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スペイン地域発展の動向- マ ドリッドと カタル-ニ ヤを事例 として

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経営 と経済 82巻 第4 20033 141

スペイン地域発展の動向‑ マ ドリッドと カタル‑ニ ヤを事例 として

成 田 真 樹 子

Abstract

Decreaseinintra‑EU disparitieshasbeenoneofthemostim‑

portanttasksintheEUintegrationprocess.The.EUaccessionofSouthem Europe(Spain,Portugal,andGreece)inthe1980santicipatedex‑

pandingdisparitiesamongtheノmemberstates・Untilthen・theEU had consistedofalmosthomogeneouscountries,andthesoutherncountries haddevelopedtoalesserextentthantheoriginalmemberstates.The EU hadtotacklethisissueinordertorealizeupwardJequalization.

Otherwise,thesignificanceoftheEUwouldbequestioned・

OriginallytheEUofferedtheStructuralFundsinordertosolvein‑

tra‑EU disparities.Inaddition,sincethe1980S,capitalmovement,es peciallyforeigndirectinvestment(FDI)hasbeenexpectedto decreasedisparitiesamongthecountries.AmongSouthernEuropean countries,SpainreceivedsignificantFDIandsustaineddrasticgrowth inthelate1980S.However,theregionsinSpainfacedadifferenteco nomicsituation:whilesomeregionsattractedFDIandachievedeco‑

nomicdevelopment,OtherreglOndidnotexperienceanincreaseinin‑

comelevel.Thisimpliesthatregionaldisparitiesstillre仙aininSpain.

ThispaperanalysesthecaseofSpanishregions:Madridand Cataluaa,because,thesetworeglOnShavesustainedhigherdevelop一 m占ntlevel,andenjoyedhigherincomepercapita.Sincethelate1980S, MadridandCatalu丘aattractedsubstantialforelgnCapitalduetohigh qualityoflaborforceandadvancedinfrastructure.ThisimpliesthatFDI

(2)

isakeyforregionaldevelopment.

Keywords:Regionaldisparities,ForeignDirectInvestment,Convergence

巨 は じ め に

欧州連合 (以下EU)に とって,域 内格差の解消,すなわち 「」は, 設立当初か らの主要な問題の 1つであ った。特に,1980年代の南欧諸国 ( リシア,スペ イン,ポル トガル)のEU加盟 においては,EU にヨーロッパ の途上地域が含まれるとい う意味で,域内格差のさらな る拡大の懸念があ っ 1)。 それを解消 し,上方へ平準化 しない こ とには,EU 自身の存在意義 が 問われ ることになったであろう。そのため,EU は構造基金の提供な どの地 域政策2)によって,域内格差の是正を図ろうとして きた。

それ とは別の観点か ら,1980年代以降,アジアNIEsの外資依存型成長 を 契機 に,外国直接投資が成長 ・発展の原動力であると認識 されるようになっ 。UNCTAD(1992)の直接投資報告やEU についてはMonti報告 (1996)

において も,直接投資の発展効果が指摘 されて きた。南欧諸国の中で も,ス ペ インは,EU 加盟以降の1980年代後半 に,外国資本 一特にEU諸国か らの 直接投資 ‑を多 く受け入れ,急激な成長を経験 した ことが知 られている3)0 しかし,国際間の格差が解消に向かった として も,国内においては地域格差 が残 る場合がある。 スペ インにおいて も,地域 ご とに直接投資の受け入れ と

1)Tsoukalis(1981)な ど。

2)「目標 1」 か ら 「目標 5 (5aと5bを含む)」の5目標 を設定 し,対象地域 には,欧州地 域開発基金,欧州社会基金 ,農業指導保証基金 が提供 されてい る。 また,1993年 よ り,

‑人当た りGDPEU 平均90%未満の国を支援 するため,結束基金が提供 されてお り, スペ イン もその対 象国 とな っている。

3)詳 し くは,拙稿 (1999,2000,2001)を参照の こと。

(3)

スペ イン地域発展の動 向 ‑マ ドリッ ドとカタル一二 ヤを事例 として 143

発展 レベルについては格差が存在 し,研究の面か らみて も,この問題につい ては,十分に議論が行われてきた とは言い難い4)0

そこで,本稿では,地域発展について,マ ドリッドとカタル一二 ヤの2 治州を例にとり,直接投資を多 く引きつけ,発展に成功 した地域の事例から,

どのような特徴がうかがえるのかを明 らかにしたい。時期 としては,スペ イ ン,ポル トガルがEU加盟 を果た した1986年 か ら,オース トリア,フ ィン ラン ド,スウ ェーデンがEU に加盟する前年の1994年 までを対象 とする5)0 まず,次節では,直接投資 と地域発展について, どのような事実があ り, ど の ような議論がされてきたのかについて紹介する。第3節では,マ ドリッド とカタル一二 ャの動向を事例に,特に,直接投資を引 きつけることが出来た 要因に着 目しながら概観する。最後に,結論 と今後の課題について触れる。

2.直接投資と地域発展についての考察

2.1 Conver9enCe(収赦)か Divergence(拡散)か ?

EU の地域発展の議論において,「Convergence(欽)」という概念が し ば しば使用される。本稿で とりあげる 「収赦」 とは,Baumol,et.al(1994) homogenization(同一化)」,もしくは,「catch‑up(キャッチア ップ)

に相当し,統合地域内で発展途上地域の発展 レベルが,他の加盟国のレベル に追いつ くことを意味 している6)0 Barro&SalaiMartin(1996)もまた,同 様の概念について,一人当た り所得 ・生産の格差が縮小する とい う意味で

4)とはいえ,Leonardi(1995)などでは,EU の途上地域 に着 目した研究が行われている。

5)1995年にオース トリア,フィンラン ド,スウェーデンがEU に加盟 したが, これ らの 諸国は比較的発展度合いが高いため,域内格差拡大の懸念はほ とんどなかった。

6) この ことは,国や地域間の格差の縮小,先進国の経済パフ ォーマンス と他の国のパフ ォーマンス との差が縮小することを意味 しているoBaumol,etal.(1994)は,収敵につ いて homogenization」 とcatch‑up」を含む7つの概念を紹介 している。

(4)

6convergence」,途上地域が先進地域 よ りも速 いスピー ドで成長する とい う定義 で βconvergence」を使 用 してい る。 また,特 に,EU におけ る

収赦」に関 しては,「NominalConvergence(名 目収赦),「RealConver gence(実質収赦)」の語 も使われている。前者はEMU (経済通貨同盟)に 参加す るための 「収赦基準7)を満た していることを意味 し,後者 は一人当 た り所得がEU先進地域の水準 に接近することを意味 している。

それ と同時に,上記の ような 「収赦」は実現するのか否かについての議論 もなされて きた。この議論 については,3つの傾 向に分けることがで きよう 第 1に,「収欽」は実現 するというもので,代表的な成長理論やそれに基づ く実証分析 に よって指摘 されている。例えば,Barro&Sala‑トMartin(1996) は,実証分析 によって,年2%ずつで途上地域が先進地域に収赦 してい くと 結論づけている。第2,「収欽」はせず,む しろ格差が拡大する という議 論 であ る。Balassa(1961),Robson(1998)Tsoukalis(1981)な どが主張 し ているように,経済統合理論の観点か らみ ると,発展途上地域の経済統合地 域 への参加 が 「収赦」 を妨 げ る とい う懸念 が存在 す る。 また,Krugman

(1991)は,収穫逓増 による地域集中化の傾 向を主張 している。そ して,第3 ,「収赦」 も 「拡散」 もしない とい う立場であ る。スペ インを事例 とした 国 レベルでの研究 において,Martl'n(1995,1997)は,スペ インはEU加盟 以降,発展を遂げ,EU 平均の所得水準 に接近 したが,EU平均の レベルに

「相対的」には 「収赦」 していない と結論づけている8)

そこで次節では,スペ インの国内において地域格差の是正,つま り 「収赦」

は実現 して きたのかを検討 していきたい。

7)金利 ,インフ レ率 ,財政赤字 ,債務残高,為替 レー トの5指標 について, 各国が達成 すべ き目標値 が定め られている。

8)‑人当た りGDP,R&D,失業,人的資本 と社会保障の指標 を用い,EU15ヵ国につい ての総合的な ランキングを示 し, スペ インは1986年 か ら1996年 までの期間,13位の まま 変化 しなかった と結論づけた。

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スペ イン地域 発展 の動 向 ‑マ ドリッ ドとカタル 一二 ヤを事例 として 145

2.2 スペ イン国内における格差

EU 加盟以降,スペ インは,直接投資を多 く受け入れ,1980年代後半 には, 高い成長 を遂げ,EU平均の レベル に 「収欽」 した と言 える。 それでは,ス ペ イン国内では地域間格差の是正がみ られたのであろうか。拙稿 (2001) に 基づいて,スペ インの地域 ご との直接投資動 向 と発展動 向を概観 しよう。

1:スペ イ ン地域 別直接投資(100万 ペセ タ)

2.500.000

2.000.000

1,500,000

1,000.000

00,000

1986 1987 J988 ]9且9 1990 199) )992 1991 I991

出所 CommlSSIOnOfEuropeanCommunities(1990),Buisn(1993),Direcci6nGeneraldeInversionesExteriores(1995)より作成

スペ インの17自治州9)を比較 す る と,まず直接投資受 け入れにおいて明 ら かな地域的相違 がみ られ る ( 1)10)。マ ドリッ ドやカ タル一二 ャでは,ス ペ インのEU 加盟 以降,多 くの直接投資 を引 きつけ,その受 け入れ額 は増 大 した。1986年 には, この2地域の直接投資受け入れは,それぞれ1,075 ペセ タ,669億ペセ タで,スペ イン全体の43%の直接投資 を引 きつけた こ と

にな る。 そ して,1991年 の この 2地域 への直接投資額 は,9,141億ペセ タ, 9)スペ インには,その他にアフ リカ大陸 にセウタ,メ リリヤの2地域 があるが,直接投 資統計が入手で きないため,ここでは分析の対象外 とした。一人当た りGDPはスペ イン 平均 よ りはるかに低い。

10)スペ イン各地域の直接投資を総合的に収集 している機関はな く,統計上の数値だけで は,例 えば,外国か らスペ インの本社 に直接投資 されて も,実際はそ こか ら地方の工場 に投資 されている という事実を把握 で きない とい う問題が残 る。 この問題 については, 今後各地域 に進 出している企業への イン タビューを実施するな どで,明 らかにす る必要 があるだろう。

(6)

9,795億ペセ タで,全体の82%の直接投資を受け入れた。その一方で,残 り の地域では,直接投資受け入れの金額は増加 した ものの,スペ イン全体の直 接投資受け入れ総額 に占めるシ ェアは低いまま となっている。例 えば,アス トゥリアス,カンタブ リア,カスティー リャ ・ラ ・マンチ ャ,カスティー リ ャ ・レオン,エス トレマ ドゥラ, リオハ,ムルシアでは,直接投資のシェア は,それぞれ約 1%のまま推移 した。マ ドリッド,カタル一二 ャを除 く15 域で,1986年 には全体の23%の直接投資を引 きつけていたが,1991年には, そのシ ェアが18%に下が った】l)。 この ことか ら,スペ イン国内で,特定地域

‑マ ドリッドとカタル一二 ャ‑への直接投資の集中化傾向が見 られ ることが わかるであろう。

2:一人当た りGDP(スペイン平均‑100)

l ▲t▲ Hl‑ lI

一・8‑ カタル一二ヤ1

7 ,丁 ::I,‑ドラi

1986 1987 938 1989 1990 199] 1992 1993 Source:CRENoS(http://Wwwcrenos.unlCalt/databankJ)のデータより作成

そ して,発展状態 を示す指標 として一人当た りのGDPを用い,地域 ご と に比較 する と (2),直接投資 を多 く受け入れたマ ドリッドとカタル一二 ャにおいて発展 レベルが高 くなっていることがわかる。スペイン全体の一人 当た りGDP レベルを100とする と,マ ドリッドは,1984年の111.5か ら1993

年 には126.3に,カタル,一二 ャは111.5か ら121.4に増大 したo Lか し,その 他の地域では,‑人当た りGDPレベルは低いまま となっている.スペ インの

ll)本稿では,「その他」 に分類 され る直接投資を除外 している。

(7)

スペ イン地域発展の動 向 ‑マ ドリッ ドとカタル一二 ャを事例 として 147

中で最 も貧 しい地域 と言われているガ リシア,エス トレマ ドゥラ,アンダル シアの一人当た りGDP,1993年の数値で,それぞれ74.9,65.5,74.4 あ り,EU加盟以降に顕著な発展は見 られなかった12)0

‑人当た りの直接投資受け入れ とGDPの関係か らも,この非対称 さは明 らかであろう (3,図 4)13)0 1986年か ら直接投資の受け入れ と一人当た GDPレベルには地域間格差がみ られたが,1993年 になる と,その格差が さらに広がっていることがわかるであろう。特に,マ ドリッド,カタル一二 ヤ,ナバラは一人当た り直接投資 レベル,一人当た りGDPレベル ともに高 かったが,その他のほ とんどの地域は どち らの指標 も低いレベルにあ り,堰 加 もほ とんどみ られなかった。 このことか ら,スペインの地域間格差は是正 されていない こ とが明 らかであ ろう。‑ 人当た り直接投資 と一 人当た り

GDPの関係を回帰 してみると,1986,1993年の双方 とも,正の相関が見

3:‑人当た り直接投資 と一人 当た りGDP(1986年)

CEP(FやS) 12000

10000

アス トク

8000 / 6000

4000

2000

0

パ スタ パ レア レス R2‑0.2

̲

0

・ .

1

. ̲ ‑

リオ‑ Tヲヨ' +t.,

ITス パ レ‑ カナ リ カタ't,‑ 二十

T.d ガ リシア レオン T

エス トL,† ドゥヲ

0 5000 10000 15000 20000 25000

FDT(ペセタ) 出所 :Crenosのデー タと図 1のデー タよ り作成

12)この ような地域ご との格差は,失業率の比較か らも明 らか となる。1992年のデータで, スペ イン全国の失業率は18.4%であるのに対 し,最 も失業率の高い地域であるアンダル シア,エス トレマ ドゥラでは25%を超 える。その一方,マ ドリッドは13.2%,カタル一 二ャは13.6%と全国平均 より低 くなっている。詳細はルエスガ (1998)を参照のこと。

13)自治州の人 口の差が大 きいので,ここでは‑人当た り直接投資の数値を用いている。

(8)

4:一人当た り直接投資 と一人当た りGDP(1993年)

GDf)(PPS) I$000

16000 14000 )2086

アス トウ

1

8

0000

0 0 0

6000 4000 2000

0

パ レ

R!‑0.3164 マ ドリッ

!

7 貫◆ レオ◆J7.IA.I ○ ムルシア

ア ン グル シ

p A

mL一 一「

I

0 20000 40000 60000 且0000 100000 )20000 40000 160000 180000 仲Ⅰ(ペセタ)

出所 3と同じ

られた14)。 したがって,各地域 がある程度の外国資本を引 きつけたのかどう かが, この相違 を決定づけ,直接投資は停滞地域 を発展 させるのに重要であ る といえるであろう。

以上の ことか ら,直接投資は,地域 レベルでみると,特定地域 に集中 して いることが明 らかであ り,それは‑人当た りGDPレベルにも反映 されてい ることがわかるであろう 発展 を遂げた地域 と末だ発展途上にある地域が存 在 し,地域間格差が残 っている とい う意味で,Piacentini(2000)が指摘 して いるように, スペ インには一種の二重経済が存在 しているといえる15)。次節 では,スペ インの中で直接投資 を多 く引 きつけ,発展を遂げているマ ドリッ

ドとカタル/一二 ャの事例を詳 し く概観することによって,その特徴 を明確 に したい。

14)また, 1986年 か ら1993年 の平均増 加率での回帰 も実行 し,その結果,統計的 に有意性 が低 か った ものの,GDP成長率 と直接投資増加率 との間に正の相関が見 られた。

15)彼は, イタ リア とスペ インには この ような二重経済の傾 向があ る と結論づけている。

(9)

スペ イン地域発展 の動 向 ‑マ ドリッ ドとカ タル 一二 ャを事例 として 149

3.マ ドリッ ドとカタル一二 ヤの事例から

前節での分析か ら,マ ドリッド,カタル一二ヤ,ナバラの3自治州で一人 当た り直接投資 と受け入れが多い とともに,地域発展 も見 られたことが明 ら か となった。そこで,本節では,マ ドリッドおよびカタル一二ヤにおいて, なぜ直接投資を多 く引きつけ,発展を遂げることができたのかを検討 してい きたい。なお,ナバラは,‑人当た り直接投資,一人当た りGDPが高い レ ベルにあ り,その額が増加 してはいるものの,マ ドリッド,カタル一二ャに 比べて,州の規模 (人口)が小さ く16),農業の比重が比較的高いな ど産業構 造に相違があるため17),本稿の分析の対象から外 した。

3.1 地 域 政 策

スペ インは,EU に加盟 していることか ら,EU の地域政策の一環 として, 地域の発展のためにEU基金 か ら援助 を受け取 っている。 また,スペ イン 政府は,国全体 として格差是正を行 う機能を保持 しているが,基本的には, 自治州政府が地方政治に関する責務を負っている。つま り,スペインにおい ては,EU,政府, 自治体 とい う3レベルでの地域政策が行われているので ある18)0

スペ インでは,国土の90%EU構造基金の対象地域 となっている。マ ドリッドとカタル一二ャは,構造基金が対象 としている 「目標 1」地域 (

16)1990年の人 口は,マ ドリッド498万人,カタル一二 ャ611万人 に対 して,ナバ ラは52 人であ った。

17)農業の就業人 口の全産業人 口に占め る比率は,1990年 にマ ドリッド1.07%,カタル一 二ヤ4.16%に対 し,ナバ ラは7.77%であ った。 また,付加価値の比率 において も,マ ド

リッ ド0.47%,カタル一二ヤ2.09%に対 し,ナバ ラは5.58%と農業が比較的高い割合 と なっている。 これ らの数値はFUNCAS(1999)のデー タに よる。

18)以下のスペ インにおける地域政策の詳細 については,ブス トス(1998)を参照の こと。

(10)

1:スペイン各 自治州における構造基金受け入れ額(100ECU)

アンダルシア アラゴン アストウリアス バレアレス カナリア カンタブリア

カステイ‑リヤう ・マンチャ カスティーリヤ・イ・レオン カタル一二ヤ

バレンシア エストレマドゥラ ガリシア マドリッド ムルシア ナバラ バスク リオハ

セウタ・メリリヤ

出所 :UtrilladelaHo∑(1995)

人 当た りGDPEU平均 の75%以下 の地域 )19)で はな いが,「目標 2」地 域 (衰 退 しつつ あ る工 業地 域 )及 び 「目標 5b」地 域 (農村 地域 ) には含 まれ て い る (付録参 照 )。構造 基 金 の受 け入 れに ついて見 て み る と ( 1), この 2自治 州 は,構 造 基金 の受 け入 れ金額 が他 の地域 に比 べ て極端 に少 な い こ と が わ か る。1989年 か ら1993年 ま で の期 間 に, スペ イン 全 体 で約106 ECU

の受 け取 りの うち,マ ドリ、ソドは約 1 ECU, カ タル 一二 ャは約 6ECU

とわず かな部 分 を受 け取 って い るに過 ぎな い。

構造基 金 の他 に,マー ス トリヒ ト条 約 に よって ,地域 格差是 正 の ため に結 束 基 金 が設 け られた。 これは, 国民一一人 当 た りGDPEU平 均90%以下 の 国 (ポル トガル , スペ イン,ギ リシア ,ア イル ラン ド) の交通 ・環 境 イン フ ラ整 備 を支援 す るための もの で あ り,構造基 金 とは異 な り,国単位 に分配 さ れ て い る。

スペ イン政 府 としては,「地方 助 成 法 (LeydelncentivosRegionales)

1985年 に立 法化 され,経 済及 び 国内の格差 の是 正 に対 処 して い る。 また ,

19)スペ インの国土の7O%を占め,人口の57.7%がその地域に住んでいる。

(11)

スペイン地域発展の動向‑マドリッドとカタル一二ャを事例として 151

「国内地域間補償金基金 (FondosdeCompensacidnlnterterritorial)を設 置 し,地域間の経済的不均衡を解消する目的で,一般会計予算か ら財源を拠 出し,地方 自治体が地方政治を行 う際の資金源 としている。 この基金 によっ て,地区 ・地域 ・県な どのインフラ整備や公共サービスな ど,一人当た り所 得格差 を縮小で きるような事業への資金提供が行われている。

フランコ体制以降,新憲法の制定(1978年)によ り, 自治州の枠組みが固ま り,その権限が強まっている。地域政策において も,各 自治州政府は,基本 的な意志決定 に携 わっている。その中で最 も重要な ものは,EU構造基金や 国内地域間補償金基金に資金の拠出を求め る際に必要 となる「地域開発計画」

の策定である。地域開発計画やその他の政策を実行する際には,地方税,租 秩,拠 出金,国内地域間補償金基金な どの財源が利用で きる。

以上で述べてきた地域政策がスペ インにおいて実行 されているが,スペ イ ン国内では,未だにかな りの地域間格差が存在 している。その意味では,ス ペインの地域政策は格差 を是正するほ どには機能 していない ことを示 してい るであろう20)。そ こで,地域政策以外 にも直接投資による発展効果が期待 さ れてお り,各 自治州で も直接投資の受け入れに積極的に取 り組んでいる。 し かし,直接投資の受け入れについて も地域間格差が存在 しているのが現状で ある。

3.2 直接投資 とその要因

前節で,スペ イン17自治州の直接投資について概観 したが,本節では,マ ドリッドおよびカタル一二 ャについて,入手で きた資料 に基づいてその動 向 を詳細 に見ていこう。

マ ドリッドは,首都であるため,産業の拠点が設置 されるケースが多 くな っている。そのため,スペ インの中で最 も多 くの直接投資を引 きつけている。

2,表 3か らも明 らかな ように,投資金額 も高い水準で増加 している。

20)このことは,ルエスガ(1998)も指摘 している。

(12)

そ して,業種では,金融業への投資が全国 レベル以上になっているのが特徴 的で,スペ インの金融業への直接投資の うち,半分以上がマ ドリッ ドに集中 している。また,マ ドリッドへの直接投資の うち,1988年 には49.1%,1992 年 には38%が金融業への直接投資であった。 これは,スペ インの金融取引が 主 にマ ドリ、ソドで行われるため,その拠点がマ ドリッドに設置 され る傾向に あると考 えられる。 1992年 には,エネルギー ・水,商業,輸送 ・通信部門へ の直接投資が,全国への同 じ業種 に対する直接投資に比べて大 きな割合を占 めている。

2:マ ドリッ ドへの投資 <業種別 >1989 100万ペセタ

85,814 16.9 27.5 サー ビス業 156,203 30.8 38.3 金融 .保険 248,526 49.I 53.3 農業 .エネル ギー .水他 16,072 3.2 26.3

出所 :マ ドリッ ド州経済開発庁(1995)

3:マ ドリッ ドへの投資 <業種別 >1992 100万ペセタ

業種 金額 % 全国比 (%)

第 1次産業 510 0.07 2.8 エネル ギー .求 1,242 0.16 60.8 化学 .鉱業 94,782 12.33 20.6 輸送機械 107,764 14.02 48.5 工業 45,689 5.94 14.6 建設 4,175 0.54 19.9 商業 203,984 26.53 62.3 輸送 .通信 14,506 1.89 74.3 金融 292,217 38.01 55.8 その他サー ビス 3,876 0.51 46.6

出所:investinMadrid,1995

カタル一二 ヤは,マ ドリッドに次いで全国で第 2位の直接投資受け入れ地 域 とな ってい る。特 に, 1986年 のスペ インEU加盟以降,外国資本の流入 が増加 し,1986年 か ら1987年 までで3.6倍,1989年 までで4.6倍 にもなった。

(13)

スペ イン地域発展の動 向 ‑マ ドリッドとカタル一二 ヤを事例 として 153

カ タル一二 ヤへの投資の半分以上 がEU 加盟 国か らの もので,その割合 は 1988年 で全体の56% ( 4),1991年 か ら1992年 まででは約70% (5) と な っている。 また,国別では,フランス, ドイツ,オランダか らの直接投資 が多い。業種別 (6)では,1992年 には,非エネルギー鉱物 ・化学,その

4:カタル一二 ヤへの投資 <国別 >1988 100万ペセ タ

金額 % 全国比

フランス 15120.6 7.5 23.2 ドイ ツ 29861.3 14.8 47.5 オ ランダ 42430.5 21.1 22. イ ギ リス 10519.5 5.2 9.4 イ タ リア 2873.9 1.4 27 ベル ギー .ル クセ ンブル ク 12096.5 6 47.6 デ ンマー ク 208.7 0.1 5.7 ポル トガル 106.5 0.1 8.1 アイル ラン ド 152.4 0.1 42.8 EU合計 113369.9 56.3 24.3 スイス 11126 5.5 21.4 アメ リカ 4376.4 2.2 12.9 日本 7110.8 3.5 53.9 その他 65315.7 32.5 19.9

出所 :GeneralitatdeCatalunya(1991)

5:カタル一二 ヤへの投資 <国別 >199192年 (平均) 100万ペセタ

金額 %

オ ランダ 302,148 39.6

ドイ ツ 39,131 5.1

フランス 105,662 13.9

スイ ス 27,034 3.6

ベル ギー .ル クセ ンブル ク 18,416 2.4

イ ギ リス 42,099 5.5

イ タ リア 24,443 3.2

その他 ヨー ロッパ 10,638 1.4

アメ リカ 20,559 2.7

日本 5,950 0.8

その他 37,550 4.9

スペイ ン 129,130 16.9

出所:GeneralitatdeCatalunya(1994)

図 4 :一人当た り直接投資 と一人当た り GDP( 1 9 9 3 年) G Df )( PP S) I$000 1 6000 1 4000 ) 20 8 6 アス トウ 1 80000 0 0 0 6000 4000 2000 0 パ レ◆ アレス R!‑ 0
表 1 :スペイン各 自治州における構造基金受け入れ額 ( 1 0 0 万 ECU) アンダルシア アラゴン アストウリアス バレアレス カナリア カンタブリア カステイ‑リヤう ・ マンチャ カスティーリヤ・ イ・ レオン カタル一二ヤ バレンシア エストレマドゥラ ガリシア マドリッド ムルシア ナバラ バスク リオハ セウタ・ メリリヤ 計 出所 : Ut r i l l adel aHo ∑( 1 9 9 5 ) 人 当た り GDP が EU 平均 の 7 5 % 以下 の地域 ) 1 9 ) で
表 6 :カタル一二ヤへの投資&lt;業種別&gt; 1 9 9 2 年 1 0 0 万ペセタ 業種 金額 % 農 業 1 , 6 91 0. 3 エネル ギー .求 1 48 , 9 7 ‑ 04 2 6

参照

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