中

強 度 運 動 時

）におい て

，

横 隔 膜 呼 吸

で の

VE

，

　

VE

／

VO2

，

f

が，

自 山 呼

吸に

対

し て

有 意

に

低 値

を

示

し

，

換 気 効 率

の

改 善

が 認 め ら れ た

。

　

同 調

発 生 率

は

10

人

の

対

．

象 者

に おい て

，

60

％

VT

で は

O

〜

93

％

，

100

％ ▽

T

で は

O

〜98

％ と 個 人 差 が 非 常 に 大 き かっ た

。1

司調 発 生

率

につ い て

，PatersOll

ら⊥7）は， サ イク リ ン グ運

動

にお ける 同 調 発 生

率

は

19

人の

対

．

象

者で

13

〜62

％

で

あ り

，

個

々

_人

で

大 き く異 な

るこ と

を報 告

し ている。

ま

た

，

トレッ ドミ ル

歩 行

に

お け

る

同 調 発

生

率

で も

，

38

人の

対 象 者

で

O

〜

80

％と

個

人

差

が

大 き

い ことが

報 告

さ れて い る⊥m。

ま

た

，

先 行 研 究

でのサ

イ

ク リン グ 運

動

に お け る

同 調 発 生 率

の

平 均 値

は

，

26

％

17／

’

，

および

20

％ ll）で あ り

，

本 研

究

に お け る 同 調 発 生

率

の平

均 値

は

36

％ で，

呼

吸

様 式

問 で

違

い が 認 め ら れ な か っ た

。

以

E

の

結 果

よ

り

，

本 研 究で は

，

中 強 度 運

動

時にお ける横 隔 膜 呼 吸の呼 吸 諸 量へ の効 果 は 認 め ら れ た が

．

低

〜

巾 強 度 運

動 時

におい て

横 隔 膜 呼 吸

を

行 う

こ と は

，

同 調 発

生

率

に

影

響

が

少 な

いこ とが

示 唆

さ れた

。

　 先 行 研 究

で は

，

低 強 度

運

動 時

において同 調

発

生

率

が

実

験 条 件

によっ て

影 響

さ れ

な

い 理

由 と

し て

，

低 強度

運

動 時

で は

呼

吸 調

節

に おい て

多様

なパ タ

ー

ンが冂

f

_能

であ り

，

呼

吸

リ ズム は

他

から の

刺 激

の

影 響

を

受

け や すい の で はない か

と推 察

し てい る13）

。

呼 吸

リ ズム は

，

心 拍

リ ズムな ど と 同 様の 比 較 的 速い生 体 リズム であ る が

，

他の生 体 リズ ム との大 き な 違い は

，

呼

吸 リズムは 主に

延 髄

で

巾枢 件

に 形 成 さ れ

，

低 酸 素

や二

_{酸 化 炭 素}

ま た は

水 素

イ オン に

対 す

る

化 学 感 受性

が

非 常

に

高 く

，

種

々な

条件

ドに リズム が

容

易

に

変

わっ て

し ま う 点

で

あ

る 201’　

．

_ま

_た ，

呼 吸 運 動

は し ば し ば

反 射 性

に

停 止 し

，

短 期 間

で

あ

れ

ば 随 意 的

に

1

ト

め る こ と

も

可

能

である 2ω

。

木

研 究 で は， 低

〜

巾 強 度 運

動 時

におい て

横 隔 膜 呼 吸 を行 う

こ と に よ り，

呼

吸

数

は

減

少 し， ゆっ

く り

と した

呼 吸

に

な

っ た が

，

自由 呼

吸

時

と

1

司

様

に

呼

吸 リ ズム は

変 動

しや

す

い た め

，

運

動

一

呼

吸

同調 発

生

率

に

影 響

し な かっ たので は ない か と

推 察

さ れ た

。

　

本

研

究

では

，

換 気 効 率

の指 標 と して

，一

定

の

酸 素

を

摂

取 する た め に どれほ どの換 気 が 必 要 か とい

_う

こ と を 比

較

検 討

し

，

ま

た

，

運

動

一

呼

吸 同 調 発 生の利

得

であ る 同 調

時

の

†02

の

減 少

が

換 気 効 率

に

与 え

る

影 響 を 明

ら か に

す

る た め に

，

換 気

効 率

の 指

標

とし て

酸 素 換 気

当 量 であ る

VE

〆

VO2

を

用

いた

。

その

_{結 果}

，

_{同調 時}

と

非

同 調

時

の

呼

吸 諸 量の比 較 で は

，

自

由 呼 吸で の

60

％

VT

におい て

同 調

時の

VO2

が

，

非 同 調 時 よ り

有 意

に

高 値

を 示 した が

，

100

％

VT

で は

有 意

な

養

を

認

め な かっ たu

ま

た

，60

％

VT

お よび

100

％

VT

におい て

，

同 調 時 と非 同 調 時の

VE

，

VE

／

VO2

に は

有 意

な 差 を

認

め な かっ た

。

さ らに

，

60

％

VT ，100

％

VT

に

お

い て

同 調 発

生

率

と

章02

，寸

E

ハ

》

02

に 柑 関 は 認 め な か っ たこ とか ら

，

本

研

究

の

結

果で は

，

運

動

一

呼

吸 同 調

が

換

気

効

率

を

改 善

させ る

効 果

は認め ら れ な かっ た

。

し か し

，

先

行

研

究

で は

Bernasconi

ら 1P は

，

60

％ および

80

％

_{peak ▽02}

で の中 強 度 以

E

の運 動 時に

，

同 調 率 が 高

い ほ ど

VO2

が 減 少

し

，

換 気 効 率

が

改 善

し た と

報 告 し

て い る

。

ま

た

，

Rassler

ら15｝ は

，

高 強 度 運 動

時で は

_，

運 動 と

呼

吸の 同 調 が圧い のエ

_ネ

ルギ

ー

消 費

の

抑

制

に

有 効

で あ り， 回 調の

効

果 で

あ

る

†

02

減 少 も

現 れ や すいが

，

低

強 度 運 動 に おい て は

，

同 調の

効

果 は 現 れ に

く

く

，

生

理 学 的 意 義 も低

いの では ない か と

推 察

して い る

。

さ ら に

，

安 口

21）は

，

動 作

が

呼 吸

を

制 限

し

な

い

最 大 下

の

運 動

において

，

運

動

一

呼 吸 同 調

の

も

つ

_{呼 吸 機 能 而}

で の

意

義

は

大 き くな

いが

，

胸 部 あ

るい は

腹 部

の

筋

が

呼 吸 以 外

の

目的

に

も動 員

さ れ るよ

う な激

しい

運 動 時

で

あ

れ

ば

，

同

調

は

換 気

効

率

を

改 善

す るので は ない かと述べてい る

。

呼

吸

補 助

筋の動

員

を

筋

電 図 に よ り

検

討 した

先 行

研 究 で は

，

若

年

健

常 者

で も換

気

量 が

増

加

す

る ことによ

り呼

吸

補

助

筋

の 動

員

が 始 まる と さ れてい る22）

。

従

っ て

，

換 気

の亢 進 を

伴 う 高 強 度運 動

で は

，

胸 腹 部

の

筋 活 動

と

呼 吸 運 動

と

を同

調

させ るこ と が

，

運 動

と

ll

乎吸

の 互いのエ _ネルギ

ー

消 費

を

抑 制

する と

推 察

さ れる

。

以

lt

の よ

う

に， 高 強 度 運 動 時 で は 同 調の

呼

吸

機 能

へ の

効

果 が

報 告

さ れ てい る が

，

本 研 究 の低

〜

中 強 度 運 動で は

，

同 調の 利 得 が 得 ら れ に く かっ た

。

この こ と か ら

，

運

動

一

呼

吸 同

調

は

，

呼 吸 運 動

が 四

肢

運

動

に よっ て

影響

さ れ る よ

う

な

強 度

の運

動 時

に おい ては

，

互 い の エ ネルギ

ー

消 費

を

抑

え

，

機

械 的

効 率

を

改 善 す

る の で は

な

いか と

示 唆 さ

れ る。

本研 究

で は

慢 性 呼 吸器 疾 患 患 者

の

運 動 療 法

で

昌

ご

用

い

ら

れる

低

〜

中 強 度 運 動 を 行

っ た が， 健 常 者 に おいて は

，

これ らの 強 度の運

動

は

，

呼 吸

に

影

響

を

ケ

え

る ま で に 至 ら ず

，

同 調

の

効 果

が

現

れ

な

かっ た の では ないか と

考 え

ら れ た

。

　

ま た

，

浅 く

B：

・

い

呼

吸パ タ

ー

ンが

認

め

ら

れる よ

う な慢 性

呼

吸

器

疾 患 患

者

では

，

横

隔

膜 呼

吸 に よっ て

呼 吸 数

の

減 少

，

．

_何

換 気

量の

増 加

が 起こ

り

5

−

7〕

，

深

い ゆっ

く

り した

呼

吸 パ タ

ー

ンに

な

る こ とで

，

本研 究

と

異 な

る

結 果

に な る 可

能

性 が あ

る。

Il

乎吸 困難

の

あ

る

患 者

で は

，

安 静 時

か ら

胸 腹 部

の

筋

が

呼

吸 補 助

筋

と して動 員 さ れてお り23）

，

目常 生 活

活 動 な

どの

低

〜

中 強度 運動

に おいて

も

運

動

と

呼

吸 を

同調

さ せる ことが

呼 吸 機 能

に

何

らかの

影 響

を

与 え

る冂_{∫能 性 が} ある

。

従

っ て

，

今 後

は

健 常 者

の

結 果

を 踏 ま

え

，

適

切 な 強 度や

慢 性 呼

吸

器

疾 患 患

者

において

も検 討

してい

く

必

要

が あ る

、

、

346 理 学 療 法 学 　 第

36

巻 第

7

号

結

論

　

健 常 男性 を対 象 と

し て

，

低

強

度

お よ び 中 強

度

下 肢エ ル ゴメ

ー

タ 運 動 中の呼 吸 様 式の 違いが 運 動

一

呼

吸

同

調 発 生

率

お よ び

運 動

一

呼

吸 同調

と

呼 吸 諸 量

の

関 係

に

与 え

る

影 響

につ _い て

検 討

した

。

健 常 者

で は

60

〜

100

％

VT

強 度

の 運

動 時

には

横 隔 膜 呼 吸

を

行

っ て

も同調 発

生

率

に

影 響

が

少

な く

，

同 調 現 象

に

対 す

る

呼 吸 諸 量

の

利 得

で

あ

る

酸 素 摂 取

量の減

少

，

換

気 効

率

の

改

善 が 得 ら れ に くい こ と が 示 唆 さ れ た

。

文 　 　献

1）

Stavem

　

K

，

　Boe　

J

．

　et α1こ HeaLし［l 　 s！atus

．

　

dyspnea

，

　Iung

　 fullCtioll　and 　cxercise 　capaclt

．

_yin　_patlenLs　wilh chrorlic

　 obst 「uctive　Pし山τlonary 　

disease

．

11t

　

J

　

Tuberc

．

　

Lung

　

Dis

．

　

1999

；

3

：

920

．

−

926

．

2

）

Mahler

　

DA

，

　

Faryniurz

　

K

，

　et 〔tl：

Impact

　ef　

dyspnea

　and

　 physiologic　

function

　on　genera⊥

1

／ealth　status　

in

　patients

　 with 　chronic 　obstrucdve 　pulmonary 　

disease

，

　

Ch

〔こst

．

1992

；

　 ⊥02：　395

−

401

．

3

）

H

本

呼

吸

管

理学

会

呼 吸リハ ビ リテ

ー

ショ ン_{ガ イ ド ラ イ}ン_作

　

成

委

員 会

，

日本 呼 吸 器 学 会ガ イ ドライン試 行

管

理

委

員 会

，

　 他 ：呼 吸リハ ビ リテ

ー

ション マ ニ ュ ァ ル

．

運 動 療 法 　

．

照

　

，

林 社

，

東京

，

2003

．

pplO

−

28

．

4

）

千

荘 秀明

：

_呼

吸リハ _{ビ リ テ}

ー

シ ョ ン入 門

．

神 陵 文庫， 神戸

，

　 2004

，

pp83

−

145

．

5）

Cahalin

　

LP

，

　

Braga

　

M

，

　 et 　al

．

二

Efficacy

　of　

diaphragmatic

　 brealhingin　pers〔ms 　with 　chronic 　obstructive 　puliτ］onary

　

disease

：arevie “

’

of　

lhe

　

litcrature

．

　

J

　

Cardiopt

⊥

lm

　

Rehabil

．

　 2002；22：7

−

2⊥

．

6）神 津 　玲

，

朝 井政治

，

他 ：慢 性閉塞 性 肺 疾 患 患者に 対 す る

　

横 隔 膜 呼 吸 法の 臨 床 的 問 題 点

．

日 本

呼

吸

管

理学 会 誌

．

　 2003；⊥3：307

−

310

．

7

＞

Ries

　

AL

，

　

Bauldoff

　

GS

，

　et　al

．

：

Pulmonary

　

Rehabilitation

：

　 」o ｝nt　

ACCP

／

AACVPR

　

EvideI

匚ce

−

Based　

Clinical

　Prac1

．

ice

　

Guldelines

，

　

Chest

，

2007

_；131：4

−

42

．

8） 横山茂樹

，

千 住秀 明

，

他 ：運 動 中 に おい て 腹式 呼吸 に よ る

　

呼 吸コ ン トロ

ー

ルが呼 吸 循 環 動 態に及ぼ す

影響

．

長 崎 大

学

　

医 学 部 保 健 学 科

紀

要

，

2002；15；6368

．

9）玉木 　彰

．

長谷川聡

，

他 ：急 性増悪時の呼 吸 リハ ビ リテ

ー

　 　シ ョン

，

COPD 　FRONTIER

．

2005；4；

205

−

2

⊥⊥

．

10） 黒 澤 　

．−

1教 育 的 指 導 （

AD

工

、・

禁 煙 ） と心 理 面のサ ポ

ー

　　

ト

，

動画 で わ か る

　

呼 吸 リハ ビ リ テ

ー

ショ ン

．

高 橋 仁 美

，

　　

宮川哲 夫

，

他 （編）

，

中1「1書

店

，

朿京

，

2006

，

pp⊥

81192

、

lD　

Bernasconi

　

P

，

　

Kohl

　

J

：

Analysis

　e［co

・

ordinalion 　betwccn

　 　

brcathing

　and　exorcisc 　rhyth1

．

ns　

ill

　man

，

　

J

　

Physiol

．

1993_；

　 　471；69

．

　：3

−

706

．

王2）

H

皿

AR

，

　

Adams

　

JM

，

　et　al

．

：

Shor

［

．

1crln　crltrainment 　of

　　

ventilation



to



the



walking

　

cycle



in



humans

．

　

J



Appl

　 　Phvsie］

，

1988i　65：570

−

578

．

13

）

Seebaucr

　

M

，

　

Siller

　

T

，

　etα

1

．

：

Infhuellce

〔）

f

　

hypexia

（m　c〔x｝r

−

　 　dillation　

be

しween 

breathing

and 　cycling 　rhythms 　

in

　 　women

．

　

Eur

　

J

　

Appl

　

Physio1

．

2003

_；

89

：

9e

　

94

．

14

）

Garlando

　

F

，

　

Koh

且

J，

　et　al

．

：

Effcct

　of　coupling 　the　

breaLh

−

　 　

ing

−

and　cycling 　rhythJns 　Qn　oxygen 　upLake 　

during

　

bicy

．

　 　cle　ergometry

．

　

Eur

　

J

　

Appl

　

Physiol

　

Occup

　Ph｝・siol

．

⊥985：

　 　54；497

−

」

「

Ol

．

15

＞

Rasslcr　B

，

　Kohl　

J

： Analysis

　

of　coordination

　

beLweell

　　

breathLng

　

and



wa1king



rhythms



in



humans

．

　Respir

　 　Physiol

，

19

．

　96；IQ6：3⊥

7

−

327

．

L6） 高 野成子：運動の テ ンポ と呼吸リズム

，

呼 吸

，

宮 村 実 晴

，

　　

古賀 俊 策

，

他 （編）

，

ナップ

，

東 京」 998

，

pp30

−

41

．

17）Paterson　DJ

．

　

Weod

　

GA

，

　et 　al

．

：Tbe　entralnrr ）eni　of　ven

−

　 　tilation　

frequency

　to　exercise 　rhythln

．

　

EurJAppt

　

Physio

⊥

　 　

OccLlp

　

Physiol

．

1986

；

55

：

530

−

537

．

］

．

8

）

Takano

　

N

，

　

Deguchi

　

H

：

Sensa

し

ion

　o 「

breathless

匚less　and

　 　respiratory 　oxy 彗en　cost　

durlng

　cycle　exercise 　wlth 　and

　 　withoL

．

tt　conscieus 　c［】tra 血lllen1

．

　of　thc　

breathing

　rhythm

．

　 　Eur　

J

　

Appl

　Physiol （）ccup 　

Physiol

．

1997；76：209

−

213

．

19）Beaver　

WL

，

　Wassermal1　K

，

　et　al

．

：

Anew

皿ethod 　

for

　 　detecting　anaerobic 　threshold 　by　gas 　exchange

．

　

J

　APpl

　 　Physio［

．

1986；60：2e20

−

2027

．

20）木 村 直 史 ：呼 吸リ ズム生成とカオス

，

呼 吸のバ イ オロジ

ー

　 　 なぜ呼 吸は と め ら れるか

，

佐 藤 次 郎 （編〕

，

メ デ ィカル

・

　　

サ イエ ン ス

・

インタ

ー

ナショナル

，

東 京

，

2004

_，

_pp42

−

48

．

21

）安田好 文 ：運 動の テ ンポ と呼「_吸

．

_{体 育}の科 学

．

1995；d5： 　 　

25

．

．

31

．

22

）

Campbelt

　

E

；

Accessory

　

musclcs

．

　In： Agosu ）ni 　E



and

　 　

Davis

　

J

_（eds）：

’

1

’

he

　

Respirazoi

・

y　muscles ：n】echanics 　and

　 　neural 　control

，

2nd　ed

．

　

Philadelphia

，

　

WB

　

Saunders

，

1970

．

　 　PP181

−

⊥93

、

23） 千 住 秀 明 ：呼吸 リハ ビ リテ

ー

ション人 門

．

神陵 文 庫

，

神戸

，

"gQszl･xJkoxividi{maet-ngzwmmu:!ikes.few 347

<Abstract>

Breathing

Patterns

do

not

Influenee

Coordination

between

Breathing

and

Low

or

Moderate

Intensity

Exercise

Rhythms

Erika

IWAMOTO,

RPT,

Kiyokazu

SEKIKAWA,

RPT,

PhD,

Makoto

TAKAHASHI,

RPT,

PhD,

Tsutomu

INArv'IIZU

)vlD,

PhD

Graduate

Schoog

of

Hbatth

Sciences,

Hiroshima

University

'

Purpose:

To

alleviate

dyspnea,

_physical

therapists

oftcn

instruct

patients with chronic

lung

disease

to

do

diuphragmatic

brcathing

and coordination

bet.ween

their

breathing

and exercise rhythms.

IIowever,

the relationship

between

brcathing

patterns and exercise coordination remains unknown.

This

study aLmed to

investigate

the

infiuence

of two

brcathing

_patterns

on coordination

between

breathing

and exereise rhythms.

Methods/

Incremental

exercise

testing

was

_performed

with aergometer

in

10

heatthy

male subjects

and ventilatory

thresho]d

(VT)

determined.

Exercise

illtensity

was

dcfined

as according with two

workloads corresponding to

60%

VT

and

100%

VT,

respectiveLy.

Subjects

used

two

breathing

patterns,

spontaneous and

diaphragrnat.ic.

Subjects

cycled

four

different

exercise

_protocojs

for

6

tnLnutes

(twc}

intcnsities

and

two

breathing

patterns).

During

cycling,

leg

mevements. respiratory

parameters and thoracoabdominal perimeters were continuousl}, recorded.

Coordination

was

considered Lo

be

_present

when the

_phase

interval

between

the

leg

movemem. cycle and

inspiration

(or

expiratien)

disp!ayed

a constant value ±

O.10

seconds

for

at

lcast

four

consecutive

breaths.

Results:

The

degree

of coordination

(%COORD)

wasn't significant]},

different

between

tbe

two

breathing

patLerns.

When

breathiiig

and cycling rhythms were coordinated, oxygen uptake was

significantly

higher

than

when not coordinated at w･orkLoads of

60%VT

with spontaneous

breathing

{p

<

O,05).

However,

between

group

differences

for

allother exereise parameters were not significant.

Nor

was

there

significant coordination

between

%COORD

and oxygen uptake, and

%COORD

and

oxlrgen equivalent.

Conclusion:

These

results suggested that

breathing

control

does

not affect

%COORD,

and

that

coordination

between

brcathing

and cycling rhythms

does

not necessarily cause a reduction

in