マ レー シア製 造業 にお ける外資系企業
穴 沢 眞
元 来,マ レー シ ア 経 済 に お け る外 資 系 企 業 の 比 重 は 高 く,製 造 業 だ け で な く 他 産 業 に お い て も この 傾 向 は み られ る 。 他 国 と比 較 して もマ レー シ ア製 造 業 に お け る外 資系 企 業 の 比 重 は高 く,ア ジ ア で は シ ンガ ポ ー ル と と も に上 位 に 位 置 す る1)。 本 論 は この よ う にマ レー シ ア製 造 業 に お い て重 要 な地 位 を 占 め る 外 資 系 企 業 につ い て 様 々 な 角 度 か ら分 析 を試 み る。 な お,マ レー シ ア統 計 局 の 定 義 で は 外 資 系 企 業 とは外 国 人 が株 式 の50%を 超 え て所 有 して い る 企 業 を い う。 本 論 で も基 本 的 に こ の 定 義 に従 うが,地 場 資 本 と外 資 が50%つ つ の 合 弁 企 業(統 計 局 の 分 類)は 外 資系 企 業 と して 集 計 した 。
以 下 で は,ま ず,製 造 業 内 の 産 業 構 造 の 変 化 を み,さ らに これ を外 資系 企 業 の 比 重 の変 化 と の 関係 で 考 察 す る。 外 資系 企 業 の比 重 の 大 小 は 産 業 に よ り大 き く異 な る。 これ は マ レー シ ア の 産 業 政 策 の 結 果 で もあ るが,特 定 産 業 に外 資 系 企 業 が 集 中 す る様 子 を考 察 す る 。 次 に 地場 企 業 と外 資 系 企 業 との 比 較 を,労 働 生 産 性,そ の 他 の指 標 を用 い て 分 析 し,さ らに両 者 に統 計 的 に 有 意 な差 が あ る か をみ る。 そ して,最 後 に産 業 ご と に 地場 企 業 と外 資 系 企 業 の 生 産 関数 を 計 測
し,両 者 が 異 な る か 否 か を検 証 す る。
1)浦 田 秀 次 郎 「東 ア ジ ア に お け る 直 接 投 資 主 導 型 経 済 成 長 の 実 態 と課 題 」,浦 田 秀 次 郎,木 下 俊 彦 『21世紀 の ア ジ ア 経 済 』1999年 東 洋 経 済 新 報 社p.133参 照 の こ と。
〔35〕
1.製 造 業 に お け る外 資 系企 業
1.1製 造 業 の 構 造 変 化
本 節 で は マ レー シ ア の製 造 業 の 構 造 変 化 と外 資 系 企 業 の 関係 を考 察 す る。 マ レ ー シ ア 製 造 業 の構 造 は1957年 の 独 立 以 降,過 去40年 以 上 に わ た る工 業 化 の過 程 で 大 き く変 化 して き た。 本 格 的 な工 業 化 の成 果 が 現 れ始 め た1960年 代 後 半 以 降 の 変 化 を生 産 額 の 産 業 別 シ ェ ア(表1>を も と に確 認 す る 。 あ わ せ て,各 期 間 の構 造 変 化 の背 景 な どに も言 及 す る。
表1産 業構 造 の変化(生 産 額の産 業別 シ ェア)
産食飲タ繊衣皮履木家
ノミ
き
紙
業品料コ維類革物材具刷学学製炭ムク業ス属鋼鉄属械子器学他
化靴精石弼ラ金機庵機の業の潔弥般機送
印産そ石石ゴプ窯ガ非鉄非金一電輸科そ
オ フ ・エ ス テ ー ト
合 計 額
(100万 リ ン ギ)
叛 形 謄 撒 撒 影 蹴 戯 脅 訟 協 器 ㍊ 撒 晶 膿
リムヱー93 %%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%年87682125686225161145622171235響曹.暫.響9...響響.響甲﹃響曜.置﹃C?..,φ"76134100800232800100220328300り41
19
﹄ 39 β
11 % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % 年 9 6 0 8 6 1 3 2 8 9 4 0 1 2 0 6 5 1 5 4 3 3 5 5 0 4 4 6
81 25 1 2 3 1 0 0 7 0 0 2 2 2 11 0 7 1 0 0 3 2 0 3 2 12 3 0 0 19 ' 7 53 ' 4 36
%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%年1346601769150930417549569145聯器L22Laa砿a似2乳2&似εL砿a翫翫乞乞L凱翫a伍45,761.0
% % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % 年 7 1 9 0 5 1 0 5 6 4 6 1 9 9 2 5 1 2 4 7 1 3 4 1 4 8 9 8
90 ε L a 乱 乞 軌 a ε 0 , 1 ︒ L 5 , L 4 a 翫 2 , 0 ︒ a 乞 4 L 翫 翫 臥 4 a 砿 1 9 自 19 8 13 8 ' 95 % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % 年 8 5 6 3 4 1 1 5 1 3 4 3 5 3 2 9 6 1 6 5 4 1 5 7 6 3 3 7
95 13 0 0 2 1 0 0 4 1 1 1 4 1 2 0 3 2 0 0 2 3 1 3 4 34 5 1 0 19
%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%年04682003101244262175408540949.............﹃.......◎...,..9400110031116130220012126940019019246,923.3361,389.5
(注)表1は マ レ ー シ ア 統 計 局 の 工 業 セ ンサ ス(1968年,81年)と 工 業 サ ー ベ イ(1975,85,90,95,99年)を
も とに 作 成 し た 。ち な み に1980年 の 産 業 別 の 統 計 は な い 。ま た,1968年 の 産 業 分 類 は そ れ 以 外 の 年 と異 な る。
な お,工 業 セ ンサ ス と異 な り,工 業 サ ー ベ イ で は 全 生 産 額 の お よ そ8割 が 捕 捉 さ れ て い る。
リ ンギ は マ レ ー シ ア の 通 貨 単 位 。
(出 所)マ レー シ ア 統 計 局 『工 業 セ ンサ ス 』 及 び 『工 業 サ ー ベ イ 』 各 年 号 。
マ レー シ ア製 造業 にお ける外資系 企 業 37 独 立 以 降,マ レー シ ア の工 業 化 は ま ず 輸 入 代 替 とい う形 で 進 め られ た 。 しか し,1968年 時 点 で は 依 然 と して 植 民 地 時 代 の 名 残 が み られ,そ れ 以 前 の工 業 セ ンサ ス との 比 較 で は低 下 傾 向 に あ るが,オ フ ・エ ス テ ー ト2)での 生 産 が18.5%
を 占 め て い た 。 そ れ 以 外 の製 造 業 の な か で は伝 統 的 な 産 業,す な わ ち食 品 が 第 1位(22.7%)で あ り,マ レー シ ア の 資 源 を 活 用 した 木 材(8.1%)が こ れ に 次 い で 第2位 に入 っ て い た。,以 下,タ バ コ(7.1%),そ の 他 化 学(6.8%), 石 油 ・石 炭(5.7%)の 順 で あ っ た 。 ゴ ム は オ フ ・エ ス テ ー トで の 生 産 が 多 い た め,こ の 時 点 で の 単 独 の 生 産 シ ェ ア は3.6%と 低 い 。た だ し,オ フ ・エ ス テ ー
トで の 生 産 を含 め る と生 産 額 は 食 品 に次 い で 第2位 と な る。
1969年 に お こ っ た 人種 暴 動 を機iに政 府 は1971年 に1990年 を 目標 年 とす る新 経 済 政 策 を導 入 し た。 新 経 済 政 策 の2大 目標 は 貧 困 の撲 滅 と社 会 の 再 編 で あ っ た が,よ り具 体 的 に は ブ ミ プ トラ(マ レ ー系)の 商 工 業 部 門へ の進 出 や 株 式 所 有 の増 大 が 重 要 な政 策 課 題 とな っ て い た3)。1970年 代 以 降 の経 済 政 策 は こ の新 経 済 政 策 の 影 響 を受 け,製 造 業 も新 経 済 政 策 の 諸 目標 達 成 の 鍵 を握 る こ と とな っ た 。1975年 に は 産 業 調 整 法 が 制 定 され,企 業 の 出 資 比 率 に対 す る 政 府 の 監 視 が 強 化 され た4)。 一 方 で,1960年 代 に 引 き続 き,多 くの 産 業 で 輸 入 代 替 が 進 む な か,新 た に輸 出 指 向型 の 工 業 化 が 推 進 さ れ,産 業 構 造 は伝 統 的 な 資 源 ベ ー ス 産 業 中 心 の もの か ら幾 分 変 化 を見 せ 始 め た。1975年 の 時 点 で も 第1位 は 依 然 と し て食 品(26.8%)で あ っ た が,オ フ ・エ ス テ ー ト とい う分 類 が な くな り,ゴ ム
2)プ ラ ン テ …一シ ョ ン で の 生 産 を さ す 。 こ の 分 類 は1973年 の 工 業 セ ン サ ス で は な く な っ て い る 。 ち な み に,1963年 の 工 業 セ ンサ ス で は オ フ ・エ ス テ ー トの 生 産 は 全 体 の30.3%を 占 め て い た 。
3)主 に マ レ ー 系,華 人 系,イ ン ド系 住 民 か ら な る 多 人 種 国 家 で あ る マ レー シ ァ で は 新 経 済 政 策 は ブ ミ プ ト ラ(マ レ ー 系)の 保 護 を 目 的 とす る ブ ミ プ ト ラ政 策 の 一 環 と考 え る こ とが で き る。 新 経 済 政 策 で は 人 種 構 成 に 見 合 っ た 雇 用 な ど と と も に極 端 に 低 い ブ ミ プ トラ の 株 式 所 有 比 率 を1990年 ま で に30%に 引 き上 げ る と い う具 体 的 な 目標 が 掲 げ ら れ た 。
4)政 府 は外 資 の 出 資 比 率 に つ い て も ガ イ ド ラ イ ン と い う 形 で 一 定 の 規 制 を行 っ て い る 。 例 え ば 再 生 産 不 可 能 な 天 然 資 源 の 生 産,精 製 を 行 う企 業 で は 外 資 は30%
未 満 と して い る。 一 方,輸 出 企 業 に つ い て は100%外 資 を 認 め て い る 。 一 般 に 政 府 の 外 資 へ の 対 応 は 柔 軟 で あ っ た 。
(10.6%)が 第2位 と な っ た 。注 目す べ き は第3位 と な っ た 電 機 ・電 子(8.7%) で あ る 。 マ レー シ ア の輸 出 指 向 工 業 化 の 先 兵 と して 政 府 は積 極 的 に 同 産 業 に属 す る 多 国 籍 企 業 の 誘 致 を行 っ た 。 そ の た め1968年 に制 定 され た 投 資 奨励 法 の も
と,電 子 産 業 に対 す る税 制 上 の 優 遇 措 置 を1971年 に導 入(そ の 後,繊 維 な ど他 の 労 働 集 約 的 産 業 に も拡 大)し た 。 また,多 国籍 企 業 の受 け 皿 と して1970年 代 は じめ に 自 由貿 易 地 区5)を 設 け,そ こ に 進 出 した 欧 米 系,日 系 企 業 に よ り,生 産 と輸 出 が 急 増 した の で あ る 。 同 じ く繊 維 で も 日系 企 業 を 中心 に輸 出指 向 企 業 が マ レー シア に進 出 した 。 一 方,木 材 は相 対 的 な 地位 の 低 下 をみ たが,新 た な 資 源 ベ ー ス 産 業 と して 石 油 精 製 が 木 材 と 同 じ く8.5%の シ ェ ア を 占 め,第5位 に登 場 した 。
1970年 代 後 半 は産 業 調 整 法 に よる 出 資 比 率 規 制 が 徐 々 に浸 透 して くる 時期 で あ る が,輸 出 指 向 的 な企 業 に対 して は 出資 比 率 規 制 は ほ とん ど適 用 さ れず,特 に電 機i・電 子 産 業 は そ の恩 恵 を被 っ た 。1981年 の 数 値 に あ る よ うに,引 き続 き 食 品(25.9%)が 首 位 を維 持 した が,電 機i・電 子(12.0%)が 第2位 に順 位 を あ げ た 。 資 源 ベ ー ス 産 業 の なか で は 石 油 精 製(11.2%)が 第3位 とな り,一 方 で か つ て の 主 要 産 業 で あ っ た ゴ ム(7.6%),木 材(7.2%)の 相 対 的 な 地 位 は 低 下 した 。
1980年 代 央 の 時 点 で も上 位3産 業 の 順 位 に変 動 は な か っ た が,第4位 に産 業 化 学(7.5%)が 顔 を見 せ た。 これ は 同 産 業 に属 す る ガ ス 生 産 が 増 大 した た め で あ る。 こ の 間 も ゴ ム(6.0%),木 材(4.7%)と い っ た 伝 統 的 な 資 源 ベ ー ス 産 業 の相 対 的 地 位 の低 下 は進 ん だ 。
1970年 代 か ら1980年 代 半 ば ま で は 産 業 構 造 の 大 幅 な変 化 は 観 察 さ れ な か っ た 。1980年 代 後 半 に 入 り,マ レー シ ア は1985,86年 の 不 況 か ら脱 す る た め,外 資 主 導 に よ る工 業 化 を 強 化 す る 。 そ の た め,1986年 の投 資 促 進 法 の も と,外 資 に 対 す る 出 資 比 率 な どの 規 制 が大 幅 に緩 和 され た。 これ は米 ドル に対 して 通 貨
5)輸 出 入 関 税 が か か ら な い 関 税 上 の 飛 び 地,輸 出 振 興 の た め に ア ジ ア 各 国 で 設 け ・ られ た が,名 称 は 国 に よ っ て 異 な る。
マ レー シア製 造業 にお け る外 資系 企 業39
が 切 り上 っ た 日本,台 湾 の対 マ レ ー シ ア 直 接 投 資 を急 増 させ る 要 因 とな っ た6)。
この 結 果,1980年 代 後 半 に産 業 構 造 は大 き く変 わ る こ と と な っ た 。1990年 に 電 機 ・電 子 が 製 造 業 の生 産 の 約4分 の1を 占 め る に至 り,食 品(16.7%)を 抜 き,
第1位 と な っ た 。ち な み に 両 者 の逆 転 は1989年 にお こ っ て い る。ゴ ム(5。5%), 木 材(5.5%)が 引 き続 き上 位 に あ っ た が,シ ェ ア 自体 は 減 少 した 。 産 業 化 学
(5.1%)が 第5位 と な り,石 油 精 製(4.9%)は 第6位 へ と大 き く順 位 を下 げ た 。 また,1985年 に 国民 車 の 生 産 が 開 始 さ れ た こ と もあ り,自 動 車 を含 む輸 送 機 器(4.8%)が シ ェ ア を拡 大 させ て い る。
1990年 代 の前 半 に な っ て も電 機 ・電 子 の増 加 の 勢 い は 止 ま らず,生 産 の シ ェ ア は3分 の1を 超 え る に至 っ た。 電 機 ・電 子 の 突 出 に よ り,他 の 産 業 は軒 並 み シ ェ ア の 減 少 を み た が,輸 送 機 器(5.3%)と 一 般 機 械(4.7%)は シ ェ ア を拡 大 した 。特 に 一 般 機 械 で 増 加 率 が 高 いが,こ れ は 同 産 業 に 分 類 さ れ る コ ン ピ ュ ー タ 関 連,及 び エ ア コ ン関 連 の 伸 び に よ る と ころ が 大 きい 。 また,後 述 す る よ う に一 般 機 械 で は 外 資 系 企 業 に よ る生 産 の 増 加 が 目立 っ た 。
1997年 の ア ジ ア 通 貨 危 機,経 済 危 機iのた め,マ レー シ ア 経 済 も大 き な打 撃 を 受 け た 。 しか し,1999年 に は経 済 が よ うや く回 復 軌 道 に乗 りは じめ,製 造 業 に お け る 生 産 額 も1997年 の 数 値 を上 回 っ て い た 。 経 済 危 機 へ の 対 応 策 と し て米 ド
ル に 対 し て 固 定 され た リ ン ギ が 為 替 の 安 定 と米 ドル に対 す る割 安 感 を もた ら し,こ の こ とが 輸 出 指 向企 業 の活 動 を後 押 し した と思 わ れ る。 こ の 年 の 数 値 を 見 る と電 機 ・電 子 の 突 出 が さ らに進 み,全 生 産 額 の40%弱 を 占 め る に 至 っ て い
る。 この た め,一 般 機i械(6.5%),産 業 化 学(6.2%),石 油 精 製(3.4%)を 除 く ほ と ん ど の 主 要 産 業 で シ ェ ア の 低 下 を み た 。 ち な み に 第2位 は 食 品
(14.0%)で あ っ た 。
1980年 代 央 以 降,マ レー シ ア製 造 業 の 産 業 構造 は電 機i・電 子 産 業 が 大 き く突 出す る構 造 とな っ た 。1970年 代 初 に 始 ま る欧 米 系 半 導 体 メ ー カ ー を 中心 と した 電 子 産 業 の 誘 致 と1980年 代 央 以 降 の 日本 の 電 機 ・電 子 メ ー カー の 進 出 が これ を
6)マ レ ー シ ア の 通 貨,リ ンギ(マ レ ー シ ア ・ ドル)は ほ ぼ 米 ドル に リ ン ク し て い た 。
強 力 に推 進 した。 そ の 他 の産 業 で は コ ン ピ ュー タ,エ ア コ ンが含 まれ る一 般 機 械 と天 然 ガス 関連 の 産 業 化 学 が 成 長 した が,前 者 に つ い て は外 資 系 企 業 が そ の 推 進 役 で あ っ た。 一 方 で か つ て の 主 要 産 業 で あ っ た食 品,木 材,ゴ ム と い っ た 伝 統 的 な 資 源 ベ ー ス 産 業 は大 幅 にそ の シ ェ ア を低 下 させ た。
1.2製 造 業 の 構 造 変 化 と外 資 系 企 業
表1で み た 産 業 構 造 の 変 化 に外 資 系 企 業 は どの よ うな 影 響 を与 え て い た の で あ ろ う か。 す で に若 干 の 分 析 を行 っ たが,よ り詳 細 な 分析 を産 業 ご との 生 産 額 の 増 加 へ の外 資 系 企 業 の 寄 与 率(2時 点 問 の 生 産 増 加 額 に 占 め る外 資 系 企 業 の シェ ア)の 変 化 に よ り考 察 す る。 定 義 よ り数 値 が50%を 上 回 れ ば,外 資 系 企 業 の 寄 与 率 が 地 場 企 業 を上 回 っ て い る こ と を 示 す 。 産 業 分 類 が 統 一 され て い る 1975年 か ら1999年 ま で の 期 間 を と り,表1と 同 じよ うに ほ ぼ5年 間 の 外 資 系 企 業 に よ る寄 与 率 の 変 化 を み た もの が 表2で あ る 。 た だ し,外 資 系 企 業 の 数 値 の 欠 落 が 多 い 産 業 を は ず した た め,分 析 対 象 と な る 産 業 数 が 表1よ り も 少 な く な っ て い る。 マ レー シ ア の 製 造 業 は全 般 的 に外 資 系 企 業 の 比 重 が 高 い 状 況 に あ る が,後 で 詳 し くみ る よ う に,新 経 済 政 策 の影 響 も あ り,製 造 業 内 で の 外 資 系 企 業 の 比 重(生 産 額)は1970年 代 か ら1985年 まで 低 下 し,そ の 後,上 昇 に転 じ
て い る 。 ち な み に,あ る外 資 系 企 業 の 出 資 比 率 が50%を 切 り,分 類 が外 資 系 企 業 か ら地 場 企 業 に 変 わ っ た 場 合 は地 場 企 業 の生 産 増,外 資系 企 業 の生 産 減 と な
り,後 者 の 寄 与 率 を下 げ る こ と と な る 。
表2に あ る よ う に1975年 か ら1981年 にか け て,全 産 業 で の外 資 系 企 業 の 寄 与 率 は36.6%で あ っ た 。 紙 と印刷 の み が マ イナ ス で あ り,数 値 が とれ な い もの を 除 く と,他 の 産 業 で は プ ラ ス で あ っ た 。 た だ し,寄 与 率 が50%を 超 え た 産 業 は 電 機 ・電 子 の み で あ り,そ れ 以外 で 比 較 的 高 い 数 値 を示 した 産 業 は飲 料,繊 維,
ゴ ム な どで あ っ た 。
1981年 か ら1985年 に か け て の外 資 系 企 業 の 寄 与 率 は 全 体 で8.4%と 非 常 に 低 い もの で あ っ た。 換 言 す れ ば,こ の 間 の 生 産 増 の大 半 は地 場 企 業 に よ る もの で
表 産食飲繊衣木家
マ レー シア製造 業 にお け る外 資系 企業 外資系企業の生産増加寄与率
紙
業品料維類材具刷学学ムク属鋼属械子器体
拙 伽金 繋
印産そゴプ非鉄金一電輸全
̀
1975‑81年1981‑85年 12.2%‑7.3%
42.3%362.9%
49.6%(‑68.1%) 18.8%113.1%
3.1%‑7.3%
1.9%27.1%
‑13 .2%46.3%
‑1 .4%‑33.4%
30.9%‑0.1%
30.9%108.6%
44.7%(‑740.4%) 7.5%‑5.4%
14.7%‑33.6%
14.7%‑1.4%
12.6%(‑82.2%) 26.1%(‑18.5%) 75.7%85.4%
8.1%‑31.8%
36.6%8.4%
1985‑90年 40.6%
52.4%
49.5%
37.6%
12.0%
60.7%
10.2%
27.2%
25.8%
49.8%
43.2%
25.4%
5.7%
9.2%
18.9%
73.2%
87.3%
12.8%
55.3%
41
1990‑95年1995‑99年 10.0%27,3%
‑15 .9%0.2%
62.1%122.8%
‑27 .4%65.0%
22.1%27.8%
33.1%42.3%
8.6%89.4%
1.9%47.1%
44,7%28.9%
52.2%45.4%
20.5%(+63.2%) 27.6%33.6%
16.9%30.9%
8.3%207.7%
43.7%34.9%
66.3%102.7%
73.2%91.6%
5.5%21.0%
46.1%69.6%
(注)括 弧 は 当該産 業 の2時 点 問の増 加率 がマ イ ナスで あ る こ とを示 す。
(出所)マ レー シア統計 局 内部資 料 よ り筆 者作 成。
あ っ た とい え る7)。 この 間 多 くの 産 業 で 外 資 の 寄 与 率 は マ イ ナ ス と な っ た 。 括 弧 は生 産 額 自体 が 減 少 した こ と を表 して い る 。外 資 系 企 業 の 寄 与 率 が 高 い 産 業 は飲 料,衣 類,そ の 他 化 学,電 機 ・電 子 な どで あ った 。 定 義 上,地 場 企 業 の 生 産 が 減 少 した 場 合 に は外 資 系 企 業 の 寄 与 率 は100%を 超 え る 。 ま た,増 加 額 が 少 な くて も,率 と し て は 高 くな る ケ ー ス が あ る 。 ゴ ム は こ の 間 生 産 額 自体 が 減 少 し,地 場 企 業 の 生 産 は 増 加 した に もか か わ らず,外 資 系 企 業 の 減 少 が 大 きか っ た た め,非 常 に 大 き な マ イ ナ ス の 数 値 と な っ て い る 。
7)1981年 の 数 値 は セ ンサ ス で あ る た め,多 少 大 き い 数 字 と な っ て い る 。 一 方,1985 年 の 数 値 は サ ー ベ イ の た め 捕 捉 率 は セ ンサ ス よ り2割 ほ ど低 い 。 しか し,1980年 代 前 半 は 外 資 系 企 業 の 生 産 は あ ま り増 加 せ ず,マ レ ー シ ア 経 済 が マ イ ナ ス 成 長 と
な る1985,1986年 に は 外 資 系 企 業 の 総 生 産 額 も減 少 した 。
1985年 か ら1990年 に か け て,製 造 業 全 体 で の外 資 系 企 業 の 寄 与 率 は55,3%に 急 増 し,こ の 間 の 生 産 増 の 半 分 以 上 が 外 資 系 企 業 に よ る もの で あ っ た こ とを示
して い る。1985年 はマ レー シ ア経 済 が 独 立 後 初 め て マ イ ナ ス 成 長 を 記 録 した年 で あ り,製 造 業 の 生 産 も停 滞 して い た 。1980年 代 後 半 以 降 の マ レー シ ア の急 速 な工 業 化 は輸 出 指 向 型 の外 資 系 企 業 に よ り推 進 され た こ と を受 け,電 機 ・電 子, 一 般 機 械 で の 高 い 寄 与 率 が 注 目 さ れ る。 そ の他 で は家 具,飲 料 が50%を 超 え て い た。
1990年 代 前 半 に は 幾 分 外 資 系 企 業 の 寄 与 率 は減 少 す る 。 しか し,そ の 数 値 は 全 体 で46.1%で あ り,依 然 と し て生 産増 加 分 の5割 弱 が 外 資系 企 業 に よ る もの で あ っ た 。 マ イ ナ ス の 数 値 は 飲 料,衣 類 で 観 察 され た 。 引 き続 き電 機 ・電 子, 一 般 機 械 で の 寄 与 率 が 高 く,繊 維,そ の 他 化 学 で も数 値 は50%を 超 え て い た。
1990年 代 後 半 に は外 資 系 企 業 の 寄 与 率 は 著 し く向 上 した。 マ レ ー シ ア も ア ジ ア経 済 危 機iの影 響 を 受 け た 国 で あ る が,1995年 は経 済 危 機 前 で あ り,1999年 に は す で に 回復 基 調 に 入 っ て い た が,生 産 増 の7割 近 くが 外 資系 企 業 に 占 め られ て い た とい う事 実 は 注 目 に値 す る。 こ の こ と は マ レー シ ア製 造 業 の 景 気 回 復 に 外 資 系 企 業 が 大 き く貢 献 した こ と を示 して い る。 お そ ら く,前 述 の よ う に米 ド ル に 対 して低 め に設 定 され た 固 定 相 場 が輸 出 指 向型 の外 資 系 企 業 の 生 産 活 動 を 刺 激 した こ と もそ の 要 因 で あ ろ う。 外 資系 企 業 の絶 対 額 の 増 加 が 大 きか っ た 産 業 は 電 機 ・電 子 と一 般 機 械 で あ るが,寄 与 率 で み る と増 加 額 自体 は大 き くな い 鉄 鋼,繊 維 が これ らを 上 回 っ て い た 。
これ ま で の マ レー シ ア経 済 を み る と景 気 後 退 な どに 直 面 した 際,外 資 を 引 き つ け る こ とに よ り,こ れ に対 処 して き た とい え る。 そ れ は 出資 比 率 規 制 の緩 和
な どの 外 資 政 策 か ら も明 らか で あ る。 製 造 業 にお い て は 特 に そ の 傾 向 が 顕 著 で あ り,そ の結 果 と して 外 資 系 企 業 が マ レー シ アの 製 造 業 内 に お い て よ り大 き な 地 歩 を築 い て きた こ とが 以 上 の分 析 か ら も確 認 され よ う。
1.3産 業 と外 資 系企 業 の シ ェア
繰 り返 す が,外 資 系 企 業 の 比 重 は 産 業 に よ り大 き く異 な る。 図1は1968年 か
マ レー シア製造 業 にお ける外資 系企 業 43 ら1999年 ま で の 問 の 各 産 業 の 生 産 額 に 占め る外 資系 企 業 の シ ェ アの3年 間 移 動 平 均 を プ ロ ッ ト した もの で あ る8)。 図1で は1985年 を境 に そ の前 後 で 外 資系 企 業 の シ ェ ア の平 均 値 が が ほ ぼ 等 しい グ ル ー プ,1985年 以 降外 資系 企 業 の シ ェ ア が 増 大 した グ ル ー プ,さ らに1985年 以 降外 資 の シ ェ ア が 低 下 した グ ル ー プ の3 グ ル ー プ に分 類 した 。1985年 を境 界 と した の は対 外 資 政 策 が 大 き く変 わ っ た か
らで あ る。1971年 に 開始 され た 新 経 済 政 策 の も と,特 に1975年 に 導 入 さ れ た 産 業 調 整 法 に よ りブ ミ プ トラ の 株 式 取 得 が促 され,外 資 系 企 業 に対 して も出 資 比 率 の規 制 な ど様 々 な制 約 が 強 化 され る よ う に な っ た 。 これ に よ り,1970年 代 と 1980年 代 の 前 半 を通 じて,外 資 系 企 業 の 生 産 シ ェ ア は,程 度 は異 な る も の の, ほ ぼ す べ て の グ ル ー プ に お い て 減 少 した 。 しか し,す で にみ た よ う に,1980年 代 央 の マ イナ ス 成 長 を契 機 と して,政 府 は外 資 主 導 の 工 業 化 の促 進 を は か り, 外 資 規 制 の 大 幅 な緩 和 を実 施 した の で あ る。
次 に各 グ ル ー プ 内 の 特 徴 に つ い て 検 討 を加 え る。 マ レー シ ア の 製 造 業 全 体 の 数 値 は 第1の グ ル ー プ と 同 じ傾 向 を示 して い る。 こ の グル ー プ の う ち特 に 目立 つ 産 業 が 電 機 ・電 子 で あ る。 同 産 業 は マ レー シ ア製 造 業 にお い て 突 出 した存 在 で あ る が,同 産 業 の 外 資 の 生 産 シ ェ ア は ほ ぼ8割 か ら9割 の 間 で 推 移 して お り, 外 資 の比 重 が 特 に 高 い 産 業 で あ る こ とが 分 か る。 外 資 の シ ェ アが5割 前 後 で推
移 して い る 繊 維 とそ の 他 化 学 も安 定 して外 資 の 比 重 の 高 い 産 業 とい え る。 特 に 電 機 ・電 子 と繊 維 に お い て は輸 出 指 向 的 な 多 国 籍 企 業 が 多 く見 られ る 。 こ れ に つ い で 衣 類 も1980年 代 後 半 以 降4割 近 い外 資系 企 業 の シ ェ ア を記 録 した が,近 年 そ の シ ェ ア が 低 下 傾 向 に あ る 。 金 属 は1980年 代 半 ば まで 低 下 傾 向 に あ っ た外 資系 企 業 の シ ェ ア が そ れ 以 降増 加 した 産 業 で あ る。 同様 の 傾 向 が 印刷 で もみ ら れ た が,同 産 業 の場 合,外 資 系 企 業 の シ ェ ア は 近 年 で も10%前 後 と低 い 水 準 に あ る。
8)た だ し,1969年 か ら72年,74年,80年,97年 の 数 値 が 欠 落 して い る。 こ の う ち1980 年,97年 に つ い て は 工 業 サ ー ベ イ 自体 が 発 行 さ れ て い な い 。 ま た,そ の 他 の 年 に つ い て は 地 場 と外 資 を 分 類 した 資 料 が 入 手 で き な か っ た 。 な お,3年 間 の 移 動 平 均 と し た の は 外 資 の 定 義 や サ ー ベ イ か ら の 漏 れ に よ り各 年 の 数 値 が 大 き く変 化 す る 場 合 が あ る た め で あ る 。
図1生 産 額 に占 める外 資系企 業 の シ ェア
100%
90%
80%
70%
60%
50%
40%
30%
20%
1e%
0%
+繊 維 +衣 類 +印 刷 一→← その他化学 +金 属 +電 機 ・電子 一← 全産業
1985年
100%
90%
80%
70%
60%
50%
40%
30%
20%
10%
0%
+木 材 +家 具 +プ ラスチック
→ ← 一般機械
1985年
100%
90%
80%
70%
60%
50%
40%
30%
20%
10%
0%
+食 品 +飲 料 +紙
→ ト産業化学
→ ∈一ゴム +非 金属
→ 一 鉄鋼 一 輸送機器
1985年
(出所)マ レー シ ア統 計局 内部 資料 よ り筆者作 成
マ レー シ ア製 造 業 にお ける外資 系企 業 45 第2の グ ル ー プ に含 ま れ る 産 業 は1980年 代 後 半 以 降 に外 資 系 企 業 の 比 重 が 増 加 した 産 業 で あ る 。 た だ し,増 加 率 は 産 業 に よ っ て 異 な る。 特 に 顕 著 な伸 び を み せ て い るの が 一 般 機 械 で あ る 。 す で に み た よ う に 一 般 機 械 の生 産 額 の 製 造 業 に お け る 比 重 は増 大 し て お り,こ れ と外 資 系 企 業 の 生 産 比 率 の増 大 が 軌 を 一 に して い る 。 ま た,1980年 代 後 半 以 降 の そ の 成 長 率 の 高 さ は突 出 して い る。 家 具 は生 産 額 か ら見 れ ば 重 要 な 産 業 と は い え ない が,1980年 代 半 ば以 降 急 速 に外 資 系 企 業 の シ ェ アが 増 加 した産 業 で あ る。 プ ラス チ ック,木 材 は と も に当 初,外 資 系 企 業 の 比 重 が低 い 産 業 で あ った が,1980年 代 半 ば 以 降,シ ェ ア が 増 大 した 産 業 で あ る 。
第3の グ ル ー プ は1980年 代 半 ば 以 降,外 資 系 企 業 の 生 産 比 率 が 減 少 した産 業 で あ る。 傾 向 的 に は1970年 代 か ら1980年 代 前 半 に か け て 急 速 に シェ アの 減 少 を み た後,減 少 率 は鈍 化 し た が,産 業 化 学 を除 い て ほ ぼ 一 貫 して減 少 傾 向 を示 し て い る。こ の グ ル ー プ に は か つ て の 主 要 産 業 で あ った 食 品,ゴ ム な どの 資 源 ベ ー ス 産 業 と重 工 業 化 の 過 程 で 政 府 が 介 入 した 非 金 属,輸 送 機 器,鉄 鋼 な どが 含 ま れ る。 特 に 後 者 に つ い て は政 府 主 導 の重 工 業 化(第2次 輸 入 代 替)の 影 響 が 顕 著 で あ る 。
次 に,外 資 系 企 業 内 の 生 産 だ け を取 り上 げ て 考 察 す る。 図2は 総外 資 系 企 業 生 産 額 に 占 め る主 要 産 業 の比 率 を示 した もの で あ る 。 す で に み た 製 造 業 内 の構 造 変 化 を 反 映 して い る部 分 もあ るが,順 次 年 代 を 追 っ て み て い く。1975年 時 点 で は製 造 業 内 で の食 品 の 比 重 が依 然 と して 高 く,食 品 自体 の 外 資 系 企 業 生 産 比 率 は低 い もの の,全 外 資 系 企 業 生 産 額 の約25%を 占 め て い た 。 この 時 点 で す で に 電 機 ・電 子 の シ ェ ア は20%に 近 づ きつ つ あ っ た。 ま た,伝 統 的 な 産 業 で あ る ゴ ムが こ れ に次 い で い た 。1981年 にか け て,電 機 ・電 子 が 全 外 資系 企 業 生 産 の 約1/3を 占 め る 一 方 で,食 品 の シ ェ ア が 減 少 し た。 ゴ ム に つ い て は シ ェ ア は ほ ぼ 横 ば い で あ っ た。1985年 は そ の 他 の年 とや や 異 な る 様 相 を呈 して い る。 石 油 精 製 が 急 増 し,ほ ぼ1/4の シ ェ ア を と り,こ れ に よ り電 機 ・電 子 の シ ェ ア は約 3割 に 落 ち た 。 一 方 で 食 品,ゴ ム の シ ェ ア は 趨 勢 的 な 減 少 傾 向 を示 して い た。
そ の 後,石 油 精 製 の シ ェ ア も急 落 し,1980年 代 後 半 以 降,1990年 代 半 ば ま で電
機 ・電 子 の シ ェ ア が 急 増 した 。1990年 に はそ の シ ェ ア は5割 弱 とな り,1995年 に は ほ ぼ6割 に 到 達 し,1999年 に至 っ て い る。 この よ う に電 機i・電 子 の突 出 が 顕 著 で あ るが,そ の 他 の 産 業 で は,す で に 見 た よ うに 一 般 機 械 の伸 び が 大 き く, 1999年 に は電 機i・電 子 に次 い で 約10%の シ ェ ア を得 て い た。 な お,石 油 精 製 に つ い て は1975年,81年,95年 の 生 産 額 の 地 場,外 資 の 分 類 が 欠 落 して お り,こ 、 こ で は0%と して い る。
外 資系 企 業 内 で は1980年 代 に石 油 精 製 の 伸 び が 見 られ た が,そ れ を除 け ば一 貫 して 電 機 ・電 子 の 増 大 が 顕 著 で あ っ た 。 先 の 各 産 業 内 の 外 資 系 企 業 の 生 産 比 率 と も関 連 す る が,1980年 代 半 ば 以 降,急 速 な外 資 系 企 業 に よ る 生 産 の 増 大 が 見 られ た が,そ の うち の 多 くが 電 機 ・電 子 産 業 内 で の増 大 で あ っ た こ と は 明 ら か で あ る 。外 資 系 企 業 に依 存 す るマ レー シ ア の 製 造 業 とい う表 現 は や や 誤 解 を 招 きや す い 。 実 際 に は 電 機 ・電 子 産 業 に外 資 系 企 業 が 集 中 す る と と も に,同 産
図2総 外 資 系企業 生産 額 に占 め る主 要産 業 のシ ェア
80%
70%
60%
50%
40%
30%
20%
10%
0%
→ 一食 品 +繊 維 +産 業 化学
→←石油精 製 +ゴ ム +一 般機 械 +電 機 ・電子
1975年1981年1985年1990年1995年1999年
(出所)マ レー シア統計 局 内部資料 よ り筆 者作 成
マ レー シア製造業 にお ける外 資系 企 業 47 業 の 製 造 業 内 で の 比 重 が 増 して い る結 果 とみ るべ きで あ ろ う。
2.地 場企 業 と外 資 系 企 業 の比 較 2.1生 産 性 等 の 比 較
一 般 的 に発 展 途 上 国 で は外 資系 企 業 は 地 場 企 業 よ りも1社 当 た りの 生 産 額 , 従 業 員 数 な ど で み た 規 模 が 大 き く,よ り資 本 集 約 的 で あ る と考 え られ る。 そ れ
は先 進 国 出 身 の多 国 籍 企 業 が 自 らの持 つ 資 本,技 術,な ど の優 位 性 を ホ ス ト国 に持 ち込む ためであ り,視 点 を変 える と親企業 の所 有す る各種経 営資源 に容易 に ア ク セ ス 可 能 な状 況 に あ る た め で あ る 。 そ の た め 同 一 産 業 内 に お い て 地 場 企 業 と外 資 系 企 業 との 間 で 生 産性 等 の指 標 に相 違 が み られ る と考 え られ る。 本 節 で は様 々 な角 度 か ら両 者 の比 較 を行 い,こ の 点 に つ い て 検 証 す る9)。
本節 での分析 もマ レー シア統 計局 か ら入手 した地場 企業 と外 資系 企業 に分類 さ れ た生 産 額 等 の 統 計 資 料 を も と に行 う。 対 象 期 間 は統 一 さ れ た 産 業 分 類 が な
9)マ レ ー シ ア 製 造 業 の 地 場 企 業 と 多 国 籍 企 業 を 比 較 し た 研 究 に は 以 下 の も の が あ る 。 横 山 久 「 外 国 直 接 投 資 と 製 造 業 の 生 産 構 造:生 産 関 数 の 視 点 か ら 」 モ ハ メ ド ・ ア リ フ,横 山 久 編 『マ レ ー シ ア 経 済 に お け る 外 国 直 接 投 資 』 ア ジ ア 経 済 研 究 所 1993年 。 岡 本 由 美 子 「マ レ ー シ ア の 貿 易 ・外 資 自 由 化 と 経 済 開 発 」 浦 田 秀 次 郎 編 『 貿 易 自 由 化 と 経 済 発 展 一 途 上 国 に お け る 生 産 性 分 析 一 』 ア ジ ア 経 済 研 究 所 1995年 。RajahRasiah,ForeignCapitalandIndustrializationinMalaysia,Mac‑
millanPress,London,1995,RamstetterEricD.,"CharacteristicsofMultination‑
alFirmsinMalaysia:ATimeSeriesPerspective,"inMitsuruToidaand DaisukeHiratsukaeds.,A7'iaKogyokennoKeizaiBunsekitoYosoku,Instituteof DevelopingEcoomies,Tokyo,1995.PhengHooiEng,ForeignDirect
Investment.AStadyofMalaysia'sBalanceofPaymentsPosition,PelandukPub‑
lications,SubangJaya,Malaysia,1998.MenonJayant,"TotalFactorProductiv‑
ityGrowthinForeignandDomesticFirmsinMalaysia,"∫ournalofAsianEco・
nomics,Vol.9,No.2,1998,RamstetterEricD.,"ComparisonofForeignMulti‑
nationalsandLocalFirmsinAsianManufacturingOverTime,"AsianEcono‑
micJournal,Vol.13,No.2,1999.OguchiNoriyoshi,NorAiniMohdAmdzah,
RauzahZainalAbidinMazlinaShafii,"ProductivityofFoerignandDomestic
FirmsintheManufacturingIndustry,"AsianEconomicJournal,Vol.16,
No.3,2002.
され て い る1975年 か ら1999年 ま で とす る 。 い くつ か の 産 業 に お い て は,外 資系 企 業 の 生 産 額 等 の 統 計 が 欠 落 して い る 年 を多 く含 む ケ ー ス もあ り,そ れ らの 産 業 に つ い て は 分析 対 象 か ら除 外 した。 また,生 産 額 等 は す べ て,1987年 価 格 を 基 準 価 格 と した 実 質 値 に置 き換 え た 。
以 下 で は マ レー シ ア の地 場 企 業 と外 資系 企 業 との 問 に どの 様 な違 い が あ る か を検 証 して ゆ く。具 体 的 に は労 働 生 産 性(付 加 価 値/雇 用 者 数),資 本 装 備 率(固 定 資 産/雇 用 者 数),資 本 生 産性(付 加 価 値/固 定 資 産),一 人 当 た り賃 金 を取 り 上 げ,さ らに そ れ ぞ れ の産 業 にお い て 地場 企 業 と外 資系 企 業 との 間 に有 意 な 差 が あ る か 否 か を考 察 す る。 また,紙 幅 の 関 係 で 時 系 列 の 実 際 の数 値 変 化 を示 す こ とが で き な い が,特 徴 的 な 変 化 が あ る場 合 に は極 力 言 及 す る もの とす る。 な お,1社 当 た りの 生 産 額,雇 用 者 数 な どは 地 場 企 業 と外 資 系 企 業 との 間 に大 き な差 が あ る た め,あ らた め て の検 証 は こ こで は行 っ て い な い 。
表3は 上 記 の項 目に つ い て,産 業 別 に地 場 企 業 と外 資系 企 業 の平 均 値 と対 応 関 係 が あ る場 合 の 平 均 値 の差 の検 定 結 果 を 表 した も の で あ る。 まず,労 働 生 産 性 につ い て は産 業 化 学,輸 送 機 器 を除 くす べ て の 産 業 に お い て 外 資系 企 業 の労 働 生 産 性 が 地 場 企 業 を 上 回 っ て い る。た だ し,輸 送 機 器 の場 合 そ の差 は 少 な く, 統 計 的 に有 意 な差 は な い 。 もち ろ ん,労 働 生 産 性 は産 業 に よ り大 き く異 な る。
労 働 集 約 的 な 衣 類,木 材,家 具 な どで は低 く,資 本 集 約 的 な 産 業 化 学,非 金 属, 鉄 鋼,非 鉄 な どで は 高 い 。 しか し,衣 類 木材,プ ラ ス チ ッ ク,鉄 鋼,非 鉄, 電 機 ・電 子,輸 送 機 器 で は 両 者 の 間 に有 意 な差 は み られ な い 。 労 働 集 約 的 で 高 い技 術 を必 要 と しな い,衣 類,木 材,プ ラ ス チ ッ ク と技 術 が 標 準 化 して い る鉄 鋼,非 鉄 な どで 地 場 企 業 と外 資 系 企 業 の 労 働 生 産 性 の 差 は 少 な い 。 一 方 で,食
品,飲 料,そ の 他 化 学 で は地 場 企 業 と外 資 系 企 業 と の労 働 生 産 性 の差 は 約2倍 と大 き い もの に な っ て い る。 産 業 化 学 につ い て は 地 場 企 業 の 労 働 生 産 性 が外 資 系 企 業 の約2倍 と な っ て お り,特 異 な存 在 で あ る。 こ れ は 同 産 業 に装 置 産 業 で あ る ガス の生 産 が 含 ま れ,地 下 資 源 を扱 う た め これ へ の外 資系 企 業 の参 入 が 制 限 され て い る た め と思 わ れ る。
時 系 列 の変 化 をみ る と,産 業 化 学 で は1970年 代 に は外 資 系 企 業 の 労 働 生 産 性
マ レー シ ア製造業 にお ける外 資系企 業49
が 地 場 企 業 の そ れ を上 回 っ て い たが,1980年 代 初 に 地 場 企 業 の 労 働 生 産 性 は35 万 リ ンギ 近 くま で 跳 ね 上 が り,一 気 に 両 者 の 地 位 は 逆 転 した 。 これ は ガ ス 生 産 の 増 加 と一 致 す る 。ま た,非 金 属 で は 両 者 の差 は 近 年,縮 小 傾 向 に あ り,一 方, 表3地 場企 業 と外資 系企 業 との比 較(平 均値 と対 応関係 のあ る平均 値 の差の 検定)
労働生産性
産 業 平 均
(リンギ}
食 品贈1爆
地 場41,755
飲 料
外 資86,650 地 場15。487
繊 維
外 資23,921 地 場9.153
衣 類
外 資9,358 地 場15,077
木 材
外 資15,986 地 場10,667
家 具
外 資12,740 地 場22,072 紙
外 資31,546 地 場186,470 産 業 化 学
外 資91,552 地 場29,490 そ の 他 化 学
外 資60,614
、 地 場20,041
ゴ ム
外 資31,566 地 場16,208 プ ラスチ
ック 外 資17 ,271 地 場32,270
非 金 属
外 資56,373 地 場35,913
鉄 鋼
外 資37,892 地 場37,869
非 鉄
外 資41,459 地 場20,478
金 属
外 資26,289 地 場20,426 一 般 機 械
外 資38,659 地 場22,856 電 機 ・電 子
外 資23,945 地 場33,・143 輸 送 機 器
外 資31,654 ホ:10%水 準 で 有 意
#:5%水 準 で 有 意 榔:1%水 準 で 有 意
労 働 生産 性 資 本装 備 率 資 本装 備 率
差 の 検 定 平 均 差 の 検 定
t値(リ ンギ)t値
39,2997
.830***16.832*掌*53 ,191
56,4635 .717***5.254***
94,131 23,3195 .950***4.239***
59,001 5,6840 .8264.914*#
6,833 20,8195
.269掌 串ホ1,59730 ,724
12,2622 .420榊2.492**16
,291 72,4220
.1132.762#
73,517 499,1534
.687***4.987榊 零
209,819 32,3787
.865*"15.916***
45,032 25,6195
.704***10.933叫寧33 ,506
23,7213
.196*林1.705 27,337
78,6216 .827i#5.228**宰
111,875 138,12工0 .5553.138牌*
92,812 53,9050
.8083.950榊 寧120
,949 26,3935
,177***4.383■**41 ,055
18,14513 .760**寧8.526"**
41,427 26,3253
.215#*0.961 21,724
48,7490 .5251.524
43,832
金 定 辮 ⁝ 料 榊 検 値 60 の t 3 賃 差 19 0 1 9 2 9 0 0 1 1 1 9 6 8 5 5 4 4 4 1 0 1 0
榊5 2 5
40109臼 枇ホ
8 1 2
率**6 6 2
霞UO11 **ホ
0 4 6 5
柳0 8 5 4 1 1 2 0
零宰宰9 9 7
宰零*1 8 6
*事紳榊1 4 5 3 7 6 7 8 6
0ハOqδrO30
た 当 入 8 4 4 4 8 3 6 0 4 0 1 4 8 2 1 2 0 7 0 4 3 4 8 7 5 5 1 6 3 3 8 7 9 9 1 7 金 荊 認 融 溺 溺 泥 ぷ 融 創 佃 翅 潭 認 鴻 瀞 図 茄 調 面 創 忽 訂 器 創 濁 溺 駕 茄 溜 ⑳ 器 溺 溺 溺 器 罰 調
ン 6 9 8 3 5 6 4 5 5 5 5 4 7 7 4 6 8 3 5 7 5 6 7 3 9 9 9 2 7 8 7 9 6 7 9 9 1 1 1 1 1 1 1 賃 ー
牌
性 定 ・
磁謄蜥資差 ***
3 4 9
*掌*2 5 1
**聯料0 2 6 2 0 6 1 6 5 8 3 8
艸*2 3 0
***8 5 4
宰寧寧7 3 4
寧ホ0 7 8 9 6 0 3 5 8
寧**2 7 4 5 5 3
*3 5 0
*紳3 3 2 3 8 3 6 2 4 4 3 0 0 3 9 3 1 2 0 4 1 2 4 1
2 5 7 6 4 1 2 5 7 2 7 5 6 5 1 1 2 2 5 6 6 1 2 9 7 6 2 8 5 4 4 灘 均 荊 朋 ■氾 器 翻 窟 翻 珊 認 器 創 肥 κ 茄 融 潮 湖 溺 潮 蕊 朋 溺 駕 調 翻 面 鴻 茄 溺 刃 泥 溺 工沿 駕 罰 η 習 生 ン 0 1 0 0 0 0 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 1 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 1 1 0 1 0 0 本 リ 資 平 ー
(注)労 働 生産性,資 本装備 率,賃 金 は1987年 を基準 年 と した実 質値 であ る。
(出所)マ レー シア統 計局 内部 資料 よ り筆者作 成。
繊 維 で は逆 に 差 が 拡 大 す る な ど,有 意 な差 の あ る産 業 にお い て も傾 向 が 異 な る。
次 に資 本 装 備 率 につ い て 考 察 す る 。 上 記 の労 働 生 産 性 と資 本 装 備 率 と の 問 に は全 体 と して は 高 い 相 関 関 係 が み られ る。 ま た,労 働 生 産性 同 様,一 般 に は外 資 系 企 業 の 資本 装 備 率 は 地 場 企 業 よ り高 い とい え るが,こ こで も産 業 ご と の違 い が み られ る。 また,労 働 生 産 性 の 分析 で は地 場 企 業 と外 資 系 企 業 との 問 で有 意 な差 が み られ な か っ た,衣 類,木 材,プ ラ ス チ ッ ク,鉄 鋼,非 鉄,電 機 ・電 子 産 業 にお い て 資 本 装 備 率 で は地 場 企 業 と外 資 系 企 業 の 問 で 統 計 的 に 有 意 な差 が あ る 。 こ の こ とは こ れ らの 産 業 で は 資 本 装 備 率 ほ ど に は 労 働 生 産 性 に両 者 間 で 差 が な い こ とを 表 して い る 。 こ の うち,鉄 鋼 と電 機 ・電 子 で は地 場 企 業 の 資 本 装 備 率 が 外 資系 企 業 の そ れ を上 回 っ て い る。 同 じ く産 業 化 学 で も地 場 企 業 の 資 本 装 備 率 が 外 資系 企 業 の そ れ を大 き く上 回 っ て い る。 輸 送 機 器 で は地 場 企 業 が 外 資 系 企 業 を若 干 上 回 っ て い るが,両 者 の 問 に統 計 的 に 有 意 な差 は み られ な い 。 逆 に紙 産 業 で は 労 働 生 産 性 につ い て は 両 者 間 で 有 意 な差 が確 認 さ れ るが, 資 本 装 備 率 につ い て は 有 意 な 差 は認 め られ な い 。
時 系 列 で み る と,特 徴 的 な変 化 を示 した 産 業 が確 認 さ れ る 。産 業 化 学 で は1980 年 代 に入 り,急 激 に 地 場 企 業 の 資 本 装 備 率 が 増 大 し,労 働 生 産性 同 様 地 場 企 業 が外 資 系 企 業 を上 回 っ た 。 そ の後,1990年 代 前 半 に そ の 差 は縮 小 傾 向 を示 した が,後 半 に は 再 度 拡 大 傾 向 が み られ た 。 鉄 鋼 は1980年 代 に 国家 プ ロ ジ ェ ク トも あ り,地 場 企 業 の資 本 装 備 率 が 急 増 し,地 場 企 業 が 外 資系 企 業 を 逆 転 した が, 1990年 代 後 半 に は両 者 の 差 は縮 小 した 。 非 鉄 は1990年 代 に入 り地 場 企 業 の 資 本 装 備 率 が 急 増 し,1990年 代 後 半 に は 地 場 企 業 が 外 資 系 企 業 を逆 転 した 。 こ れ は 特 異 な ケ ー ス で あ る。 金 属 で は1980年 代 半 ば まで は両 者 の 差 は わ ず か で あ っ た が,1980年 代 後 半 以 降 外 資 系 企 業 が 地 場 企 業 を多 く上 回 る よ う に な っ た 。電 機 ・ 電 子 で は1980年 代 半 ば まで は地 場 企 業 の 数 値 が 外 資 系 企 業 を上 回 っ て い たが,
1980年 代 後 半 以 降 両 者 の 差 は ほ とん ど な くな っ て い る。 ゴ ム の場 合,1975年 以 降 一 貫 して外 資 系 企 業 の 数 値 が 地 場 企 業 を上 回 って い た が,1990年 代 に入 り両 者 の 差 は ほ とん ど な くな っ て い る 。 木 材 は1980年 代 半 ば まで は両 者 の 差 は み ら
れ な か っ た が,そ れ以 降 外 資 系 企 業 が 地 場 企 業 の 数 値 を上 回 る よ うに な っ た。
マ レー シ ア製 造業 におけ る外資系 企 業 51 続 い て 資 本 生 産性 につ い て 考 察 す る。 これ は単 位 当 た り資 本 の 生 産 す る付 加 価 値 を 計 測 した もの で あ り,資 本 の 効 率 的 な利 用 が な され て い るか を示 して い る。 まず,全 体 的 に,労 働 生 産 性 や 資 本 装 備 率 と異 な り,産 業 間 の 差 は 少 な い 。 こ こ で は これ ま で 分析 した労 働 生 産 性,資 本 装 備 率 以 上 に地 場 企 業 が 外 資 系 企 業 を上 回 るケ ー ス が 多 い 。 統 計 上 有 意 な差 が あ る13産 業 の うち,外 資 系 企 業 が 地 場 企 業 を上 回 っ て い る産 業 は7産 業(食 品,飲 料,産 業 化 学,そ の 他 化 学, ゴ ム,非 金 属,電 機 ・電 子)一 方,地 場 企 業 が 外 資系 企 業 を上 回 っ て い る 産 業 が6産 業(繊 維,衣 類,木 材,プ ラス チ ッ ク,非 鉄,一 般 機 械)で あ る。 統 計 的 に有 意 な 差 が 確 認 され な い 産 業 の 中 で は 家 具 に お い て 地 場 企 業 の 数 値 が外 資 系 企 業 の 数 値 を上 回 って い る 。
時 系 列 で み る と食 品 で は1990年 代 に入 り両 者 の差 は 縮 小 傾 向 に あ り,繊 維 で は 両 者 と も に1980年 代 後 半 に ピ・・一一一ク を迎 え,以 後 減 少 傾 向 を示 して い る が,外 資 の 減 少 幅 が 大 きい 。 木 材,そ の 他 化 学,ゴ ム,非 金属,鉄 鋼 は 両 者 と も減 少 傾 向 を示 して い た。 非 鉄 で は1990年 代 に 地場 の 数 値 が 急 落 し,両 者 の 数 値 が ほ ぼ が 並 ん だ 。外 資 系 企 業 の 比 重 が 最 も高 い 電 機 ・電 子 で は1975年 に は地 場 企 業, 外 資 系 企 業 の 数 値 は そ れ ぞ れ約0.9と1.8で あ り後 者 は 前 者 の お よそ2倍 で あ っ た 。そ の 後,外 資 系 企 業 の 数値 は1990年 まで 一 貫 して 低 下 し,ほ ぼ0.8と な っ た 。 一 方 で 地 場 企 業 の数 値 は こ の 間0 .6か ら1.2の 間で上 下す るが,1990年 代 に入 り 両 者 の 数 値 はLO前 後 とほ ぼ 同 レベ ル に な る 。 初 期 の 外 資 系 企 業 の 数 値 の 高 さ は,特 に 半 導 体 な どで2シ フ ト,3シ フ ト体 制 に よ る24時 間 操 業 を して い た メ ー カ ー が 多 か っ た こ と を反 映 して い た と思 わ れ る。
最 後 に賃 金 につ い て 考 察 す る 。 こ こ で も一 般 的 に外 資 系 企 業 の 一 人 当 た り賃 金 は 地 場 企 業 を上 回 っ て い る。 木 材,家 具 産 業 にお い て は 若 干 地 場 企 業 が 外 資 系 企 業 の そ れ を上 回 っ て い る が,そ の 差 は少 な く,統 計 的 に有 意 な 差 は な い 。 また,紙 鉄 鋼,輸 送 機 器 産 業 で も両 者 の差 は ほ とん どな い 。 逆 に そ れ ら以 外 の 産 業 で は外 資 系 企 業 が 統 計 的 に 有 意 な差 を持 っ て地 場 企 業 の 賃 金 を上 回 っ て い る。 た だ し,賃 金 の 差 は労 働 生 産 性 の差 ほ ど に は大 き くな い。 一 般 に外 資系 企 業 の 給 与 水 準 は地 場 企 業 よ り も高 い とい わ れ,一 部 の 産 業 を 除 い て はそ の事
実 が 確 認 され た 。 労 働 生 産 性 と賃 金 の 問 に は 高 い 正 の 相 関 関係 が あ るが,特 に 電 機 ・電 子 産 業 で は両 者 の 労 働 生 産 性 に 差 が な い に もか か わ らず 賃 金 で は格 差 が存 在 す る。 これ は衣 類,プ ラ ス チ ッ ク,非 鉄 に も当 て は ま る。 一 方 で,家 具 や 紙 の よ うに 生 産 性 に 差 が あ る に もか か わ らず,賃 金 に差 が な い 産 業 もあ る。
時 系 列 で み た 場 合,他 の 項 目程 の 大 きな変 化 は み られ ず,多 くの 産 業 で 地 場, 外 資 系 企 業 双 方 の 一 人 当 た り賃 金 は ほ ぼ 同 率 の緩 や か な 上 昇 傾 向 を示 して い
た 。 た だ し,ゴ ム,非 金 属,非 鉄,金 属 で は 地 場 企 業 と外 資 系 企 業 の 賃 金 格 差 が 縮 小 す る傾 向 に あ り,こ の う ち非 鉄 につ い て は地 場 企 業 の 賃 金 が外 資 系 企 業
の 賃 金 を近 年 上 回 る よ う に な っ た 。
最 後 に上 記 の 各 項 目間 の 関 係 を み る と,全 体 で は労 働 生 産 性 と資 本 装 備 率 と の 間 で 相 関 係 数 は0.9258で あ り,ま た,労 働 生 産 性 と賃 金 との 相 関係 数 は0.8175 で い ず れ も強 い相 関 が 認 め られ た。 しか し,労 働 生 産 性 と資 本 生 産 性 の 問 に は 相 関 は 認 め られ なか っ た 。 ち な み に,賃 金 を 除 く3項 目 につ い て は 労 働 生 産 性
=資 本 装 備 率 ×資 本 生 産 性 とい う関係 に あ る 。
2.2生 産 関 数 の 検 証
こ こ で は 周 知 の コ ブ ・ダ グ ラ ス 型 の 生 産 関 数, Y=ALαKβ(1)
を 用 い て,1975年 か ら1999年 ま で の 期 間 を と り,各 産 業 内 で 地 場 企 業 と 外 資 系 企 業 の 生 産 関 数 を 計 測 し,産 業 ご と の 特 徴 を み る 。 そ の 後,同 一 産 業 内 の 地 場 企 業 と外 資 系 企 業 と の 問 で 生 産 関 数 が 異 な る か 否 か を 検 証 す る 。
ま ず,(1)の 対 数 を と り, logY=logA+α10gL+βlogK(2)
と す る 。 さ ら に 地 場 企 業,外 資 系 企 業 そ れ ぞ れ の 生 産 関 数 を logYM=10gAo+αologLM+βologKM(3)
logYF=IogA1+α110gLF+β110gKF(4) とす る 。
表4は 各 産 業 に お け る 地 場 企 業 の 生 産 関 数(3)と 外 資 系 企 業 の 生 産 関 数(4)の 計