津 波力 に よる壁 ・柱部 材 の変形 ・破 壊 に関 す る大 規 模 実験
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(2) 262. 海. 岸. 工. 学. 論. 集. 第55巻(2008) (2) 破 壊 過 程 の 違 い. 3. コ ン ク リー ト壁 に 対 す る 検 討. a) ほ ぼ 同 一 の 壁 面(ケ ー ス1) (1) 模 型 条 件. 写 真‑2は,ほ. 図‑1に コ ン ク リー ト壁 面 模 型 図 面 を 示 す.横 高 さ2.45mで あ り,両 端 の30cm角 面 で あ る.よ. 文. って,壁. 幅2.7m,. の柱 と一 体 とな っ た壁. 面 部 分 は幅 が2.1mと な って い る.. ぼ 同 様 と考 え られ る壁 に対 して,津 波 作. 用 後 の 様 子 を正 面 か ら比 較 した もの で あ る.壁 面 の 半 分 よ り上 部 で の細 か い ひ び割 れ の大 き さ,柱 部 と壁 部 の 境 界 部 で の破 壊 の高 さ に違 い は あ る.こ れ は,1枚. 目 は作. 柱 部 の 背 後 は 固定 し,模 型 上 端 は 自 由端 とな って い る.. 成 さ れ て か ら,材 齢 日数 が 規 定 よ り もか な り超 過 して い. 下 端 も固 定 して い な いが 床 と接 触 して い る.コ. た た め,2枚. ンク リー. ト用 の 歪 み ゲ ー ジを 前 面 お よ び 背 面 に11枚(C1〜C22). 目 よ り は若 干 強 度 が 増 して い た た め で あ る. と考 え られ る:全 体 と して は,押 抜 きせ ん 断 破 壊 で 壁 面. 貼 り付 け た.図 に 方 向 を示 して い る.ま た,壁 厚 方 向 の. の半 分 程 度 の と ころ ま で 破 壊 さ れ て い る こ と が わ か り,. 中 央 部 に6mmの. 破 壊 の形 態 は,同. 鉄 筋 を20cm間. 隔 で 入 れ て い る.縦. 横に. じで あ る こ と が認 め られ る.. 単 鉄 筋 と し,コ ン ク リー トの前 面 ・背 面 と同 じ位 置 に 同 じ枚 数,同. じ方 向 の 歪 み ゲ ー ジを 鉄 筋 の表 と裏 に貼 り付. け た(S1〜S22).壁 は,表‑1に. 厚 お よ び コ ンク リー ト強 度 に つ い て. 示 す通 りで あ り,全 部 で8ケ ー ス,9枚. と した.. な お,圧 縮 強 度 に*を 付 け て い る もの は,早 強 コ ンク リー トで作 成 し,圧 縮 強 度 試 験 に よ り試 験 した 強 度 を 入 れ て い る,印 の 無 い もの は普 通 コ ン ク リー トで 作 成 し,圧 縮 強 度 試 験 が 行 え な か っ た た め,設 計 強 度 を示 す.. 写 真‑2破. 壊後 の様子(正 面,ケ ー ス1,上1枚 目,下2枚 目). b) 壁 厚 の 違 い 壁 面 の固 さ が ほぼ 同 様 の と き に,壁 厚 の 違 い に よ って 図‑1 表‑1. コ ン ク リー ト壁 面 模 型. コ ン ク リ ー ト壁 面 の 壁 厚 お よ び 強 度. ど の よ う に破 壊 形 態 が 異 な る か を,ケ 8で 比 較 す る.ま ず,60mm(ケ. ー ス2,4,5,6,. ー ス2)と75mm(ケ. ー ス4). を比 較 す る.写 真‑3は そ れ ぞ れ 津 波 破 壊 後 を 正 面 か ら見 た も の で あ る.似 の 版 の方 が75mmに よ うに 見 え る.と. た破 壊 形 態 に 見 え るが,60mmの. 厚さ. 比 べ て 破 壊 範 囲 が ほ ぼ 同 じか 小 さ い こ ろが,背 面 か らの 高 速 カ メ ラの 映 像. を見 る と,そ の破 壊 過 程 の違 い を 見 て 取 る こ とが で き る. ま ず,60mmお. よ び75mmに. 作 用 し たP1〜P3に 示 す.ま. も の を 図‑4に 示 す.P3に. は 衝 撃 波 圧 が ほ と ん ど作 用 し. て お らず,衝. た,P1の. お け る波. 圧 の 全 体 を 図‑2,図‑3に. み拡大 した. 撃 波 圧 が 作 用 して 約1.5s後 に す べ て の 点 で. 同 時 に最 大 重 複 波 圧 が作 用 して い る こ とが わ か る..
(3) 津波 力 によ る壁 ・柱部 材 の変 形 ・破壊 に関す る大規 模実 験. 図‑4. 263. P1に 作 用 す る波 圧 の詳細(ケ ース2お よび4). 図‑4に お け る そ れ ぞ れ の ケ ー ス で のA点,B点. の時 刻. にお け る背 面 か ら撮 影 した秒 速1000コ マ の 高 速 カ メ ラの 写 真 を,そ れ ぞ れ 写 真‑4,写. 真‑5に 示 す.そ. れ ぞ れA点. に お い て は壁 面 全 体 に 曲 げ ヒ ビが 入 り,そ れ で は破 壊 せ ず にB点 で壁 の 横 方 向 に対 して 入 った ヒ ビに よ っ て,壁 が せ ん 断破 壊 を 生 じる.こ れ を見 る とわ か る よ うに,75 mmの. 壁 面 は,60mmの. 壁 面 よ り も耐 力 が 大 き い た め,. よ り大 きな 波 力 に対 して 持 っ.よ 写 真‑3. P1〜P3に. 作 用 す る 波 圧 の 全 体(ケ ー ス4). って,よ. り上 部 ま で 波. 力 が 作 用 した 時 点 で破 壊 し た た め,結 果 と して,大. きく. 破 壊 す る こ と に な っ た こ と が わ か る.ま. り上. た,P3よ. 部 に対 して 衝 撃 的 な波 力 が 作 用 しな か っ た の は,下 部 が 両 方 と も破 壊 さ れ力 が 逃 げ た た め と推 測 さ れ る. 写 真‑6 か ら写 真‑8に80mm,90mm,100mmの. 図‑2. P1〜P3に. 作 用 す る 波 圧 の 全 体(ケ ー ス2). 図‑3. P1〜P3に. 作 用 す る波 圧 の 全 体(ケ ー ス4) 写 真‑4. 壁 厚(ケ ー. 背 面 よ り み た 破 壊 の様 子(ケ ー ス2,上:A,下:B).
(4) 264. 写 真‑5. 海. 岸. 工. 学. 論. 文. 集. 第55巻(2008). 写 真‑7. 背 面 よ りみ た津 波作 用後 の様子(ケ ー ス6). 写真‑8. 背 面 よ りみ た津波 作 用後 の様 子(ケ ー ス8). 背 面 よ り み た 破 壊 の 様 子(ケ ー ス4,上:A,下:B). c) 壁 面 強 度 に よ る 違 い ス5,6,8)の. ケ ー ス にお け る,津 波 作 用 後 の 背 面 か ら撮. 影 した もの を示 す.ケ. ー ス5と ケ ー ス4を 比 べ る と,全 体. ケ ー ス1と ケ ー ス2を 比 較 す る と,破 壊 形 状 の 違 い は あ る も の の,破 壊 過 程 に大 きな 違 い は無 か っ た.ま た,ケ. の曲 げ ヒ ビによ り下 端 部 が 弱 くな り,上 部 は耐 力 的 に持 っ. ス3は,ケ. た もの の 下 部 が 破 壊 した.ケ. ス8に は,大. ー ス8は,ヒ. ビが 全 体 的 に. 入 り,柱 部 と壁 体 部 の 境 で の破 壊 も見 られ た が,全 流 れ る に は至 らな か っ た.ケ ー ス6で は,ケ. 体が. ー ス7と 同 じ. く衝 撃 に対 して,全 体 的 に ヒ ビが 入 り,そ の 後 の 波 力 に よ り柱 部 と境 か ら全 て 破 壊 さ れ,さ 流 さ れ た た め,あ. らに 壁 体 部 す べ て が. と に は何 も残 ら なか った.ケ. 8に お いて は柱 部 に大 き な ヒ ビが 入 っ た.こ. ー ス5,6,. れ は壁 体 部. の耐 力 が上 が った た め と考 え られ る.. ー ス1と 似 た破 壊 形 状 で あ った.ケ き な 差 は な い が,柱. 部 と壁 体 部 と の 境 の 破. 壊 は ケ ー ス8の 方 が 大 きか っ た.こ ス7の 方 が 弱 い た め,よ. ー. ー ス7と ケ ー. れ は,壁. 体部 が ケ ー. り大 き く ヒ ビが 入 り,波 力 が 逃. げ た た め で る と考 え られ る. (3) 破 壊 過 程 に 関 す る 考 察 これ ま で の 結 果 よ り壁 体 の 強 度 に応 じた破 壊 形 態(過 程)の 違 い に つ い て 考 察 す る. 図‑5は,今. 回 の結 果 か ら,壁 体 の 強 度 と衝 撃 段 波 津 波. 波 圧 を 伴 った 津 波 外 力 に よ る破 壊 形 態 と の 関 係 を 図 示 し た もの で あ る.図. 中aか らfの順 で 壁 体 の 強 度 が 強 くな っ. て い く こ とを 示 し,ま た グ レー で 色 を付 け た部 分 は破 壊 さ れ,流. 出 し た こ とを 示 す.衝 撃 段 波 津 波 力 の 最 初 の 威. 力 に よ り,aの. よ う に 弱 い壁 体 で は,全 体 曲 げ 破 壊 を生. じさ せ る.次. に,そ の 時 点 で 全 体 曲 げ破 壊 が 生 じ な け れ. ば,b,cの. よ う に,下 部 に大 き な衝 撃 力 が 働 き破 壊 す る.. さ ら に耐 力 が 強 くな る と,dの が 小 さ くな り,さ. よ うに 下 部 の壊 れ る範 囲. らに 耐 力 が 増 す と,衝 撃 段 波 津 波 力 で. は破 壊 ・流 出 に至 らな くな る.そ さ な く な る の で,壁 写 真‑6. 背 面 よ りみ た 津 波 作 用 後 の 様 子(ケ ー ス5). うす る と,外 力 を 逃 が. 体 部 と柱 部 の接 合 部 が そ の 力 を 負 担. す る た め,壁 全 体 が 流 出す る(e).結 果 と して,aとeは,.
(5) 265. 津 波力 によ る壁 ・柱部 材 の変形 ・破 壊 に関す る大規 模実 験. 似 た よ う な痕 跡 とな って 現 れ る.そ. して,そ. れ よ り も強. い とfの よ う に壁 全 体 に ヒ ビが 入 る も の の,壁. 体 と柱 部. の耐 力 が 増 し,持 ち こ た え る一 方 で,柱 部 は,よ. り多 く. の負 担 が か か る よ う に な り,致 命 的 な ヒ ビが入 る よ うに な る.こ れが,陸. 上 部 に遡 上 した ボ ア状 の津 波 に よ る壁. 等 に よ り荷 重 と変 形 と の 関係 を 定 量 的 に 明 らか に す る. 4. 煉 瓦 壁 に 対 す る 検 討 (1) 模 型 条 件 1つ6cm×10cm×21cmの. 煉 瓦 を1段 の小 口積 み し,コ. ンク リー ト壁 と同 様 の 津 波 を作 用 さ せ た.下 端 お よ び両. 体 の 破 壊 モ ー ドの 違 いで あ る.. 端 は 固 定 し た.ま た6cm×10cmの. 面 を 作 用 す る方 向 に向. け て積 ん だ ケ ー ス(壁 厚21cm),6cm×21cm(壁 10cm×21cmの. 面 の ケ ー ス(壁 厚6cm)の3種. 厚10cm), 類の壁面 を作. 成 した.煉 瓦 と煉 瓦 は漆 喰 で接 着 した.付 着 強 度 な ど は 紙 面 の 都 合 か ら別 報 告 す る もの と し,こ こで は,コ. ンク. リー ト壁 面 との 破 壊 過 程 の違 い を 検 討 す る. (2) 破 壊 過 程 壁 厚 が21cmの 10cm,6cmの 真‑9は,壁. ケ ー ス で は破 壊 に 至 らな か っ た.壁 厚. ケ ー ス は そ れ ぞ れ,粉 厚6cmの. 々 に破 壊 され た.写. と き の破 壊 の様 子 で あ るが,衝 撃 に. よ る破 壊 範 囲 は コ ンク リー ト版 と変 わ らな い もの の,付. 図‑5. 壁体 強度 と津 波外 力 によ る破 壊 の形態 の 関係. (4) 衝 撃 段 波 津 波 力 と歪 み と の 関 係 も っ と も破 壊 が 少 な か った ケ ー ス5に お け る 同 じ高 さ の 波 圧(P3)と 鉄 筋 の 歪 み(S15〜18)と. の 関 係 を 図‑6に 示. 写真‑9. 背面 よ り見 た煉 瓦壁 の破 壊 の様子(壁 厚6cm). 着 して い る煉 瓦 同 士 が離 れ,流. れ に乗 って 煉 瓦 が飛 散 し,. 10m以 上 一 気 に 飛 ぶ もの も あ った.ま. た一 端 壊 れ始 め る. と支 え の な い上 部 も も ろ く破 壊 さ れ た.そ. の た め,最 終. 的 に は,写 真‑7の よ う に,支 え以 外 何 も無 い状 態 と な っ た.図‑5でc→eに. 図‑6. 移 行 す る形 態 で あ る.. 5. ま と め 波圧 と鉄筋 歪 みの 関係(ケ ー ス5) 衝 撃 段 波 津 波 力 に よ る壁 体 の 破 壊 過 程 を検 討 す る た め,. す. こ れ を 見 る と,最 大 重 複 波 圧 が 作 用 して い る付 近 で の. 壁 厚,強 度 の異 な る コ ンク リー ト壁 面 お よ び 煉 瓦 壁 を用. 最 大 歪 み と衝 撃 段 波 津 波 波 圧 が 作 用 して い る付 近 で の 最. い た 大 規 模 実 験 を 行 っ た.そ. 大 歪 み の 関 係 は 比 例 関 係 に な い.S15(16),S17(18)と. る破 壊 過 程 の 違 い を定 性 的 に 明 らか に した.. も に,最 大 歪 み 比 はSB:SC=1.5:1程 大 波 圧 比 はPB:PC=7:1程. 度 で あ るが,最. 度 で あ る.こ. れ は,衝 撃 力. の エ ネ ル ギ ー が 小 さ い た め と考 え られ る.こ れ よ り,静 的 な 作 用 に比 べ て,衝 撃 的 な 作 用 の場 合,歪 効 果 は約0.214(=1.5/7)倍. と な る.全. して,壁 体 強 度 の 違 い に よ. み に及 ぼ す. ての条 件 に適用 で. き る と は思 え な いが,衝 撃 的 な 作 用 力 に対 す る構 造 物 の 応 答 の 一 つ の 目安 に は な る と考 え る.今. 後,FEM解. 析. 参. 考. 文. 献. 有 川 太 郎 ・中 野 史 丈 ・大 坪 大 輔 ・下 迫 健 一 郎 ・石 川 信 隆 (2007): 遡 上津 波 力 によ る構造 物 の変形 ・破壊 挙動 の検 討, 海岸 工学 論文 集, 第54巻, pp.836‑840. 辰 巳大 介 ・高 橋重 雄 ・藤 間功 司 ・鴫原 良典 ・松 冨英 夫 ・幸 左 賢 二 ・庄 司学 ・村 嶋 陽一(2007): 2006年 ジャ ワ島津波 の 被 害調 査, 海 岸工 学論 文集, 第54巻, pp.1416‑1420..
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