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Bj 6rk法の意義 東京慈恵会医科大学心臓外科 黒澤 博身

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日本小児循環器学会雑誌 14巻1号 42〜43頁(1998年)

<Editorial comment>

Bj 6rk法の意義

東京慈恵会医科大学心臓外科 黒澤 博身  芳村論文: 右房 右室吻合術(Blbrk法)の遠隔成績 )はFontan手術の一変法であるBjOrk法の長期遠 隔成績を検討したものであり,比較的低年齢層の患児に行い,平均10年に及ぶ術後観察を行っている貴重な報 告である.

 1970年代の初めよりFontan手術を積極的に行っていたMayo Clinicからの報告2)では, Bj6rk法24例の手 術死亡率は4%で,original Fontan手術である右房一肺動脈吻合60例の死亡率5%と比べて遜色のない良好 な成績をあげている.遠隔成績については,右室が正常値近くまで発育し3),運動負荷時の左室駆出率がorigi−

nal Fontanである右房一肺動脈吻合よりも良好であり4),右房 右室吻合のほうが違隔成績が良いとする報告 が見られる5)6).しかし右房一右室間にダクロン導管を用いたところ,1年後に急速に閉塞し再手術を行った症 例7)や,遠隔期のthromboembolismを防止するためBj6rk法も通常のFontan手術と同様にすべて抗凝固療 法を行うべきであるという意見8),術後遠隔期に巨大右房や肺静脈圧迫を来したためにtotal cavopullnonary connection(TCPC)9)に変換することにより症状の改善をみたとする報告1°)等があり, BjOrk法の遠隔成績に

は検討の余地がある.一方,24歳という高齢者にBj6rk法を行い3年後に自然分娩が可能であった症例1 )や,

右房 右室問にantibiotic sterilized homograftを用いて遠隔期に石灰化によるhomograftの閉塞を来した が右室の状態が良いので再度homograftで再手術をしたという報告12)のようにBjbrk法における右室の有用 性を考慮した報告もあるが,右室一冠動脈痩を伴う肺動脈閉鎖症ではたとえ右室があっても減圧する訳にはい かないので右室のthrombo exculsionを行ったほうが良い13)という様に右室の状況によりその役割が異なる.

そして,これらの報告の多くが1970〜80年にかけての経験を纒めたものであり,その後登場したTCPC9)が Fontan手術の主流になるにっれ, Bj6rk法が行なわれる機会は急速に減少し,その遠隔成績も散見するにとど まっている.Univentricular repairを必要とする疾患の多くがTCPCで対応できることが明らかとなった現 在,Bjdrk法を第一選択とする疾患は少なく,三尖弁閉鎖症C型のように高肺血管抵抗とある程度の大きさの 右室という組合せのみ右房一右室間に自己肺動脈を挿入する解剖学的修復法5)が唯一の機能的心内修復術とな

る.

 この様にBj6rk法は本来,右室の収縮機i能に期待して行われる方法であるが,低形成右室ゆえに拡張機能に も限界があり,減少した拡張期complianceが収縮期の右房への逆流とあいまって右房圧を上昇させる.その ため拡張機能の見極めが臨床上重要となる.右室への依存度から見ればuniventricular repair(Fontan)one and one half ventricular repair Bj6rk法 biventricular repairの川贋になり, Bj6rk法はよりbiventricular repairに近い修復法と言える.その結果,右室が求められる条件はbiventricular repairのそれに近くなり,

より厳しいものになる.さらにBjdrk法とbidirectional Glennを組み合わせたone and one half変法は三尖 弁がない点が不利となるためFontanと三尖弁を有する右室を用いたone and one halfとの間に位置づけら れ,右室の役割の重さから見るとFontan one and one half変法(BjOrk法+bidirectional Glenn) one and one half(三尖弁あり) Bjbrk法 biventricular repairの順となる.

 Bj 6rk法は先に述べたように右室の収縮機能に期待したものであるが,拡張機i能もある程度備えている必要 がある.この際,三尖弁に相当する房室弁がないことは収縮機能を効果的に利用することを難しくし,それに 加えて右室拡張終期容積が十分でないと拡張期complianceも低下し,より不利となる.この制限された両機 能の詳細を術前に的確に評価し,遠隔期に右室がどのように適応,発育するか予測することが本法の手術適応 決定にとって重要となる.Fontan手術の最終目標は他の開心術と同様に低い右房圧=CVP(中心静脈圧)を 得ることであるが,本論文には遠隔期にTCPCに変換して低い心房圧が得られた症例が報告されており,本法 の手術適応条件を明らかにする上で貴重な情報となっている.著者らの提唱するRV・TV indexは有用な指

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日小循誌 14(1),1998 43−(43)

標であるが,Bj6rk法においては収縮機能に関与する要因(stroke work, contractility)と拡張機能に関与す る因子(RV compliance)を加味すれば,より明確な位置づけが可能になると考えられる.

  TCPCがuniventricular repairの主流となっている現在, Bjdrk法は高肺血管抵抗があり,右室がある程度 使える疾患に対してのみ第一選択になり得るが,本論文で報告されている内容等をふまえて,様々なuni&

biventricular repair対象疾患に対する適切な術式選択の基準をより明確にしていくことが今後の課題といえ

る.

      文  献

1)芳村直樹,山口眞弘,大橋秀隆,大嶋義博,豊田吉哉,鄭 輝男,小川恭一:右房 右室吻合術(Bjo..rk法)の遠

   隔成績.

2)Lee C, Scha ff IIV, Danielson GK, Puga FJ, Driscoll DJ:Comparison of atriopulmonary versus    atrioventricular connections for modified Fontan/Kreutzer repair of tricuspid valve atresia. J Thorac Car−

   diovasc Surg 1986;92:1038 1048

3)Gussenhoven WJ, The HK、 Schippers L, Roeiandt J, Ligtvoet C:Growth and function of the right ventricular    outflovvr tract after Fontan s procedure for tricuspid atresia:Atwo dimensional echocardiographic study.

   Thorac Cardiovasc Surgeon 1986;34:236−239

4)Del Torso S, Kelly MJ, Kalff V, Venables AW:RasionucIide assessment of ventricular contraction at rest    and during exercise following the Fontan procedure for either tricuspid atresia or single ventricle. Am J    Cardiol 1985;55:1127−1132

5)Coles JG, Leung M, Kielmanowicz S, Freedom RM, Benson LN, Rabinovitch M, Sheret H, Dasmahapatra H,

   Trusler GA, McLaughlin PR, Williams WG:Repair of tricuspid atresia:Utility of right velltricular incorpo−

   ration. Ann Thorac Surg 1988;45:384−389

6)Kreutzer GO, Allaria AE, Schlichter AJ, Roman MI, Capelli H, Berri GG, Kreutzer EA:Acomparative    long−term follow−up of the results of anterior and posterior approaches in bypassing the rudimental right    verltricle in patients with tricuspid atresia. Int J Cardioユ988;19:167−179

7)Gates RN, Laks H, Drinkwater DC Jr, Lam L, Blitz A, Child JS, PerloffJK:The Fontan procedure in adults.

   Ann Thorac Surg 1997;63;1085 90

8)Jahangiri M, Ross DB, Redington AN, Lincoln C, Shinebourne EA:Thromboembohsm after the Fontan    procedure and its modifications. Ann Thorac surg 1994;58:1409−13

9)DeLeval MR, Kilner P, Gewillig M, Bull C, McGoon DC:Total cavopulmonary colmection:Alogical    alternative to atriopulmonary connection for comple.x Fontan operations. J Thorac Cardiovasc Surg l988;96:

   682−−695

10)Kreuzer J, Keane JF、 Lock JE, Wa]sh EP, Jonas RA, Castaneda AR, Mayer JE Jr:Conversion of modified    Fontan procedure to lateral atrial tunnel cavopulmonary anast()mosis. J Thorac Cardiovasc Surg l996;111:

   1169  1176

11)IIess DB, IIeath BJ, Lehan PH, McColgin SW, Martin JN Jr, Morrison JC:Pregnancy after Fontan repair    of tricuspid atresia. atresia. South Med J!991;84:532−534

12)Monro JL, Salmon AP, Keeton BR:The outcome of antibiotic sterilised aortic homografts used ill the    Fontan procedure. Eur J Cardiothorac Surg 1993;7:360 363

13)Najm HK, Williams WG, Coles JG, Rebeyka IM, Freedom RM:Pulmonary atresia with intact ventricular    septum:results of the Fontan procedure. Ann Thorac Surg 1997;63:669 675

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