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ー ア ジ ア 賃 金 問 題 研 究 の 一

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(1)

わが国における技術革新と賃金論の新課題

ーアジア賃金問題研究の一

は し第一節

第二節第三節

  一  二

  三第四節

  一  二

が き 問題の歴史的概観

 年功賃金体系の反省から職務給論へ

 技術革新と賃金制度への影響

鉄鋼業において

機械工業において         .

装置工業において

 職務給導入の過程

賃金体系近代化の基盤

経営者側による職務給体系の指導的導入

わが国における技術革新と賃金論の新課題八九

(2)

研 究年報

第五節  一

  二  労働組合側の同一労働同一賃金原則の批判的前進の途年功賃金体系再編成の問題      ︐

労働組合側による自己評価・自己格付論 罪〇

は し が き

 本稿の基本的計画は︑アジアにおける賃金問題について︑ 1・L︒0の ︑︑勺Hoげ一〇日ωohミ9︒σQ① ℃o犀︒団首

︾ω冨POoロロ#一①ω.︑ ︵Oo口①<斜一8①︶を中心に探ろうとするものであるが︑そのための基礎的研究として︑或

いは比較考量の基︑準として︑まずわが国賃金問題の現勢について代表的産業に即して検討し︑労使それぞれの接

近態度を見定めたものである︒

第一節

 わが国賃金問題の歴史的把握につじては︑先に﹁わが国賃金構造の史的考察﹂ ︵昭和同人会編︑昭和三五年︑

至誠堂︶において︑約半世紀に亘るわが国賃金水準の推移︑賃金格差の変動︑賃金体系変遷が︑総括的︑企業別

資料に基いて集大成されている︒今その解釈に基きながら︑諸説を批判検討しつつ焦点を現代に定めていこう︒

 概括的にいえば︑明治初期には封建時代の身分的給与制度と︑西欧の技能を養成すべき必要からの能力主義的

給与とを混合した︑等級別号俸的賃金制が︑職員エ員を問わず適用された形.跡があり︑これは又その後近代的産

業の工場制生産が発展し︑漸次形成されてきた技能労働者への需要が増大し︑その移動性の高い流動的労働市場

(3)

の背景とともに︵明治三〇年代の横断的職能別労働組合の因となり果となり㌦むしろ西欧的職能賃金︵但し適用

の基盤となる科学的管理の未成熟というアンバランスを包蔵しつつ︶に近い形態を示してきた︒ところが治安警

察法による労働運動の弾圧と︑主として第一次大戦以降︑大企業に採用され始めた技術管理的乃至主として労務

管理的視点からの子飼いの基幹工が成長するに及んで︑社会的職能賃金の発展はくいとめられるに至った︒しか

もそれが現今問題となっている企業封鎖的年功賃金体系として確立したのは︑昭和初期の不況による初任給を主

とする若年労働者の賃金切下げを経て︑その後戦時軍国主義体制に入ってからの企業単位の産業報国会組織の結

成︑労働移動と解雇の制限︑賃金統制令による初任給の性別︑年令別の公定︑実質賃金の低下︑そして最後に皇       ︵1︶国勤労観に基づく家族扶養的年令生活賃金の提唱と強制によると考えられる︒

 ところでこのようにして形成されたいわゆる年功序列型賃金体系のうちに実はわが国賃金問題の特色をなす賃

金水準の低さが︑とくに初任給に結びついて固定化して来ると共に労働市場の閉鎖的性格の因となり果となった

年功序列型の報償制度として︑昇給制に裏づけられた職場秩序の社会ができ上ったのである︒而もこの閉鎖的昇

給体系は自ら企業間の格差を︑又景気循環による産業別格差︑或いは支払能力別に規模別格差などを生む原因と

もなった︒このようにして現代の日本的.賃金の在り方を支える︑ω低水準︑②年功序列体系︑㈲諸格差という三つ

の柱を見出すべきことは︑もはや周知の所となっている︒これはそれぞれ一般に賃金論における︑賃金水準︑賃

金体系及び賃金支払形態の表われとも解せられる︒即ちいわゆる年功序列型というのは︑賃金体系として生活給︑

能率給︑能力給或いは職務給の何れをとるかという場合︑主として生活給原理一体系に立つことをいみし︑それ

はさらに年功序列に比例することを表わすわけで︑更に学歴︑経験という能力給的要素に依拠しつつ︑総じて属

人的体系を完成したものとみることができるし︑さらに支払形態としても︑定期昇給制度に表わされたり︑本人

   わが国における援術革新と賃金論の暫課題       九一

(4)

   研究年報      九二

給プラス諸手当という形で表わされたりしながら︑結局総額としての格差を生み出すということにもなるのであ

る︒唯その際格差の問題はこれを社内格差と社外格差とに分けて考えることも必要であろう︒これは又はじめの

賃金水準の社内外における差異ともみれば︑賃金水準論の中に入れてもよいであろうが︑普通には水準論は絶対

的な水準についてであり︑格差論は社内外それぞれにおける相対的水準論︵正確には一定の体系の下で絶対的水

準の上に築かれた特定の支払形態によって出てきた賃金額というべきであろう︶ということができるであろう︒

 さて︑他方賃金の問題を考えるときは︑これを労働者側からみた場合の所得︑企業者の側からみた場合の労務

費︑そして労働力の需要と供給の出合う労働市場における市場価格という観点を加えねばならぬであろう︒けだ

し先の賃金水準もひとつの市場価格水準としてはじめて成立するものであり︑そこには労働力の需給関係が雇用

という問題の中に包蔵されるわけである︒さらに体系︑形態のいかんにかかわらず︑賃金額の問題として所得と

労務費観点は︑とくに対抗的意味合いにおいて重要である︒しかし又たとえば労務費観点は費用見地に立ち︑費

用管理対象としてあることになるが︑それはさらに︑費用管理をもその一環とする広義管理体系の中で︑換言す

れば︑生産管理︑財務管理︑販売管理という経営管理体系に吸牧されるべきものであり︑それを裏返していえ

ば︑管理主体による管理活動の過程における賃金の反映度量は反映の仕方の問題となるであろう︒そうなると又

管理過程で賃金がとくにその全体を動かすという部門としては労務管理の世界となるべく︑賃金が労務費として

重要になるということも︑要点はそれを辿って行きつく管理過程と体系と︑そしてそれらを可能にする主体とし

ての管理者がクローズアップされるということでなければならない︒他方同様にして所得も労働者の家計の消費

管理上の要請を受けるものである限り︑生産一消費それぞれの管理主体の要請の出会う場乃至契機としての賃金

であり︑換言すれば︑賃金体系や支払形態を賃金静態とすれば︑所得と労務費観点はその動態というべきであろ

(5)

う︒この様に解すれば市場価格としての賃金の動きも︑所得動機による労働力供給側と︑生産と管理動機に基く

労働力需要側との出合いによって決定されるという限りでの労使関係の重要性も明らかなところであろう︒この

様にして出てくるものが賃金水準であり︑この様な出合いを且ハ体的に内容づβるものが体系であり︑支払形態で

あるという風に解することもできるであろう︒そして格差はすでに出合いの場合のそれぞれの力の中に潜みなが

ら︑形態を通し︑水準を通して社内外に顕在化されるとみることができる︒以上の様に賃金問題を考えるに当っ

ての要素を︑動態的︑静態的︑或いは政策的と技術的関係に於て捉えることとして︵その際例えば両者の橋渡し      ヘ  へとして︑賃金水準決定機構乃至︑体系︑形態決定機構というメカニズムの問題も当然含まれるべきであるが︑今

はこの点へは立入らぬことにする︶︑われわれの問題1現代日本における賃金問題の焦点は何かということ一を

綜合的に眺めることにしよう︒

 注︵1︶昭和同人会心﹁わが国賃金構造の史的考察﹂ ︵昭和三五年︑至誠堂︶はしがき11ページ︒

         第二節

 わが国現今の賃金問題は︑年功序列型賃金体系から職務給体系へということに要約される︒而もその中に賃金

水準の高位変動︑格差縮少という要因を包んでいるのである︒そこでこの点について立入る前に一わたり概観し      ︵1︶てみると︑わが国における職務給論議は︑アメリカあたりにおける導入︑発展の事情とは幾分違って︑⁝戦後の民

主化傾向による従来の身分制︑封建制の打破の基調の上に︑米国占領軍による公務員給与への勧奨などがきっか

けとなり︑昭和二五年頃の導入期を迎えたが︑やがて従来の日本的賃金制度を支える古い基盤のもつ根強さに直

面して︑主として昇給制度という年功序列制との矛盾の調整に苦しんだのであるが︑現今はさらに事情が急転し

   おが国における技術箪新と賃金論の薪課題       九三

(6)

    研究年報      九四

たかの如くである︒即ち一方に労働組合の組織化と勢力の増大につれて︑企業内の労働力構成を理想的に保つ様

な人員整理は︑もともと無理なのがますます困難になり︑.年令構成は一般的にいって標準的なピラミッド型か       ︵2︶ら釣鐘型乃至は提灯型という様ないびつな形に変っているといわれる︒このことはいうまでもなく中年層の肥大

化をいみし︑窓らに女子をも含めた勤務年数の増加の傾向と共に︑永年雇用を建前とする年功序列制の表われと

しての︑定期昇給制度による基本給の増嵩を必至ならしめ︑主脚退職者に代る新規採用というエスカレーター式

人事管理方式をその源資の面から不可能ならしめるに至ったのである︒即ち定期昇給毎の労務費は増大する他は

ない︒かくて先にみた様に管理者側より︑先ず費用管理の観点からの合理化として︑年令構成に必ずしも比例し

ないという報償方式が求められるに至ったのである︒而も年功序列に非ずして細身労働形態に対して︑適正なる

報償を保証するものとして︑ここに属人給与体系から一転して︑職務の評価による賃率の算定という︑いわゆる

職務給体系への要請が高まったということができるであろう︒これは労働力需要側の要請である︒これに対して

労働力供給側の要請はどうであろうか︒周知の通り総評は五三年ごろ﹁職階賃金11労務管理賃金打破﹂をスロー

ガンにし︑費用管理︑労務管理強化策としての職務給導入に反対したが︑同じころ総同盟は﹁労働の質と量に応

ずる賃金決定﹂を運動方針としてとり上げ︑大勢としての賛意を示しつつ︑これを労働組合の主体性において確

立しようとする意図を表わしたのに対し︑さらに一歩進んだ態勢で対処しようとしたのが全労会議であった︒そ

れは身分的封建的体制の賃金制度による打破を原理とするものであったが︑五七年頃より明確になり︑ ﹁身分差

・学歴差の階級制度に結びついた職階給は封建的な身分制賃金に転ずる要素を含む﹂ ︵五七年度方針︶ことを警戒 ︵3︶しつつ︑ついに六一年に至り︑ ω初任給の積極的引上げと中だるみ傾向の補正を含み︑企業従属的年功序列型

賃金の是正を図ること︑ @ ﹁同一労働同一賃金の原則に向って前進するため︑適正な職務評価による職務給制

(7)

度を推進すること﹂ ︵同章案㈲⇔略︶に踏み切ったのである︒この点は総評六一年度に尚コ職務給の採用と強化が

資本の賃金管理の中心になっている︒賃金体系の改悪は一人一人をバラバラにして労働を強化しようとするもの

だから職務給に反対する﹂方針を打出しているのと対照的である︒尤も総評においても後述の通り︑現在わが国

において進行発展中の技術革新によってひき起される職場秩序の変革に応ずる賃金意識の整序に関しては︑相応

の顧意を払っているわけだが︑次にみる様な総同盟の態度に比すれば︑方針の具体性と︑建設的性格において若

千のおくれを感じさせている︒即ち総同盟放一年度運動方針に曰く﹁われわれが︑同一労働同一賃金を要求する

のは︑たんに企業内においてばかりではない︒労働市場を開放的にし︑産業別組織を確立するためには︑産業を

横断する職種別賃率の形成が不可欠の前提である︒したがってわれわれは︑企業内における同一労働同一賃金の

確立一職務給の導入をはかるに際しても︑常に産業別職種賃率への展望をもちながら進めるのでなければならな

い︒﹂︵﹁労働﹂三五年+月一一日号︶という主張には︑これも後述する急な重要な問題点と︑その推進の契機をはら

んでいる︒それは産業別初任給水準の︵高位︶決定︑産業別基幹職種の賃率決定を超企業的に展望するが︑ここ

に産業別︑超企業的ということは個別企業内での諸措置を等閑視するものではない︒むしろ出発点は企業内部に

おける賃金体制の確立を各企業が呼応して積上げるということである限り︑次の様な具体的経過措置の妥当性も

あるであろう︒即ち﹁ω初任給の大幅引上げによる年功上下格差の縮少︑ ②複雑な賃金形態の簡素化︑ ㈲

定期昇給の自動昇給化と同時に︑漸次下層の昇給額を引上げ︑賃金カーブをねせてゆくこと︑ ω以上の過程の

中で︑漸次職務給部分を導入︑拡大していくこと﹂ ︵同前︶ がこれである︒しかし︑これも仔細にみればヨーロ

ッパ的に横断的職種別労働市場が直ちに所期されないわが国の封鎖的労働市場における課題として︑いわゆる職

       務評価による職種間賃金決定とならざるをえない現実に照らすとき︑企業内職務評価1−産業別拡大方式の日経連

   わが国における技術革新と賃金論の新課題      九五

(8)

   研究 年報       九六 ︵4︶の主張に近づくと共に︑組合の立場に立つ限りでの産業別統一雲井の性格と共に︑吟味さるべき点を残すとい

わねばならない︒即ち企業内賃金制度の年功序列型から職務給化の中には︑その具体化の過程で︑何より先にの

べた賃金管理の費用管理側面が強調される限り︑年功者の賃金引下げや︑新しい差別化が表われることと共に︑

年功に代る企業への貢献度の評価に基準が置き換えられ︑賃金支払能力論と企業への帰属意識︑近代的な職制支

配︑仲間意識の分裂といった職場の反統一性を助長する要因への転換に対処しなければならなくなるならば︑単

なる企業間の賃率比較とその鞘寄せのみを以てしては︑真に統一黒黒の目標とするところは達せられないであろ    ︵5︶       〆うという懸念も亦当然といわねばなるまい︒この点についてはさらに後述する︒

 さて︑現今の年功制打破の契機ともなり︑或はさらに拍車をかけるものとしての技術革新のもたらす影響があ

る︒むしろ固有の工学的技術革新を包みそれを生かすものとして︑経営の諸般に亘る革新が問題にされる状況を

背景にして考えた場合︑管理者として︑労働力を需要し︑整序するに当り︑従来の永年勤続による技術の習熟︑

或いは経験にたより︑勘に基く技能体系は急速に陳腐化し︑新しい技術と知識を身につけた学卒者が要求され︑

着々と職場の主導権を握りつつあるということがそれである︒この主導権はとくに逼迫度を加える若年労働力市

場における︑供給価格の高騰︑即ち初任給の上昇となり︑爾後の社内バランスの必要を生み出し︑同時に技術的

中核体としての職場社会秩序における比重の増大は︑労働組合員として︑高令者のもつ権威に匹敵乃至は凌駕す

る様になる︒しかもその様な若年労働者の意識を支えるものこそは戦後の民主化運動であり︑民主教育による個

入対等意識︑人権感情であるから︑彼等はもはや低賃金と永年雇用による年功序列原理と同居することはできな

くなっている︒この様な新規労働力を中心にする技能秩序︑技能を中心とする職場秩序に即応する賃金体系は︑

往々給体系というより能力給体系であり︑技能の生かさるべき職務の価値を中心にする体系へと移行することは

(9)

当然の所であろう︒そこでこれが労働者側のいわゆる﹁同一労働︑同一賃金原則﹂によってどの様に掬われるか

が問題といわねばならぬ︒そのいみで﹁問題は前記の技術革新と民主主義意識の広範化という条件と︑組合がい      ︵5︶かに賃上げと産業別組合に組織化するかにある﹂ともいえようが︑さらに問題自体の深化として︑いかなる具体

的日程によるべきかが問われねばならぬであろう︒そこで次に改めて技術革新を主要因とする賃金問題の発展に

ついて主要産業について検討してみよう︒

 注︵1︶職務給発展の契機については種々いわれているが︑わが国における問題については後述の通り︑技術革新による年功

    序列制の崩壊を大きな契機としている︒これに対してアメリカの歴史においては︑科学的管理による個々の作業の.研究

    に基いて賃率が刺激的に設定されるという基盤があったが︑そこで確定されたタスク︵今日ではジヨッブといえよ5︶も

    一定時間内での労働者の達成量と︑標準作業量にあてはまるべき社会的一般水準を基礎賃率としたのであって︑必ずし

    も種々の異る労働相互間の賃率設定を可能にするものではなかった︒これはテイラーの置いた個別︵化︶的原理︵川崎

    文治著﹁科学的管理批判﹂昭三三︑森山書店︑とくに第九︑ナ四章参照︶と無縁のもので鳳ないが︑とにかくその後の

    機械工業の発達に伴い︑分業の細分化と共に︑労働基準の復雑化︑さらに労務者側の職場移動︑或いは又産業別組合の

    生成発達による横断的連絡と調整の必要から︑職業別組合︵︒冨津自署︒旨︶の狭い賃率限界がおし破られる等の事情が

    重なるに及び︑異種職務及び賃率問の社会的調整が必要になってきたことがあげられている︵古林喜楽著﹁賃金形態論

    ﹂二八八一二九一ぺージ︶が︑さらにここではノウルズの興昧ある見解を覗いてみよう︒彼は人事管理へのヒューマン

    ・リレーションズ・アプローチを試みるのであるが︑先ず﹁従業員の重大な不満のもとは︑賃金構造の不公平にある︒

    相対的な賃金こそは従業員にとって︑時として彼が受取る実際の賃金額よりも一層重要である︒﹂  ︵ミ四壁彗 国︒

    国里○乱Φ︒・︑ミい§蕊︸ミ§鵡Qミ§餅毎歳ミ§§葡ミミ帖§防︾慧︑o§鳶2●属こお㎝9誉ωP︒︒︶ことを指摘し︑これ

    らの不公平の原因を探り︑それらの調整のために職務評価が生成したというのである︒そこで彼のいう不公平の源が聞

   ︑わが国における技術革新と賃金論の新課題       九七

(10)

 研究年報      九八

 接的な契機になるわけである︒即ち

 ω 昔遍的なものとして職務忍足︵一〇び︒︒三①暮︶上の変化がある︒例えばハンマー係りの仕事は大きな力と熟練を以

  て︑高熱︑不潔︑騒音の下に行われたのが︑技術革新の結果半熟練作業化してきたのに︑賃率は歴史的に上っていっ・

  た︒ ︵ここにはわが国で問題にされる年功賃金的要因も考えられる︶逆に事務職︵oh訟8一〇げ︶は︑はじめは単なる

  事務労働︵ω一日官Φ巳①穿ω三b︶に過ぎなかったのが重要な職務となつできた︒これらの調整︑職務の正確な評価が必

  要である︒       r

 ② 賃率不公正︵一〇び・鑓8言①ρ巳江Φω︶のもう一つの理由は︑ 職務そのものでなくて︑職務における人を格付けする

   ︵8富8暮Φヨき︒昌暮①一〇び宮馨$畠oh昏︒一〇び一冨Φ一h︶傾向にある︒ 個人的な力や要素が賃率を左右する

   ︵ここにもわが国の属人給の勾いがある︶︒ある工場長は部下の尊敬を受けるために上げることもあり︑他の者は低

  コストを誇らんがために上げないことも出てくる︒

 ㈹ 不況期に生れた職務賃率は︑好況期のそれよりも低いなど︵ぐ﹃・ 出・ ︸︵昌O≦一Φω℃ Ob・ O一十●℃ 弓b● ω口OolωD⑩︶がそれ

  である︒

︵2︶川崎文治稿﹁労務管理﹂ ︵本塁幸作編﹁経営学﹂東山書房昭三六年第七章︶及び本稿第三節参照︒

︵3︶さらに﹁賃上げ額の幅がぜまいときには一部に賃下げの危険があること﹂ ︵五八年度方針︶を指摘しつつ︑六〇年度

 に於ても﹁同一労働同一賃金の名目の下で賃金を低め︑職場移動により賃下げになる地すべり作用をもつ﹂ことへの懸

 念は去らなかったが︑この考えは基本的には解消されていないと思われる点は注意しておかねばならない︒

︵4︶高木督夫稿﹁全労賃金方針の検討﹂ ︵月刊労働問題一九六一︑ 一︶二二ページ︒

︵5︶前掲稿︑二三ページ︒

(11)

         第三節

別の箇所でわれわれも明らかにした籍︶今日の霧管理の重点は・馨してき褒術革新にいかに対処する

かにあり︑それは技能序列の改変と賃金体系の再編成であり︑而もこれを中闘肥大の年令構成の中でいかに整え

ていくかにあるといわねばならぬところに︑問題の特殊性と困難性が存する︒これを雇用︑労働力構造︑労働集

約産業と資本集約産業などの要因の上で概観しよう︒

    一 鉄  鋼  業

 先ず鉄鋼業に於ては︑技術革新は圧延エ程の自動化︑連続化︑炉容の大型化︑自動制御︑運撮の機械化など大

規模に展開されているが︑中でも圧延工程にみられた操炉工︑圧延工︵盗取り︶らの高熱︵約六〇度︶重筋且つ・

長年のカンやコツに依存した作業が︑たとえば新しいストリップミルでは︑鋼片の移動はすべてロールガングな

どによって自動化し︑ロールの操作も計器をみながらボタンを押す作業に変化している︒と同時に他面圧延が比

較にならぬ程のスピード︵薄板の場合一分間四一六千フィート︶で行われるため︑作業緊張度が高まり︑また定

員制を厳守するために︑作業問に代替制が要求され︑配置転換による新職種の充当は︑旧来の熟練的技能の陳腐       ︵2︶化を意味するに至っている︒

 これについて六〇年の労働白書は﹁高熱重筋労働が消滅し︑代って計器監視を中心とする頭脳的労働が主役を

演ずるようになると︑それにふさわしい労働の質も大幅な変化を受ける︒﹂そして﹁新らしい設備には経験的なカ      ︵3︶ンよりも︑電気︑砂金︑工学などの基礎知識を身につけた若い労働者が要求される﹂といい︑このことは配置転

換による代替の尚相当なるにも拘わらず︑第1表において明らかである︒唯会社全体としては︑尚革新のアンバ

   わが国における技術革新と賃金論の新課題      九九

(12)

耕臓

騨轍肛瀦

噺勝

野駒凝る

研究年報

一二メ平貫一

一力一場

三三

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%㎝慰留欄幅鋼釦

%脚肪脳伽脚贈爵

計黒

繍柵制禦

儲割牲蜘

戦勝

労査

点は︑ ω現在の工場能率からいえば三十i三九才位の人々が中心になって理想的だが︑

さらに一時的な退職によるフォアマンの枯渇︑ @

ンの途が閉されてモラールを低下させること︑ ㈲もし高令者が若年層のところへ配転されても若年層の賃金源

資を食うということにより︑賃金効率が下るなどである︒しかし技術革新のもたらす影響は︑何よりも年功序列

制をゆるがしたことにあり︑それは先ず年功的技能序列の解体となる︒即ち﹁典型的な古い型の職場では︑勤続

給与︑技能︑年令という労働者の地位を示すいろんな要因が︑すべて勤続年令序列にぴったりと整合している︒

したがって︑そこに働く人々はみんなが満足しているという傾向が強い︒しかも古い ︵原文は﹁新しい﹂とあるを

訂正︶型の職場では︑相当の経験がなければこなせない仕事もあるし︑ その次に位するくらいの経験がないとこ

なせないというふうに︑技能の序列が数段に分れている︒しかし新しい型の職場では︑班長一人さえおればいか        一〇〇

ランスが存在し︑このことは生産の基幹工程における新旧

設備の併行稼働となり︑全体としては運搬や荷役等の補助

部門の近代化は遅れており︑合理化による余剰人員吸牧の

 クッション化する可能性が強いという︒かくて会社全体と

しての労働力構成のイビツ化が生成する︒これについて日      ︵4︶本鋼管の整員課長の談によれば︑技術革新の進行︑浸透の

 程度によって︑工場別には第一表に類する平な労務構成と

 なるが︑会社全体からみるとやはり中間肥大型の構成とな

 っている︒そしてこの様な中間肥大型労務構成のもつ問題

       十年後には技能の退化

同じ経験年数︑同じ年令層のせり合いで︑結局プロモーショ

(13)

んだ・あとはほとんど同じ筆だという箪になり授能の平準化という傾向が著し竣といわれる・そしてこ

の様な事態の中で︑もし給与が勤続年数に照応した年功給であったならば︑技能序列と年功序列との親和性が失

われるであろうことは明らかであり︑ここに技能序列の転換が生じる︵それはその内部でさらに上層部の少数高

給技能工ないし技術者と︑下層の新規労働力と陳腐化労働力との二極に分解するともいわれる︶と共に︑賃金体

系の革新が求められることになる︒しかし日本鋼管の現実では︑その際若年層のウエイトの高い新設工場の如き

に於ξ冗・尚能力給よりも生活給への賛意が強いといわれる鮪︶これはいわば﹁企業内における霧と人聞の      ︵6︶能力の構成とがマッチしないどいう点﹂に基くといわねばなるまい︒これはさらに︑ 0り雇用契約に際しての生

涯雇用の前提︑ @ある職務の技術者としてではなく︑せいぜい作業員として採用すること︑ の営業面の要請

からくる生産計画の目まぐるしい変転による︵したがって純技術革新上︑職務上の要請ではない︶配置転換が相       ︵7︶当顕著なこと︒ ⇔労働者はビター文でも減牧になる場合は勿論︑配転には原則的に抵抗を感じることなどの原

因によると解されるであろう︒しかもこの様な諸原因の歴史の根は深く︑慣習の重みが著しい現状では︑一般的

な年功序列管理解体の傾向も︑直ちには期待できぬというのが鋼管の現実よりする︵そして多少の差はあれ︑わ      ︵8︶が国鉄鋼業の全体について考えられる︶結論である様だ︒そして賃金管理の柱を最低︵生活︶保障給とし︑それ       ヘ   へに.プラスされるものを︑当分職務︑職種よりも能力を中心にして考えていこう︑即ち本入給︒プラス能力給︵これ       ︵8︶は基本給的のもので︑賞与配分や退職金算定の基準となる︶とするというわけである︒

 注︵1︶川崎文治稿﹁労務管理﹂ ︵本間幸作編﹁経営学﹂東田書房︑昭三六年︶︒

  ︵∩∠︶  一ふル⊥ハ︵︶年版﹁酷刀鋤剛白室日﹂ 一 一五−一 一山ハペー畠シ︒

  ︵3︶労働白書︑=六ページ︒

   わが国における技術革新と賃金論の新課題       一〇一

(14)

 研 究 年報

︵4︶柴山麓談コ最近における労務管理の諸問題L︵日本労働協会雑誌︑

︵5︶前掲談︑七〇ページ︒

︵6︶前掲談︑七一ページ︒

︵7︶前掲談︑七一一七二ぺージ︒但し川崎整理︒

︵8︶前掲談︑七二ページ︒ 一九六〇︑      一〇二八︑労働問題フォーラム︶六七ページ︒

    二 機械 エ 業

 以上の鉄鋼業のもつ課題に対して︑労働集約産業の代表的職種である機械工業の事情を次に概観しよう︒六一       ︵1︶年度労働白書は次の様に描いている︒

 機械工業は鋳造鍛造などの粗漏加工︑切削やボーリングを行う機械加工︑組立︑塗装︑調整など複雑ないくつ

もの工程を有ち︑各工程に技術革新が進行しているが︑中でも顕著なのは機械加工と組立工程であろう︒即ち従

来わが国における工作機の主力をしめていた汎用機は次第に専用機に更新されており︑同時に自動化の方向へ進

んでいる︒旧型の汎用機で高精度の機械加工をおこなうためには︑精密な極出しを行いながらレバーを操作する

高度の熟練を要し︑製品の精度は作業者の主観的熟練に依存する程度が大きかったのであるが︑このような汎用

機の専用機化︑自動化は︑鉄鋼業の自動圧延機同様︑能率面で飛躍的な向上をもたらすのみでなく︑主要なこと

は︑経験やカンに頼る必要を後退させたことであろう︒さらに専用機にナライ装置をとりつけたり︑加工物の工

程間の移動を自動化したトランスファマシンになると︑いわゆるオートメーション︵デトロイト方式︶段階に入

り︑その様な高度自動化の段楷では︑機械が与えられた指令どおりに自らの働らきを修正しつつ︑作業を自動的

(15)

に行うため︑従来のように熟練とカンによる指令の必要はなくなり︑作業の内容は︑材料の供給︑監視業務を主

体とするものになる︒この結果現場の直接作業は極度に単純化ないし単能化しているが︑他面装置の構造︑作動

状態を熟知していて不測の変化に対応する高度な能力が要求される︒このような自動機の保守調整のためには特

別の技能の習得が必要となると共に︑この修理︑調整︑保守の技能は製造部門からのぞかれ︑集中管理制度がし

かれる傾向にある︒このように一般的に不熟練労働が増加するなかにあって︑依然熟練が重要な地位をしめる切

削工具や治奥縞ハについても集中管理が行われ︑プリセット方式︵あらかじめ寸法出し調整済のものを配布する︶

がとられている︒この様に加工の自動化が進むにつれて︑熟練の内容を変化或いは移転し︑不熟練労働と技術者

の分化をもたらしたことは︑先の鉄鋼業の近代化におけると同様である︒技能は経験的なカンやコツから科学的

に短期聞に修得可能なものになった︒ある機械工場では︑養成工に対する訓練期間中の学科時間を︑従来の一千時

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おが国における按術革瓢と賃金論の新課題

5

﹂マ30査一約調ア量地フ堅実ス生査ン︑9調うむ11性ト含●産ちをp生弓ト書働のッ園圃癖馬働﹁/91労省式の︑働方ン増労新シ% 間から二千時間に増加し︑実習を減少させた   ︵2︶といわれ︑第2表にみられる様に︑新しく導入された新鋭設備には︑大抵若年労働者が配置され︑高年令熟練工は治工具部門や補助部門に配転されることが多いという︒これを第

一表と対比してもわれわれは自動化原理を中

心とする技術革新の︑労働力構成に与える影

響と︑技能序列ないし︑修得状況の変化を察

しうるであろう︒これらの新しい事態は賃金

         一〇三

(16)

   研究年報         ︐       繭〇四   ︒       ︵3︶報償の世界にどの様に反映するかも︑もはや明らかである︒それについて一べつすると︑組立工程での合理化は

コンベアーシステムの整備による流れ作業が中心であり︑ローラーコンベアによる手送りから︑ベルトコンベア

ーによる自動送りへと進み︑作業の細分化︑単純化が図られている︒コンベアーの利用は︑かのフォードシステ

ム以来格段の発展を示したものであるが︑多品種少量生産の場合の利用は不可能であり︑また各部品の精度が低

い場合には作業の流れが渋滞し︑円滑な流れ作業化が困難である︒たとえばミシンの組立の場含︑部品の精度が

現在程よくなかった当時は︑途中組立で熟練工の調整を必要としていたので︑組立工程に男子熟練工が多く配置

されていたのが︑現在ではこのような中間段階の調整は全く不要となり︑しかも運搬にともなう労働がなくなっ

たために︑女子組立工が多く配置される様になったという︵第3表︶︒ ラジオ︑テレビ︑電話機などの組立は︑

る︶け人お︵に章程変工の立成組構の者業歴工労ン別シ女ミ男

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調0例10亭=省計働同誌男ω② 本来手先の器用な女子に適した職業分野であるが流れ作業以前はかなり男子が配置されていた︵第4表︶︒ ところが流れ作業に︐よる作業の単純化︑細分化の進展は︑女子の進出を容易にし︑組立ラインの全員が女子によっ

てしめられているところ

(17)

もあり︑調整部門にさへ調整用計器が導入されてN女子の配置をみているというひこの様な女子労働かの配置へ

それはとくに新申卒の若いジェネレーションを主体とする︶や︑自動車工業などにもとくに著しい臨時工の増大

︵職員︑工員︑臨時工の合計に対する臨時工比が︑三大自動車メーカ1の場合︑三〇年一二月の三︒六%︑三二

年一二月の一四・一%︑三五年三月には二八︒三%となった︶と共に︑賃金の在り方に現代的特色をもたらすで       ︵4︶あろうことは容易に想像されるところである︒このことを次に東芝電機の例によってみておとう︒

 鉄鋼業や後述の装置工業などにみられる資本集約型の技術革新が︑設備装置の操作︑保全︑計測などの技術作

業が増加する反面︑筋力作業や技能作業を駆逐することで︑総雇用量はむしろ減少し︑単位当り労働生産性を高

めたのに対し︑量産方式の機械工業では︑作業の単一化︑標準化︑細分化というテーラー化が進展し︑その結果

単純作業者を著しく増加し︑その様な労働集約型の儘で生産規模が拡大され︑ますます女子或いは臨時工を充当       ︵5︶するという点は︑前述のところでもうかがえるのであるが︑テーラー化がアメリカ程ではないにしても︑習熟期間

を必要としない作業の増大は︑終身雇用による基幹工の養成や技能の伝承を行う必要がきわめて限定され︑熟練      ︵6︶技能は技術的作業と単純作業の両極に分極するに至った︒そして前者では年季を入れた熟練工が︑高校卒の作業

工員に駆逐されはじめ︑他の極ではハイティーンの女子臨時工に追われる事情を生じ︑このように﹁手足がつい

ておればいいというような作業に分解されてきますと︑何も生涯雇用をして︑技能を企業内で育成していく必要    ︵7︶は全然ない﹂と断言されるに至っている︒この考えの底には労働力をたんに量的︑機械的にのみ考える態度がみ

られるし︑その限り作業内容の単純化と費用管理の結びつきの聞題として反省の余地はあるが︑現実としての若

年女子工員の増大と︑臨時工の著増︑しかもその臨時工が﹁文字通り臨時的な労務であり︑あるいは季節的な労

務であり︑一時的な労務であってしがるべき﹂なのに︑ ﹁必ずしもそうでない︒単純な作業ではあるが︑ベース

   わが国における技術革新と賃金論の新課題      一〇五

(18)

    研  山究  年  十八       ︐      一︵∪山ハ

労働の中にはいっている︒雇用の調節弁︑安全弁であるという限界を越えて大量にはいってきているという形⁝

電気機械メーカーは︑ほとんど全部そういう形をとってきており﹂︑問題は︑ ﹁そのへんから⁝⁝終身雇用︑生      ︵8︶涯雇用というものが崩壊してくるのではなかろうか⁝⁝﹂と感じられるところにひそんでいるといわねばならな

い︒けだし終身雇用制の崩壊は︑それとうらはらの関係にある年功序列賃金体系の崩壊も同時にいみするであろ       ︵9︶      ︐うからである︒そこで改めて電気機器工業よりみた賃金体系の現代的課題をみよう︒

 かって生産能率が主として工員の技能と勤怠にかかっていたときは︑能率給︑出来高給等の直接的インセンテ

ィブ︒システムを以て︑労働密度と作業緊張を強め︑労働効率を高めることが作業管理一賃金管理の課題となっ

ていたが︑以上の様な作業技能の両極分解が生じると︑単一︒単純オペレーションの不熟練労働は︑臨時工や女

子を要心として充当され︑日当賃金と機械やコンベアーの稼動調整で操作すればよいとされ︑いわば集団的時間

給原理を以て貫くことも至るわけで・管理の重点は技術箋層の鰹移るといわれ輪︶彼等には旧来の籠に

代って教養と知識が要求され︑体力に代って器用さ︑敏速さ︑巧緻さの能動的資質や︑注意力の維持︑高度の観

察力︑特別の感覚中枢の鋭さ︑強い責任感などの︑質的にかなり高度化︑専門化した資格要求が必要とされるの

で中学卒より高校卒︑さらに高校卒を社内訓練して配置するというわけだが︑そのオペレーションを分析し標準

化するということは︑単純作業よりは相当に困難となる︒そこで職務の複雑困難度や責任度に基く職務価値で格

付けする職階職務給や︑それに職務能力を加味した職能給のごときものが︑格差刺激として工夫されるというの

が管理側の態度といえよう︒ ﹁つまり︑職階制のごとき技法によって︑それを職務価値体系としてまとめ︑職種

の再編成を行なって︑新しい労働者に対する技術育成の体制を整備し︑陳腐化労務の整理︵再教育と配転︶と︑       ︵//︶若い高校卒工員層の効率的な配置活用を期するのである﹂といわれるゆえんである︒きらに賃金その他の労務関

(19)

係調整の基準として用いられてきた人事考課にしても︑従来は考課項目として︑技偏︑出来ばえ︑速さ︑正確さ

の如きものが重要なものとされたが︑今日のオートメ化・マスプロ化の進行は︑名人芸を不要とし︑ ﹁特殊技能

や熟練技能を作業に示す機会は失われる︒仕事の出来栄えは個人のスキルや巧緻性の所産として示されるのでは

なく︑機械の性能や材質の良否で決まる︒製品の出来ばえ検査は作業員の技能や成果を点検することではなく︑      ︵12︶品質管理や抜取検査︑ロット検査の方法で材質や機械稼動に由来するミスとして点検される︒﹂ことになると︑

﹁これに代って作業の単調感を克服し︑標準作業のインストラクションを忠実に守り馬作業規律や服務規程を遵

守して誠実に勤務することがより重要な就業条件となってくる﹂わけで︑それにつれて人事考課項目も︑勤務ぶ

り︒注意力・忍耐力・執務態度・責任感・協調性などが代って重視されてきたのである︒      ︵13︶ この様にして賃金は技能や能率によって支払われるのでなく︑勤務ぶりに支払われることになる︒即ちかって

科学的管理法の導入に際して原理となっていたところの︑標準以上の能率に対して加給するインセンチィヴ・シ

ステムに対して﹁いまや︑標準以上も以下も生産工程を混乱させることから︑標準をめぐる刺激の余地はなく﹂

時間賃金︑それも集団的性格のものが考えられるわけである︒しかも他方﹁高価な自動機械や量産設備は︑作業      ︵14︶      ︵15︶における瞬時の乱れも一刻の遅滞も︑莫大な損害をもたらすだけに︑アイドル・アワーは微塵も許されない﹂上      ︵16︶に︑ ﹁これまでは労働者の所有するスキルを中心に編成されていた現場作業管理秩序︵それは経験を重視し︑ひ

いては勤続を買う古参秩序にも通じるが︶を︑職制をも含めて︑機械に附属する労働︑すなわち作業を中心とし

た管理秩序に再編成し︑その統轄も能率の個人差による刺激にもとつかずに︑勤務や作業のルールによる一元的

な統制として行なわれる︒いうなれば︑経営労働力管理の技法も︑またオートメ化︒マスプロ化された方法に移  ︵15︶行ずる﹂ことになり︑ここに労働者側からする労働強化の懸念︑賃率の実質的相対的引下げの警戒︑人間の機械

   わが国における装術革新と賃金論の新課題      一〇七

(20)

    研究年報       一〇入

視︑人間性の喪失︑疎外への抵抗的関心の高まりを生じている点は注意を要するところであろう︒これに対して

は管理者側よりは人間関係管理の手法に訴え︑作業者の虚無感︑単調感︑無力感を救い︑作業集団の目的活動を

通じて近親感︑共通感︑一体感を高め︑集団所属感を喚起しつつ︑分散化・拡散化を防ごうとするし︑労働者側

は賃金算定基礎が︑スキルや能率から勤務や作業価値に移り︑どの様な職務機能をもった仕事に︑何時間勤務し

たかに求められるに従って︑時間短縮に対策の重点を移す様になるともいうことができる︒かくて総体的に﹁労

働時間・労働賃金・生産性の三要素が労働条件決定の要因として判然と対比的に問題とされることから︑雇用量      ︵17︶調節・時間短縮・生産性成果配分が労使間の重要な課題となる﹂といわれる点に︑現代的賃金問題の地盤乃至背

景を知ることができるであろう︒

注︵1︶一九六〇重版﹁労働白書﹂一一七1==ページ︒筒同書は︑機械工業における設備新設にぜよ︑生産速度を速める

   ことが第一に要請されるとして︑粗形材︑機械加工の部門では自動化ないし半自動式化し︑人が機械を器用に操作する

   状態から︑機械に人が配属される変化をあげ︑組立工程では流れ作業方式の導入により︑単純労働化と未熟練工の増大

   己乞勉萄鮮摘している ︵一二五︒ヘージ︶

 ︵2︶因にアメリカにおいては︑作業をマスターするのに一日も要しない職務が︑全産業職務の四三%︑一週間以下で充分

   のものが三六%︑一ヵ月以下六%︑一ヵ月以上を要するものほわずかに一五%にすぎないといわれる︵Ω.d︒○一〇①8P

   ミ畠ζ煮.︑ミミ袖霞畿ミ§♪おお℃P宝9兼子毅稿﹁技術革新と経営労働﹂﹁経営者﹂一九六〇︑九︶

 ︵3︶労働白書=一〇1=丁ページ︒        一

 ︵4︶兼子毅稿﹁技術革新と経営労働﹂ ︵﹁経営者﹂一九六〇︑九︶及び︑同氏談﹁最近における労務管理の諸問題﹂ ︵日

   本労働協A盃雑匹誌︑ 一九六〇︑入︑労働問願︻フォーラム︶

(21)

︵5︶兼子毅前掲稿︑ 一四ページ︒

︵6︶総評三二年度運動方針にもい5﹁技術発展の結果は労働者を二つの極に分離してゆく傾向が顕著である︒﹂即ち﹁新設

 備の導入による熟練工の地位の不安定化を招来し︑数十年の経験をもつ労働者よりも︑最近高校を卒業した労働者の方

 が有利に仕事を処理することができるようになった﹂ ︵前掲稿︑一四ページ︶と︒筒﹁労働白書﹂によれば︑ ﹁一つは

 機械の連続化半自動化毅階における労働の単純化を反映した若年未熟練工の大幅な増加⁝機械工業︒他の一つは設備の

 計測化︑自動化方式の採用にともなう高度技能の必要性を反映した技能工の比重の増大︑学歴の高度化現象⁝装置産業

 ⁝﹂︵三四一三五ページ︶を指摘している︒

︵7︶ 蟻爪子毅︑ 革剛一掲諜眺︑ 七五︒へーージ︒

︵OO︶ 苗則掲一談︑ 七山ハ︒へi紬シ︒

︵9︶前掲稿︑一四L一五ページ参照︒

︵10︶﹁このよ弓な単純労働分野の拡大と同時に︑他方では管理技術部門の拡充︑高学歴労働者の必要性も高まってくる︒

 広汎な単純作業を効果的に統轄するためには︑科学的な工程管理︑新鋭機械の整備保存のための技術管理︑原材料︑半

 製品︑製品の整理のための墨銀管理などの整備拡充が要求される︒このため︑技術者およびその補助要員としての管理

 スタッフの強化が必要となってくる︒機械産業においても最近工程工といわれゐ管理員の必要性が高まり︑それらの労

 働者には最低学歴として高校卒以上が要求されはじめている﹂ ︵一九六〇年下﹁労働白書﹂三五ページ︒︶

︵11︶兼子毅前掲稿︑ 一四ページ︒しかし同時に︑次の様な現場の声を顧みねばならない︒ ﹁どういう形で︑あるいはどの

 程度に職務給的な︑能力給的な︑あるいは職務能力的な要素がとり入れられていくかという問題になると︑これはやは

 り私どもとしてもそう楽観しているわけではないのです︒むしろ悲観的だといえます︒職務給とい5ものに対してはか

 なり限界があるだろ5︒とい5のは︑定期昇給とい女形をとっており︑しかも生涯雇用という前提があるとしますと︑均75

 わが函における技術革噺と賃金論の新課題       一〇九

(22)

 研究年報      =α

 全職務給にしたいと考えても︑職務給的な部分を何パーセントかとり入れるとしてもせいぜい一五パーセント︑多くて

 も二〇パーセントぐらいで︑それ以上には伸びないだろ5と思っております︒したがって職務給とい・うものともちよっ

 と性格が違うかもしれませんが︑職務分類制とでも申しますか︑いわゆる事務職︑技術職︑あるいは技術作業職︑ある

  いは間接作業職︑直接作業職というふうな大きな職群をつくり︑それにそれぞれ職位を分類して︑職位ごとにその中を

 いくつかに分割する︑いわゆる職級をつくっておく︒そしてその中で職級の巾を広くとっておき︑定期昇給が可能なよ

 うにして︑年功序列型賃金と職務給的なものとの妥協とい5形で︑方向づけをしなければならないだろうと考えており

 ますし ︵兼子毅︑前掲談︑七六ページ︒︶この後半はわが国の今日的課題となっていることは周知の通りであり︑本稿で

 も後に触れる︒

︵12︶兼子毅︑前掲稿︑︐一四−一五ページ︒

︵13︶ここにわれわれは︑テイラーの科学的管理が︑一定のタスクを定め︑インストラクションを渡し︑その通りに働いた

 場合にボーナスを与えるのに対し︑個々の労働者のイニシアテイザに対してプレミアムを与えることを主張したハルシ

 一・システムを想起する︒これは作業におけるイニシアテイヴの在り方と︑それをめぐる管理の在り方について重要な

 契機を包むものである︒詳しくは川崎文治著﹁科学的管理批判﹂ ︵森山書店︑昭三三︶第四章参照︒

︵14︶オートメションはタスクの同時的進行を注意深く計画化する必要をもつ︒それは単なる分業の深化ではない︒アメリ

 カの自動車体製造家は︑不適当な計画と技術変化の内包する程度を過少評価したために︑機械の故障で一千万ドルを失

 つたL ︵国●旨ミニσq算㎏.譜肉壽ミ恥§.¢O︑ミO敷写ミNミ亀霧貯もミO\晩自ミ器匙OきおαOo℃唱●OoN︶というQ

︵5/︶ 兼子毅﹄罰掲稿︑ 一デュ︒へ−帖シ︒

︵/6︶ここでもテイラーシステムにおいて確立された管理者の一方管理と︑労働者イニシアテイヴの剥奪が想起される︒す

 なわち従来伝習的に労働者側の頭の中に︑経験や熟練やコツ ︵喜鴇ざ巴ω5二舞自冨自︒︒評︶ として存在した知識集団

(23)

    一それがまた彼等の 偉︒ωω卑oHbOωωΦω獣︒昌 ︵腎・嵩・↓①冠︒ひ織︑瀞︒㌔ミミ愚窓いら︑喚鳥︒ミ︑苛ミ自虐悪金§ミ蔵一曾ナ

   お#ゴ︒●ωP︶ をなす一を全部経営者側に慎重に集めること ︵目ロ絶︒目ω目Φω江旨8乱切Φhoお匪① ω℃①9四一出︒信ωΦ

   Oo旨ヨーヰΦρおおさ℃︒#O︶が要求されたのである︒ ︷伺前掲拙著﹁科学的管理批判﹂第十章参照︒

  ︵71︶曲爪子毅越剛掲稿︑ 一山ハ︒へージ︒

        三 装 置 工 業       ︵1︶ 最後に資本集約型の他の代表である装置工業における技術革新の進行を一べっしょう︒装置工業は︑最もオー

トメーションの進んだ石油精製工業をはじめとして︑化学工業︑セメント工業︑紙パルプ工業︑合成繊維工業な

ど何れも技術革新の進展は著しい︒ここではトランスファーマシンの様なメカニカルオートメーションと違って

プロセスオートメーションとよばれる︒装置工業では取り扱う原料が流体であるため︑トランスファーは容易で

あり︑流量︑温度︑圧力などのフィードバック︵自動制御︶がその中核となる︒しかしわが国ではこの完全に発

展した無人工場ではなく︑自動化︑連続化︑計装化の時期であり︑部分的導入が図られているといえよう︒それ

でも以前の化学工業が︑一つの容器の中で化学変化を行わせ︑一定時間経過後製品を抽出︑分離するバッチシス

テム︵非連続処理方式︶で監視労働が主内容を為すのが普通であったのに対し︑最近の技術進歩に伴って流れ作

業的製造方式;パイプとタンクの組合せによる連続処理方式が急速に発達し︑これと関連して計測装置の高度な

利用が図られている︒とくに最も進んだ石油精製工業では︑計測装置が一個所に集められ︑中央管理方式がとら

れ︑グラフィック・コントロール︒パネル︵中央集中制御盤︶にとりつけられた計器によって︑工場内の各部門

における温度や圧力の変化を一目で見ることができる︒

 プロセス工業における以上の様な連続化︑計装化︑自動化の方向は︑労働過程の内容を急速に変化させており

   わが国における技術革新と賃金論の新課題       一一一

(24)

   研究年報       一=一

監視又は保守労働的頭脳労働の分野を増加させる乏共に︑電気︑工学︑品質管理などにについて高度な知識と判

断力をもつ高級技術者に対する需要を高め︑一方旧式設備に多く配置されていた運転操作的補助作業員の必要度

はいちじるしく減少したといわれる︵第5表︶︒ 又化学工業における最近の技術革新の特徴は︑従来の硫安や人

絹を中心とするソーダ工業i無機化学工業から︑低級炭化水素を原料とする合成化学工業へ.の移行であり︑原料

セに メ お ンけ ト る 工配 業置 の人 新詩 旧対 工比

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をいちじるしく高めている︒第6︑7表により︑

中に於ては勿論︑全体としても相当に高く︑

かしこの様にに高校卒労働力の比重を含みつつ︑

どでも﹁三十代が非常にふ︽らんでおり困っている﹂といわれ︑

要員計画として﹁装置工業なので︑大体一年中を通じて何名の人間が必要であるか︑

変動しない﹂ところがら︑ ﹁要員制度﹂を設けてワクが周章され︑ 面では石炭から石油や天然ガスの転換が図られていることは︑いわゆる燃料革命として周知のところである︒例えば硫安では︑この転換によってコークスガス炉の廃棄を行っているが︑これに伴って︑原料炭の運搬︑炉投入︑灰処理などの筋肉労働を消滅させている︒近代的プロセス工業の中でいわば残津部門として残っていたこの分野には︑従来社外工や臨時工が配置されていたのが︑ガス源転換によってこれら臨時労働の必要性は︑急速に減少しつつあるといわれる︒この様にしてますます資本集約度を増し他方労務者のうちで高学歴層のしめる比重   石油精製業︑化学工業における高校卒の比重が︑新規学卒者の およそ製造業平均の倍以上に達しているのをみることができる︒し   全体の労務年令構成ということになると︑たとえば十条製紙な   ︵2︶      その根本的解決策もないようである︒唯全体の       必要人員というものは割合

       職種により︑又作業によって正規︑露命をど

参照

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経済学の祖アダム ・ スミス (一七二三〜一七九〇年) の学問体系は、 人間の本質 (良心 ・ 幸福 ・ 倫理など)

〔追記〕  校正の段階で、山﨑俊恵「刑事訴訟法判例研究」

モノーは一八六七年一 0 月から翌年の六月までの二学期を︑ ドイツで過ごした︒ ドイツに留学することは︑

十四 スチレン 日本工業規格K〇一一四又は日本工業規格K〇一二三に定める方法 十五 エチレン 日本工業規格K〇一一四又は日本工業規格K〇一二三に定める方法