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平成8年2月28日\(水\)

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02-04 平成14 年 7 月 5 日 国民生活センター ノンフロン冷蔵庫の環境性と安全性

1. 目的

大気中にフロンが放出されるとオゾン層の破壊や地球温暖化などにより、健康被害や 海面の上昇、異常気象などの影響が考えられている。このため、冷蔵庫やエアコンなど の冷媒に使用されているオゾン破壊係数注)の大きな特定フロン(CFC クロロフルオロカーボ ン)は、製造が全廃された。また、その後開発されたオゾン破壊係数が比較的小さな HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)やオゾン層を破壊しない HFC(ハイドロフルオロカーボ ン)などのフロンも地球温暖化への影響が大きいことから京都議定書(COP3)において規制 の対象ガスとして組み入れられた。 このようなことを背景に欧州では、フロンに替えてオゾンの破壊がなく地球温暖化の 影響が小さな可燃性の炭化水素(イソブタン)を冷媒とした冷蔵庫が 1990 年代に開発され 広く使用されてきた。しかし、我が国で出荷される年間約500 万台(平成 13 年度 生産動態 統計調査)の冷蔵庫や国内保有の約 5,500 万台のほとんどは、フロンを冷媒とした冷蔵庫 であり、これまでノンフロンの冷蔵庫が開発・発売されなかった。これは、我が国が欧 州と異なり高温多湿な気候で冷蔵庫に霜取用ヒーターを装備しているため、冷媒が漏れ たとき、この霜取ヒーターが着火源となる恐れがあったためと言われている。このよう な状況下、外国製のノンフロンの冷蔵庫が輸入販売されるようなこともあってか、今年 に入って、安全上の技術的解決を図り、環境にやさしいとするノンフロン冷蔵庫が、初 めて国内の2 メーカーから相次いで販売された。 一方、PIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)には、「冷蔵庫の冷媒が漏れ て冷えなくなった」などの冷媒漏れに関する相談事例が見受けられる。 そこで、ノンフロン冷蔵庫は、従来のフロン(HFC)冷蔵庫に比べ庫内温度や冷却速さ 等がどのように異なるのか、また、消費電力量や冷媒の排出による地球温暖化への影響 がどうなのか調べるとともに、万が一可燃性の冷媒が庫内に漏れた場合、霜取用ヒータ ーが着火源となることがないのか調べるほか、どのような安全対策が図られているのか 外観調査を実施することとした。 以上、性能や環境性、安全性などについて調べ消費者に情報を提供する。 注)オゾン破壊係数とは,オゾン層を破壊する特定フロン(CFC)を 1 としたときの相対的数値.

2. テスト実施時期

検体購入 平成13 年 8 月及び平成 14 年 2 月 テスト期間 平成13 年 9∼平成 14 年 4 月 1

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3. テスト対象銘柄

現在、ノンフロンの冷凍冷蔵庫(以下ノンフロン冷蔵庫という)は、定格内容積が約 300 ㍑のものを中心に販売されている。また、購入時点(平成 14 年 2 月)で販売されている 国産ノンフロン冷蔵庫は2 メーカーに限られており、それに外国製の 2 銘柄を加えた 4 銘柄をテスト対象とした。また、参考品として庫内容量などがほぼ同等のフロン(HFC) を使用した冷蔵庫2 銘柄(320∼323 ㍑)を加えた計 6 銘柄をテスト対象とした。 なお、本文での銘柄名は「製造又は販売会社名」の簡略名称とする。 表1.テスト対象銘柄 区 分 冷 媒 冷 却 方 式 銘 柄 型 式 製造又は販売会社 定格内容積[L:リットル] カタログ表示 年間消費電力量 [kWh/年] 冷媒封入量[g] メーカー希望 小売価格 [円] 冷凍冷蔵庫 ER8503B エレクトロラックス・ ジャパン㈱ [スウェーデン製] 2ドア:321 冷蔵室:239 冷凍室: 82 467 冷蔵室:28 冷凍室:44 235,000 冷凍冷蔵庫 KF7562S ミーレ・ジャパン㈱ [ドイツ製] 2ドア:307 冷蔵室:222 冷凍室: 85 449 冷蔵室:25 冷凍室:58 268,000 ノンフロン 光プラズマ鮮蔵庫 GR-NF47K ㈱東芝 5ドア:465   冷蔵室:242 冷凍室: 88 (アイスルーム含) 野菜室:108 切替室: 27 280 48 オープン価格(注3) ノンフロン 冷凍冷蔵庫 NR-C32EP 松下電器産業㈱ 3ドア:320 冷蔵室:195 冷凍室: 70 野菜室: 55 370 50 140,000 プラズマ鮮蔵 GR-322BK ㈱東芝 3ドア:323 冷蔵室:170 冷凍室: 68 野菜室: 85 410 145 オープン価格(注4) トリプル冷却冷蔵庫 NR-C32D2 松下電器産業㈱ 3ドア:320 冷蔵室:195 冷凍室: 70 野菜室: 55 420 130 132,000 イ ソ ブ タ ン R 6 0 0 a H F C 1 3 4 a 冷 気 強 制 循 環 方 式︵ 注 2︶ 冷 気 自 然 対 流 方 式︵ 注 1︶ ノ ン フ ロ ン フ ロ ン 炭 化 水 素 H F C 注 1)冷気自然対流方式(直冷式) 冷却器で冷やされた冷気を熱伝導と自然対流により冷却する方式。以下、直冷式という。 注 2)冷気強制循環方式(強制循環式) 冷却器で冷やされた冷気をファンにより強制的に循環させて冷却する方式。以下、強制循環式という。 注 3)平成 14 年 5月現在の東京地区(秋葉原)におけるある電気店での店頭表示価格(税抜き)は 198,000 円であった。 注 4)平成 14 年 5月現在の東京地区(秋葉原)におけるある電気店での店頭表示価格(税抜き)は 62,000 円であった。 但し、現在は後継機種 GR-323BK が発売されているため製造されていない。 2

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4. テスト結果概要

<まとめ> 冷蔵庫は、エアコンやテレビ、照明器具などとともに家庭で消費される消費電力量の 大きな機器の一つであるほか、冷媒の地球温暖化への影響が懸念されるなど、家庭で使 用される電気製品の中でも環境に対する影響が比較的大きな商品である。このため、冷 蔵庫については、省エネ法などにより省電力化が促進されているほか、家電リサイクル 法(特定家庭用機器再商品化法)によりフロンの回収が進められている。 このような背景のもとノンフロン冷蔵庫が発売された。この冷蔵庫の冷媒(炭化水素: イソブタン)は、冷却効率に優れ、冷媒量も少なく済むなどの特長がある反面、可燃性であ ることから安全対策が必要であった。このため、霜取ヒーターなどのない外国製のノン フロン冷蔵庫と異なり霜取ヒーターを必要とする国産の冷蔵庫では、技術的な安全性の 確保が課題であった。 今回、このような課題を解決したとされるノンフロン冷蔵庫の性能や環境性、安全性 について調べた結果を整理すると、次のようであった。 ① ノンフロン冷蔵庫の消費電力量や冷却性能(庫内温度や冷却速さ)は、フロン(HFC)冷 蔵庫に比べ同等、若しくはそれ以上の性能であった。また、運転時の騒音もフロン (HFC)冷蔵庫と同様に静かで、実用上、問題のないものだった ② 冷蔵庫の地球温暖化への影響は、生産から使用、廃棄までを考えた場合、使用段階に おける消費電力量が全体の 95%を占めている((社)日本電機工業会調べ)。地球温暖化への 影響が最も大きな消費電力量については、ノンフロン冷蔵庫がフロン(HFC)冷蔵庫に 比べ小さい傾向にあったほか、ノンフロン冷蔵庫に使われている冷媒(炭化水素:イソブタ ン R-600a)も地球温暖化係数がフロン(HFC 134a)の 400 分の 1 以下で、封入量も約 1/3∼2/3 と少なかった。地球温暖化防止の観点から、今後、普及することが望ましい 冷蔵庫であった。 ③ 可燃性冷媒を使用するための安全対策は、強制循環式と直冷式とで異なっていた。 強制循環式のノンフロン冷蔵庫は、高温多湿で霜が付きやすい日本の気候を考慮し、 庫内のヒーターにより全自動で霜取が行われる。万が一冷媒が漏れたとき、ヒーター で着火する恐れがないのか、ヒーターの表面温度を測定したが約90∼340℃で冷媒の 着火温度(約 490℃)より 100℃以上低くなっていた。また、従来の冷蔵庫と異なり、庫 内灯やドアスイッチ、リレーなどの電気部品は着火源とならないようシール(密封)さ れていたほか、ガス漏れ検知などの安全対策を施したものもあった。 直冷式のノンフロン冷蔵庫は、電源 OFF による手動霜取のため霜取ヒーターが付 属していないほか、直冷式のためファンがないなど調査した限りでは着火源となるも のは見当たらなかった。 テスト結果は以下のとおりである。 3

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1) 性能 ① ノンフロン冷蔵庫の庫内温度や冷却速さは、フロン(HFC)冷蔵庫と同等の性能を有 していた ノンフロン冷蔵庫は、冷媒が異なるものの基本的な構造・機能などの点でフロ ン(HFC)冷蔵庫と大きな違いはない。ノンフロン冷蔵庫の庫内温度や冷却速さが、 フロン(HFC)冷蔵庫と比べ違いがあるのか調べた。 庫内温度(平均温度)は、周囲の温湿度が 30±1℃、70±5%、庫内温度を最も低 くなるように温度調節し、冷凍室・冷蔵室・野菜室等にそれぞれの庫内容積の約 20%に相当する負荷注)を均一に入れて測定した(参考資料 2 参照)。表 2 の測定結果 のとおり、ノンフロン冷蔵庫及びフロン(HFC)冷蔵庫のいずれも、JIS (C 9801 6.2 性能仕様_6.2.1 貯蔵温度) 基準を参考にすると冷蔵室は 5℃以下に、冷凍室は−18℃以 下で、基準を満足する庫内温度であった。 冷蔵室と冷凍室の冷却速さを調べるため、周囲温度と同じ 30±1℃の水が入っ たビール瓶(635ml)を冷蔵室(最も良く冷える棚の中央)に入れ、ビール瓶の中の水 温が10℃になるまでの時間を測定した。また、自動製氷器を付属しているものも あるが、20±1℃の水が入った製氷皿(395ml、プラスチック製)を冷凍室(上段の中央)に 入れ−1℃となるまでの時間を計測した。その結果、冷蔵室のビール瓶と冷凍室の 製氷皿の冷却速さは、ノンフロン冷蔵庫とフロン(HFC)冷蔵庫に大きな違いはなか った。(表 2 参照) 注)負荷とは、水を主成分とした JIS(C 9801)で定めた冷蔵庫の試験用負荷(立方体)で、質量 125・ 500・1000g の 3 種類がある。また、この試験用負荷以外にもビール瓶(水 635ml)、500ml 缶飲 料水、2Lペットボトル飲料水、清酒等を負荷として使用した。 表2.庫内温度と冷却速さ [単位:℃] [単位:時間:分] 区 分 銘柄 冷蔵室 冷凍室 冷蔵室(ビール瓶) の冷却時間 [30℃ → 10℃] 冷凍室(製氷皿) の冷却時間 [20℃ → −1℃] エレクトロラックス 3.2 -25.9 1時間27分 2時間00分 ミーレ 4.1 -29.6 2時間08分 2時間12分 東芝 1.8 -22.2 2時間02分 2時間31分 松下 0.5 -25.3 1時間54分 2時間03分 東芝 2.3 -22.6 2時間18分 1時間34分 松下 1.3 -24.3 1時間57分 2時間39分 ノ ン フ ロ ン ︵ H F C︶ フ ロ ン 4

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② 同等機種で比較すると、ノンフロン冷蔵庫の消費電力は、フロン(HFC)の冷蔵庫よ り約3%小さく、省エネ性に優れていた 炭化水素を冷媒としたことでノンフロン冷蔵庫の消費電力量がフロン(HFC)冷 蔵庫より消費電力量が大きくなっていないか調べた。 測定は、周囲の温湿度が25±1℃、70±5%で、冷蔵室を 5℃、冷凍室を−18℃ に調整し、ドアの開閉(冷蔵室 20 回/日、野菜室 5 回/日、冷凍室 8 回/日)や負荷を入れ替 えたとき(冷蔵室 500g:4 回/日、野菜室及び冷凍室 500g:2 回/日)の消費電力量(5 日間)から 年間の消費電力量を算出した(参考資料 2 参照)。 年間の消費電力量は図1 のとおりであるが、定格内容積や機構が同等の松下の 機種で比較すると、ノンフロン冷蔵庫の消費電力は、フロン(HFC)の冷蔵庫より約 3%小さく、省エネ性に優れていた。 なお、直冷式のノンフロン冷蔵庫が強制循環式の冷蔵庫より消費電力量が少な いが、これは強制循環式の場合、冷気を循環するためにファンを利用していること やヒーターで自動的に霜取をするのに電気を消費するのに対し、直冷式のものはフ ァンがない、手動(電源を OFF)で霜取を行うため霜取に電気を消費しないなどの 理由によるものと考えられた。 400 450 500 550 松下 東芝 松下 東芝 ミーレ エレクトロラックス [単位:kWh/年] ノ ン フ ロ ン フ ロ ン︵ H F C︶ 467 kWh/年 468 kWh/年 477 kWh/年 493 kWh/年 535 kWh/年 506 kWh/年 エレクトロラックス 図1.年間の消費電力量 ③ ノンフロン冷蔵庫及びフロン(HFC)冷蔵庫ともに騒音は 24∼27dB(A)と静かであ った 冷媒に炭化水素を使用することで騒音が大きいことはないか、冷蔵庫正面 1 m のところで、運転時の騒音LAeq[等価騒音レベルdB(A)]を調べた。その結果、使用さ れている冷媒の種類に関わらず、いずれの冷蔵庫も24∼27dB(A)で静かだった。 5

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2) 環境性 ① ノンフロン冷蔵庫は、消費電力量による温暖化への影響が小さいほか冷媒の排出 による影響も小さく、環境にやさしい 地球温暖化への影響は冷蔵庫の生産から使用・廃棄までの検討が必要であるが、 使用時の消費エネルギー(消費電力量)がその約 95%を占めているという報告があ る((社)日本電機工業会調べ)。そこで、消費電力量と冷媒の排出に着目して、定格 内容積や機構が同等の松下のノンフロン冷蔵庫とフロン(HFC)冷蔵庫について、冷 蔵庫の平均使用年数12 年間(平成 13 年消費動向調査)における、地球温暖化への影響の 違いを調べた。その結果(図 2 及び参考資料 2 参照)、 ・ 火力発電などでは発電の際に二酸化炭素が排出されることから消費電力量を CO2換算温室効果ガス量として算出すると、ノンフロン冷蔵庫(2112 kg-CO2)の方 がフロン(HFC)冷蔵庫(2168 kg-CO2)より小さい。 ・ 家電リサイクル法で冷媒のフロンは回収されているが、製造時や使用時(修理時 等)にごくわずかであるが冷媒の一部が排出される。そこで、冷媒の排出による 温暖化への影響を CO2換算温室効果ガス量として算出すると、封入量及び温暖 化係数ともに小さな冷媒を使用しているノンフロン冷蔵庫(0.2 kg-CO2)の方がフ ロン(HFC)冷蔵庫(7.8 kg-CO2)より温室効果が小さい。(図 3 及び参考資料 2 参照) 以上のことから、ノンフロン冷蔵庫はフロン(HFC)冷蔵庫と比べると地球温暖 化への影響が小さいと言える。 冷蔵庫によって、大きさや冷却方式、インバーター方式などの条件が異なるの で一概に言えないが、参考として、現在、国内で保有している約5,500 万台の冷蔵 庫が全てノンフロン冷蔵庫に置き換わった場合に削減される温室効果ガス量(二酸 化炭素換算)を試算した。その結果、削減量は約 30∼139 万トン/年となり、国内で 排出される温室効果ガスの総排出量13 億 700 万トン(平成 11 年度 二酸化炭素換算)の 0.02∼0.11%に相当する量であった。削減量は全体から見るとわずかではあるが、 このような改善の積み重ねが重要であると考えられる。 6

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1500 1600 1700 1800 1900 2000 2100 2200 2300 2400 2500 松下 東芝 松下 東芝 ミーレ エレクトロラックス [kg-CO2] ノ ン フ ロ ン エレクトロラックス ︵ H F C ︶ フ ロ ン 2001 kg-CO2 2005 kg-CO2 2043 kg-CO2 2112 kg-CO2 2292 kg-CO2 2168 kg-CO2 図2.12 年間の消費電力量により排出される CO2換算温室効果ガス量 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 松下 東芝 松下 東芝 ミーレ エレクトロラックス [kg-CO2] 10 ノ ン フ ロ ン エレクトロラックス フ ロ ン︵ H F C︶ 0.2 kg-CO2 0.2 kg-CO2 0.1 kg-CO2 0.2 kg-CO2 8.7 kg-CO2 7.8 kg-CO2 図3.12 年間使用時の冷媒により排出される CO2換算温室効果ガス量 ② 冷蔵庫に使用されている断熱材はどの銘柄も地球温暖化係数の小さなシクロペン タンであった 最近まで一部の冷蔵庫には、オゾン破壊係数は小さいものの温暖化係数が比較的 大きな指定フロン(HCFC141b)注1)を発泡剤とした断熱材が使用されていたが、最 近は、温暖化係数が小さなシクロペンタン(C5H10)注2)を発泡剤としたものが多くな っている。そこで、ノンフロン冷蔵庫及びフロン(HFC)冷蔵庫にどのような断熱材 が使用されているのか、カタログ等から調べた。 7

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その結果、テスト対象全銘柄ともシクロペンタンを発泡剤とした断熱材を使用し、 環境にやさしいものとなっていた。また、フロン(HFC)冷蔵庫に使われている冷媒 と断熱材のフロンの量を比べると、断熱材中のフロンは冷媒の約4 倍であった。 注1) HCFC141b の温暖化係数 630 注2) シクロペンタンの温暖化係数 3 なお、今回テスト対象とした冷蔵庫の断熱材には、いずれも温暖化係数が小さな 炭化水素(シクロペンタン)が使用されていたものの、現在国内で保有している冷蔵庫に ついてはかなりの割合で断熱材にフロンが使用されているものと考えられる。これ らの冷蔵庫はいずれリサイクル処理されることとなるが、家電リサイクル法では冷 媒のフロンは回収されるものの、冷媒の約4 倍に相当する断熱材のフロンについて は回収が義務化されていない。古い冷蔵庫ではオゾンの破壊や温暖化への影響が大 きなフロンも使用されていることから、冷媒同様断熱材のフロンも回収が必要と考 える。 3) 安全性 可燃性の冷媒(イソブタン)を使用したノンフロン冷蔵庫は、欧州はもとより国内で も爆発等の事故事例は確認されていないが[(社)日本電機工業会調査による]、十分な安全対 策が必要である。そこで、可燃性の冷媒が漏れたときの事故を防止するためにどのよ うな構造や対策が図られているのか、日本電機工業会自主基準(JEMA−HD092)などを 参考にして外観調査を実施した。 ① ノンフロン冷蔵庫の霜取ヒーターの表面温度は冷媒の着火温度以下であった 強制循環式の冷蔵庫は、高温多湿で霜が付きやすい日本の気候を考慮し、冷却 器付近に取付けられたヒーターにより全自動で霜取が行われる構造となっている。 このような構造の強制循環式のノンフロン冷蔵庫で、万が一可燃性の冷媒が漏れた とき、霜取ヒーターで着火する恐れがないのか、2 銘柄のヒーター表面温度を測定 した。その結果、約90∼340℃で冷媒の着火温度(約 490℃)より 100℃以上低くな っていた。ちなみに、強制循環式のフロン(HFC)冷蔵庫の霜取ヒーターも測定した が約470℃以上とかなり高い温度であった。 なお、ノンフロン冷蔵庫の霜取ヒーターの表面温度は約 90∼340℃とかなり大 きな違いがあるが、これは図4 及び図 5 のように冷却器自体に霜取ヒーターが取 付けられているものは表面温度が約 90℃と低く、霜取ヒーターを冷却器の下方に 取付けてあるものは表面温度が約340℃と高くなっていた。 8

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図4.東芝ノンフロン霜取ヒーター 図 5.松下ノンフロン霜取りヒーター ② 直冷式のノンフロン冷蔵庫は霜取ヒーターや冷気循環用のファンがないなど調査 した限りでは着火源がなかった 外国製のノンフロン冷蔵庫は、電源OFF 状態で手動による霜取のため霜取ヒー ターが付属していないほか、冷気自然対流方式(直冷式)で冷気循環用のファンがな いなど、調査した限りでは着火源となるものが見当たらなかった。 ③ 庫内灯やドアスイッチ、リレー等の電気部品等は、着火源とならないようシール されていた 庫内灯やドアスイッチ、リレーなどの電気部品は、着火源とならないようシー ルされていたほか、ガス漏れを検知した場合は、警告し、コンプレッサーを停止す るなどの安全機構を有するものもあった(参考資料 1 参照)。 ④ ノンフロン冷蔵庫であることがひと目でわかるような本体表示や取扱注意表示は、 銘柄で大きな違いがあった ノンフロンの冷蔵庫であることがひと目でわかる本体表示は、フロン(HFC)冷 蔵庫との違いを示すとともに、修理・廃棄時などの取扱上の注意を促すためにも必 要な表示と考えられる。そこで、どのような本体表示がされているのか調べた。本 体表示を調べると、表示場所が異なるもののわかりやすいノンフロンのロゴマーク 表示をしていたものは、強制循環式(国産)の 2 銘柄であった(図 6 参照)。また、使 用冷媒の「イソブタン R600a」は、全銘柄とも表示していたが、「爆発・発火」 等の危険・警告表示を本体にしていたのは、強制循環式(国産)の 2 銘柄と直冷式(外 国製)の 1 銘柄(エレクトロラックス)で、外国製の 1 銘柄(ミーレ)にはそのような表示がなかった。 図6.ノンフロン冷蔵庫のロゴマーク 9

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5. 消費者へのアドバイス

1) ノンフロン冷蔵庫は、消費電力量が少ないなど地球温暖化への影響が小さいので 購入の際、検討の対象にするとよい エネルギーの大量消費により大気中の二酸化炭素(CO2)濃度が上昇し、地球の温暖化 を招いている。テストした結果、ノンフロン冷蔵庫は消費電力量が小さく、地球温暖 化への影響が小さな冷媒を使用しているため地球環境にやさしい冷蔵庫と言える。 現在発売されている冷蔵庫のほとんどがフロン(HFC)冷蔵庫で、最近発売されたノ ンフロン冷蔵庫は、機種が限られているため庫内容積など種々なものを選べるわけで はないが、環境へのやさしさなどにも配慮して、購入の際はノンフロン冷蔵庫も検討 の対象にするとよい。なお、冷蔵庫を選ぶときは「省エネラベル」注)なども参考にす るとよい。(図 7 参照) 注)省エネラベル 家電製品が省エネ法(エネルギーの使用の合理化に関する法律 昭和 54 年法律第 49 号)の省エネ基準 をどの程度達成しているかをラベルに表示する制度で、電気冷凍庫、エアコン、蛍光灯器具、テレビ、 電気冷蔵庫が対象となっている。数字が大きいほど省エネ効果が高い。 図7.省エネラベル 2) 直冷式は冷却器に霜がついたときは電源を切って霜取をしなければならいが、間 違ってもアイスピックなどで霜取をしないこと 直冷式の冷蔵庫では、冷却器に霜がついたとき強制循環式のように自動的に霜取 が行われない。このため、霜取は電源をOFF にして、扉を開けるなどしなければな らない。アイスピックなどで霜取をすると冷却器を傷つけ、冷媒漏れなどの事故の原 因となるので注意する。その他、直冷式は冷気の自然対流によるため庫内に温度差を 生じるので食品を上手に区分して貯蔵するとよい。 3) 冷蔵庫を選択、使用する際は、省エネの観点から次の点に注意する ①同じ機能であれば、定格内容積の大きい冷蔵庫は消費電力量も大きくなる。必要以 上の食材を長期間保存するような使い方はやめ、必要以上に大きなものを購入しな い。 ② 日が当たる場所など熱を受ける場所などは避け、放熱が良くなるよう必要な隙間 を開けて設置する。 ③ 冷蔵室の冷やし過ぎは、省エネにならないばかりか、庫内の食品などが凍結する 場合があるので注意する。 10

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6. 業界への要望

1) ノンフロン冷蔵庫の機種を増やし、広く消費者に行き渡るための普及啓発活動を 望む 現在販売されている冷蔵庫のほとんどはフロン(HFC)冷蔵庫で、最近発売されたノ ンフロン冷蔵庫は、機種・販売数量ともに少ない状況にある。このようにまだ広く普 及していないノンフロン冷蔵庫ではあるが、消費電力量はフロン(HFC)冷蔵庫より小 さかった。また、使用している冷媒は、地球温暖化係数が従来の冷媒に比べ400 分の 1 以下であったほか、封入量も従来の約 1/3∼2/3 と少なく、環境にやさしい冷蔵庫と いえる。 地球温暖化により、異常気象などさまざまな問題を招くことが予想されることから、 ノンフロン冷蔵庫が広く消費者に使用されるよう機種を増やすとともに普及啓発活動 等の対応を望む。 2) 今後、フロン(HFC)冷蔵庫とノンフロン冷蔵庫が混在することとなるので、修理 や廃棄するときに問題を生じないよう十分な安全対策を望む 調査した結果、ノンフロン冷蔵庫は可燃性の冷媒を使用しており、万が一のガス漏 れによる事故を防止するための各種の安全対策が行われていた。一方、この商品の修 理や廃棄されるときの安全性も確保される必要がある。メーカー等では修理や廃棄時 の安全対策が図られているようであるが、従来型の冷蔵庫とノンフロン冷蔵庫が混在 する状況となるので、ひと目で区別がつくようなラベルや注意表示を行うなど事故と ならないよう総合的な安全対策を望む。 3) 冷蔵庫に限らずエアコン等のフロン冷媒を使用した家庭用機器もノンフロン化 するよう改善を望む 地球温暖化への影響が大きなフロンを使用した家庭用機器は、今回テスト対象とし た冷蔵庫だけではない。オゾンの破壊や地球温暖化などへの影響がない冷媒の開発な どとともに、エアコンや除湿機などの機器も早急にノンフロン化されるよう改善を望 む。 11

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7. 行政への要望

1) フロン冷媒の回収が行われているが、断熱材中のフロンについても回収を義務化す るよう望む 今回テスト対象とした冷蔵庫の断熱材には、いずれも温暖化係数が小さな炭化水素 (シクロペンタン)が使用されていたものの、現在国内で保有している冷蔵庫についてはか なりの割合で断熱材にフロンが使用されているものと考えられる。また、冷蔵庫のフ ロン冷媒については、家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)に基づく政令で回収す ることとなっている。しかし、冷媒封入量の約 4 倍が使用されている断熱材中のフロ ンについては、回収が義務化されていない。オゾン層の破壊や地球温暖化への影響が 大きいので断熱材中のフロンの回収を義務化するよう望む。 2) 冷蔵庫が一般廃棄物(粗大ゴミ)として処理されるケースも考えられるが、破砕などに より爆発事故などを生じないよう対策を望む 冷蔵庫は、家電リサイクル法でメーカーがリサイクルすることとなっているが、中 には一般廃棄物として処理されるケースも考えられる。可燃性冷媒を使用したノンフ ロン冷蔵庫を破砕した場合、爆発事故などを生じる恐れがあるので、このような事故 を招かないよう、行政やメーカー、廃棄物処理関係業者が一体となった対策を望む。 12

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参考資料1

テスト結果一覧

断熱材 表示 冷 蔵 室 冷 凍 室 冷 蔵 室 冷 凍 室 消 費 電 力 量 に よ る 影 響 冷 媒 に よ る 影 響 断 熱 材 の 発 泡 剤 可 燃 性 冷 媒 に 関 す る 注 意

テスト内容 

銘柄・型式 製造又は 販売会社名 庫内容量 kWh/年 等価騒音レベル LAeq[dB(A)] [kg-CO2] (注1) [kg-CO2] (注2) このテスト結果はテストのために購入した商品のみに関するものである 注1) 炭酸ガス換算量=12年間の消費電力量×0.357 kg-CO2/kWh 注2)CO2換算温室効果ガス量=注1) CO2換算温室効果ガス量=冷媒封入量× 冷媒の地球温暖化係数 ×{製造時の排出係数+ [使用時の排出係数(/年) × 12年]+廃棄時の排出係数} *温暖化係数:イソブタン=3、HFC134a=1300 *排出係数:ノンフロン冷蔵庫=1(廃棄時全量排出)、HFC冷蔵庫=製造時0.01、使用時0.003/年

テスト項目 

冷媒の種類 及び封入量 ・霜取ヒーターはパイプヒーター ・庫内灯・リレー等がシールされている ・冷媒漏れをセンサーで検知し、  警告表示する ・ドアスイッチの一部が無接点式 0.1 シクロペンタン 冷媒表示 有 警告表示 有 90℃以下 3.2 2時間00分

1時間27分 24 ノンフロン 光プラズマ鮮蔵庫 GR-NF47K ㈱東芝 5ドア:465L 48 g 2時間02分 2時間31分  計 : 72 g 冷蔵室: 28 g 冷凍室: 44 g 130 g プラズマ鮮蔵 GR-322BK ㈱東芝 3ドア:323L 145 g H F C 1 3 4 a トリプル冷却冷蔵庫 NR-C32D2 松下電器産業㈱ 50 g 冷凍冷蔵庫 KF7562S ミーレ・ジャパン㈱ [ドイツ製] 2ドア:307L  計 : 83 g 冷蔵室: 25 g 冷凍室: 58 g イ ソ ブ タ ン R 6 0 0 a ノンフロン冷凍冷蔵庫 NR-C32EP 松下電器産業㈱ 冷凍冷蔵庫 ER8503B エレクトロラックス・ ジャパン㈱ [スウェーデン製] 外 観 調 査 霜 取 用 ヒー ター の 表 面 温 度 等 性能 安全性(ノンフロン冷蔵庫) 年 間 消 費 電 力 量 CO2換算温室効果ガス量 冷却速さ 庫内温度 環境性 騒 音 外 観 上、 霜 取 用 ヒー ター 及 び 庫 内 灯、 ド ア ス イッ チ、 各 種 電 気 部 品 等 が 従 来 の 冷 蔵 庫 と ど の よ う に 異 なっ て い る か 調 べ る 断 熱 材 の 発 泡 剤 に 温 暖 化 係 数 の 小 さ な シ ク ロ ペ ン タ ン な ど が 利 用 さ れ て い る か 調 べ る 強 制 循 環 式 の 冷 蔵 庫 に 使 用 さ れ て い る 霜 取 用 ヒー ター の 温 度 等 が 冷 媒︵ イ ソ ブ タ ン ・ 着 火 温 度 約 4 9 0 ℃︶ が 万 が 一 漏 れ て も 着 火 し な い 安 全 な 温 度 と なっ て い る か 調 べ る   年 間 使 用 し た と き の 消 費 電 力 量 か ら   換 算 温 室 効 果 ガ ス 量 を 算 出 す る   年 間 使 用 し た と き、 冷 媒 の 種 類 ・ 温 暖 化 係 数 な ど か ら   換 算 温 室 効 果 ガ ス 量 を 算 出 す る ノ ン フ ロ ン 冷 蔵 庫 で あ る こ と、 ま た、 可 燃 性 の 冷 媒 を 使 用 し、 取 扱 に 注 意 が 必 要 で あ る こ と な ど が 本 体 に 表 示 さ れ て い る か 調 べ る 冷 蔵 庫 中 央 の 正 面 1 m の と こ ろ で 騒 音 を 調 べ る 4.1 0.5 1.8 -25.9 -29.6 -25.3 -22.2 1時間54分 2時間08分 2時間18分 1.3 -24.3 1時間57分 2.3 -22.6 2時間03分 493 535 468 2時間12分 477 1時間34分 2時間39分 2168 27 25 25 24 2043 506 24 467 7.8 2001 2005 0.2 0.2 0.2 8.7 2112 2292 ・霜取ヒーターは単一のガラス管 ・ドアスイッチは接点式 -340℃以下 約470℃ ・霜取ヒーターがない ・冷気循環ファンがない ・ドアスイッチが接点式 ・霜取ヒーターがない ・冷気循環ファンがない ・ドアスイッチが無接点式 ・霜取りヒーターは二重ガラス管 ・ドアスイッチが無接点式 ・庫内灯・ドアスイッチ・リレー等が  シールされている ・霜取ヒーターは単一のガラス管 ・ドアスイッチは接点式 約570℃ 冷媒表示 有 -冷媒表示 有 警告表示 有 冷媒表示 有 -シクロペンタン シクロペンタン シクロペンタン 冷媒表示 有 警告表示 有 冷媒表示 有 警告表示 無 シクロペンタン シクロペンタン 冷 却 方 式 2ドア:321L

自 然 循 環 式 3ドア:320L 強 制 循 環 式

3ドア:320L 周 囲   ± 1 ℃ ・   ± 5 %、 冷 蔵 室 5 ℃、 冷 凍 室   ℃ で、 毎 日 ド ア の 開 閉︵   回 / 日︶ や 試 験 用 負 荷 を 入 れ 替 え て 約 5 日 間 の 消 費 電 力 量 を 測 定 し、 そ の 値 か ら 1 年 間 の 消 費 電 力 量 を 算 出 し た 調 節 装 置 の 設 定 を 最 も 冷 や す 位 置 に し た と き、 冷 蔵 室 の 平 均 温 度 が 5 ℃ 以 下 と なっ て い る か 調 べ る    ︵ ℃︶ 調 節 装 置 の 設 定 を 最 も 冷 や す 位 置 に し た と き、 冷 凍 室 が   ℃ 以 下 と なっ て い る か 調 べ る ︵ ℃︶ 一 番 良 く 冷 え る 棚 に 置 い た ビー ル 瓶︵ 水 6 3 5  ︶ が   ℃ か ら   ℃ に な る ま で の 時 間 を 調 べ た 製 氷 皿︵ 水 3 9 5  ︶ が   ℃ か ら ℃ に な る ま で の 時 間 を 調 べ た 30 -1 20 25 70 20 -18 CO2 CO2 -18 10 ml ml 12 12

13∼14

(14)

参考資料2.テスト方法 1.性能 JIS C 9607-1999(電気冷蔵庫及び電気冷凍庫)を参考とした。 電気冷蔵庫を木製の擬似壁(幅 124.5cm、高さ 210cm、奥行き 30cm)と背面に 30mm の隙間を開かせるように中央に設置し、周囲の空気の循環を制限した。 1) 庫内温度 冷蔵室及び冷凍室の庫内温度は、以下に示す条件で庫内の温度が十分に安定したと きに測定した。 (1) 周囲の温湿度及び冷蔵庫の設定 冷蔵室及び冷凍室が最も冷えるように温度調節した。 (2) 庫内に入れた負荷 冷蔵室及び冷凍室に詰込んだ負荷の容量は定格内容積(表示容積)の約 20%、冷蔵室 内の特定低温室及び野菜室は約20%とした。なお、切替室を有する銘柄は、温度設定 を「冷凍」にし、負荷容量は定格内容積の約20%とした。また、チルド室を有する銘柄 の、負荷容量は定格内容積の約10%とした。 (3) 庫内温度の測定 庫内温度は、500g 試験用負荷の中心に熱電対を埋め込み測定した。 庫内温度の測定は、冷蔵室3∼4 ヶ所、冷凍室 5∼6 ヶ所とし、各段のほぼ中央 の位置で測定した。 2) 冷却速さ 周囲が温度:30±1℃、相対湿度:70±5%で測定した。 「冷蔵室の棚に置いたビールの冷える速さ」は、周囲温度と同じ 30±1℃の水が入 ったビール瓶(635ml)を冷蔵室(最も良く冷える棚の中央)に入れ、ビール瓶の中の水温 が10℃になるまでの時間を測定した。また、「冷凍室の製氷皿の冷える速さ」は、20 ±1℃の水が入った製氷皿(395ml、プラスチック製:14 個角氷製氷)を冷凍室(上段の中央)に 入れ−1℃となるまでの時間を計測した。なお、水温は、瓶及び製氷皿の中心に熱電対 を埋め込み測定した。また、庫内に入れた負荷及び負荷数量は「庫内温度測定」と同 様である。 3) 年間消費電力量 「扉の開閉」や「試験用負荷の詰め替え」を5 日間に渡って行ったときの消費電力 量から、年間の消費電力量を算出した。 (1) 周囲の温湿度及び冷蔵庫内の温度設定 周囲温度:25±1℃、相対湿度:70±5%で、庫内温度測定点の平均温度が、冷蔵室 は5℃、冷凍室は‐18℃となるように温度調節した。 (2) 庫内温度の測定 庫内温度は、500g 試験用負荷の中心に熱電対を埋め込み測定した。 庫内温度の測定は、冷蔵室3∼4 ヶ所・冷凍室 5∼6 ヶ所とし、各段のほぼ中央の位 15

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置で測定した。また、庫内に入れた負荷及び負荷数量は「庫内温度測定」と同様である。 (3)測定 ① 強制霜取終了後、直ちに消費電力量の測定を開始し、120 時間(5 日間)測定した。 ② 給水タンクは空、貯氷箱は満氷の状態とし自動製氷機能を OFF に設定した。 ③ 扉開閉は測定開始後 2 時間目から 3 回に分けて(朝・昼・夕を想定)以下のように行う。 冷蔵室は 6 分毎に計 20 回/日、野菜室は 18 分毎に計 5 回/日、冷凍室は 18 分毎に 計 8 回/日行い、開放時間は 10 秒間とする。扉の開閉角度は 90°、引出し式の扉の 場合は、ストッパーの位置まで引き出す。 ④ 負荷の詰換えは試験用負荷を 1 日当たり、冷蔵室は 500g を 4 回、野菜室は 500g を 2 回、冷凍室 500g を 2 回行う(計 4 kg/日)。なお、詰換え用の負荷の温度は、 25℃とした。 (4)年間消費電力量の算出 5 日間の消費電力量を測定し、次により年間消費電力量を算出した。 年間消費電力量(kWh)=5 日間の消費電力量(kWh) × 365 日/5 日 4) 騒音 暗騒音が 12dB(A)の無響室で、冷凍冷蔵庫の外郭前面の中央から 1m、高さ 1m の 地点でコンプレッサー稼動中の等価騒音レベル値(LAeq)を求めた。 2.環境性 冷蔵庫の使用等による地球温暖化への影響を消費電力量及び冷媒の排出による影響 を「CO2 換算温室効果ガス量」を算出して調べた。 1) 消費電力量による影響 冷蔵庫を購入し使わなくなるまでの12 年間について、消費電力量の測定結果と使 用冷媒の封入量・温暖化係数等から下記により CO2換算温室効果ガス量(kg-CO2)を 算出した。(表 1 参照) 表1.12 年間の消費電力量の CO2換算温室効果ガス量 区 分 銘柄 ①12 年間の 消費電力量[kWh] 注 1) ②排出係数 注2) ③CO2 の温暖化 係数 CO2換算温室効果ガス 量(kg-CO2) 注 3) エレクトロラックス 5,604 2,001 ミーレ 5,616 2,005 東芝 5,724 2,043 ノ ン フ ロ ン 松下 5,916 2,112 東芝 6,420 2,292 フ ロ ン 松下 6,072 0.357 kg-CO2/kwh 1 2,168 注1) 12 年間の消費電力量 = 年間消費電力量 × 12 年間(平均使用年数:平成 13 年消費動向調査) 注2) 排出係数とは、発電の際に発電所で1kWh 当たりを発電する際に排出された二酸化炭素の量(kg)を言う(平 成11 年度排出係数 環境庁温室効果ガス排出量算定方法検討会資料(平成 12 年 9 月)) 16

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注3) CO2換算温室効果ガス量(kg-CO2)=① × ② × ③ 2) 冷媒による影響 冷蔵庫が製造から廃棄されるまでの12 年間に排出される冷媒量を CO2換算温室効 果ガス量(kg-CO2)として算出した。(表 2 参照) 表2.12 年間の冷媒排出の CO2換算温室効果ガス量 冷媒 排出係数注 2) 区 分 銘柄 種類 封入量(g) 温暖化係 数注1) 製造時等 使用時 (/年) 廃棄時 CO2換算 温室効果ガス量 (kg-CO2)注3) エレクトロラックス 冷蔵室:28g 冷凍室:44g 0.2 ミーレ 冷蔵室:25g 冷凍室:58g 0.2 東芝 48g 0.1 ノ ン フ ロ ン 松下 イソブタン [R600a] 50g 3 − − 1 0.2 東芝 145g 8.7 フ ロ ン (H FC ) 松下 HFC [134a] 130g 1300 0.01 0.003 − 7.8 注1) 炭酸ガスを1 としたときの各冷媒の温暖化係数 注2) 製造時等及び使用時、廃棄時の冷媒1kg 当たりの排出係数(環境庁温室効果ガス排出量算定方法検討会 資料(平成 12 年 9 月))。R600a は廃棄時に全量を大気放出。 注3) CO2換算温室効果ガス量=冷媒封入量× 冷媒の地球温暖化係数 ×{製造時の排出係数+ [使用時の 排出係数(/年) × 12 年]+廃棄時の排出係数} 3) 国内保有のフロン冷蔵庫を全てノンフロン冷蔵庫に置き換えた場合の CO2換算温室 効果ガスの年間削減量 国内保有の冷蔵庫は、庫内容積や年間消費電力量、冷媒の種類・量など異なるた め一概に言えないが、国内保有のフロン冷蔵庫をノンフロン冷蔵庫に置き換えた場合、 CO2換算温室効果ガスがどの程度年間削減されるのか次により試算した。 ① 年間消費電力量の違いによるCO2換算温室効果ガスの削減量 ={(表 1、フロン冷蔵庫の CO2温室効果ガス量最小値(最大値))−(表 1、ノンフロン冷蔵庫の CO2温室効果ガ ス量最大値(最小値))}/12 年 × 5,500 万台(国内保有の台数) ② 冷媒の違いによるCO2換算温室効果ガスの削減量 ={(表 2、フロン冷蔵庫の CO2温室効果ガス量最小値(最大値))−(表 2、ノンフロン冷蔵庫の CO2温室効果ガ ス量最大値(最小値))}/12 年 × 5,500 万台(国内保有の台数) 以上、①、②の総計が年間のCO2換算温室効果ガス削減量とした。 17

(17)

3.安全性 1)表示 ノンフロン冷蔵庫であること、また、可燃性の冷媒を使用し、取扱に注意が必要で あることなどが本体に表示されているか調べた。 2)霜取用ヒーターの表面温度 周囲温度が20±5℃の状態で、強制循環式の冷蔵庫に使用されている霜取用ヒータ ーの表面温度を温度センサー(熱電対)により測定した。なお、冷蔵室及び冷凍室の温 度調節は最も冷える状態とした。また、庫内は無負荷で運転し、自動製氷器は OFF と設定した。 3)外観調査 外観上、霜取ヒーター及び庫内灯、ドアスイッチ、各種電気部品等が従来の冷蔵 庫とどのように異なっているか調べた。 18

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参考資料3

可燃性冷媒に関する表示の一覧

使用冷媒等の表示 表示場所 表 示 内 容 種類 封入量表示 庫内 冷媒に可燃性の炭化水素を使用しています。 以下の注意を必ずお守りください。 発火・爆発の恐れがあります。 詳しくは取扱説明書をご覧ください。 ①お手入れの際などに庫内の壁や冷却回路を  傷つけないでください。 ②庫内で電気製品は絶対に使用しないでください。 ③庫内の壁や冷却回路を傷つけてしまった場合には、  火気や電気製品の使用を避け、室内の換気を  充分に行った後、販売店または当社のサービス部に  修理を依頼してください。  (換気の際は絶対に使用しないでください) コンプレッサー 冷媒に可燃性の炭化水素を使用しています。 修理は修理技術者以外絶対に行わないで下さい。 修理の際は、本体に表示された指定の冷媒以外は 使用しないで下さい。 発火・爆発の恐れがあります。 ミーレ 冷凍冷蔵庫 KF7562S 表示なし R600a 冷蔵庫:25g 冷凍室:58g 庫内 警告 発火・爆発の恐れあり ●冷蔵庫の周囲はすき間をあけて据えつける。 ●冷蔵庫背面・側面などにある冷媒回路を傷つけない。  表示パネルの照明が黄色に変わり点灯し、  「ピーッ、ピーッ」というアラーム音が  鳴り続ける場合、次の事項を守り、  東芝家電修理ご相談センター  (0120-1048-41)に連絡する。   1.窓を開けて、室内の換気を充分に行う。    (換気扇は使用しない)   2.火気や電気製品の使用を避ける。   3.冷蔵庫のすべての扉をあける。    (アラーム音が止まります。) ●庫内では電気製品を使用しない。 ●修理は修理技術者以外しない。 ●廃棄するときは販売店や市町村に引き渡す。 背面 発火・爆発の恐れあり 冷媒にイソブタン、発泡断熱材に シクロペンタンを使用しています。 ●修理の時などに、冷媒回路を傷つけない。 コンプレッサー 発火・爆発の恐れあり 冷媒にイソブタン、発泡断熱材に シクロペンタンを使用しています。 ●火を近づけない。 ●冷媒回路を傷つけない。 庫内 警告 発火・爆発の恐れあり ●冷蔵庫本体の冷却回路(配管)を傷つけない ●庫内では電気製品は使用しない ●冷却回路(配管)を傷つけたときは、冷蔵庫に触れず  火気の使用を避け、窓を開けて換気する 背面 発火・爆発の恐れあり 冷媒に可燃性冷媒を使用。修理及び廃棄時は、 以下の注意を必ず守る。 ●冷媒が滞留しないよう十分な換気を行う。 ●冷媒が充填された状態での火気使用厳禁。 ●配管を傷付けたり、損傷させたりしない。 コンプレッサー R600a 発火・爆発の恐れあり 火を近づけない (可燃性冷媒使用) 東芝 プラズマ鮮蔵 GR-322BK 可燃性の冷媒を使用していない HFC-134a 145g 松下 トリプル冷却冷蔵庫 NR-C32D2 可燃性の冷媒を使用していない HFC-134a 130g 区 分 警告 フ ロ ン︵ H F C︶

可燃性冷媒に関する警告表示

銘柄名 エレクトロラックス 冷凍冷蔵庫 ER8503B 東芝 ノンフロン 光プラズマ鮮蔵庫 GR-NF47K ノ ン フ ロ ン 松下 ノンフロン冷凍冷蔵庫 NR-C32EP R600a R600a 冷蔵室:28g 冷凍室:44g 危険 48g R600a 50g 危険 19

(19)

参考資料4

冷蔵庫の仕様一覧

使用冷媒 霜取り 冷媒 封入量[g] 冷 蔵 室 冷 凍 室 野 菜 室 そ の 他 冷 蔵 室 冷 凍 室 冷凍冷蔵庫 ER8503B 235,000 エレクトロラックス ・ジャパン㈱ [スウェーデン製] 冷蔵室:28 冷凍室:44 183 467 2 321 239 82 ○ - 82 595×600×1750 ・冷凍室は3∼4ヶ月に1回の霜取りを推奨  (付着した霜が約5mmになったら目安) ・冷凍・冷蔵ツインコンプレッサー搭載 ・便利なボトルラック ・機能を集約したコントロールパネル 冷凍冷蔵庫 KF7562S 268,000 ミーレ・ジャパン㈱ [ドイツ製] 冷蔵室:25 冷凍室:58 200 449 2 307 222 85 ○ - 89.5 600×631×1806 ・厚さ5mm程度着霜したら霜取り推奨 ・停電時の温度上昇を防ぐ保冷剤2枚付き ・冷凍・冷蔵ツインコンプレッサー搭載 ・フリージングカレンダー ・スーパークール(SC)機能 ・スーパーフロスト(SF)機能 ・エレクトロニクスコントロール ・外側から温度調節できるコントロールパネル ・温度上昇警告アラーム(冷凍室) ノンフロン 光プラズマ鮮蔵庫 GR-NF47K オープン価格 (注1) ㈱東芝 48 電動機 :178 電熱装置 :140 280 5 465 242 75<52>注4 独立アイスルーム 13<7>注4 108 <64>注3 切替室 :27<20> チルド室注5 :27 87 665×669×1798 ・光プラズマ強力脱臭&抗菌 ・電動タッチオープンドア(冷蔵室) ・野菜室にボトルガード&シャキッとスタンド ・独立制御の3室3冷却インバーター ・エアーカーテン ・低温度除霜システム(プレクールシステム) ・ダブル一気 ・冷媒もれ検知 ・前から照らすライト ・新みはりパネル(キッチンタイマー付) ・マルチエアーラップ冷却 ノンフロン 冷凍冷蔵庫 NR-C32EP 140,000 松下電器産業㈱ 50 電動機 :92 電熱装置 :126 370 3 320 195 70<45>注4 <35>55注4 チルド室 注5 :20 68 590×616×1598 ・2重管ラジアントヒーター ・ノンフロン エコクーリング システム ・ハーブ保鮮・抗菌カセット付野菜室 ・製氷おそうじ機能 ・らくらくハンドル採用 プラズマ鮮蔵 GR-322BK オープン価格(注2) ㈱東芝 145 電動機 :108 電熱装置 :137 410 3 323 170 68<47>注4 <50>85注4 チルド室 注5 :15 68 600×609×1627 ・プラズマ強力脱臭&抗菌 ・電動タッチオープンドア(冷蔵室) ・ツイン冷却器を採用 ・エアーカーテン ・トリプル一気 ・前から照らすライト ・プレクールシステム ・クリスタルタワーライト ・新みはりパネル ・マルチエアーラップ冷却 トリプル冷却 冷蔵庫 NR-C32D2 132,000 松下電器産業㈱ 130 電動機 :93 電熱装置 :116 420 3 320 195 70<45>注4 <35>55注4 チルド室 注5 :20 65 590×616×1598 ・広くて浅い取り出しやさい室  (ハーブ保鮮・抗菌カセット) ・ファインフレッシュルーム ・タワーライト ・らくらくハンドル採用  (冷蔵庫・野菜室・冷凍室) ・上から冷やすクールシャワー 注1: 平成14年5月現在の東京地区(秋葉原)におけるある電気店での店頭表示価格(税抜き)は198,000円であった。 注2: 平成14年5月現在の東京地区(秋葉原)におけるある電気店での店頭表示価格(税抜き)は 62,000円であった。但し、現在は後継機種GR-323BKが発売されているため製造されていない。 注3: フォースター     :とは冷凍室有効内容積100L当たり4.5kg以上の食品を24時間以内に-18℃以下に凍結できる能力のことである。 注4: < >内数値は、「食品収納スペースの目安」である。 注5: 冷蔵室内にある特定低温室。よってチルド室の容積は冷蔵室の有効内容積に含まれる。 <title>ノンフロン冷蔵庫の環境性と安全性</title> 手 動 炭化水素 (イソブタン-R600a) 自 動 4スター注3 自 備考 (その他の仕様・特徴 及びカタログ等での謳い文句) 冷 却 方 式 定格 消費電力 [50Hz:W] 年間消費 電力量 [50Hz: kwh/年] ドア数 [室] 庫内容量と温度[L] 本体 重量 [kg] 冷 凍 性 能 フ ロ ン︵ H F C︶ 銘柄・型式 [W×D×Hmm]本体寸法 区 分 メーカー 希望小売 価格[円] 製造又は 販売会社 ノ ン フ ロ ン 冷 気 強 制 循 環 方 式 冷 気 自 然 対 流 方 式︵ 直 冷 式︶ HFC 134a

20∼21

参照

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