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マスト細胞の増殖および生存維持機構に関する研究

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Academic year: 2021

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Title

マスト細胞の増殖および生存維持機構に関する研究( 内容の

要旨 )

Author(s)

船越, 敦子

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(獣医学) 甲第125号

Issue Date

2002-03-13

Type

博士論文

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/2179

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

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氏 名(本籍) 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与年月 日 学位授与の要.件 研究科及び専攻 研究指導を受けた大学 学 位 論 文 題 目 審 査 委 員 (19) 船 越 敦 子(千葉県) 博士(獣医) 獣医博甲第125号 平成14年3月13日 学位規則第4条第1項該当 連合獣医学研究科 獣医学専攻 東京農工大学 マスト細胞の増殖および生存維持機構に関する研究 主査 東京農工大学 教 授 松 田 浩 珍 副査 帯広畜産大学 教 授 棄 藤 篤 志 副査 岩 手 大学 教 授 岡 田 幸 助 副査 東京農工大学 教 授 田 谷 一 善 副査 岐阜大 学 教 授 工 藤 忠 明 論 文 の 内 容 の 要 旨 マスト細胞は、免疫学的あるいは非免疫学的な刺激を受けて脱額粒し、細胞外に放出され た様々なケミカルメディエーターやサイトカインがアレルギー反応の惹起および増悪化を誘 導する。アトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患の病変部ではマスト細胞の集焦が観察さ れ、局所におけるマスト剛包数の増加が病態悪化の一因であると推測される。骨髄の造血幹 細胞に由来するマスト細胞は、T細胞に由来するInterkukin(IL)-3、4、9、10などのサ イトカイン、およびstemcellfactor(SCF)やnervegrOWthfactorなどの線推芽細胞に由来 する因子による支持を受け、その生存および増殖・分化が制御されている。中でも、IL-3 とSCFは、単独でマスト細胞の生存維持と増殖誘導が可能であることから、炎症局所におけ るマスト細胞数の増加に深く寄与していることが示唆される。一方、これらの成長因子の除 去はマスト細胞にアポトーシスを誘導し、細胞数を減少させることによって炎症反応を沈静 化に導くものと推察される。しかし、マスト細胞の増殖および生存維持の分子機構は完全に

は解明されていない。本研究では、tL-3とSCFによるマスト細胞の増殖誘導メカニズムとア

ポトーシス誘導シグナルについて検討を行った。 マウス骨髄由来培養マスト細胞(bonemarrow-derivedculturedmastcells,BMCMC) に対するrecombinantIし3(rIL-3)とrSCFの生存維持および増殖誘導効果を比較すると、 両者は同等の生存維持効果を有するが、増殖誘導効果はrSCFの方が高いことがフローサイ トメトリー法を用いるととにより明らかとなった。細胞増殖は、様々な細胞周期制御因子が 次々とリン酸化され、最終的に細胞周期の進行に必須の遺伝子が活性化されることによって 引き起こされる。BMCMCにおいては、rIL-3よりもrSCFとともに培養したときの方が、リ

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ン酸化型の網膜芽細胞腫タン/ちク質(retinoblastoma・prOtein,pRb)の発現が高いこと

が、ウエスタンプロット法によって示された。また、bRbの活性化を担うサイクリン依存性 キナーゼ(cyclin-dependent kinase,CDK)2、CDK4およびサイクリンD3の発現誘導効 果も、rSCFの方がrIL-3よりも高いことが明らかとなった。一方、自己括性化型のSCFレセ プター遺伝子を導入したIC-2マスト細胞とBMCMCを用いた実験から、rIL-3はCDK阻害因 子であるp27Klplの発現を強く誘導することが判明した。そして、シグナルインヒピタ「を

用いることにより、rIレ3はprotein kinase Cを介した経路でp27KIDlの発現を誘導すること が明らかとなり、この経路を阻止することによってrIレ3のBM七MCに対する増殖誘導効果 が冗進した。これらのことから、SCFはIL-3よりもマスト細胞の増殖を強く誘導し、pRb、 CDK2、CDK4、サイクリンD3およびb27KJplの発現量の違いが両サイトカインの増殖誘導 効果に差をもたらすものと推察された。 スフィンゴ脂質は細胞膜を構成する脂質であるが、細胞内情報伝達因子としての機能も有 しており、スフィンゴミエリンの代謝産物であるセラミドとスフィンゴシンはアポトーシス 誘導のシグナル伝達に関わることが明らかにされている。本研究では、膜透過性C2-セラミ ドとスフィンゴシンがBMCMCにアポトーシスを誘導し、rIレ3とrSCFはこれらスフィンゴ 脂質誘導性のアポトーシスを抑制できないことが示された。スフィンゴミエリナーゼは、ス

フィンゴミエリンからセラミドとスフィンゴシンが生成される反応を触媒してし1るが、培地

中に添加したスフィンゴミエリナーゼもBMCMCにアポトーシスを誘導した。これらのこと から、マスト細胞のアポトーシス誘導経路において、セラミドとスフィンゴシンがシグナル 伝達因子として機能していることが強く示唆された。また、インヒビターを用いた実験によ り、セラミドはカスバーゼを介した経路でBMCMCにアポトーシスを誘導することが示され た。 以上、本研究から得られた結果により、IL-3とSCFは、マスト細胞に対する生存維持作用 を有するとともに、細胞周期制御因子の発現を調節することによってマスト細胞に対して異

なった増殖誘導効果を発揮し、炎症局所におけるマスト細胞数の増加に轟与することが示唆

された。そして、Ⅰレ3とSCFはいずれもスフィンゴ脂質誘導性のアポトーシスを抑制できな いことから、炎症反応の終息の機転においては、セラミドとスフィンゴシンを介したアポト ーシス誘導経路の活性化により、マスト細胞数の減少が引き起こされる可能性が示唆され た。 審 査 結 果 の 要 旨 マスト細胞は、様々なケミカルメデイエーターを放出することにより、アレルギ

ー反応の惹起および増悪化に関与する一方、細菌や寄生虫に対する生体防御反応に

おいても重要な役割を果たすことが明らかとなってきている。事実、アトピー性皮

膚炎や気管支喘息などのアレルギー性疾患では、炎症局所における著しいマスト細

胞数の増加と脱顆粒像が認められ、このことがアレルギー反応の病態発現と維持に

深く関わっていると考えられる。また、マスト細胞の生存および増殖・分化は様々

な液性因子による制御を受けており、中でもT細胞由来のinterleukiム(IL)-3およ

び線維芽細胞由来のstemcellfactor(SCF)はマスト細胞に対する強力な生存維持お

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-274-よび増殖誘導活性を有し、局所におけるマスト細胞の増加を導く重要な因子となっ

ていると考えられるが、一方で、tranSforminggrowthfactor-β1やFasリガンドなと

はマスト細胞にアポトーシスを誘導することによって細胞数の減少を引き起こず。

増殖ヤアポトーシスを細胞に轟草するシグナルは様々な因子を介して伝達されるが、

マスト細胞におけるこれらの分子機構には不明な点が数多く残されている。本論文

で申請者はIL-3とSCFによるマスト細胞の増殖誘導と生存維持機構に関する研究を

行った。 1・■Interleukin-3およびstemcellfactorによるマスト細胞の生存維持および増殖誘 導

未分化なマスト鱒胞であるマウス骨髄由来培養マスト細胞(bonemarrow-derived

cultured mast cells,BMCMCトは成長因子の非存在下で72時間培養するとアポトー シスを起こすが、フローサイトメトリー法によりDNA含量を測定することによって

recombinantIL・3(rIL-3)とrscFがアポトーシス抑制作用を有することを明らかに

した。また、72時間後の生細胞数を数え、細胞周期の解析を行ったところ、rIL・3 よりもrscFの方がBMCMCに対する増殖誇導効果が高いことが判明した。 2.マスト細胞における細胞周期制御因子の発現 細胞周期の進行は様々な細胞周期制御因子による制御を受けているため、BMCMC におけるこれらの発現をウエスタンプロット法により調べた。網膜芽細胞腫タンパ

ク質(retinoblastomaprotein,pRb)のリン酸化はGl期からS期への移行のトリガー

となるが、rIL・3よりもrscFの方がpRbのリン酸化を強く誘導することが判明した。

また、rIL-3と比較してrSCFはサイクリン依存性キナーゼ(cyclin-dependentkinase,

CDK)2とCDK4の発現を強く誘導し、CDK4の活性化を担うサイクリンD3もrscF

とともに培養したBMCMCにおいてより高く発現していることが明らかとなった。 pRbはサイクリン/CDK複合体によってリン酸化されることから、pRbのリン酸化状 態の違いはCDK2 とCDK4のキナーゼ活性の違いに起因することが示唆された。一 方、rIL・3はCDK-阻害因子であるp27ⅩiplのBMCMCにおける発現を強く誘導し、自 己活性化型のSCFレセプターの遺伝子を移入したIC・2マスト細胞では恒常的に低い

p27Kipl発現が認められた。そしてシグナルインヒビターを用いた実験から、IL-3は

proteinkinaseCを介した経路でp27Kiplの発現を誇導していることが明らかとなり、

p27Xiplの発現誘導経路を阻止することによってrIL・3に対するBMCMCの増殖反応 が克進した。以上の結果から、IL-3 とSCFはこれらの因子の発現を調節することに よって、マスト細胞に対して異なった増殖誘導効果を発揮するものと推察された。 3.マスト細胞の生存に及ぼすスフィンゴ脂質の効果

細胞膜の構成脂質であるスフィンゴミエリンからスフィンゴミエリナーゼの作用

を受けて生成されるセラミドとスフィンゴシンは、アポトーシスシグナルを伝達す

る細胞内情報伝達因子として機能することが知られている。申請者は、BMC叫Cを 膜透過性C2・セラミドあるいはスフィンゴシンとともに培養すると、rIL・3あるいは rscFの存在下でもBMCMCがアポトーシスを起こすことを明らかにした。さらに外 因性スフィンゴミエリナーゼも BMCMCにアポトーシスを誘導したことから、セラ

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ミドとスフィンゴシンがマスト細胞にアポトーシスを誇導するシグナル伝達因子と して機能することが強く示唆された。また、インヒビターを用いた実験から、セラ ミドより下流のアポトーシスシグナル伝達経路にカスバーゼが関与することが明ら かとなった。 以上の結果から、Ⅰし3とSCFはいずれもマスト細胞に対する生存維持効果を有す るが、増殖誘導効果はSCFの方が高く、その違いは細胞周期制御因子の発現量とリ ン酸化状態の違いに起因することが示唆された。また、セラミドとスフィンゴシン がマスト細胞にアポトーシスを誇導するシグナル伝達因子として機能する可能性が

示唆され、Ⅰし3とS甲のいずれもスフーィン胡旨質誘導性のアポトシスを抑制でき

ないことから、セラミドとスフィンゴシンを介したアポトーシス誘導経路の活性化

は、IL-3とSCFの生存維持および増殖務導作用を受けて炎症局所で増加したマスト

細胞にアポトーシスを誘導し、細胞数を減少させることによって炎症反応の沈静化 に寄与することが示唆された。 以上について、審査貞全員一致で本論文が岐阜大学大学院連合獣医学研究科の学位 論文として十分価値があると認めた。 基礎となる学術論文 1)題 目:Interleukin-3andstemce11factormodulatecellcycleregulatoryfactors inmastcells:Negativeregulationofp27nPlinproliferationofmastcells inducedbyinterleukin-3butnotbystemce11factor

著 者 名:Itakura Atsuko,Miura Yutaka,Hikasa Yoshiaki,Kiso Yasuo.and

MatsudaHiroshi 学術雑誌名:ExperimentalHematology 巻・号・貫・発行年:29(7):803∼811,2001 2)愚

計:Ceramideandsphingosinerapidlyinduceapoptosisofmurinemastcells

SuPPOrtedbyinterleukin-3andstemcellfactor 著 者 名:ItakuraAtsuko,TanakaAkane,AioiAkihiro,TonogaitoHiroshiand MatsudaHiroshi 学術雑誌名:ExperimentalHematologyに発表予定 巻・号・頁・発行年: 既発表学術論文 1)題 目:Roleofnervegrowthfactorincutaneouswoundhealing:aCCelerating efftctsinnormalandhealing-1mpaireddiabeticmice 著 者 名:MatsudaHiroshi,KoyamaHiromi,SatoHiroaki,SawadaJunko,Itakura Atsuko,TanakaAkane,MatsumotoMasahiro,KonnoKatsuhikoUshio HirokoandMatsudaKuniko 学術雑誌名:JournalofExperimentalMedicine -276⊥

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・巻・号・貫・発行年:187(3):297∼306,1998

2)題 目:IgE hyperproduction throughenhanced tyrosine phosphorylation

of

√Januskinase3inNC仰gamice,amOdelofhumanatOPicdermatitis

著 者 名:Matsumoto Masahiro,Ra Chisei,Kawamoto Keiko,Sato Hiroaki,

ItakuraAtsuko,SawadaJunko,UshioHiroko,SutoH頑me,Mitshuisbi Kouichi,HikasaYoshiakiandMatsudaHiroshi 学術雑誌名:TheJournalofImmunology

巻・号・貫・発行年:162(2):1056∼1063,1999・

3)題

目: 著 者 名: 学術雑誌名: 巻・号・貫・ 4)題 目: 著 者 名: 学術雑誌名: 巻・号・貫・ 5)題 目: Humanmastcellsproducematrixmetalloproteinase9

Kanbe Naotomo,Tanaka Akaner Kanbe Michiyo,・Itakura Atsuko, KurosawaMotohiroandMatsudaHiroshi

EuropeanJoumalofImmun0logy.

発行年:29:2645∼2649,1999

Nerve growth factorfunbtions as a chemoattractant for mast ce11s

throughbothmitogen-aCtivatedproteinkinaseandphosphatidylinosito1

3-kinaseslgnalingpathways

SawadaJunko,Itakura Atsuko,Tanaka Akane,FuruSaka Toruand MatsudaHiroshi Blood 発行年:95(6):2052■、・2058,2000 NecessityofthromboxaneA2forinitiationofplatelet-mediatedcontact SenSitivity:dualactivationofplateletsandvascularendothelialce11s 著 者

名:Mtsuhashi叫OtOki,TanakaAkane,FujisawaChie,KawamotoKeiko,

ItakuraAtsuko,Takaku Mikio,HironakaTakashi,Sawada Shuzoand

MatsudaHiroshi

学術雑誌名:TheJourhalofImmunology

巻・号・貫・発行年:166(1):617∼623,2001

6)題L

目:AtopicN叩gamiceasamodelforallergicasthma:SeVereallergic

responsesbyslngleintranasalchallengewithproteinantigen

著 者 名:IwasakiTadashi,TanakaAkane,Itakura Atsuko,YamaShita Naomi,

OhtaKen,MatsudaHiroshiandOnumaMisao 学術雑誌名:TheJoumalofVeterinaryMeditalScience 巻・号・貫・発行年:63(4)‥413∼419,2001 7)◆題 目‥InabilityofIL-12todown-regulateIgEsynthesisduetodefective PrOductionofIFN-YlnatOpicNC/Ngamice 著 者 名:MatsumotoMasahiro,ItakuraAtsuko,TanakaAkane,Fujisawa Chie andMatsudaHi工OShi 学術雑誌名:TheJournalofImmunology 巻・号・貫・発行年:167(10):5995∼5962,2001

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