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大深度立坑工事における盤ぶくれの計測管理と安全対策

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Academic year: 2022

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大深度立坑工事における盤ぶくれの計測管理と安全対策

戸田建設㈱ 正会員 甘利 裕二,山久 芳伸,小泉 克志 1.はじめに

妙正寺川発進立坑は内径32m、連壁長100m、掘削深度57.52mの大深度立坑である。土質は主に砂・シルト

・砂礫の東京層群から成り、連壁先端は透水係数10 〜10 cm/sの難透水層に根入れしている。しかし、難‑7 ‑8 透水層の層厚は11〜12mと薄く、その下の被圧帯水層は0.87MPaの被圧水圧を有しており、設計段階での自重 バランス法による盤ぶくれ安全率は1.01と極めて微妙な状況であった。

このため、現場では詳細な土質調査と各種の計測管理を行い、盤ぶくれに対する安全性を評価・検討しな がら掘削作業を行った。本報は大深度立坑の盤ぶくれに関する計測結果とその評価方法、および安全対策に ついて報告するものである。

2.計測管理方法

追加土質調査を行って被圧水圧、土

、 層の密度分布等を詳細に調査した結果 自重バランス法による床付時の盤ぶく れ安全率は0.986〜0.997となり、わず かではあるが1.0を下回ると予想された。

こ の た め 、 被 圧 水 圧 、連 壁 ま わ り の 間 隙 水 圧 、リリーフウェル の 揚 水 量 等 を 計測し、底盤の安全性を確認しながら 掘削を行うことにした。掘削深度GL

‑42.84mか ら はリリーフウェルケー シ ングパイプの変位量を測定し、リバウ ンド量の観測も実施した(表−1 。) 現場では計測データに基づいて施 工管理するために盤ぶくれ監視シス テムを構築し、掘削深度ごとに現在

の荷重バランスと床付時の予想安全率を算出し、

底盤の安全性を評価・検討しながら掘削作業を行 った(図−1 。)

監視データはインターネットを経由して発注者 とコンサルタントに直接転送し、同一のデータに 基づいて立坑の安全性と施工の妥当性に関する総 合的な検討を行いながら掘削作業を進めた。

3.間隙水圧の上昇とリバウンド量の増加

各種計測項目のうち連壁先端の間隙水圧とリバウンド量に顕著な変化が見られた。掘削深度GL‑42.84mに

( )。

達した時点で連壁先端の間隙水圧が急激に上昇し始め、GL‑52.0mまで掘り進む間に0.103MPa上昇した 図−2 大深度立坑,盤ぶくれ,計測管理,情報化施工,ディープウェル

キーワード:

〒104 東京都中央区京橋1-7-1 戸田建設㈱東京支店土木部工事課 T 03-3535-1584 F 3567-4852

連絡先:

-8388

EL. AX.

水位計

間隙水圧計 床付け

掘削 立坑 ス キ ャ ナ

デ ー タ ロ ガ ー 連 壁 管 理 用

パ ソ コ ン

盤ぶくれ管理用 パソコン

土質調査

密 度 分 布 設 定

掘 削 深 度 入 力 リ バ ウ ン ド 量 入 力

連 壁 デ ー タ 転 送 (間 隙 水 圧 計)

図− 1 盤 ぶ く れ 監 視 シ ス テ ム

連壁 地上

連壁の 間隙水圧計

Bor.No.2 Bor.No.1

リリーフウェル 揚水量測定

Ac Mg

Tc1

T g1 Tc2

Ts2

Tc3 T s3

Tg3 被圧帯水層 難透水層

電 磁流 量 計

リバウンド測定 発注者

コンサルタント

インターネットでデータ共有

表 - 1 計測 管 理 項目

計測項目 計測方法 管 理 項 目

土の重量 密度検層で土層の密度分布を 掘削深度ごとに (自重バランス法) 1mごとに測定 土塊重量を算出 安全率を算出 被圧水圧 水位計 (Bor. No.1) 揚圧力を算出 Fs=土塊重量/揚圧力

間隙水圧計(Bor. No.2) 管理基準値1.1で管理 底盤の リリーフウェルケーシングパイプの変位量 リバウンド量

変位量 を測定(レベル測量)

地下水の 連壁に設置した間隙水圧計 間隙水圧の変化 浸透状況 リリーフウェルの揚水量(電磁流量計) 揚水量の変化 監 視 モ ニ タ ー 画 面

土木学会第57回年次学術講演会(平成14年9月)

‑169‑

VI‑085

(2)

間隙水圧の上昇と呼応してリバウンド量も急激に増加し、掘削 深度GL‑52.0mでは43mmの増加となり(図−3)、除荷による土の膨 張量と揚圧力による底盤の変位量を考慮しても実測値とは9.5mm のひらきが生じた。膨張量と底盤変位量は弾性理論解を用いて計 算したが、砂層の変形係数はN値よりE=2×28N=280MPa、固 結シルト層は一軸圧縮試験よりE=300MPaとした。

床付時の安全率は1.0を下回ることが確実になり、間隙水圧が急 激に上昇しリバウンド量が予想以上の増加を示していることから、

このまま掘削を進めるのは危険であり対策が必要であると判断した。

4.地下水位低下工法の効果

対策としては立坑外側にディープウェル(φ350 117m)を2本施 工し、揚水は上部の武蔵野礫層へリチャージする方式とした。

床付時の安全率1.1を確保するために、被圧水位を9.5〜9.7m低 下させ、揚圧力を0.1MPa低減させた。揚水後、連壁先端の間隙水 圧の上昇量は0.014MPaであり、揚水前の14%に減少した。リバウ ンド量の増加量は揚水前43mmに対して揚水後8mmであり、揚水前 の19%に減少した。さらに、掘削深度当たりの平均増加率も40%近 く減少しており、ディープウェルの効果が認められる。

なお、揚水による周辺地盤への影響は±1mmと観測誤差範囲で あり、周囲への影響は皆無であった。

5.安全率と底盤ひずみ量

掘削に伴う底盤土層厚の変化を考慮してリバウンド量をひずみ 量で表すとデータがより明確となる。排土荷重と底盤ひずみ量の

、 、

関係はほぼ直線的で その傾きから変形係数はE=237MPaとなり 土の膨張量の計算で用いたE=280MPaはやや大きめであったと考 えられる(図−4 。)

安全率と底盤ひずみ量の関係は図−5のようになるが、揚水に よって一旦低下した揚圧力が土塊重量の減少によって再び卓越す るポイントが1.17付近であると考えられ、このことから管理基準 値1.1はやや危険側であり、1.2程度が適切であったと思われる。

6.まとめ

本工事では計測データを発注者と共有化し、総合的に評価・検討

・管理することによって、安全な施工を行うことができた(情報化 施工)。検討及び管理方法として自重バランス法を採用したが、考 え方がシンプルで施工管理しやすく、確実性が高いと言える。ま た、底盤変位量を詳細に把握するためには層別沈下計等の設置が 有効であると考えられる。

最後に、検討にあたって多大なご尽力をいただいた東京都建設 局第三建設事務所の竹内所長、清水課長、角舘係長、桜庭監督員 の皆様に心から感謝の意を表します。

図-2 連壁先端の間隙水圧の変化

0.6 0.7 0.8 0.9

3 5 40 45 50 55 60

掘削深度z(GL‑m)

水圧p(MPa)

揚水前 揚水後

ディープ 揚水開始

0.734

掘削終了 GL-57.52 GL-42.84

被圧水圧

間隙水圧

0.775

GL-52.0

0.011 MPa/m 0.004 MPa/m

0.702

0.805

0.720 0.870

0.10 3

0.014 CP-8

AP-8 BP-11

No.1 No.2

図-3 リバウンド量の変化

70 90 110 130 150

35 4 0 45 50 55 60

掘削深度z(GL‑m)

リバウンド量δ(mm)

揚水前 揚水後

掘削終了 GL-57.52 測定開始

7/2 133

GL-52.0 固結シルト層の変位

底盤砂層の変位

GL-4 2.84 43

109

除荷による膨張変位 実測値

82

ディープ 揚水開始

99 125

8 2.0 mm/m

4.2 mm/m

7.5 9

8.5 10.5 9.5

5

図-5 安全率と底盤ひずみ量

0.00 0.02 0.04 0.06 0.08 0.10 0.12

1.0 1.1 1.2 1.3

安全率Fs=土塊重量/揚圧力

ずみ量ε(%)

揚 水 前 揚 水 後

0.112

0.085 ディープ 揚水開始

1.17 1.15

床 付 面

掘 削 面

δ

Ts

Tc

ひ ず み 量 : ε = δ / h 安 全 率 : F s = W / U

図-4 排土荷重と底盤ひずみ量

0.00 0.02 0.04 0.06 0.08 0.10 0.12

0.7 0.8 0.9 1.0 1.1

排土荷重P(MPa)

盤ひずみ量ε(%)

揚 水 前 揚 水 後

E=237MPa 1/E

0.112

0.085 ディープ 揚水開始

1

y=0.423x-0.139 R2=0.968

床 付 面

掘 削 面

δ

Ts

Tc

ひずみ量 : ε =δ/h 安 全 率: Fs= W/U

土木学会第57回年次学術講演会(平成14年9月)

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