現 段 階 に お け る
﹁ 男 女 同 一 賃 金
﹂ の 問 題
− 法 制 的 背 景 へ の 管 見
川 −
崎 文 治
目 次
一 ILO条的第一〇〇号及び勧告第九〇号
二 西ドイツにおける男女同一賃金の原則に関する判決
三 労働基準法第四条
(イ)﹁同一価値労働﹂との関係
(ロ)﹁女子であることを理由として﹂の差別的取扱い
開 題 労 働 省 婦 人 少 年 局 主 唱 の
﹁ 働 く 婦 人 の 福 祉 運 動
﹂ も
︑ 本 年 で 第 九 回 を 数 え る が
︑ 本 年 度 の 重 点 目 棟 と し て
﹁ 男 女 同 現 段 階 に お け る
﹁ 男 女 同 一 賃 金
﹂ の 問 題 一
経 営 と 経 済 一賃金について理解を深める﹂乙とが掲げられ︑次の様に訴えられている
D
﹁男女同一賃金は︑人間としての平等の権利にもとぜついて︑性別による賃金上の差別待遇を廃止しようとするもので︑国際的には
国際連合意章︑世界人権宣言︑
ILO
条約にはっきりとろけいれられ︑各国の労使︑政府︑婦人団体等がこの目標にむかつて努力し
てい
る︒
我が国においても︑労働基準法施行以来︑各方面で男女同一賃金の趣旨が︑労使そはじめ︑広い杜会層に支持される乙とが必要な
ので︑乙の運動において︑男女同一賃金の意義と問題点を広く知らせ︑一般の理解を深める乙とにより︑改善への自主的な活動が進
められることを期待する﹂と︒ (第九回働く婦人の福祉運動要綱)
そして各種の啓蒙宣伝活動や懇談会︑研究会が積極的に推進され︑わが国の婦人労働問題への関心を高めているの であるが︑現段階の視点は必ずしも全面的に明確且つ統一的・体系的ではない様に思われる︒しかも問題の本質はそ の様にして把握されなければ︑結局歴史的・社会的なものとして︑具体的な前進がない乙とになる︒問題点は端的に
いう
と︑
﹁同一賃金﹂の前提となるべき﹁同一労働﹂と︑現在産業別に取上げられている︑
賃金﹂との関連にある︒しかしその様な接近が全然ないわけではない︒
一般的な﹁同一労働同一
たとえば大羽綾子氏(労働省婦人労働課長)は︑﹁もともと国際的にも︑欧米各国の園内でも同一労働同一賃金の問題は︑
男女間の差別的取り扱いを排除するという乙とから発生しており︑日本の基準法(労働基準法第四条l川崎)の主旨も同様なもので
ある︒しかし︑いま日本で多くの人々が関心を持ちだしたのは単なる同一労働同一賃金であり︑男女賃金の差別そ排するという基本
的問題を︑一般問題のなかに解消しようとしている︒男女ど乙ちか︑男子同志の間でも同一賃金は実現していないのではないか︑女
子は低賃金だ︑その低賃金に揃えられてはたまらないといろ考え方が一般に支配している︒だから︑労働組合の要求も同一労働同一
賃金は︑性別︑勤続︑年令︑学歴︑身分などの差守なくすという大幅な同一労働同一賃金という形でないと︑労働者全般の関心を把
守 ‑ える乙とができなかったのが日本の特殊性であるA
として問題の核心を衝かれている点はさすがであるが︑考えられねばならぬ点は︑もともと同一賃金の問題が︑男女
聞の差別待遇排除の趣旨から出たものであるとしても︑現段階で必ずそれを先行させねばならぬという乙とはないし
却って解決を困難ならしめるおそれがあるかもしれぬということであり︑換言すれば﹁男女賃金の差別を排するとい
う基本的問題﹂が﹁一般問題のなかに解消﹂されるというのではなくて︑むしろその中でいかに位置づけられ︑同時
に解かれねばならないかという方向で見るべきことを意味する︒唯乙こに指摘される﹁単なる同一労働同一賃金﹂或
いは﹁一般問題﹂というのがいかなるものであるかが明らかでないので︑位置づけもむつかしいかも知れないが︑少
くとも﹁性別︑勤続︑年令︑学歴︑身分などの差をなくすという大幅な同一労働同一賃金﹂認識だけでは︑現段階の
﹁同一賃金﹂問題を︑従ってそれに関して﹁男女同一賃金﹂を︑正しく捉えるζとはできぬと思われる︒
9M
﹁同一労働﹂に対する認識である︒これはところで﹁男女同一賃金﹂のテlマの中に含まれるべき第二の契機は︑
後に触れる様に︑消極的及ぴ積極的な解釈がある様であるが︑根本が平等思想に根ざすものであり︑賃金が労働の対
価として︑労働力の価値を表わす価格である限り︑﹁同一賃金﹂には当然﹁同一労働﹂が見合うべきであろう︒尤も
婦人労働には母性保護も当然に与えらるべきであり︑それだけ男子よりも労働が異り︑市も賃金は同じであらねばな
らぬといういみで︑必ずしも﹁同一労働﹂を条件としなくてもよいという解釈もあるかもしれないが︑それとて﹁同
一内容の労働﹂を前提にして︑その遂行過程で︑量的︑時間的に少いという差がでること
r
と考えれば︑質的には依然として﹁同一労働﹂はむしろ前提とならねばならぬ乙とになる︒換言すれば︑﹁労働﹂のいみが︑質的︑量的にい
かに規定されるか︑さらにその遂行能力︑成果などにいかに分析して考えられるかによって異るともいえるが︑依然
として﹁同一労働﹂を基盤にした上で︑母性保護規定を︑いわば特権的に加味されて指向されるものというべく︑そ
の限り質的規定が量的規定に優先するともいうことができよう︒
現段
階に
おけ
る﹁
男女
同一
賃金
﹂の
問題
経 営 と 経 済
以上によってわれわれは現段階で﹁男女同一賃金﹂問題を展開するに当っては︑﹁同一労働﹂の認識をそれも︑
四
労働の内容(質︑量)︑労働能力︑労働成果の三点に分析しつつ確かめること︑そしてそれと共に︑
いわ
ゆる
﹁同
一・
労働同一賃金﹂運動との交わりを究明する必要があることを指摘したが︑以下乙れ浄法律の門外漢の管見︑妄語を謝
qd
しつつ法制的背景を中心に﹁同一労働同一賃金﹂原則への途と共に探ることにしたい︒
注 (1)
大羽綾子稿﹁日本における婦人労働の位置と問題点﹂
(日
本労
働協
会雑
誌︑
一九
六一
︑六
月号
︑一
Ol
一一
ペー
ジ︒
) (2)
正確
には
ILO
条約
(第
一
OO号)に従って︑﹁同一価値の労働﹂というべきであろラが︑それについては後述する︒
﹁同一労働同一賃金﹂運動については︑川崎文治楕﹁わが国における技術革新と賃金論の新課題﹂(長崎大学東南アジア研
究所︑研究年報︑一九六
O )
で詳論したので本稿では簡単に触れるに止めた︒
(3)
ILO
条約第一
O
O号及び勧告第九
O号
ぴ同﹁勧告﹂
きて純法律的吟味はその任でないので︑当唱の問題に直接に関連のある最も基本的な
ILO
条約(第一
O
O号)及
(第
九O号)から触れていこう︒
( 寸 ILO
﹁同一価値の労働に対して男女労働者に同一の報酬に関する条約﹂
これは一九五一年の第三四回総会で採摂されたが︑その要点を抄録すると︑
(第
一
O
O号
) 第 一 条 (b)
﹁同一価値の労働に対して男女労働者に同一の報酬﹂とは︑
性別
によ
る差
別待
︑過
なし
に定
めら
れる
報酬
率を
いう
︒ 第 三 条
仕上げるべき仕事に基く職務の客観的評価が乙の条約の規定を実施するのに役立つ場合には︑乙の客観的評価を促進する措置
を執
らな
けれ
ばな
らな
い︒
2
乙の評価において従うべき方法は︑報酬率の決定に対して責任を負う機関が決定する乙とができ︑また︑との報酬率が労働協
約によって決定される場合には︑その当事者が決定するととができる︒
仕上げるべき仕事について前記の客観的評価が決定する差異に︑性別にかかわらず︑対応する労働者聞の賃金格差は︑同一価
値の労働に対して男女労働者に同一の報酬の原則に反するものと考えてはならない︒
nL
一九六一年一月現在三五カ国が批准している︒そして同時に次の﹁勧告﹂も採摂された︒
3 ル ﹂ 晶 の
h
ノ︑
ILO
﹁同一価値の労働に対して男女労働者に同一の報酬に関する勧告﹂
(第
九
O号)抄
関係のある労働者団体叉は︑乙のような団体が存在しない場合には関係のある労働者と協議の上︑次の目的のため適当な措置
をとるべきである︒
(a)
同一価値の労働に対して男女労働者に同一の報酬の原則を中央行政機関のすべての職員に対して適用するととを確保する
乙と
︒ 3
似(邦︑州叉は県の職員への適用の奨励)
ω
報酬率を決定するため用いられている方法に鑑みて適当な場合には︑同一価値の労働に対して男女労働者に同一の報酬の原則の一般的適用に関する規定を立法によって設けるべきである︒
関係のある労働者及び使用者の団体が存在する場合には︑それらの団体と協議の上:::同一価値の労働に対して男女労働者に
同一の報酬の原則を直ちに実施することが可能であると認められない場合には︑次に掲げる手段によって前記の原則の漸進的適
用に関する適当な規定をできるだけすみやかに設け︑又は設けさせるべきである︒ 4
同一価値の労働に対する男子の報酬率との格差を獄少する乙と︒
加給制度が実施されている場合には︑同一価値の労働そ仕上げる男女労働者に同一の加給を与える乙と︒
同一価値の労働に対して男女労働者に同一の報酬の原則に従って報酬率を決定することを容易にする目的に鑑みて適当な場合
(a) (b)
5
現段階における﹁男女同一賃金﹂の問題
五
経 営 と 経 済
‑L..
/
、
には︑加盟国は︑関係のある使用者及び労働者の団体と合意の上労働者の性別にかかわらない職務分類を行うため︑職務分析叉
はその他の手続によって︑仕上げるベき仕事の客観的評価の方法を確立し叉はその確立を奨励すべきである︒
6
同一価値の労働に対し男女労働者に同一報酬の原則の適用を容易にするため︑必要な場合には︑次の手段によって女子労働者
の生産能率を高めるため適当な措置をとるべきである︒
則男女労働者が職業指導︑雇用相談︑職業訓練及び職業紹介に関して同一の又は同等の便買を享受する乙とを確保する乙と︒
ω
職業指導︑雇用相談︑職業訓練及び職業紹介に関する便宜の利用を女子に奨励するため適当な措置をとる乙と︒ω
女子労働者︑特に扶養家族を持つものの必要を満たす福祉社会施設を設け︑かっ︑一般公共基金又は性別にかかわらず労働者について支払われる支払金によって支払される社会保障若くは産業福祉基金によって前記の便宜の費用が負担されるこ
とo (b)
女子の健康及び福祉に関する国際規約及び国内の法令の規定に抵触することなしに︑業務及び地位に就く乙とに関しての
男女労働者の平等を促進する乙と︒
そこで先ずわれわれの措定した問題のうち︑
確には﹁同一価値の労働﹂が前提となり︑条約第三条には﹁仕上げるべき仕事(に基く職務の客観的評価)﹂という
﹁同一労働﹂に関して検討しよう︒条件及び勧告に明らかな様に︑正 概念が用いられているのであるが︑これは勧告の第五項で﹁労働者の性別にかかわらない職務分類﹂という趣旨とも なり︑﹁男女労働者に同一の報酬﹂に対する必要要件という乙とができる︒しかしそう簡単に言い切ることができる
Qd
であろうか︒暫らく
ILO
の見解について考えてみよう︒
先ず一部の国では﹁同一労働﹂と﹁同一価値労働﹂とを区別しているが︑大部分の国では区別していないという︒
われわれも﹁同一﹂ということは﹁価値﹂についてであること︑換言すれば﹁同一﹂とは比較を前提とするが︑比較
が可能になるためには共通のもの(の
OB
ロωE
自国
WE C
がなければならぬし︑
乙
の﹁
共通
なも
の﹂
は比較という判
定行為のための基準として︑﹁価値的なもの﹂である乙とを要しよう︒従って﹁同一労働﹂は﹁同一価値労働﹂と解
する乙とにする︒
次に﹁同一価値労働﹂についても見解が分れている︒いくつかの国では︑﹁同一価値労働﹂とは︑同一産業である
と︑同一職業であると︑また同一企業におけるものであるとを問わず︑同一の︑または類似の︑もしくは厳密に比較
できる仕事をいうものであると定義するのに対し︑他の国々では︑同じ企業において︑同じ労働条件のもとでなされ
た同一の︑または実質的に同一の仕事︑同等または厳密に比較できる仕事であると定義している︒乙の両解釈の差は
企業内部的に企業単位で考えるか︑産業別レベルをも含むかの相違に帰する様であるが︑過渡的対策としては前者を
とる乙ともあろうが︑理念としては﹁男女﹂概念の普遍的性格に照らして︑明かに後者をとるべきであろう︒それよ
﹁また乙の言葉は︑はっきりと類似の仕事に従事しているのではない男女の場合をも含み︑通
常女子によってなされている仕事の価値を︑それが通常女子によってなされている︑という乙とを考慮せず評価する
民Uという意味にも用いられるであろう﹂という点である︒これは開題で触れた様に︑わが国の当局よりするスローガン
に表わされた﹁男女同一賃金﹂という乙とだけの規定解釈に通じるものでもあろう︒しかし右の引用の解釈だけでは
本来の趣旨を徹底させるものではなく︑むしろあいまいにするといわねばならない︒この見解が生かされるのは︑続
レていわれる様に﹁乙の言葉はまた︑性別を問わず︑使用者にとっての労働者の﹃価値﹄を含めた意味をもっている
n u
﹂場合である︒乙れはわが国の事例などでも謡われてくるところの︑女子に対する﹁期待度﹂という考え方を裏づけ
るものとして重要である︒即ち使用者にとって﹁同一の価値﹂をもたらす労働という考え方となりうるが︑実はそれ り面倒なのは同書が︑
は労
働自
体︑
﹁仕上げるべき仕事﹂自体の価値ではなく︑われわれが開題の終りに指摘した﹁同一労働﹂の三契機の
現段
階に
おけ
る﹁
男女
同一
賃金
﹂の
問題
七
経 営 と 経 済
入
﹁同一価値の成果﹂に関するものである︒即ち成果に対する使用者の評価といわねばならない︒従っ
て﹁同一労働﹂の一契機とはなりえても︑それを以て全体を律しうるものではない︒むしろ﹁同一価値の内容﹂︑﹁
同一価値の能力﹂が重要な基礎をなすであろう︒それらの基礎の上で﹁同一成果﹂概念によって十全的となるのであ
る︒このことは同書が︑仕事の﹁価値﹂は︑仕事の質と量による国ゃ︑生産高や能率による国もあり︑社会に対する
氏Uその仕事の相対的な主要性が︑報酬率決定に考えられることもあるという乙とにも表わされているであろうし︑さら
に﹁仕上げるべき仕事に基く職務の客観的評価﹂(条約第三条)促進の趣旨を受入れることにもなるであろう︒即ち
守 '
﹁賃金率を︑職務の特質やそれが必要とする条件に基づいて︑労働者の性別にかかわりなく定めること﹂になるので
ある
︒
一つ
とし
ての
︑
ところで右の解釈から︑
﹁同
一価
値労
働﹂
は︑
﹁同一価値の労働内容・能力・成果﹂の三契機を含むと考えられる
場合︑その反対解釈が又重要な問題を展いてくる︒それは条約第三条第3項で積極的に取上げられている様に︑
乙では)男女賃金の格差の是認される条件を示しているのである︒即ち賃金が﹁仕上げるべき仕事について:::の客
( 乙
観的評価が決定する差異に:::対応する﹂場合︑﹁同一価値の労働に対して男女労働者に同一の報酬の原則﹂に反す
るものとはならぬのである︒この様に賃金率が︑職務の内容に基づいて定められている場合には︑遂行される仕事に
関係のない他のすべての要素と同様に︑労働者の性別は無関係のものとなる︒乙の乙とは同時に︑男女聞の賃金差別
の理由とされることの多い﹁他の仕事への適応性︑体力の差(体力が仕事の重要部分でない場合)︑扶養家族にたい
QU する責任度︑欠勤︑婦人のための保護立法等﹂も︑性別に基く賃金率の差別を正当化するものでないことをも是認す
ることでなければならぬ︒即ち
ILO
条約や勧告にいう﹁仕上げるべき仕事に基く職務の客観的評価﹂が﹁職務分析
又はその他の手続によって﹂行われる場合︑いわゆる﹁職務評侃︺となるわけピが︑その際女子の就いている職種が
結果的に例えば点数も低く︑職級も低い場合には︑形式上は賃率の格差も合法的だが︑しかしたとえば序列法︑分類
法における非量的に主観的要因によるか︑点数法及び要素比較法における要素の取り方や比重の置き方︑基準職務の
とり方や比較のし万などによって︑女子職務なるが故に初めから不当な配慮が故意になされる可能性とか︑低職種へ
の女子なるが故の釘付け(昇進︑昇格の制限やローテーションの制限)などが行われることが考えられる点は注意を
要する所である︒
きてわれわれは﹁同一価値労働﹂の要素を﹁同一価値の労働内容︑能力︑成果﹂の三つに求めたが︑第一の仕事の
内容については今述べた通り差別の基礎となりうるとして︑後の二つについての問題を残している︒この点について
ILO
の見解は﹁よくいわれる一般の男女の労働能力差︑仕事の結果の差︑および同一︑または類似の仕事に従事し
ている男女聞のこれらの差について︑真剣に考慮する必裏︺を認め︑﹁これは非常に重要な問題であり︑関係政府機
関と関係民間団体によって客観的に研究されなければならない同としている︒
それでは客観的に研究さるべき問題はどの様な形をとって表われるのであろうか︒それは﹁たとえば︑女子のほう
が男子よりも欠勤率が高いとか︑女子はしばしば特別の助力や監督を必要とするとか︑彼女たちの仕事への適応性が
性の特質のために制限されるとか︑結婚退職する婦人たちの移動率の高きが使用者に特別の経費負担をかけるとかい
﹁このような理由またはその他の理由のために︑女子の作業実績の長期間の平均は男子のそれよりも低国く︑使用者にとって価値もより少いといわれる﹂乙とに表わされよう︒ところで
ILO
事務局は︑乙の問題を考慮に
うこ
と﹂
や︑
値するといいながら︑自らの見解は避けている︒それだけ微妙な性格をいみすると思われるが︑われわれは後にわが
国﹁労働基準法﹂第四条についても検討する様に︑﹁同一価値の労働能力・労働成果﹂は厳密ないみでは﹁同一価値
労働﹂の要件と考える︒しかし先ずここに﹁労働能力﹂を考えると︑質的︑量的側面がある︒質的側面とは教育・訓
現段
階に
おけ
る﹁
男女
同一
賃金
﹂の
問題
九
経 営 と 経 済
O
練に基く技能・技術・熱練の他に︑それらを発揮する場合の精神的資質︑即ちモラールや努力の程度等を指し︑量的
側面とは一定内容の仕事(それは時間量や仕事量で示される)を一定の質的能力で遂行する時間量に表わされるとみ
たい︒即ち月当り実働時間として︑或いは所定内労働時間︑所定外労働時間として集計されるものであり︑当然欠勤
(率)や︑母性保護規定による生理休暇や産前産後の休暇を含む乙とになる︒そして質的・量的側面が綜合されて﹁
能率﹂となるといえよう︒この様に労働能力を解すれば︑質的側面で例えばソロパンやタイプの技能差や︑簿記検定
結果の差や︑或いは学歴差で判定される場合や︑講習や訓練機会の差︑諸種の免状の違いが考えられ︑量的側面では
先程述べた様に実働時間の差︑或いは欠勤率(即ち出勤率)の差となり︑綜合的には能率の差となって表われる︒
﹁同一価値労働﹂の要件となるのは明らかにはじめの質的側面であり︑これに対し
て量的側面も︑向性問なら同様に差別の要因となりうるが︑男女聞の問題となると困難な点が露呈されることになる
のである︒即ち量的側面の格差が母性保護規定によるものであるとき︑たとえば労働基準法による残業規制︑生休︑
産休によるものであるとき(短期と長期を問わず)は︑従ってそ鳴果平均的に女子の欠勤率が高いとしても︑﹁同
一価値労働﹂の要件を欠くことになるとは理念的には考えられない︒勿論母性保護規定以外の理由による労働能力の さてこの様な能力要因のうち︑
量的格差は問題とならない︒それは性別に関しないことである︒唯問題はその様な量的側面のもたらす﹁同一価値の
労働成果﹂に及ぼす影響にある︒これは当然第三の要因たる成果概念の検討となるであろう︒
労働成果の同一価値については︑成果即ち業績の査定が普通には考えられる︒いわゆる
B 2
= z
ロ
z
m ‑
︒ ︒ 同 町
O
円
‑
B ω
ロ
g
門主吉岡(人事考課或いは勤務評定)と称せられるものがそれである︒その場合問題は評定或いは考課の基準如何にある︒先にも触れた様に︑﹁使用者にとっての労働者の﹃価値﹄﹂が乙乙で関われる乙とになる︒そしてもし
母性保護による欠勤率という量的側面を問題にする乙となく︑企業にもたらす価値︑即ち企業目的実現の度合によっ
て判定される場合には︑そこに差別の生じる可能性がある︒勿論それは本質的には性別にかかわるものではないが︑
女子の場合劣ることが多いとした場合︑肉体的能力の平均的低さとは別の性格をもつものであるとすれば︑同一価値 労働条件を充たさないことになる︒その表現の仕方は評定尺度のとり方︑配点やランクの制限などであろう︒しかも このことが報酬のうち︑特別給与としての賞与に結びつく場合(その額の増大傾向から影響も漸次大きくなっている )と︑その繰返しによって昇給率や額への影響を通して基本給に表現される場合︑又は出来高給乃至業績給として設
定される場合︑さらにこれらが重合する場合とになって︑報酬差別を大きくするわけである︒
以上﹁同一価値労働﹂の要因として︑労働内容︑労働能力︑労働成果の各々について︑性別格差の生じうべき︑又
ω
生ずべからざる所以を検討したが︑これらの点に関し︑カルフォルニア州の﹁労働法典﹂こ九三七年制定︑一九五三年までに九回改正)第一一九七条の五を参照しよう︒先ず
使用者は︑その雇用する女子に対し︑同一の種類︑量及び性質につき︑同一職場における男子労働者に支払われる率に達しない
賃金率で︑給与を支払ってはならない︒
と規定したあと︑次の様な但し書をつけている点に注意しなければならない︒
但し︑本条右の規定は︑先任︑勤務年限︑能力若しくは熟練度の相違︑正規になされると臨時になされるを問わずなされる職務
若しくは役務の内容の相違︑交代執務時間︑交代出動日︑若しくは就業時間の相違︑休憩時間のため生ずる若しくは特定重量を
超える物体の持上げ︑移動のために作業を制限︑禁止されるため生ずる作業中断時間(かかる休憩︑作業の制限叉は禁止が連邦︑
州若しくは地方の制定法︑規則文は局ないし委員会の命今の何れにもとづいて要求されるかを問わない)の相違︑文は他の合理
的な︑相違若しくは性の相違以外の要素にもと︐ついて︑同一種類の仕事に従事する男女被用者間の賃金率に差別をつける乙とを
禁止するぬではない D但し︑右に掲げる相違文は要素にもとづいて差別をつけるととを︑誠実に信じていないときは︑乙の限
りで
はな
い︒
現段階における﹁男女同一賃金﹂の問題
経 営 と 経 済
一
一一
乙乙には男女格差の可能な要因として︑
﹁先任︑勤務年限﹂(これは広義の質的労働能力といえよう)︑
コ父付執務時間︑交代出勤日︑若しくは就業時間﹂及び﹁
﹁能力若
しくは熟練度﹂︑﹁なされる職務若しくは役務の内容﹂︑
作業中断時間﹂
﹁他の合理的な︑相違若しくは性の相違以外の要素﹂を見出す乙とができる︒唯 労 働 成 果 に つ い て は 積 極 的 表 現 は な い が
︑ 乙 の 点
﹁ 西 ド イ ツ に お け る 男 女 同 一 賃 金 の 原 則 に 関 す る 判 決
﹂ は 明 確 で あ り
︑ そ れ を め ぐ っ て
﹁ 同 一 労 働 同 一 賃 金 原 則
﹂ の 理 念 を 浮 彫 り に し て い る と こ ろ か ら
︑ 顧 慮 に 値 す る と 思 う
︒ 以 下 節 を改めて少しく詳述しよう︒
注
ω
(量的能力側面)︑男女の均等待遇に関する国際機関の規約及び宣言という乙とになると︑﹁国際連合憲章﹂(一九四五年
)l
男女の同権︑﹁人
権に関する世界宣舌己(一九四入年二一月一O日)│第二三条凶何人も︑いかなる差別も受けないで︑同等の労働に対し同等
の報酬を受ける権利を有する︑﹁国際法学会の人権宣言﹂(一九二九年
)l
第一条︑第五条︑﹁国際労働規約﹂(﹁ダエルサイ
ユ﹂講和条約第一三編)l第一款労働機関︑第二款一般原則間同一価値の労働に対しては︑男女同額の報酬を受ける原則︑﹁
国際労働機関の目的に関する宣言﹂(一九四四年)│二の制項があげられ(労働省婦人少年局﹁男女の均等待遇に関する内外
の諸
法則
﹂
l婦人労働資料第七四号︑昭三五︑三五l四一一一ページ)︑さらに国際労働条約及び勧告としては︑本文の条約(第一
OO号)︑勧告(第九O
号)
の他
に︑
(一九五八年)及び﹁雇用及び職業についての差別待遇に関する条約﹂(第一一一号)
同﹁勧告﹂(一九五八年)﹁移民労働者に関する条約﹂(第九七号)(一九四九年
) 1同
ω
及び同﹁勧告﹂(第八六号)九四九年)︑﹁非本土地域における社会政策(非本土地域)に関する条約﹂(第八二号)(一九四七年九寸職業訓練に関する
勧告﹂(第五七号)(一九三九年)︑﹁身体障害者を含む成年者の職業訓練に関する勧告﹂(第八八号)(一九五O年)︑﹁職
業安定組織の構成に関する勧告﹂(第入三号(一九四八年)︑﹁属地における社会政策の最低基準に関する勧告﹂(第七O
号)
(一九四四年)︑同﹁補足的規定﹂(第七四号)(一九四五年)などがある(問︑四三│五九ページ︒)
凶ILO一
OO
号条約批准国(批准登録順)は︑ユーゴスラビア(一九五二)︑ベルギー︑メキシコ︑フランス︑ドミニカ共
和国︑オ1ストリヤ︑フィリピン︑キューバ︑ポーランド︑ブルガリア︑ソビエト連邦︑ドイツ連邦共和国︑ハンガリー︑イ
タリー︑ホンデユラス︑ウグライナ︑白ロシア︑アルゼンチン︑エグアドル︑ブラジル︑ルーマニア︑アルパニア︑シリア︑
チエツコスロパキア︑アイスランド︑ハイチ︑中園︑パナマ︑インドネシア︑インド︑ノルウェー︑ペル1︑コスタ・リヵ︑
デン
マ 1グ︑アラブ連合共和国(一九六O︑七︑二六)の三五カ国となっている︒(日本労働協会編﹁男女同一賃金﹂付録︑
(3) 昭
口 和
︑︒
hd
zw
op
‑=
開︒
巴﹀
FM
M﹀
J町
司︒
河開
︒ロ
﹀円
︑君
︒河
同J
C‑
ZJ
開¥
ハU
Z・
∞¥
ωム
ミ嗣
向︒
︿・
4・(日本労働協会編﹁男女同一
賃金
﹂
I国際社会における男女同一賃金︑昭三六)
dせ
(7)
前掲邦訳︑六ページ︒
問︑八ページ︒ EU
OO
ILO
は=︑急岡崎誌怠ぬなSJgz‑28仏軍32pzod司
ω2
芯Y
Z0
・m
mの
gO
4ω
を一
九六
O年に出し℃いる︒日本労 問︑六i
七ペ
ージ
︒
(6)
問︑七ページ︒
問︑九ページ︒
(9)
UOl
働協会訳﹁職務評価と賃金管理﹂昭三六︑四︑一︒
(﹄
︒σ
gロ
wz
ms
zv
o仏
)の
失点
は︑
序列法
( F ‑ w
‑
職務の細分を行なわず︑包括的に委員の判断や意見によるので︑
宮宮宮巳"司
ah
6S
h同
hE
宮︑
い宅
︑
shE語
SN
SE
Sh
同
MM
3S
RE
♂E
sm
0・
匂・
2 )
有能な評価者でも主観的判断が混入し易く︑
現行の職務名称や賃率に囚われ勝ちとなり(古林喜楽﹁賃金形強論﹂二九人頁)いわば序列決定後の結果に問題を残す己・司・
冨2
・o
a‑
‑3
3S
語︑
ミ吉忌"?コM)乙とにある︒職務分類法(旬︒σ同sSEEnEZロ自己ぎ仏)は︑やはり包括的格付己
で︑職務相互間の格差を量的に表わさないという非量的方法の欠陥をもち(冨00・OHM‑丘了?コピ︑量的方法にしても︑点
数法百三三自己ぎ仏)は単純点数法では要素聞にウエイトをつけないので︑要素によっては過大或は過小評価される危険を
もち(古林喜楽︑前掲書︑三O一ページ)︑個人の独断的判断に依り易い(ゎ・当‑F1F唱でぬ・
2i FR
込町
志足
立︑
g b ‑
skp?ωM)点がある︒叉加重点数法になると︑要素問︑たとえば熟練と責任の聞のウエイトのつけ方や︑職級の括り方︑賃
現段階における﹁男女同一賃金﹂の澗題
経 蛍 と 経
l潰
四
率との結びつけに問題を生じ︑ミ1等をして﹁点数法は正確そうな印象を与えるが︑数字を使っても判定は必ずしも正確では
ない︒総点上の僅少差も重要に思えるが︑実際の職務差を表現しない:::﹂(冨
・︒ヲ己了?言︒)といわしめている︒最0 0
後に要素比較法
(3 20
円︒
︒日
切2
28 BZ Zε
の失点は︑基準職務選定の困難︑時間賃率の不定性︑要素内容の変動によ
る評価替えの波及など(︒己目吉島
FO E‑
wEユ
也︑
与問
R ︒
H E R E P s m ω
・ 同 ︼ ℃
・
4 ω
ベ・ー∞)にあるとされる︒しかし以上の欠陥はそ
れらを以て職務評価制度そのものを否定するものでない乙とは勿論である︒筒川崎文治﹁賃銀論﹂(関書院︑昭三
O)
第七章
参照
︒
ω
日本労働協会繍﹁男女同一賃金﹂一0
ペー
ジ︒
(12)
問︑九ページロ
03)
母体保護或いは母性保護と男女同一賃金原則との関係については︑ドイツ連邦労働裁判所の判決こ九五五年四月六日)に
詳しいので掲げてお乙う︒
﹁女子のみに役立つ保護法規に関連して︑女子賃金につき一般的減額約款が﹂正当とするζとは誤りである︒:::働く女子に
特有な社会的保護があること及びそれ故いわゆる先天的に男女労働の価値は不同であるζとをあげて︑同一賃金原則に対する
社会的保護法規の関係についての一九五五年一月一五日の判決(氷節で引用)における法廷の論述を否定するには適当ではな
い︒:::いかなる場合にも︑社会的保護規範に基く使用者負担の理論的な可能性をもって︑すべての女子労働者について︑一
般的な賃金減額を正当づける乙とはできない﹂(労働省婦人少年局コ削掲書﹂九二1
九三
ペー
ジ)
︒ ( 14)
かくてわが国などで女子賃金の低率の理由とされる乙とのある﹁扶養度﹂や︑﹁家計補助的労働﹂性格という入職動機など
は︑﹁同一価値労働﹂に直接には関連しない乙とは明らかである︒但し女子の側で︑右の理由に基きそ一アールが下ったり︑能
率が落ちたりして﹁労働成果﹂に悪影響する場合は︑その時に限り低率報償もやむをえないが︑それを以て事前的に一般化す
る乙とは許されないと考ラべきである︒
自身
婦人
少年
局﹁
前掲
書﹂
七一
!七
二ペ
ージ
︒
問︑
入一
ペー
ジ以
下︒
任.6)
西ドイツにおける男女同一賃金の原則に関する判決 判
決(1)
(一
九五
五年
一月
一五
日︑
ドイ
ツ連
邦労
働裁
判所
)
(事実の要旨)
被告は椅子製造工場の経営者︒原告は女子補助労働者として︑時間給で木材の堆積作業に従事︒労働協約には
﹁女子労働者は︑紡績業については︑男子労働者の七五%︑乙の賃金協定の適用をうけるその他の木材工業(加工
業?)については男子労働者の八O%相当額の賃金を受ける﹂
という約款があった︒そ乙で以下の八判決理由の要旨Vによれば︑先ず﹁乙の異議そ申し立てられた判決が企業にとって︑
女子
労働
は︑
男子
労働
に比
し︑
その
経済
的価
値が
異る
とい
う観
点ゆ
もと
に︑
ワ 白
合に
男女
の賃
金差
別が
許さ
れう
ると
仮定
すれ
ばそ
れは
誤り
であ
る﹂
とし
て︑
一般
的に
︑同
一賃
金原
則を
考膚
しな
いで
︑同
一要
件の
場
﹁企業にとって﹂の﹁経済的価値﹂を判定基準に
とったことは興味ある所である︒乙乙にいう﹁経済的価値﹂とは︑経営管理上﹁費用﹂と﹁成果﹂に表わされうるが
その前者に於て低く︑後者に於て高い乙とが経営上﹁価値﹂ある乙ととなる︒従って乙の場合﹁経済的価値﹂は当該
女子の労働が︑その費用に於て増加し︑成果に於て減じることをいみし︑その限りでは同一賃金原則の適用を免れる
ものではないことを示しているわけだが︑これは換言すれば︑﹁同一労働同一賃金原則﹂が労働成果にかかわりない
そしてこれは後にも明示される様に︑ことをいみすることになる︒
現段階における﹁男女同一賃金﹂の問題 出来高の差違として出来高給
(請
負給
)
の場合
一 五
経 営 と 経 済 二 ハ ならいざしらず︑事実の要旨にある様に︑原告が時間給で支払われることになっている場合には違反となることをい
みす
る︒
とすれば労働成果にたとえ差違が生じても︑
賃金支払条件が成果払い
( 司 ミ B o z ‑
‑ v u
︑ ・ 2
ωZ
Eω
)
でなくて
時間払いである限り︑同一賃金原則の適用されるべき乙ととなり︑賃金支払の条件即ち賃金形態如何に由るわけであ る︒乙れは当然体系的には基本給に属するものであるから︑昇給についても当てはまり︑さらに﹁報酬﹂概念上賞与 などの特別給与をも包含すると考えてよいであろう︒但し賞与や昇給が成果の査定に由ることを約定した場合はこの
限りではない︒以上の乙とを判決では次の様にいっている︒
﹁確かに女子労働の︑経済的価値は︑事情によっては男子労働に相応しないであろう︒それには︑女子に特別に適用される労働保
護規定例えば︑労働時間令︑家内労働法︑母性保護法をあげるだけで良いであろ号︒これらの規定は︑社会的見地から使用者に経済
的負担を課するのである︒乙の社会的負担は︑生物学的︑機能的な特性に関連して男子に対する関係で不利である職業婦人が労働生
活上重大な損害を受けずに同等の可能性を保障するために︑使用者等に課せられているのである﹂と︒ここにいう﹁社会的負担﹂
の考え方は︑西ドイツの経営世界に通念として受入れられている様で︑いわゆる﹁社会的市場経済論﹂や︑牧益性原
q a
理を制限して出てくる経済性原理に通じるものであろ
' U
従ってこれらの通念に﹁反対説は︑結局実際上賃金を引き下げ
A吐るととによって女子に対する法定の社会的保護を無価値のものとしてしまうであろもμという乙とになる︒
さらに判決は基本的な態度として︑﹁賃金は︑男女のいずれがその労働を行うかとは関係なく︑その行われるべき労働によっ
てのみ定められなければならない︒男子の行う労働の経済的価値でさえ︑実際上は賃金には表現されないとしても︑経営体にとって
は︑種々の差異がある︒同一の労働履行については︑女子は男子が︑その労働を行ったとした場合にテつけるであろう賃金の請求権を
Rhd 有する﹂といい︑﹁同一の労働履行﹂についての同一﹁請求権﹂を容認している︒
いは﹁経済的価値﹂ではなく︑差違ある成果にせよ︑﹁同一価値の労働能力﹂
これは﹁同一価値の労働成果﹂或
(量的・質的側面)の発揮そのものに
ついて問題とされていると考えられよう︒しかも﹁原告は︑実際上困難性や肉体的努力とは関係なく定められる時間給
で賃金を支給されると乙ろの労働を行ったのである︒原告が行った労働を男子が行ったとすれば︑彼は一
OO
%賃金を受けるであろ
n o
ζ山ことを考えると︑違反の事実は明らかというわけである︒即ち﹁時間給労働の場合の報酬は︑労働の結果ではなく︑何
﹁これは︑通常性別とは無関係に︑労働の性質及び素質に応じてまた︑時︑場所︑工場︑時間労働したかが問題となる﹂のであり︑
天候等及び特別の事情に応じて異なる︒このような差異はあるが原則として︑労働した時聞について常に同一の基本賃金が支給され
民Uる叫べきであろう︒そしてこの見解を支えるのは﹁賃金協約上時間給をもって︑男女につき同様に定められている労働の場合
で︑彼等が同一時間労働したときは︑常に男女につき同一の労働業績が存する︒そしてこの場合経営体における特別の事情は問題と
n o ならない叫ということでなければならない︒時間給の約定の場合︑いわば﹁同一価値の労働内容﹂を
﹁同一価値の労
働能力﹂で履行すれば(﹁同一の労働履行﹂)︑
乙とになるのであろう︒とすれば乙の場合の﹁労働業績﹂は︑事実的認定でなく︑事前的原理的要請としての性格を
守 '
もつ︑規範的認定といわねばならない︒そのことは経営学的にみて︑時間給原理では労働者の能率に拘わらず︑その 損益はすべて経営者が負うべく︑出来高給(請負給)の場合︑労働者の能率知何による損益は︑すべて労働者に帰す
︒ ︒
るという原画からも首肯されるであろう︒勿論先にも述べた様に︑﹁同一価値の労働内容﹂に関しては︑﹁企業にと
っての労働の価値及びその特別の資格による労働の評価は︑例えば労働の困難性に応じて異なる賃金を支給するという形で︑その限
n v
りにおいて賃金支払に表現する乙とができる﹂し︑ ﹁同一価値の労働成果﹂
(﹁同一の労働業績﹂)が期待されるべき
﹁特に労働の困難性に応じて詳しく表示した適正な賃金区分を設定する乙とは︑
前述の如く可能であり︑かっ︑必要である︒しかして乙の賃金区分は男子について同等でなければならないい﹁のはいうまでもない
﹁かかる方法をとる結果として︑女子が軽易な労働を行うため叉は主として軽易な労働を行うため︑より少ない賃金が支給され
カ5
るととになっても乙れについては︑法律上何らの疑念もない︒同様に職業訓練の種類及び期間︑職歴︑年令︑能力等に応じた多くの
現段階における﹁男女同一賃金﹂の問題
七