過燐酸石灰肥料製造後時の経過が
品質に及ぼす影響
品川秀
三
世人往々にして︑過燐酸石灰肥料は時日を経過すれば其の有効成分を減少し品質の憤値を低下す
るものなうと稽す︒果して然うとせば︑如何なる経路を取うて減退すべきか︒叉若し還元歩合大な
hとせぱ︑肥料問屋及び消費者尤る農家にとうては不識の内に被る所の損害少なしとせず︒故に吾
人が嘗て某肥料工揚に從事せる際︑同僚某氏の援助を得て其等 愛化に就て研究せる結果を総括して
之を記載せんとす︒
元來過燐酸石次肥料は法規によう︑其の製造年月日及有効成分の百分比を明記せる保謹票を添附
するものなれども︑製造の際假命同一の原料を使用し︑同一の工程を経て造れる製品も︑天候の如
何にょりて製造操作に難易ありて︑寒冷の候︑長雨の期の如きは當業者の最も苦心すると乙うに←
渦燐酸石灰肥料製造後時の維過が品質に及ぼす影響二四五
商學討究第一巻(上)二四六
て︑常に異動なき製品を市場に供給せんとするは容易の事に非ず︒術ほ一般に該肥料は製造後消費
者たる農家の手に入るには相當の時日を経過する事は明かにして︑其の間有効成分の減退する経路
に關し︑該肥料の種類及び其の原料に由うて起る愛化の差違に就て試験を行ヘム︒
一︑高度過憐酸石灰
高度過燐酸石灰と稻するは水溶性燐酸一九・五%の保謹をなせる肥料にして︑原料として使用す
るは普通高度燐磧と稻する﹁オーシヨン﹂燐磧︑﹁クリスマス﹂燐破︑﹁ナゥル﹂燐磧︑﹁アンガール﹂
燐破等にして︑此等を輩一に使用する揚合と混合して使用する揚合とあう︒
わ﹁オーション﹂燐磧輩一原料の過燐酸石灰(
﹁オーション﹂燐磧を原料として軍一に使用して過燐酸石灰を造れる場合にして︑其の原料の成
分は次の如し︒
戊分百分比
水分(困H鱒O)丁三三二〇
炭酸(OO﹄︒)一・八八七〇
監素(Ω㎏)痕跡
弗 石 苦 硅 藻 鐵 燐 硫
素 灰 土 酸 土 酸 酉菱
ノヘ ノへ ノへ
躯 聾 鐸 罪
))
0・三三山ハ・七
四〇・一一〇〇
〇・七〇〇〇
噌︒〇二六五
.O・一三〇〇
一・五七〇〇
五二・二三八〇
〇・OO入六
右の如き成分の原料を以て︑氣温囁氏二十五度乃至三十度の期間に於て製造及び分析を行へゐ︒
製造後一週間を経て第一日目の分析を行へる結果は次め如し︒
成分
財齢
遊離燐酸としてし水溶性燐酸臨として
{
絢構酸可溶燐酸臨として不溶性燐酸臨として 百分比
一二・九四ニ
ニ一・三入三
塁︾8五蓬有効燐酸
O・七四五
〇・五入八
過燐酸石灰肥料製造後時の縄過が品質に及ぼす影響二四七
苦 鎌 鐵 肩 硫
商學討究
酸灰
土 土
第一雀(上)
二九・八一入
二入●0占ハ五
〇・二五八
〇・二八五
〇・一五三 二四八
而して水溶性有効性燐酸は二〇・〇五%なるを以て︑其の水溶性縫化率は九三・七%な釦︒斯くし
て之を基準として時日の維過を追ひて主要成分を分析して其の凝遷を観πり︒
成分(%)ロ
第百(製造後一週間)
第,三日
第五圓
第九日
第十一日
第十九E
第二十六日
第ニニ十三﹃
第四十八E 水分
一二・九四二
一二・九〇二
一二・ニニ八
一〇・九〇〇
一〇●六〇二
一〇・四四三
一〇・四乱八
一一・二四三
一〇λ九〇 全燐酸
一ゴ・三八三
三・四=
一ゴ●孟三五
三・八六八
一ご●八九三
三・九七八
昌二・○〇七
昌一●七九二
一ご・八四三 可溶性燐酸
二〇毛九五
一ゴ・OO二
呂一・三〇四
一=●七六六
三・七充
三・七聖
昌一●山ハ〇一昌
二一・二五六
呂一・三八三 水溶性燐酸遊離燐酸
一一〇・〇五〇山ハ・八一昌二
昌0・四一三宏・九五四
昌O●八七一昌謡・六六一
三・四八五軍・四杢ハ
昌一●四一昌四霊●〇七四
一ゴ・四三三玉・〇七五
一一一・三〇六四●九七八
一一一・一一〇五四・八八〇
一一一・一一三〇.四・八八〇 水溶性愛化率
九三毛
九孟・三
九六・〇
九八三
九七九
九七・六
九六λ
九七・三
光七三
第五十入H一一・三八八一ゴ・七六六昌一・三七七二一・〇七七四ぼ八八〇苑六・A
第六十九日=・O誠三二7七空一ご・二九五昌O・八二昌四・八八〇九近・五
第入十山ハ日一一・四一六昌一・七四一一=・一五七二〇●六六九四●八六〇九孟・0
第習目ロロ一一●証山ハ山ハ一一一●山ハ認︼九二一●O二八一一〇●咽血九四二四●八占ハ〇九霊了一
第百九十六H=・八七〇三・五八〇昌O・九八〇二〇・六四Q四・八三二九鉱∴
右の分析結果よう推論するときは﹁オーシヨン﹂燐磧過燐酸石灰は︑第九日目即ち製造後+五日
前後にして最高の水溶性鍵化牽を示し漸次有効性燐酸を減退し︑第六十九日目即ち製造後約ニケ月
牢にて水溶性愛化率九五%毫となう︑其の後は大なる憂化を示さずして維持せらる\もの︑如く︑
水分に於ては製造後追次減少して途に一一乃至=一%の間を保つに至る竜の\如し︒
司混合原料として﹁アンガール﹂燐磧を主原料とし︑之に一〇%の﹁オーシヨン﹂燐磯を混和(
し︑氣温約囁氏三十度内外の時製造後分析に供せり︒
其等各原料の成分は次の如し︒
梶﹁アyガール﹂燐{硬(%)﹁亨シ三罐(%)
轟小.分一●一山ハ○〇一・三三二〇
炭酸○・八五〇〇一・入八七〇
過燐酸石灰肥料製過後時の纒過が品質に及ぼす影響二,四九
弗 苦 硅 石 馨 鐵 燐 砒
商學討究
酸
酸
素 土 酸 灰 土
第︼巻(上)
0●三・七♪U二
三九・入八〇〇
一・八〇〇〇
〇・九〇二九
五〇・九三〇四
〇・二五二〇
一・三四一〇
一Q・0・七三一 ▲0●冒=二占ハ・七
四〇・=00
0︒七〇〇〇
一・〇二六五
五二・二三入0
0●一三〇〇
一・五七〇〇
〇︒00八六 二五〇
右の如き成分を有する燐磯の混合原料を以て製造を行ひ︑其の製品の有効成分に就て分析を行ひ
て愛化の愛遷を槍せう︒製造後一週間を経て初めて第一日目の分析をなす︒・
壕
第百(製造後一遍問)
第八日
第十三日
第三+五日
第四十四日
第五十五日 水分
ご・四五
一〇・主
一〇.五八
一〇毛五
山O●三二
・九・八〇 全燐酸
三三八
ご一・冒コ
一=・七七
一ゴ・四〇
三・六五
三・八六 可溶性燐酸
二〇︒四五
二〇・七四
三・9
二〇毛七
一δん五
三主O 水溶性燐酸
一九・三四
一九・六五
一九・九〇
一九・五七
一九・六五
・一δ・OO 遊離燐酸
四毛○
芋四六
三・四〇
昌・八〇
手鴎○
昌・四〇 水溶性墜化傘
九〇λ
九二三
九一︒四
九7四
九〇・七
九一・四
第百日
第 一 ・ 圖
Pオー ジヨ 乞 燐 癩 原 料 過 燐 酸 石 灰
一〇・〇四
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7
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1水溶性占炭化率百食 ー‑1稜0内︑含氷磨温百今比
遇燐酸石灰肥料製造後時の経過が品質に及ぼす影響
巳9}90
毒 ξ 、書
特
一九・九〇一一・四〇九一・四
此等の結果よう推すに︑斯の如き混合原
料の製品は︑水溶性愛化率は約十五日にし
て最高に達し︑其後は僅少の減退を示すの
みにて其の有効成分は保持せらる㌧もの
︑如く︑叉水分に於ても︑製造當時よう次
第に減少し一〇乃至一一%を保つもの︑如
し︒
而して此の原料の灘花率は前者に比して
劣るは︑﹁アンガール﹂燐硬は﹁オーシヨ
ン﹂燐磧よゐ品位多少劣う製造困難なるに
よる︒
以上高度遇燐酸石次の二種が︑時の経過
による漫化を圖解せぱ第一圖に示す如し︒
二五一
商學討究第一巻(上)二五二
二︑低度過燐酸石挾
低度過燐酸石灰と稽するは水溶性燐酸一五%の保謹票を添附せるものにして︑原料としては含燐
量比較的少なき低度燐磧即ち﹁ラサ﹂燐磧︑﹁コシヤ﹂燐磧︑﹁エジプト﹂燐磧︑﹁アルゼリアン﹂燐
噸噌磧︑海洲島燐磯等にょう製造せるものにして︑此等を軍濁に使用する揚合と︑時に有効成分の還元
を恐れて高度燐磧の少量を加へて混合して原料に供する揚合あ亜︒
今︑吾人の試験せるものは﹁ラサ﹂燐鑛軍一原料の揚合と︑﹁コシヤ﹂燐磧を主原料とし之に﹁オ
ーション﹂燐破一〇%を混用せる場合との二なう︒
わ﹁ラサ﹂燐磧の過燐酸石灰
﹁ラサ﹂燐磯を軍一原料とせる遍燐酸石茨は鐵︑馨土︑硅酸の含量多き爲め還元作用︑即ち戻動
歩合多しと云ふ世評あるが故に︑如何なる輕過を取ウて減退するかに就て試験を行へう︒
其の際用ゐπる﹁ラサ﹂燐磧の成分は次表の如し︒
成分百分比
水分四・入七五
蒐
弗 石 苦 硅 操 鐵 燐 硫 炭
酸 酸 酸 素 灰 土 酸 土
一・二〇〇
7六八〇
三三←九五
二・八六〇
二・三四〇
一二●一二二〇
〇・八==
五丁○入五
右の如き成分を有する原料を以て氣温撮氏二十度内外の時期に製造を行ひ︑製造後一週問にして
第一日目の分析をなせ卦︒
其の結果は次の如し︒
燐 水 成
内 分齢
遊離燐酸として一水溶燐酸璽として
♂
百分比一四・七五〇
︼入・五五〇
禁茜水溶性有効燐酸
過燐酸石灰肥料製造後時の経過が品質'ト及ぼす影響 一五・七四
● 二五三.
苦 藻 鐵 石 硫
商學討究第︼巻(上)
拘掘酸可溶燐酸藍として
'不溶燐酸盟として
酸灰
土 土
一・=0
一・七〇〇
三一・入〇三
二九・六五四
一・三五二
一ニハニ九
〇・四一五 二五四
斯くして水溶性燐酸は一五・七四%なるを以て︑其の水溶性漫化率は八四・入%に相當す︒之を基
準として日を追ひて主成分を分析して其の愛遷を観π釦︒
隆
笙日(製造後一週間)
第七日
第二+二日
第四十日
第七十七日
第九十六日
第百二十一ロ 水分
一四毛五
一四・四露
一三●三〇
ごで七二
ごで六〇
ご7弘七
三・四六 全燐酸
一八孟孟
天・△
一八・七五
一八毛八
一九・一九
一九・一八
一九二三 可溶性燐酸
一六λ五
一六毛七
一六・六八
=ハ∴四
宍∴五
一六・二
託・九〇 水溶性燐酸
霊・七四
一五・八七
三主七
一甲七二
一四人〇
一四・三
一三も五 遊離燐酸
六・蓋
四入八
三・八二
三・四二
手七三
早七三
二・主 水溶性愛化率
八四・八
八四・三
八三・〇
七八︒三
七七∴
七四・〇
七一人
以上の結果よう推すときは﹁ラサ﹂燐磧軍一原料の製品は︑製造後一週間にして既に還元作用を
起し︑第二十二日目には縫化率に於て一・入%の減退を示し︑日を経るに從て盆々還元作用を激塘
し︑第百二十一日目には愛化奉に於て=二・○%の戻bの差違を示すに至る︒水分に就ては漸次に
減少する竜⁝激愛を示さず︒
コロ混合原料として﹁コシヤ﹂燐磧を主要原料とし︑之に﹁オーシヨン﹂燐磧一〇%を加へて製(
造に供せわ︒此の際の氣温は約擾氏十五度内外の時期なう︒
今︑爾原料の成分を示せば次表の如し︒
%
石 馨 鐵 燐 硫 聾 炭 水
酸 酸 棄 酸 分 灰 土
﹁コシヤ﹂燐畷(%)
一血・一八山ハニ
三・三一〇〇
痕跡
二・三入五四
二入●山ハ九〇占ハ
︼・四入OO
ゴ・一三四八
四四・入四三九
過燐酸石灰肥料製造後時の経過が品質に及ぼす影響 ﹁オーショy﹂燐破(%)
一・三〇二〇
〇・九入七〇
痕跡
○●一一ご二山ハ七
四一●四山ハ五五
一︒〇三七五
〇・七一二入
五一・四三八二