博 士 ( 環 境 科 学 ) 菅 野 充
学 位 論 文 題 名
シリカ担体上に高分散したヘテロポリ化合物の構造と 触媒特性
学位論文内容の要旨
シ リ カ 、 チ タ ニ ア な ど の 高 表 面 積 な 酸 化 物 に ヘ テ ロ ポ リ 酸 を 高 分 散 に 担 持 し た 担 持 ヘ テ ロ ポ リ 酸 は 、 種 々 の 酸 触 媒 鬩 志 に 高 い 触 媒 冶 陸 を 示 す こ と が 報 告 さ れ て い る 。 し か し 従 来 の 研 究 で は 、 担 持 は 単 に ヘ テ ロ ポ リ 酸 を 高 分 散 イ け る こ と の み に 寄 与 し て い る と 考 え ら れ て お り 、 担 持 に よ っ て 発 現 し う る へ テ ロ ポ リ 酸 の 構 造 変 化 や 化 学IYJl生 質 の 変 化 に つ い て の 詳 細 な 検 討 は こ れ ま で な さ れ て い な い 。 ま た 酸 化 反 応 に 対 し て は 、 活 陸 の 大 幅 な 向 上 が 期 待 さ れ る に も 関 わ ら ず 、 比 較 的 高 温 で 行 わ れ る カ ル ボ ン 酸 を 生 成 す る 気 相 酸 化 反 応 へ の 担 持 ヘ テ ロ ポ リ 酸 の 適 用 例 は 極 め て 少 な か っ た 。
本 博 士 論 文 で は 、 気 相 酸 化 反 応 お よ び 酸 ガ 蟻 韜 蕊 に 活 陸 を 示 す2種 類 の へ テ ロ ポ リ 酸 ( そ れ ぞ れH4PM01IV 040お よ びFI4SiW12040)に つ い て 、 そ れ ら を 代 表 的 な 担 体 で あ るSi02上 に 分 散 さ せ た 際 に 生 じ る へ テ ロ ポ リ 酸 の 構 造 変 化 、 化 学 的 陸 質 の 変 化 な ら びに カ 虫媒 陸 能の 変化 を 系統 的 に調 べ 、あ 虫 媒ヨ キ陸 と ぁ虫 媒 の物 理 イビ 語拘 性 質と の 関 連 性 を 明 ら か に し た 。 ま た 、 酸 瞠 霓 応 、 醸 剛 翁 めE応 に 高 し 丶 角 蝶 陸 能 を 発 拝 サ るfB持 〜 テ ロ ポ リ 酸 角 虫 媒 を 合 理 的 に 設 計 す る た め の 指 針 を 得 た 。 特 に 酸 化 反 応 の メ タ ク ロ レ イ:註 択 酸 化 反 応 に 対 し て は 、 高 活 陸 か っ 高 選 択 性 を 示 す 触 媒 を 合 理 的 に 開 発 す る こ と に 成 功 し た 。
第 二 章 で は 、H4PMolV040/Si0眦 で の メ タ ク ロ レ イ :/i獣 酸 化 反 応 に お け る 担 持 量 依 存 陸 を 調 べ る と と も に 、 反 応 前 後 の 触 鯏 衛 告 と 触 媒 陸 能 と の 関 係 を 調 べ た
H 4PM011V00/Si02は 、 未 担 持 のH4PMollV040と 上 ヒ ベ て 高 し ヽ 活陸 を 示し 、担 持 量50 wt% の角 虫 媒は 未担 持H4P M011V040の5倍 も の 滑 性 を 与 え た 。 一 方 で 、Si02へ のH4PM011V040の 担 持 に よ っ て メ タ ク リ ル 酸 選 択 率 は 大 幅 に 低 下 し 、 逆 にCOxお よ び 酢 酸 へ の 選 択 率f# . 加 し た 。 速 度 論 解 析 に よ り 、COxお よ び 酢 酸 は メ タ ク ロ レ イ ン か ら の 併 発 反 応 お よ び メ タ ク リ ル 酸 の 逐 次 反 応 に よ っ て 生 成 し て い る こ と が 分 か っ た 。 未 担 持H4PM011V040触 媒 と 比 べ てH4PM011V040/Si02触 媒 は 、 併 発 反 応 お よ び 逐 次 反 応 の 両 鬩 志 に よ るCOxお よ び 酢 酸 の 生 成 が 顕 著 に 促 進 さ れ て お り 、 こ れ に よ ル メ タ ク リ ル 酸 選 択 率 が 低 下 し た 。
ベ ン ゾ ニ ト リ ル 昇 温 脱 離 法(BN:IPD)を 使 っ て4PM011V( )4の 分 散 度 を 評 価 し た と こ ろ 、 担 持 に よ る 触 媒 冶 陸 の 向 上 は 、H4PM01V(kのSi02上 へ の 高 分 散 化 に よ る も の で あ る こ と を 定 量 的 に 明 ら か に し た 。 一 方 、 粉 末X線 回 折 お よ び ラ マ ン 分 光 よ り 反 応 後 の 担 持 触 媒 上 に は 未 担 持H4PM011v04舗 虫 媒 に は 見 ら れ な か っ たM003 が 生 成 し て い る こ と を 突 き 止 め た 。M003の 触 媒 反 応 特 陸 か ら 、 担 持 触 媒 に お け る メ タ ク リ ル 酸 選 択 率 の 低 下 は 、H4PM011V4の 分 解 で 生 成 し た ,M003に よ る も の で あ る こ と を 明 ら か に し た 。Si02上 で は 、Si02表 面 の シ ラ ノ ー ル 基 とHPM01lv040と が 相 互 作 用 す る こ と に よ っ てHぷMonVOめ の 構 造 が 歪 み 、 そ れ に よ り 熱 安 定 陸 が 低
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下し たと考 えた。
第 三 章 では 、4PM01v(kの蒙 峻 定 陸 の 向上 に よ る 担 持触 媒 の 高 ´ 陸能 化 を 目 指 し て、 種 々 の 方 法で 担持型 ヘ テ ロポ リ 酸 は ゲMollV040) ア ンモ ニ ウ ム 塩 触 媒を 調 製 し 、 メタ ク ロ レ イ ン酸 化反 応の触 媒陸能 を評価 した。
ま た 反応 前 後 で の ぁ蠍 鞄 冓 造 お よび その形 成趨搆 を調べ 、あ 虫媒溝 造と角 虫媒ヨ キ陸と の関 係を明 らかに した。
メ タ ク ロレ イ ン 醪 珂 幽更 応 に 対 し て、 未 担 持 ひ 吼 )H3PM011V4蝶は メ タ ク リ ノ憫 雲 択 率91% を 示 した。 こ の 値 は 、 ア ン モ ニ ウ ム 置 換 し て い なv丶PMolV4蟻 菓 の 選 択 率75% よ り も 高 か っ た 。 し かし 、 予 め 調 製し た
(NH4〕H3PMonV( )40の水懸濁液を用いてSi02に含浸担持したぁ虫媒は、メタクリノ憾劉択率71%と低しヽ値しカ咏さ な か っ た 。Q耳L)H3PM01lV040の 水 懸 濁液 中 に は 、 凝集 し たO吼 )H4PM011V040粒 子 と 水 に溶 解 し たHずM011V 040が 混 庄 し てい た 。 そ の ため 、 こ の 懸 濁 液を 使 っ て 含 浸担 持 す る と 、糾H)H馳M011V040粒 子 だけ で なくSi02 上 に 高 分 散 し たH4Hm11v040も形 成 さ れ て しま い 、 第 二 章 で明 ら か に し たよ う にSi02上 に 高 分散 し たHずMollV o∞がNm3^ と舗 け る た め 、メ タ ク リ ノ レ醐 獄 率 の 低 下 を招 い た 。4PM011ヽ′010§i02をNH3ガ ス 中 でカ ロ熱処 理 し て 調 製 し た 触 媒 に お い て も 同 様 に 、 低 い メ タ ク リ ル 醐 疉 沢 率 し か 示 さ な か っ た 。 こ の 問 題を 解 決 す る ため に 、 高 温 のNH3ガ ス 中でSi02を加 熱処理 してSi02表面を アミ ノ化し た担体 を用い 、 H4PMo‖v( )40の アセ ト ン 溶 液 を含 浸 担 持 し て 触媒 を 調 製 し たこ の 触 媒 は 、メ タク ロレイ ン酸化 反応に 高い活 性 と 高 い メ タ ク リル 酸 選 択 率 を示 す 有 効 な 触 媒で あ る こ と を見 出 し た 。 この 触 媒 に お いて は 、Si02表 面 でMi 4廿いM01ヽ ′040繊 陪晶 が 高 分 散 に担持 されて おり 、担体 上には 高分散 したI亠恥 価11V040は形成 されて いなか っ た 。 また (NH4)H4 アM011V040微結 晶上に は適量 の酸 型H4PMollVO的が 担持さ れた構 造を とって いると 推測さ れ た こ の よ う な 構 造を 持 っ こ と によ ル ヘ テ ロ ポ リ酸 の 熱 分 解 が抑 制 さ れ 、 高い メ タ ク リ ル醐 雲 択 性 を 発 揮し た と結 論した 。
第 四 章 では 、 担 持 量 を系 統 的 に 変 化さ せ たSi02担 持HSiW120め の 構 造 と 酸 陸質 を 調 べ た 。ま た 弘 ブタン 骨 格異 性三f吐i0芯 および1‐ ブテン 二重結 合異 性化反 応を行 い、触媒ヨ旨陸の担持量依存性を酸陸質変化と関連付けて 議論 した。
Si02に 担 持 さ れたH4SiW12く )40は 、低担 持量く5wt% )から 高担 持量(70wF%) に渡っ てSi02上 に高分 散に 籾 生 し 、 か っ そ のK9画n構 造は 保 持 さ れ てい た 。 た だ し、Si02と 接 し たHSiW12040は 、 そ のKeggin構 造 が 歪 め ら れ てい た 。H4SiW1204〆Si02の 最 外 表面 に は 中 強 度 酸点 と 強 酸 点 の2種 類 の 醜点が 存在 し、い ずれも ブレン ス テ ッ ド 酸 点 で あ った 。 ま た 、Si02と 接 して 構 造 が 歪 めら れ たHSいM2040も 、 ブ レ ン ステ ッM斑 魚 のみ を 有 し て い た 。 最 外 表 面 に 存 荏 す る 強 酸 点 は 、 構 造 が 歪め ら れ たHSiW12Ck上 に 存 荏 するMSiW120幻 であ る と 推 定 し た 門 ― ブタ ン 骨格 異M断乏応 および トブ テン二 重結合 異陸「 めむ 吾の活 陸は担 持量に 大きく 依存 し、最 高活陸 はそれ ぞ れ50w眺H4SiW1204旆i02お よ び30w眺4SiW1204渦i02が 与 え た 。 門 ー ブ タ ン 骨 格 異 幽 圃 よ の 漕 陸 は 、R SiW1204船i02最 外表 面 の 強 酸 点酸 量 と 極 め て良 好 な 相 関 性を 示 し た 一 方 、1ー ブ テ ン 二重 結 合 異 ´ 幽皈 応は中 強度 酸点上 でも進 行し、 また 触媒表 面の親 油性も 酸触媒 活陸 の支配 因子で あった 。
以 上 、 メ タ ク ロ レ イ ン 酸f皈 応 ( 気相 酸 化 反 応 )に お い て は 、Si02表面 で のHヂMolV(kの 熱 分 解 が 促 進 さ れ る こ と に よ り触 媒 陸 能 が 低下 ナ る こ と を 明ら か に し た さら に 、 こ の 知見 を も と に 、メ タ ク ロ レ イ ン選 択 酸 化 反応 に 優 れ た ヵ虫 媒 陸 能 を 発揮 する、 新規な 担持ヘ テロ ポリ酸 アンモ ニウム 塩触媒 の調 製法を 開発し た。こ の 調 製法 は 、 気 相 酸化 反 応 に 対 して 担 持 ヘ テ ロポ リ 酸 触 媒 を 適用 で き る 可 能陸 を大き く広 げた。 また酸 触媒反 応 に おい て は 、 反 応に 遺 門 ー る よう にへテ ロポリ 酸の分 散陸 を制御 する重 要性を 示した 。こ れらで 得られ た知見 は 、 目的 と す る 酸 触媒 反 応 、 酸f幽 虫 媒 閲 芯 に有 効 なSi02担持ヘ テロポ リ酸 触媒を 合理的 に設計 する ための 重要 な指 針を与 えると 結諭す る。
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学位論文審査の要旨 主査 准教授 神谷裕一 副査 教授 太田信廣 副査 教授 嶋津克明 副査 教授 小西克明
学 位 論 文 題 名
シリカ担体上に高分散したヘテロポリ化合物の構造と 触媒特性
シ1 」カなどの高表 面積な酸化物上にへテ口ポリ酸を高分散に担持した担持ヘテ口ポ リ酸触媒において、担持によって引き起こされるへテ口ポ1 」酸の物理化学的な性質の変化 や触媒特性の変化を系統的に調べられた研究はこれ までほとんど行われていなかった。特 に 、 酸 化 反 応 を 促 進 す る 担 持 ヘ テ 口 ポ リ 酸 触 媒 の 研 究 報 告 は 皆 無 で あ っ た 。 本博士論文では、気相酸化反応および酸触媒反 応に活性を示す2 種類のへテロポリ酸
(そ れぞ れH4PM011V040 およびH4SiW12040) に ついて、それらをSi02 上に分散させた際に 生じるへテロポ1 」酸の 構造変化、化学的性質の変化ならびに触媒性能の変化を系統的に調 べ、触媒特性と触媒の物理化学的性質との関連性が 明らかにされた。また、一連の研究を 通じて得られた結果に基づき、メタク口レイン酸化 反応に高い触媒性能を発揮する担持ヘ テ口ポリ酸触媒が開発された。
H4PM01lV040/Si02 は、メタクロレインからメタ クリル酸への選択酸化反応に対して未 担持H4PM011V040 と比べ て極めて高い活性を示したが、メタクリル酸選択率は大幅に低下 した 。Si02 上 では Si02 表面 とH4PM011V040 との 相互 作用 によ って 、H4PM011V040 はM003 へ と 熱 分 解 さ れ 、 こ れ が メ タ ク リ ル 酸選 択率 低下 を招 く原 因で ある 事が 分か った 。 担体 上で のH4PM011V040 の熱安定性向上を目指し、表面をアミノ化し たSi0 つを担体 とし、アセトン溶液を用いてH4PM011V040 を含浸担持した触媒を調製した。この担体上で はH4PM011V040 の 熱 安定 性が 向上 しM003 への 熱分解は起きなかった。これにより、メタ ク 口 レ イ ン酸 化反 応に 高い 活性 と高 いメ タク 1 」ル 酸選 択率 を示 すこ とを 見出 した 。 酸触媒反応に関しては、担持量を系統的に変化 させたH4SiW12040/Si02 の構造と酸性 質を調べた。Si0, 上に高分散に担持されたH4SiW12040 はKeggin 構造を保っていたもののそ のケギン構造は歪んでいた。H4SiW12040/Si02 の最外表面には中強度酸点と強酸点の2 種類 のブレンステッド酸点が存在することを、ベンゾニ トリル昇温脱離法、吸着ベンゾニトリ
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ル赤外スベクトルおよびモデル触媒反応(n‑ ブタン骨格異性化反応、1 .ブテン二重結合異性 化反応)を使い明らかにした。強酸点は、 H4SiW12040 を Si02 に担持する事によって形成さ れる特異な酸点であることを突き止めた。本研究で得られた知見は、目的とする酸触媒反 応および酸化触媒反応に有効な Si02 担持ヘテ口ポリ酸触媒を合理的に設計するための重要 な指針を与えることが期待される。
審査委員一同は、これらの成果を高く評価し、また研究者として誠実かつ熱心であり、
大学院博士課程における研鑽や修得単位などもあわせ、申請者が博士(環境科学)の学位 を受けるのに充分な資格を有するものと判定した。
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