九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
ラジアルタービン用ベーンレススクロールの内部流 動と境界層解析
原, 和雄
https://doi.org/10.11501/3105035
出版情報:Kyushu University, 1995, 博士(工学), 論文博士 バージョン:
権利関係:
第6章 三次元境界層計算
4章で流入境 界層の挙動がスクロールの流れ場に対して大きな影響を持つことが 明らかになった. スクロールの流れ場においては高い流入速度のために半径方向圧 力勾配が大きく , 入口ダクトから流入する境界層内の流れは急速にノズル部へ運ば れ, ノズル流れ 場の周方向の非一様性を形成する. その後方の流れ場では側壁の境 界層は流れ方向に発達するのではなく, 生成した低エネルギ流体が順次ノズルから 排除されるため に, むしろ境界層厚さは薄くなり流路の後半部分では軸対称的な分 布を持つ. そしてスクロール入口部と後半部に拘わらず半径が小さいほど, 境界層
はねじれている. このようにスクロールの境界層は三次元性が顕著である.
この三次元的な流れ場の予測にはナピエ ・ ストークス(N.S.)解析か三次元境界 層解析を用いるのが適当であると思われる. スクロール流れ 場のN.S.焦卒析は数少な いが悶lal ilら[19841やShyyら[19931によって行われた. 幸いなことにスクロールノズ ルの流れ場は順圧勾配のために剥離がなくN.s方程式の放物型近似が可能であって,
Khal ilらはPratapら119761にならって主流方向への空間的走査と圧力修正法を用いて 流れ場を解こう とした. しかし4章のスクロール境界層 の測定で明ら かにされたよ うにスクロ ールの後半部で境界 層は非常に 薄いために, k-εモデルを用いる場合は 壁付近に特別多くの計算格子を配置しなければならず, Shyyらのように境界層速度
分布を壁法則を 用いて近似する場合は, 非 常にねじれ, かつ薄い境界層を的確に表 現できなければならな いと考えられる. KhalilやShyyの計算はこれらの 配慮がなさ
れていないために, スクロールの内部 流動を的確に再現していない.
スクロールの 流れ場は剥離がないため , 積分型境界層 計算法の適用においても困 難性が少ない. Swaffordら 119851は物体表面に配置した非直交曲線座標系の上で記 述した非定常三次 元積分型 境界層 方程式 の 解法を提案して いる. こ の方法は Kar i mi p an ahら[19931の計算法のように主流の流線に沿った直交曲線座標を用いるの ではないために 物体表面座標を構成するのに制限が少ない. また境界 層計算と非粘 性計算を繰り返す場合に, 座標を再計算する必要がない. 本研究では この方法をス クロ}ルの流れ 場に適用し, 流入境界層のノズルへの輸送過程とノズ ルにおける周 方向不均一形成の解析が可能 なことを確認した. この方法は時間進行法のためにー
85
/
度の表面走査(空間進行)で解を求めることはできないが, N.S.解析に比べれば計 算量が少なく設計ツールとして用いやすい.
6. 1 三次元非定常積分型境界層方程式
物体表面に非直交の曲線座標系(X1, X2)を 定める. 図6. 1に示すように格子線はÀ
(
メπ /2)で交わる. この座標系において三次元非定常 圧縮性の連続の式および運動方程式は次のよう に書かれる.xz X 3
ðo ð
h九Slnλ .:.:..!:... +ー(p��sin入)+一一(pU2� sinλ)
ðt ðX1 ' . . .. ð�
図6. 1 非直交曲線座標系
+子乙( 内��sinλ) =0dX
3
( 6. 1)
U一χ
.
d-d 何人n pδ
九ゐdm o' +
内一角qA
n QU
ム叶内ρ'+
内一角句人
n cd
九4u o' +
・ρ ム吋
'n pδ n
ーん 向一次-p��cosλ.��2 + P��K2� + p�� sin入K12Uん
( 6. 2)
=ヤsc入字 +h1 cotλ字+帆
Sln入苧L
� 1 �
�3ðU2 ・ ð�ち
P�h2 sinλニユ+pu 九
slnλ ー +p内卸lnλ ー +p�州 2s
inλこユðX1
•
.. .
ð:xぅ ð:xぅ
-p�� cosλK2U� + P��KIU� + p�� sin入K2仰
( 6. 3)
86
/
=引cscλ
字
dス1 +んcot入字
dX1 +快sinÀ与
�ぅここにh1 , んはX l' X 2のメトリクスであり, Kl' K2' K12' K21は座標線の曲 率を表わすパラメータである(Cebeciら119771) . この式に境 界層近似を施すこ とにより, 三次元非定常の圧縮性乱流積分型境界層方程式はSwaffordら119851によ れば次のように書かれる.
一川
一 ろ
d 一d
d一円d q
一x 一川 + バ一一切 + 一九i 0 ー=04
+一 pq-h 一2 lh�in λlax1
11 L(ZFhsin Mll)+ム(万 ' . . .. ..' aろ 2 h , sin À8 , '2) I ,,,,
J ( 6. 4)
一κcotÂ
( � 刷11 )
+民ベ
nu -- z rJ C
-一2。�
ðu"ð: au "
+ー
士一一二 +一
七一一二.
h.. q aX1 h2q aえる
+仁一一一2J1 . � I-!-(伝F万長rみ2 弘h hh付附2♂S幻inÃ8杭21)μ+ 」L乙(の戸万 7 2
h 久仲川附l戸戸, h s sinÃ8杭2幻ρ2 ln幻 ρ)
pq ふ ツ " h ん sl n
入l a X1 ' .
� .... . - a X2 " . - . __ "
J ( 6. 5)
-K2 cot や >0,, ) +民CSCÂ ( �
87
/
-ic 2
JXi., a =0
1
ð
r;q3 :t l pq'(Oll +02,)+万(前+以) _ p 8
p (�2 + U2 2) ]
1 /' � n 1: * '\
ð
� . 1 , u2
+ 亡す(28ρ-ô:,
)ー・+亡す(400-Ouぅ)ニユ q M q'"
M! 'ðt qL' q
P U�"ðt
+
2hlh� inλpq 一一3 -' {-;-[h�in入pq3(E11+ε21)] 'ðx1 d-d 叫一川
父U
えU /'E1、 ム ザ + 、PJ
cι + E 〆,‘、 qJ 一Oa 一P 、ん n pδ 九&
+ d一向
1
-_
*一 志 ð
u2
. 1 一 志 ::-:-.1:* '\ð
�+ー云す(U2Ô
�-U1Ô:ヲ) 一一 +ーてす(UIÔ ;
-uヲム,)一一向q 吋ðX1 h2q L 且 & ι u
l'ðろ +竺τ(Ô;-Ô二) 与
�q d X2
一Kl∞tλ[Ell+与す(Ô; -Ô: 1 )] + K 2 CSCλ[E21 +与(Ô;-Ô:1)]
q q ( 6. 6)
-K2 cotλ[ε22 +す(Ô; -Ô: 2 )] + Kl ωλ[E12+27(。;-oム)] U q q -
+K21[E21 +与(u2Ô;-�Ô:2)] + KI2[E12 +会(ゐ;-U2Ô:2)]
q q
1 _00 δτ‘ θτ 内
+ =二言 仁(u, で.E...
+ U2 でと)伐=0 p q
VV dX3 d�ここに式6. 4, 式6. 5は それ ぞれX l ' X 2 方 向の運動量積分方程式で CfX1, CfX2はそれぞれX l' X 2座標線方向の表面摩擦係数である. 式6. 6は連 続の式とX l' X 2方向の運動量の式を組み合わせて得られたエネルギー積分方程式
88
ノ
であり, この式の最終項は境界層内のせん断力によるエネルギ消散を表している.
これらの式で を付した量は主流の値を示す. 上式中の非直交曲線座標系における 積分パラメータは次のように定義される.
非圧縮排除厚さ.
qoω; = fo(広一叫)� (i = 1,2)
排除厚さ.
pqo;-
=Io((5u; - pu;)� (i =ω
運動量厚さ
P52叫=fc ふ Uj(死一u)ゐ3 (i,j = 1,
エネルギ厚さ
丙3Eu イ 門・(q.2ーイ) � ルω
密度厚さ
戸弘=ぷ(p - p)dx3
6. 2 経験則
( 6. 7)
( 6. 8)
( 6. 9)
( 6. 10)
(6. 11)
経験式の導入 各々の積分パラメータの間に経験式を仮定しなければ方程式は閉 じない. ところで, 非直交座標系は流れに無関係に定めたものであるので, 座標線 の交角や座標線と, 主流の流れ方向の間にはなんら一般的関係がなく, 上で定めた
89
ノ
非直交座標系の積分厚さは座標系に依存し, その問に経験式と呼ばれるものは存在 しない. しかし, 主流方向とそれに直角方向で定義される流線座標系( S, n)にお いては, 境界層の積分パラメータの間にある程度 の一般性があり, 経験式が蓄えら れている. 各種の形状係数を導入して, すべての積分厚さを主流方向運動量厚さ6 11に関係づける. 境界層のねじれを表現するために, ねじれパラメータA を導入す る. その結果, 未知数は811とAと, 非圧縮で定義した排除厚さの形状係数Eを用 いる. 流線座標系における積分パラメータの定義式 を次に示す. 以下に石は主流速 度, uは境界層内の主流方向 速度である. ーは主流の値または 非圧縮の値である
ことを示す.
非圧縮排除厚さ.
。。
奇61=ふ(奇- u)dχ3
非圧縮運動量厚さ.
2 ー
。3q �()ll =か(石一ゆ3
排除厚さ.
。。
pqð1 = fo何一pu)cú;
運動量厚さ.
pq2()1l =ふ仰守一的dX.
横流方向運動量厚さ.
2
。。丙()21 =ーかuwdχ1
( 6. 12)
(6. 13)
(6. 14)
( 6. 1 5)
( 6.
16)
90
/
エネルギ厚さ.
丙3ElI =
f
O pu(亨2-u2ゆ3( 6. 17)
密度厚さ.
合 。,
3 5 《
p・1ω ハぴ 一o' ( 6. 18)
これらの積分パラメータの間の経験式で本計算に用いたものをまとめて次に示す (Swafford[ 198
5]) .
非圧縮の形状係数の定義.
H= � l
θ11
( 6. 19)
圧縮性の形状係数は非圧縮の形状係数とマッハ数で関係づけられる.
H= ま =万(1.+ 0.1吋)+ 0.29 ( 6. 2 0)
密度厚さの形状係数の経験式.弓p=
2
42( 0 185E+06)( 6. 2 1 )
エネルギ厚さの形状係数の経験式.
H =EL=(HE )Me-O + 0 .023Me2
E OIl l+0.014Af (6. 2 2)
ここにマッハ数M_=Oにおける経験式は
91
J
喝、
(HE)Me・o =
1.4806 + 3.8378e-2H1 .107-JT -1 + 0.33 一一一一;::-:-tan -1 (
...
'-' � _ _ .1.)
8.5484 ' 1.23
+ ( 0.33
- 1�
)tanh I/2{
1.2874x 10-6(107-H/45761�
17.1' l
- -
, -- / J 非圧縮の摩擦係数の経験式.- 0.3e-L33H • (万 1
C
jf =
(loglO ROll)174d31Hー
+(1.1 x 10-)� tanh(4 -1
� &�_ー) ー 1 ↓1
圧縮性の摩擦係数への拡張はマッハ数を用いて表現される.
r c '-'f
.
-v f
-1 +一一_::_ My -12
e
(6. 2 3)
(6. 24)
(6. 2 5)
境界層内部のエネルギ散逸の評価は散逸係数を経験的に知ることによって行われる.
ここでは主流方向のエネルギ散逸のみを考慮し横流方向の散逸は無視する. 座標線 の交角À, x 1座標線と主流の成す角をα,
�
=え一αとすれば1 ",00/ δτxl aτふ 上 1
C fD�
(_' 2 f- ・2 γ 』777J 心勺Z+ufZご)�=一不可ヲ-1. s 1n �
+ S10α+バ(sin ÇCOSç -sinαωα)}
(6. 2 6)
ここにCfD;は散逸係数であってll, Re 8' Meの関数として相関づけられる次の経験 式を用いる.
CfD�
0.01167e-md+(9×104)elωH +0.01152 - 1 +0.025M/4
(6. 2 7)
ねじれ境界層のモデルにはJhonstonの三角分布を用いる. 境界層の外縁側と壁面 側の横流方向速度分布はそれぞれ次のように直線で近似される.
W 1J.
て=q
A(l一三)
q (外縁側)
(6. 2 8)
92
/
uτq ny n u
一一w士q( 壁面側)
(6. 2 9)
境界層の極線図において, Aは境界層の外縁側のねじれを表わしßwは壁面側のねじ れを表わすパラメータ である.
積分厚さの比一fJ21/ fJ11は横流方向の運動量と主流方向の運動量欠損の比を表わし,
境界層のねじれ状態を表わすのに用いる. 壁面側は主流方向速度uが小さいために 821の評価に際し 式6.
2
8の外縁側のみを用いて境界層のねじれパラメータを求め ると次に示すように単純にAとなる.- 821 /811イpuwdイズ州一例=A (6. 3 0)
したがって, 本論文ではJhonstonの三角分布のAをねじれパラメータとして用いてき た.
一般にねじれが進行しAが大きくなると限界流線の流れ角ßwも 大きくなる. Aと ßwの関係にはJhonstonの経験式を用いる.
U口氏=A{ 01 l
lCfωßw(1
+O.18M})ï J ( 6.
31)
Aパラメータを知った 後, 上式を繰り返し法で解きßwを求めて壁面せん断応力の作 用する方向を見積もるのであるが, ここでは後で述べるように実験事実に基づいて
この式を修正して用いた.
6. 3 境界層の等価吹き出し
a)境界層厚さの空間分布に等価な吹き出し
境界層の存在は流体を排除するものであるから, 境界層厚さの空間的な変化は主 93
ノ
流から見れば物体表面からの吹き出しおよび吸い込みに見える. 排除厚さの変化を 吹き出しに置き換える方法を, 伝統的にLighthillの方法と呼んでいる. 流入境界層 の集中的な流出 はノズル部の流動不均ーを生ずるばかり でなく その排除効果の変 化のために主流から見れば流路面積が 変化していることに相当する.
ロールの境界層厚さの空間変化から吹き出し速度を求め 子午断面に沿って積分し ここではスク
メトリクスをh l' h2と て流れ関数に換算し その効果を評価した.
非直交曲線座標系(X1, X2)において, 座標の交角をÀ,
すると境界層内の連続の式は
3 2)
a _ _ _ a
ー (p 叫んSln入)+ 一一(pui� sin入) +一一(内へん Slnλ) = 0 Jx] '. . * aX2 '. * . aX3
境界層外縁における連続の式は, メトリクスのX 3方向の変化, 表面の曲率を無視
3
2に類似の次式で書かれる. 以下の式でーを付した量は主流におけ すると式6 .(この近似はかなり大胆な近似であるが, 積分方程式の定 この近似を用いなければ式は非常に複雑になる. ) る値であること を示す.
式化に際しても用いており,
3 3 ) d
一一 . _, a
一一ーの んSln入)+一一(
p
明Slnλ)+一一( pïi/
\� sinλ) = 0Jx] - 1 * aX2 -. * .
a.ろ両者の差をとる.
3 4 )
PれUnu 一一、‘,ノ向。t
司3一u一O'fat べAh
n Qd
九4h叶d一角+ 1・J
今,.u og
内4
-u
-p r'E1
司人n F3
h川ad一角+、、,/ u o'
一弘a一o'fE1 べ人
n Q0 44 'n
d一角この式をX3方向に積分すると
f
-:-� sinλ(戸1 - pUt)ゐ3+d fo ∞d
一郎10入(P51-mh+ー j ∞a
-h仰10 λ(尚一例)向=0 _ _
o
dxl
l
dX2 } dろ
/ 3 5)
94
微分と積分の)1頂序を交換する.
ぷ ,fー':- " I
ð .
" ,.00,__• •
".00ð _ _ . _
ムh2sin入
O
JU (内-. PU1 . )dx3 J + 7- ðX2 h.
sinλ. (
c尚一pU2)向+f-hh sinλ(尚一 向)向=01
JO '
.
.1. · .1." .).
JOa.ろ 2
3 6 ) ( 6 .
この式の第3項は
3 7) ( 6 .
f 去 ( �h2
S州これに積分厚さを導入し, 境界層内で積分すると次のようになる.
3 8)
入n
一ρ' 一 ¢Q叫ん「
d
一角 + AU
九4
cd n
司λ 一P-ny
d
一向
一一一同
士yベλ
n F3
今,eムNM'叫aしたがって境界 層の排除厚さの空間分布の変化に等価な吹き出し速度は, 次式によ り陽に求まる.
3 9)
=
r,
� �-(一九sln入両l+Lhsinλ戸引
�h2sinÀρ\伐 ðX2 1 , . L
J
b)流れ関数への換算
境界層がスク ロール流れ場に及ぼす影響を評価するために, 等価吹き出しを子午 これをスクロールの流量を表わす流れ関 壁面に沿って積分し流れ関数に換算する.
数値件=2πK
ib
e tan αeで無次元化する.4
0) ( 6 .
ψnωイmu ii3�� CO叫/叫b� tanα�)
ここにεはスクロール表面と子午面のなす角である.
5章のごとく境界層計算結果を, 局所軸対称の主流の再計算に帰還することは行 わなかった. 局 所軸対称の主流の計算法は二次元的であるので, これを用いて主流 スクロール流れ場は本来 を修正すれば, 流れ場に過度に影響を与えることになる.
楕円的であるので 境界層厚さの空間的な分布に基づく等価吹き出しの流れ場への
ノ
95
影響は, 三次元的に緩和されるはずであるからである.
6. 4 スクロール流れ場への適用
6. 4. 1 求解
未知数としては流線座標系におけるe11 ' H, Aを選び, 経験則を用い て他の積 分厚さを表わす . それを境界層積分方程式(式6. 4""'式6. 6)に代入し未知ベ クトル(e 11' H, A)の時間変化に関する連立一次方程式を得る.
(α11αロα13\員( ()1ヘ(q
�I \α a21 a22 a23 31α 3 2α 33 ) \A) \b3 1 ;t I H I = い | )
( 6. 4 1)
ここに未知ベク トルは流線座標系で定義されているので上式の行列部分は流線座標 系で評価する. 右辺のベクトル部分は幾何パラメータなどを含むため非直交曲線座 標系の積分厚きを用いて計算する. このため流線座標系の積分厚さから座標変換を 用いて非直交曲線座標系の積分厚さを求めなければならない.
計算手順を以下に示す.
し 幾何形状を定めメトリクスh1, んと曲率Kl' K2' K12' K21 を数値微分 により求める.
2 . 局所軸対称の主流を解き領域内のすべての点で主流の流速q , X 1座標線と主 流との成す角 α を定める. 境界条件として流入境界でe11' H, Aを与える. 初期 条件として領域内の計算点に境界条件と同じ値を代入する.
以下の操作を収束するまで繰り返す.
3 . 流 線座 標 系(
5 , 刀)に おい て経験則を用いて形 状係数(式6. 20""'式6. 2
3 )を算出する.
4 . 流線座標系において積分厚さを求め, 式6. 4 1の行列部分を評価する.
5. 流線座標系における積分厚さから非直交座標系における積分厚さを計算する.
6 . 主流方向の摩擦係数(式6. 2 5)と主流方向のエネルギ散逸(式6. 2 6,
96
ノ
式6. 2 7)を計算する. つぎに, ねじれパラメ}夕Aから限界流線の角度ßwを求 め, 非直交座標系におけるX1 方向とX2方向の摩擦係数を計算し, 式6. 4 1右辺 のベクトル部分を評価する.
ð _ -
7 . 式6. 4 1を解いて未知ベクトルー(811,ðt ' ..
H,A)を求める.
8 . ルンゲークツタ法またはオイラ一時間進行法によって( e 11' H, A)の値を 更新する.
言↑算格子 計算は舌部端以降のスクロー ル流れ場について行 った. スクロール表 面の境界層計算格子を図 6. 2に示す.
座標線に特異点の存在は許されないため に, 矩形断面を有する本スクロールの角 部を半径8mmの円弧で接続する近似を行っ た. スクロールの子午断面の壁面に沿っ て等間隔にX2座標を定め , X 2一定の点 を子午断面間で流れ方向に連ねてX1座標 線とした. このようにしてスクロール壁 面は1三X1 �imax' 1 � X 2 �jmaxの矩形領域 に写像される. スクロール表面では, こ の座標 線は非直交の二次元曲線座標系を 構成し,(xl' x2)は自然数 で作った自 然座標である. また 壁 面に直角で流れ 場の方向にX 3軸をとり(xl' X2' x3) が右手系をなすようにした. lmaxとんuは何
れも100に定めた. 図6. 2 平行側壁スクロールの
境界層計算格子
主流条件 主流は局所軸対称流れで与えた. その計算法は第三章の二次流れの評 価に用いた計算 法と同じである. 子午面内の軸対称流れの計算格子の例を図6. 3
に, 子午面速度ベクトルの例を図6. 4に示す. ただし, 境界層計算の子午面形状 は一次微係数まで連続な曲線であるので, 仮想、コーナーを設けた. ところがこの点
97
/
Xz一Js
11
1
・BE‘‘‘‘.11 h‘
‘‘、
11Eta-
i
、、、
i、.
t k
\\γ人
、
、、\\\1、い一
\\\パ、 、
\ 吋
、
、、
、 \\\、
\\
\\之、
、、
\、、、、-、
xz=l Xz -Jmax
図6. 3 子午面流れ計算格子 図6. 4 子午面速度ベクトル
では座標変換のヤコピアンがOとなるため に速度が求まらない. そこで周囲の二点 の速度の代数平均を, 仮想、コーナーの速度に代えた.
境界条件 スクロール入口の主流方向運動量厚さf)11は笑験値に基づいてO.5mm とした. 境界層のねじれパラメータも実験値に基づきスクロール外壁からノズル出 口まで座標線の長さに比例して絶対値が増加するように与えた. 形状係数百は1.4と した.
再循環条件 図6. 2を見ればスクロールの方位角0と2π(x 1 =1とX1ゴmaxに当 たる)の子午断面は互いに共有線分を有することが分かる. この部分においては方 位角2πの解の対応する部分を, 次の時間ステップの方位角0の(流入)境界条件と
して用いた.
CFL条件 本方法は陽的時間進行法であるので, 時間刻みはCFL条件によっ て制限される. C F L数は数値的依存領域が解析的依存領域よりも大きくなければ
ならないこと から定められる.
98
J
41=dtJL dl (6. 4 2)
ここにd 1は代表格子間隔 , cは擾乱の伝播速度, d tは安定な時間刻みである.
本計算ではc f 1を1としてd 1に最小格子間隔, cに主流速度石をとり時間刻み を定めた.
盗笠盟
結果の表示法のーっとして, 流線図を用いた. 流線は (Xl' X2)座標線 の交角えと主流のX1座標に対する流れ角αを用いて, 次式をルンゲークッタ法で 積分し, 座標(X1, X2)が計算領域から逸脱するまで追跡した.α一 ,a 入一m 一て入
l 一向
ゐ (6. 4 3)
n 一 n α 了 λ ,a 一ん l
命 (6. 4 4)
ここにd 1は物理空間における流線追跡の増分であって, 代表寸法よりも十分に小 さく取る. ここではd 1を1mmに設定した. αに代えてα+ßwを用いれば限界流線の 流線図が得られる.
6. 5 数値計算上の問題点
基礎方程式には一次微係数が現れるが, その評価 法が解の安定性に影響を与え る.
単独翼の主流は外部流れであり, 流れ方向の分布は, 比較的単純であるので, 境界 層計算法の適用において任意性は少ない. Swaffordら119851は, 微係数 の評価に中 心差分と後退差 分を適用し, 差分法の違いによって残差履歴がどう変化するかを示 している. そ れ によると, 計算領域から残差を円滑に運び去るためには, 中心差分 は不適当で, 差分は後退差分でなければならなかっ た. Swaffordらの計算例は単独 翼の三次元境界層に対するものであるが, 彼の計算格子の定義によれば, 後退差分 は風上差分を適 用したことに 当る. これに対し, スクロール流れ場は内部流れであ るので, 格子線 に対する主流の流れ方向が場所によって大きく異なっており, 計算
99
ノ
|
中央断面7-81
Recirc山ting Aow
1
再循環3・6・41
3 6 4
r司同ーーー四
,, �
寸‘11
�
....',...11 L{コ
ミ" 司〈
鈴111丑
桓11 弐
弐 11 1
"t< 11 口
""\ 11 そ\
rく 7 8
の・ト・同制緩ムヘ'K\
Nozzle Front
1 5 2
|
流入面1-5-21
法を機械的に適用す 5
ることはできず, 単 独翼の境界層計算に おけるよりも微分法 は多少複雑である.
スクロールと計算格 差子の対応関係
分法の適用に関 して 述べる前に, スクロー ルの物理的形状と計 算平面と の対応関係 5は, スクロー
5
ルの鳥隊図に付した数字が, 矩形の計算平面に記入した数字に対応している. 計算 スクロールの入口に, 上辺は, スクロール巻終わりの再循環流路に
スクロールと写像面の対応関係 図6 .
について説明する.
図6 .
平面の下辺は,
対応する. 計算平面の左辺は 後壁側のノズル出口に, 右辺は前壁側のノズル出口に スクロ}ルの主流は, 大略すれば矩形の下部から流入し, ノズル出口に当 当たる.
たる左右の辺から流出し, 上辺から再循環すると言える.
計算結果の等高線図を描く場合には, 計算平面の四辺上と, 計算領域の中央にお ける関数値の分布を, 計算平面の周囲に補助的に示した.
差分法
l 5 . 6 .
主流方向差分 a)
本研究においてはX1方向(スクロールの流路方向 )の微分 の評価 は後退差分に スクロールの主流はX1方向(ほぽ周方 向)に卓越しているために,
は風上差分を行ったことになる. 格子の間隔は1であるので, fを任意関数値と す これ ょった.
ると微係数の評価は単純に次の式で定まる.
ノ
100
( 学 dX1 )Xl =ん1
-fX1-1
b )子午面方向差分
( 6 . 4 5)
前進(後退)差分 X2方向(子午面内)の差分は, 領域全体にわたる前進もしく は後退の片側差分では解が発散した. 片側差分は差分における情報伝達の方向が一 方向である. これに対して, 主流のXz方向成分 による情報伝達の方向は, 例えば ノズルの前壁と後壁を考え れば, 流れ方向が逆であることから分かる ように, 全領 域では 一致しないからである.
風上差分 次に, X2方向の差分を風上的に評価したときの結果について述べる.
X1座標線と主流とのなす 角αが正であれば, 主流はXz座標の増加する向きに流れ ている. このとき, Xzに関する差分は後退差分で評価する.
( 主 )X2 =ふーん2-1
dろ (αと0)
4 6)
αが負の場合には, 主流はXz 座標の減少する向きに流れている.
関する差分は前進差分で評価する.
このとき, Xzに
( 手
dXミ)X2 =ん1ーふ2 (α< 0) ( 6 .
図6. 6は, X1座標線と主流とのなす角αを求め,
α
=0の等高線を図示したものである. スクロールとの 対応関係の図6. 5を参照すれ ば,
れ角α(ほぽ平均流出角に等しい)
ノ ズル後壁では流 の符号は負であり,
ノズル前壁では正である. また , スクロール外壁に対 応する部分で αが正の領域が負の領域に取り固まれ
ている. これら の境界で差分の方向を切り替えて, 風 上的に評価すると 計算は 発散した.
101
!+
+
図6. 6 主流とX 1座標線 の交角の符号
ノ
rear
limi t s1 mmdru a・1eequ xn1a
===ra QY12 pupupu QMUMHV Runυnu 1う欠Ununvnu s?a?a?
rear main s1
( b
)主流流線zii-ijjiiii
(
a )限界流線二liJiiiiiii
(
e )形状係数万 ( f )ねじれパラメータA 発散した計算例(bs/be=3.8, 後壁)( d
)運動量厚さ811 図6. 77は後に述べる解に対する平滑化(ε=.005), を行ったに X1方向の差分に風上差分を適用し, X2方 向の差分は上述の風上差分を実行した. まず, スクロールの後壁の言↑算結果を示す.
発散した例
もかかわらず計算が発散した例である.
図6.
(
a )は 限界 流線で, 後壁で特に振動的な曲線が得られた. 図6 .(b
)は主流の流線で, 局所軸対称流れを連結して作ったものである. 図6 .( d
)の運動量厚さ811や, 図6. 7部分で振動し, 計算が続行できなかった. 図6.
7 7
図6.
7
の形状係数の等高線はスクロー ル後壁( f
)まで(
a )から図6.(
e)
ノ 8 8
102
front main
s1front
1imit
s1d m m fu ・ 1 erq u a xnlo --== n 令L EdQMツ』 EEE 守sd噌ハU同thiAU nvnvnu nununu ふ'a?ムw
( c )等価吹き出し速度
Eiiciiiiiij
-A・I・-anununu ++ Pし】pupu FHHhxHU Ed勺unu --aE且SA 令、 ===n xnlo
aierb mmdf
h
( a)限界流線
qメJ4 nMHMU --- pupUPU -.,ALAU 'AnyhU 寸e'Ahd t ===n xnlol a--er1 mm.dFAt
( e )形状係数万 ( d)運動量厚さ811
発散した計算例(bs/be=3_8, 前壁)
に, 同一計算条件の, 前壁の計算結果を示す. 収束する前の結果であるが, 物理的 に妥当な解が得られた. すなわち, 図6. 8 (a)の限界流線は半径が小さいほど ねじれて, 半径内向きを向いており, 図6. 8 (d)の運動量厚さの 分布は,
方向に薄くなる . さらに 図6. 8 (f) のねじれパラメータは, 入り口部で三次 元構造を有し スクロール流路では, 半径が小さいほどねじれが増し, ほぽ軸対称 の分布である. これらのことから, スクロ ール外壁と後壁の流れ場で何らかの問題 主流 8
図6.
が発生したと推測できる.
ノ
103
固定的片側差分 スクロールの外壁近くでは, 主流の流れ方向はほぼX1座標線 方 向であり, 主流 のX2方向成分もしくはαは 小さい . 前壁側 では, 主流の 流れ方向 はノズル付近の平均流出角αeまで, 徐々に増加する. 前壁側ではαが正であるため に, 微分はX2に対する後退差分で評価した.
( 手 )れ=ふーん1
(jJ幻2sjmax)dろ
(6. 4 8)
そしてスクロール後壁側では, ノズル付近の平均流出角- a eまで徐々に減少する.
卓越する流れ角が負であるため, 微分はX2に対する前進差分で評価した.
(笠)X2= fX2+1 - fX2 (1
Sx2 <人) dろ
ここに)sは差分 の方向を切り替える X2座標で, その 位置は 主流の X2方向成分が小さい スクロールの外壁 上に設定した. 図6 . 3にその典型的な位置を示し ている. また, 図6. 9に , これまでに述べた差分 演算 の関係を, 図式的 に示した. )を任意に選定する と解 は安定に求まらず, 流れ場によって多少の試行 を要した. この事実は, 本境界層計算法が主流流線 のあらゆるトポロジーに対して適用可能ではないこ とを示唆している. 切り替え境界では, 境界層の子 午面内の情報伝達はなく, 上流からのみ境界層の情 報が伝達される. この差分法に対する配慮だけでは 解を求めること は できず, 次に述べる処置を併せて
用いた.
6. 5. 2 平滑化
(6. 4 9)
ぺ F d
J 1\
x
→X2
�
図6. 9 差分の説明図
局所軸対称の主流に対して流線を描いた例が図6.
7
(b)である. スクロール の後壁では, 主流の流れ方向がX1座標線にほぼ平行で\ 主流のX2方向成分で、ある104
U2が非常に小さい領域が長く続くことが分かる.
心力による境界層の輸送現象(排除効果)が大きく隣接領域から境界層が供給され なければ境界層は薄くなる一方である. したがって, 境界層の排除効果 が勝り, 時 間の進行にともない境界層厚さはますます薄くなりついには負に至る. 実際の流れ 場では境界層の変化は主流の流線を変化させ, 周囲から 境界層が輸送されてくる.
ところが境界層計算法は, 与えられた主流に対する境界層を計算するだけであるの で, 主流は変化しない. そこでこの様なことが起ると考えられる. (この他に境界 層が非常に薄く なった状態に対する, 境界層の経験則の不備も考えられないことで しかもこの部分は後壁にあたり遠
はない. )
これを解決するために次式で定義する平滑化を行った.
5
0)
phu ,,SE‘、、
fj= 1 2 1J P J
5
1 ) ( 6 .
fiJ=fi.jキEUiJ-fi.j〕
εはOであれば平滑化はなく,
がって, εはで きるだけ小さい値をとることが望まれる. スクロールの境界層の問 題では5/1000ほどの値を採用した. そして前述の境界層厚さが負になる領域の近傍
した ここにfは格子点における任意の関数値, 1とjはxぃ X2方向の格子番号である.
lであれば周囲の代数平均を採ることになる.
1 1にεを0と5/1000に選んで結 この例では主流は局所軸対称の主流ではなく, その流れ方 向がX2座標の中点から ノズルの 出口に向かつてノズル出口角まで線形に増加する 仮想的な主流(以下線形の主流 と称する)を与えている. この主流条件に対しては 平滑化 , 局所時間刻みを適用することなく解は収束する. 線形の主流 で平滑化を行
1 0と図6 . 図6 .
にのみ 平滑化処理を行った.
果を比較した例を示す.
わない ときには残差の減少 が著し い が, 平滑 化を行った ときには残差がlog10 (0.005)=-2.3ほどまで減少することが分かる. しかしながら両者の解を比較してみ ると平滑化 の影響はほとんど無いことが分かる.
105
012 34 567 8
- - - - - - - -
( c )限界流線
106
( d)主流流線
ハVハv'AnuHVHU ++一
141J14j
puPUEb - - h 一 一〉 つばφ4 一 一 \一一一\一 nuHvud - -、= て 一 448 二一 二 一 - - - jj 一 一 一一一一一~一一 一 ~一一 XNL『 一一 『 一 一
AI E
ll1 1 11
MMD
11 111
:: :
111 111
111
. ・・ ・a
I111 1 111
11 1 :1: :
I
:1 �
,
1 1
、---'--'l...L.
|_________ 1
1 .__、、|
( h )主流の流れ角α パラメータA
苅6. 1 0 流れ方向が線形に分布した主流による収束結果
( a )収束履歴
( a )収束履歴
01 2 34 567
8
-- --
一- --
( c )限界流線 ( d )主流流線4 J J1 - 14 + + 000 nkV1
RUPUEb--h一一bQ66u一一三一一\一Q只村円t一q=て一qu守ばγ・一-一一』一
:-jj
一 一』一一一-一一
一-===一一一『一一
XNL『 一一 『 一 一
AIE l l11 11
MMD
Iß 1 1111 11 11 VI 11 11
111
l---ー l
1 ---、|
( h )主流の流れ角
α
図6. 1
0にε=0.005の平滑化を施した結果 107
è1
い U
( e )主流方向 運動量厚さ811
図6. 1 1
6. 5. 3 局所時間刻み
平滑化を行っても時間進行に伴う解の変 動の激しい部分は計算が停止する場合も あり, また平滑 化係数はできるだけ小さい方が良いので, 解の変動を制限する意味 から局所時間刻みを採用した.
当該タイムステッブにおける解の変動の平均値を次式で定義する.
ð..811
=ヰ;22J4)2
hL imム22jq)2 企A=ヰ;222φ2
局所的解の変動の無次元値を次式で定義した.
ð8 "
., • • _ ðH 今 - a 今ð.. V
= .. /(ーより"/ð..811+(一一)" 池H+(午) 正 ゆ4
ð t - . . 'ðt' , ðt
(6. 52)
(6. 53)
( 6. 5
4)
(6. 55)
解の変動量の大きい部分では局所時間刻みが小さくなり, 解の変化量を制限するよ うに局所時間刻みを次式で定義した.
at=MN(l, i )dt
ðV
(6. 56)
ここにdtはCFL条件より定 めた時間ステップである. 局所時間刻みの適用はタイ ムステップの繰り返し数を大きくとれば本来の解に収束することになるので, 残差 の収束速度が落ちて計算時間が長くかかる以外の技術的問題は少ない. この適用も 解が不安定 になりやすい領域に限った.
結論としてスクロール流れ場で、解を安定に得るためには1 ) 風上的片側差分,
2)
解の平滑化, 3) 局所持問刻みの適用の三条件が不可欠であった.108
6. 5. 4 限界流線の流れ角の評価について
これまでに述べた対策を適用して求めた限界流線を, 図6. 13 (b)に示す.
これによ ると, 限 界流 線 はノズル部分でほとんど半径方向を向き, 図6. 1 3
( a
)の実験による限界流線と大きく異な っていることがわかる. これはねじれ境界層のモデルが適当でないためである.
主流と 限界流線のなす角ßwは壁面における揃断力の作用する方向 を示 し, 主流 方向と横流方向の境界層の発達割合に直接的影響を与える. Jhonstoneはßwを A パ ラメータや表面摩擦係数Cf と次式で関係づけている.
叫=A ! 01 }
( 6. 3 1前出)lCfωム(1
+0.18吋)2 J
ねじれパラメータAと境界層の限界流線の流れ角ßwの関係はこの式を繰り返し法で 解いて求めるの であるが, 上式は主 として高亜音速飛行する後退翼の比較的ねじれ 角の小さい境界層計算を目的 として作られたものであって Aが1以下のときにAと ßwがほぼ比例する関係を与える. しかしなが らスクロールの 境界層は, 強い圧力 勾配の影響でねじれパラメータが大きく発達し約1.7以上に達するので, 式6. 3 1
をそのまま用いると不当 に大きなßwが求まることになる. すなわちßwがπ/2に近 づき, ノズル出口で は限界流線がほぼ半径方向, ないし主流の流れ方向によっては 後方 を向くことも有り得る.
そこでスクロール境界層の実験結果を用いて, 三個のパラメータAとßwとCfの 関係を検討してみた. Aは実験により求めた境界層積分パラメ}タから算出し, ß w は壁面に最も近い測定点(y=O.2mm)の流れ方向と, 主流の流れ 方向とのなす角 を用い, Cfは境界層の主流方向速度のクラウザープロットから求めた. 図6. 1 2
(
a )は主流側のねじれを表わすAと壁側のねじれを表わすtanßw の関係で, ねじ れが小さいとき は両者に比例関係があるが, ねじれが大きくなると両者の相関が失 われることを示している. 図6. 12 (b)は壁面摩擦係数が大きくなると全般的 に外縁側のねじれAは小さくなるが強い相関はないことを示す. 図6. 12(c)
109
3 1 (
a)
8 ア3 1 (b)
,á11 (c)
,7 7
?
�I
凶蝿昆 rC; 『宅先
qコB•6 g c
l.#Jst
�o nf3w
。。Cf
. 0 1 。。Cf
. 0 13 1 ( d ) l|(
e) ( f )
。 。
�'(;I
i g静 y Ic:r司、、、、主
A
zo H 凶
u/互図6.
1 2
ねじれ境界層の相関 bs/be=3.8 s= 3からs=1
7までのデータは同じく壁面摩擦係数が大きくなると境界層のねじれは壁面側で小さくなり, かつ,
壁面摩擦係数と, より強い相関関係を持つことを表わしている.
これらのデー タから式6. 3 1に相当する関係式を導き出すことは労力を要する ので, ここで は以下に示す方法を用 いた. 式6. 3 1からAを逆算してAcfと名付け る.
A d
-J=叫 ! 0 1 1
l Cfωム(1
+O.18M;)"2 J
(6. 57)
この 式にßwとCfの実験イi宣を代入してAcfを求め, やはり実験により求めたねじれパ ラメータAとの関係を図示すると図6. 12 (d)となる. 両者の関係をtanh関数 を用いて最小自乗法で整理すると次のようになる.
Acf = tanh(1.1718 A)/1.1718 (6. 5 8)
110
( a )実験 ( b )限界流線の修正なし ( c )限界流線の修正あり 図6. 1 3 限界流線の比較(bs/be=3.8, 前壁)
上式によってA からAcfを求め, 式6. 28によってßwを逆算し実験値と比較した ものが図6. 12 (e)である. これによれば限界流線の流れ角の予測値と実験値 に良い相関がみられることが分かる.
ねじれの進行に伴う境界層の極線図の変化を図6. 12 (f)に摸式的に 示す.
矢印の方向に境界層のねじれが増すことを表わしており, 境界層のねじれが小さい 聞は壁面側と外縁側で同時に ねじれが増し, 両者にほぼ比例関係があるが, 境界層 のねじれが進行しAが大きくなっても限界流線の流れ角ßwは大きくならず飽和する.
境界層計算においては格子点毎にAパラメータが定まると式6. 5 8によってAcf を求め, 式6 . 3 1のA に代えてAcfを用い, く り返し法によってßwを求め, 式 6. 4 1によっ て境界層パラメータの時間変化量を見積もる. この修正を施したと きと施さなかったときの境界層の限界流線を図6. 1 3に示す. 修正を施していな い図6. 13 (b)の限界流線はノズル出口部においてほとんど半径方向を向く.
図6. 13 (c)が修正を施したときの限界流線で特にスクロールの下流部におい ては図6. 13 (a)の実験値に近い流れ角が得られている. 実験の限界流線とは,
特にノズル出口部でかけ離れた分布であるが, これは次の理由による. 実験の限界 流線は 入口ダクトから出 発しているために, 曲がりダクト部で発生する半径内向き の輸送作用でス クロール入口 に達するまで に既にある程度集中している. そしてス クロールの中で さらに集中してノズルへ流れる. これに対し図6. 13 (c)の修 正を施した限界流線は, スクロール入口に限界流線の出発点を均等に配したために,
境界層の集中が強調されていないが, スクロールの入口部で, 限界流線が半径方向
111
に向きを変える様子が観察される. スクロール下流部における限界流線は, 実験と 同じく軸対称的な結果となった.
6. 6 計算結果
以上述べた計算法を, 平行側壁スクロールと, 円形スクロールに適用した結果に ついて述べる. 示した解は最終の繰り返しの結果である.
6. 6. 1 平行側壁スクロール
a
)スクロール表面の計算結果
bs/be=3.8の平行側壁スクロールの, 後壁側の計算結果を図6. 1 4に, スク ロール前壁側を図6. 1 5に示す.
スクロール後壁側の境界層分布 図6. 14 (a)は限界流線を示す. 後壁の流 入境界層がスク ロールに流入後 半径方向に向きを変え, 内壁の円筒面上で, 再循 環流れに押し流されて集積し, 下流側へ移動した後でノスルから流出する様子が伺
える.
図6. 14 (d)は主流方向の運動量厚さの等高線図である. 後部側壁の流入境 界層が主流方向よりも, 半径方向へ向かつて流れる様子が示されている. 内壁の円 筒面上 で再循環 流れと干渉し, 一旦境界層厚さが薄くなるが, 円筒面上で再び発達 し, その後ノズルへ向かつて流れる.
図6. 14 (c)は等価吹き出し速度の等高線図である. スクロールの後壁部で は, 流入境界層が半径内向き に輸送され, 薄くなるため吸い込みの効果を持つ. 後 壁と円筒面の交点付近の, 流入流れと再循環流れが干渉する部分で, 境界層が厚く なるために吹き出しの効果を持つ.
図6. 14 (f)はねじれパラメータAの分布 である. 後壁面の 分布は, スクロー ル入り口部で三次元的で, スクロール下流部では, 軸対称的である.
112
'A'EAU nMHXU
み曹司ふ'ふ'
EEE
nununu aMHMHv qι'AZ
===r
xnla a-
-ee3
mmdru
rear main sl rear
limit sl
( c )等価吹き出し速度
-A・1ハunununu +一+Fじnιpu nMソ』AU 円。401hoi
--一一一一ra
xnla a--ee mmdra
( b
)主流流線IL--a1A GOG
-?+。 pup」pu 氏M同HUQU1MHV 'i'Bphu
==一一rA
xnla
ai ee b
mmdrh
( a )限界流線
;嬬132
max=
ml.n=
del=
rear tll
( d
)運動量厚さe11 ( e )形状係数万 ( f )ねじれパラメータA図6. 1 4 平行側壁スクロールの計算結果(bs/be=3.8, 後壁)
スクロ}ル前壁の境界層分布の計算結 果につい
ては次節で, 実験結果と比較するので, 特徴的なことを述べる. 図6. 15 (d) は運動量厚さの 分布であるが, 流入境界層がノズ、ルへ向かつて, 舌状に移動する様 スクロール前壁側の境界層分布
( c )の等価吹き出し速度の分布は基本的に後壁と
1
5
子が示されてい る. 図6.ノ ズ、ルへ輸送される流入境界層と再循環流れがぶつかる部分で境界層
厚さが増すため に境界層は吹き出しとして作用する. 流入境界層の移動経路の下流 側では境界層厚さが減少するために今度は吸い込みとして作用する.
変わらない.
113
010 000 ふE且?a?
EEE q対dhuav'AU
QV・AVι
t 一一==nxn10 a・1erqummdfu
front main sl front
1imit sl
( c ) 等価吹き出し速度
詰;二jjiiiii
( b
)主流流線EiiiiiEii
( a )限界流線
21i ji!iii!?
( f
)ねじれパラメータA( d )運動量厚さ811 (e) 形状係数万
平行側壁スクロールの計算結果(bs/be= 3.8, 前壁)
1 5
図6.
( e )は形状係数の等高線図である. 前部側壁に沿って下流方向に形
1 1の実
状係数の変化を見ると , 流入境界の境界条件で指定した1.4からほとんどの領域で増 加し, 高原状の形状係数の大きな領域に達し, 大きいと ころは1.8を越えた. この部 分は運動量厚さの小さ な領域 に対応しており, 流入境界層がノズ、ルへ運び、去ら れた 後に発達した境界層であって, 形状係数が大きなことから層流的な境界層であると 予測しているのであるが, これは流れ方向に形状係数が減少した, 図4.
スクロール 境界層の特徴は横流方向の低エネルギ流対の このためおそらく摩擦係数や散逸係数の経験式(式
1 5
勝吉果とは異なっている.
輸送力が大き い ことで ある.
図6.
114
。
-2
r-t
買al一3
ピ! むi
-4 ー5 -6 ー7
- 8 z
( a )収束履歴 (b) ()llの断面内分布(c )万の断面内分布(d) Aの断面内分布 図 6.1
6
収束履歴と断面内分布6. 2 4および式 6. 2 7)にねじれの影響を加味しなければならないのであろう と考えられる.
b )収束履歴とスクロール断面内分布
図 6. 1 6 (a)は収束履歴である. 初期の200固までの残差の増加は, すべ ての格子点に代入した初期値が, 主流の流れ場に応じて 変化して行く過程を表わし ている.計算は500回程度の繰り返しでほぼ収束するのであるが 局所時間刻み を用いているため 収束は遅れ 1 200回程の繰り返しを要する.
変数の断面内分布を, 壁面に直角方向に変数値を取り, 方位角1
8
0度, x1=50 の断面について代表的に示す. 図 6. 1 6 (b)は運動量厚さの断面内分布である.流入境界層はノズ、ルへ排除されてしまっているために, 前後側壁の境界層厚さは薄 くなっている. 外壁の境界層は横流側への排除作用がないために流れ方向に発達す る. 前壁側で特に発達するが, これは局所軸対称流れを連結して作った主流の流線 が, この付近に次第に集まってくるため である.
図 6.1 6 (d)にはねじれパラメータAの子午面内の分布で ある. 後 壁側のね じれパラメータは, 側壁部分で半径内向きに増加し, 内壁の円筒面上でねじれは一 旦滅少しノズル出口で半径方向に再び増加する. 前壁側はノズルへ向かつて, ねじ れが単調に増加する.
c
)境界層の実測値との比較
115
子午面に沿った主流方向運動量厚さ 図6. 1 7は, スクロールの入口部におけ る境界層厚さの変化を, 実験と計算で, ほぽ対応する方位角で両者を対比して比較 したものである . 境界層厚さのスケール は10倍に拡大して示している. 上段の実 験により求めた境界層分布は, 0 =0。 の子午断面ですでに二次流れが発生してい るために舌部上面に向かつて厚くなっている. 0 =3 4。 では流入境界層が 半径内 向 きに運ばれ, 前壁と 後壁では半径が小さいほど境界層厚さが厚い分布を示 す. し かし0=6 0。 から0=90。 になると 両側の流入壁境界層の輸送 は終了し, 薄くな る.
次に計算結果について説明する. 0 = 0。 の子午断面では, ほとんどの部分で流 入境界の境界条件である厚さO.5mmの一定値を示し, 再循環流路と流路が重なる部 分では0= 3 6 0。 の子午面の分布をそのまま代入した分布となっている. 0 =
3 3。 は半径方 向の圧力勾配のために側壁の流入境界層がノズルへ運び去られる過 程を良く表わしている. 0 =
5 1。 から0=6 9。 では後壁から輸送された境界層が
内壁 上を移動する段階であり, この断面では側壁の境界層はすでに薄くなっている.このように, 三次元境界層計算でスクロール入り口部における境界層厚さの分布 をよく表わ すことができることがわかる.
116
E-z-eavaゐ・・ -- O AU 一一 ハσ
一一一一一一 一一一一一一
。= 00
。= 5
10 。= 6 90
。= 1
4.。=87
図 6 .
1 7 主流方向運動量厚さの入り口部における推移
(運動量厚さは1 0倍に拡大)
117
。= 3 30
前壁の運動量厚さの 等 高 線 図 図 6. 18 (a)と図 6. 18 (b)は主 流方向の運動量厚さ の等高線図の比較で ある. スクロール入 口部における境界層 の分布は全体的には 流入境界層のノズル 部への集中的 輸送現 象を表している. 同 図(b )は本計算に よる主流方向の運動 量厚さの等高線であ る. 実際の流れ場と
異なりスクロールの 入口で一定の境界層
ß =0.1
(a) {)11' 実験
(b) {)11' 計算
2
厚さを仮定したこと ( c )ねじれパラメータA, 実験(d )ねじれパラメータA, 計算 と, 舌部ウエークは 図6. 1 8 前壁の運動量厚さの等高線図の比較
教意していないこと
(bs/be=
3 .8, 前壁)および等高線の刻みが異なっているために等高線のパターンは実験とは異なってい るが, スクロール入口部での半径方向の輸送にともなう境界層の三次元性と流路後
半部での境界層の軸対称的性格をよく表している.
図6. 18 (c)と図6. 18 (d)はねじれパラメータの分布を比較したもの である.
ノズル出口の境 界層厚さの分布 図6. 1 9はノズル出口境界層厚さの周方向分 布で実験と計算を比較している. 上段のbslb e=3.8の前壁の境界層分布に限って言
118
えば流 入境界層の集 中流出を表して, 実 験と計算は その分 布 と絶対 値ともに そこ そこの 一 致 を見て い る. 実験において は bslbe=1.9と1.5の条 件下で流入境界層 の 集中流出を隠ぺい し てしまう程にノズル 部の境界層が 発達し て い るが, 境界層計 算にお け るb s/b
f
b s / b e � 2. 8 (!)
3.8
1 1
EE )割 程
二。。 1
E E
�� 勘1
<D
-1 o
E I 2.8
� l 凸
呉川
訴さ
。
0
o 180 360
azimuth angle (deg)
刻6. 1 9 ノズル部の主流方向運動量厚さの比較
( b )計算
119
1.9の結果はbsl b e=3.8および2.9の結果とそれほど違わない
.
図3. 36(b)の 二次流れの運動エネルギの周方向分布がb/beがノトさいときに増加していたように,(E E
)制緩
CD 九
百o 90 1 8 0 270 360
3.Z1ffiU出angle (deg)
(
a)実験
実際の流れ場ではbsl b eが小さいときには激しい二次流れ現象のために主流におい ても損失が生成されたものと考えられる. このような主流における損失の発生は境 界層計算では見積もることができない. 境界層計算は非粘性の主流に対する境界層 を計算するだけであるのでbsl b eによってあまり差が出なかったと考えられる.
後壁のデータを比較すると, b
/
be=3.8において境界層厚さはかなり一致してい るが, その極大点の周方向位置が大きく異なっているのが分かる. これは内壁の円 筒面上を経由する流入境界層のねじれを実際よりも過大に予想しているためである.図6. 16(d)にAパラメータの子午面内分布 を示している. これによると前壁 においてはスクロール外壁からノズル出口に向かつてその絶対値が単調に増加する 分布を得た. 限界流線の流れ角とAパラメータの相関は横流方向の圧力勾配(遠心 力)の作用方向と境界層のねじれ方向が一致している前壁の実験値を用いて行われ たために前壁側の境界層の予測は正しくおこなわれた. つぎに後壁側の境界層につ いて考えてみると, 境界層は後壁上では前壁と同じ流動条件であって圧力勾配の作 用方向とねじれの方向が一致しており, Aパラメータは前壁と同じく半径内向きに 単調に増加している. ところが流入境界層が円筒面上に移動してくると, Aパラメー
タは内筒上でノズル出口に向かつて減少している. 円筒面上では横流方向に圧力勾 配は無く, 前後壁面とは異なった流動条件であって, Aパラメータと限界流線の流 れ角の相関が異なってしまったと考えられる. つまり限界流線の流れ角
戸
はAパラメ}夕や摩擦係数以外に圧力勾配などの関数であることを示唆しており,それらの関数関係を解明しなければ, 後壁側の境界層の分布を正しく予測できない ことが分かる.
d ) その他
スクロール入 口速度が変化した場合に計算が可能であることを示すために入口速 度を100m/sまで増加させたが, この場合計算領域全体にわたって局所時間刻みを適 用すれば計算可能であった.
120
6. 6. 2
円形断面スクロールもう一つの例として実験結果はな いが円 形断面のスクロールノズルの境界層を計算 し た . こ の 計 算 に 用い た 計 算 格 子 を図
6. 2 0に示す. 平行側壁スクロール と同
じく, 周方向を100の子午断面に分け,各子午断面のスクロール表面に沿って等分 して10 0点 に分けて 計算格子を作った.
主流の計算 主流は平行側壁スクロール と同じく局所軸対称の仮定を用いて定めた.
周方向 速度分布が自由渦の仮定 に従うとし て壁面の周方向 速度成 分を定め, 壁面が子 午面と成す角をεとして壁面からの湧き出 し速度を定める.
�=νetanr (6. 5 g)
図6.2 0 円形スクロールの
境界層 計算格子
ここにVoは自由渦 流れを仮定し,
Kj/
rにより求める. 吹き出し速度を子午壁面に 沿って積分して流 れ関数を求めるのである が, X 2座標は子午面内に一致して 定義 している の で, スクロールの子午断面に沿った積分は, X2に関する積分 で表わす ことができる. εは格子 点の物理座標の高次の数値微分から求められ, 数値的誤差 を含むために流れ関数の最大値が周方向に変化し, そのために平均流出角が周方向 に変化する ことになる. そ こ で平均流量に相当する流れ関数値併=2πKj be凶nα eで正規化を行った.