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石綿管直下推進工事における沈下防止対策

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Academic year: 2022

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石綿管直下推進工事における沈下防止対策

戸田建設㈱北陸支店  正会員 ○加藤 泰徳        戸田建設㈱北陸支店       渡辺 克己 

海に近く、地下水位(潮位)の高い軟弱地盤に下水道管渠を泥水推進工法にて施工する工事において、推進 管の直上に水道管(石綿管)が埋設されていた。解析によって、推進工事に伴う予想沈下量は最大 16.4mm となり、水道管(石綿管)に損傷を与える危険性があった。そこで小規模推進工事では導入例の少ない掘削 管理システムによる掘進管理と計測管理体制の確立による掘進管理へのフィードバックを実施した。その結 果、路面の沈下を低減することができ、石綿管および家屋へ被害を与えることなく工事を完成させた。 

1.はじめに  

 当工事は道路幅員の狭い住宅・店舗密集地区に下水道管渠を泥水推進工法にて築造するものであり、路線上 には民家・店舗が密集し、古い水道管(石綿管φ100mm)が推進管の直上に直線部分 L=177m 全線にわたって埋 設されている。推進管と石綿管の離隔は約 3.5m、工事区間の土質は軟弱地盤であり、推進工事における路面 沈下をゼロにすることは非常に困難であると考えられた。石綿管は材質がスレートであり、曲げに弱く、可撓 性に乏しい。また、30 年以上前に布設されているため管の劣化も進んでおり、不等沈下が少しでも生じれば 管が破損する可能性が高い。水道管の破損は道路陥没、家屋への被害等をひきおこす恐れがあり、大きな社会 問題となる。そこで、推進工事による路面沈下を最小限に抑える必要があった。 

2.工事概要  

 工事名称  七尾市公共下水道事業七尾処理管渠埋設工事(第1工区) 

 工事場所  石川県七尾市府中町地内 

 工  期  平成 14 年 7 月 18 日〜平成 15 年 2 月 25 日   工事内容  φ800mm 泥水推進工(アルティミット工法) 

       路線延長 L=266.2m(2 スパン) 曲線部 R=80m         マンホール設置工 3 ヶ所 

3.推進部の土質  

 推進部の土質は、上部に砂質土、下部に粘性土の分布となっており、砂質土層は中〜粗砂を主体に構成され φ2〜10mm 程度の円礫が混入している。N 値は 1〜2 程度と非常に低く「非常に緩い」と判断される。粘性土は 高塑性で含水比の高い粘土で構成され、腐植物の混入と薄い砂層が認められ「非常に軟らかい」コンシステン シーを示す。地下水位は GL‑0.4mと高く、海から 100m 程しか離れておらず、潮位の影響を受ける。 

4.施工上の問題点  

 掘進における問題点については下記の項目が考えられる。 

① 切羽水圧の管理(切羽の安定) 

② 掘削土量の管理(排土量の把握) 

③ テールボイドの保持(テールボイド沈下の防止) 

5.掘進に伴う路面沈下  

 推進時に地盤応力開放による弾性沈下量を Jeffery の沈下計算式により求めると、路面の沈下量は 4.3mm、

水道管の沈下量は 5mm となった。また、推進機通過後のテールボイドの崩落による沈下量は、路面 7.5mm、水 道管 11.4mm となった。これらを総合すると予測沈下量は路面で 11.8mm、水道管では 16.4mm となった。 

6.対策工法 

  沈下予測量が最大 16.4mm となったため、沈下低減のため下記の対策を実施した。 

  掘削管理システム  石綿管  路面沈下     

 連絡先   〒920‑0981 石川県金沢市片町 2‑2‑15 戸田建設㈱北陸支店土木部 TEL076‑231‑4738  土木学会第59回年次学術講演会(平成16年9月)

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 ① 掘削管理システムの採用(簡易型) 

② 自動滑材注入システムの採用および注入材料の選定(固結タイプ滑材の使用) 

③ 掘進管理値の設定と管理 

④ 計測管理体制の確立と掘進管理へのフィードバック  7.掘進管理項目  

 掘進管理項目として①切羽水圧②泥水比重、粘性③推進速度④掘削土量率⑤滑材注入量、注入圧⑥路面沈下 量を設定し、これら各項目について施工前に初期値を設定し、掘進中の計測により路面沈下の管理値を超えた 場合には設定値を変動することにした。路面沈下量の 1 次管理値を 2mm、2 次管理値を 4mm に設定した。 

8. 施工結果 

  掘進土量の管理目標値を 80%に設定し掘削土量システムで土量率の管理を行ったが、推進管 1 本毎の土量率 のバラツキも少なく、平均 82.5%となった。今回使用した掘削管理システムでは、密度計を省いているために 実際の掘削土量を計測することは難しく、82.5%はあくまでも目安であり、土量率のバラツキおよび路面沈下 量にて土量を判断した。今回の掘進では掘進中の土量率に大きな変化は見られず、掘進も安定していた。この 結果より、掘削土量については十分に管理できたと考えられる。 

 泥水の管理項目である切羽水圧については、地下水位が高いため、自然水圧+0.02Mpa を基準値に設定し掘 進をおこなった。中間立坑付近で転石に遭遇するなど、排泥管の閉塞が何回か起こり、一時的に切羽水圧が上 昇したが特に地表への影響もなく、掘削土量率にも異常は見られなかった。泥水の比重については、設定値を 1.20 以上としたが、地山に粘性土が混入しているために比重は 1 本あたり 0.01〜0.02 程度上昇した。比重測 定は 1 本毎に行い、比重 1.30 を目安に余剰泥水として産廃処分をおこなった。 

 路面沈下計測は、掘進中 2 回、裏込完了 1 ヶ月後まで行った。計測の結果、掘進時の 1 次管理値 2mm を超え たものは 2 測点あったが、2 次管理値の 4mm を超えるものはなかった。したがって、掘進条件の変更等の対策 工は実施しなかった。沈下が収束したと見られる 2 ヶ月後の計測では最大沈下量 5mm(1 測点)、管路中心部の 平均沈下量は 2.8mm であった。路面沈下測定から、沈下量は管理値を満足しており、目視による確認において も、影響は出ていない。土量率と沈下量の関連傾向が見られることから、今回採用した掘削管理システムでの 土量管理は有効であると考えられる。 

       

土量率と沈下量の関係図

0 20 40 60 80 100 120

1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 25 27 29 31 33 35 37 39 41 43 45 47 49 51 53 55 57 59 61 63 65 67 69

管No.(本)

土量

-10 -8 -6 -4 -2 0 2 4 6 8 10

路面変位

土量率 路面変位量 線形 (路面変位量) 線形 (土量率)

  9.まとめ  

 今回の工事では、路面沈下低減対策として、小規模推進工事ではあまり採用しない掘削管理システムを導入 し、掘削土量の管理をおこなった。また、路面沈下計測のデータを掘進条件にフィードバックさせながらの掘 進となった。その結果、路面の沈下量を最大 5mm 程度に抑えることができ、心配された石綿管への影響もなく  無事工事が完成した。 

土木学会第59回年次学術講演会(平成16年9月)

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参照

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