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オブジェクトストレージの性能の解析に関する一考察

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(1)情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. Vol.2018-DBS-168 No.9 2018/12/22. オブジェクトストレージの性能の解析に関する一考察 早川峻平†1. 山口実靖†1. 概要:近年,電子メールや画像などの非構造化データの量が増大してきている.膨大な非構造化データを管理するシ ステムとしてオブジェクトストレージがあり注目を集めている.オブジェクトストレージは,データをオブジェクト 単位で扱い,ディレクトリのような階層構造を用いず個々のデータを URI を用いて管理する.ただし,多くのオブジ ェクトストレージシステムは複数のノードで構成される複雑な分散システムであり,その動作の把握や性能の考察は 容易でないと考えられる.本稿では,ベンチマークによるオブジェクトストレージの性能の評価を行い,オブジェク トストレージの性能劣化原因の解析手法についての考察を行う. キーワード:オブジェクトストレージ,SWIFT,TCP. 1. はじめに ストレージに保存するデータ量の増加とデータの性質の 変化に伴い,これまでとは異なるデータ保存方法への要求 が高まっている.ブロックストレージは複数計算機でのデ. を持つファイルシステムで管理され,膨大な数のデータを 管理することは困難であり,さらなる改善が期待される様 になった.. 3. OpenStack Swift. ータの共有などが困難であり,ファイルストレージのディ. OpenStack Swift はクラウド環境を構築するためのソフト. レクトリ構造では膨大なデータの維持や管理が難しくなっ. ウェア開発プロジェクトである OpenStack のコンポーネン. てきている.この問題を解決するために,データをファイ. トの一つである.Swift は図 1 の様に認証(Auth)ノード,プ. ルやブロックではなくオブジェクトとして扱うオブジェク. ロキシノード,アカウントノード,コンテナノード,オブ. トストレージが提案された.オブジェクトストレージはデ. ジェクトノードの複数のノードによって構成される.各ノ. ィレクトリ構造を持たず,オブジェクトは URI が付与され. ードはそれぞれ,ストレージにアクセスするための API の. データとそのメタデータで構成される.オブジェクトスト. 提供や各サービスの管理,アカウント情報の管理,コンテ. レージでは,ファイルストレージにおけるディレクトリと. ナ情報の管理,オブジェクトの管理の機能を提供している.. 類似したコンテナを作成し,そのコンテナに対し. 具体的には,認証ノードはユーザ名やパスワードを管理す. HTTP/REST API を用いてファイルのアップロードおよび. る.アカウントノードはコンテナ名の一覧やアカウント全. ダウンロードを行う.. 体の統計情報などを管理し,コンテナノードはオブジェク. 多くの場合,オブジェクトストレージはストレージや認. ト名の一覧や ACL 情報などの管理を行なっている.アカ. 証ノードなどの複数のノードで構成される分散システムで. ウントノードとコンテナノードは情報を管理するために. あり,その動作の把握や性能劣化原因の特定は困難になる. SQLite3 データベースを用いている.オブジェクトノード. と考えられる.本論文では,OpenStack Swift [1][9]を用いて. はオブジェクトの保存を行う.オブジェクトストレージは,. オブジェクトストレージシステムを構築し,通信の解析に. アップロードされたオブジェクトのレプリカを作成し分散. よるシステムの振舞の観察手法を提案する.そして,実際. して保存することにより,保存されたデータの安全性を向. にシステムの動作を観察し,その有効性について考察する.. 上する機能を有している.. 2. ネットワークストレージ. オブジェクトのアップロードは図 1 に示す手順により行 われる.図は,オブジェクトのアップロードを行うコンテ. データバックアップなどのストレージ管理は企業などの. ナはアカウント内に既に存在し,アップロードしようとし. 組織にとって重要な事項であるが,計算機に直接接続され. ているオブジェクトはコンテナ内に存在しない例となって. たストレージ(DAS, Direct Attached Storage)を用いている場. いる.まず,クラアイアントから認証ノードにトークン発. 合はそれぞれを個別に管理するのに膨大なコストがかかる. 行の要求が送られる(図 1 の(1)).要求を受け取った認証. と い う 問 題 が あ る . こ の 問 題 を 解 決 す る た め に , NAS. ノードは,アップロードを行う際に使用するプロキシノー. (Network Attached Storage)や SAN (Storage Area Network)が. ドの URL をプロキシノードに要求する(図 1 の(2)).要求. 提案され,ストレージが一元化され集中的に管理できる様. を受け取ったプロキシノードは,自身の URL を認証ノー. になった[2].NAS はファイルレベルのストレージアクセス. ドに送信する(図 1 の(3)).プロキシノードの URL を受け. を,SAN はブロックレベルのストレージアクセスを提供す. 取った認証ノードは,トークンと URL をクライアントに. る.しかし,これらを用いてもデータはディレクトリ構造 †1 工学院大学 Kogakuin University. ⓒ 2018 Information Processing Society of Japan. 1.

(2) 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. Vol.2018-DBS-168 No.9 2018/12/22. 送信する(図 1 の(4)).クライアントは,受け取ったトーク. で転送されるパケットを記録し,それらパケットの送信機. ンと URL を使用してプロキシノードに対してアップロー. と受信機における送受信時刻を調査し可視化することによ. ド要求を送る(図 1 の(5)).要求を受け取ったプロキシノ. り,システム全体の振舞の観察を可能にしている.ただし,. ードは,アカウントノードに対してアップロードするため. これらの既存研究ではオブジェクトストレージシステムの. のコンテナが存在するかどうかの確認要求を送る(図 1 の. 様な多数の計算機で構成される複雑なシステムへの適用は. (6)).対象のコンテナが存在した場合,アカウントノードは,. されていない.また,本稿で提案される観察手法は,これ. 対象のコンテナが存在したことをプロキシノードに知らせ. ら既存手法をもとにしており,これらを大規模なオブジェ. る(図 1 の(7)).コンテナが存在したという情報を受け取. クトストレージシステムへ適用拡張したものである.. ったプロキシノードは,コンテナノードに対してアップロ. オブジェクトストレージシステムの性能に関する研究. ードしたいオブジェクトが存在しているかどうかの確認要. としては,ベンチマークについての研究[8]などがあるが,. 求を行う(図 1 の(8)).対象のオブジェクトが存在しなか. 解析手法に関する考察などはされていない.. った場合,コンテナノードは対象のオブジェクトが存在し. 5. 性能評価. なかったことをプロキシノードに知らせる(図 1 の(9)). オブジェクトが存在しなかったという情報を受け取ったプ. 本章にて,Swift におけるオブジェクトアップロード性能. ロキシノードは,オブジェクトノードに対してオブジェク. の評価を行う.図 2 に測定環境を,表 1 に測定システムの. トのアップロード要求を送る(図 1 の(10)).要求を受け取. 仕様を示す.ストレージノード,プロキシノード,クライ. ったオブジェクトノードは,オブジェクトを格納し,格納. アントの 3 台の物理マシンが使用され,ストレージノード. が成功したことをプロキシノードに知らせる(図 1 の(11)).. 上では認証サーバープロセス,アカウントサーバープロセ. 成功のレスポンスを受け取ったプロキシノードは,クライ. ス,コンテナサーバープロセス,オブジェクトサーバープ. アントに対してアップロード成功のレスポンスを送信する. ロセスが,プロキシノード上ではプロキシサーバープロセ. (図 1 の(12)).. スが実行されている.オブジェクトノードにおけるオブジ ェクトを格納するストレージデバイスとしては,HDD ある いは SSD を使用した. Proxy Node. Client. (5) (12). (6) (7). (2). (8). (10). (11). (9). (1). (4). (3). 図 2. Account Node. Auth Node Container Node. 表 1. Object Node. 測定環境の詳細. Storage Node. 図 1. オブジェクトアップロードのフロー. OS. CPU. る構成される複雑な分散システムとなっている.また,オ. Proxy Node. 4670 3.40GHz. AMD Intel Celeron. Athlon(tm) II. 2.27GHz×2. X2 220 Processor. ブジェクトの操作も多数のノードが連携して行う複雑な処 理となっている.よって,オブジェクトストレージシステ ムの動作の把握や性能劣化原因の発見は困難であり,これ を容易にすることが重要であると考えられる.. 4. 関連研究 複数の計算機で構成される分散システムの動作管理シス. Memory Storage OpenStack Version File System. Client. Ubuntu 16.04 Intel Core i5-. この様に,オブジェクトストレージは多数の計算機によ. 測定環境. 8GB HDD 3TB SSD 512GB. 12GB. 2GB. HDD 250GB. HDD 250GB. Pike xfs. テムとして,我々は過去にネットワークストレージシステ ムの統合トレースシステム[4][5]や,OpenFlow[6]ネットワ. 性能評価は,Swift のベンチマークツールである ssbench. ークにおける動的な転送制御情報の修正の観察システム. [3]を用いて行った.実験ではオブジェクトのアップロード. [7]の提案を行っている.これらのシステムでは,計算機間. を行い,Client から Storage Node に PUT リクエストを送信. ⓒ 2018 Information Processing Society of Japan. 2.

(3) 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. Vol.2018-DBS-168 No.9 2018/12/22. ジェクトのアップロードを行った.並列数は 1 から 2048 と した. 図 3,図 4,図 5 に HDD に各サイズのオブジェクトをア ップロードした場合の並列数とオブジェクトアップロード スループットの関係を,図 6,図 7,図 8 に SSD にアップ. 3000 スループット. スループット [ requests/sec ]. サイズは 1B,1KB,1MB であり,それぞれ 2048 個のオブ. 250. 2400. 150. 1800. 100. 1200. 50. 600. 0. 0 1. 10. 図 6. 際のスループット 11000. 120 スループット. 20. 8800. 15. 6600. 10. 4400. 5. 2200. 0 100. 3500. 80. 2800. 60. 2100. 40. 1400. 20. 700. 0. 0. 1000. 1. 10. 並列数. 図 3. 図 7. た際のスループット. 25. 70. 10000. 6000. 10. 4000. 5. 2000. 0. スループット [ requests/sec ]. 15. 失敗数,リトライ数 [ 回 ]. 8000. 100. 40. 2400. 30. 1800. 20. 1200. 10. 600 0 1. 10. 100. 1000. 並列数. 18 リトライ数. 図 8. SSD における 1MB オブジェクトをアップロードし た際のスループット. HDD でベンチマークを行った場合に着目すると,ある程. 9900 8800 失敗数,リトライ数 [ 回 ]. 失敗数. 3600. 0. た際の並列数に対するスループット. スループット. リトライ数. 3000. 1000. HDD における 1KB オブジェクトをアップロードし. 16. 失敗数. 50. 並列数. 図 4. スループット. 60. 0 10. 4200. リトライ数. 20. 1. 1000. SSD における 1KB オブジェクトをアップロードし. た際のスループット. 失敗数. 100 並列数. HDD における 1B オブジェクトをアップロードし. スループット. リトライ数. 失敗数,リトライ数 [ 回 ]. 10. 失敗数. 100. 0 1. 4200. リトライ数. スループット [ requests/sec ]. 失敗数. 失敗数,リトライ数 [ 回 ]. スループット [ requests/sec ]. スループット. 失敗数,リトライ数 [ 回 ]. 25. スループット [ requests/sec ]. 1000. SSD における 1B オブジェクトをアップロードした. る.. スループット [ requests/sec ]. 100 並列数. 図 8 の横軸は並列数,左縦軸はスループット(単位は. 度までは並列数を増加させるとスループットが増加し,そ. 14. 7700. 12. 6600. 10. 5500. 8. 4400. 6. 3300. 4. 2200. 2. 1100. 数が 32 を超えるとスループットが低下している.そして,. 0. 0. 128 を超えるとリトライ数が増加し,256 を超えると失敗. 1. 10. 100. 1000. 並列数. 図 5. リトライ数. 200. ロードした場合の並列数とスループットを示す.図 3 から requests/sec),右縦軸は失敗数とリトライ数(単位は回)であ. 失敗数. 失敗数,リトライ数 [ 回 ]. することにより行った.アップロードするオブジェクトの. HDD における 1MB オブジェクトをアップロードし た際のスループット. れ以上に並列数を増加させるとスループットが低下し,過 度に増加させるとリトライ数や失敗数が増加しスループッ トが大きく低下することが分かる.具体的には,並列数が 32 までは並列数の増加に伴いスループットが上昇し,並列. 数が増加することがわかる. SSD でベンチマークを行った場合に着目すると,HDD で ベンチマークを行った際よりも最大スループットが大幅に 高いことが分かる.また,HDD で行った場合と同様の傾向. ⓒ 2018 Information Processing Society of Japan. 3.

(4) 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. Vol.2018-DBS-168 No.9 2018/12/22 100. がみられ,並列数を増加させるとある程度まではスループ. 90. ットが上昇し,それ以降はスループットの低下とリトライ. 80. 数と失敗数の増加がみられる.具体的には,オブジェクト の増加に伴いスループットが上昇し,128 まではスループ. 使用率 [ % ]. サイズが 1KB の場合を除いて,並列数が 32 までは並列数. 70 60 50 40 30. ットが安定している.また,1KB の場合は並列数が 32 を. 20. 超えると,1B と 1MB の場合は並列数が 128 を超えると,. 10 0. スループットが大幅に低下している.並列数が 128 を超え. 1. 10. Storage_I/O使用率 Proxy_CPU使用率. ている. 次に,図 9,図 10,図 11 に HDD を用いてベンチマーク. 100. 1000. 並列数. るとリトライ数が増加し,1024 を超えると失敗数が増加し 図 11. Storage_CPU使用率 Client_I/O使用率. Proxy_I/O使用率 Client_CPU使用率. HDD における 1MB オブジェクトをアップロード. を行った際の各マシンの CPU 使用率と I/O 使用率を,図. した際の各マシンの I/O 使用率と CPU 使用率. 12,図 13,図 14 に SSD を用いてベンチマークを行った際 の各マシンの I/O 使用率と CPU 使用率を示す.. 100 90 80 70. 使用率 [ % ]. 100 90 80. 使用率 [ % ]. 70. 60 50 40. 60. 30. 50. 20. 40. 10. 30. 0 1. 10. 20. 100. 1000. 並列数. 10. Storage_I/O使用率 Proxy_CPU使用率. 0 1. 10. 100. 図 12. 並列数 Storage_I/O使用率 Proxy_CPU使用率. 図 9. Storage_CPU使用率 Client_I/O使用率. Storage_CPU使用率 Client_I/O使用率. Proxy_I/O使用率 Client_CPU使用率. 1000. Proxy_I/O使用率 Client_CPU使用率. SSD における 1B オブジェクトをアップロードし た際の各マシンの I/O 使用率と CPU 使用率. HDD における 1B オブジェクトをアップロードし 100. た際の各マシンの I/O 使用率と CPU 使用率. 90 80 70. 使用率 [ % ]. 100 90 80. 使用率 [ % ]. 70. 60 50 40 30. 60. 20. 50. 10. 40. 0 1. 30. 100. 1000. 並列数. 20. Storage_I/O使用率 Proxy_CPU使用率. 10 0 1. 10. 100. 1000. 図 13. Storage_I/O使用率 Proxy_CPU使用率. Storage_CPU使用率 Client_I/O使用率. Storage_CPU使用率 Client_I/O使用率. Proxy_I/O使用率 Client_CPU使用率. SSD における 1KB オブジェクトをアップロードし. 並列数. 図 10. 10. た際の各マシンの I/O 使用率と CPU 使用率. Proxy_I/O使用率 Client_CPU使用率 100. HDD における 1KB オブジェクトをアップロード. 90. した際の各マシンの I/O 使用率と CPU 使用率. 80. 使用率 [ % ]. 70 60 50 40 30 20 10 0 1. 10. 100. 1000. 並列数 Storage_I/O使用率 Proxy_CPU使用率. 図 14. Storage_CPU使用率 Client_I/O使用率. Proxy_I/O使用率 Client_CPU使用率. SSD における 1MB オブジェクトをアップロード. した際の各マシンの I/O 使用率と CPU 使用率. ⓒ 2018 Information Processing Society of Japan. 4.

(5) 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report 図 9 から図 14 の横軸は並列数,縦軸は使用率であり単. Vol.2018-DBS-168 No.9 2018/12/22. ップロード並列数は 1 である.. 位は%である.HDD の場合は並列数に関わらず Storage Node の I/O 使用率が 90%以上と高い値となっていること がわかる.Storage Node と Proxy Node の CPU 使用率は並 列数の増加に伴い増加しているが,本稿の実験の範囲にお いては高い並列度であっても Storage Node の I/O 使用率を 超えることはなく,いずれの状態であっても Storage Node の I/O 処理がボトルネック(性能決定要因)となっているこ とがわかる.Proxy Node の I//O 使用率,Client の I/O 使用 率と CPU 使用率は 10%以下であり,低い値であることが わかる. SSD の場合は,並列度が低い状況では Storage Node の I/O. 図 15. ssbench におけるパケット可視化例. 使用率が最も高く,並列数の増加に伴い増加するが,HDD の場合と比べて最大 I/O 使用率は低くなっている.また, 並列数が大きくなると Storage Node の I/O 使用率が低下す ることがわかる.これは主にアップロードが失敗する様に なるからであると考えられる.Proxy Node の CPU 使用率 は並列数が高い状況では高く,並列度が極めて高い状況で は Storage Node の I/O 使用率を超えている.最も高い使用 率に着目すると,並列度が低い状況(1B にて 128 以下,1KB や 1MB で 32 以下)では Storage Node の I/O 使用率が最も高 く,HDD 使用時と同様にストレージノードにおけるオブジ ェクトの書き込みがボトルネック(性能に支配的な要因)と なっているが,並列度が高くなるにともに I/O 使用率が低 下し,Proxy Node の CPU 使用率が増加している.これは,. 図 16. Swift API におけるパケット可視化例. ssbench が Storage Node への書き込みを失敗しているため であると考えられる.. 6. 観察手法. 図 16 より,Swift API を用いて 1B のオブジェクトをアッ プロードする際の最長の時間消費処理は,クライアント機 において Swift プロセスが生成されてから最初のパケット. 前述の様に,オブジェクトストレージはボトルネック箇. がクライアント機から送出されるまでの処理 (これには. 所や性能劣化原因の考察が困難であると考えられる.この. Python インタプリタの起動などが含まれている)であり,ス. 課題に対して本稿では,計算機間のパケットの送出と受信. トレージノードにおける処理ではないことがわかる.. の時刻を記録,可視化し,システム全体の動作を俯瞰する 手法を提案する. 提案手法ではまず,全計算機(Client,Storage Node,Proxy Node)にて,パケットの送受信を記録する.記録する情報は, 送受信時刻,コネクション ID(ソース IP アドレス,ディス. 図 15 より,並列度 1 の状況においてはストレージノー ドにおける処理は長い時間を要してはおらず,プロキシノ ードにおける処理が長い時間を要していることがわかる.. 7. 考察. ティネーション IP アドレス,ソースポート番号,ディステ. 図 15,図 16 より,並列度が 1 の状況では本解析手法を. ィネーションポート番号),TCP シーケンス番号である.次. 用いてシステムの振舞を俯瞰でき,これは動作の把握を助. に,各パケットの送信機および受信機における送信時刻お. けることができると考えらえる.ただし,高い並列度とな. よび受信時刻をパケット送受信記録より特定する.そして,. り多数の処理が並行に動作している状況でも振舞の把握を. それらを線により結び図示,可視化する.パケットはコネ. 適切に行えるかについても考察する必要があると考えらえ. クション ID とシーケンス番号により一意に特定できるた. る.. め,上記情報により,あるパケットの送受信両機における 対応を特定することができる.. 4 章の評価により,HDD と SSD のどちらの場合もある 程度までは並列数の増加に伴いスループットが増加するが,. ssbench を用いて 2 つのオブジェクトがアップロードさ. ある並列数を超えるとスループットが低下し始め,過度に. れる動作を図 15 に,Swift API を用いて 1 つのオブジェク. 増加させると ssbench のリトライ数や失敗数が増加しスル. トがアップロードされる動作を図 16 に示す.とともに,ア. ープットが大きく低下することが分かった.このリトライ. ⓒ 2018 Information Processing Society of Japan. 5.

(6) 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report や失敗は ssbench クライアントにおいてソケット通信の確. Vol.2018-DBS-168 No.9 2018/12/22. [4]. 立の失敗によるものである.よって,クライアント実装の 改善などにより回避や解決が可能であり,オブジェクトス. [5]. トレージシステム Swift の性能などの限界に起因するもの ではないといえる. HDD 使用時のボトルネック処理(性能決定要因)がストレ. [6]. ージノードにおける I/O 処理であった理由およびその改善 方法に関する考察を行う.Swift は,オブジェクトをオペレ ーティングシステムのファイルシステム上にファイルとし て保存する.よって,ファイルシステム(本稿の例では xfs). [7]. におけるファイル書き込み処理の負荷がかかり,ボトルネ ック処理になったと思われる.特に,オブジェクトサイズ が小さい場合はファイルシステム上に細かいファイルが多 数作成されることにあり,性能が劣化したと考えらえる. よって,細かいファイルの処理性能が高いファイルシステ. [8]. ムを用いることや,オブジェクト群をデータ管理システム に格納するなどの手法により,これらの負荷の軽減や性能 の向上が実現できると予想される.また,計算機外部にて. [9]. 観察可能なパケットの観察に加え,ボトルネック部の計算 機内部システムソフトウェアの動作の観察[10][11][12]を行 うことにより,性能劣化原因の特定と性能の向上が可能に. [10]. なると期待できる.. 8. おわりに. [11]. 本論文では,オブジェクトストレージシステムに着目し, その性能の評価と,性能や動作の解析方法について考察を 行った.具体的には,OpenStack Swift を用いてオブジェク トストレージシステムを構築し,ssbench を用いて処理性能 の評価を行った.そして,各計算機の負荷状況の調査結果 を示し,パケット転送の記録によるオブジェクトストレー ジシステムの動作の観察方法につていの考察を行った. 今後は,高い並列度にて動作するオブジェクトストレー. [12]. S. Yamaguchi, M. Oguchi and M. Kitsuregawa, "Trace system of iSCSI storage access," The 2005 Symposium on Applications and the Internet, 2005, pp. 392-398. doi: 10.1109/SAINT.2005.65 Saneyasu YamaguchiMasato OguchiMasaru Kitsuregawa, “Trace System of iSCSI Storage Access and Performance Improvement,” Database Systems for Advanced Applications (DASFAA), pp. 487497, Springer Berlin Heidelberg, 2005. DOI: 10.1007/11408079_43 Nick McKeown, Tom Anderson, Hari Balakrishnan, Guru Parulkar, Larry Peterson, Jennifer Rexford, Scott Shenker, and Jonathan Turner, “OpenFlow: enabling innovation in campus networks,” SIGCOMM Comput. Commun. Rev. 38, 2 (March 2008), 69-74. DOI=http://dx.doi.org/10.1145/1355734.1355746 Saneyasu Yamaguchi, Akihiro Nakao, Masato Oguchi, Atsuhiro Goto, and Shu Yamamoto. 2016. Monitoring Dynamic Modification of Routing Information in OpenFlow Networks. In Proceedings of the 10th International Conference on Ubiquitous Information Management and Communication (IMCOM '16). ACM, New York, NY, USA, , Article 27 , 7 pages. DOI: http://dx.doi.org/10.1145/2857546.2857574 Q. Zheng, H. Chen, Y. Wang, J. Duan and Z. Huang, "COSBench: A Benchmark Tool for Cloud Object Storage Services," 2012 IEEE Fifth International Conference on Cloud Computing, Honolulu, HI, 2012, pp. 998-999. doi: 10.1109/CLOUD.2012.52 Omar SEFRAOUI, Mohammed AISSAOUI, Mohsine ELEULDJ; “OpenStack: Toward an Open-Source Solution for Cloud Computing”, International Journal of Computer Applications (0975 - 8887) Volume 55 - No. 03, October 2012 Kyosuke Nagata, Saneyasu Yamaguchi, "An Android application launch analyzing system," 2012 8th International Conference on Computing Technology and Information Management (NCM and ICNIT), Seoul, 2012, pp. 76-81. Yuta Nakamura, Kyosuke Nagata, Shun Nomura, and Saneyasu Yamaguchi. 2014. I/O scheduling in Android devices with flash storage. In Proceedings of the 8th International Conference on Ubiquitous Information Management and Communication (ICUIMC '14). ACM, New York, NY, USA, , Article 83 , 7 pages. DOI: https://doi.org/10.1145/2557977.2558025 H. Hirai, M. Oguchi and S. Yamaguchi, "A proposal on cooperative transmission control middleware on a smartphone in a WLAN environment," 2013 IEEE 9th International Conference on Wireless and Mobile Computing, Networking and Communications (WiMob), Lyon, 2013, pp. 693-700. doi: 10.1109/WiMOB.2013.6673432. ジシステムの振舞の解析方法についての考察を行っていく 予定である. 謝辞. 本研究は JSPS 科研費 15H02696, 17K00109, 18K11277. の助成を受けたものである. 本研究は,JST,CREST JPMJCR1503 の支援を受けたも のである.. 参考文献 [1]. Sridevi Bonthu, Y S S R Murthy, M. Srilakshmi “Building an Object Cloud Storage Service System using OpenStack Swift”, International Journal of Computer Applications (IJCA’14), 2014. [2] Saneyasu Yamaguchi, Masato Oguchi, Masaru Kitsuregawa, "iSCSI analysis system and performance improvement of sequential access in a long-latency environment," Electronics and Communications in Japan (Part III: Fundamental Electronic Science), Volume 89, Issue 4, Pages 55-69, Wiley Subscription Services, Inc., A Wiley Company, April 2006. DOI: 10.1002/ecjc.20238 [3] “GitHub - swiftstack/ssbench: Benchmarking tool for Swift clusters”. https://github.com/swiftstack/ssbench, ( 参 照 2018-1120).. ⓒ 2018 Information Processing Society of Japan. 6.

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図 9 から図 14 の横軸は並列数,縦軸は使用率であり単 位は%である.HDD の場合は並列数に関わらず Storage

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