学習指導要領解説
特別支援学校
自立活動編
(幼稚部・小学部・中学部・高等部)
平 成 21年 6 月
文
部
科
学
省
目
次
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 第 1 章 総 説 1 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 1 改 訂 の 経 緯 1 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 2 改 訂 の 基 本 方 針 3 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 第 2 章 自 立 活 動 の 意 義 と 指 導 の 基 本 5 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 1 自 立 活 動 の 意 義 5 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 2 自 立 活 動 の 指 導 の 基 本 7 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 第 3 章 今 回 の 改 訂 の 要 点 16 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 1 自 立 活 動 の 変 遷 16 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 2 障 害 の と ら え 方 と 自 立 活 動 19 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 3 今 回 の 改 訂 の 要 点 23 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 第 4 章 総 則 に お け る 自 立 活 動 25 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 1 教 育 目 標 25 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 2 教 育 課 程 の 編 成 27 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 第 5 章 自 立 活 動 の 目 標 ( 幼 稚 部 教 育 要 領 ね ら い ) 32 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 第 6 章 自 立 活 動 の 内 容 34 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 1 健 康 の 保 持 35 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 2 心 理 的 な 安 定 42 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 3 人 間 関 係 の 形 成 47 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 4 環 境 の 把 握 53 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 5 身 体 の 動 き 61 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 6 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 69 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 第 7 章 自 立 活 動 の 指 導 計 画 の 作 成 と 内 容 の 取 扱 い 78 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 1 指 導 計 画 の 作 成 78 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 2 指 導 計 画 の 作 成 手 順 81 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 3 他 領 域 と の 関 連 92‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 4 指 導 方 法 の 創 意 工 夫 94 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 5 自 立 活 動 を 主 と し た 指 導 95 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 6 教 師 の 協 力 体 制 96 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 7 専 門 の 医 師 等 と の 連 携 協 力 97
第 1 章
総 説
1 改 訂 の 経 緯 21世 紀 は , 新 し い 知 識 ・ 情 報 ・ 技 術 が 政 治 ・ 経 済 ・ 文 化 を は じ め 社 会 の あ ら ゆ る 領 域 で の 活 動 の 基 盤 と し て 飛 躍 的 に 重 要 性 を 増 す , い わ ゆ る 「 知 識 基 盤 社 会 」 の 時 代 で あ る と 言 わ れ て い る 。 こ の よ う な 知 識 基 盤 社 会 化 や グ ロ ー バ ル 化 , , は ア イ デ ィ ア な ど 知 識 そ の も の や 人 材 を め ぐ る 国 際 競 争 を 加 速 さ せ る 一 方 で 異 な る 文 化 や 文 明 と の 共 存 や 国 際 協 力 の 必 要 性 を 増 大 さ せ て い る 。 こ の よ う な 状 況 に お い て , 確 か な 学 力 , 豊 か な 心 , 健 や か な 体 の 調 和 を 重 視 す る 「 生 き る 力 」 を は ぐ く む こ と が ま す ま す 重 要 に な っ て い る 。 他 方 , OECD( 経 済 協 力 開 発 機 構 ) の PISA調 査 な ど 各 種 の 調 査 か ら は , 我 が 国 の 児 童 生 徒 に つ い て は , 例 え ば , ① 思 考 力 ・ 判 断 力 ・ 表 現 力 等 を 問 う 読 解 力 や 記 述 式 問 題 , 知 識 ・ 技 能 を 活 用 す る 問 題 に 課 題 , ② 読 解 力 で 成 績 分 布 の 分 散 が 拡 大 し て お り , そ の 背 景 に は 家 庭 で の 学 習 時 間 な ど の 学 習 意 欲 , 学 習 習 慣 ・ 生 活 習 慣 に 課 題 , ③ 自 分 へ の 自 信 の 欠 如 や 自 ら の 将 来 へ の 不 安 , 体 力 の 低 下 と い っ た 課 題 , が 見 ら れ る と こ ろ で あ る 。 こ の た め , 平 成 17年 2 月 に は , 文 部 科 学 大 臣 か ら , 21世 紀 を 生 き る 子 ど も た ち の 教 育 の 充 実 を 図 る た め , 教 員 の 資 質 ・ 能 力 の 向 上 や 教 育 条 件 の 整 備 な ど と 併 せ て , 国 の 教 育 課 程 の 基 準 全 体 の 見 直 し に つ い て 検 討 す る よ う , 中 央 教 育 審 議 会 に 対 し て 要 請 し , 同 年 4 月 か ら 審 議 が 開 始 さ れ た 。 ま た , 障 害 の あ る 幼 児 児 童 生 徒 を め ぐ る 動 向 と し て , 障 害 の 重 度 ・ 重 複 化 や 多 様 化 , 学 習 障 害 ( LD , 注 意 欠 陥 多 動 性 障 害 ( ADHD) 等 の 幼 児 児 童 生 徒 へ の) , , , 対 応 や 早 期 か ら の 教 育 的 対 応 に 関 す る 要 望 の 高 ま り 卒 業 後 の 進 路 の 多 様 化 ノ ー マ ラ イ ゼ ー シ ョ ン の 理 念 の 浸 透 な ど が 見 ら れ る と こ ろ で あ る 。 こ う し た 状 況 に か ん が み , 中 央 教 育 審 議 会 に お い て は , 幼 児 児 童 生 徒 の 個 々 の ニ ー ズ に 柔 , , 軟 に 対 応 し 適 切 な 指 導 及 び 必 要 な 支 援 を 行 う と い う 観 点 か ら 審 議 が 進 め ら れ 平 成 17年 12月 に 「 特 別 支 援 教 育 を 推 進 す る た め の 制 度 の 在 り 方 に つ い て ( 答 申 」 が 取 り ま と め ら れ た 。 こ の 答 申 に お け る 提 言 等 を 踏 ま え , 平 成 18年 に 学) 校 教 育 法 等 が 改 正 さ れ , 平 成 19年 度 よ り , 従 来 の 「 盲 学 校 , 聾 学 校 及 び 養 護 学ろ う 校 」 は , 複 数 の 障 害 種 別 を 教 育 の 対 象 と す る こ と の で き る 「 特 別 支 援 学 校 」 に 転 換 さ れ る と と も に , 特 別 支 援 学 校 は , 小 ・ 中 学 校 等 の 要 請 に 応 じ て , こ れ ら の 学 校 に 在 籍 す る 障 害 の あ る 幼 児 児 童 生 徒 の 教 育 に 関 し 必 要 な 助 言 又 は 援 助 を行 う よ う 努 め る こ と が 規 定 さ れ た 。 ま た , 幼 稚 園 , 小 学 校 , 中 学 校 及 び 高 等 学 校 等 に お い て も , 障 害 の あ る 幼 児 児 童 生 徒 に 対 し , 障 害 に よ る 学 習 上 又 は 生 活 上 の 困 難 を 克 服 す る た め の 教 育 を 行 う こ と が 規 定 さ れ た 。 こ の よ う に , 特 別 支 援 教 育 に 関 し て は , 大 き な 制 度 改 正 が な さ れ た と こ ろ で あ る 。 , , さ ら に は 平 成 18年 12月 の 教 育 基 本 法 改 正 や そ の 後 の 学 校 教 育 法 改 正 に よ り 知 ・ 徳 ・ 体 の バ ラ ン ス ( 教 育 基 本 法 第 2 条 第 1 号 ) と と も に , 基 礎 的 ・ 基 本 的 な 知 識 ・ 技 能 , 思 考 力 ・ 判 断 力 ・ 表 現 力 等 及 び 学 習 意 欲 を 重 視 し ( 学 校 教 育 法 第 30条 第 2 項 , 学 校 教 育 に お い て は こ れ ら を 調 和 的 に は ぐ く む こ と が 必 要 で) あ る 旨 が 法 律 上 規 定 さ れ た と こ ろ で あ る 。 中 央 教 育 審 議 会 に お い て は , こ の よ う な 教 育 の 根 本 に さ か の ぼ っ た 法 改 正 を 踏 ま え た 審 議 が 行 わ れ , 2 年 10か 月 に わ た る 審 議 の 末 , 平 成 20年 1 月 に 「 幼 稚 園 , 小 学 校 , 中 学 校 , 高 等 学 校 及 び 特 別 支 援 学 校 の 学 習 指 導 要 領 等 の 改 善 に つ い て 」 答 申 を 行 っ た 。 こ の 答 申 で は , 各 学 校 段 階 や 各 教 科 等 に わ た る 学 習 指 導 要 領 な ど の 改 善 の 方 向 性 と し て , 次 の 7 点 を 示 し て い る 。 ① 改 正 教 育 基 本 法 等 を 踏 ま え た 学 習 指 導 要 領 改 訂 ② 「 生 き る 力 」 と い う 理 念 の 共 有 ③ 基 礎 的 ・ 基 本 的 な 知 識 ・ 技 能 の 習 得 ④ 思 考 力 ・ 判 断 力 ・ 表 現 力 等 の 育 成 ⑤ 確 か な 学 力 を 確 立 す る た め に 必 要 な 授 業 時 数 の 確 保 ⑥ 学 習 意 欲 の 向 上 や 学 習 習 慣 の 確 立 ⑦ 豊 か な 心 や 健 や か な 体 の 育 成 の た め の 指 導 の 充 実 こ れ ら に 加 え て , 特 別 支 援 教 育 に 関 し て は , ① 社 会 の 変 化 や 子 ど も の 障 害 の 重 度 ・ 重 複 化 , 多 様 化 , ② 複 数 の 障 害 種 別 に 対 応 し た 教 育 を 行 う こ と の で き る 特 別 支 援 学 校 制 度 の 創 設 , ③ 幼 稚 園 , 小 学 校 , 中 学 校 及 び 高 等 学 校 等 に お け る 特 別 支 援 教 育 の 制 度 化 な ど に 対 応 し , 障 害 の あ る 子 ど も 一 人 一 人 の 教 育 的 ニ ー ズ に 対 応 し た 適 切 な 教 育 や 必 要 な 支 援 を 行 う 観 点 か ら , 教 育 課 程 の 基 準 の 改 善 を 図 る こ と が 示 さ れ て い る 。 こ の 答 申 を 踏 ま え , 平 成 20年 3 月 28日 に 学 校 教 育 法 施 行 規 則 を 改 正 す る と と も に , 幼 稚 園 教 育 要 領 , 小 学 校 学 習 指 導 要 領 及 び 中 学 校 学 習 指 導 要 領 を 公 示 し た 。 ま た , 平 成 21年 3 月 9 日 に は , 高 等 学 校 学 習 指 導 要 領 , 特 別 支 援 学 校 の 幼 , , 。 稚 部 教 育 要 領 小 学 部 ・ 中 学 部 学 習 指 導 要 領 高 等 部 学 習 指 導 要 領 を 公 示 し た 特 別 支 援 学 校 の 新 し い 学 習 指 導 要 領 等 は , 幼 稚 園 , 小 学 校 , 中 学 校 及 び 高 等 学 校 の 新 学 習 指 導 要 領 等 の 実 施 時 期 に 合 わ せ て , 幼 稚 部 に つ い て は 平 成 21年 度
か ら , 小 学 部 に つ い て は 平 成 23年 度 か ら , 中 学 部 に つ い て は 平 成 24年 度 か ら , 全 面 実 施 す る こ と と し , 高 等 部 に つ い て は , 平 成 25年 度 か ら 学 年 進 行 に よ り 段 階 的 に 実 施 す る こ と と し て い る 。 2 改 訂 の 基 本 方 針 特 別 支 援 学 校 の 学 習 指 導 要 領 等 は , 教 育 基 本 法 や 学 校 教 育 法 等 の 規 定 に の っ と り , 前 述 の 中 央 教 育 審 議 会 答 申 を 踏 ま え , 次 の 方 針 に 基 づ き 改 訂 し た も の で あ る 。 (1) 次 に 示 す ① か ら ③ の 基 本 方 針 に 基 づ き , 幼 稚 園 , 小 学 校 , 中 学 校 及 び 高 等 学 校 の 教 育 課 程 の 基 準 の 改 善 に 準 じ た 改 善 を 図 る 。 ① 教 育 基 本 法 改 正 等 で 明 確 と な っ た 教 育 の 理 念 を 踏 ま え 「 生 き る 力 」 を 育 成 す る こ と 。 ② 知 識 ・ 技 能 の 習 得 と 思 考 力 ・ 判 断 力 ・ 表 現 力 等 の 育 成 の バ ラ ン ス を 重 視 す る こ と 。 ③ 道 徳 教 育 や 体 育 な ど の 充 実 に よ り , 豊 か な 心 や 健 や か な 体 を 育 成 す る こ と 。 (2) 社 会 の 変 化 や 幼 児 児 童 生 徒 の 障 害 の 重 度 ・ 重 複 化 , 多 様 化 な ど に 対 応 し , 障 害 の あ る 子 ど も 一 人 一 人 の 教 育 的 ニ ー ズ に 応 じ た 適 切 な 教 育 や 必 要 な 支 援 を 充 実 す る 。 近 年 , 時 代 の 進 展 と と も に 特 別 支 援 学 校 を 取 り 巻 く 諸 状 況 は 大 き く 変 化 し て き て い る 。 例 え ば , 国 内 外 に お け る 障 害 者 施 策 の 進 展 , 幼 児 児 童 生 徒 の 障 害 の 重 度 ・ 重 複 化 , 発 達 障 害 を 含 む 障 害 の 多 様 化 , 教 育 , 医 療 , 福 祉 , 労 働 等 の 関 係 機 関 が 連 携 し た 支 援 の 必 要 性 な ど が 挙 げ ら れ る 。 こ の よ う な 状 況 の 変 化 に 適 切 に 対 応 し , 障 害 の あ る 幼 児 児 童 生 徒 が 自 己 の も つ 能 力 や 可 能 性 を 最 大 限 に 伸 ば し , 自 立 し 社 会 参 加 す る た め に 必 要 な 力 を 培 う た め に は , 一 人 一 人 の 障 害 の 状 態 等 に 応 じ た き め 細 か な 指 導 を 一 層 充 実 す る こ と が 重 要 で あ る 。 こ の た め , 以 下 の ア か ら エ の 観 点 か ら , 改 善 を 図 っ て い る 。 ア 障 害 の 重 度 ・ 重 複 化 , 多 様 化 へ の 対 応 障 害 に よ る 学 習 上 又 は 生 活 上 の 困 難 を 改 善 ・ 克 服 す る た め の 指 導 ・ 領 域 で あ る 「 自 立 活 動 」 に つ い て , 障 害 の 重 度 ・ 重 複 化 , 発 達 障 害 を 含 む 多 様 な 障 害 に 応 じ た 指 導 を 充 実 す る た め , そ の 内 容 と し て , 「 他 者 と の か か わ り の 基 礎 に 関 す る こ と 」 を 示 す な ど の 改 善 を 図 る と と も に , 指 導 計 画 作 成 の 手 順 等 を 明 確 に し た 。
・ 重 複 障 害 者 や 訪 問 教 育 に 関 し , 指 導 計 画 作 成 上 の 配 慮 事 項 を 規 定 し た 。 イ 一 人 一 人 に 応 じ た 指 導 の 充 実 ・ す べ て の 幼 児 児 童 生 徒 に つ い て , 各 教 科 等 に わ た る 「 個 別 の 指 導 計 画 」 を 作 成 す る こ と を 規 定 し た 。 ・ 教 育 , 医 療 , 福 祉 , 労 働 等 の 関 係 機 関 が 連 携 し , 一 人 一 人 に 応 じ , 「 」 た 支 援 を 行 う た め す べ て の 幼 児 児 童 生 徒 に 個 別 の 教 育 支 援 計 画 を 作 成 す る こ と を 規 定 し た 。 ウ 自 立 と 社 会 参 加 に 向 け た 職 業 教 育 の 充 実 ・ 知 的 障 害 者 で あ る 生 徒 に 対 す る 教 育 を 行 う 特 別 支 援 学 校 に お け る 職 業 教 育 を 充 実 す る た め , 高 等 部 の 専 門 教 科 と し て 「 福 祉 」 を 新 設 し た 。 ・ 地 域 や 産 業 界 等 と 連 携 し , 職 業 教 育 や 進 路 指 導 の 充 実 を 図 る こ と を 規 定 し た 。 エ 交 流 及 び 共 同 学 習 の 推 進 ・ 幼 稚 園 , 小 学 校 , 中 学 校 及 び 高 等 学 校 等 の 幼 児 児 童 生 徒 と 交 流 及 び 共 同 学 習 を 計 画 的 , 組 織 的 に 行 う こ と を 規 定 し た 。
第 2 章
自 立 活 動 の 意 義 と 指 導 の 基 本
1 自 立 活 動 の 意 義 (1) 自 立 活 動 と は 特 別 支 援 学 校 に は , 学 校 教 育 法 施 行 令 第 22条 の 3 に 該 当 す る 視 覚 障 害 , 聴 覚 障 害 , 知 的 障 害 , 肢 体 不 自 由 又 は 病 弱 の 幼 児 児 童 生 徒 , 同 条 に 該 当 す る 障 害 を 複 数 併 せ 有 す る 重 複 障 害 の 幼 児 児 童 生 徒 が 在 学 し て い る 。 そ し て , そ れ ら の 障 害 に 言 語 障 害 , 情 緒 障 害 , 自 閉 症 , LD, ADHD等 を 併 せ 有 す る 幼 児 児 童 生 徒 が 在 学 し て い る 場 合 も あ る 。 特 別 支 援 学 校 の 教 育 に お い て は , こ う し た 障 害 の あ る 幼 児 児 童 生 徒 を 対 象 と し て , 幼 稚 園 , 小 学 校 , 中 学 校 , 高 等 学 校 及 び 中 等 教 育 学 校 ( 以 下 「 小 ・ 中 学 校 等 」 と い う ) と 同 様 に , 学 校 の 教, 。 育 活 動 全 体 を 通 じ て , 幼 児 児 童 生 徒 の 人 間 と し て 調 和 の と れ た 育 成 を 目 指 し て い る 。 小 ・ 中 学 校 等 の 教 育 は , 幼 児 児 童 生 徒 の 生 活 年 齢 に 即 し て 系 統 的 ・ 段 階 的 に 進 め ら れ て い る 。 そ し て , そ の 教 育 の 内 容 は , 幼 児 児 童 生 徒 の 発 達 の 段 階 等 に 即 し て 選 定 さ れ た も の が 配 列 さ れ て お り , そ れ ら を 順 に 教 育 を す る こ と に よ り 人 間 と し て 調 和 の と れ た 育 成 が 期 待 さ れ て い る 。 し か し , 障 害 の あ る 幼 児 児 童 生 徒 の 場 合 は , そ の 障 害 に よ っ て , 日 常 生 活 や 学 習 場 面 に お い て 様 々 な つ ま ず き や 困 難 が 生 じ る こ と か ら , 小 ・ 中 学 校 等 の 幼 児 児 童 生 徒 と 同 じ よ う に 心 身 の 発 達 の 段 階 等 を 考 慮 し て 教 育 す る だ け で は 十 分 と は 言 え な い 。 そ こ で , 個 々 の 障 害 に よ る 学 習 上 又 は 生 活 上 の 困 難 を 改 善 ・ 克 服 す る た め の 指 導 が 必 要 と な る 。 こ の た め , 特 別 支 援 学 校 に お い て は , 小 ・ 中 学 校 等 と 同 様 の 各 教 科 等 の ほ か に , 特 に 「 自 立 活 動 」 の 領 域 を 設 定 し , そ の 指 導 を 行 う こ と に よ っ て , 幼 児 児 童 生 徒 の 人 間 と し て 調 和 の と れ た 育 成 を 目 指 し て い る の で あ る 。 (2) 自 立 活 動 の 教 育 課 程 上 の 位 置 付 け , ,「 , 特 別 支 援 学 校 の 目 的 に つ い て は 学 校 教 育 法 第 72条 で 特 別 支 援 学 校 は 視 覚 障 害 者 , 聴 覚 障 害 者 , 知 的 障 害 者 , 肢 体 不 自 由 者 又 は 病 弱 者 ( 身 体 虚 弱 者 を 含 む 。 以 下 同 じ ) に 対 し て , 幼 稚 園 , 小 学 校 , 中 学 校 又 は 高 等 学 校 に。 準 ず る 教 育 を 施 す と と も に , 障 害 に よ る 学 習 上 又 は 生 活 上 の 困 難 を 克 服 し 自 立 を 図 る た め に 必 要 な 知 識 技 能 を 授 け る こ と を 目 的 と す る 」 こ と が 示 さ れ。 て い る 。 こ の 前 段 に 示 さ れ て い る 「 特 別 支 援 学 校 は , 視 覚 障 害 者 , 聴 覚 障 害 者 , 知的 障 害 者 , 肢 体 不 自 由 者 又 は 病 弱 者 (身 体 虚 弱 者 を 含 む 。 以 下 同 じ 。 )に 対 し て , 幼 稚 園 , 小 学 校 , 中 学 校 又 は 高 等 学 校 に 準 ず る 教 育 を 施 す 」 と は , 特 別 , , , 「 」 支 援 学 校 に お い て は 幼 稚 園 小 学 校 中 学 校 又 は 高 等 学 校 に 準 ず る 教 育 を 行 う こ と を 示 し た も の で あ る 。 こ の 「 準 ず る 教 育 」 の 部 分 は , 教 育 課 程 の 観 点 か ら 考 え る と , 例 え ば 小 学 校 の 場 合 に は , 各 教 科 , 道 徳 , 外 国 語 活 動 , 総 合 的 な 学 習 の 時 間 及 び 特 別 活 動 の 指 導 に 該 当 す る も の で あ る 。 後 段 に 示 さ れ て い る 「 障 害 に よ る 学 習 上 又 は 生 活 上 の 困 難 を 克 服 し 自 立 を 図 る た め に 必 要 な 知 識 技 能 を 授 け る 」 と は , 個 々 の 幼 児 児 童 生 徒 が 自 立 を 目 指 し , 障 害 に よ る 学 習 上 又 は 生 活 上 の 困 難 を 主 体 的 に 改 善 ・ 克 服 す る た め に 必 要 な 知 識 , 技 能 , 態 度 及 び 習 慣 を 養 う 指 導 の こ と で あ り 「 自 立 活 動 」 の, 指 導 を 中 心 と し て 行 わ れ る も の で あ る 。 す な わ ち , 自 立 活 動 は , 特 別 支 援 学 校 の 教 育 課 程 に お い て 特 別 に 設 け ら れ た 指 導 領 域 で あ る 。 こ の 自 立 活 動 は , 授 業 時 間 を 特 設 し て 行 う 自 立 活 動 の 時 間 に お け る 指 導 を 中 心 と し , 各 教 科 等 の 指 導 に お い て も , 自 立 活 動 の 指 導 と 密 接 な 関 連 を 図 っ て 行 わ れ な け れ ば な 。 , , , ら な い こ の よ う に 自 立 活 動 は 障 害 の あ る 幼 児 児 童 生 徒 の 教 育 に お い て 教 育 課 程 上 重 要 な 位 置 を 占 め て い る と 言 え る 。 ま た , 小 学 校 又 は 中 学 校 の 特 別 支 援 学 級 や 通 級 に よ る 指 導 に お い て は , 児 童 生 徒 の 障 害 の 状 態 等 を 考 慮 す る と , 小 学 校 又 は 中 学 校 の 教 育 課 程 を そ の ま ま 適 用 す る こ と が 必 ず し も 適 当 で は な く , 特 別 支 援 学 校 小 学 部 ・ 中 学 部 学 習 指 導 要 領 に 示 さ れ て い る 自 立 活 動 等 を 取 り 入 れ た 特 別 な 教 育 課 程 を 編 成 す る 必 要 性 が 生 じ る 場 合 が あ る 。 こ の た め , 学 校 教 育 法 施 行 規 則 に は , 特 別 支 援 学 級 又 は 通 級 に よ る 指 導 に お い て 「 特 に 必 要 が あ る 場 合 に は , 特 別 の 教 育, 」 , 課 程 に よ る こ と が で き る こ と を 規 定 し て い る (学 校 教 育 法 施 行 規 則 第 138条 同 第 140条 )。 こ の 規 定 を 受 け て , 小 学 校 学 習 指 導 要 領 又 は 中 学 校 学 習 指 導 要 領 解 説 (総 則 編 )で は , 特 別 支 援 学 級 又 は 通 級 に よ る 指 導 に お い て 特 別 の 教 育 課 程 を 編 成 す る 場 合 に 「 特 別 支 援 学 校 小 学 部 ・ 中 学 部 学 習 指 導 要 領 を 参 考, と し , 例 え ば , 障 害 に よ る 学 習 上 又 は 生 活 上 の 困 難 の 改 善 ・ 克 服 を 目 的 と し た 指 導 領 域 で あ る 「 自 立 活 動 」 の 内 容 を 取 り 入 れ る 」 な ど し て , 実 情 に 合 っ た 教 育 課 程 を 編 成 す る 必 要 が あ る こ と が 示 さ れ て い る 。 な お , 小 学 校 又 は 中 学 校 の 通 常 の 学 級 に 在 籍 し て い る 児 童 生 徒 の 中 に は , 通 級 に よ る 指 導 の 対 象 と は な ら な い が 障 害 に よ る 学 習 上 又 は 生 活 上 の 困 難 の 改 善 ・ 克 服 を 目 的 と し た 指 導 が 必 要 と な る 者 が い る 。 こ う し た 児 童 生 徒 の 指 導 に 当 た っ て は , 本 書 に 示 し た 内 容 を 参 考 に し て 適 切 な 指 導 や 必 要 な 支 援 を 行 う こ と が 望 ま れ る 。
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自 立 活 動 の 指 導 の 基 本
(1) 自 立 活 動 の 指 導 の 特 色 自 立 活 動 の 指 導 は , 個 々 の 幼 児 児 童 生 徒 が 自 立 を 目 指 し , 障 害 に よ る 学 習 上 又 は 生 活 上 の 困 難 を 主 体 的 に 改 善 ・ 克 服 し よ う と す る 取 組 を 促 す 教 育 活 動 で あ り , 個 々 の 幼 児 児 童 生 徒 の 障 害 の 状 態 や 発 達 の 段 階 等 に 即 し て 指 導 を 行 う こ と が 基 本 で あ る 。 そ の た め , 自 立 活 動 の 指 導 に 当 た っ て は , 個 々 の 幼 児 児 童 生 徒 の 実 態 を 的 確 に 把 握 し , 個 別 に 指 導 の 目 標 や 具 体 的 な 指 導 内 容 を 定 め た 個 別 の 指 導 計 画 が 作 成 さ れ て い る 。 個 別 の 指 導 計 画 に 基 づ く 自 立 活 動 の 指 導 は , 個 別 指 導 の 形 態 で 行 わ れ る こ と が 多 い が , 指 導 の 目 標 を 達 成 す る 上 で 効 果 的 で あ る 場 合 に は , 幼 児 児 童 生 徒 の 集 団 を 構 成 し て 指 導 す る こ と も 考 え ら れ る 。 し か し , 自 立 活 動 の 指 導 計 画 は 個 別 に 作 成 さ れ る こ と が 基 本 で あ り , 最 初 か ら 集 団 で 指 導 す る こ と を 前 提 と す る も の で は な い 点 に 十 分 留 意 す る こ と が 重 要 で あ る 。 (2) 自 立 活 動 の 内 容 と そ の 取 扱 い に つ い て ア 学 習 指 導 要 領 等 に 示 す 自 立 活 動 の 内 容 小 学 校 学 習 指 導 要 領 又 は 中 学 校 学 習 指 導 要 領 に 示 さ れ て い る 各 教 科 等 の 「 内 容 」 は , す べ て の 児 童 生 徒 に 対 し て 確 実 に 指 導 し な け れ ば な ら な い 内 容 で あ る 。 こ れ に 対 し て , 特 別 支 援 学 校 の 学 習 指 導 要 領 等 で 示 す 自 立 活 動 の 「 内 容 」 は , 個 々 の 幼 児 児 童 生 徒 の 障 害 の 状 態 や 発 達 の 程 度 等 に 応 じ て 選 定 さ れ る も の で あ る 。 こ の よ う に 自 立 活 動 の 内 容 は , 個 々 の 幼 児 児 童 生 徒 に , そ の す べ て を 指 導 す べ き も の と し て 示 さ れ て い る も の で は な い こ と に 十 分 留 意 す る 必 要 が あ る 。 ま た , 学 習 指 導 要 領 等 に 示 す 自 立 活 動 の 「 内 容 」 は , 個 々 の 幼 児 児 童 生 徒 に 設 定 さ れ る 具 体 的 な 「 指 導 内 容 」 の 要 素 と な る も の で あ る 。 し た が っ て , 具 体 的 な 指 導 内 容 を 設 定 す る 際 に は , 個 々 の 幼 児 児 童 生 徒 の 障 害 の 状 態 や 発 達 の 程 度 等 の 的 確 な 把 握 に 基 づ き , 自 立 を 目 指 し て 設 定 さ れ る 指 導 の 目 標 を 達 成 す る た め に , 学 習 指 導 要 領 等 に 示 さ れ て い る 「 内 容 」 の 中 か ら 必 要 な 項 目 を 選 定 し , そ れ ら を 相 互 に 関 連 付 け る こ と が 重 要 で あ る 。 イ 自 立 活 動 の 内 容 の 考 え 方 自 立 活 動 の 内 容 は , 人 間 と し て の 基 本 的 な 行 動 を 遂 行 す る た め に 必 要 な 要 素 と , 障 害 に よ る 学 習 上 又 は 生 活 上 の 困 難 を 改 善 ・ 克 服 す る た め に 必 要 な 要 素 で 構 成 し て お り , そ れ ら の 代 表 的 な 要 素 で あ る 26項 目 を 「 健 康 の 保」,「 」,「 」,「 」,「 」 持 心 理 的 な 安 定 人 間 関 係 の 形 成 環 境 の 把 握 身 体 の 動 き 及 び 「 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 」 の 六 つ の 区 分 に 分 類 ・ 整 理 し た も の で あ る 。 自 立 活 動 の 内 容 は , 六 つ の 区 分 の 下 に , そ れ ぞ れ 3 ~ 5 の 項 目 を 示 し て あ る 。 こ う し た 大 き な 区 分 の 下 に 幾 つ か の 項 目 を 設 け る と い う 自 立 活 動 の 内 容 の 示 し 方 に つ い て は , 自 立 活 動 の 前 身 で あ る 「 養 護 ・ 訓 練 」 が 創 設 さ れ た 当 時 か ら 少 し も 変 わ っ て い な い 。 養 護 ・ 訓 練 を 創 設 し た 昭 和 46年 当 時 , 養 護 ・ 訓 練 の 内 容 を 示 す に 当 た っ て は , 各 学 校 で 行 わ れ て い た 特 別 の 訓 練 等 の 指 導 に つ い て , そ の 具 体 的 な 指 導 内 容 と な る 事 項 を 細 か く 取 り 上 げ , そ れ ら を 大 き く 分 類 す る と い う 作 業 が 繰 り 返 さ れ た 。 こ の 作 業 の 過 程 に お い て , 個 々 の 幼 児 児 童 生 徒 に 対 す る 具 体 的 な 指 導 内 容 は , 指 導 の 方 法 と 密 接 に 関 連 し て い る 場 合 が 多 い こ と が 明 ら か に さ れ た 。 こ れ を 受 け て 養 護 ・ 訓 練 の 内 容 の 示 し 方 に つ い て 検 討 を 行 っ た 結 果 , そ の 示 し 方 に つ い て は , 個 々 の 方 法 ま で は 言 及 し な い と い う 方 針 の 下 に 整 理 が 行 わ れ , 大 綱 的 な 表 現 と な っ た 経 緯 が あ る 。 学 習 指 導 要 領 等 の 自 立 活 動 の 「 内 容 」 に は , た く さ ん の 具 体 的 な 指 導 内 容 か ら , 人 間 と し て の 基 本 的 な 行 動 を 遂 行 す る た め に 必 要 な 要 素 と , 障 害 に よ る 学 習 上 又 は 生 活 上 の 困 難 を 改 善 ・ 克 服 す る た め に 必 要 な 要 素 を 抽 出 し , そ れ ら の 中 か ら 代 表 的 な 要 素 を 「 項 目 」 と し て 示 し て い る の で あ る 。 ウ 具 体 的 な 指 導 内 容 学 習 指 導 要 領 等 に 示 さ れ て い る 自 立 活 動 の 「 内 容 」 は , 各 教 科 等 の よ う に そ の す べ て を 取 り 扱 う も の で は な く , 一 人 一 人 の 幼 児 児 童 生 徒 の 実 態 に 応 じ て 必 要 な 項 目 を 選 定 し て 取 り 扱 う も の で あ る 。 す な わ ち , 個 々 の 幼 児 児 童 生 徒 に 設 定 さ れ る 具 体 的 な 「 指 導 内 容 」 は , 学 習 指 導 要 領 等 に 示 さ れ て い る 「 内 容 」 か ら 必 要 な 項 目 を 選 定 し , そ れ ら を 相 互 に 関 連 付 け て 設 定 さ れ る も の で あ る 。 と こ ろ で , 自 立 活 動 の 内 容 は 大 綱 的 に 示 し て あ る こ と か ら , 項 目 に 示 さ , 。 れ て い る 文 言 だ け で は 具 体 的 な 指 導 内 容 が イ メ ー ジ し に く い 場 合 が あ る 例 え ば 「 4, 環 境 の 把 握 」 の 区 分 の 下 に 示 さ れ て い る 「 (1) 保 有 す る 感 覚 の 活 用 に 関 す る こ と 」 と い う 項 目 に つ い て は , 弱 視 や 難 聴 の 児 童 の 視。 覚 や 聴 覚 の 活 用 に 関 す る こ と を 指 し て い る こ と は 分 か る が , 自 閉 症 が あ り 光 や 音 の 刺 激 に 敏 感 に 反 応 し て し ま う 状 態 を 改 善 す る 指 導 は イ メ ー ジ し に く い と い っ た 場 合 な ど で あ る 。 , , 障 害 の あ る 幼 児 児 童 生 徒 の 実 態 は 多 様 で あ り 前 述 し た よ う な 理 由 か ら
自 立 活 動 の 内 容 の 示 し 方 は あ る 程 度 大 綱 的 に な ら ざ る を 得 な い 。 そ こ で , 自 立 活 動 の 指 導 を 担 当 す る 教 師 に は , 学 習 指 導 要 領 等 に 示 さ れ た 内 容 を 参 考 と し て , 個 々 の 幼 児 児 童 生 徒 の 実 態 を 踏 ま え , 具 体 的 な 指 導 内 容 を 工 夫 す る こ と が 求 め ら れ る の で あ る 。 ま た , 個 々 の 幼 児 児 童 生 徒 に 指 導 す る 具 体 的 な 指 導 内 容 は , 六 つ の 区 分 の 下 に 示 さ れ た 26項 目 の 中 か ら 必 要 と す る 項 目 を 選 定 し た 上 で , そ れ ら を 相 互 に 関 連 付 け て 設 定 す る こ と が 重 要 で あ る 。 例 え ば , 玩 具 に 興 味 を も ち 始 め た 上 肢 に ま ひ の あ る 幼 児 に 「 玩 具 に 手, を 伸 ば す 」 と い う 指 導 の 目 標 が 考 え ら れ た と し よ う 。 こ の 目 標 を 達 成 す る た め に は , 置 い て あ る 玩 具 ま で の 距 離 と 方 向 を 視 覚 に よ っ て 正 確 に と ら え る と と も に , 玩 具 を 目 指 し て 手 を 伸 ば す と い う 上 肢 を 適 切 に 操 作 す る 運 動 ・ 動 作 が 必 要 で あ る 。 そ こ で 「 4, 環 境 の 把 握 」 の 区 分 の 下 に 示 さ れ て い る 項 目 と 「 5 身 体 の 動 き 」 の 区 分 の 下 に 示 さ れ て い る 項 目 を 組 み 合 わ せ て , 具 体 的 な 指 導 内 容 を 設 定 す る こ と が 求 め ら れ る 。 そ の 幼 児 が 自 分 の 視 覚 で と ら え や す い 色 や 大 き さ , そ し て , 上 肢 を 動 か す こ と が で き る 範 囲 等 を 考 慮 し て , 具 体 的 な 指 導 内 容 を 検 討 し な け れ ば な ら な い の で あ る 。 つ , , , ま り 具 体 的 な 指 導 内 容 を 考 え る 際 に は 幼 児 児 童 生 徒 の 実 態 を 踏 ま え て 自 立 活 動 の 様 々 な 項 目 を 組 み 合 わ せ る 必 要 が あ る こ と に 十 分 留 意 す る こ と が 大 切 な の で あ る 。 エ 具 体 的 な 指 導 内 容 の 例 個 々 の 幼 児 児 童 生 徒 の 具 体 的 な 指 導 内 容 に つ い て , 以 下 に 例 を 挙 げ て 説 明 す る 。 (ア) 障 害 が 重 度 で 重 複 し て い る 児 童 の 例 図 1 は , 肢 体 不 自 由 の 程 度 も 知 的 障 害 の 程 度 も 共 に 重 度 な 児 童 の 例 で あ る 。 自 立 活 動 の 指 導 に 当 た っ て は , 個 々 の 幼 児 児 童 生 徒 の 実 態 を 的 確 に 把 。 , , , 握 す る こ と が 大 切 で あ る そ の た め ま ず 幼 児 児 童 生 徒 の 障 害 の 状 態 発 達 や 経 験 の 程 度 , 興 味 ・ 関 心 , 生 活 や 学 習 環 境 な ど に つ い て 情 報 収 集 を す る こ と が 求 め ら れ る 。 収 集 さ れ た 多 様 な 情 報 は , 指 導 計 画 を 作 成 す る た め に 整 理 さ れ る 必 要 が あ る 。 整 理 の 方 法 は い ろ い ろ 考 え ら れ る が , こ こ で は 自 立 活 動 の 区 分 に 即 し て 整 理 し た 例 を 示 し て い る 。 こ の 児 童 は , 日 常 生 活 に お い て 体 調 は 安 定 し て い る が , 音 声 等 の 刺 激 が 乏 し く な る と 眠 る こ と が あ る 。 ま た , 環 境 が 変 化 す る と 不 安 に な り や す い が , よ く 知 っ て い る 人 が か か わ る と 落 ち 着 き を 示 し , い つ も 接 す る
教 師 や 家 族 と の か か わ り を 喜 ぶ 。 さ ら に , 音 の 変 化 に 気 付 き , 表 情 を 変 え , 音 源 を 探 索 す る 様 子 が 見 ら れ る 。 そ し て , 玩 具 が 手 に 触 れ る と つ か む が , 自 分 か ら 玩 具 に 手 を 伸 ば そ う と は し な い 。 併 せ て , 機 嫌 の よ い と き に よ く 発 声 す る こ と な ど が 観 察 さ れ て い る 。 こ う し た 現 在 の 状 態 を , 少 し で も プ ラ ス の 方 向 に 発 展 さ せ る た め 幾 つ か の 指 導 目 標 を 設 定 す る こ と が 次 の ス テ ッ プ に な る 。 こ の 児 童 の 場 合 , 生 活 リ ズ ム の 形 成 , 人 へ の 関 心 の 喚 起 , 音 の す る 玩 具 へ の 興 味 ・ 関 心 の 拡 大 な ど 幾 つ か の 観 点 か ら 自 立 活 動 の 指 導 の 目 標 を 設 定 す る こ と が で き そ う で あ る 。 児 童 は , 音 に 興 味 を 示 し て 音 の 出 る 玩 具 の 方 向 を 見 る こ と は で き る が , 動 く 玩 具 を 目 で 追 っ た り , 手 を 伸 ば し て 玩 具 を 取 ろ う と し た り す る 行 動 に ま で は 至 っ て い な い 。 教 師 が 音 の 出 る 玩 具 で か か わ る と , 。 , 情 緒 的 に 安 定 し 目 覚 め た 状 態 で の 活 動 が 促 さ れ る よ う で あ る つ ま り 音 に 対 す る 興 味 ・ 関 心 を 中 心 と し た 活 動 に よ り , 生 活 リ ズ ム を 安 定 さ せ 人 と の か か わ り を 活 発 に す る な ど 全 人 的 な 発 達 を 促 す こ と が で き る と 考 え ら れ る 。 そ こ で 「 音 を 聞 き な が ら 玩 具 を 目 で 追 っ た り , 玩 具 を 手 に, 持 ち , 音 を 出 し て 楽 し ん だ り す る 」 と い う 指 導 目 標 を 設 定 す る こ と と。 し た 。 次 に , こ の 指 導 目 標 を 達 成 す る た め に , 当 面 ど の よ う な 優 先 順 位 で 指 導 を 行 う か に つ い て 検 討 し , 具 体 的 な 指 導 内 容 を 設 定 す る こ と が 必 要 で あ る 。 そ こ で , 自 立 活 動 の 内 容 に 示 さ れ て い る 項 目 の 中 か ら , そ れ ぞ れ 必 要 な 項 目 を 選 定 し , そ れ ら を 適 宜 組 み 合 わ せ る こ と に よ っ て , 具 体 的 な 指 導 内 容 を 設 定 し て い る 。 例 え ば , 聴 覚 の 活 用 を 一 層 促 し な が ら , 情 緒 の 安 定 を 図 る こ と な ど を 目 指 し て 「 音 の 変 化 を 楽 し ん だ り , 音 の す る 玩 具 の 動 き を 目 で 追 っ た, り , 音 が す る と こ ろ を 捜 し た り す る 」 と 設 定 し た 。 ま た , 音 に 対 す る。 興 味 を 生 か し て 手 の 動 き を 引 き 出 し な が ら , コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 基 礎 的 能 力 を 高 め る こ と な ど を 目 指 し て 「 玩 具 を 振 っ た り , そ れ に 触 っ た り し て 音 を 出 し , 笑 顔 に な っ た り 発 声 し た り す る。」,「 教 師 の 言 葉 掛 け を 聴 い て , 玩 具 に 手 を 伸 ば し て 音 を 出 し た り す る 」 と い う 指 導 内 容 を 設。 定 し て い る 。 こ の よ う に 指 導 目 標 を 達 成 す る た め に 必 要 な 具 体 的 な 指 導 内 容 は , 幾 つ か の 項 目 が 関 連 す る も の で あ る 。 言 い 換 え れ ば , 自 立 活 動 の 内 容 は , 具 体 的 な 指 導 内 容 を 検 討 す る 際 の 視 点 を 提 供 し て い る も の と 言 え る の で あ る 。
児童:小学部第1学年 障害名等:肢体不自由(脳性まひ ,知的障害(知的発達のレベル:0歳6か月未満)) 障害の状態,発達や経験の程度,興味・関心,生活や学習環境などについて情報収集 実 収集した情報を自立活動の区分に即して整理 態 コミュニケーション 健康の保持 心理的な安定 人間関係の形成 環境の把握 身体の動き 把 ・ 体調は安定し ・ 不安になりや ・ いつも接する ・ 音の変化に気 ・ 触れた物をつ ・ 機嫌のよいと ているが,刺 すいが,よく 教師や家族と 付き,表情を かむが,玩具 きによく発声 握 激が乏しくな 知っている人 のかかわりを 変える。音源 に手を伸ばそ する。 。 ると眠ること がかかわると 喜ぶ。 を探索する様 うとはしない 。 がある。 落ち着く。 子も見られる 幾つかの指導目標の中で優先する目標として 指導 音を聞きながら玩具を目で追ったり,玩具を 目標 手に持ち,音を出して楽しんだりする。 指導目標を達成するために必要な項目の選定 選 コミュニケーション 定 健康の保持 心理的な安定 人間関係の形成 環境の把握 身体の動き さ れ ・ 生活のリズム ・ 情緒の安定に ・ 他者とのかか ・ 保有する感覚 ・ 姿勢と運動・動 ・ コミュニケー た や生活習慣の 関すること。 わりの基礎に の活用に関す 作の基本的技 ションの基礎 項 形成に関する 関すること。 ること。 能に関するこ 的能力に関す 目 こと。 と。 ること。 選定された項目を 関連付け具体的な 指導内容を設定 具 ・ 音の変化を楽しんだり,・ 玩具を振ったり,それに ・ 教師の言葉掛けを聴い 体 指 音のする玩具の動きを 触ったりして音を出し, て,玩具に手を伸ばし 的 導 目で追ったり,音がす 笑顔になったり発声した て音を出したりする。 な 内 るところを探索したり りする。 容 する。 図1 具体的な指導内容の例(障害が重度で重複している児童)
(イ) 聴 覚 障 害 の あ る 生 徒 の 例 図 2 は , 聴 覚 障 害 者 で あ る 生 徒 に 対 す る 教 育 を 行 う 特 別 支 援 学 校 に 在 学 す る , 高 等 部 第 3 学 年 の 生 徒 の 指 導 内 容 例 で あ る 。 聴 覚 障 害 の あ る 生 徒 の 場 合 , 就 職 を 意 識 す る よ う に な る と , 自 分 が 職 場 で 聞 こ え る 人 た ち と コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン が で き る だ ろ う か と 悩 み 始 め る 者 も 見 受 け ら れ る 。 こ う し た 生 徒 の 場 合 に は , 生 徒 の 発 音 の 実 態 や 補 聴 器 の 活 用 状 況 , 手 話 等 の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 手 段 の 活 用 等 に 関 す る 実 態 を 把 握 す る と と も に , 生 徒 の 心 理 的 な 不 安 な ど も 的 確 に 受 け 止 め て , 自 立 活 動 の 指 導 を 計 画 す る こ と が 大 切 で あ る 。 実 際 の 指 導 に 当 た っ て は , 生 徒 の 実 態 把 握 に 基 づ い た 指 導 目 標 の 設 定 が 必 要 に な る 。 こ の 場 合 は , 卒 業 後 に 自 分 が 聞 こ え る 人 た ち の 世 界 に 入 り , そ こ で 果 た し て う ま く コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン が で き る だ ろ う か と い う 不 安 を 覚 え て い る 例 で あ る 。 生 徒 は 手 話 も 使 え る が , 聴 覚 活 用 も 可 能 で あ る こ と か ら , 可 能 な 範 囲 で 口 話 に よ る コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン へ の 自 信 を 育 て る こ と が 求 め ら れ る 。 そ こ で , 曖 昧 な 発 音 に な っ て き て い た サ 行 音あいまい の 明 瞭 度 を 上 げ る な ど し て , 会 話 に 自 信 を も た せ る こ と , そ し て , 積 極り ょ う 。 的に周囲と会話をする意欲を喚起することという指導目標が設定された 次 に , こ の 指 導 目 標 を 達 成 す る た め に は , 具 体 的 な 指 導 内 容 を 考 え る 必 要 が あ る 。 そ こ で , 自 立 活 動 の 内 容 の 「 2 心 理 的 な 安 定」, 「3 人 間 関 係 の 形 成」,「4 環 境 の 把 握」,「6 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン」 , , の 区 分 の 下 に 示 さ れ て い る 項 目 の 中 か ら そ れ ぞ れ 必 要 な 項 目 を 選 定 し そ れ ら を 適 宜 組 み 合 わ せ る こ と に よ っ て , 具 体 的 な 指 導 内 容 を 設 定 し て い る 。 例 え ば , サ 行 音 の 発 音 要 領 に 関 す る 指 導 内 容 , サ 行 音 が 含 ま れ た 言 葉 に 関 す る 指 導 内 容 , そ し て 実 際 の 職 場 で 用 い ら れ る 表 現 を 取 り 上 げ た 指 導 内 容 , さ ら に 場 面 や 相 手 を 想 定 し た コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 工 夫 に 関 す 。 , , る 指 導 内 容 な ど で あ る ま た そ れ ら を 段 階 的 に 取 り 上 げ る こ と に よ り 生 徒 の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン に 対 す る 不 安 を 幾 ら か で も 解 消 し , 職 場 で 意 欲 的 に 行 動 が で き る よ う に な る こ と を 意 図 し て い る 。 こ の よ う に , 自 立 活 動 の 指 導 に お い て は , 個 々 の 幼 児 児 童 生 徒 の 実 態 に 即 し て , そ れ ぞ れ の 指 導 目 標 や 具 体 的 な 指 導 内 容 を 工 夫 す る こ と が 必 要 で あ る 。 教 科 指 導 の よ う に あ ら か じ め 指 導 す る 内 容 が 決 ま っ て い る と 考 え る の で は な く , 個 々 の 幼 児 児 童 生 徒 の 実 態 に 即 し て , 指 導 の 道 筋 そ の も の を 組 み 立 て て い く こ と が 求 め ら れ る 指 導 で あ る こ と に 留 意 す る こ と が 大 切 で あ る 。
生徒:高等部第3学年 障害名等:聴覚障害 実 障害の状態,発達や経験の程度,興味・関心,生活や学習環境などについて情報収集 収集した情報を障害による 態 学習上又は生活上の困難の視点から整理 ・ 口話でコミュニケーションができるが,サ行音が曖 昧になってきている。 あいまい 把 ・ 積極的に周囲とのかかわりをもつことができる。 ・ 手話も使えるが,補聴器を活用している。 握 ・ 卒業後の職場でのコミュニケーションに不安を抱いている。 幾つかの指導目標の中で優先する目標として 指導 ・サ行音の明瞭度を上げるなどして,相手に聞き取りやすい発りよう 目標 音・発語ができるようにし,会話に自信をもたせる。 ・積極的に周囲と会話する意欲を喚起する。 指導目標を達成するために必要な項目の選定 選 健康の保持 心理的な安定 人間関係の形成 環境の把握 身体の動き コミュニケーション 定 ・ 障害による学 ・ 集団への参加 ・ 保有する感覚 ・ 言語の受容と表出 さ 習上又は生活 の基礎に関す の活用に関す に関すること。 れ 上の困難を改 ること。 ること。 た 善・克服する 項 意欲に関する 目 こと。 選定された項目を 関連付け具体的な指導内容を設定 具 ・ サ行音の発音要領を思 ・ 職場の様々な場面で用い ・ 職場では,場面や内容に 体 い出し,できるだけ正 られる表現(あいさつ, よっては,筆談や手話を 的 しい発音ができるよう 慣用句,用語)などを知 用いるなどして,正確な な にする。 る。 コミュニケーションが必 指 ・ サ行音を含む言葉(語 ・ 相手と積極的にコミュニ 要なことに気付かせる。 導 頭,語中,語尾)の発 ケーションができるよう ・ 分からないことを自分か 内 音明瞭度を上げる。りよう にするための素地(心構 ら尋ねることができるよ 容 えなど)を養う。 うにし,職場での会話へ の意欲を喚起する。 図2 具体的な指導内容の例(高等部に在籍する聴覚障害のある生徒)
(3) 自 立 活 動 の 指 導 の 進 め 方 自 立 活 動 は , 個 々 の 幼 児 児 童 生 徒 が 自 立 を 目 指 し , 障 害 に よ る 学 習 上 又 は 生 活 上 の 困 難 を 主 体 的 に 改 善 ・ 克 服 し よ う と す る 取 組 を 促 す 教 育 活 動 で あ り , 個 々 の 幼 児 児 童 生 徒 の 障 害 の 状 態 や 発 達 の 段 階 等 に 即 し て 指 導 を 行 う こ と が 必 要 で あ る 。 そ の た め , 自 立 活 動 の 指 導 に 当 た っ て は , 幼 児 児 童 生 徒 一 人 一 人 の 実 態 を 的 確 に 把 握 し て 個 別 の 指 導 計 画 を 作 成 し , そ れ に 基 づ い て 指 導 を 展 開 し な け れ ば な ら な い 。
個 別 の 指 導 計 画 に 基 づ く 指 導 は , 計 画 (Plan)- 実 践 (Do)- 評 価 (Check)- 改 善 ( Action)の 過 程 で 進 め ら れ る 。 そ れ ぞ れ の 過 程 に お け る 配 慮 事 項 は 第 7 章 で 述 べ る が , 次 の 点 に つ い て は , 十 分 留 意 す る 必 要 が あ る 。 第 一 に , 個 別 の 指 導 計 画 の 作 成 に 当 た っ て は , 個 々 の 幼 児 児 童 生 徒 に 関 す る 様 々 な 情 報 の 中 か ら 必 要 な 情 報 を 選 択 し て 的 確 に 実 態 を 把 握 し , そ れ に 基 づ い て 指 導 の 目 標 や 具 体 的 な 指 導 内 容 等 を 設 定 す る こ と が 大 切 で あ る 。 こ う し た 個 別 の 指 導 計 画 を 作 成 す る た め に は , 障 害 に よ る 学 習 上 又 は 生 活 上 の 困 , 。 難 を 改 善 ・ 克 服 す る 指 導 に つ い て 一 定 の 専 門 的 な 知 識 や 技 能 が 必 要 で あ る そ の た め 自 立 活 動 の 指 導 に お け る 個 別 の 指 導 計 画 の 作 成 に は , 校 内 で 専 門 的 な 知 識 や 技 能 の あ る 教 師 が 関 与 す る こ と が 求 め ら れ , 各 学 校 に 専 門 的 な 知 識 や 技 能 の あ る 教 師 が 適 切 に 配 置 さ れ て い る こ と や , 各 学 校 に お い て こ う し た 教 師 を 計 画 的 に 養 成 し て い く こ と が 必 要 で あ る 。 ま た , 必 要 に 応 じ て , 外 部 の 専 門 家 と 連 携 を 図 る こ と も 有 効 で あ る 。 第 二 に , 個 別 の 指 導 計 画 に 基 づ い て 行 わ れ た 指 導 に つ い て は , 適 切 な 評 価 の 下 に 改 善 を 図 る こ と が 大 切 で あ る 。 ど の よ う な 指 導 に お い て も , 学 習 の 評 価 に 基 づ い て 指 導 の 改 善 を 図 っ て い か な け れ ば な ら な い こ と に 変 わ り は な い が , 自 立 活 動 の 場 合 に は , 指 導 の 目 標 や 指 導 内 容 に つ い て も 個 別 に 設 定 さ れ て い る こ と か ら , 指 導 の 効 果 を 評 価 す る だ け で な く , 計 画 の 妥 当 性 に つ い て も 詳 細 な 検 討 を 行 う 必 要 が あ る 。 そ の 際 , 指 導 の 効 果 を 適 切 か つ 多 面 的 に 判 断 す る た め , 自 立 活 動 の 指 導 の 担 当 者 だ け で な く , 各 教 科 等 の 指 導 に か か わ っ て い る 教 師 間 の 協 力 の 下 に 評 価 を 行 う と と も に , 必 要 に 応 じ て , 外 部 の 専 門 家 や 保 護 者 等 と の 連 携 を 図 っ て い く こ と も 大 切 で あ る 。 (4) 知 的 障 害 者 で あ る 幼 児 児 童 生 徒 に 対 す る 教 育 を 行 う 特 別 支 援 学 校 の 自 立 活 動 知 的 障 害 者 で あ る 幼 児 児 童 生 徒 に 対 す る 教 育 を 行 う 特 別 支 援 学 校 に 在 学 す , , る 幼 児 児 童 生 徒 に は 全 般 的 な 知 的 発 達 の 程 度 や 適 応 行 動 の 状 態 に 比 較 し て 言 語 , 運 動 , 情 緒 , 行 動 等 の 特 定 の 分 野 に , 顕 著 な 発 達 の 遅 れ や 特 に 配 慮 を
必 要 と す る 様 々 な 状 態 が 知 的 障 害 に 随 伴 し て 見 ら れ る 。 そ の よ う な 障 害 の 状 態 に よ る 困 難 の 改 善 等 を 図 る た め に は , 自 立 活 動 の 指 導 を 効 果 的 に 行 う 必 要 が あ る 。 こ こ で い う 顕 著 な 発 達 の 遅 れ や 特 に 配 慮 を 必 要 と す る 様 々 な 状 態 と は , 例 え ば , 言 語 や 運 動 の 面 で い え ば 「 理 解 言 語 の 程 度 に 比 較 し て , 表 出 言 語 が, 極 め て 少 な い」,「 全 体 的 な 身 体 機 能 の 発 達 の 程 度 に 比 較 し て , 特 に 平 衡 感 覚 が 未 熟 で あ る 」 な ど で あ る 。 ま た , 情 緒 や 行 動 等 の 面 で 言 え ば , 例 え ば , 「 心 理 状 態 が 不 安 定 に な り , パ ニ ッ ク に な り や す い」,「 極 め て 動 き が 多 く , 注 意 集 中 が 困 難 で あ る 」 な ど で あ る 。 一 方 , 知 的 障 害 者 で あ る 児 童 生 徒 に 対 す る 教 育 を 行 う 特 別 支 援 学 校 の 小 学 部 , 中 学 部 及 び 高 等 部 に お い て は , 知 的 発 達 の 遅 れ や 適 応 行 動 の 困 難 に 応 じ た 各 教 科 が 設 け ら れ て お り , 知 的 障 害 の あ る 児 童 生 徒 は こ れ を 履 修 す る こ と に な っ て い る 。 こ の 各 教 科 の 内 容 に は , 例 え ば , 小 学 部 の 算 数 科 に は 「 身 近 に あ る も の の 大 小 や 多 少 な ど に 関 心 を も つ。」, 同 じ く 国 語 科 に は 「 教 師 な ど の 話 し 掛 け に 応 じ , 表 情 , 身 振 り , 音 声 や 簡 単 な 言 葉 で 表 現 す る 」 な ど。 が 示 さ れ て い る 。 知 的 障 害 の あ る 児 童 生 徒 に 対 す る 自 立 活 動 の 内 容 と 各 教 科 の 内 容 と の 関 係 に つ い て い え ば , 例 え ば , 全 般 的 な 知 的 発 達 の 程 度 等 か ら 見 る と , 上 記 の 算 数 科 の 内 容 で あ る 「 身 近 に あ る も の の 大 小 や 多 少 な ど に 関 心 を も つ 」 こ と。 は 習 得 で き る が , 同 等 の 知 的 発 達 の 程 度 に 応 じ た 内 容 で あ る 「 身 近 に あ る も の の 形 の 違 い に 気 付 く 」 こ と に つ い て は 習 得 が 困 難 な 場 合 が あ る 。 こ の よ。 う な 認 知 面 に 特 に 顕 著 な 発 達 の 遅 れ が 見 ら れ る 児 童 生 徒 の 場 合 に は , そ の 状 態 に 応 じ た 自 立 活 動 の 指 導 を 行 う こ と に よ っ て 「 身 近 に あ る も の の 形 の 違, い に 気 付 く 」 こ と の 習 得 が 容 易 に な る 。 ま た , 上 記 の 国 語 科 の 内 容 で あ る。 「教 師 な ど の 話 し 掛 け に 応 じ 表 情 身 振 り 音 声 や 簡 単 な 言 葉 で 表 現 す る, , , 。」 こ と の 指 導 に お い て , 注 意 の 集 中 が 困 難 な た め に , 特 定 の 知 識 ・ 技 能 等 の 習 得 に 支 障 を 来 し て い る 場 合 が あ る 。 こ の よ う な 児 童 生 徒 に つ い て も , こ う し た 課 題 の 解 決 を 図 る た め に 自 立 活 動 の 指 導 が 必 要 に な る 。 な お , 学 校 教 育 法 施 行 規 則 第 130条 第 2 項 に 基 づ い て , 各 教 科 , 道 徳 , 特 別 活 動 及 び 自 立 活 動 の 全 部 又 は 一 部 に つ い て , 合 わ せ て 指 導 を 行 う 場 合 に お い て も , 自 立 活 動 に つ い て 個 別 の 指 導 計 画 を 作 成 し , 指 導 目 標 や 指 導 内 容 を 明 記 す る 必 要 が あ る 。
第 3 章
今 回 の 改 訂 の 要 点
1 自 立 活 動 の 変 遷 (1) 養 護 ・ 訓 練 の 創 設 障 害 の 状 態 を 改 善 ・ 克 服 す る た め の 指 導 は , 盲 学 校 や 聾 学 校 あ る い は 養 護ろ う 学 校 が 開 設 さ れ た 草 創 期 か ら , 障 害 の あ る 幼 児 児 童 生 徒 の 教 育 の 大 切 な 指 導 内 容 と し て 認 識 さ れ , 様 々 な 取 組 が 行 わ れ て き て い る 。 し か し な が ら , そ れ ら は 各 教 科 等 の 指 導 の 中 で の 部 分 的 な 取 組 で あ る こ と が 多 く , 系 統 的 ・ 継 続 的 な 指 導 に は 至 ら な か っ た 。 昭 和 39年 3 月 に 告 示 さ れ た 「 盲 学 校 学 習 指 導 要 領 小 学 部 編 」 及 び 「 聾 学 校ろう 学 習 指 導 要 領 小 学 部 編 」 に お い て , 障 害 の 状 態 の 改 善 ・ 克 服 を 図 る た め の 指 導 が 一 部 位 置 付 け ら れ た 。 こ れ ら の 学 習 指 導 要 領 に お い て , 例 え ば , 盲 学 校 に お い て は , 歩 行 訓 練 を 「 体 育 」 に , 感 覚 訓 練 を 「 理 科 」 に , 聾 学 校 に お いろ う て は , 聴 能 訓 練 を 「 国 語 」 と 「 律 唱 」 に , 言 語 指 導 を 「 国 語 」 に そ れ ぞ れ 位 置 付 け て お り , こ れ ら の 教 科 の 中 で 指 導 が 行 わ れ た の で あ る 。 一 方 , 養 護 学 校 に お い て は , 児 童 生 徒 の 障 害 の 状 態 の 改 善 ・ 克 服 を 図 る た め の 特 別 の 指 導 が , 昭 和 38・ 39年 に 示 さ れ た 学 習 指 導 要 領 の 各 教 科 等 に お い て,例 え ば,肢 体 不 自 由 養 護 学 校 小 学 部 の「体 育 ・ 機 能 訓 練」(中 学 部 は「保 健 体 育 ・ 機 能 訓 練」), 病 弱 養 護 学 校 小 学 部 の 「 養 護 ・ 体 育 ( 中 学 部 は 「 養」 護 ・ 保 健 体 育 ) 等 に お い て 行 う こ と と さ れ た 。」 こ う し た 各 学 校 に お け る 実 践 を 踏 ま え て , 昭 和 45年 10月 に ま と め ら れ た 教 育 課 程 審 議 会 の 答 申 で は 「 心 身 に 障 害 を 有 す る 児 童 生 徒 の 教 育 に お い て , そ , , の 障 害 か ら く る 種 々 の 困 難 を 克 服 し て 児 童 生 徒 の 可 能 性 を 最 大 限 に 伸 ば し 社 会 に よ り よ く 適 応 し て い く た め の 資 質 を 養 う た め に は , 特 別 の 訓 練 等 の 指 導 が き わ め て 重 要 で あ る 。 こ れ ら の 訓 練 等 の 指 導 は , ひ と り ひ と り の 児 童 生 徒 の 障 害 の 種 類 ・ 程 度 や 発 達 の 状 態 等 に 応 じ て , 学 校 の 教 育 活 動 全 体 を 通 し て 配 慮 す る 必 要 が あ る が , さ ら に な お , そ れ ぞ れ に 必 要 と す る 内 容 を , 個 別 的 , 計 画 的 か つ 継 続 的 に 指 導 す べ き も の で あ る か ら , 各 教 科 , 道 徳 お よ び 特 別 活 動 と は 別 に , こ れ を 「 養 護 ・ 訓 練 」 と し , 時 間 を 特 設 し て 指 導 す る 必 要 が あ る 」 と 提 言 さ れ た 。 こ れ を 受 け て , 昭 和 46年 の 学 習 指 導 要 領 の 改 訂 に。 お い て 新 た に 「 養 護 ・ 訓 練 」 と い う 領 域 が 設 定 さ れ た の で あ る 。 (2) 養 護 ・ 訓 練 の 内 容 の 変 遷 昭 和 46年 に 新 た に 設 定 さ れ た 養 護 ・ 訓 練 の 内 容 に つ い て は , 学 校 種 別 ご とに 特 別 に 必 要 と さ れ て い る 内 容 を 整 理 し な が ら 検 討 が 行 わ れ た が , 同 じ 学 校 に 在 学 す る 児 童 生 徒 で あ っ て も , そ の 障 害 の 状 態 は 極 め て 多 様 で あ る こ と , 主 障 害 を 対 象 と し た 対 症 療 法 的 な も の だ け で な く , 二 次 的 障 害 を 含 め , 心 身 の 機 能 を 総 合 的 に 改 善 す る 必 要 が あ る こ と な ど か ら , 心 身 の 発 達 の 諸 側 面 を 分 類 ・ 整 理 す る と い う 観 点 を 加 え て 検 討 が 行 わ れ た 。 そ の 結 果 「 心 身 の 適, 応」,「 感 覚 機 能 の 向 上」,「 運 動 機 能 の 向 上 」 及 び 「 意 思 の 伝 達 」 の 四 つ の 柱 の 下 に 12の 項 目 に ま と め ら れ た 。 こ の よ う な 経 緯 を た ど っ て , 養 護 ・ 訓 練 の 内 容 は , 心 身 の 発 達 に 必 要 な 諸 側 面 と , 各 障 害 の 状 態 を 改 善 し , 又 は 克 服 す る た め に 必 要 な 固 有 の 指 導 内 容 と い う 二 つ の 観 点 か ら 構 成 さ れ た の で あ っ た 。 小 学 部 ・ 中 学 部 の 学 習 指 導 要 領 は , 学 校 種 別 ご と に 作 成 さ れ た が , 養 護 ・ 訓 練 の 目 標 と 内 容 は 共 通 に 示 さ れ , 指 導 計 画 の 作 成 と 内 容 の 取 扱 い に つ い て は , 障 害 の 状 態 に 即 応 す る た め , 学 校 種 別 ご と に 独 自 に 示 さ れ た 。 ま た , 昭 和 54年 の 改 訂 に お い て は , 盲 学 校 , 聾 学 校 及 び 養 護 学 校 共 通 の 学ろ う , 。 習 指 導 要 領 と な っ た た め 指 導 計 画 の 作 成 と 内 容 の 取 扱 い も 共 通 に 示 さ れ た そ の 後 , 平 成 元 年 の 学 習 指 導 要 領 の 改 訂 に お い て は , そ れ ま で の 養 護 ・ 訓 練 の 内 容 の 示 し 方 が 抽 象 的 で 分 か り に く い と い う 指 摘 が あ っ た こ と や , 児 童 生 徒 の 障 害 の 多 様 化 に 対 応 す る 観 点 か ら , そ れ ま で の 実 施 の 経 緯 を 踏 ま え , 具 体 的 な 指 導 事 項 を 設 定 す る 際 の 観 点 を よ り 明 確 に す る と い う 方 針 で 検 討 が 行 わ れ た 。 そ の 結 果 , そ れ ま で の 四 つ の 柱 の 下 に 12の 項 目 で 示 さ れ て い た 内 容 は,「身 体 の 健 康」,「心 理 的 適 応」,「環 境 の 認 知」,「運 動 ・ 動 作」及 び「意 思 の 伝 達 」 の 五 つ の 柱 の 下 に 18の 項 目 で 示 さ れ る よ う に な っ た 。 (3) 幼 稚 部 の 養 護 ・ 訓 練 幼 稚 部 に お け る 養 護 ・ 訓 練 は , 平 成 元 年 の 幼 稚 部 教 育 要 領 の 新 た な 告 示 に 伴 い 「 幼 児 の 心 身 の 障 害 の 状 態 を 改 善 し , 又 は 克 服 す る た め に 必 要 な 態 度, や 習 慣 な ど を 育 て , 心 身 の 調 和 的 発 達 の 基 盤 を 培 う 」 と い う 観 点 か ら 設 定。 さ れ た 。 幼 稚 部 教 育 要 領 に お け る 養 護 ・ 訓 練 の ね ら い は , 幼 稚 部 の 生 活 全 体 を 通 し て , 幼 児 の 障 害 の 状 態 を 改 善 し , 又 は 克 服 す る た め に 期 待 さ れ る 態 度 や 習 慣 な ど を 小 学 部 の 養 護 ・ 訓 練 の 内 容 の 趣 旨 に 準 じ て 示 さ れ た も の で あ り , ね ら い を 達 成 す る た め に 教 師 が 指 導 し , 幼 児 が 身 に 付 け る こ と が 期 待 さ れ る 事 項 が 16の 項 目 に 整 理 さ れ た も の で あ っ た 。 こ れ ら の ね ら い と 内 容 は , い ず れ も 幼 児 の 障 害 の 状 態 を 改 善 し , 又 は 克 服 す る た め に 必 要 な 指 導 を 念 頭 に 置 い て 示 さ れ た も の で あ り , 幼 児 の 多 様 な 実 態 に 対 応 で き る よ う に 構 成 さ れ た も の で あ っ た 。
(4) 自 立 活 動 へ の 改 訂 既 に 述 べ た よ う に , 養 護 ・ 訓 練 は , 障 害 の 状 態 を 改 善 し , 又 は 克 服 す る た め の 特 別 の 領 域 と し て , 昭 和 46年 の 学 習 指 導 要 領 の 改 訂 に お い て 盲 学 校 , 聾ろ う 学 校 及 び 養 護 学 校 共 通 に 設 け ら れ た も の で あ る 。 そ の 後 「 国 際 障 害 者 年, 」,「 国 連 ・ 障 害 者 の 十 年」,「 ア ジ ア 太 平 洋 障 害 者 の 十 年 」 な ど , 国 際 的 に 障 害 者 に 対 す る 取 組 が 進 め ら れ て き た こ と , そ の よ う な 取 組 の 中 で 障 害 者 の 「 自 立 」 の 概 念 が 従 前 よ り も 広 く と ら え ら れ る よ う に な っ て き た こ と , 平 成 5 年 に 障 害 者 基 本 法 の 改 正 が 行 わ れ た こ と な ど , 障 害 の あ る 人 々 を 取 り 巻 く 社 会 環 境 や 障 害 に つ い て の 考 え 方 に 大 き な 変 化 が 見 ら れ る よ う に な っ て き た 。 一 方 こ の 間 , 特 殊 教 育 諸 学 校 (現 在 の 特 別 支 援 学 校 ) に 在 学 す る 幼 児 児 童 生 徒 の 障 害 の 重 度 ・ 重 複 化 , 多 様 化 の 傾 向 が 顕 著 に な っ た 。 こ の よ う な 状 況 を 踏 ま え , 平 成 10年 7 月 に ま と め ら れ た 教 育 課 程 審 議 会 の 答 申 で は 「 養 護 ・ 訓 練 に つ い て は , 一 人 一 人 の 幼 児 児 童 生 徒 の 実 態, に 対 応 し た 主 体 的 な 活 動 で あ り 自 立 を 目 指 し た 活 動 で あ る こ と を 一 層 明 確 に す る た め , 名 称 を 「 自 立 活 動 」 と 改 め る と と も に , 目 標 ・ 内 容 に つ い て も 見 直 し , 幼 児 児 童 生 徒 の 障 害 の 状 態 の 多 様 化 に 対 応 し , 適 切 か つ 効 果 的 な 指 導 。」 。 , , が 行 わ れ る よ う に す る と 提 言 さ れ た こ れ を 受 け て 養 護 ・ 訓 練 の 名 称 目 標 , 内 容 等 が 見 直 さ れ た 。 名 称 に つ い て は 「 養 護 」 も 「 訓 練 」 も 受 け 身 的 な 意 味 合 い が 強 い と 受 け, 止 め ら れ る こ と が あ る こ と , ま た , こ の 領 域 が 一 人 一 人 の 幼 児 児 童 生 徒 の 実 態 に 対 応 し た 活 動 で あ る こ と や , 自 立 を 目 指 し た 主 体 的 な 取 組 を 促 す 教 育 活 動 で あ る こ と な ど を 一 層 明 確 に す る 観 点 か ら 「 養 護 ・ 訓 練 」 か ら 「 自 立 活, 動 」 に 改 め ら れ た 。 自 立 活 動 の 目 標 に つ い て は , 個 々 の 幼 児 児 童 生 徒 が 自 立 を 目 指 し , 障 害 に 基 づ く 種 々 の 困 難 を 主 体 的 に 改 善 ・ 克 服 し よ う と す る 取 組 を 促 す 教 育 活 動 で ,「 」 「 」 あ る こ と が よ り 明 確 に な る よ う 児 童 又 は 生 徒 が 個 々 の 児 童 又 は 生 徒 に 「 心 身 の 障 害 の 状 態 を 改 善 し , 又 は 克 服 す る 」 が 「 自 立 を 目 指 し , 障 害, に 基 づ く 種 々 の 困 難 を 主 体 的 に 改 善 ・ 克 服 す る 」 に そ れ ぞ れ 改 め ら れ た 。 内 容 に つ い て は , 幼 児 児 童 生 徒 の 障 害 の 重 度 ・ 重 複 化 , 多 様 化 に 対 応 し , 適 切 か つ 効 果 的 な 指 導 を 進 め る た め , 具 体 的 な 指 導 内 容 を 設 定 す る 際 の 観 点 が よ り 明 確 に な る よ う , 区 分 ( 従 前 の 「 柱 ) の 名 称 に つ い て 「 身 体 の 健」 , 康 」 が 「 健 康 の 保 持 」 に 「 心 理 的 適 応 」 が 「 心 理 的 な 安 定 」 に 「 環 境 の, , 認 知 」 が 「 環 境 の 把 握 」 に 「 運 動 ・ 動 作 」 が 「 身 体 の 動 き 」 に 「 意 思 の, , 伝 達 」 が 「 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 」 に そ れ ぞ れ 改 め ら れ た 。 そ れ ま で は 五 つ の
区 分 18項 目 が 示 さ れ て い た が , 同 様 の 趣 旨 か ら 各 項 目 に つ い て も 見 直 し を 行 い , 分 か り や す い 表 現 と す る と と も に , 具 体 的 に イ メ ー ジ し や す く な る よ う 22の 項 目 で 示 す こ と と さ れ た 。 ま た , こ の 改 訂 に お い て , 盲 学 校 , 聾 学 校 及 び 養 護 学 校 で 従 前 か ら 行 わ れろ う て き た 「 個 別 の 指 導 計 画 の 作 成 」 を 学 習 指 導 要 領 に 明 示 す る こ と に し た 。 さ ら に , 小 学 部 ・ 中 学 部 及 び 高 等 部 の 学 習 指 導 要 領 と は 異 な っ た 表 現 を 用 い て き た 幼 稚 部 教 育 要 領 に お け る 自 立 活 動 の ね ら い 及 び 内 容 等 に つ い て は , 早 期 か ら 一 貫 し た 方 針 の 下 に 指 導 が で き る よ う に , 小 学 部 ・ 中 学 部 及 び 高 等 部 の 学 習 指 導 要 領 と 同 じ 示 し 方 に す る こ と と さ れ た 。 2 障 害 の と ら え 方 と 自 立 活 動 (1) 障 害 の と ら え 方 の 変 化 近 年 , 障 害 の あ る 人 々 を 取 り 巻 く 社 会 環 境 や 障 害 に つ い て の 考 え 方 等 に 大 き な 変 化 が 見 ら れ る 。 国 際 的 な 動 向 と し て は , 障 害 者 の 社 会 参 加 に 関 す る 取 組 の 進 展 を 踏 ま え , 平 成 18年 12月 , 国 際 連 合 総 会 に お い て 「 障 害 者 の 権 利 に 関 す る 条 約 」 が 採 択 さ れ , 障 害 者 の 権 利 や 尊 厳 を 大 切 に し つ つ 社 会 の あ ら ゆ る 分 野 へ の 参 加 を 促 進 す る こ と が 合 意 さ れ た 。 国 内 に お い て は , 平 成 5 年 の 障 害 者 基 本 法 の 改 正 を は じ め と し て , 障 害 の 有 無 に か か わ ら ず , 国 民 の だ れ も が 相 互 に 人 格 と 個 性 を 尊 重 し 支 え 合 う 共 生 社 会 を 目 指 し た 施 策 が 推 進 さ れ て き た 。 そ の 後 , 平 成 15年 度 を 初 年 度 と し た 「 障 害 者 基 本 計 画 」 に よ り , 障 害 者 本 人 の 自 己 選 択 と 自 己 決 定 の 下 に , 社 会 の あ ら ゆ る 活 動 へ の 参 加 を 一 層 促 す 施 策 が 積 極 的 に 進 め ら れ て い る と こ ろ で あ る 。 こ の 間 「 障 害 」 の と ら え 方 に つ い て も 変 化 が あ っ た 。 昭 和 55年 に WHO( 世,
界 保 健 機 関 ) が 「 国 際 障 害 分 類 ( ICIDH: International Classification of
Impairments,Disabilities and Handicaps 」 を 発 表 し , そ の 中 で は 疾 病)
等 に 基 づ く 個 人 の 様 々 な 状 態 を イ ン ペ ア メ ン ト , デ ィ ス ア ビ リ テ ィ , ハ ン デ ィ キ ャ ッ プ の 概 念 を 用 い て 分 類 し た 。 イ ン ペ ア メ ン ト は , 身 体 の 機 能 損 傷 又 は 機 能 不 全 で , 疾 病 等 の 結 果 も た ら さ れ た も の で あ り , 医 療 の 対 象 と な る も の で あ る 。 デ ィ ス ア ビ リ テ ィ は , イ ン ペ ア メ ン ト な ど に 基 づ い て も た ら さ れ た 日 常 生 活 や 学 習 上 の 種 々 の 困 難 で あ っ て , 教 育 に よ っ て 改 善 し , 又 は 克 服 す る こ と が 期 待 さ れ る も の で あ る 。 ハ ン デ ィ キ ャ ッ プ は , イ ン ペ ア メ ン ト や デ ィ ス ア ビ リ テ ィ に よ っ て , 一 般 の 人 々 と の 間 に 生 ず る 社 会 生 活 上 の 不 利 益
で あ り , 福 祉 施 策 等 に よ っ て 補 う こ と が 期 待 さ れ る も の で あ る 。
ICIDHに つ い て は , 各 方 面 か ら , 疾 病 等 に 基 づ く 状 態 の マ イ ナ ス 面 の み を 取 り 上 げ て い る と の 指 摘 が あ っ た 。 そ こ で , WHOは 検 討 を 重 ね , 平 成 13年 5月 の 総 会 に お い て , 従 来 の I C I D Hの 改 訂 版 と し て 「 国 際 生 活 機 能 分 類 ( I C F : )」 International Classification of Functioning, Disability and Health を 採 択 し た 。 ICFで は , 人 間 の 生 活 機 能 は 「 心 身 機 能 ・ 身 体 構 造」,「 活 動」,「 参 加 」 の , 「 」 三 つ の 要 素 で 構 成 さ れ て お り そ れ ら の 生 活 機 能 に 支 障 が あ る 状 態 を 障 害 と と ら え て い る 。 そ し て , 生 活 機 能 と 障 害 の 状 態 は , 健 康 状 態 や 環 境 因 子 等 と 相 互 に 影 響 し 合 う も の と 説 明 さ れ , 構 成 要 素 間 の 相 互 関 係 に つ い て は , 図 3 の よ う に 示 さ れ て い る 。