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酵素と金属錯体による代謝と代謝モデルの酸化還元 制御

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(1)

九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

酵素と金属錯体による代謝と代謝モデルの酸化還元 制御

竹中, 慎

http://hdl.handle.net/2324/2236193

出版情報:Kyushu University, 2018, 博士(工学), 課程博士 バージョン:

(2)

九州大学大学院工学府 物質創造工学専攻

博士論文

酵素と金属錯体による

代謝と代謝モデルの酸化還元制御

竹中  慎 

(3)

目次 

第1章  緒言 1

  1–1.序 1

  1–2.分岐点1:ピルビン酸の反応 1

  1–3.分岐点2:電子伝達系における酸素分子の還元 2

  1–4.本論文の構成 4

  1–5.参考文献 6

第2章  酵素による代謝の酸化反応制御

̶ Citrobacter sp. S-77由来ピルビン酸–フェレドキシン酸化還元酵素(PFORS77) の固定化と酸化的脱炭酸反応制御によるアセチル–CoA生成反応 8

  2–1.序 9

  2–2.実験 14

    2–2–1.試薬および測定機器 14

    2–2–2.Citrobacter sp. S-77の培養 14

    2–2–3.Citrobacter sp. S-77の可溶性タンパク質画分の調製 15

    2–2–4.PFORS77の精製 16

    2–2–5.PFOR活性の測定 (酵素溶液) 17

    2–2–6.PFORS77の特性評価 (酵素溶液) 17

    2–2–7.固定化PFORS77の作製 18

    2–2–8.固定化PFORS77のSEM観察 19

    2–2–9.固定化PFORS77の活性測定 20

    2–2–10.固定化PFORS77の特性評価 20

  2–3.結果と考察 21

(4)

    2–3–3.固定化PFORS77の作製 26

    2–3–4.固定化PFORS77の特性評価 30

    2–3–5.固定化PFORS77の繰り返し使用の評価 35

  2–4.結論 37

  2–5.参考文献 38

第3章  金属錯体による代謝モデルの酸化反応制御

̶ 水中でのルテニウムペルオキソ錯体を介した酸素分子による

グアノシン一リン酸の酸化反応制御 40

  3–1.序 41

  3–2.実験 44

    3–2–1.試薬および測定機器 44

    3–2–2.錯体の合成 44

    3–2–3.速度論的測定 (錯体1から錯体3への反応) 46

    3–2–4.水中での錯体3によるグアノシン一リン酸の酸化反応 47

    3–2–5.18O2を用いた錯体3によるグアノシン一リン酸の酸化反応 48

    3–2–6.錯体123のX線結晶構造解析 48

  3–3.結果と考察 49

    3–3–1.錯体の合成 49

    3–3–2.速度論的測定 (錯体1から錯体3の反応) 57

    3–3–3.水中での錯体3によるグアノシン一リン酸の酸化反応 62

  3–4.結論 67

  3–5.参考文献 68

第4章  金属錯体による代謝モデルの還元反応制御

̶ 金属錯体による酸化型核酸塩基の還元反応制御 71

  4–1.序 72

(5)

  4–2.実験 74

    4–2–1.試薬および測定機器 74

    4–2–2.8–オキソグアノシンの還元反応の検討 74

  4–3.結果と考察 76

  4–4.結論 78

  4–5.参考文献 79

第5章  結言 80

発表論文目録 83

   

   

(6)

1 章  緒言

1–1.序

  ヒトをはじめとする生物は、代謝を厳密にコントロールすることによって生命を制御 している。正常細胞の場合、外界から取り入れた糖類 (グルコース) を一連の代謝経路 で酸化し、生命維持に必要なエネルギーを得ている。具体的には、はじめにグルコース は解糖系によって酸化・分解されピルビン酸に変換される。次にピルビン酸は、酸化的 脱炭酸反応によりアセチル–CoA に変換される。アセチル–CoA は代謝経路の中心とな る物質であり、様々な生体物質に変換される 1)。アセチル–CoA はクエン酸への変換反 応を経てTCA 回路に組み込まれると、二酸化炭素まで完全に酸化・分解される。さら に TCA回路では、酸化反応で生じた電子によってニコチンアミドアデニンジヌクレオ チド、フラビンアデニンジヌクレオチド (NAD+、FAD+) が還元されて NADH、FADH2

が生じる。最後に電子伝達系において、一連の酸化反応で生じた電子によって酸素分子 が水に還元され、ATP 合成酵素によりエネルギー源である ATP (アデノシン三リン酸) がつくられる (図 1–1a)。一連の代謝経路の中で、酸化還元が関わる反応は分岐点とな り、この分岐点における反応の進行方向によっては、正常細胞の機能に大きな影響を与 える。つまり、代謝の酸化還元制御は、生命制御につながっており、代謝経路を構成す る各反応の酸化・還元制御について検討することは、生命制御に関わる知見や技術の獲 得につながると考えられる。

1–2.分岐点1:ピルビン酸の反応

  正常細胞において、ピルビン酸は酸化反応でアセチル–CoAに、還元反応で乳酸に変 換される (式1–1, 1–2)。ピルビン酸の酸化還元反応は、細胞内酸素濃度によって制御さ れている。細胞内が十分な酸素濃度条件下である場合 (7–8 ppm2), 好気環境) 、代謝経 路は酸素を使う方向に進むため、ピルビン酸はアセチル–CoAに酸化される (式1–1お よび図 1–1a:反応 A)。激しい運動をした時など細胞内の酸素濃度が低い環境 (嫌気環 境) 下では、代謝経路は酸素を使わない方向に進むため、ピルビン酸は乳酸に還元され

(7)

る (式 1–2) 。一方で、がん細胞では、酸素がある環境下でもピルビン酸から乳酸への 還元反応が亢進していることが知られている (ワールブルグ効果)3)。がん細胞では、酸 素存在下でも低酸素誘導因子 (HIF–1) が発現しており、ピルビン酸の酸化反応を触媒 する酵素を阻害、還元反応を触媒する酵素を亢進しているとされる3)。このようながん 細胞中において、酸素が関わるピルビン酸の新しい反応が起こっている可能性がある。

すなわち、ピルビン酸が、がん細胞中に存在している金属イオンMn+ (例えばFe) に配 位し、それががん細胞中の酸素分子を還元して、金属結合型酸素活性種が生じるといっ た可能性である (図 1–1a:反応 B)。このような金属結合型酸素活性種は、がんと関連 のあるRNA・DNAといった核酸の酸化反応に影響を与えている可能性がある。この可 能性は、生体内においてピルビン酸と同じ α–ケト酸である2–オキソグルタル酸が単核 非ヘム鉄酵素の補因子であり、酸素分子と反応して FeIVペルオキソ種を形成すること に基づく4)。この酵素のモデル研究では、配位子にピルビン酸を用いている例もある5)。   このようにピルビン酸の酸化還元反応は代謝経路の分岐点となり、特にピルビン酸の 酸化によるアセチル–CoAの生成 (図 1–1a:反応A) は生命を維持していく上で重要な 反応である。生成するアセチル–CoAはTCA回路の出発物質としてだけでなく、生命維 持に必要なその他の生体物質の原料にもなるため、代謝経路の中心物質であると言える

1)。そのため、有用生体物質合成や代謝関連の研究分野でアセチル–CoAの需要が高まっ ており、有機合成化学的・生化学的手法を用いたアセチル–CoA合成についての研究が 報告されている6)

1–3.分岐点2:電子伝達系における酸素分子の還元 O

O OH

SCoA

+ CoA–SH O + CO2+ 2H++ 2e (式1–1)

O OH

+ 2H++ 2e OH (式1–2)

O O

OH

(8)

ている (式1–3, 1–4, 図1–1a) 7)。酸素分子の1電子還元によって生じるスーパーオキシ ド (O2) は、スーパーオキシドジスムターゼ (SOD) によって不均化されて、もう1電 子還元された過酸化水素 (H2O2) を生じる。過酸化水素は生体内に存在する鉄イオンと 反応することで、反応性が非常に高く生体分子を損傷するヒドロキシルラジカル (・OH) を生じる (フェントン反応) 。ヒドロキシルラジカルによるRNAやDNAといった核酸 の酸化的損傷は、がんや老化などの疾病の原因となることが知られている 8)。RNA や DNA を構成する核酸塩基の中でも、グアニンは特に酸化されやすく、ヒドロキシルラ ジカルにより酸化されて種々の酸化体に変換されることが知られている 9)。DNA 中に おいてグアニンはシトシンと塩基対を形成しているが、酸化によって生じた 8–オキソ グアニンはアデニンとも塩基対を形成可能であり突然変異を引き起こす 10)。このよう な突然変異は、がんや認知症における神経変性といった疾病の原因となることがこれま での研究で明らかにされている11)

  RNA や DNA の酸化的損傷については医学分野をはじめとする様々な分野で研究が 進められてきた。錯体化学の分野では、金属と過酸化水素を用いたフェントン反応によ るRNA・DNAの酸化反応についての研究が多数報告されている12)。これらの研究にお ける反応の活性種は、生成したヒドロキシルラジカルである。一方、1–2 (分岐点1) で 述べたような (図 1–1a:反応 B)、生体内に存在している金属イオンと酸素分子の反応 によって生じる金属結合型酸素活性種も、RNAやDNAの酸化に関与していると考えら れる (図 1–1a:反応 C)。しかし、ヒドロキシルラジカルと比較して金属結合型酸素活 性種によるRNAやDNAの酸化反応の研究例は非常に少なく、かつ不十分であるため、

より詳細な研究が必要であると言える 13)。また、この反応で生じた 8–オキソグアニン のような酸化型核酸塩基の還元反応を検討することは、RNAやDNAの酸化的損傷に対

O2 O2 e

H2O2 O2

+ 2H+ O2

SOD

FeII FeIII + OH フェントン OH

反応

(式1–4) O2+ 4H++ 4e 2H2O (式1–3)

(9)

する新たな治療法の開発への基盤構築につながると考えられる (図 1–1a:反応 D)。し かし、これまで酸化型核酸塩基分子の還元反応については、生体内でも見つかっておら ず、有機合成など人工的に達成した例も報告されていない。

1–4.本論文の構成

  生物の代謝において、酸化還元反応の制御は生命制御につながっており、代謝経路を 構成する各反応の酸化・還元制御について検討することは、生命制御に関わる知見や技 術の獲得につながると考えられる。本論文では、酵素と金属錯体による代謝と代謝モデ ルの酸化還元制御を検討し、新たな技術や知見の獲得を目的とした (図1–1b)。

  第2章では、ピルビン酸の酸化によるアセチル–CoAの生成反応 (図1–1:反応A) を 触媒する酵素を利用した新しいアセチル–CoA合成法を開発した。反応Aを触媒するピ ルビン酸–フェレドキシン酸化還元酵素 (PFORS77) をCitrobacter sp. S-77から精製およ び固定化し、固定化PFORS77が触媒するアセチル–CoA生成反応について検討・評価し た (酵素による代謝の酸化反応制御:Citrobacter sp. S-77由来ピルビン酸–フェレドキシ ン酸化還元酵素の固定化と酸化的脱炭酸反応制御によるアセチル–CoA生成反応)。   第3章ではRNA・DNAの酸化反応に注目し、金属結合型酸素活性種による核酸塩基 の酸化反応について検討・評価した (図1–1:反応C)。酸素分子を活性化できるルテニ ウム錯体による核酸塩基分子の酸化反応について、中間体の単離や酸化生成物の検出、

同位体実験を行い、詳細に評価した (金属錯体による代謝モデルの酸化反応制御:水中 でのルテニウムペルオキソ錯体を介した酸素分子によるグアノシン一リン酸の酸化反 応制御)。

  第4 章では酸化型核酸塩基の還元反応 (図 1–1:反応 D) について、金属錯体や還元 試薬を用いて検討した (金属錯体による代謝モデルの還元反応制御:金属錯体による酸 化型核酸塩基の還元反応制御)。

  第5章では、本論文を総括し、その意義について述べるとともに、今後の展望につい

(10)

1–1(a) 生物の代謝と本論文で注目または提案する反応, (b) 本論文の内容.

A

酸化反応 還元反応

O HO

HO

OH OH OH

解糖系 O

O OH

ピルビン酸

SCoA O

アセチル‒CoA

O2 H2O

TCA回路 OH

O OH

乳酸

NH N HN

O

NH2 NR

NH O N N

O

NH2 NR

H

グアニン 8‒オキソグアニン OH

O O Mn+2

O O

ピルビン酸が配位した 金属結合型酸素活性種

B

O2 + Mn+ RuIV

O O RuII+ O2

C D

RuII+ H2 RuII–H

グルコース

ATP

分岐点1

分岐点2

A C

D 第4章 第3章 第2章

O2 ROS( OH) ADP

電子伝達系

第2章

酵素による代謝の酸化反応制御

第3章

第4章

Bioresour. Technol.2017, 227, 279–285.

Citrobactersp. S-77由来

ピルビン酸‒フェレドキシン酸化還元酵素(PFORS77) の固定化と酸化的脱炭酸反応制御による

アセチル–CoA生成反応

ハイドロキシアパタイト

(HA) 粒子への吸着 アルギン酸ハイドロゲル

への内包 Citrobactersp.

S-77

PFORS77 PFORS77–HA 固定化PFORS77

1. 精製 2. 固定化

金属錯体による代謝モデルの酸化反応制御

金属錯体による代謝モデルの還元反応制御 Chem. Asian J. 2018, 13, 3180–3184.

− 水中でのルテニウムペルオキソ錯体を介した 酸素分子によるグアノシン一リン酸の 酸化反応制御

O O

OH

RuIV O RuII+ O2 O

8–オキソグアニン アセチル–CoA

金属錯体による酸化型核酸塩基の還元反応制御

a)

b)

Mn+2 O O O O O

O OH

OH

O O

OH A

酸化反応還元反応

O HO

HO

OH OH OH

解糖系

ピルビン酸

SCoA O

アセチル–CoA

O2 H2O

TCA回路

乳酸

NH N HN

O

NH2 NR

NH O N N

O

NH2 NR

H

グアニン 8–オキソグアニン

ピルビン酸が配位した 金属結合型酸素活性種

B

O2 + Mn+ Mn+ + O2

C D

Mn+ + H2 Mn+–H

グルコース

ATP

分岐点1

分岐点2

O2 ROS(•OH) ADP

電子伝達系

M(n+2)+

O O

(11)

1–5.参考文献

1. J. Nielsen, mBio 2014. 5, e02153–14.

2. (a) H. Xu, J. W. Aylott, R. Kopelman, T. J. Miller, M. A. Philbert, Anal. Chem. 2001, 73, 4124–4133. (b) Y.-E. L. Koo, Y. Cao, R. Kopelman, S. M. Koo, M. Brasuel, M. A. Philbert, Anal. Chem. 2004, 76, 2498–2505.

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4. (a)E. I. Solomon, T. C. Brunold, M. I. Davis, J. N. Kemsley, S.-K. Lee, N. Lehnert, F. Neese, A. J. Skulan, Y. -S. Yang, J. Zhou, Chem. Rev. 2000, 100, 235­349. (b) M. Costas, M. P.

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Chem. Soc. 2003, 125, 7828–7842. (c) A. Mukherjee, M. A. Cranswick, M. Chakrabarti, T.

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6. R.D. Woodyer, T.W. Johannes, H. Zhao, 2006. Pandey, A., Webb, C., Soccol, C. R., L, C., Ed.; Springer science: Delhi, pp 85­104.

7. (a) E. Cadenas, K. J. A. Davies, Free Radic. Biol. Med. 2000, 29, 222–230. (b) R. S. Balaban,

(12)

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Jomova, M. Valko, Toxicology 2011, 283, 65–87.

9. (a) S, Steenken, S. V. Jovanovic, J. Am. Chem. Soc. 1997, 119, 617–618. (b) C. J. Burrows, J. G. Muller, Chem. Rev. 1998, 98, 1109‒1151.

10. (a) S. D. Bruner, D. P. G. Norman, G. L. Verdine, Nature 2000, 403, 859–866. (b) J. C.

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11. (a) Z. Sheng, S. Oka, D. Tsuchimoto, N. Abolhassani, H. Nomaru, K. Sakumi, H. Yamada, Y. Nakabeppu, J Clin Invest. 2012, 122. 4344–4361. (b) M. Ohno, K. Sakumi, R. Fukumura, M. Furuichi, Y. Iwasaki, M. Hokama, T. Ikemura, T. Tsuzuki, Y. Gondo, Y. Nakabeppu, Sci.

Rep. 2014, 4, 4689. (c) J. Leon, K. Sakumi, E. Castillo, Z. Sheng, S. Oka, Y. Nakabeppu, Sci. Rep. 2016, 6, 22086.

12. (a) J. A. Imlay, S. M. Chin, S. Linn, Science 1988, 240, 640–642. (b) Z. Liu, I. Romero- Canelón, B. Qamar, J. M. Hearn, A. Habtemariam, N. P. E. Barry, A. M. Pizarro, G. J.

Clarkson, P. J. Sadler, Angew. Chem. Int. Ed. 2014, 53, 3941–3946. (c) J. C. Joyner, J. A.

Cowan, J. Am. Chem. Soc. 2011, 133, 9912–9922. (d) J. C. Joyner, J. Reichfield, J. A. Cowan, J. Am. Chem. Soc. 2011, 133, 15613–15626.

13. (a) K. J. Humphreys, K. D. Karlin, S. E. Rokita, J. Am. Chem. Soc. 2002, 124, 6009–6019.

(b) K. J. Humphreys, K. D. Karlin, S. E. Rokita, J. Am. Chem. Soc. 2002, 124, 8055–8066.

(c) L. Li, A. A. Narducci Sarjeant, M. A. Vance, L. N. Zakharov, A. L. Rheingold, E. I.

Solomon, K. D. Karlin, J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 15360–15361.(d) S. Thyagarajan, N.

N. Murthy, A. A. N. Sarjeant, K. D. Karlin, S. E. Rokita, J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 7003–7008. (e) L. Li, N. N. Murthy, J. Telser, L. N. Zakharov, G. P. A. Yap, A. L. Rheingold, K. D. Karlin, S. E. Rokita, Inorg. Chem. 2006, 45, 7144–7159.

(13)

2

酵素による代謝の酸化反応制御

— Citrobacter sp. S-77 由来ピルビン酸 フェレドキシン酸化還元酵素

(PFOR

S77

) の固定化と酸化的脱炭酸反応制御による

アセチル‒ CoA 生成反応

概要 

  本研究では、ピルビン酸の酸化によるアセチル–CoAの生成反応を触媒するピルビン 酸–フェレドキシン酸化還元酵素 (PFOR) を利用した新しいアセチル–CoA 合成法を開 発した。はじめに、細菌Citrobacter sp. S-77からこの反応を触媒するPFORS77を精製し、

その特性を評価した。次に PFORS77を固定化し、固定化 PFORS77が触媒するアセチル– CoA生成反応について検討・評価した。ハイドロキシアパタイト粒子とアルギン酸ハイ ドロゲルを用いて作製した固定化 PFORS77の触媒回転頻度 kcatは 37 s-1であり、繰り返 し使用10回目においても68%の初期活性を維持した。本研究はPFORを固定化し、ア セチル–CoA合成に応用した初めての例である。

Takenaka, M.; Yoon, K-S.; Matsumoto, T.; Ogo, S.

Bioresour. Technol. 2017, 227, 279–285.

O O

OH

ハイドロキシアパタイト

(HA) 粒子への吸着 アルギン酸ハイドロゲル

への内包 Citrobactersp.

S-77 PFORS77 PFORS77–HA 固定化PFORS77

1. 精製 2. 固定化

20 μm 2 mm

〜10 nm SCoA

O

(14)

2–1.序

  アセチル–CoA は生物の代謝の中心となる重要な生体物質である (図 2–1)1)。例えば 第 1 章で述べたとおり、ピルビン酸の酸化的脱炭酸反応により生成したアセチル–CoA は、クエン酸に変換されてTCA回路に組み込まれる。クエン酸以外にもアセチル–CoA を原料として生命維持に必要な様々な生体物質が合成されている。例えば、アセチルコ リンは神経伝達物質であり、コレステロールは生体膜の構成成分である。ステアリン酸 は脂肪酸であり、エネルギー源となる 2)。微生物がアセチル–CoA を原料として生産す る二次代謝産物 (生物の共通の生命現象に直接関与しない物質) の中には、ヒトにとっ て有用な物質も含まれている。例えば、ポリケチド化合物は、抗がん剤をはじめとする 医薬品として応用されている3)。近年、有用生体物質の合成や代謝関連の研究分野にお いてアセチル–CoAの需要が高まっており、有機合成化学的・生化学的手法を用いたア セチル–CoA 合成に関する研究が行われている 4)。高効率なアセチル–CoA 合成の実現 は、代謝制御に関する研究分野の進展のためにも重要である。

2–1アセチル–CoAから合成される生体物質.

クエン酸

ポリケチド:ドキソルビジン

(抗がん剤)

コレステロール

(生体膜、ステロイドホルモン前駆体)

アセチル–CoA アセチルコリン

(神経伝達物質)

O N+ O

HO OH

O O OH OH

O

OH O

16

ステアリン酸

(脂肪酸、エネルギー源)

O OH

O O

O OH

OH

OH OH O

HO

H H

H

H SCoA

O

(15)

  これまでに報告されているアセチル–CoA合成法には、(a) 有機合成、(b) 微生物によ る合成、(c) 酵素による合成の3つがある (図2–2)。(a) 有機合成による手法は反応条件 が厳しく、反応が非特異的に起こってしまうといった問題点がある 5a,5b)。(b) 微生物に よる合成は、微生物の代謝を利用するため、(a) 有機合成法と比較して温和な条件で合 成が可能であるが、目的物以外の物質が生じてしまい、精製操作が必要である5c–e)。一 方、(c) 酵素による合成は温和な条件での反応が可能で、さらに特異的にアセチル–CoA が合成可能であるといった利点がある (表 2–1)6)。酵素によるアセチル–CoA 合成の研 究例として、アセチル–CoA合成酵素 (ACS) を用いた例がある6)。アセチル–CoA合成 酵素は酢酸と補酵素A (CoA)、アデノシン三リン酸 (ATP) を基質とし、アセチル–CoA を生成する反応を触媒する。Ionovらによる先行研究では、酵素をポリマーマイクロゲ ルに固定化している 6b, c)。しかし、この研究に用いられているアセチル–CoA 合成酵素 については、基質に用いているATPが高価であり、副生成物としてATP由来のアデノ シン一リン酸 (AMP) および二リン酸が生じ、反応系からの分離が困難であるといった 問題がある7)

2–2. 各種原料からのアセチル–CoA合成.

(a) 有機合成

(b) 微生物による合成 (c) 酵素による合成 SCoA

O ピルビン酸

アセチル–CoA

OH O

酢酸

SH O

O O O

チオ酢酸 無水酢酸

(a) (b) (c)

実線:報告あり 破線:報告なし

O O

OH

(16)

2–1各種手法によるアセチル–CoA合成の利点・欠点

  アセチル–CoAの高効率な合成を実現するために、まだ検討されていない基質と手法 について検討することは非常に重要である (図2–2)。本研究では、既に第1章で述べた ピルビン酸の酸化的脱炭酸反応に注目する。この反応はピルビン酸と、補酵素A (CoA) を基質としてアセチル–CoAを生成する。この反応は副生成物が二酸化炭素、プロトン、

電子であり、アセチル–CoA合成酵素が触媒する反応の副生成物と比較して分離が容易 であるため、アセチル–CoA合成への応用が期待できる。これまでの研究でピルビン酸 の酸化反応を利用した報告として、(b) 微生物による合成がある。この微生物による合 成では、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体 (pyruvate dehydrogenase complex, PDH) が ピルビン酸の酸化によるアセチル–CoAの生成反応を触媒している (表2–2)5c,d)。PDHは ヒトをはじめとする多くの生物が保有している酵素で、名前が示しているとおりそれぞ れ別の反応を触媒する3種類の酵素から構成される複合体である。それぞれの酵素が多 量体を形成しており、総サブユニット数60個、分子量10,000 kDaの非常に巨大な構造 をしている8)

  ピルビン酸の酸化によるアセチル–CoA生成を触媒するもう一つの酵素として、ピル ビン酸–フェレドキシン酸化還元酵素 (pyruvate–ferredoxin oxidoreductase, PFOR) がある。

PFOR は PDH と比較して対照的な酵素であり、ヒトには含まれておらず、一部の微生 物 (嫌気性細菌、古細菌) が保有している酵素である9)。PFORは自然界においては鉄– 硫黄クラスターを含むタンパク質であるフェレドキシンを電子アクセプターとしてい

(a) 有機合成 (b) 微生物による合成 (c)酵素による合成 利点 ・温和な条件で生産できる ・温和な条件で生産できる

・選択性を有する

欠点 ・反応条件が厳しい・反応に選択性がない

(副生成物が生じる) ・副生成物が生じる 研究例 J. Am. Chem. Soc. (1952)5a)

J. Org. Chem. (1991)5b)

mBio(2014)5c) Metab. Eng.(2014)5d)

Appl Microbiol Biotechnol(2006)5e)

Biochim. Biophys. Acta (1988)6a) Biomacromolecules(2014)6b) ACS Appl. Mater. Interfaces (2015)6c)

(17)

9c)。サブユニット数は最大で5つ、分子量は最大で約250 kDaであることから、PDH と比較してシンプルな構造を有する酵素である (表2–2)。そのため、構造的に取り扱い やすい酵素であることから、これまで報告例のない (c) 酵素による合成に適している と考えられる。これまでPFORは各種微生物からの単離、精製と基礎特性の評価、酵素 の結晶化と結晶構造解析の研究が報告されてきたが 9b-c, 10)、アセチル–CoA 合成への応 用を指向した研究例は報告されていない。

2–2. ピルビン酸の酸化反応を利用したアセチル–CoA合成に使用される酵素

  本研究では、ピルビン酸の酸化によるアセチル–CoA の生成反応を触媒する酵素 PFOR を利用した新しいアセチル–CoA 合成法を開発した。はじめに、細菌 Citrobacter

sp. S-77からこの反応を触媒するPFORS77を精製し、その特性を評価した。次にPFORS77

を固定化し、固定化PFORS77が触媒するアセチル–CoA生成反応について検討・評価し た (図2–3)。これまで報告されているPFORの研究では、嫌気環境下でのみ生育可能な 偏性嫌気性細菌が多く用いられており、細菌の取り扱いが困難であった 9)Citrobacter

sp. S-77は当研究室によって阿蘇くじゅう国立公園の温泉から単離された通性嫌気性細

菌であり、好気・嫌気両方の環境下で取り扱い可能である。既にCitrobacter sp. S-77の 全ゲノム解析が行われており、Citrobacter sp. S-77がPFORを保有していることが明ら かであった。また、精製した酵素を固定化することで、酵素と生成物の容易な分離と酵 素の再利用が可能になるといった利点が得られる 11)。固定化担体としてハイドロキシ

(b) 微生物による合成5c,d)

ピルビン酸デヒドロゲナーゼ 複合体(PDH)

酵素

(c) 酵素による合成:本研究 ピルビン酸‒フェレドキシン

酸化還元酵素(PFOR) ヒト、微生物など多くの生物種 保有生物 一部の微生物

10,000 kDa 分子量 250 kDa

60個 サブユニット数 5 個

(18)

まれる多糖類である。共に自然界由来の材料であり、酵素や細胞の吸着、内包などの生 化学分野で用いられてきた一般的な材料である 12)。アルギン酸ハイドロゲルを用いた 酵素固定は操作が簡単であり、任意のサイズのゲルを作製可能であるため、広く酵素や 細胞の内包に用いられてきた。しかし、アルギン酸ハイドロゲルによる内包では、300 kDa に満たないタンパク質は漏出することが報告されている 12)。そのため、本研究で は、PFORS77を直径20 µmのハイドロキシアパタイト粒子に吸着させてから、アルギン 酸ハイドロゲルに内包させることで酵素の漏出を抑えることをねらった。本研究は PFORを固定化し、そのアセチル–CoA生成反応を評価した初めての例である。

2–3本研究の内容.

ハイドロキシアパタイト

(HA) 粒子への吸着 アルギン酸ハイドロゲル

への内包 Citrobactersp.

S-77 PFORS77 PFORS77–HA 固定化PFORS77

1. 精製 2. 固定化

20 μm 2 mm

10 nm

(19)

22.実験

2–2–1. 試薬および測定機器

  ハイドロキシアパタイト (粒径20 µm) は、バイオ・ラッド ラボラトリーズ株式会社 より購入した。Q Sepharose High Performance、Phenyl Sepharose High Performance、およ びSuperdex 200は、GEヘルスケア株式会社より購入した。Amicon Ultra-15 (50,000 NMWL) は、メルクミリポアより購入した。3-(N-morphorino)propanesulfonic acid (MOPS) は、株 式会社同仁化学研究所より購入した。ピルビン酸ナトリウムは和光純薬工業株式会社よ り、補酵素A三ナトリウムはシグマアルドリッチより、メチルビオロゲンは東京化成工 業株式会社より購入した。その他の試薬はシグマアルドリッチ、関東化学株式会社およ び和光純薬工業株式会社から購入した。HMW Calibration Kit For SDS Electrophoresis は、

GEヘルスケア株式会社より購入し、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル

電気泳動 (SDS-PAGE) のマーカータンパクとして用いた。紫外可視 (UV-vis) 吸収スペ

クトルは、日本分光株式会社製 紫外可視近赤外分光光度計 V-670 (光路長 1.0 cm) を 用いて記録した。細胞破砕には、株式会社トミー精工製超音波破砕機 UD-200 を用い た。遠心分離は、ベックマン・コールター社製 Optima L-90K 超遠心分離装置を用いて 行った。酵素の精製において、嫌気雰囲気下での作業は、Coy社製ビニル嫌気チャンバ ー を 用 い て 行 っ た 。 酵 素 精 製 はAKTA-FPLCシ ス テ ム (GE Healthcare UK Ltd.,

Buckinghamshire, UK) と各種カラムクロマトグラフィーを用いて行った。高速液体クロ

マトグラフィー分析 (HPLC分析) には、Shimadzu high performance liquid chromatography LC–VP systemおよびAgilent 1260 HPLC infinity systemを用い、カラムには逆相C18カラム (TSK–GEL 250 mm, 粒子径 5 µm) を用いた。

2–2–2.Citrobacter sp. S-77の培養

  Citrobacter sp. S-77の培養は、既報を参考に表2–3に示した組成の液体培地を用いて

行った13)。液体培地100 mLを調製し、オートクレーブによる滅菌操作を行った (121 °C、

(20)

を、液体培地8 L (オートクレーブ滅菌済) に移し替え、同様の条件で1週間培養した。

培養後の菌体は遠心分離 (4 °C、10,575 ×g、20分) によって回収し、実験に用いるまで

–80 °Cで冷凍保存した。

2–3Citrobacter sp. S-77用の液体培地の組成

試薬名 液体培地1 Lあたりの含有量 / g

酵母エキス 3.0

ペプトン 3.0

硫酸アンモニウム 3.0

硫酸マグネシウム七水和物 0.5 リン酸水素二カリウム 2.0 リン酸二水素カリウム 1.0 チオ硫酸ナトリウム五水和物 2.0 クエン酸鉄(III)アンモニウム 0.2

塩化カルシウム 0.1

2–2–3.Citrobacter sp. S-77の可溶性タンパク質画分の調製

  冷凍保存していた菌体を室温にて解凍した。解凍後の菌体に MOPS 緩衝液 (20 mM

MOPS (pH 7.0), 1 mMジチオスレイトール、1 mM塩化マグネシウム六水和物) を加え、

懸濁した。懸濁溶液について遠心分離 (4 °C, 5,500 ×g, 20分) を行い、菌体を洗浄、再 回収した。回収後の菌体にMOPS緩衝液を加え、ホモジナイザーを用いて懸濁した。回 収後の菌体量に対して5倍量となるようにMOPS 緩衝液を追加し、超音波処理機を用 いて60 W、2分間、3サイクルの超音波破砕を氷浴上にて行い、菌体を破砕した。破砕 後、 超遠心分離 (4 °C, 150,000×g, 30分) により、膜タンパク質画分 (沈殿) と可溶性 タンパク質画分 (上清) を分離した。

(21)

2–2–4PFORS77の精製

  Citrobacter sp. S-77由来PFOR (PFORS77) の精製は、既報の他の微生物由来PFORの 精製と同様に可溶性タンパク質 画 分 よ り 行 っ た 。 以 降 の 精 製 工 程 は Coy anaerobic

chamberを用いて、嫌気条件下 (98% N2、2% H2)、室温にて行った。精製操作に用いる

全てのバッファーは、あらかじめ脱気を行った。バッファーは水酸化ナトリウム、また は水酸化カリウム水溶液を加えて全てpH 7.0に調節した。全てのバッファーに1 mMジ チオスレイトール、2 mM 塩化マグネシウム六水和物、0.1 mM チアミンピロリン酸、

10%グリセロールを加えた。

  可溶性タンパク質画分 (110 mL) を、20 mM MOPS緩衝液で置換した陰イオン交換カ ラムクロマトグラフィー (Q Sepharose High Performance、2.6 × 10 cm、流速10 mL min–1) に流した。PFOR活性を示すフラクションは、グラジエント溶出において塩化ナトリウ

ム濃度0.2 – 0.4 Mの範囲に確認された。回収したフラクションを、あらかじめ4 mMリ

ン酸二水素カリウム緩衝液で平衡化しておいた吸着カラムクロマトグラフィー (ハイ ドロキシアパタイト、1.6 × 10 cm、流速4 mL min–1) に流した。PFOR活性を示すフラク ションは、グラジエント溶出においてリン酸二水素カリウム濃度100 – 400 mMの範囲 に確認された。回収したフラクションを、3 M硫酸アンモニウム水溶液 (20 mM MOPS バッファー、pH 7.0) で2倍希釈し、あらかじめ1.5 M 硫酸アンモニウムを含む20 mM MOPS 緩 衝 液で平衡化しておいた疎水性相互作用カラムクロマトグラフィー (Phenyl Sepharose High Performance、0.7 × 2.5 cm、流速1.5 mL min–1) に流した。PFOR活性を示 すフラクションは、グラジエント溶出において硫酸アンモニウム濃度400 – 1000 mMの フラクションに確認された。回収したフラクションをアミコンウルトラ–15遠心式フィ ルターユニット (50 kDa、メルク製) によって1 mLまで濃縮した。濃縮後の溶液を、あ

らかじめ150 mM塩化ナトリウムを含む20 mM MOPS緩衝液で平衡化しておいたサイ

ズ排除カラムクロマトグラフィー (Superdex 200、1.6 × 50 cm、 流速0.5 mL min–1) に流 した。PFOR活性を示すフラクションは、アイソクラティックによる溶出において溶出

(22)

Sepharose High Performance、0.7 × 2.5 cm、流速2 mL min–1) に流した。PFOR活性を示す フラクションは、グラジエント溶出において塩化ナトリウム濃度 0.17 – 0.18 Mの範囲 に確認された。タンパク質の純度は、7.5%アクリルアミドゲルを用いた SDS–PAGE を 行い、CoomassieBrilliant Blue R-250 による染色後に確認した。N末端アミノ酸配列解析 は株式会社アプロサイエンスおよび株式会社ニッピへの委託分析により行った。タンパ ク質濃度は、既報にしたがいBio-Rad Protein Assay (Bio-Rad Laboratories Inc) を用いて求 めた14)

2–2–5PFOR活性の測定 (酵素溶液)

  溶液状態の PFOR 活性は、吸光光度計を用いて、メチルビオロゲン (MV) の還元に よる吸光度の変化を測定することで求めた。反応は窒素雰囲気下で行った。嫌気チャン バー内でガラスキュベット (セル長1.0 cm) に反応溶液2500 µL (1 mMピルビン酸ナト

リウム, 0.1 mM CoA三ナトリウム, 10 mMメチルビオロゲン, 1.0 mM 塩化マグネシウ

ム, 0.1 mM チアミンピロリン酸, 0.5 mM ジチオスレイトール, 50 mM MOPS緩衝液 (pH

7.0) ) を加え、ゴム栓とアルミ栓で密閉した。気相を窒素ガスで置換し、30 °C で5分

間インキュベートした。酵素溶液を加えて測定を開始し、578 nm での吸光度の時間変 化を測定した 9b-c)。反応初期の吸光度の時間変化とメチルビオロゲンのモル吸光係数

578 nm = 9.7 mM-1 cm-1) からピルビン酸の酸化速度を算出し、1分間に1 µmolのピルビ

ン酸を酸化させる活性を1 Uとした。最大反応速度 (Vmax) およびミカエリス定数 (Km) は、測定値のミカエリスメンテン式への非線形回帰的な曲線フィッティングにより算出 した。

2–2–6.PFORS77の特性評価 (酵素溶液)

  溶液状態のPFORS77の反応至適pHは、bis-tris緩衝液 (pH 6.0)、MOPS緩衝液 (pH 7.0) HEPES緩衝液 (pH 9.0)、CHES緩衝液 (pH 9.0)、CAPS緩衝液 (pH 10.0) を用いて、PFOR 活性を測定することで求めた。反応至適温度は、30–70 °Cの範囲でPFOR活性を測定す ることで求めた。PFORS77のpH耐性は、酵素を各pHの緩衝液中で30分インキュベー

(23)

トし、その後、MOPS緩衝液 (pH 7.0) に交換し酵素活性を測定して算出した。PFORS77

の温度耐性は、酵素を熱処理した後の活性を測定することで算出した。基質を除いた反 応溶液に酵素を加え、各温度で20 分間インキュベートした。その後、室温まで冷却し た後、遠心分離を行い、上清を回収した。回収した上清に基質を加え、30 °Cで測定を 開始した。

2–2–7.固定化PFORS77の作製

  固定化PFORS77の作製操作は、Coy anaerobic chamberを用いて、嫌気条件下 (98% N2, 2% H2)、室温にて行った (図2–4)。PFORS77溶液 (7.3 × 10–2 mg mL–1) 100 µLに50 mM MOPS 緩衝液 (pH 7.0) 400 µL、ハイドロキシアパタイト10 mgを加え、10分間ゆっく り撹拌した。遠心分離 (1,000g, 5 分間) により上澄みを取り除き、PFORS77が吸着した ハイドロキシアパタイト粒子 (PFORS77–HA) を回収した。この時点におけるハイドロキ シアパタイト粒子へのPFORS77の吸着率は、取り除いた上澄みのタンパク質定量を行い、

吸着されていないタンパク質量を算出することで求めた (式2–1)。また、吸着されてい ないタンパク質の酵素活性を測定することでも求めた (式2–2)。PFORS77–HAの活性収 率は式2–3のように求めた。

固定化収率 % = 加えたPFOR()) µg −未固定のPFOR()) µg

加えたPFOR()) µg × 100

(式2– 1)

固定化収率 %

= 加えたPFOR())の酵素活性 U −未固定のPFOR())の酵素活性 U

加えたPFOR())の酵素活性 U × 100 (式2– 2)

(24)

活性収率 % = 固定化後のPFOR())の酵素活性 (U mg67)

PFOR())の酵素活性 U mg67 × 100   (式2– 3)

  PFORS77–HAに50 mM MOPS緩衝液 (pH 7.0) 300 µLを加え、よく懸濁させた。その

後、500-600 cPアルギン酸ナトリウム3 mgを加え、よく撹拌し、懸濁溶液を調製した。

ディスポーザルシリンジを用いて懸濁溶液を 1 滴ずつ 2%塩化カルシウム水溶液 (20 mM MOPS緩衝液、pH 7.0) に滴下した。30 分間撹拌後、作製した固定化PFORS77を 20

mM MOPS 緩衝液 (pH 7.0) で洗浄した。作製した固定化 PFORS77の固定化収率と活性

収率は2%塩化カルシウム水溶液に漏出した酵素量と活性を求めて、先程と同様に式2–

1、式2–2、式2–3を用いて算出した。

2–4. 固定化PFORS77の作製操作.

2–2–8.固定化PFORS77SEM観察

  固定化PFORS77の走査型電子顕微鏡 (SEM) による観察には、作製した直後の固定化

PFORS77と、–70 °Cで5時間フリーズドライ後の固定化PFORS77を用いた。それぞれの

サンプルをアルミニウム製の試料台に固定したカーボンテープ上にのせ、加速電圧 15 kVで観察した。

HA粒子

撹拌 遠心分離

PFORS77–HA

2% CaCl2水溶液 に滴下 PFORS77

回収

PFORS-77–HA 1%アルギン酸

ナトリウム水溶液 固定化PFORS77

(25)

2–2–9.固定化PFORS77の活性測定

  固定化PFORS77の活性評価は、生成するアセチル–CoAを高速液体クロマトグラフィ

ー (HPLC) 分析で定量することで評価した15)。嫌気チャンバー内で3 mLバイアル瓶に

反応溶液200 µL (2.5 mMピルビン酸ナトリウム, 2.5 mM CoA 三ナトリウム, 2 mM塩化

マグネシウム六水和物, 0.2 mM チアミンピロリン酸, 0.5 mM ジチオスレイトール, 25 mM メチルビオロゲン, 50 mM MOPS 緩衝液:pH 7.0) に固定化PFORS77を加えて反応 を開始した。15 分静置後、反応溶液のみ回収し、0.1 M 塩酸 10 µL を加え、遠心分離

(10,000g, 10分間) を行った。得られた上清について、HPLC分析を行った。移動相には

100 mM リン酸二水素ナトリウムおよび 75 mM 酢酸ナトリウム溶液 (リン酸で pH 4.6

に調整) とアセトニトリルの混合溶液を94 : 6の比率で用いた。カラムには東ソー(株) 製 TSK gel ODS-100V (5 µm, 4.6 × 250 mm)を用い、流速1 mL min–1、カラム温度 40 °C で分析を行った。

2–2–10.固定化PFORS77の特性評価

  固定化PFORS77の基質濃度依存性、反応至適pH、反応至適温度、pH耐性、温度耐性 評価は2–2–5、2–2–6と同様に行った。酸素安定性は、固定化PFORS77を一定時間、30 °C、 空気下で静置した後、嫌気チャンバー内で反応を開始し活性を測定して評価した。固定 化 PFORS77の繰り返し使用の評価は、15 分間の反応後に固定化 PFORS77を回収し、20

mM MOPS緩衝液 (pH 7.0) で洗浄後、再度反応に用いることを10回繰り返し、HPLC

測定により各回の反応溶液中のアセチル–CoAを定量することで行った。

(26)

2–3.結果と考察

2–3–1Citrobacter sp. S-77由来PFORS77の精製

  培養したCitrobacter sp. S-77を破砕後、得られた可溶性タンパク質画分を5本のカラ ムクロマトグラフィーで精製した。5本目の陰イオン交換クロマトグラフィーによる精 製で、塩化ナトリウム濃度170−180 mMのフラクションにPFOR活性が確認された。同 じフラクションのSDS-PAGEでは、120 ± 5 kDaの位置に単一のバンドが確認された (図 2–5)。4本目に用いたサイズ排除クロマトグラフィーの結果から、PFORS77は約240 kDa の分子量で存在していることが示唆された。これらの結果を合わせて、PFORS77は分子

量120 kDaのサブユニットから構成されるホモ二量体であることが明らかになった。こ

れまでに精製が報告されている他の微生物由来のPFORは、構造から見ると、(1) ホモ

二量体 9b, 16)、(2) ヘテロ二量体の二量体17)、(3) ヘテロ四量体18)、(4) ヘテロ五量体9d)

の4種類に分けられる。精製したPFORS77は (1) のホモ二量体のグループに属し、分子 量も同グループに属する他の既報のPFORと大きく変わらない9b, 16)Citrobacterが属す る腸内細菌科の細菌から PFOR を精製した報告例として、Escherichia coliと Klebsiella pneumonia由来のPFORがある16a, 16f–g)Citrobacter属の細菌からPFORを精製した例は これまで報告されておらず、本論文のCitrobacter. sp. S-77が最初の報告例となる。

2–5精製したPFORS77のSDS-PAGE (7.5%).レーン1:standard marker proteins (Mr = 50–250 kDa)、レーン2:精製PFORS77.

250 150 100 75

50

120 kDa

kDa 1 2

(27)

2–3–2PFORS77の基礎特性

  溶液状態の PFOR 活性は吸光光度計を用いて、メチルビオロゲン (MV) の還元によ る吸光度の変化を測定することで求めた。メチルビオロゲンはピルビン酸の酸化反応に より生じる電子の受容体として用いており、これまでのPFORの研究においても広く用 いられている16-18)。精製したPFORS77について、定常状態近似による速度論的解析を行 った (図2–6)。ピルビン酸ナトリウム及びCoA三ナトリウムのKm値はそれぞれ、0.12

mM、28 µM であった。Km値は酵素反応の最大速度の半分の速度を与える濃度であり、

この値が低いほど酵素と基質の親和性が高い。PFORS77が触媒する反応では、CoAの方 がピルビン酸よりも Km値が低く、酵素との親和性が高い。この傾向は、これまで報告 例のある他の微生物由来のPFORと同様である (表2–4)16b-d, g)。また、Vmax値はそれぞれ 23.6、27.5 U mg–1であった。これらの値から、PFORS77によるアセチル–CoA生成の触媒 回転頻度 (kcat) は102 s-1となった。Vmax値は、既報の同じホモ二量体型のPFORの中で もDesulfovibrio africanus (70 U mg–1) に次いで高い値であり、Clostridium acetobutylicum

(25 U mg–1) と同等の値であることから、ピルビン酸の酸化的脱炭酸反応によるアセチ

ル–CoA生成反応に用いるPFORとして適していると考えられる。

2–4. ホモ二量体型PFORのKm, Vmax

微生物名 Km, pyruvate / mM Km, CoA / µM Vmax / U mg–1 文献

Citrobacter sp. S-77 0.12 ± 0.02 28 ± 5 25.6* 本論文

Clostridium acetobutylicum 0.32 3.7 25.0 16b

Rhodospirillum rubrum 0.18 9.0 7.5 16c

Desulfovibrio africanus 2.50 0.5 70.0 16d

Rhodobacter capsulatus – – 9.5 16e

Klebsiella pneumonia 2.00 4.0 6.0 16g

*ピルビン酸、CoAそれぞれから求めたVmax値の平均値

(28)

2–6.PFORS77によるアセチル–CoA生成反応の基質濃度依存性.(a)ピルビン酸ナト リウム,(b)CoA 三ナトリウム.データは最低 3回以上の独立した実験により算出し、

エラーバーは標準偏差を示す.

  PFORS77の反応至適pHは、pH 8.0であり、pH 7.0における活性値の約1.2倍の値を示 した (図 2–7a)。一方、pH 6.0、10.0の条件下では、pH 8.0 における活性値のそれぞれ 36%、9%まで減少した。PFORS77の反応至適温度は50 °Cであり、30 °C における活性 値の1.9倍の値を示した (図2–7b)。60 °Cにおいても50 °Cにおける活性値の98%の値 を示した。この挙動は同じホモ二量体型であるClostridium acetobutylicumと同様である

25 20 15

10 5

0

2.0 1.6

1.2 0.8

0.4 0

係数値  標準偏差

Vmax =23.61 ア 0.977 Km   =0.11741 ア 0.0204

[Pyruvate] / mM

比活性/ U mg1

25

20 15

10 5

0

160 120

80 40

0

係数値  標準偏差

Vmax =27.499 ア 1.97 Km   =27.568 ア 5.38

[CoA] / μM

比活性/ U mg1

a)

b)

(29)

(60 °C)16b)。一方、70 °Cにおいて、活性は大きく減少し、30 °Cにおける活性値の31%

の値を示した。反応至適温度の測定では、あらかじめ一定温度にしておいた反応溶液中 に酵素を加えることで反応を開始し、添加直後のメチルビオロゲンの還元を吸光度測定 で追跡した。70 °Cでは酵素添加直後に変性が起こり、失活したものと考えられる。

2–7(a) PFORS77のアセチル–CoA 生成反応の pH 依存性、(b) PFORS77のアセチル– CoA生成反応の温度依存性. データは最低3回以上の独立した実験により算出し、エラ

120 100 80 60 40 20

0

11 10 9

8 7 6 5

pH

相対活性/ %

a)

120 100 80 60 40 20

0

80 70 60 50 40 30 20

温度/ °C

相対活性/ %

b)

(30)

  pH耐性は、pH 6.0–10.0 の各緩衝液中で酵素溶液を30 分インキュベーションした後 の残存活性を、MOPS緩衝液 (pH 7.0)で測定することで算出した。PFORS77はpH 7.0–8.0 において安定に存在する一方で、pH 9.0–10.0 の塩基性条件下におけるインキュベーシ ョン後では、活性が減少した。この挙動は前述した反応至適pH測定の結果と同じであ り、PFORS77はある値以上の塩基性条件下では失活してしまうことがわかった (図2–8a)。

2–8(a)PFORS77のpH耐性, (b) PFORS77の温度耐性.データは最低3回以上の独立し た実験により算出し、エラーバーは標準偏差を示す.

120 100 80 60 40 20 0

11 10 9

8 7 6 5

120 100 80 60 40 20

0

80 70 60 50 40 30 20

pH a)

b)

相対活性/ %相対活性/ %

温度/ °C

(31)

  PFORS77の熱耐性は、30–70 °Cの範囲で酵素溶液を 20 分インキュベーションした後 の残存活性を30 °Cで測定することで算出した。PFORS77はインキュベーション温度の 上昇に伴って徐々に活性を失い、60 °Cで30 °Cインキュベーション時の32%、70 °Cで

4%まで失活した (図2–8b)。この結果も前述のPFORS77の反応至適温度測定の結果と類

似しており、PFORS77は高温条件下に一定時間あると変性することが示唆された。50 °C での活性の半減期は約30分であり、PFORS77を保有するCitrobacter sp. S-77の至適生育 温度は32 °Cであることから、PFORS77Citrobacter sp. S-77から精製された他の酵素 と同様にある程度の熱耐性を保有していると言える13)

2–3–3.固定化PFORS77の作製

  PFORS77の固定化に用いる担体として、ハイドロキシアパタイト粒子とアルギン酸ハ イドロゲルを選択した。はじめに、精製したPFORS77をハイドロキシアパタイト粒子に 吸着させた。PFORS77のハイドロキシアパタイト粒子への吸着量は、遠心分離後の上澄 み溶液のタンパク質定量を行い、吸着されなかったPFORS77の量を算出することで求め た。また、加えた溶液状態のPFORS77の酵素活性値と上澄み (吸着されなかったPFORS77) の酵素活性値からも算出した。その結果、はじめに加えたPFORS77のうち、96%がハイ ドロキシアパタイト粒子に吸着されていると算出した。作製した PFORS77–ハイドロキ シアパタイト粒子のアセチル–CoA 生成反応の触媒回転頻度 (kcat) は 45 s–1であり、溶 液状態の PFORS77 の触媒回転頻度 (102 s–1) の 44%の値を示した。次に、作製した PFORS77–ハ イ ド ロ キ シ ア パ タ イ ト 粒 子 を ア ル ギ ン 酸 ハ イ ド ロ ゲ ル に 内 包 さ せ た 。 PFORS77–ハイドロキシアパタイト粒子に50 mM MOPS緩衝液 (pH 7.0)、500–600 cPア ルギン酸ナトリウムを加え、よく撹拌した懸濁溶液を、ディスポーザルシリンジを用い

て1滴ずつ2%塩化カルシウム水溶液に滴下した。滴下直後、カルシウムイオンによっ

てアルギン酸のカルボキシル基間でイオン架橋が生じ、直径約2 mmの球状のハイドロ ゲルが得られた。先程と同様に2%塩化カルシウム水溶液中に流出したPFORS77の量と

(32)

PFORS77の SEM観察では、アルギン酸ハイドロゲル中に粒径約 20 µmのハイドロキシ アパタイト粒子が含まれていることが確認できた (図2–9、図2–10a)。

2–9作製した固定化PFORS77のSEM画像.(a, b, c) 含水状態で観察, (d, e, f) フリー ズドライ後に観察.

  固定化 PFORS77 を電子アクセプターであるメチルビオロゲンを含む反応溶液に加え て一定時間静置した (図2–10b, i)。数分後に固定化PFORS77が青色に変化した (図2–10b, ii)。これはメチルビオロゲンが還元されたことを示しており、固定化PFORS77中でピル

a)

b)

c)

d)

e)

f) 500 μm

100 μm

10 μm

500 μm

100 μm

10 μm

(33)

ビン酸の酸化的脱炭酸反応が起きていることを示している。さらに時間が経過すると溶 液の色も青く変化した (図 2–10b, iii)。これは固定化 PFORS77中で還元されたメチルビ オロゲンが溶液側に拡散してきたことを示している。この結果はPFORS77が固定化され た状態でピルビン酸の酸化的脱炭酸反応を触媒できることを示している。反応溶液の HPLC分析を行ったところ、アセチル–CoAが生成していることが確認できた (図2–11)。 これらの結果は、ピルビン酸の酸化によるアセチル–CoA 生成反応を触媒する固定化 PFORS77の作製に成功したことを示している。固定化PFORS77の30 °C、pH 7.0緩衝液中 におけるアセチル–CoA 生成活性 (Vmax) は 9.32 U mg–1であり、触媒回転頻度kcatは37 s–1であった。この値は溶液状態の PFORS77の 36%に相当し、固定化によって酵素活性 値は減少してしまった (表2–5)。

2–10. (a) 作製した固定化PFORS77. (b) 固定化PFORS77の反応の様子.

a) b)

i ii iii

50 40

30 20

10 0

保持時間 / 分 a)

b)

参照

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