論文内容要旨 論文題名
Signalintensityofarticular disc and cortex oftemporom?ndibular JOintonmagneticresonanCeimaglng・
(顎関節部MR画像における皮質骨および関節円板の信号強度)
掲載雑誌名 THESHOWAUNIVERSITYJORNALOF
MEDICALSCIENCES(投稿中)
口腔病理学 氏名 藤倉満美子 顎関節症の診断法として磁気共鳴画像検査法(MRI)が広く用いられてい る。通常、プロトン密度強調像(PDWI)およびT2強調像(T2WI)が撮像され ることが多く、これらの画像から顎関節円板の位置異常、顎関節周囲の炎 症性変化の有無などの評価が行われている。
MRIは軟組織を対象とする画像検査法で、硬組織は描出できないとされ ている。本研究では、無信号とされる皮質骨および低信号とされる顎関節
円板の信号強度の測定意義を明らかにすることを目的として、以下の2項 目について検討した。
①皮質骨および顎関節円板の信号強度がエコー時間(TE)によってどのよ うに変化するか。
②pDWI及びT2WIで、皮質骨および顎関節円板の信号強度が明らかに無信 号となる外耳孔と比較して有意に高いかどうか。
検討項目①
ボランティア9名.の両側顎関節部をマルチエコー法を用いて撮像した。マ ルチエコー法のTEは10ms間隔で10msから200msまで変更し、1関節あ
たり 20枚の画像を得た。5顎関節円板は前方肥厚部と後方肥厚部が明瞭 に描出されなかったため除外し、残りの13顎関節円板を測定対象とした。
得られた画像上で顎関節円板前方肥厚部、後方肥厚部、関節突起皮質骨に ROIを設定し、信号強度の平均値を測定した。TEの設定値による信号強度 の減衰曲線を作成し、それぞれの信号強度の変化を比較した。
検討項目②
顎関節症が疑われて両側顎関節部のMRIが施行された患者のうち、28名 56関節のPDWIおよびT2WIを抽出した。そして、顎関節円板前方肥厚部
と後方肥厚部が明瞭に描出されている30顎関節を検討対象とした。円板 前方および後方肥厚部、関節突起皮質骨および外耳孔に円形ROIを設定し、
信号強度の平均値を測定した。信号強度の有意差検定にはBonferroni法 を用いた。
結果:検討項目①
前方肥厚部と後方肥厚部はほぼ同等の減衰を示した。関節突起皮質骨と円 板の信号強度はTE20ms付近で交差し、それより短いTEでは円板が、長 いⅧでは皮質骨が南信号を示した。
結果:検討項目②
関節突起皮質骨,円板前方肥厚部,後方肥厚部の信号強度は空気の信号強 度より有意に高値を示した.
PDWIで用いられるTE20ms付近までは関節円板の方が皮質骨より高信
号であることから、関節円板の方が多くの水分を含むと考えられた。また、
TE20ms以上ではで信号強度が逆転し、T2WIで用いられるTE80〜120ms では皮質骨がより高信号を示すことから、関節円板中に存在する水分の方 がT2減衰が速いと考えられた。このことは、皮質骨と関節円板の組成と 構造の違いや、それに起因する水の存在形態の違いを反映しているものと 考えられる。患者を用いた検討でも、同様の結果が得られた。PDWIおよ びT2WIのいずれにおいても、顎関節円板と関節突起皮質骨はともに外耳 孔(空気)より高信号を示し、PDWIでは顎関節円板、T2WIでは関節突起皮 質骨がより高信号を示した。
本研究から、これまで無信号もしくは低信号と考えられてきた皮質骨お よび顎関節円板は、空気とは異なり、それぞれ特徴的な信号を呈すること が明らかになった。このことから、両者の信号強度を測定することには意 義があると考えられた。