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Academic year: 2021

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論文内容要旨

看護師による死亡診断、死亡診断書作成の是非についての法医学的一考察

―医学生、一般学生の意識調査をもとに―

昭和学士会雑誌 2018 年 掲載予定

社会医学系法医学 西田幸典

わが国は 2007 年には超高齢社会となり(高齢化率:21.5%)、2017 年には高 齢化率が 27.3%となっている。これに伴い、死亡者数も 1980 年代は年間 70 万人台であったのが、2010 年代には 120 万人台となり、2030 年には推計死 亡者数は 160 万人と予測され、この多死社会における看取り先の確保が困難 視されるとともに死亡診断および死亡診断書の発行を行う医師の確保が急 務となっている。厚生労働省は 2017 年 9 月「情報通信機器(ICT)を利用し た死亡診断等ガイドライン」を発表し、医師の死亡診断の支援として死亡診 断および死亡診断書の発行は医師の役割であることを前提に、そのプロセス の一部を看護師に行わせることで、上記の問題をある程度、解決しようとし ている。そこで、本研究では、その前段階として次世代を担う若年層におい て看護師が死亡診断や死亡診断書の発行を行うことの是非について医学生 と一般学生を対象にアンケート調査を行い、将来的に医師として死亡診断に 関わる医学生と一般学生との間に、どのような意識差があるか統計学的に解 析するとともに、看護師による死亡診断および死亡診断書発行の是非につい て文献的考察を行った。調査対象の医学生は法医学の講義と実習を終え、死 亡診断と死亡診断書(死体検案書)作成について、ひと通りの知識を有する 4 年生を対象とした。医学生 242 名、一般学生 402 名より回答を得て、合計 有効回収率は 92.4%であった。調査票は従来、同様の研究や調査は行われて

(2)

こなかったので、共著者間で十分、協議した上で新しいものを作成した。患 者が病院で死亡した場合、診療管理下にあり、診療中の疾病で終末期にある 患者が自宅で死亡した場合および診療管理下にない患者が医療機関以外の 場所で死亡した場合、死亡診断、死亡診断書の発行は誰が行うかを調査した。

その結果、アンケートに応じた学生は看護師のみが死亡に立ち会った場合、

それが病院内であっても、自宅であっても、診療管理下の患者であれば、半 数以上の学生が看護師の死亡診断を是と回答した。ただし、一般学生の 60%

以上が是としたのに対し、医学生は 40%台に留まった。診療管理外の患者が 医療機関以外の場所で死亡した場合であっても、看護師のみが死亡に立ち会 っていれば、半数近くの学生が看護師の死亡診断を是としていた。ただし、

是とする学生の大部分は看護師が特別の研修を受け、試験に合格しているこ とを条件としていた。死亡診断書(死体検案書)の発行については診療管理 下にあり、診療中の疾病により自宅で死亡し、看護師だけに看取られた場合、

看護師による死亡診断書の発行を是とするのが医学生で 32.2%、一般学生 で 39.0%、全学生で 36.4%を占めていた。今回、「ICT による死亡診断等ガ イドライン」のもとで行う看護師の業務は死者と思われる患者の画像や死体 所 見 の 文 書 に よ る 記 録 を 離 れ た 場 所 に い る 主 治 医 に 情 報 通 信 機 器

(Information and communication technology:ICT)を用いて送信し、医 師が死亡を診断し、死亡診断書の死因欄、死因の種類、死亡日時などを看護 師に ICT を用いて連絡し、看護師が死亡診断書を医師の名で代筆するシステ ムとなっており、2018 年 1 月から看護師の研修会が行われようとしている。

本研究で大学の学部学生の半数以上が看護師による死亡診断を是とし、死亡 診断書の発行も 30%台の学生が是としているので、厚生労働省が行おうと している ICT による情報を基にした離れた場所での主治医による死亡診断 は過半数の国民が認めていると推測され、とりあえず実施してみるのが在宅 医の負担を少しでも軽くし、多死社会における看取りを行う医師の確保に役 立つものと思われる。

参照

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