公 正 取 引 NQ676‑ 2007.2
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公正取引委員会 とインター ンシ ップ
わ だ た て お
この ところ,談合 ,とくに官製談合 に対す る摘発 が相次 いでい る。談合 は今 に始 まった ことではないが ,マスコ ミの事件報道 などを 通 じて ,社会の受 け止 め方 はだんだん と厳 し くな りつつ あるよ うに思 える。他方で ,次 々 と明 らかになる企業の不祥事 は ,その多 くが 法律違反 に関わ るもので ある。そのたび に企 業の社会的責任(CSR)とか ,コンプ ライア ン ス とかの ことばが登場 し,耳 に馴染 んで くる とともに ,それ に関す る指南書 ・ハ ウツー も のは汗牛充棟 ,公正取引委員会の排除措置 に おいて も会社 内部の社員教育や法令遵守体制 の確立 が命 じられ る時代 となった。企業の社 会的責任(CSR),コンプライアンスの内実は定 かではないが ,世の 中は ,自己責任 ・ル ール 重視の方向に向かっているように見 える。
この よ うな傾 向はいつ か ら始 まったのだろ うか。その ことと関連 して今で も思い出す こ とがある。 ある研究会で裁判官 出身の審判官 (当時)の方 が研究報告の なかで ,ス トレッチ フイル ム価格 カル テル事件判決 (東京高判平成 5・5・21)を引用 し競争政策 に対す る裁判所 の認識の変化 を強調 された。「公共の利益」につ いて言及 した有名 な石油価格 カルテル最高裁 判決 (最判昭和59・2・24)の とき,裁判所 はま だ競争政策 には全幅の信頼 を置 くことがで き
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なかった。時代 を経て90年代 ,ス トレッチフ イル ムの事件では ,裁判所の認識 に変化 がみ られるとい うのである。
判決 は ,量刑の事情 につ いて判断 した部分 で次 の ように述べてい る。「独禁法 は ,改めて い うまで もな く,我 が国における自由競争経 済 を支 える基本法で あ り,特 に今 日,一般消 費者の利益 を確保す るとともに ,国際的に も 開かれ た市場の下で ,我 が国経済の健全 な発 展 を図 るため ,公正かつ 自由な競争 を促進 し, 市場経済秩序 を維持す ることが重要 な課題 と
なってお り,このため国内的 にも,また ,国 際的 にも,独禁法の順守 が強 く要請 されて き ている=・」。事案の違いがあ り,文章だけ比較 す ることには限界があるとして も,た しかに,
2つの判決の間には ,わが国経済 を巡 る環境 の変化 とそれにともなう競争政策 (独禁法)の考 え方 の変遷 をみ ることがで きると納得 した次 第。以上 の ことは ,何年 も前の ことで あ り, 報告者の方 はそんなことは言わなかった とお
っ しゃるか もしれ ない。そ うで あればすべて 私の責任である。
神戸学院大学の田中裕明教授 が ,本欄(647 守)で独 占禁止法の教育 について提言 をしてお
られ る。独 占禁止法 が企業社会 で認知 され , コンプ ライア ンスの重要項 目ともなれば ,義
公 正 取 引 NQ676‑ 2007.2 争政策 (独禁法)の正確 な知識 と課題 を,高棟や
大学 で教 えることが一層重要 になって くる。
ここで取 りあげたのは ,公正取引委員会での インター ンシ ップ制度 である。仕事柄 ,勤務 先の大学で インター ンシ ップに深 く関わって い る。 インター ンシ ップ とは ,ご存 じの よ う に ,学生 が ,夏休み などを利用 して企業 や官 公庁で ,一定期間 (だいたい2週間程度)就業体 験 をす るもので ,多 くの大学 が取 り入れ ,撹 業科 目と して運 用 して い る。国立大 学 で は 80%以上 ,私立大学では60%以上が実施 して いる。大学のみな らず ,中学校 や高校 に も普 及 してい る。実際 に携 わってみ ると,世 間で 喧伝 され るは どうまくはいってお らず ,課題 も多いが ,希望す る学生 が相 当数 お り,彼 ら にとっては成果があるようである。
数年前 に ,私 のゼ ミで ,公正取引委員会札 幌事務所 を訪 問 させ て もらった ことがある。
勉強の一環 としての試みであったが ,当 日は , 学生 が質 問 を用意 して ,職員の方 か ら委員会 の活動 や実務 につ いて色 々 と教 えて頂 いた。
学生 にとっては新鮮 な経験 で有益で あったよ うである。その効果かどうかはわか らないが , 学生の一人 は公正取引委員会 に勤務す ること になった。
私の提言 は ,この よ うな1回限 りの訪 問 を
さらに進め るとい うもので ある。 インターン シップは ,学生の就職活動 とに結びつ きやす いが ,公正取引委員会の場合 は ,競争政策の 理解 ,独禁法の教育 としての役割 が重要であ ると思 う。受入先 にとって ,インターンシッ プは生や さしい ものではない。通常の業務 を 犠牲 に しなけれ ば な らず相 当の負担 となる。
また ,公正取引委員会の場合 は ,大量の企業 情報 や企業秘密 が集 まってい るため ,学生 を 受 け入れた場合 ,その保持 とい う最大の問題 を抱 えることになる。 そ うなると,学生 に研 修 させ る内容が限定 され る(とくに地方事務所の 場合がそうである)。結局 は,プログラムの作 り 方次第で あるが ,先 に述べたよ うに ,インタ ーンシップの重点 を,就業体験 (人材確保型)よ り教育 (社会貢献型)に方 に置 けば ,それなりの 内容 を作 ることがで きるのではないか と思わ れ る。期間 も2週間で ある必要 はない。地方 の大学 にとって は ,地方事務所でや って頂 く のがあ りがたいが ,当面 は東京で実施すれば いいのではないだろうか。
以上勝手 なことを書 かせて頂 き汗顔 の至 り であるが ,公正取 引委員会の方ですでに検討 などされてい るので あれば ,私 の無知の致す ところとご容赦願いたい。
臼
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