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原田 陽介 論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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原田 陽介 論文内容の要旨

主 論 文

In vivo Efficacy of Daptomycin against Methicillin-Resistant Staphylococcus aureus in a Mouse Model of Hematogenous Pulmonary Infection

血行性MRSA肺感染マウスモデルにおけるダプトマイシンの有効性

原田 陽介、栁原 克紀、山田 康一、右山 洋平、長岡 健太郎、

森永 芳智、中村 茂樹、今村 圭文、長谷川 寛雄、宮崎 泰可、泉川 公一、

掛屋 弘、河野 茂

(Antimicrobial Agents and Chemotherapy 57: 2841-2844, 2013)

長崎大学大学院医歯薬学総合研究科新興感染症病態制御学系専攻

(主任指導教員:河野 茂)

緒 言

Methicillin-resistant Staphylococcus aureus (以下MRSA)は、肺炎や敗血症をはじめと する重篤な感染症を引き起こし、院内感染で重要な原因菌である。抗 MRSA 薬であ

Vancomycinは長年第一選択薬として使用されてきた。しかし、近年Vancomycin

対しての低感受性株の出現により、治療に難渋する症例も多く報告されている。

近年、新しい作用機序を持ったDaptomycinが抗MRSA薬として使用されているが、

Daptomycinは肺胞表面にあるサーファクタントで不活化されるため、肺炎には効果が

期待できない。しかしながら、MRSAは気道を介さずに血行性に呼吸器感染症を起こ すこともあり、経血流による肺感染症に対するDaptomycinの有効性は不明である。

今回我々は、血行性MRSA肺感染マウスモデルを用いてDaptomycinの治療効果の 検討を行った。

対象と方法

ddY マ ウ ス(雄 、6 週 齢)に 、MRSA(NUMR101 )を 感 染 さ せ た 。 菌 量 は 1.25×108CFU/mouseに設定し、アガービーズ中にNUMR 101株を包埋した菌液を尾静 脈から接種し、血行性肺感染マウスモデルを作成した。感染 12 時間後から治療開始 とし、治療薬としてDaptomycin(50mg/kg)を1124時間毎、Vancomycin(50mg/kg) 1212時間毎に7日間腹腔内投与した。Controlとして生理食塩水を12

(2)

12 時間毎に腹腔内投与した。血行性肺感染症に対する効果を生存率、肺病理組織像、

肺内生菌数を用いて評価した。

結 果

まず、10日までの生存率を評価した(n=17)。Control群は感染4日後より死亡しはじ め、8 日目までに全マウスが死亡したが、両薬剤治療群は有意に生存率が改善し、10 日目で Vancomycin治療群は52.9%(p<0.001)、Daptomycin 治療群は94%(p<0.001)のマ ウスが生存していた。感染72時間後における肺病理組織では、Control群より両薬剤 治療群で膿瘍形成が有意に抑制されており、肺 1mm2あたりの膿瘍数(n=3、平均値±

標準偏差)はControl群の0.30 ± 0.05個/mm2に比較して、Vancomycin治療群で0.11 ± 0.02個/mm2(p<0.01)、Daptomycin治療群で0.04 ± 0.01個/mm2(p<0.01)であった。また、

肺内生菌数(n=6、平均値±標準誤差)ではControl群の7.25 ± 0.26 log10CFU/mlに比較 して、Vancomycin治療群は4.67 ± 0.17 log10CFU/ml(p<0.01)、Daptomycin治療群は4.36

± 0.20log10CFU/ml(p<0.01)で有意に減少していた。

考 察

Daptomycin MRSA による血行性肺感染マウスモデルで有効であった。呼吸器感

染症であるにも関わらず Daptomycin が有効であったのは、本感染症モデルにおける 肺膿瘍が血管を中心として形成されたもので、肺胞内のサーファクタントの影響を受 けにくいためであると推測された。薬物の体内動態は評価していないが、Daptomycin 治療群が感染後 72 時間の時点で肺膿瘍数と肺内生菌数を抑制した事は、早期より炎 症局所に分布し、抗微生物学的効果を発揮したことを示唆しており、その結果生存率 の改善をもたらしたものと考えられた。

本研究では、Daptomycinは、Vancomycinと同様に経血流によるMRSA肺感染症に 対して有効である可能性が示唆された。以上より、血行性MRSA肺感染症に対して、

Vancomycinの代替薬としてDaptomycinは治療効果が期待でき、治療選択薬の1つと

なりうると考えられた。

参照

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