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レチノイドによるサイトカイン受容体発現調節を介した癌細胞サイトカイン感受性の制御

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Academic year: 2021

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Title

レチノイドによるサイトカイン受容体発現調節を介した癌

細胞サイトカイン感受性の制御( はしがき )

Author(s)

森脇, 久隆

Report No.

平成13年度-平成15年度年度科学研究費補助金 (基盤研究

(B)(1) 課題番号13557048) 研究成果報告書

Issue Date

2003

Type

研究報告書

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/654

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

(2)

緒言

肝細胞癌(肝癌)は、その約90%がウイルス性肝硬変から発症し、発癌母地 の明確な癌腫である。またウイルス性肝硬変からの一次肝発癌は年率5∼7%、 初発肝癌の根治療法後に見られる二次肝発癌は年率25∼30%を超え、共に予 後が改善しない主たる原因となっており、その予防は急務となっている。 教室で開発した合成レチノイド(ビタミンA誘導体)は肝細胞癌にアポトー シス(細胞死)を誘導し、肝(前)癌細胞クローンを硬変肝から消去すること

で、肝発癌を抑制することを臨床介入試験で明らかにしてきた。この一連の臨

床成績は、世界的にも高く評価を頂き、Nature、Science誌にも「重要な癌予 防成功例」として紹介されている。 一方で天然レチノイドにはこのような作用はなく、肝癌はレチノイド不応性 となっているといえる。この肝癌のレチノイド不応性の機序として、我々はヒ ト肝癌組織およびヒト肝癌細胞株においてレチノイド核内受容体(RXRα)が Erk(MAP kinase系)によりser260/thr82残基にリン酸化を受け、その機能 を失うことを明らかにした。またリン酸化RXRαは、転写活性を喪失する一方 で、ユビキチン/プロテアソーム系による分解を回避して分解が遅延し、癌細 胞内に蓄積する知見を得ている。加えて、リン酸化型mutant RXRαの導入は 肝癌細胞の増殖を克進させ、逆に非リン酸化型mutant RXRαの導入はアポト ーシス誘導・細胞増殖の抑制をもたらす知見も得ている。以上より、リン酸化 RXRαは転写機能を喪失しており、かつ細胞内に蓄積してdominantnegative に作用するため、正常なレチノイドの細胞増殖抑制作用を阻害し、細胞増殖を 克めて、肝発癌に関与するものと考えらた。一方、我々の開発した合成レチノ イドは、Ras-R慮1/Erk系を阻害し、RXRαのン酸化を抑制してその機能を回 復させる働きを有することが明らかにした。このような合成レチノイドの付加 的作用が、肝発癌予防に重要な役割を担っているものと考えられる。 本研究では、機能回復したRXRαの下流にあり細胞増殖の抑制・アポトーシ スの誘導を行う実行遺伝子群として、インターフェロン受容体やインターフェ ロンの細胞内情報伝達蛋白であるmTlを同定した。肝癌細胞において非環 式レチノイドは細胞表面のインターフェロン受容体の発現を誘導すると同時に、 その下流にあるSI二打Ⅰ、1の蛋白合成も冗進させ、癌細胞のインターフェロンに

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対する感受性を高めさせた。その結果、インターフェロン耐性であった肝癌細 胞に感受性を獲得させ、非環式レチノイド+インターフェロンによる相乗的な アポトーシス誘導を導いた。この研究成果は、レチノイドによる癌の化学予防 (chemoprevention)と免疫予防(immunoprevention)を橋渡しし、将来 的な両者の併用による発症予防(免疫化学予防:immnono-Chemoprevention)の先鞭を付けるものである。 加えて科学的には、現在まで多くの研究者が取り組んでいるにもかかわらず、 肝癌には特異的な遺伝子異常が見られていない肝発癌を、蛋白レベルでの異常 による「核内受容体病」であると捉え、その機能回復が発症予防につながると いう独創的な病態機序の解明に繋がる成績である。 研究組織 研究代表者:森脇久隆(岐阜大学医学部臓券病態学講座 消化器病態学部門 教授) 研究分担者:四童子好虞(県立長崎シーボルト大学 看護栄養学部 教授) 大森正英(東海女子短期大学 学長) 奥野正隆(岐阜大学医学部臓器病態学講座 消化器病態学部門 助教授) 白鳥義宗(岐阜大学医学部附属病院 医療情報部 助手)

参照

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