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博士論文要旨

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Academic year: 2021

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博士論文要旨

論文題名:持久性スポーツ競技者における運動・栄養介入 がヘプシジンの分泌応答に及ぼす影響

立命館大学大学院スポーツ健康科学研究科 スポーツ健康科学専攻博士課程後期課程

イシバシ アヤ 石橋 彩

スポーツ競技者における鉄欠乏の要因として、運動誘発性のヘプシジンの分泌増大が指 摘されている。これまでに、一過性の持久性トレーニング終了後には血清ヘプシジン濃度 の上昇することが示されている一方で、習慣的な持久性トレーニングや栄養摂取の相違が ヘプシジンの分泌応答に及ぼす影響は明確にされていない。そこで、本博士論文では、持 久性スポーツ競技者における運動・栄養介入がヘプシジンの分泌応答に及ぼす影響を検討 することを目的とした。

上述の目的を達成するために、以下の5つの研究課題を設けた。

【研究課題 1】女子陸上長距離選手における鉄代謝の様相:一般人との比較

女子陸上長距離選手20名を対象に、ヘプシジンを中心とした鉄代謝の様相を一般女子15 名と比較した。その結果、血清ヘプシジン濃度は、女子陸上長距離選手が一般女子に比較 して高値傾向を示した。また、血清鉄濃度およびトランスフェリン飽和度は女子陸上長距 離選手が有意に低値を示した。

【研究課題 2】女子陸上長距離選手におけるトレーニング量の相違がヘプシジンの分泌応答 に及ぼす影響

女子陸上長距離選手を16名対象に、トレーニング量の変化が安静時の血清ヘプシジン濃 度に及ぼす影響を検討した。その結果、トレーニング量(月間走行距離)の増加に伴い、

血清ヘプシジン濃度は有意に上昇した。

【研究課題 3】1 日 2 回の持久性トレーニングがヘプシジンの分泌応答に及ぼす影響 女子陸上長距離選手13名を対象に、1日2回の持久性トレーニングに対するヘプシジン の分泌応答を検討した。その結果、1日2回の持久性トレーニングは、血清ヘプシジン濃度 を翌朝まで有意に上昇させた。また、血清ヘプシジン濃度の上昇と血清レプチン濃度の間 には、有意な負の相関関係が認められた。

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【研究課題 4】短期間の持久性トレーニングがヘプシジンの分泌応答に及ぼす影響

:鉄サプリメント摂取の影響

男子持久性競技者14名を対象に、3日間連続での1日2回の持久性トレーニングがヘプ シジンの分泌応答に及ぼす影響を鉄サプリメント(24mg/日)の摂取の有無と関連づけて検討 した。その結果、持久性トレーニング期間中の鉄サプリメントの摂取は、血清ヘプシジン 濃度を有意に上昇させた。

【研究課題 5】短期間の持久性トレーニングがヘプシジンの分泌応答に及ぼす影響

:Energy availability の相違の影響

男子陸上長距離選手7名を対象に、異なるEnergy availabilityでの3日間連続での持久性 トレーニングが筋グリコーゲン量および血清ヘプシジン濃度の分泌応答に及ぼす影響を検 討した。その結果、Low energy availability (LEA)状態(20 kcal/kg LBM以下)での持久性トレー ニングは、筋グリコーゲン量を低下させ、血清ヘプシジン濃度を有意に上昇させた。

本研究の結果から、持久性スポーツ競技者におけるトレーニング量の増加は安静時の血 中ヘプシジン濃度を上昇させることが明らかになった。また、一過性の持久性トレーニン グは運動後にヘプシジンの分泌を増大させること、短期間の持久性トレーニング時におけ る鉄サプリメントの摂取およびLEA状態は、安静時の血中ヘプシジン濃度を上昇させるこ とが認められた。

上述の結果は、スポーツ競技者における持久性トレーニングがヘプシジンの分泌増大を 介して鉄代謝を抑制すること、トレーニング実施時の栄養摂取状態はヘプシジンの分泌応 答に影響することを示すものである。また、鉄摂取量の増加やエネルギー摂取量が不足し た状態での持久性トレーニングが運動誘発性の鉄欠乏の一因である可能性を示すものであ る。

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