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環境調和型有機合成を基軸とした新規化学物質変換反応の創製

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Academic year: 2021

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環境調和型有機合成を基軸とした新規化学物質変換反応の創製

研究代表者 理工学研究部(工学)堀野良和

(1 ) プロジェクトの背景・目的

新薬開発に注目されている光学活性第3級アルコール骨格は、 フグ毒の成分や昆虫忌避物 質に代表されるように、 強い生理活性が期待されている。 しかしながら、 自然界からの誘導 体の供給は少なく、 人工的な供給が求められている。 有機合成手法としては、 1 )ケトンに 対する不斉アルキル化反応、 2)エノンに対する不斉1,4-付加反応、 3)不斉ケトン-ケトン クロスアルドール反応等が代表的に挙げられるが、 誰も が容易に使用できるレベルには達し ていなし\0 中でも、 不斉ケトンーケトンクロスアルドール反応は特に困難とされている。 その ため、 薬理活性が認知されながらも実用化に 結び、つかない現状も 存在する。 当然、 光学活性 第3級アルコール骨格を有する医薬品は 存在するが、 ラセミ体を用いているものが多い 。 不 必要なものをつくらないという観点から、 医薬分野で はラセミ化合物から単一エナンチオマ ーの医薬品開発への変換「ラセミ ・ スイッチjが求められている。 このように、 光学活性第 三級アルコールの簡便かつ効率的な合成法の開発は、 基 礎研究にとどまらず工業的にも重要 なテーマとなっている。 今回、 金触媒を用いて、 光学活性第三級アルコールの中でも特に 価 値の高い光学活性第三級Pーヒドロキシケトンの新しい合成法を 検討したところ、不斉ケトンー ケトンクロスアルドール反応の代替法に繋がる新たな触媒反応系の開発を目指した。

( 2 ) 研究成果

エノンHこ対するシラノーノレ2のマイケル付加反応を行うことができれば、 アルドール反応 等価体3が生成するが、 シラノールの求核性の低さからそのような反応は困難で、ある(Schem e 1 )。 そのため、 シラノールをアルコールのような求核剤として有機合成反応に利用した例は 未だにない 。

R1 η R3+

守OH 1,4-add崎町1(3--,亡くrR3�'.d_o:_".'�-R1).._R2+よR3

不斉合成を前提とした 場合、4のような第三級アルコールは、 ラセミ化や脱水を 起こしやす い問題を抱えている。 ジヒドロベンゾオキサシロール誘導体7は、 Pーヒドロキシケトンの水酸 基 をケイ素で保護した化合物であり、 上記の問題を解決できる。 そこで、 7の合成法を行うた めの分子設計を行った。 7は、 酸触媒によるシラノール6のエノンに対する分子内付加反応で 合成できると考えた。 一方、6は、 昨年開発したアリルシランのアルキンへの分子内アリル化

Scheme 2.

反応で構築できると 予測した。この金触媒 反応とブレンステッ ド酸触媒反応のそれ ぞれを一つの反応系

(2)

で実施することが出来れば、 5から7の ワンポット合成が 可能と考えた。 種々 検討を行った結 果、(PPh3)AuNT毛触媒存在下、 laと水の反応をニトロ メタン中で行うと、 ジヒドロベンゾオ キサシロール誘導体7 aが良好 な 収率で、得られることがわかった(Table I)。 本反応も基 質一般 性は高く、 置換基Rがアルキル基、 アリール基のいずれの場合でも進行した。 シラノールの 環 化反応は、金触媒または ブレンステッド酸触媒のいずれの場合でも進行することがわかった。

置換基 が メチル基以外のアルキル基の場合、得られる生成物6は、 非対称ケトン-非対称ケト ンのクロスアルドール反応生成物の等価体で、ある (entries ふ8 )。 ケイ素上の 置換基 として、

合成の簡便さからジフェニル基 を用いているが、 ジメチル基やフェニル メチル基で、も進行す る。 ただし、 ジメチル基の場合に は、 条件を選択しないとシラノール の二量化反応が進行し てしまう。

Table 1. Gold-Catalyzed keton-keton cross alodol surrogate reaction

5% (PPh3)AuCI 5%AgNTf2

H20 (2eq.) MeN02 60 °C, 0.5・2h

R

Entry 5 R 6

Sa Ph 6a

yield(%)

61

2 Sb 2-BrC6H4 6b

3 Sc 4-BrC6H4 6c

4 Sd 4・CH3COC6H4 6d

5 Sf Me 6f

6 Sg Et 6g

7 Sh c-Hex 6h

8 Si i-Pr 6i

65 72 77 76 77 70 75

+ (Ph3P)AuMe -一一骨・

Ph

ノ fミf》

γγ

。 うOHイ:>:RA γR 0 B

本反応は、Schem e 3に示 すように、最初のアリル 化反応(5→B)は 金触媒 反応であり、二段階自の 環化反応(C→6)は、 ブ レ ンステッド酸触媒が 関与する反応である。 そ こで、 C→6 の 段階にキ

(2)

ラ ル ブレ ンステッド酸

5% cat-1

H20 (2eq.) MeN02

60 °C, 24 h

)

6a附30%ee)

触媒を用い れば 不 斉 反

応へ展開可能と考えた。

不斉触媒は、 式1 に示すように、 キラルブレンステッド酸と金錯体から調製した。 cat-1を用 いて、 ぬから6a の 不斉反応を検討した(式2 )。 C→6の過程が平衡状態の 可能性もあるの で詳細な検討がさらに必要で はあるが、 不斉収率 30%eeで 6a が得られた。 現在、 種々のキ

25

(3)

26

ラルブレンステッド酸触媒を検討中である。 不斉収率の向上には課題が残るが、 ケトン-ケト ンクロスアルドール反応代替法として は初の不斉反応の展開に成功した 。 このようにして得 られてくるベンズオキサシロール誘導体を、 ケトンーケトンクロスアルドール反応生成物へ 誘導するためにケイ素の脱保護を行った (式3) 。 脱保護の検討を種々行った結果、 Culと TBAF存在下で 反応を行うと良いことが分かつた。 化合物 7 は、 アリルフェニルケトンと非 対称アルキルケトンのクロスアルドール等価体で、ある。

CulffBAF

R

THF

。H

9

0

r(、rl、ゾ、R

•---

�’、治/\

"-.... .."'.'.グ -;, LI

....

J .... J

+

�R (3)

グ6g

(R=Et) room temp.

一 6h

(R=CsH11)

6i

(R=ιPr)

� I I "-.... 0' .O'

I I

7g

(67%) ...,

' 7h

(68%)

7i

(65%)

さらに、 化合物 5 の代わりに化合物8を用いると、 従来法で、は合成が困難な非対称アルキル ケトン-非対称アルキルケトンのクロスアルドール反応生成物 7 jを合成することも出来る

(Sch em e 4)。

Ph Ph

Ph

ι、Si

S%

(印刷uCI

r--.._..Sr'"Ph ?

H

fγSi 5%

AgSbFs

f了

.:> l

:

o

g

Cul/TBAF

_ ~十0Et

_-

ミミ、

�Et

Hっo

2 . /�"Et

{ THF \..--'

- iJ

II

、Y

Me NOっ

A

room temp. 11

8 0

60 °C,-1.5 h グ句(77")ん) 7j (70%)

Scheme4

本研究で は、 環境負荷の低い金触媒をアルキンの活性化剤に用い、 水をケイ素の活性化剤 にそれぞれ用いることで、 非対称ケトン-非対称ケトンクロスアルドール反応の代替となる 触媒反応を新規に開発することが できた 。 不斉反応の収率向上を克服することが できれば、

新たなアルドール等価型の反応としての重要性が飛躍的に増すと期待される。 今後、 生理活 性物質の創製を行っていく予定である。

(3)プロジェクト成果 (特許, 起業, 技術移転等 )

Horino,

Y.;

Nakashima,

Y.;

Hashimoto , K. Kuroda , S.

Synlett,

2010年,pp2879-2883.

(4)プロジェクト成果の応用 ・ 効果 ・ 構想

(起業計画, 市場 での応用 ・ 効果, 特許化構想、)

不斉反応の不斉収率向上が達成できれば、 非対称ケトン-非対称ケトンのクロスアルドール 反応の代替反応として医農薬合成分野での利用が期待される。

(5)利用施設

超分子的機能性材料創製 ・ 評価システム施設において、 下記の測定を実施した。

・ 高分解能核磁気共鳴(NMR)装置を利用して、 水素、炭素 13の測定を週に 10件程度行った0

・ 質量分析装置九'1S-7 0 0 (MStation )で、は、 構造不明物質の測定を週に 1日程度行った。

Table 1. Gold-Catalyzed keton-keton  cross alodol surrogate  reaction  5% (PPh3)AuCI  5%AgNTf2  H20 (2eq.)  MeN02  60 °C,  0.5・2h R  Entry  5  R  6  Sa  Ph  6a  yield(%) 61  2  Sb  2-BrC6H4  6b  3  Sc  4-BrC6H4  6c  4  Sd  4・CH3COC6H4 6d  5  Sf  Me  6f  6

参照

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