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(神経内科開設10周年記念 平野朝雄教授講演印象記)グリアについて

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(東 女 医 大 誌 第54巻 第10号) t頁 1173-1175昭和59年10月j 279

神経内科開設

1

0周年記念

平野朝雄教授*講演印象記

「グリアについて」

東京女子医科大学脳神経センター 神経内科学教室 (主任 丸 山 勝一教授〉 助教授 小 林

逸 郎

(受 付 昭 和59年8月2日〕 昭和

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日,東京女子医科大学中央校舎 会議室において,神経内科開設10周年記念の一環 として,平野朝雄教授による「グリアについて」 の講演が行なわれた. 平野教授は講演に先立って,神経内科の若い医 局員に向い「神経細胞を書いて下さいJ,I星状細 胞を書いて下さし、J,I乏突起細胞を書いて下さL、」 と質問された.書かれた図が写真1に示されてい る.どれも正しく書けているが,これから始まる 平野教授の講演によって 正 常 構 造 が 更 に く わ し く,正しく理解されることが期待された. 次いで一枚のスライドが示された.このスライ ドは朝日を写しているのか,夕日を写しているの か,見る人によ っては解釈の違いが出てくる.ま た, 一枚のスライドから朝日か,夕日かを判断す ることは非常に困難である.しかし, 日常朝日を 見ていれば,その朝日の特徴が微妙な点で判るこ とがある.夕日には夕日の特徴があるかも知れな い.以下,平野教授が講演された内容はあくまで 基礎ではあるが,その基礎 (朝日または夕日)を しっかりと踏まえた上で‘の異常をとらえることが 大切であることを教えてくれた. 講演要旨は以下の通りである. 神経細胞neuronは,高度の分化をとげた特殊 な細胞であり,肝臓などの実質細胞とはまったく 違う.神経細胞は固定された場所に位置し,長く のびた突起を有し,さらに神経細胞相互の聞や, ほかの器官との聞に多数の連絡が保たれている. そのほかに神経細胞の多くは,ほとんどその全長 にわたり,ほかの細胞によって包まれている.こ れらの随伴細胞はsatellitecellsとよばれ,一般 に 中 枢 神 経 系 で は グ リ ア が , 末 梢 神 経 系 で は Schwann細胞がこれに相当する.各細胞聞の連絡 はその表面に分布されている多数のシナプスで行 なわれる. 神経突起neuronalprocessesは,樹状突起den -写真l 平野教授講演会風景

Itsuro KOBA YASHI

M.D.CDepartmentof NeurologyCDirector: Prof.Shoichi MARUYAMA)

NeurologicalInstitute, Tokyo Women'sMedicalCollage, TokyoJ A lectureof10thanniversaryin

commemoration ofthe Department of Neurology, by Professor Asao HIRANO,“About Glia"(Impres

-sion) .

・ニューヨーク・モンテフィオーレ病院神経病理学部主任

アノレノミート ・アインスタイン医科大学病理学教授兼ニューロサイエンス部門教授

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と軸

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よりなる.樹状突起の形態学的 特徴として,その表面上多数の

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complex

を形成している.樹状突起の表面積は細胞体より もはるかに広く,また樹状突起に存在するシナプ スの数は,細胞体にあるシナプスより多い. 軸索は一般に細く,長く,樹状突起とは異なり 直径は一般に一定し,起始部は通常樹状突起より かえって細いのが普通である.時として分枝は あっても,樹状突起に比べてきわめて少なく限ら れている.しかし,たとえば筋肉のような末梢器 官に達すると多数の分校をおこす. 軸索は軸索鞘

axolemma

といわれる細胞膜で 固まれていて,神経細胞体を包む膜と比べて異な る構造をもっ場所が3カ所ある.第1は,走行の 途中で他の神経細胞とシナプスを形成する場合. つぎに有髄性軸索では

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で特別 な構造を持つ.第

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に軸索小丘

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とよばれる部分には,通常の

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の内側に中等度の電子密度を持った 薄い特別な層がある.同様の層は

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絞輸の 部分にもみられる. 星状細胞

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はその名のとおり星状をな し,校のある部分から四方八方に枝を出している, その枝のL、く場所は血管であり, くも膜下腔に面 する柔膜面

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であり,そして細胞すな わち神経細胞およびグリア細胞およびその突起で ある.血管壁は

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の突起の拡がりにより 固まれており,昔から血管足

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とよば れている.さらに

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も一般に

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およびその突起の拡がりにより,すっかりおおわ れている.すなわち,

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は膜表面および血 管壁すべてを包んでいるわけである.このことを 考えただけでも,成熟した

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の突起は決 して丸い細いものでなく,末端は布のように広く 拡大していることが想像できる(図1). 乏 突 起 腰

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( 乏 突 起 謬 細 胞

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は中枢神経の髄鞘をつくるグリ ア細胞である.しかし, 実際問題として正常の成 熟した白質を調べると,乏突起腰細胞の細胞突起 と髄鞘の聞には直接の連絡がみえない.これに反 して,発生期の髄鞘形成時には乏突起謬細胞が形 ,s , 伺 s e h d a . e 巴 ‘ a ι ‘ 句 c n u p 図l 正常星状謬細胞 (平野朝雄著「神経病理を学ぶ人のためにJ,1976 年,医学書院, P.117) ‘, Axon 図2 正常乏突起謬細胞 (平野朝雄著「神経病理を学ぶ人のためにJ,1976 年,医学書院, P.126) -1174ー

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成 途 上 の 髄 鞘 と 連 絡 し て い る の は み つ け や す い (図2入 髄鞘myelinがつくられるのには,二つの細胞 が必要である.一つは成熟した軸索で、あり,もう 一 つ は 髄 鞘 を つ く る 細 胞 , つ ま り 髄 鞘 形 成 細 胞 myelin forming cel1である.髄鞘形成細胞は中枢 神経系では乏突起謬細胞であり,末梢神経系では Schwann細胞である. 以上は平野教授の講演要旨であるが,第一に正 常所見とは何か,正常所見に到達するまでの試行 錯 誤 が 本 日 の 講 演 中 に 含 ま れ て い た よ う に 思 え る.一見正常としたその裏には膨大な基礎の積み 重ねが潜んでいる.次いで本日平野教授が数々の スライドで示された基礎事実をしっかり頭の中に たたき込んでおかないと,異常所見を見る目が出 281 来ないことは想像に難くない. 最後に再び朝日か夕日のスライドを示された. もし朝日の特徴を頭の中に基礎事項としてたたき 込んであれば,夕日のスライドを見て,一見同じ ようではあるが,その違いを指摘することが可能 である.異常所見のみを追いつづけて,正常所見 の存在を忘れると,一見正常に似たような所見を みたとき,その鑑別はできないであろう. 正常とは何か,異常とは何か,ここに本日の講 演の視点があり,われわれが日常忘れがちな正常 基礎所見というものをしっかりと教えてくれたよ うに思う. 神経内科開設10周年記念講演に大変立派な内容 の話をされ,医局員一同にとって大変良いはなむ けであった.

参照

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を,松田教授開講20周年記念論文集1)に.発表してある

 Schwann氏細胞は軸索を囲む長管状を呈し,内部 に管状の髄鞘を含み,Ranvier氏絞輪部では多数の指

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