北陸地 質研究所報告 HGIRe po r t No.5At I gu S t ,1 99 6 p. 5 5 ‑8 7
金沢地域の大桑層産脊椎動物化石 *
松 浦 信 臣* *
Ver t ebr at ef os s i l sf r om t heOmmaFor n1 at i on of K anaz awaa r e a , I s hi kawa Pr ef ect ur e,Japan.
N obuomiMat s uura * *
( 1 9 9 6 年 2 月 1 3 日受 理 ) ( Recei ved 1 3 , Febma r y , 1 9 9 6 )
Abs t r act
Ma nyve r t e br at ef o s s i l swe r ede s c r ibe c lf r om t heOmmaFo r mat i o nofKa na z a waa r e a ,b r ie f l y s u ml l l a r i z e da sf o l l o ws:
Ma mma l i a
Ce t a c e a :Mand i bl e s , ve l le br ae , s pi nouspr oc e s sa ndr a d i use t c. o fMys t i c e t i( Ba l a e no pt e r ida e a ndo t he r s )
.Ve r t e b r a e,ve r t e br a lc o l um l l ,hume msandt oo t he t c .o fOdo nt o c e t i( De l ph i ni da e a ndo t he r s )
.Ca r l もvo r a:Me t a c a rpa la ndp ha la nge so fOt a r ii da e .
Ma ndi bl ea ndde t a c he dt e e t hof El i me t O Pi af SS p.( Ka s e n o , 1 9 51 )
.Si r e n i a :Ri bso f I I y dr o da ma l i s s p. , Dugon g ida e ( Ma t s u ur a,1 9 9 2)
.P r o b o s c i d e a:Pha l a n ge ( Ta ka ya ma ,1 9 8 8)a ndf o ot pr i nt s( Ma t s u u r a ,1 99 2 )o f St e go do n aur o r a e ,El e pha nt o i de a.
A r t i o d a c t y l a:Fo o t pr intofCe r vi d ae.
Ave s
Ga v i i f o r me s:Kne eo f Gau z ' a s p. , Ga vi i da e . Pi s c e s
Os t e i c ht hye s
Pe r c i da:Ve r t e br aeo f Thu nnu s s p , ,Pr e ma xi l l a r y of Sc o mb e r o mo r u s s p ・ ,a nd De nt ex
t um t f r o ns ,e t c . Ch o nd r ic ht hye s
Se l a c hi i:So met e e t ho fSe l a c hi i .
* この内谷 につ いては 日本古生物学会 第1 4 5 回例 会 ( 新 潟大学,1 996.6.30)で講演 〔 追記〕
** まつ うら ・のぶ おみ
白峰村恐竜館 :〒920‑25 石川 県石 川郡 自 峰村桑 島 5 5
は じめに
大桑砂岩層はきわめて多量の貝類化石 を産出 し,約 2 5 0 種知 られてい る.貝類 のほかに, ウニ類 ・ 腕足類 ・フジツボ類なども比較的多 く産出す る. そのため,大桑層の化石 と言 えば,一般 に貝類 など の無脊椎動物の化石 を指すようであるが,近年脊椎動物の化石 も少 しずつ知 られ るようになって き
た .
脊椎動物では,サ メ類の歯 と鯨類の骨 を比較的多 く産出 し, ほかに象 パ ド ・海牛などが報告 され ている.本論では,報告ずみの もの も含めて,鯨煤 ・鰭脚類 ・海牛頬 ・象類 ・鳥類 ・魚類 など数種類 の分野のものをまとめて報告す る.脊椎動物化石 の産 出位置 を図 1に示 し,大桑町の犀川河原につい ては図 2 に詳細な分布 を示す.
鯨 類
大桑層における鯨類化石は,骨化石の うちで最 も多 く産出 している.筆者は,現在の ところ 1 5 例 を 確認 しているが,実際はこれより多 く産出 しているこ とだろ う.
とう骨 金沢市大桑町犀川河原の通称 " めがj a情"跡近 くの大桑層下部 に,大型鯨類の骨化石が貝 化石の多い砂岩層中にほぼ地層面に沿って入っていた ( 図 3) .
図 3 大桑砂岩層中の大形鯨類とう骨化石 ( ‑ンマ‑の長さ 3 2 c m) 金沢市大桑町犀川河原 ( 図1 Fi g .3 Ano c c uTe neO ft hec e t a c e a nr a d i usi nt he Omm as a nds t o l l e , Okuwa , K a l l a Z aWa. の⑪)
これは図版 1‑1に示 されているもので,大 きさ ・形状か ら,太地町立 くじら博物館や大阪市立 自
然史博物館に展示 してある,ザ トウクジラの 「とう骨」に きわめて頬似 してい る. この骨化石は長 さ 8 1 c m ,多少わん曲し,遠位側 は長径 3 0 c m の細長 いだ円形,近位側 は
長径 2 2 c m のだ円形である.骨はノジュール状に硬 くなって, まわ りに うす く砂岩がおお ってい
る.そのため, 大 きさ ・形状が不確定にな り,ナガスクジラ科の一種 としたが,砂岩におおわれた外
形はザ トウ クジ
ラ ( Me g a bt e r ano u a e a n gl
IooBm a lOOO 20 D O
図 1 金沢地 域 の 大 桑層 に おけ る脊
椎動物 化石 の産 地 ( 耳石 ・サメ類の歯の化石産地 を除 く)
①〜⑪ は
化石産地言 二 : ) は不確定 な産地,⑨ 〜⑪ は図 2 参照.
Fi g.1 Ve r t e br a t ef o s s i l l o c a li 也e sf r o mt heOmmaF
o r ma t i o no f K a na z a waa r e a.
[ 注] この地形図は,国土地理院昭和 6 1 年発行 「
・ 上 ‑
\ \ \ \ \ \
ま く 戯野椎骨
サメ 概の胸 アシか村中 手付
( 左第4中手骨) アシ加斗 右柏骨
( 第1 足指の塵節骨) 魚類脊他野
牛ダイ( レンコ サワラ前顎骨
( 左献上敬骨 鳥類脱骨 ( アどの州1 E l l )
ゴンドウクジラ科ql 幽 イルカ料脊相計
図 2 金沢市大桑町の犀川河原における脊椎 動物化石産出地 ( 図 1の⑨‑⑲‑⑬) .
Fi g.2 Ve r t e br a t ef os s i l l o c a li t e i si nt her ive rbe d o fSa i ga wa ,Okuwa一ma c hi ,Ka n㍑a waCi t y.
5 8
イルれ科脊椎骨
〝 上腕付 鯨中ヒドロデマリス肋骨
〔 松浦,1 9 9 2 〕 顔鯨頬とう骨 マグロ脊椎腎 魚 類の脱走骨
( サワラの州h r J ?) アシが斗 右指骨
( 第1 手指の基節骨) マグロ脊椎骨
図版 2‑ 1 は,骨表層部 において も海綿質 で,鯨類 の化石 である.形状 ・大 きさか ら, ひげ鯨亜 目 の左下顎骨後端部 であ る.本個体 には,関節突起 と筋突起後方隆起部がみ られ る。関節突起のふ くら みは小 さく, また筋突起 後方隆起部 の横断面形 な どは, ひげ鯨 亜 目の うちの コククジラ科 に所属する 可能性が大 きい と考 え られ る.
金沢市御所町か ら卯辰 L L I につづ く大桑層の分布地域 は,大桑 層上部に属す る.図版 2‑2 は下顎骨 の‑部 で, 凸型の頬側 と平 らな舌側 が見 られ る.本個体 は比較 的下 顎骨 の先端部 に近いと考えられる が,詳細なことは不明であ る.大 きさか らひげ鯨亜 目と推定 され るが, それ以上 の高次の分類は無理 である.
図版 1‑3 は, 大桑町犀J 昭可原の通称 " めが ね橋 ' '跡上流約 2 0 m か ら採集 され た もの であ るが, 大水の さいに犀川左岸の崖か ら洗い出 された可能性 もあ る.本個体 は外側面上部 に開口す るオ トガイ 孔の貫入方向や両端断面に見 られ る下顎管の大 きさか ら,右下 顎骨 中位郡の断 片骨 と考えられ る.そ して,断面 は内側 が平面状,外側上部が よ く膨隆 してい るので ナ ガス クジラ科 に属す ると考 えられ る ( 長滞一雄氏に よる) .
林突起 大桑層敢下郡 の小二 叉町付近か ら塵 出 した平行 四辺形状 の太 い骨 片である ( 図版 3‑1) . 大 きさは約 3 5×1 7×8c m くらいで,これか ら椎体 も大 きい と考え られ るので,ひげ鯨亜 目に属する.
また,大阪市立 自然史博物館展示のナ ガス クジラの大形轍 突起 に頼似 してお り.ナ ガスクジラ科に属 す ると考えてい るが,詳細 な同窪 はで きなか った.
館町地内か ら麗 出 した図版 3‑2 は,両側に 多少ふ くらんだ, 凸 レン ズ型の横 断面を示す骨片であ る.そこで,一 応棟突起や横突起の一 部 と推定 Lてい る.骨細胞組織か ら鯨難 は間違いないが, この 骨片だけでそれ以上の分禁 則ま無理 である.部位 としては突起 の可能性が大 きいが,大型鯨頬の肋骨先 端の比較的平坦 な部分 とも似 ている.
1 I
/ l l
′ \
/ / / へ こ \
\ \ ヽ ヽ 、
\ ヽ
、 ー 一一‑〜̲̲̲ チ
J l ー‑ J I J
‑‑ L ′‑ ‑‑ I
図 4 鯨類 の胸椎横断面,突起部消失 金沢市夕 日寺地区 ( 図 1の⑤上 Fi g .4 As e c t i o no ft hec e t ac e a n血o r a c i cve r t e b r af r o mYu hi de r a , K a na z a wa.
椎骨 大桑層か ら産 出す る鯨叛の椎骨 は,胸椎か ら尾椎 まで部位 の変化が あ り,大 きさも多様であ る.図版 4‑1 は,短 い円柱状 の一 方 を切 った形 であ る ( その横 断面 を,図 4 に示す).その平坦部 の一端は もり上が ってい る. この も り上 が りは一方 の横 突起 のつ け根, これ以外の突起部はすべて欠 落 している と考 えたのが図 4 である. そ こで,胸椎 と推定 したの であ る.椎 骨 の長径が 3 0 c m 近 くあ
5 9
り , ひげ鯨亜 目の一種 と推定される.
同 じく夕 日寺地区か ら塵 出した,図版 3‑3 は前者ほど大 き くないが,株突起や横突起の一部 をつ けた脊椎骨である.横断面 を見 ると,下端 中央がわずかに くぼんでいるので尾椎骨 と推定 され,大 き さ ・形状か らその前部 と考 えられる.大 きさなどか ら判断 して,やや大型の歯鯨亜 目に属す る可能性 が大 きいが,一応鯨 目の一種 としてお く.
図版 4‑2‑6 と図版 5‑1 は, 多数の椎骨が連続するものである.骨の数は 1 4 であるが, これが 完全に連続 しているか,一部欠落 しているか不明であ る.図 5 は, この化石 が地 層 中に埋 もれている
と重の,一番前の骨 を見せ ている.
図 5 大桑砂岩層中の鯨類推骨化石の横断面 ( スケー ル2 4 c m) 金沢市 夕 日寺町地 内 ( 図 1の⑥ Fi g.5 As e c t i o no ft hec e t a c e a nve r t e b r af r )
o mYd hi de r a , K a na z a wa.
これらの椎骨の横断面形 を見ると,前か ら 3 番 目あた りの骨 までは
胴椎であるが, それ よ り後方に は下端中央が くぼんだ尾椎骨の特徴 を示 している.種類につ いては,大
きさ ・形状か ら見て歯鯨類 と 推定 しているが,現生の実物標本 ( 太地町立 くじら博物館展示品) と比較 して も, これ以
上の分類は 困難であった. 大桑町犀川河床産の図版 5‑4 は,直径 3c m ぐらいの脊椎骨 に,
3 方向の轍 がのびている.椎骨 と練の位置関係か ら,胸椎後部あた りの もの と推定で きる.大 きさか
ら, イルカ科 の一種 であるこ と は間違いない. 神谷隆宏氏によると,大桑町犀 川 河原 ( 図 1の⑲
)か ら, イル が 斗の脊椎骨 4 個 を産出 している.
上腕骨 ・肋骨 大桑町犀川河原か ら,大小 2 つの半球 を連結 したような骨化石
を塵出 した.骨細胞 か ら,鯨類の ものである.図版 5‑3 に示 した形状 は,鯨類の上腕骨近位端 で,半球状の大
小関係か ら右腕の もの と判別できる.また,長さ約 6c m で, イルカ科 に属す る
ものであ る ( 平 口哲夫氏所蔵 のイルカ標本 と比較 した上 館町地内産の図版 5‑2 は,長 さ約 5c m ,直径約 3 .5c m の円柱状
を縦 に半分・ に切 った形状 を示 し
ている.形状か ら肋骨の一部 と推定 されるが,小破片で分類同定 は困難で
図 6 大桑砂岩層中の アシカ頬骨化石 ( ( 図 1の⑲ ) 写寛面の‑ンマ‑の長 さ 2 7 c m) 金沢市大桑町犀川河原 Fi g.6 Abo n ef o s s i l o fOt a r ii d a e血・ o mt her ive rbe do fSa ig a wa , Ok
u wa , K a n a z a wa.
右下顎骨 ・臼歯があ る. これは, Kas e no ( 1 95 1)が " Al l o d e s mz l l S " s p.
として報告 した もので,現生 の トド Eume t o i ) f a sj ub a t a に近 い ものである.図版
6‑4‑8では, E u me t o pi a s s p. として示 した も のである ( 堀川,1 98 1 ).
アシカ科の四肢骨 敢 近,大桑町犀川河院の大桑層中 ・下郡 か ら,鱒脚瓶のひれ肢 をつ
くっている 骨が 4 個塵出 した ( 筆者の手許 には 3 個 のみ所在) . その露出時の一例 を,図 6 に示す.甲
能直樹 氏 によると, これ らはいずれ もア シカ科 ( ア シ
カ ・トド・オッ トセイ)に属す るものであるが,属 ・種 の同定は無理 であ る ( Ot a r ii daege n. e
ts p. i nde t . ) .
図版 6‑ 1 は長 さ64m m,両端関節部が大 き くふ くれた,左 第 4中
手骨 であ る.大 きさは トドの雌 ぐらいであるが,近位 関節面の形態が異なってい る. 図版 6‑ 2 は長 さ
71mm,石棺骨で, 第 1 手指の基節骨 であ る.大 きさは, オッ トセ イの雌 ぐらい である. 図版 6‑3 は,一方 の関節
部 は破損 されて見えないが,前二者 に比較 して よ り長 く,長 さ1 00 mm 以上である.石棺 骨で,節‑ 足指の基節骨であ る.大 き
さは, トドの雌 ぐらい と推定で きる.
海 牛 類 大桑町犀川河原の大桑層下部か ら,海牛類の ヒ ド
ロダマ リス ( H y dr 1 0 d a mal i s s p.) の肋骨 を産出 し た.産出地の大桑屑はナガサル ボウ
ガイ ( Ana d ar aa m2 ' c ul ae l o n gat a) の多い部分 で, ひげ鯨類の大 形 とう骨 を産出 した地点に近 く, それ とは1 5 m くらい練れて いた.肋骨は図版 7‑ 1 , 2 である
. 本個体は,大小 2 個 ( 長 さ95cm と 35cm)の連続す る肋骨か らな り,小 さい方が よ り後位の肋骨で ある.個
体 は全体 に肥厚 した, いわゆるバナナ状 の肋骨 で,全体 に級密質の骨質か らな り,海牛頬の
ものである.横断面 は円形に近 いこ とか ら,かな り後位 の肋骨で, ほぼ成体 の個体 であ
俗称人魚の名で知 られるジュゴン ( Dl i gO n gd t qo n) は南方系 であるが, ヒ ドロデマ 1 )スは北方系 で, ジュゴンに比較 して大 きく,体長1 0 m近 くに適 したよ うであ る. ヒ ドロダマ リスは,近年絶滅
したようである.
象 類
体化石 1 9 1 8 年,金沢市戸室山近傍産 として報告 された旧象の臼歯 ( 右上 第二大 臼歯)は,アケボ ノゾウ St e go d o n ( Pa l ・ a S t e gO d o n)a l i 7 , O me の完模式標本 となった ものであ る ( Ma t s umo t o ,1 91 8) .
この標本の産出層準ははっきりしな く,戸室山周辺 に分布す る大桑層か卯 辰山層 か特 定 で きなか っ
た .
1 9 8 4 年,大桑町犀川河原の大桑橋上流約4 00 m の地点か ら,図版 7‑ 3 に示 した,アケボ ノゾウの 左前肢第Ⅰ Ⅰ指骨が塵出された ( 高山ら ,1 9 88) .この産 出地は, ア コメイモガイ ( Ende mo c o nu ss i e b o ‑
l di i ) やサルボウガイタ1 ' マシ ( An a d a nlP s e u d o s ub c r e na t a) な ど暖海性 内湾性の貝類群集 を産 出す る 大桑層最上部で,Oga s a wa r a ( 1 9 81 )の新期大桑動物群産 出地 である.最近, この産 出地は山本 ( 1 9 9 5)によると, 久コリア砂層 ( 大桑屑最上部鍵層) よ り上位 にあ ることか ら,大桑層直上の卯辰 山層 に属することになる.
足跡化石 高山ら ( 1 9 8 8)のアケボノゾウ指骨産 出地点 の数1 0 m上 流で,象 の複数 の足跡が見付
図 7 象 ( アケポ ノゾウ?)の足跡化石 ( スケールの長 さ39c m)金沢市大桑 町犀川
河原 ( 図 1の⑨) .
Fi g.7 Fo o t p r in t so ft hee l e p h a n t ( S t e g o d o na l L r O ? , a e?) f ro mt her ive
かっている ( 図7 . '松浦, 1 9 9 2) . 亀井節夫氏に よる と ( 写真 を見て) ,これはアケボ ノゾウの足跡 ら しいと言われ る. この場所 は砂岩 ・泥岩の互層地域 で,大桑層最上部に属する. また, このあた りに は,地層中に立木の化石 も存在 し,足跡の残 り易い環境である.図 7 の地点あた りには,浅い円い く ぼみがい くつ もあ り, これ らも象の足跡か もしれない.
さらに,わずか 1個 だけであるが,す るどく深 く入 りこんだ,鹿の足跡 も見つか っている ( 図 8) .
鳥 類
鳥類の骨は中空, 空 を飛ぶ動物が化石になる機会は少ない ようである.今回,大桑層か ら最初の鳥 類化石が大桑町犀川河原 ( 図 1 の⑲) で産 出 した.図版 7‑4 に示 したもので, 中空棒状 ( 砂で埋 ま っている)の長 さ 8 3 m m の骨 1個 である.一端 は幅 1 3 mm の関節部 となってい るが,他端 は 帽9mm の骨体 中位 よ り近位 を欠落 してい る.形状か ら,左腰骨の遠位部 と判断できる ( 図 9) .
図 9 鳥類の腰骨,黒 く塗 りつぶ した部分が産 出 した ところ.
Fi g . 9 Akne eo ft h
ebi r d s .
本種 については, 当初サ ギ科の一種 ではないか と推定 したが,サギ科の腰骨 には遠
位端が骨体に対 して内側に寄 らない とか,横断面形 などに相違があ る.松 岡腐紫氏によると,現生 オオハムの腰骨
と 比較 して,骨学的特徴か らアビ属 の もの と同定 で きる. オオ‑ ム ( Ga v i aa r c t i c a) と
比較 した場合, 骨体が太いな どい くつかの相
違点が見 られ るので,現時点では属 レベル以上の同定はで きな く,アビ 属の一種 ( G a v i as p.
)としてお く.
アビ類は北半球 の北部 に分布 し, 日本には冬鳥 として渡来す る.中 ・大形の水鳥で,海に近い湖沼
の岸の地上に営巣す る. 日本には 4 種,世 界には 魚 5 種存在す る ( 類 高野 ・他 1 9 9 1 ) .
(1 )
桑層中 ・下部に属す るが,ただ 1 個 だけ通称 " めがね橋"跡上 流数 1 0 m の,下位 の犀川層か大桑層 分布地産かあきらかでか ‑ものがある. しか し,大桑層か ら同種の化石 を産 出 してい るので, まとめ
て報告する.
マグ ロの脊椎骨 ・他 通称 ̀ ̀ めがね橋' '跡の下流 と上流側数 1 0 m か ら産 出 した魚類 の骨化石 は, 図版 8‑1 と図版 8‑2 に示 した,マ グロの一種 ( Thu n nu s s p . ) の脊椎骨である.
図版 8‑1 は,長 さ 6 5 m m,直径 5 5 m m の大 きくくぼんだ円筒状 の脊椎骨 であ る.両端が くぼんだ 脊椎骨は魚類の特徴で,両端の平坦な晴乳類の鯨類脊椎骨 とは大 き く異なる.図版 8‑2 は,長 さ 4 6 mm ,両端の円形 くぼみの直径は約 4 7 m m で,前者 よ り多少小 さい ものの, ともにマ グロ属 と考 え ら れる.
魚類の脊椎骨 としては,他に図版 8‑3 と図版 8‑4‑ 6 の 2 種 が産出 してい る.前者はマ グロ類 かその近縁のものと思われるが,現時点では特定で きない. その部位 は,比較的頭部 に近い腹椎骨で ある.後者はあじ亜 目に属す ると推定 され るが,詳細 な判断はで きない.
サワラの前顎骨 ・他 図版 9‑1 は,サワラの一種 の左前上顎骨 である. この骨は先端部 ・鼻柄部 が欠損 しているが,比較的保存が よ く,摩耗 された歯が 7 個 ぐらい残 ってい る.現生種のサ ワラ ・ヒ ラサワラ ・ウシサワラ ・タイワンサワラなどのサワラ類 と比較検討 しなければ,種名 まで決定で きな い.大江文雄氏によると,本化石種 をウシサワラ ( Sc o mb e r o m0 円 がS i ne ns i s ) と比較す ると,①歯の 大 きさに比較 して,前上顎骨の高さが高 く, その背部が肉厚 であ るこ とか ら,化石種 は噛み切 る力が 強大であったと考えられる,②主上顎骨が接合す るための溝が深い, などい くつかの相違がある. こ
こでは,本化石種 をサワラ属の一種 ( S c o mb e r o mml SS P. )としてお く.
図版 8‑7‑8 は,サワラ属の一種 の触蓋骨の一部 ではないか と推定 され る.上記の前上顎骨 との 種類関係は不明である.
キダイの骨 ・他 大桑砂岩層中に,魚類の骨格のほぼ全形 を産 出 したことはない.大桑町犀川河原 から,キダイ ( レンコダイ) De nt e xt u m l f r 1 0 n S が一部頭部が消失す るも,図版 9‑2 のようにほぼ 全体像が見える形で採集 された. この化石の大 きさは,長 さ約 1 6 c m ,最大幅約 8c m であった.
この骨化石の特徴は,①腹椎骨が途 中で欠損す るも,おそ ら く 1 0 ‑1 1と推定で きる,②尾椎骨 も同 様に欠損 しているが , 1 4 ぐらいと推定できる,③背鰭練 の数 は一部 欠損 しているが , 1 2 ぐらいであ る.
軌条は 2‑3 保有 されているのみで,全体数は不明である,④尻鰭線 は 3 条,軌条数 は不明であ る.
この骨化石は,最初マダイかチダイと推定 されたが, これが キダイ とした決め手 は耳石 にあった.
耳石は左肩平石が保有 されてお り,内面が観察できる.形状の特徴 は腹緑が丸 く, 内面は曲凸面 を呈 している.耳石溝の形はスプ‑ ン型で,その尾部は直線的であ る.腹練に沿 って帯状 に曲凸面 との間 に段差が生 じている.
以上の観察デー タをもとに,大江文雄氏は,キダイに きわめて近 い種か同一種 と推定 した.その後, 筆者は本種の現生実物 とも比較 して, キダイ と判断 した.
キダイは太平洋側では千葉県, 日本海側では新潟県以南に分布 し,南 シナ海にお よび, とくに東 シ ナ海に多い.大陸棚縁辺部に多い ( 岡田ら ,1 9 6 5 ) .
大桑層か ら魚類の耳石 を産出す るが,筆者はほ とん ど採集 していない.図版 9‑4 に,マ グラの一 種 G a d u sc f . ma c r o c 勿h al u s の左耳石 を,一例 として報告す る.
(2 )軟骨魚綱
軟骨魚綱に属す る魚類化石は,すべてサ メ類の歯 である.筆者が大桑層か ら確認 した,サ メ類の歯
6 4
表 1 金沢地域の大桑層か ら産出 した脊椎動物化石
Tabl e1 Ve r t ebr at ef os s i l sf r om t heOmmaFor mat i ono f K anazawaarea
大 分 額 分 矯 部 位 産地, [ 【 文 図版],採集者/所在,
嘱乳綱 献】
M a 鯨 目 mma l i a ひげ鯨亜 目 ひげ鯨亜 目 Mys t i c e t i 下顎骨 の一部 右下 顎骨 の一 部 御所町 〜卯 辰山間②, / 大桑町 犀川河尿⑪ 石 川県教 育センタ‑地学室 [2‑ 2 ] ,‑
, [1‑3 ],中林 Ce t a c e a ナ7 Tスクジラ科 Ba la e n o p t e r i d a
e 義勝/松浦信臣.
ひげ鯨亜 目 下顎骨 東
長 江町 南東方 の谷③ , ( 長 江五官 ナガスクジラ科
B a l a e n o p t e r i d a e 石
谷) ,[1‑2 ] ,金沢大学生/‑.
ひげ鯨東 田 左下 顎骨後端
部 東長江町南東方の通称 .大滝① ,[2 コククジラ科 Es c h r i
c h t i i d a e ‑ 1],森 明雄 /森 明晩 ひげ鯨亜 目 Mys t i c e t i 脊椎骨 ( 胸椎 の一部 )
夕 日寺 地 区⑤, [4‑ 1] ,‑/夕 E ] 寺小学校.
ひげ
鯨 並 目 純 突 起 小二又町 の通称 .子落⑦ ,[3‑1 ], ナかスクジラ科? B a l a e n o p t e r i d a e 加藤塞理 / 加藤
嘉軌
ひ げ ナガスクジラ科 鯨可 巨目 B a l a e n o p t e r i d a e とう
骨大桑町犀 川河原⑪, 太 田敏晒 .松浦倦臣/松浦倍臣. [1‑ 1 ], 椎骨 の突起 の一部 館 町 地 内⑧, [3‑ 2 ] ,東 川信夫/
東 川信夫.
肋骨 の一部 館 町 地 内⑧, [5‑ 2 ] ,東 川
信夫/
東 川信夫.
尾椎骨 の前部 夕 日寺地 区⑤, 寺 小学校 [3‑3 ] ,‑/夕 日 歯鯨 亜 目 Od o nt oc e t i 胴椎骨 後部 ‑尾椎 骨 ,1 4 夕 日寺町⑥ ,[4‑2‑ 6][5‑1 ] ,
個 山王開発㈱/松浦信 臣.
歯鯨 亜 目 脊椎骨
( 胸椎 後部 ) 大桑町犀川河原◎, [5‑4] , イル カ科 De l phi ni da e 太 田敏晴/松浦信
臣.
歯鯨 亜 目 脊椎骨 4 個 大桑町犀川河原⑩,金沢大学生
/神 イル カ科 De l phi n i dae 谷隆宏
.
歯鯨亜 目 右上腕 骨近位賄 大桑町犀川河原
⑪, [5‑ 3] ,村松 イル カ 科 De l phi n i dae 香/松浦信臣
,
歯鯨亜 日 ゴンドウクジラ科 G 頬歯 大桑町犀J l 岡 原⑲, [5‑ 5 ] , l o b i e e p h a l i d a e 北尾史真/松浦侶 臣.
晴乳綱 鰭脚亜 目 Pi nni pe d i a 左 第 4 中手骨 大桑町犀川河原⑬, [6‑ 1 ] , Ca 食肉 目 mi V o r a ア シカ科 Ot a r i i da e
太 田敏噂/松浦信 臣.
鰭脚亜 目 石棺骨 ( 第1手指の基節骨) 大
桑町犀川河原⑪, [6‑ 2] ,
ア シカ科 Ot a r i i
嘱乳綱 鰭脚亜 目 右下顎骨 .臼歯 御所町①, [6‑4‑8] ,細野 義夫 食肉目 アシカ科 Ot a r ii d a e 他/金沢大学理学
部地学教室 Ca m iv o r a トド Eu me t o pi a ss p . 【 Ka s e n
o ,1 9 5 1 】 .
晴乳綱 ジュゴン科 Du g o n gi d a e 連続 した 2 本の肋骨 大桑町 犀川
河原⑪, [7‑1‑2] , 海牛 目 ヒ ドロダマ リス属の
一種 笠松 久 治/松浦信 臣.
S i r e n i a Hy dy l D d a m
a ぬs p . 【 松 浦 ,1 9 9 2 】 . 晒乳綱 象亜 目 El e p ha n t o i de a 左前肢第
2 指骨 大桑町 犀川河原⑨, [7‑3] ,高山 長鼻目 P r o b o s c i d e a アケポノゾウ ステゴ ドン科 S S t t e e g g o o do d o nawo nt i d a e y ; a e 俊昭他 /高山俊昭 , 【 高山他 1 9 8 8 】 .
象亜 目 複数 の足跡 大桑町 犀川河原⑨,図 7 ,松浦侶 臣
象の足跡 ( アケポノゾウ ?) 確認 【 松浦 ,1 9 9 2 】 . 晴乳綱 シカ科 Ce r V i d a e 単数 の足跡 大桑町 犀川河原⑨
,図 8 ,松浦侶臣 偶蹄目 A r d o d a c t y h シカの足跡 確認.
鳥綱 AV e s アビ科 Ga v ii d a e 左腰骨遠位部 大桑町 犀川河原⑲, [7‑4] ,北 尾 G あぴ目 a V i i f o me s アビ属の一棟 Ga v i as p. 史塞/松 浦信 臣
.
魚掛 硬骨魚綱 さば亜 目 Sc o mb r i n a 脊椎 骨 大桑町 犀川河原⑪, [8‑ 1],太田 Os すずき目 t e i c h 山y e s
Pe r c i d a さば亜 目 マ グロ属の‑種 サバ科 Sc o mb r i d Th a e u nmL SS p . 脊椎 骨 敏晒/松 浦侶 臣. 大桑町 犀川河
原⑪, [8‑2 ],北尾 サバ科 Sc o r n b dd a e
マ グロ属の‑橡 Th unnu ss p .
史塞/松 浦侶 臣.
さば亜 目 Sc o mb r in a 脊 椎
骨 大桑町 犀川河底⑲, 史真/松浦侶 臣. [8‑3 ],北尾
さば亜 目 左前
上顎骨 大桑町 犀川河原⑲, [9‑1 ],北尾 サバ科
サワ
ラ属の一線 S c o mb e r l OmO r u SS p . 史寛/松浦信 臣.
さば亜 目 娘老骨の一部
大桑町 犀川河床⑪, [8‑7‑8 ], サバ科 サワラ属の一種 ( S c o mb e r o mo nL ?)
SS P. , (?) 太 田敏 晴/松 浦信 臣.
あじ亜 目 Ca r a n g in a 脊椎骨
大桑町犀川河原⑲, [8‑4‑6] , 太 田敵 将/松 浦信 臣.
すずき亜 冒 Pe r c i n a 東部先
端消失,骨格 系の 大桑町犀川 河原⑲, [9‑2‑3 ], タイ科 Sp a r id a
e
キダイ De nt e xh L m L f r o ns 保有良好 北尾史真/松浦侶 臣.
魚類.硬骨魚綱 . た ら亜 目 Ga
d i n a 耳石 夕 日寺 町, [9‑4] , 松浦信 臣/
たら日 Ga d i d a マグラの一 タラ科 Ga 棟G d d i d d u a s e c f . ma c l l O C Q
は次の とお りである.各種 の 1‑2 例 を,図版 9‑5‑ 9 に示す.
さめ 目 Se l ac hi i オ トダス科 Ot o do nt i dae 化石巨大ザ メ Ca r l C h ar o c l e sme ga l o d o n
ネズ ミザ メ科 Lam idae ホホジロザ メ C a r c h ar l D do nc a y I C h a y 7 ' a s メジロザ メ科 Ca r c ha r hi ni dae イタチザ メ Gal e o c e r doc uv l . e r i
ヨゴレ Ca r c h ar hi n u sl o n gi ma nu s これ らの うち, Cwc ha r o c l e sme gal o do n は金沢市館町の浅野 川河床の大桑砂岩層基底部か ら 1個 産出 したものであるが,下位の地層 ( 中新世の犀川層)か らの二次化石の可能性が大 きい.
化石か ら見た " 大桑海"の動物たち
この報告書の中 で, 記録 されてい る脊椎動物化石 は,鯨 頬1 5 例,ア シカ類 4 例,海牛 矯 1例,象類 2 例,鹿類 1例,鳥類 1例,硬骨魚類 8 例,軟骨魚類 4 例の計 3 6 例 である.表 1には,軟骨魚類 ( サ メ頬の歯)をのぞいて, まとめて表示す る.
これ らの化石 に, 貝 ・ウニ ・ 腕 足類 ・ フ ジツボな どの無脊椎動物 も関連 させ て,当時の海 ( " 大桑 海' ' )の状況を考察す る.塵 出 した化石 は実際に生存 していた生物の一部で しかないこと, また約 5 0 万 年間を一括 してのべ るためその間の詳細 な変遷 を無視 した, きわめて概括的な表現になるO
更新世前期の約 1 5 0‑1 0 0 万年前の大桑層下部 ・中部の堆碩当時の源,いわゆる " 大桑海"にはどの ような動物が いたのだろ うか.大形のナガ スクジラの仲 間か らイル カまで,体長 2 0 m 以上か ら 1m
ぐらいの大小様々の鯨が泳 ぎ,体長 1 0 m 近 い大形の海牛 もお り,海 中を泳いだ り岩上 に休む トドや アシカがいた.また,海中にはマ グロ,サワラ,タイをは じめ とす る多種 多様の魚類が遊泳 していた.
そこには,肉食のサ メもいた.海底には, 貝をは じめ ウニ ・フジツボ ・腕足貝な どがお り,時には汀 線付近の岩に も付着 していた.
空を見上げれば,季節 に よって飛来す る鳥の種類 は異なるものの,アビなどのいろいろな鳥が飛ん でいた.
" 大桑海' 'は寒流 ・暖流の強い勢力の繰 り返 しが あ り,季節の変化 とともに,渡来す る動物群に差 異があった.全体 として, " 大桑海' 'は現在の北陸近海に比較 して, 多少冷たい海域で,それに適応
した海生動物の多い海であった と考 えられ る.
あとが き
金沢の大桑砂岩層か ら, 前述 の ように多種 多様 の脊椎動物化石 を産出しているが,今後 もさらに多 くの脊椎動物化石 の産出が期待 され る. この報告書 では,現在筆者が知 っている,すべての脊椎動物 化石 を報告す るこ とに したため, 同定不十分 な もの も少な くない.筆者は今回初めて脊椎動物の分野 を手がけた. そのため, 多 くの分 野の専門家の ご指導 をいただ き,何 とか まとめ ることができた.ま た,一般に脊椎動物化石の産 出は きわめて稀 で,これ を採集す る機会 は少ない.そのため,多 くの方々 の採集物 を利用させ ていただいた.内容について,お気付 きの ことや ご意見な ど, ご指導賜われば幸 いです.
謝辞 この報告書執筆 にあた り,全般 にわたって北陸地質研究所 の細野義夫所長か らご指導いただ いた.各種脊椎動物化石の同定や その説明にあたって,鯨類については金沢医科大学の平 口哲夫助教
6 7
按,実物標本 との比較検討のため大阪市立 自然史博物館では樽野博 幸主任学芸見 太地町立 くじらの 博物館では下市昇一学芸見 一部下顎骨は山形県立博物館の長滞一雄専門学芸見 アシカ頬 と鯨 の歯 については国立科学博物館の甲能直樹博士,海牛類 と一部鯨類 につ いては沼 田町 自然史研究室の古滞 仁学芸員 とロサンゼルス自然史博物館のロー レンズ ・ G ・バー ンズ博士,象類 足跡 につ いては京都大 学の亀井節夫名誉教授,鳥類については京都大学大学院生の松 岡康繁 氏,硬骨魚類 ( キダイ ・サワラ) については愛知県立長久手高等学校の大江文雄教頭,軟骨魚類 につ いては瑞 浪市化石博物館 の柄 沢宏 明博士 らか らご指導いただいた.また,同定などへの過程 で,群 馬県立 自然史博物館の長谷川善和博 士 をはじめ,鹿児島大学の大家裕之教授,北九州市立 自然史博物館 の岡崎英彦主査,石川県小松市在 住の関戸信次氏,いしかわ動物園の山本邦彦学芸見 小松市在住の矢田新平獣 医師 らか らご指導 いた だき,石川中央魚市株式会社の宮越英哉氏 ( マグロ ・サワラの太物担当)にお世話 にな りました.
この報告書で取 り扱った化石について,平成 5 年時金沢大学薬学部の太 田敏 晴助教授 ( 現在第一製 薬勤務) ,平成 5・6 年時金沢美術工芸大学生 の北尾史某氏 ( 現在寮良市埋蔵 文化財調査 セ ンター勤 務) ,山王開発株式会社 ( 中島義勝社長) ,金沢市立夕 日寺小学校 ( 藤 田英校長) ,石川県教育セ ンタ ー地学室,金沢市浦披町在住の村松喬氏,同情披町在住の中林義勝 氏,同笠舞在住 の笠松久治氏,同 大場町在住の乗用信夫氏,同東長江町在住の森昭雄氏,同山王町在住の加藤真理 さん らの採集物 を利 用させていただき,筆者に寄贈 されたもの もあ ります. また,すでに論文 に公表ずみのアケボノゾウ 指骨を金沢大学の高山俊昭教授, トド顎骨 を金沢大学理学部地学教 室の各所蔵標本 を写真に とらせて いただき,金沢大学の神谷隆宏助教授か ら大桑産 イルが 斗脊椎骨 ( 4 個)の情報 を受け ました.
以上の方々に,心から感謝の意を表 します.
参考文献
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6 8
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[ 追記]原稿提 出後,金沢市大 典 町犀川河原 ( 図 1の⑬ )か ら,次の 2 事例の鯨類化石 を産出 ・記録 した O
・鯨 冒 薗鯨並 目 砂岩 プ ロ 、 ソクl 桝 こ脊 椎骨 ・突起 ・筋骨 な どが まとまって入ってい る。プロ 、 ソクの長 さ約 1 1 3 c m ,散大帽約 4 3 c m ,厚 さ約 20 c m ( 金沢市稚 日野町 ・中根昭氏採集)
・鯨 目 ひげ鯨亜 目 下覗骨の‑・ 部片 長 さ約 1 5 c m ( 同大桑町 ・上 酬 喪失氏採集)
6 9
図版 1 大桑層産鯨類化石 ( 1)
P l a t e1 Ce t a c e a nf o s s i l s血 ・ o mt heOmmaFo m a do n(1)
1 .ひげ鯨亜 目 ナガスクジラ科の一種 Ba la e n o p t e r id a eg e n . e ts p. i n d e t .
とう骨 ( R a d i u s , まわ りが うす く砂岩でおおわれている)
産地 :金沢 市大桑町犀川河原 ( 図 1の⑪)
a . b . 全長 長 さ 8 1 c m
c . 近位側 写真 a( b ) の右 ( 左)側 長 さ 2 2 c m d . 遠位 側 写真 a( b) の左 ( 右)側 長 さ 3 0 c m e . 岩片 写真 a の左下 を割った一部 長 さ 1 1 c m
f . 斜め方向か ら写 した もの
2. ひげ鯨亜 日 ナガスクジラ科の一種 Ba l a e n o p t e r id a eg e n . e ts p. i n d e t .
下顎骨 ( Ma n 血b l e ) 産 地 :金沢市来長江 町南東方 の 谷 ( " 長 江五 百石 谷' ' ,図 1の③)
a . b . 先端側 長 さ 2 1 5 c m
c. 後方から見た全体像 全長約 5 1 0 c m d . 後方側 スケールの長 さ 1 6 c m e . 断面 ‑ンマ‑の長 さ 2 8 c m
[ 注] 2 は野外 の葦上 で写 したもの
3. ひげ鯨亜 冒 ナガスクジラ科の一種 Ba la e n o p t e r id a eg e n . e ts p . i n d e t .
右下顎骨の一部 ( M a n d i b l e ) 産地 :金沢市大桑町犀川河原 ( 図 1 の⑪)
a . 外側 ( 頬側面) 長 さ 3 4 c m b . 内側 ( 舌側面) 同上
C. 写真 a の上方か ら見たもの 長 さ 2 7 c m
d . 写真 a( b) の左 ( 右)側か ら見た横 断面 断面 の長 さ 1 7 c m
7 0
図版 2 大桑層産鯨類化石 ( 2)
Pl a t e2 Ce t a ce anf o s s i l sf ro m t heOmmaFo r ma t i o n (2)
1.ひげ鯨亜 目 コククジラ科 ( ? ) の一種 Es c h r i c ht i i dae( ?)ge n. e ts p. i nde t .
左下顎骨後端部 ( M a nd i bl e) 産地 :金沢市東長江町南東方の通称 ・大滝 ( 図 1の④) a . 内側 ( 舌側面) 長 さ 2 7 c m
写真左上のふ くらみは関節突起,右上のふ くらみは筋突起後方隆起部 b. 外側 ( 頬側面) 長 さ 2 8 c m
c . 上側 長 さ 2 6 c m d. 下側 長 さ 2 7 c m e . 後端側 長 さ 2 0 c m
f . 写真 e と反対側の割れ 口 長 さ 1 6 c m
中央下のほぼ円形 の部分 ( 長径 40 mm) は下顎管で,砂 で埋 まってい る
2. ひげ鯨亜 目の一種 Mys t i c e t i f a m. ge n. e ts p. i nde t .
下顎骨の一部 ( M a nd i bl e)
7 2
産地 :金沢市御所町〜卯辰 山間 ( 図 1の②) a . 外側 長さ 7 5 c m
b . 内側 同上
C . 写真 a の右半分 長さ 4 0 c m
d . 写真 b の右半分 同上
e . 写真 d の下方か ら見 た もの 同上
図版 2
7
図版 3 大桑層産鯨類化石 ( 3)
Pl a t e3 Ce t a c e a nf o s s i l sf r o mt heOmmaFo r ma t i o n (3)
1.ひげ鯨亜 冒 ナガスクジラ科 ( ? )の一種 Ba l ae nopt e r idae (?) ge n. e ts p. i nde t .
練突起 ( Sp i n o u sp r o c e s s ,骨の まわ りは うす く砂岩のおおっている部分が多い)
産地 :金沢市中二又町地内の通称 ・子落 ( 図 1の⑦) a . 左 側 長さ 2 9 c m
b . 右側 長 さ 3 0 c m
c. 前側 長さ 3 0 c m d . 後側 長さ 2 9 c m
e . 下側 長さ 1 6 c m 骨部分の最大横幅 6 2 mm f . 上側 長さ 1 6 c m 骨部分の最大横幅 3 4 mm
2. 鯨 目の一種 Ce t a c e as u bo r .f a m.ge n̲e ts p.i nde t .
椎骨突起の一部 ( Pr o c e s s ) 産地 :金沢市館町地 内 ( 図 1の⑧) a . 長 さ 8 5 mm
b. 斜め 断面 長 さ 8 5 mm
3. 鯨 目の‑稜 Ce t a c e as u b o r .f a n.ge n.e ts p.i nde t .
尾椎骨の前部 ( Ca ud a ユ ve r t e br a) 産地 :金沢市夕 日寺地区 ( 図 1の⑤) a , b. 前側 と後側 ( 前後関係不明) 高 さ 1 6 c m
c . 横側 長 さ 1 2 c m d . 斜め方向から見たもの
7 4
7
図版 4 大桑層塵鯨類化石 ( 4)
Pl a t e4 Ce t a c e a nf o s s i l sf r o mt heOmmaFo r ma t i o n (4)
1.ひげ鯨亜 目の一種 Mys t i c e t if a n.ge n.e ts p.i nde t .
脊椎骨 ( 胸椎の一部, Tho r a c i cve r t e br a ) 産地 :金沢市夕 日寺地区 ( 図 1 の⑤) a, b. 前 側 と後側 ( 前後関係不明) 横幅の長 さ 27 c m
c. 上側 横幅 2 4 c m d. 下側 最大横幅 2 7 c m e . 斜め方 向か ら見たもの
2‑6, 歯鯨 亜 目の一種 Od o nt o c e t if a m.ge n.e ts p.i nde t .
胴椎骨後部一尾椎骨 ( Ve r t e br a lc o l umn) 産地 :金沢市夕 日寺町地内 ( 図 1 の⑥) 2a . 写真右か ら左へ,尾の後端 まで 1 4 個の骨が配列
全体 の長 さ約 1 3 0 c m (7 1ケール, の長 さ 1m) 2b. 左側の全配列
3