電気通信大学大学院情報理工学研究科 情報・ネットワーク工学専攻情報数理工学コース修士論文
離散力学系の非双曲型不動点近傍における
Lyapunov
関数の精度
保証法による構成について
2021 年 3 月 25 日情報数理工学コース
学籍番号
1931137
皆本啓吾
主任指導教員 山本野人 指導教員 伊東裕也修 士 論 文 の 和 文 要 旨 研究科・専攻 大学院 情報理工学研究科 情報・ネットワーク工学専攻 博士前期課程 氏 名 皆本 啓吾 学籍番号 1931137 論 文 題 目 離散力学系の非双曲型不動点近傍におけるLyapunov 関数の精度保証法によ る構成について 要 旨 近年, 精度保証付き数値計算と力学系を組み合わせた研究が盛んに行われている. 力学系と は時間とともに, ある規則に従って状態が変化する系である. 力学系は純粋数学として研究さ れているが, 現象の数理的な説明を与えることから物理や工学まで広く応用されている. 一方 で, 精度保証付き数値計算(以下精度保証法と呼ぶ)とは与えられた問題における解の存在及び 存在範囲, もしくは一意性及び一意性の範囲を丸め誤差の厳密評価を含めて特定する算法であ る. この手法は存在証明ができることから, 力学系における様々な問題を解く道具として用い られている. 具体的には, 安定多様体や不変集合といった時間無限大の極限を含む現象の解析 が挙げられる. 本論文では離散力学系を扱う. 離散力学系とは, 時間の経過を離散的にとらえ, 点列を生成す る連続写像によって構成される系である. 上記の問題を解く重要な手がかりの一つとして, Lyapunov 関数の局所的な構成が挙げられる. 双曲型不動点を持つ系については, その局所 Lyapunov 関数の精度保証法による体系的な構成方法が知られている. しかしながら, この手 法は非双曲型不動点を持つ系に対しては適用できず, したがって精度保証法による局所 Lyapunov 関数の体系的な構成方法は確立されていない. 非双曲型不動点を持つ系に対しても その局所 Lyapunov 関数が構成できれば, 精度保証法と力学系を組み合わせた研究のさらなる 発展が見込める. 本論文では, 2 次元かつ線形化方程式の係数行列が直交行列となる場合に限定し, 精度保証法 による局所 Lyapunov 関数の体系的な構成方法について考察した. 提案する手法は, 連続力学 系の非双曲型平衡点近傍の Lyapunov 関数の構成法を参考にして導いたものである. 本論文で は, その適用範囲について考察し, 適用例を数値例として提示する. 結論として, 精度保証法による局所 Lyapunov 関数の体系的な構成には至っていないが, 一 部の場合に対しては, 用いた手法が適用可能であることがわかった. また, 線形化方程式の係 数行列が座標回転を与える直交行列である場合については, 本手法の適用限界も回転角θに関 する条件として示すことができた.
目 次
1 はじめに 2 2 精度保証付き数値計算の技法 4 2.1 区間と区間演算 [7], [8], [9] . . . . 4 2.2 本研究で用いた精度保証用ライブラリ [10] . . . . 5 3 離散力学系の不動点近傍における Lyapunov 関数の構成 6 3.1 離散力学系について . . . . 6 3.2 離散力学系における局所 Lyapunov 関数の定義 . . . . 6 3.3 双曲型不動点近傍における局所 Lyapunov 関数の構成 . . . . 7 4 先行研究 [5], [6] について 9 4.1 連続力学系について . . . . 9 4.2 問題設定 . . . 10 4.3 非線形変換と変換後の Lyapunov 関数 . . . 11 4.4 d(m) (u) の計算について . . . . 13 4.5 uTd(m)(u) の条件について . . . . 15 5 本研究について 18 5.1 問題設定 . . . 18 5.2 非線形変換と変換後の Lyapunov 関数 . . . 18 5.3 d(k) (u) の計算について . . . . 20 5.4 行列 J のパターンについて . . . 23 5.5 J1についての考察 . . . . 24 5.6 考える問題と定式化 . . . 30 5.7 定理 5.1 の適用 . . . 33 6 数値例 35 6.1 問題設定 . . . 35 6.2 おおまかな流れ . . . 35 6.3 実践 . . . 36 6.4 結果と考察 . . . 46 7 まとめと今後の展望 47 A 付録 48 A.1 J2の場合 . . . . 48 A.2 J3の場合 . . . . 51 A.3 J4の場合 . . . . 54 A.4 J5の場合 . . . . 571
はじめに
近年, 精度保証付き数値計算(以下精度保証法と呼ぶ)と力学系を組み合わせた研究が 盛んに行われている. 力学系とは, 時間とともにある規則に従って状態が変化する系であ る. 力学系は純粋数学として研究されているが, 現象の数理的な説明を与えることから物 理や工学まで広く応用されている([1]). 一方で, 精度保証付き数値計算とは与えられた問 題(数学モデル)における解の存在及び存在範囲, もしくは一意性及び一意性の範囲を丸 め誤差の厳密評価を含めて特定する算法である. また, この手法は存在証明ができること から, コンピュータ援用証明の一種と見なすことができ, 数値的検証法とも呼ばれている. それゆえに, 純粋数学への応用も可能であり, 力学系における複雑な問題を解くための非 常に強力な道具となっている. 具体的には, 安定多様体, 不変集合やホモクリニック軌道 といった時間無限大の極限を含む現象の解析([2], [3]) が挙げられる. 力学系には大きく分けて連続力学系, 離散力学系の 2 種類ある. 本論文では, その中で も離散力学系を扱う. 離散力学系とは, 時間の経過を離散的にとらえ, 点列を生成する連 続写像によって構成される系である. 上記のような問題を解く重要な手がかりの一つとし て, Lyapunov 関数の局所的な構成 (以下局所 Lyapunov 関数と呼ぶ) が挙げられる. 局所 Lyapunov 関数は, 相空間上の点の位置で決まるスカラー値関数であり, ある不動点の安 定性を証明するツールとしてしばしば用いられている. この関数は, 与えられた力学系に 従って時間の経過とともに点列が推移する際に, その値が減少する性質を持つ. 言い換え れば, 力学系によって動く点は局所 Lyapunov 関数の等高線を下って移動する. こうした 性質から, 時間無限大の極限を数値的に扱えるための要となる. 局所Lyapunov 関数については, 双曲型不動点近傍では, 2 次形式の形で構成可能であり, また精度保証付き数値計算による体系的な構成方法も知られている([4]). しかしながら, 非双曲型不動点近傍では, 2 次形式の局所 Lyapunov 関数は原理的に構成することができ ず, したがって精度保証付き数値計算による局所 Lyapunov 関数の体系的な構成方法は確 立できていない. こうした背景から, 局所 Lyapunov 関数を非双曲型の不動点の近傍でも 構成できれば, 精度保証法と力学系を組み合わせた研究手法のさらなる発展が期待できる. 本論文では, 2 次元かつ線形化方程式の係数行列が直交行列となる場合に限定し, 離散力 学系の非双曲型不動点近傍でのLyapunov 関数を精度保証法によって構成することを試み る. 提案する手法は, 連続力学系の非双曲型平衡点近傍の Lyapunov 関数の構成法 ([5], [6]) を参考にして導いたものである. 本論文では, その適用範囲について考察し, 適用例を数 値例として提示する. 本論文の構成について述べる. 第 2 章では, 本論文で用いる精度保証の技法, 及び用いた 精度保証ライブラリについて簡単に記述する. 具体的には, 区間や区間演算の定義, 精度 保証計算ソフトであるINTLAB について述べる. 第 3 章では, 離散力学系について述べた上で, 局所 Lyapunov 関数の定義について一般的 なLyapunov 関数との違いやその意義とともに記述する. また, 双曲型不動点近傍におけ る局所Lyapunov 関数の構成方法についても述べる. 第 4 章では, 先行研究 [5], [6] で用いられた 2 次元の連続力学系の非双曲型平衡点におけ る局所Lyapunov 関数の体系的な構成手法について述べる. 第 5 章では, 線形化方程式の係数行列が座標回転を与える直交行列である場合に限定し, 本論文の主題である, [5] の手法が非双曲型不動点を持つ 2 次元離散力学系に対して適用できる範囲について考察する. 第 6 章では, 適用例を数値例として提示する. 非双曲型不動点近傍において実際に局所 Lyapunov 関数が構成できていることを示す. 第 7 章では, 本論文のまとめと今後の展望について記述する. 最後に, 付録として線形化方程式の係数行列が座標回転を与えるものとは限らない場合 に対して, [5] の手法の適用範囲について現段階での知見を述べる.
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精度保証付き数値計算の技法
本研究では, 精度保証法を利用することで, 離散力学系の非双曲型不動点近傍における Lyapunov 関数の定義の検証を行う. そこで, この節では本研究で利用する精度保証付き 数値計算の技法を[7], [8], [9] に基づき紹介する. 2.1 区間と区間演算 [7], [8], [9] 通常, 計算機で使用されている浮動小数点数では有限桁の数しか扱えないために, 数学 的厳密解を得ることはできない. そこで, 精度保証法では区間と呼ばれる実数の閉集合で 数を表すことが多い. 実数の区間 [a, b] とは次のようなR 上の閉集合である. [a, b] :={x | a ≤ x ≤ b} (a, b ∈ R) (2.1) 実数の代わりに区間 (2.1) を用いて計算することで, 真の結果が包含されるような区間を 得ることが, 精度保証付き数値計算の基本的な考え方である. 区間の表現の仕方としては, 上限・下限で表す方法と, 中心・半径で表す方法の二種類がある. 上限・下限形式の上限, 下限と中心・半径形式の中心, 半径はいずれも浮動小数点数である. 二つの区間 X = [x, x], Y = [y, y] の間の演算は, それぞれの区間に含まれる任意の実数 同士の演算結果をすべて包含する最小の有界閉区間として定義される. この区間同士の演 算を区間演算と呼ぶ. 四則演算については以下のようになる. X + Y = [x + x, x + x] X− Y = [x − y, x − y] X∗ Y = [x, y]x = min{xy, xy, xy, xy} y = max{xy, xy, xy, xy} X/Y = [x, x]∗ [1/y, 1/y], 0 /∈ Y
演算結果の上限・下限が浮動小数点数にならない場合は, 上限の場合は上向きに下限の場 合は下向きに、丸めた結果の浮動小数点数を上限・下限とする. また, 区間演算では分配則が成り立たず, 次の半分配則しか成り立たないことに注意が 必要である. すなわち, 区間 A, 区間または実数 B, C に対して, A∗ (B + C) ⊂ A ∗ B + A ∗ C (2.2) は成立するが, 逆向きの包含は一般には成立しない. したがって, 区間演算においては同 じ変数(区間)はできるだけ括って計算したほうが区間の拡大を抑えられる. また, 区間 演算では X− X ̸= [0, 0] X/X ̸= [1, 1]
であることにも注意が必要である. また, 区間を成分として持つベクトル, 行列をそれぞ れ区間ベクトル, 区間行列と呼び, それらの間の演算は通常の場合と同様であるが, 成分が 区間であるものとする.
このように区間を用いて計算を進めることで, 最終的に解を含む区間が得られるが, 区 間演算をそのまま適用したのでは過大評価により区間幅が拡大し過ぎてしまう場合があ り, その原因は大きく分けて Dependency Problem(D.P.) と Wrapping Eect(W.E.) の二 つがある. 精度保証法では, このような D.P, W.E. をできるだけ回避するように計算を工 夫することが重要である.
2.2 本研究で用いた精度保証用ライブラリ [10]
本研究では, 精度保証法を扱うにあたって, INTLAB[10] を用いた. INTLAB とは, ハン ブルク工科大学のSiegfried M. Rump 教授が開発した MATLAB あるいは GNU Octave 上 で利用できる区間演算ソフトウェアである. なお, 用いた INTLAB のバージョンは 11 で ある.
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離散力学系の不動点近傍における
Lyapunov
関数の構成
力学系とは, 一定の規則に従って時間の経過とともに状態が変化する系、あるいはその システムを記述するための数学的なモデルのことである. 本論文では, その中でも離散力 学系と呼ばれる系を扱う. 本節では, 参考文献 [11], [12] をもとに離散力学系について述べ る. さらに, 局所 Lyapunov の定義について一般的な Lyapunov 関数との違い, その意義と ともに記述する([4], [5]). 3.1 離散力学系について 離散力学系とは, 時間の経過を離散的にとらえ, 点列を生成する連続写像によって構成 される系である. 0≤ m ∈ Z に対して, 離散力学系を数式で表すと以下の通りである. xm+1 = Ψ(xm), x0 ∈ Rn. (3.1) ただし, Ψ は, Ψ : Rn→ Rnとなる C1級写像である. 次に, 不動点について述べる. 離散力学系 (3.1) における不動点とは, 不動点方程式 x∗ = Ψ(x∗) を満たすような点であり, 本節では x∗と表す. これは, 写像 Ψ を作用させた結果が変わら ず, 点が動かないということを意味している. 次に, 双曲型および, 非双曲型不動点について述べる. 各々の定義は, 以下の通りである. 定義 3.1 Ψ(xm) の不動点 x∗におけるJacobi 行列 DΨ(x∗) の固有値を λ1, λ2, . . . とす る. このとき, 条件 任意の k ∈ N に対して, |λk|̸= 1 を満たす不動点を双曲型不動点と呼ぶ. この条件を満たさない不動点を非双曲型不動点と呼ぶ. 3.2 離散力学系における局所 Lyapunov 関数の定義 Lyapunov 関数とは, 力学系における不動点(平衡点)の安定性を証明するために用いら れる関数である. 特に, 安定性理論や制御理論において非常に重要な数学的ツールとなっ ている. 離散力学系 (3.1) におけるLyapunov 関数 L(x) は以下のように定義される.定義 3.2 x∗を系 (3.1) における不動点, x∗を含む集合 U ⊂ Rnを開集合とする. この とき, 領域 U での広義 Lyapunov 関数とは, 次の条件を満たす C1級関数 L : U → R を 指す. 1. 任意の x ∈ U に対して, L(Ψ(x)) ≤ L(x). 2. L(Ψ(x)) = L(x) ⇒ x = x∗ ∈ U. 3. 任意の x ∈ U\{x∗} に対して, L(u) ≥ 0. また, 広義 Lyapunov 関数であって, さらに次の条件を満たせば, L は x∗を含む領域 U における(狭義)Lyapunov 関数という. 4. 任意の x ∈ U\{x∗} に対して, L(Ψ(x)) < L(x). 上述のLyapunov 関数では, 不動点が安定な場合のみに定義されている. 本論文におけ るLyapunov 関数の構成は不動点近傍の軌道のより詳細な解析ツールとして用いることを 想定しており, 不安定な不動点についても定義できるようにしたい. そこで, 以下のよう に条件を緩和し定義を拡張する. 定義 3.3 離散力学系 (3.1) の不動点 x∗を含む領域 U ⊂ RnでのLyapunov 関数とは, 次の条件を満たす C1級関数 L : U → R を指す. 1. 任意の x ∈ U\{x∗} に対して, L(Ψ(x)) < L(x). 2. L(Ψ(x)) = L(x) ならば, x = x∗ ∈ U. 本論文では, 定義 3.3 の Lyapunov 関数を扱い, Lyapunov 関数の局所的な構成を目指す. 3.3 双曲型不動点近傍における局所 Lyapunov 関数の構成 系 (3.1) の不動点が双曲型であるならば, 先行研究 [4] によって不動点近傍における局所 Lyapunov 関数の構成法の手順が示されている. 本節では, これに基づき記述する.
方法 3.1 1. x = x∗における Ψ(x) のJacobi 行列 DΨ(x∗) を A∗ ∈ Rn×nとおく. これが正則 行列によって対角化可能であるとする. Λ ∈ Cn×nを A∗の固有値 λ 1, λ2,· · · , λnを 並べた対角行列, X ∈ Cn×nを対応する固有ベクトルを並べた行列として, Λ = X−1A∗X とする. 2. 行列 I∗ ∈ Rn×nを i 1, i2, · · ·, inが対角成分となる対角行列とする. ただし, ikは 次のように定める. ik = 1, if |λk|< 1, −1, if |λk|> 1. ただし, x∗は双曲型不動点なので|λk|̸= 1 となることに注意する. 3. 実対称行列 Y を次のように算定する. ˆ Y = X−HI∗X−1, Y = Re( ˆY). ただし, X−H は X の共役転置の逆行列である. 4. 次の二次形式を Lyapunov 関数の候補として決める. L(x) = (x− x∗)TY (x− x∗). 以上の計算に関しては, 通常の浮動点小数点演算による近似計算で行えばよいことを注 意しておく. Lyapunov 関数であることの検証を精度保証計算で行う場合に, Y が数値的 に対称でなければ, (Y + YT)/2 として対称性を確保する. 方法3.1 を用いることで, 離散力学系の双曲型不動点に対する局所 Lyapunov 関数を構成 することができる. しかしながら, 不動点が非双曲型である場合, 方法 3.1 では Lyapunov 関数を構成することができない. そのため, 非双曲の不動点を持つ離散力学系における局 所Lyapunov 関数に対する構成法としては, 方法 3.1 とは異なる新たな手法が必要である.
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先行研究
[5], [6]
について
本研究では, 連続力学系に対する先行研究 [5], [6] を応用することにより, 非双曲型の不 動点を持つ離散力学系における局所Lyapunov 関数に対する構成法を導く. そこで本節で は, 連続力学系における平衡点, 非双曲・双曲型不動点, Lyapunov 関数の定義について述 べた上で, [5], [6] の概要について記す. 先行研究では, 2 次元の連続力学系における非双曲型平衡点近傍における局所 Lyapunov 関数 L(x) の構成について述べられている. 本節では, 特にその平衡点における Jacobi 行 列が純虚数の固有値を持つ場合の考察について参考文献[6] を基に述べる. また, 連続力学 系と離散力学系の対応関係についても簡単に述べる. 4.1 連続力学系について 連続力学系を数式で表すと以下の通りである. dv dt = f (v), v∈ Rn, f :Rn → Rn. (4.1) 連続力学系 (4.1) における平衡点とは, 位相空間内の時間的に変化しない点であり, 方 程式 f (u∗) = 0 を満たす. 本節では平衡点を u∗と表す. なお, これは離散力学系における不動点と対応し ている. また, 双曲型および非双曲型平衡点の定義は, 以下の通りである. 定義 4.1 系 (4.1) の平衡点 u∗ におけるJacobi 行列 Df(u∗) の固有値を λ 1, λ2, . . . と する. このとき, 条件 任意の k ∈ N に対して, Re(λk)̸= 0 を満たす平衡点を双曲型平衡点と呼ぶ. この条件を満たさない平衡点を非双曲型平衡点と呼ぶ.次に, Lyapunov 関数について述べる. 連続力学系 (4.1) における Lyapunov 関数 L(u) は 以下のように定義される.
定義 4.2 u∗を系 (4.1) における平衡点, u∗を含む集合 U ⊂ Rnを開集合とする. この とき, 領域 U での広義 Lyapunov 関数とは, 次の条件を満たす C1級関数 L : U → R を 指す. 1. 任意の u ∈ U に対して, d dtL(u)≤ 0. 2. L(u∗) = 0 かつ d dtL(u∗) = 0. 3. 任意の u ∈ U\{u∗} に対して, L(u) ≥ 0. また, 広義 Lyapunov 関数であって, さらに次の条件を満たせば, L は u∗を含む領域 U における(狭義)Lyapunov 関数という. 4. 任意の u ∈ U\{u∗} に対して, d dtL(u) < 0. 上述のLyapunov 関数では, 平衡点が安定な場合のみに定義されている. 先行研究 [5] に おけるLyapunov 関数の構成は平衡点近傍の軌道のより詳細な解析ツールとして用いるこ とを想定しており, 不安定な平衡点についても定義できるようにしたい. そこで, 以下の ように条件を緩和し定義を拡張させる. 定義 4.3 連続力学系 (4.1) の平衡点 u∗ を含む領域 U ⊂ RnでのLyapunov 関数とは, 次の条件を満たす C1級関数 L : U → R を指す. 1. 任意の u ∈ U\{u∗} に対して, d dt(L(u)) ≤ 0. 2. L(u∗) = 0 かつ d dtL(u∗) = 0.
先行研究 [5], [6] では, 定義 4.3 の Lyapunov 関数を扱い, Lyapunov 関数の局所的な Lya-punov 構成を目指している. 4.2 問題設定 v = (v1, v2)T ∈ R2に対して, 次の問題を考える. ˙v = J v + p(2)(v) + p(3)(v) +· · · + p(s−1)(v) +O(||v||s) (3≤ s ∈ N) . (4.2) ここで, J = [ 0 −ρ ρ 0 ] , [ 0 0 0 ρ ] , [ 0 ρ 0 0 ] , [ 0 0 0 0 ] (ρ∈ R\{0}) とし, p(m) (2≤ m ≤ s − 1) は p(m)(v) ∈ R2であって, 各要素が v 1, v2に関する m 次同次 式であるものを表す. いま, 原点は式 (4.2) の平衡点になっているが, これは非双曲型であるので, これまでの 方法では, 原点近傍での Lyapunov 関数を構成することはできない. そこで, 新たに以下の 手順によりLyapunov 関数の構成を試みる. 1. 式 (4.2) に適当な (非線形) 変数変換を行う.
2. 変換後の系で局所 Lyapunov 関数 L を構成する. 3. 逆変換により元の変数に戻して得られる関数 L が, 元の系に対する局所 Lyapunov 関 数になっていることおよびその定義域を精度保証法を用いて確認する. 第1 ステップで行う非線形変数変換の決め方として, 力学系の理論で用いられている標 準形変換から着想を得ている. 先行研究[6] では, 特に J = [ 0 −ρ ρ 0 ] について考察している. ρ = 1 としても一般性を失わない ので, 本論文では, J = [ 0 −1 1 0 ] の場合に限定して述べる. 4.3 非線形変換と変換後の Lyapunov 関数 2≤ k ≤ s − 1 を満たす k に固定し, 次の変数変換を考える. v = u + k ∑ m=2 q(m)(u). (4.3) ここで, u = (u1, u2)T であり, q(m)(u) は各成分が u1, u2に関する m 次同次式である 2 元 の縦ベクトルとする. q(m)(u) の具体的な決め方は後述する. さらに式 (4.2) と式 (4.3) か ら u に関する以下の微分方程式を得る. ˙ u = J u + k ∑ m=2 d(m)(u) +O(||u||k+1). (4.4) ここで, d(m)(u) は各成分が u 1, u2に関する m 次同次式からなる 2 元縦ベクトルである. 式 (4.4) に対して, 原点近傍で以下の形の局所 Lyapunov 関数を構成することを考える. L(u) = uTY u. (4.5) ただし, Y は 2 次の実対称行列とする. 式 (4.5) の時間微分を考えると, dL dt = 2u TY ˙u = 2uTY ( J u + k ∑ m=2 d(m)(u) ) +O(||u||k+2) となる. もし, dL/dt の 2 次項が負定値であれば, L は原点近傍で Lyapunov 関数となる. ここで, dL/dt の 2 次項は, uT(Y J + JTY )u
に等しいので, 行列 Y J + JTY の負定値性を確認する. Y = [ a b b c ] とおいて, 実際に計算すると, Y J + JTY = [ 2b c− a c− a −2b ] となり, その固有値は λ = ±√4b2+ (c− a)2なので Y J + JTY を負定値にすることはで きない. そこで, dL/dt の 2 次項を消すように a, b, c を定める. そのためには, a = c, b = 0, すなわち Y = [ a 0 0 a ] とすればよい. さて, 次に dL/dt の 3 次項について考えるが, この項は定符号にはならず, この項も消す 必要がある. dL/dt の 3 次項は,
2uTY d(2)(u) = 2auTd(2)(u) であるので, d(2) (u) を具体的に計算する. 式 (4.3) を t で微分すると, ˙ u = ˙v− k ∑ m=2 Dq(m)(u) ˙u. (4.6) 式 (4.6) を変形すると, ˙ u = ˙v− Dq(2)(u) ˙u +O(||u||3) = J v + p(2)(v)− Dq(2)(u) ˙u +O(||u||3)
= J(u + q(2)(u))+ p(2)(u)− Dq(2)(u)J u +O(||u||3) = J u + J q(2)(u) + p(2)(u)− Dq(2)(u)J u +O(||u||3) であるから,
d(2)(u) = J q(2)(u) + p(2)(u)− Dq(2)(u)J u
となる. この右辺のうち, p(2)(u) は既知の量であり, Jq(2)(u), −Dq(2)(u)J u が調節でき
る項であることに注意すると, 与えられた p(2)に対して,
uT (J q(2)(u)− Dq(2)(u)J u)=−uTp(2)(u)
となる q(2)(u) を見つけることができれば, uTd(2)(u) = 0 とできることがわかる. ここで, uTd(2) (u) = 0 を満たすような q(2)(u) を見つけることができたと仮定する. こ のとき, auTd(3)(u) が任意の原点近傍の u に対して負値をとれば, L は局所 Lyapunov 関 数となる. 負値を取るようにできないならば, 先ほどと同様に uTd(3) (u) = 0 を目指す.
式 (4.6) を変形すると, ˙
u = ˙v− Dq(2)(u) ˙u− Dq(3)(u) ˙u +O(||u||4)
= J v + J q(2)(u) + J q(3)(u) + p(2)(u + q(2)(u)) + p(3)(u) −Dq(2)( ˙v− Dq(2)(u) ˙u)− Dq(3)J (u) +O(||u||4)
= J v + J q(2)(u) + J q(3)(u) + p(2)(u) + ˜p(3)(u) + p(3)(u)
−Dq(2)J u− Dq(2)(J q(2)(u) + p(2)(u)− Dq(2)J u)− Dq(3)(u)J u +O(||u||4)
= J u + d(2)(u) + J q(3)(u) + ˜p(3)(u) + p(3)(u)− Dq(2)(u)d(2)(u)− Dq(3)J u +O(||u||4). ここで, ˜p(3)
(u) は p(2)(u + q(2)(u)) の 3 次項を表すものとする. ˆ
p(3)(u) = p(3)(u) + ˜p(3)(u) とおく. q(2)(u) が決まっていることから, ˆp(3)
(u) も計算できるので, ˆp(3)(u) は実質的に与 えられた量であることに注意する. これより
d(3)(u) = J q(3)(u) + ˆp(3)(u)− Dq(3)J u となり, これは d(2)
(u) とほぼ同じ形である. よって, 与えられた ˆp(3)(u) に対して,
uT (J q(3)(u)− Dq(3)J u)=−uTpˆ(3)(u)
となる q(3)(u) を見つけることができれば, 2auTd(3)(u) = 0 とできることがわかる.
以下同様に計算する. すなわち, 1. m が偶数のとき uTd(m)が 0 となるように q(m)(u) を決定する. [6] によれば, 実は d(m)が 0 となるよ うに q(m)(u) を決定することができる. 2. m が奇数のとき auTd(m)(u) が任意の原点近傍の u に対して, 負値を取るように q(m)(u) を選べるか どうかを確認する. もし, そのような q(m)(u) が選べるならば, L は Lypaunov 関数と なる. 選べないならば, uTd(m) (u) = 0 となるように, q(m)(u) を決定する. このとき, 例えば以下の問題が残っている. 1. d(m) (u) の計算に規則性があるか 2. 必ず uTd(m)(u) = 0 とできるか 以下では, これらについて考察していく. 4.4 d(m) (u) の計算について まず, d(m) (u) の計算方法から考える. uTd(r) (u) = 0 (2≤ r ≤ m − 1) が成立していると仮定する. d(m)(u) は, 式 (4.6) から • ˙v から出る m 次項
• −Dq(2)(u) ˙u から出る m 次項 • ... • −Dq(m−1)(u) ˙u から出る m 次項 • −Dq(m)(u) ˙u から出る m 次項 の和により構成されていることに注意してそれぞれ考えて行こう. 1. ˙v から出る m 次項について ˙v = J v + p(2)(v) + p(3)(v) +· · · + p(m)(v) +O(||v||m+1) = J ( u + m ∑ j=2 q(m)(u) ) + p(2) ( u + m∑−1 j=2 q(m)(u) ) + p(3) ( u + m∑−2 j=2 q(m)(u) )
+· · · + p(m−1)(u + q(2)(u)) + p(m)(u) +O(||u||m+1) なので, ˜ p(m)(u) = [ p(2) ( u + m∑−1 j=2 q(m)(u) ) の m 次項 ] + [ p(3) ( u + m∑−2 j=2 q(m)(u) ) の m 次項 ] +· · · + p(m)(u) とおくと, ˙v から出る m 次項は J q(m)(u) + ˜p(m)(u) と書ける. 仮定より, q(r)(u) (2≤ r ≤ m − 1) は決定していることから, ˜p(u) は実質 的に与えられた量であることに注意する. 2. −Dq(r)(u) ˙u (2≤ r ≤ m − 1) から出る m 次項について −Dq(r)(u) が u の r− 1 次項であることから, m 次項は −Dq(r)(u)d(m−(r−1))(u) により表される. 仮定より, これらの量は与えられた量である. これらの和を ˜ d(m)(u) =− m∑−1 r=2 Dq(r)(u)d(m−(r−1))(u) とおく. 3. −Dq(m)(u) ˙u から出る m 次項について −Dq(m)(u) が u の m− 1 次項であることから, m 次項は −Dq(m)(u)J u となることがわかる.
以上より,
d(m)(u) = J q(m)(u) + ˜p(m)(u) + ˜d(m)(u)− Dq(m)(u)J u と書ける. さらに, ˜p(m)
(u) + ˜d(m)(u) は既知の量であることに着目し, ˆ
p(m)(u) = ˜p(m)(u) + ˜d(m)(u) とおくと,
d(m)(u) = J q(m)(u)− Dq(m)(u)J u + ˆp(m)(u) (4.7) と書ける.
4.5 uTd(m)(u) の条件について
V(m)を各成分が u
1, u2の m 次同次式である 2 元縦ベクトル全体の空間とし, 写像 N(m) :
V(m) → V(m)を
N(m)(q(m)(u)) := J q(m)(u)− Dq(m)(u)J u (4.8) により定義する. N(m)は q(m)(u) について線形であることに注意する. 以下では, V(m)の基底として, ϕ(m)0 (u) = [ um 1 0 ] , ϕ(m)1 (u) = [ um1−1u2 0 ] , ϕ(m)2 (u) = [ um1−2u2 2 0 ] , . . . , ϕ(m)m (u) = [ um 2 0 ] , ϕ(m)m+1(u) = [ 0 um1 ] , ϕ(m)m+2(u) = [ 0 um1−1u2 ] , ϕ(m)m+3(u) = [ 0 um1−2u22 ] , . . . , ϕ(m)2m+1(u) = [ 0 um2 ] を選ぶこととする. q(m)(u) = 2m+1∑ i=0 qiϕ (m) i (u), qi ∈ R とおくと, 式 (4.7), 式 (4.8) と N(m)の線形性より, uTd(m)(u) = uTN(m) (2m+1 ∑ i=0 qiϕ (m) i (u) ) + uTpˆ(m)(u) = 2m+1∑ i=0 ( qiuTN(m)(ϕ (m) i (u)) ) + uTpˆ(m)(u) である. いま, uTN(m)(ϕ(m) i (u)) は u1, u2に関する m + 1 次同次式であり, u1, u2に関する m + 1 次同次式の全体は m + 2 次元のベクトル空間をなす. もし, span{uTN(m)(ϕ(m) 0 (u)), uTN(m)(ϕ (m) 1 (u)), . . . , uTN(m)(ϕ (m) 2m+1(u))} の次元が m + 2 であれば, qiを適当に選ぶことで, 2m+1∑ i=0 ( qiuTN(m)(ϕ (m) i (u)) ) =−uTpˆ(m)(u) とすることができる.
ここで, 次の定理が成り立つ. 定理 4.1 span{uTN(m)(ϕ(m) 0 (u)), uTN(m)(ϕ (m) 1 (u)), . . . , uTN(m)(ϕ (m) 2m+1(u))} の次 元は, m が偶数のとき m + 2, m が奇数のとき m + 1 となる. 定理の証明は先行研究[6] を参照. 定理4.1 より, m が偶数のときには常に uTd(m) (u) = 0 とできる q(m)(u) が存在するこ とがわかる. m が奇数の場合には, 以下の二つの条件 • 原点の近傍で auTd(m)(u) < 0 • auTd(m)(u) = 0 のいずれか一方が成立するように q(m)(u) を決定することができる. まずは原点の近傍で auTd(m) (u) < 0 が成立するような q(m)(u) が存在する条件を考え よう. はじめに, q(m)(u) = 2m+1∑ j=0 qjϕ (m) j とおくと, auTd(m)(u) = 2m+1∑ j=1 aqjuTN(m)(ϕ (m) j ) + au Tpˆ(m) (u) である. 2 変数の m + 1 次同次式全体が作るベクトル空間の次元が m + 2 であることと, span{uTN(m)(ϕ(m)0 (u)), uTN(m)(ϕ(m)1 (u)), . . . , uTN(m)(ϕ(m)2m+1(u))}
の次元が m + 1 であることより, もし
auTpˆ(m)(u) /∈ span{uTN(m)(ϕ(m)0 (u)), uTN(m)(ϕ(m)1 (u)), . . . , uTN(m)(ϕ(m)2m+1(u))} であれば,
auTN(m)(ϕ(m)0 (u)), auTN(m)(ϕ0(m)(u)), . . . , auTN(m)(ϕ(m)0 (u)), auTpˆ(m)(u)
は 2 変数の m + 1 次同次式全体が作るベクトル空間の基底となる. よって, このとき, qjを
適当に選ぶことにより, auTd(m)(u) < 0 とできる.
一方で,
auTpˆ(m)(u)∈ span{uTN(m)(ϕ(m)0 (u)), uTN(m)(ϕ(m)1 (u)), . . . , uTN(m)(ϕ(m)2m+1(u))} の場合には, qjを適当に選ぶことにより, 2m+1∑ j=1 aqjuTN(m)(ϕ (m) j (u)) = −au Tpˆ(m) (u) とすることができ, これは auTd(m)(u) = 0 を意味する.
以上をまとめると, 以下のようになる. • auTpˆ(m) (u) /∈ span{uTN(m)(ϕ(m) 0 (u)), uTN(m)(ϕ (m) 1 (u)), . . . , uTN(m)(ϕ (m) 2m+1(u))} のとき, qjを選ぶことにより, auTd(m)(u) < 0 とできる. • auTpˆ(m)
(u)∈ span{uTN(m)(ϕ(m)0 (u)), uTN(m)(ϕ(m)1 (u)), . . . , uTN(m)(ϕ(m)2m+1(u))} のとき, qjを選ぶことにより, auTd(m)(u) = 0 とできる.
5
本研究について
前節では, 先行研究 [5], [6] の内容について述べた. 本節では, [5], [6] で用いた理論を非 双曲型不動点を持つ 2 次元の離散力学系に応用し, その不動点近傍における Lyapunov 関 数 L(x) の構成について考察を行う. 5.1 問題設定 x = (x1, x2)T ∈ R2に対し, 次の問題を考える. 問題 5.1 0 以上の整数 m に対して, 離散力学系 { xm+1 = Ψ(xm), (5.1) x0 ∈ R2 における写像 Ψ を Ψ(x) = J x + p(2)(x) + p(3)(x) +· · · + p(s−1)(x) +O(||x||s) (3 ≤ s ∈ N) (5.2) とし, 行列 J における少なくとも 1 つの固有値は絶対値が 1 とする. また, p(k)(x) (2≤ k ≤ s − 1) は p(k)(x)∈ R2であって, 各要素が x 1, x2に関する k 次 同次式であるものを表す. いま, 原点は系 (5.1) の不動点となっているが, これは非双曲型であるので, [4] の方法で は原点近傍でのLyapunov 関数を構成することはできない. そこで, [5], [6] で用いた以下 の手順により, Lyapunov 関数の構成を試みる. 1. 式 (5.5) に適当な (非線形) 変数変換を行う. 2. 変換後の系で局所 Lyapunov 関数 L を構成する. 3. 逆変換により元の変数に戻して得られる関数 L が, 元の系に対する局所 Lyapunov 関 数になっていることを精度保証法を用いて確認する. 5.2 非線形変換と変換後の Lyapunov 関数 2≤ n ≤ s − 1 を満たす n を固定し, 次の変数変換を考える. x = u + n ∑ k=2 q(k)(u). (5.3) ここで, u = (u1, u2)T であり, q(k)(u) は各成分が u1, u2に関する k 次同次式である 2 元の 縦ベクトルとする. q(k)(u) の具体的な決め方は後述する. 変数変換 (5.3) によって, x0が u0 ∈ R2に, Ψ(x) が Φ(u) := Ψ(u + n ∑ k=2 q(k)(u))に対応するとすれば, 式 (5.1), 式 (5.2) より, um+1 = Φ(um), (5.4) Φ(u) = J u + n ∑ k=2 d(k)(u) +O(||u||n+1). と書ける. d(k) (u) は, 各成分が u1, u2に関する k 次同次式からなる 2 元縦ベクトルである. さて, 式 (5.4) に対して, 原点近傍で以下の形の局所 Lyapunov 関数を構成することを考 えよう. L(u) := uTY u. ただし, Y は 2 次の実対称行列とする. ∆L(u) := L(Φ(u)) − L(u) = ( J u + n ∑ k=2 d(k)(u) +O(||u||n+1) )T Y ( J u + n ∑ k=2 d(k)(u) +O(||u||n+1) ) − uT Y u であるから, ∆L(u) における 2 次項, 3 次項, 4 次項, . . . , k 次項, . . . の部分はそれぞれ • 2 次項の部分 (J u)TY (J u)− uTY u = uT(JTY J − Y )u • 3 次項の部分
(J u)TY d(2)(u) + d(2)(u)TY (J u) = 2uTJTY d(2)(u) • 4 次項の部分
(J u)TY d(3)(u) + d(2)(u)TY d(2)(u) + d(3)(u)TY (J u) = d(2)(u)TY d(2)(u) + 2uTJTY d(3)(u)
• ... • k 次項の部分 (J u)TY d(k−1)(u) + k−2 ∑ l=2
d(l)(u)TY d(k−l)(u) + d(k−1)(u)TY (J u)
= 2uTJTY d(k−1)(u) + k−2 ∑ l=2 d(l)(u)TY d(k−l)(u) と計算できる. ここで, 関数 L(u) が系 (5.4) の原点における局所 Lyapunov 関数であるための条件は, 原 点近傍の任意の u に対して, ∆L(u) < 0 である. したがって, ∆L(u) のうち n + 1 次以上の項を無視した式が, 原点近傍で 0 でな い任意の u について, 負値を取れば局所 Lyapunov 関数となる.
本研究では, [6] と同様に以下の操作を行い, L(u) が局所 Lyapunov 関数となるように, 実対称行列 Y および q(2)(u), . . . , q(k)(u), . . . を選ぶ. 方法 5.1 実対称行列 Y および q(2)(u), . . . , q(k)(u), . . . の選び方 1. 2 次項の部分, すなわち uT(JTY J− Y )u が, 0 になるように実対称行列 Y を選ぶ. 2. 2 ≤ k ≤ n に対して, 2a. または 2b. を行う. 2a. k が偶数ならば, uTJTY d(k) (u) = 0 となるように q(k)(u) を選ぶ. 2b. k が奇数ならば, k +1 次項の部分が 0 でない任意の u について, 負値を取るような
q(k)(u) が選べるかチェックする. そのような q(k)(u) を選べるならば, L(u) は局所 Lyapunov 関数となるため, 本操作を終了する. 選べなければ, uTJTY d(k) (u) = 0 となるように q(k)(u) を選ぶ. このとき, 以下の問題が残っている. 1. d(k)(u) の計算に規則性はあるか 2. 任意の 2 ≤ k に対して, 必要に応じて uTJTY d(k) (u) = 0 とできるか 後節では, この 2 点について考察していく. 5.3 d(k) (u) の計算について まず, d(k)(u) (k = 2, 3, 4, . . . , n) を具体的に求めよう. 式 (5.2) より, Ψ(x) = J x + p(2)(x) + p(3)(x) +· · · + p(n)(x) +O(||x||n+1). (5.5) また, 式 (5.3) を変形すると, Φ(u) = Ψ(x)− n ∑ k=2 q(k)(Φ(u)). (5.6) 式 (5.6) に式 (5.5) を代入して, Φ(u) = J x + p(2)(x) + p(3)(x) +· · · + p(n)(x)− n ∑ k=2 q(k)(Φ(u)) +O(||x||n+1). (5.7) さらに, 式 (5.7) に式 (5.3) を代入をすると, (5.8) Φ(u) = J ( u + n ∑ k=2 q(k)(u) ) + p(2) ( u + n ∑ k=2 q(k)(u) ) + p(3) ( u + n ∑ k=2 q(k)(u) ) +· · · + p(n) ( u + n ∑ k=2 q(k)(u) ) − n ∑ k=2 q(k)(Φ(u)) +O(||u||n+1). を得る.
5.3.1 d(2)(u) の具体的な計算 以下のように, 式 (5.8) を変形すると, Φ(u) = J ( u + q(2)(u) + n ∑ k=3 q(k)(u) ) + p(2) ( u + n ∑ k=2 q(k)(u) ) + p(3) ( u + n ∑ k=2 q(k)(u) ) +· · · + p(n) ( u + n ∑ k=2 q(k)(u) ) − q(2) ( J ( u + n ∑ k=2 q(k)(u) ) + p(2) ( u + n ∑ k=2 q(k)(u) ) + p(3) ( u + n ∑ k=2 q(k)(u) ) +· · · + p(n)(u) + n ∑ k=2 q(k)(u) ) − n ∑ k=3 q(k)(Φ(u)) +O(||u||n+1) = J{u + q(2)(u)}+ p(2)(u)− q(2)(J u) +O(||u||3).
(5.9) 上記の式から,
d(2)(u) = J q(2)(u)− q(2)(J u) + p(2)(u) を得る. 5.3.2 d(3) (u) の具体的な計算 さらに式 (5.9) を変形すると, Φ(u) = J ( u + q(2)(u) + q(3)(u) + n ∑ k=4 q(k)(u) ) + p(2) ( u + q(2)(u) + n ∑ k=3 q(k)(u) ) + p(3) ( u + n ∑ k=2 q(k)(u) ) +· · · + p(n) ( u + n ∑ k=2 q(k)(u) ) − q(2) ( J ( u + n ∑ k=2 q(k)(u) ) + p(2) ( u + n ∑ k=2 q(k)(u) ) + p(3) ( u + n ∑ k=2 q(k)(u) ) +· · · + p(n) ( u + n ∑ k=2 q(k)(u) ) − n ∑ k=2 q(k)(Ψ(u)) ) − q(3) ( J ( u + n ∑ k=2 q(k)(u) ) + p(2) ( u + n ∑ k=2 q(k)(u) ) + p(3) ( u + n ∑ k=2 q(k)(u) ) +· · · + p(n) ( u + n ∑ k=2 q(k)(u) ) − n ∑ k=2 q(k)(Φ(u)) ) − n ∑ k=2 q(k)(Φ(u)) +O(||u||n+1). (5.10) (5.11) ∴ Φ(u) = J(u + q(2)(u) + q(3)(u))+ p(2)(u + q(2)(u))
上記の式から,
d(3)(u) = J q(3)(u)− q(3)(J u) + ˆp(3)(u) を得る. ここで,
(5.12) ˆ
p(3)(u) = p(3)(u) +[p(2)(u + q(2)(u)) の3 次項]
−[q(2){J (u + q(2)(u)) + p(2)(u)− q(2)(J u)}の3 次項] である. また, 節 5.3.1 で得られた結果を用いると, ˆp(3)
(u) は既知の量であることがわかる.
5.3.3 d(k)(u) の具体的な計算
q(2)(u), q(3)(u), . . . , q(k−1)(u) が計算できたと仮定すると, 式 (5.6) から, d(k)(u) は, • Ψ(x) から出る k 次項 • −q(2)(Φ(u)) から出る k 次項 • −q(3)(Φ(u)) から出る k 次項 • ... • −q(k)(Φ(u)) から出る k 次項 の和により, 構成されていることに注意してそれぞれ考える. 1. Ψ(x) から出る k 次項について (5.13) Ψ(x) = J { u + k ∑ l=2 q(l)(u) } + p(2)(u + k−1 ∑ l=2 q(j)(u)) + p(3)(u + k−2 ∑ l=2 q(j)(u)) +· · ·
+ p(k−1)(u + q(2)(u)) + p(k)(u) +O(||u||n+1) であるから, (5.14) ˜ p(k)(u) = [ p(2)(u + k−1 ∑ l=2 q(l)(u)) の k 次項 ] + [ p(3)(u + k−2 ∑ l=2 q(l)(u)) の k 次項 ] +· · · + p(k)(u) とおくと, Ψ(x) から出る k 次項は, J q(k)(u) + ˜p(k)(u) と書ける.
2. −q(l)(Φ(u)) (2≤ l ≤ k − 1) から出る k 次項について −q(l)(u) は u の l 次項であるから, [ −q(l)(Φ(u)) から出る k 次項] = −q(l)(J u + k−(l−1)∑ i=2 d(i)(u)) から出る k 次項 により表される. 仮定から, J u + k−(l−1)∑ i=2 d(i)(u) は, 既知の量であることに注意する. これらの和を ˜ d(k)(u) :=− k−1 ∑ l=2 q(l) (J u + k−(l−1)∑ i=2 d(i)(u)) から出る k 次項 とおく. 3. −q(k)(Φ(u)) から出る k 次項は, q(k)(J u) である. 以上より,
d(k)(u) = J q(k)(u)− q(k)(J u) + ˜d(k)(u) + ˜p(k)(u). と書ける. さらに, ˜d(k)(u) + ˜p(k)(u) は, 既知の量であることに注目し,
ˆ
p(k)(u) = ˜d(k)(u) + ˜p(k)(u) とおくと,
d(k)(u) = J q(k)(u)− q(k)(J u) + ˆp(k)(u) と書ける. 5.4 行列 J のパターンについて 問題5.1 における行列 J には, 様々なパターンが存在する. その中でも J1を中心として, 以下のパターンについて考察した. • J1 = [ cos θ − sin θ sin θ cos θ ] (θ ∈ (0, 2π), θ ̸= π) • J2 = [ 1 0 0 −1 ] • J3 = [ 1 0 0 µ ] (µ̸= ±1)
• J4 = [ 1 1 0 1 ] • J5 = [ 1 0 0 1 ] 次節からは, 先行研究 [6] で述べられている [ 0 −ρ ρ 0 ] と対応関係のある J1について深 く考察する. J2, J3, J4, J5については, 簡単な考察を付録に記述した. 5.5 J1についての考察 本節では, J1 = [ cos θ − sin θ sin θ cos θ ] (θ∈ (0, 2π), θ ̸= π)
の場合において, 任意に与えられた p(2)(u), p(3)(u), . . . に対してLyapunov 関数が構成で
きるための十分条件を調べる. 具体的には以下の3 点について考察する. 1. ∆L(u) における実対称行列 Y が取りうる条件について 2. ∆L(u) における 3 次項の部分が 0 になるように q(2)(u) を選べるかについて 3. ∆L(u) における 4 次項の部分が任意の原点近傍の u に対して負値をとるように q(3)(u) を選べるかについて, 選ぶことができなければ 4 次項の部分が 0 になるように q(3)(u) を選べるかについて 5.5.1 実対称行列 Y についての考察 まず, ∆L(u) における 2 次項の部分が 0 になるように実対称行列 Y を選ぶ. ∆L(u) における 2 次項の部分は, uT(JTY J − Y )u であるから, JTY J− Y が歪対称(この場合は O 行列)となるように Y を選べばよい. a, b, c∈ R に対して, Y := [ a b b c ] とおいて, JTY J − Y を実際に計算すると, JTY J − Y = [ cos θ sin θ − sin θ cos θ ] [ a b b c ] [ cos θ − sin θ sin θ cos θ ] − [ a b b c ] = [
(c− a) sin2θ + 2b cos θ sin θ −2b sin2θ + (c− a) cos θ sin θ −2b sin2θ + (c− a) cos θ sin θ −(c − a) sin2θ− 2b cos θ sin θ
となるから, θ ̸= 0, π より, c = a, b = 0 とすれば, JTY J − Y を歪対称にすることができる. したがって, a ∈ R に対して Y = [ a 0 0 a ] とすれば, ∆L(u) における 2 次項の部分が 0 となる. 5.5.2 q(2)(u) についての考察 次に, ∆L(u) における 3 次項の部分が 0, すなわち 2uTJTY d(2)(u) = 0 (5.15) となるように q(2)(u) を選べるかについて考察する. 節5.3.1 より,
d(2)(u) = J q(2)(u)− q(2)(J u) + p(2)(u) (5.16) である. また, u := (u1, u2)T とおくと, J u = [ u1cos θ− u2sin θ u2cos θ + u1sin θ ] となる. さて, 節 4.4 と同様に, V(2)を各成分が u 1, u2の 2 次同次式である 2 元縦ベクトル全体の 空間とし, 写像 N(2) : V(2) → V(2)を N(2)(q(2)(u)) := J q(2)(u)− q(2)(J u) (5.17) により定義する. ここで, N(2)は q(2)について線形であることに注意する. 以下では, V(2)の基底として ϕ(2)1 := [ u12 0 ] , ϕ(2)2 := [ u1u2 0 ] , ϕ(2)3 := [ u22 0 ] , ϕ(2)4 := [ 0 u12 ] , ϕ(2)5 := [ 0 u1u2 ] , ϕ(2)6 := [ 0 u22 ] を選ぶこととする. q(2)(u) := 6 ∑ i=1 qi(2)ϕ(2)i (u) (q(2)i ∈ R) とおくと, 式 (5.17), 式 (5.16) より, uTJTY d(2)(u) = auTJTN(2) ( 6 ∑ i=1 qi(2)ϕ(2)i (u) ) + auTJTp(2)(u)
である. これを式 (5.15) に代入して auTJTN(2) ( 6 ∑ i=1 qi(2)ϕ(2)i (u) ) + auTJTp(2)(u) = 0. ⇔ uT JTN(2) ( 6 ∑ i=1 qi(2)ϕ(2)i (u) ) =−uTJTp(2)(u) (a̸= 0). さらに, h(2)i := uTJTN(2)(ϕ(2)i (u)) とおくと, N(2)の線形性より, 6 ∑ j=1 qj(2)h(2)j =−uTJTp(2)(u) (5.18) と変形できる. h(2)1 , . . . , h(2)6 を計算すると,
h(2)1 = (cos θ2− cos θ3+ sin θ2)u31+ 3 cos θ2sin θu21u2+ (−3 cos θ sin θ2)u1u22+ sin θ 3u3
2,
h(2)2 = (− cos θ2sin θ)u31+ (cos θ2− cos θ3+ 2 cos θ sin θ2+ sin θ2)u21u2 +(2 cos θ2sin θ− sin θ3)u1u22+ (− cos θ sin θ
2)u3 2,
h(2)3 = (− cos θ sin θ2)u31+ (sin θ3− 2 cos θ2sin θ)u21u2
+(cos θ2− cos θ3+ 2 cos θ sin θ2+ sin θ2)u1u22+ (cos θ2sin θ)u32,
h(2)4 = (− cos θ2sin θ)u31+ (cos θ
2− cos θ3
+ 2 cos θ sin θ2+ sin θ2)u21u2 +(2 cos θ2sin θ− sin θ3)u1u22+ (− cos θ sin θ
2)u3 2,
h(2)5 = (− cos θ sin θ2)u31+ (sin θ3− 2 cos θ2sin θ)u21u2 +(cos θ2− cos θ3+ 2 cos θ sin θ2+ sin θ2)u1u22+ (cos θ
2sin θ)u3 2,
h(2)6 = (− sin θ3)u31+ (−3 cos θ sin θ2)u21u2+ (−3 cos θ2sin θ)u1u22
+(cos θ2− cos θ3+ sin θ2)u32. (5.19)
ここで, span{h(2)1 , h(2)2 , h(2)3 , h(2)4 , h(2)5 , h(2)6 } = span{h(2)1 , h(2)4 , h(2)5 , h(2)6 } であるから, 6 ∑ j=1 qj(2)h(2)j = q1(2)h(2)1 + q4(2)h(2)4 + q(2)5 h(2)5 + q(2)6 h(2)6 としても一般性を失わない. 一方で, p(2)(u) := 6 ∑ i=1 p(2)i ϕ(2)i (u) (p(2)i ∈ R) とおいて, −uTJTp(2)(u) を計算すると, −uTJTp(2)(u) = (−p(2) 3 cos θ− p (2) 1 cos θ− p (2) 4 sin θ)u 3 1
+(p(2)3 sin θ− p(2)4 cos θ− p(2)2 cos θ + p1(2)sin θ− p(2)6 sin θ− p(2)5 sin θ)u21u2 +(p(2)2 sin θ− p(2)5 cos θ− p(2)6 cos θ)u1u22.
したがって, (5.18) の両辺における係数を比較してまとめると, 次の連立方程式を得る. A(2) q1(2) q4(2) q5(2) q6(2) = −p(2) 3 cos θ− p (2) 1 cos θ− p (2) 4 sin θ
p(2)3 sin θ− p(2)4 cos θ− p2(2)cos θ + p(2)1 sin θ− p6sin θ− p5sin θ
p(2)2 sin θ− p(2)5 cos θ− p(2)6 cos θ 0 (5.20) ただし, 係数行列 A(2)は
cos θ2− cos θ3 + sin θ2 3 cos θ2 sin θ 3 cos θ2 sin θ sin θ3
− cos θ2 sin θ cos θ2− cos θ3 + 2 cos θ sin θ2 + sin θ2 2 cos θ2 sin θ− sin θ3 − cos θ sin θ2 − cos θ sin θ2 sin θ3− 2 cos θ2 sin θ cos θ2− cos θ3 + 2 cos θ sin θ2 + sin θ2 cos θ2 sin θ
− sin θ3 −3 cos θ sin θ2 −3 cos θ2 sin θ cos θ2− cos θ3 + sin θ2
である. ここで, A(2)のrank を具体的に計算すると, • θ ̸= 2π 3 , 4π 3 のとき, rank(A (2)) = 4 • θ = 2π 3 , 4π 3 のとき, rank(A (2)) = 2 となる. A(2)のrank が 4 ならば, A(2)は逆行列を持つことから, 方程式 (5.20) は解を持つ. すな わち, 以下の結論が得られる. • θ ̸= 2π 3 , 4π 3 のとき, 任意の (p (2) 1 , p (2) 2 , p (2) 3 , p (2) 4 , p (2) 5 , p (2) 6 ) に対して, ∆L(u) における 3 次項の部分が 0 になるように q(2)(u) を選ぶことができる. • θ = 2π 3 , 4π 3 のとき, 特定の (p (2) 1 , p (2) 2 , p (2) 3 , p (2) 4 , p (2) 5 , p (2) 6 ) に対してのほかは, ∆L(u) における 3 次項を 0 にすることはできない. θ = 2π3 ,4π3 の場合については, 本論文ではこれ以上触れない. 5.5.3 q(3)(u) についての考察 ∆L(u) の 3 次項が 0 になるように q(2)(u) を選ぶことができたと仮定する. このとき, ∆L(u) における 4 次項の部分
d(2)(u)TY d(2)(u) + 2uTJTY d(3)(u)
が, 0 でない任意の u について, 負値となるように q(2)(u) を選べるかについて考察する.
節5.3.2 より,
d(3)(u) = J q(3)(u)− q(3)(J u) + ˆp(3)(u) (5.21) であるから,
d(2)(u)TY d(2)(u) + 2uTJTY d(3)(u)