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心筋細胞肥大および心線維芽細胞増殖での Heat-shock protein 90 の役割

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Academic year: 2021

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Fi g ure 2 Ch an ge in c on t ent s of c -R a f, and E rk1/ 2 p rot ei n s a n d th ei r ph osph or yla t ed forms i n NRVM s t rea t ed wi th

or wi t h ou t E T-1 , 1 7 -AAG a nd M G-132 . (A) c -R a f c on t ent s, (B ) ra ti o of p -c -R a f t o c -Ra f, an d (C ) rat i o of p -E rk1 /2 t o E rk 1/ 2 in NRVM s. Va lu es a re exp ress ed a s p erc ent a ges c omp a red wi t h th e n on -sti mu la t ed group (i nc uba t ed in th e ab sen c e of E T, 17 -AAG, a n d M G-1 32 ). Ea ch va lu e rep res e nt s t h e mea n ± S. E .M. of 7 in d ep en d en t exp eri men t s. *p< 0.0 5 v s. ind ic at ed va lu es. 第 1 章 で は ラ ッ ト 初 代 培 養 心 筋 細 胞 を 用 い , 心 筋 細 胞 肥 大 へ の Hsp90 の 関 与 に つ い て 検 討 し た . ま ず , 心 筋 細 胞 面 積 へ の Hsp90 阻 害 薬 17-allylamino-17-demethoxygeldan amycin (17-AAG) の 効 果 を 検 討 し た .培 養 心 筋 細 胞 に 17-AAG を 前 処 置 し , endothelin-1 (ET-1) 刺 激 に よ り 心 筋 細 胞 肥 大 を 誘 発 し た と こ ろ , 17-AAG に よ り , 心 筋 細 胞 面 積 の 増 大 が 抑 制 さ れ た (Figure 1A,B) . こ の こ と か ら , Hsp90 が 心 筋 細 胞 肥 大 の 進 展 に 寄 与 す る 可 能 性 が 示 さ れ た .次 に ,Hsp90 が 心 筋 細 胞 肥 大 に 寄 与 す る 機 序 に つ い て 検 討 し た .本 研 究 で は ,細 胞 内 情 報 伝 達 経 路 と し て ,Raf/Mek/Erk 経 路 に 着 目 し た .Erk1/2 は ,c-Raf の 細 胞 内 情 報 伝 達 系 の 下 流 に 位 置 し て お り ,c-Raf の 活 性 化 は Erk1/2 の 活 性 化 を 導 く . 17-AAG 投 与 に よ り , 心 筋 細 胞 の c-Raf 含 量 が 減 少 し (Figure 2A), ET-1 に よ る c-Raf お よ び Erk1/2 の リ ン 酸 化 促 進 が 抑 制 さ れ た (Figure 2B,C).こ れ ら の 結 果 か ら ,Hsp90 が c-Raf の 安 定 化 に 寄 与 し て お り ,c-Raf の 安 定 化 を 介 し て Raf/Mek/Erk 経 路 の 活 性 化 を 維 持 す る こ と が 示 さ れ た .Hsp90 阻 害 薬 に よ り ,Hsp90 と そ の ク ラ イ ア ン ト タ ン パ ク 質 の 相 互 作 用 が 阻 害 さ れ る と ,ク ラ イ ア ン ト タ ン パ ク 質 は 正 常 な 構 造 を 形 成 で き ず , プ ロ テ ア ソ ー ム で の 分 解 へ と 導 か れ る と さ れ る .そ こ で ,17-AAG を 投 与 さ れ た 心 筋 細 胞 の c-Raf の プ ロ テ ア ソ ー ム で の 分 解 に つ い て 検 討 す る た め ,培 養 心 筋 細 胞 に プ ロ テ ア ソ ー ム 阻 害 薬 で あ る MG-132 を 作 用 さ せ た . そ の 結 果 , 心 筋 細 胞 の c-Raf 含 量 は ,MG-132 存 在 下 で 17-AAG に よ る 減 少 が 抑 制 さ れ た (Figure 2A).し

Fi g ure 2 Ch an ge in c on t ent s of c -R a f, and E rk1/ 2 p rot ei n s a n d th ei r ph osph or yla t ed forms i n NRVM s t rea t ed wi th

or wi t h ou t E T-1 , 1 7 -AAG a nd M G-132 . (A) c -R a f c on t ent s, (B ) ra ti o of p -c -R a f t o c -Ra f, an d (C ) rat i o of p -E rk1 /2 t o E rk 1/ 2 in NRVM s. Va lu es a re exp ress ed a s p erc ent a ges c omp a red wi t h th e n on -sti mu la t ed group (i nc uba t ed in th e ab sen c e of E T, 17 -AAG, a n d M G-1 32 ). Ea ch va lu e rep res e nt s t h e mea n ± S. E .M. of 7 in d ep en d en t exp eri men t s. *p< 0 0 5 v s ind ic at ed va lu es

Fi g ure 1 Ch an ge in c ell si z e of n eon at a l rat vent ri cu la r

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た が っ て ,17-AAG 投 与 後 の 心 筋 細 胞 で の c-Raf 含 量 の 減 少 に は ,プ ロ テ ア ソ ー ム で の 分 解 が 関 与 し て い る 可 能 性 が 示 さ れ た . 細 胞 内 で 活 性 化 さ れ た Erk1/2 は ,細 胞 質 お よ び 核 内 の 基 質 タ ン パ ク 質 を リ ン 酸 化 す る . 転 写 因 子 GATA4 の Ser105 部 位 の リ ン 酸 化 は , GATA4 の DNA 結 合 能 お よ び 転 写 活 性 を 上 昇 さ せ る と 考 え ら れ て お り , Erk1/2 は

GATA4 の Ser105 部 位 を 直 接 リ ン 酸 化 す る .そ こ で ,17-AAG 投 与 後 の GATA4 の リ ン 酸 化 に つ い て 検 討 し た と こ ろ ,ET-1 が 誘 発 し た GATA4 の Ser105 部 位 の リ ン 酸 化 の 促 進 は ,17-AAG 投 与 に よ り 抑 制 さ れ た (Figure 3).こ の 結 果 か ら ,Hsp90 は ,c-Raf の 安 定 化 を 介 し て Erk1/2 お よ び , そ の 情 報 伝 達 系 の 下 流 に 位 置 す る GATA4 の 活 性 化 を 維 持 す る こ と が 示 さ れ た .

第 2 章 心 線 維 芽 細 胞 増 殖 へ の Hsp90 の 関 与

第 1 章 で は , Hsp90 が c-Raf の 機 能 制 御 を 介 し て 心 筋 細 胞 肥 大 に 寄 与 す る 知 見 を 得 た . 前 述 し た よ う に , 心 室 リ モ デ リ ン グ に よ り 心 筋 細 胞 は 肥 大 し , 間 質 組 織 は 線 維 化 が 進 行 す る .線 維 化 は ,細 胞 外 マ ト リ ッ ク ス (extracellular matrix; ECM) が 組 織 に 過 剰 に 沈 着 し た 状 態 を 主 徴 と し て お り , ECM の 産 生 に は , 心 線 維 芽 細 胞 が 中 心 的 な 役 割 を 担 っ て い る . し た が っ て , 心 線 維 芽 細 胞 の 増 殖 は 心 線 維 化 に 寄 与 す る と 推 察 さ れ る も の の , 心 線 維 芽 細 胞 増 殖 へ の Hsp90 の 寄 与 は , 未 だ 明 ら か に さ れ て い な い . そ こ で ,第 2 章 で は ,ラ ッ ト 培 養 線 維 芽 細 胞 を 用 い ,心 線 維 芽 細 胞 の 増 殖 へ の Hsp90 の 関 与 に つ い て 検 討 し た . ま ず , 培 養 線 維 芽 細 胞 の 細 胞 数 に 及 ぼ す Hsp90 阻 害 薬 17-AAG の 効 果 を 検 討 し た と こ ろ , 心 線 維 芽 細 胞 へ の 17-AAG 投 与 に よ り , 線 維 芽 細 胞 の 細 胞 増 加 は 抑 制 さ れ た (Figure 4).こ の 結 果 か ら ,Hsp90 が 心 線 維 芽 細 胞 の 細 胞 増 殖 に 寄 与 す る 可 能 性 が 示 さ れ た . Fi g ure 3 Cha n ge i n ra ti o of p- GATA4 t o GATA4 in NRVM s t reat ed wi th or wi th out E T-1 , 17 -AAG a nd M G-1 32 . Va lu es a re exp ressed a s p erc en ta ges c omp a red wi th th e n on -sti mu la t ed group (in cub at ed in th e a bsen c e of E T, 17 -AAG, and M G-1 32 ). E ac h va lu e rep resen t s th e mean ± S. E.M . of 7 ind ep end en t exp eri men t s. *p < 0.0 5

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次 に ,Hsp90 が 線 維 芽 細 胞 の 増 殖 に 寄 与 す る 機 序 に つ い て 検 討 し た .第 一 章 と 同 様 に Raf/Mek/Erk 経 路 に 着 目 し た と こ ろ ,17-AAG 投 与 に よ り ,心 線 維 芽 細 胞 の c-Raf 含 量 は 減 少 し (Figure 5A), c-Raf お よ び Erk1/2 の リ ン 酸 化 が 抑 制 さ れ た (Figure 5B,D). こ の 結 果 か ら , Hsp90 は c-Raf の 発 現 量 の 維 持 に 寄 与 し て お り , c-Raf の 機 能 的 高 次 構 造 の 維 持 を 介 し て Raf/Mek/Erk 経 路 の 活 性 化 を 維 持 す る こ と が 示 さ れ た . 第 1 章 で は ,17-AAG 投 与 後 の 心 筋 細 胞 の c-Raf 含 量 の 減 少 に は , プ ロ テ ア ソ ー ム で の 分 解 が 関 与 す る こ と が 示 さ れ た . そ こ で , 心 線 維 芽 細 胞 で の 17-AAG 投 与 後 の c-Raf の プ ロ テ ア ソ ー ム に よ る 分 解 に つ い て 検 討 す る た め , 心 線 維 芽 細 胞 へ MG-132 を 作 用 さ せ た .そ の 結 果 , 心 線 維 芽 細 胞 で の 17-AAG 投 与 に よ る c-Raf 含 量 の 減 少 は , MG-132 投 与 に よ り 軽 減 さ れ た (Figure 5A).し た が っ て , 17-AAG 投 与 時 の c-Raf 含 量 の 減 少 に は , プ ロ テ ア ソ ー ム で の 分 解 の 関 与 が 示 さ れ た . そ の 一 方 で , MG-132 は 17-AAG に よ り 減 少 し た c-Raf 含 量 を 回 復 さ せ た も の の ,c-Raf お よ び Erk1/2 の リ ン 酸 化 の 抑 制 は 軽 減 さ せ な か っ た (Figure 5B,D).こ れ ら の 結 果 か ら ,心 筋 細 胞 と 同 様 に ,心 線 維 芽 細 胞 で も c-Raf は , リ ン 酸 化 さ れ 活 性 化 す る た め に Hsp90 と の 相 互 作 用 が 必 要 で あ る 可 能 性 が 推 察 さ れ た . 本 研 究 の 結 果 か ら ,心 筋 細 胞 の Hsp90 が 心 筋 細 胞 肥 大 の 進 展 に 寄 与 す る こ と が 示 さ れ た .そ の 機 序 の 一 つ に ,Hsp90 が c-Raf の 安 定 化 を 介 し て ,Raf/Mek/Erk 経 路 お よ Fi g ure 4 Cha n ge in c el l nu mb er of c a rd ia c

fib rob la st s (C F) t rea t ed wi th 1 7 -AAG or Vehi c le. Th e c ells we re i nc uba t ed wi t h 17 -AAG for 24 or 48 h. Values are exp ressed a s p erc ent a ges c omp a red wi th 0 h group . E ac h va lu e rep resen t s th e mean ± S.E.M. of 3 independent exp eri men t s. *p < 0.05 vs. 0 h group.

   

Fi g ure 5 C ha n ge in c ont en t s of c -R a f, p -c -R a f, E rk1 /2 , and

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び Erk1/2 の 情 報 伝 達 系 の 下 流 に 位 置 す る 転 写 因 子 で あ る GATA4 の 活 性 化 を 維 持 す る こ と が 考 え ら れ た .加 え て ,心 線 維 芽 細 胞 の Hsp90 が ,c-Raf の 機 能 制 御 を 介 し て , Raf/Mek/Erk 経 路 の 活 性 化 を 維 持 し , 細 胞 増 殖 の 促 進 に 寄 与 す る こ と が 示 さ れ た . さ ら に ,17-AAG 投 与 後 の 心 筋 細 胞 お よ び 心 線 維 芽 細 胞 で の c-Raf 含 量 の 減 少 に は ,プ ロ テ ア ソ ー ム で の 分 解 が 関 与 す る こ と 推 察 さ れ た . 以 上 ,本 研 究 で は ,心 筋 細 胞 肥 大 お よ び 心 線 維 芽 細 胞 増 殖 へ の Raf/Mek/Erk 経 路 を 介 す る Hsp90 の 寄 与 に つ い て 明 ら か に す る こ と で , 心 筋 リ モ デ リ ン グ の 進 展 に 関 与 す る 細 胞 内 情 報 伝 達 経 路 に つ い て 新 た な 知 見 を 提 示 す る こ と が で き た . 【 研 究 結 果 の 掲 載 誌 】

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論文審査の結果の要旨 心筋リモデリングは、心筋肥大およぶ心線維化を指標とする組織の病態生理学的変化である。 心筋肥大は固有心筋細胞の肥大により、心線維化は心線維芽細胞の増殖により誘発される。この 心筋リモデリングの過度の進行は、心不全の誘因になると考えられており、心筋リモデリングの 病態生理を把握することは、心不全の新たな治療法を開発することに有益な情報を提供すると期 待されている。 Hsp90 は分子シャペロンの一種で、種々のタンパク質の合成および修復に関与する。Hsp90 の 標的となるタンパク質は、クライアントタンパク質と呼ばれる。心筋細胞肥大および心線維芽細

胞増殖を促進させる細胞内情報伝達系として mitogen-activated protein (MAP) kinase 経路が

注目されている。MAP kinase 経路の中で、Raf/Mek/ERK 経路は心筋リモデリングへの関与が

推測されている。近年、c-Raf が Hsp90 のクライアントタンパク質となる可能性が示された。 しかしながら、Hsp90 の心筋細胞肥大および心線維芽細胞増殖への役割については明らかにされ ていない。そこで本研究は、心筋リモデリングの要因となる心筋細胞肥大および心線維芽細胞増 殖への Hsp90 の役割を把握するために企画された。 第 1 章では、ラット新生仔培養心筋細胞を用いて、Hsp90 の心筋細胞肥大への Hsp90 の役 割について検討した。培養心筋細胞にエンドセリン-1 (ET-1) を暴露させると、心筋細胞肥大が生 じた。心筋細胞肥大により誘導される心房性ナトリウム利尿ペプチド (ANP) 遊離量も増大した。 肥大した心筋細胞では、Raf のタンパク質量は ET-1 未処置の心筋細胞のそれと同様であったが、 そのリン酸化レベルが上昇した。心筋細胞肥大の情報伝達系末端に位置する Erk1/2 のリン酸化 レベルも上昇し、転写因子の GATA4 リン酸化レベルも上昇した。一方、Hsp90 活性を抑制す

る17-AAG 存在下では、心筋細胞内の Raf が減少し、その情報伝達の下流に位置する Erk1/2 お

よび GATA-4 のリン酸化レベルの上昇は観察されなかった。この 17-AAG による Raf の減少

は、プロテアソーム阻害薬の MG-132 で軽減された。これらの結果から、Hsp90 は Raf をク

ライアントタンパク質とし、Raf/Mek/ERK 情報伝達系を制御していることが示された。Hsp90

が Raf を遊離すると、Raf はプロテアソームにより速やかに分解されることも示された。

第2 章では、心線維芽細胞増殖への Hsp90 の関与について検討した。心線維芽細胞に 17-AAG

を暴露させると、心線維芽細胞の増殖が阻止された。心線維芽細胞への 17-AAG 暴露は、Raf を

減少させたが、Raf のリン酸化レベルは上昇させた。その一方で、17-AAG 処置群の Erk1/2 の

参照

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