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固体酸を用いた環境調和型有機合成反応

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Academic year: 2021

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     博士(地球環境科学)陳   新 学位論文題名

固体酸を用いた環境調和型有機合成反応 学位論文内容の要旨

  本論文は5章からなっている。第1章は序論であり、N‑アルキルアク1」ルアミドの合成 法やその応用に ついて述べている。また、本研究で用いた固体触媒としてのゼオライトや ヘテロポリ化合 物、Nafionなどの構造、酸性、酸強度、疎水性をまとめてある。第2章は 各種のアルコール分子とアクリ口二ト1」ルのRitter反応に対するヘテ□ポリ化合物を中心 として種々の固 体酸、液体酸の触媒特性を調べた結果について述べている。ヘテ口ポリ化 合物であるCs9.sHo.sPW19040はアクリ口二トリルと1.アダマンタノールの反応に高い活性 を示し,また、H‑ZSM‑5ゼオライトはアクリ ロニトリルとイソプ口バノールの反応に特異 的に高活性であ る結果を述べている。第3章 はH‑ZSM‑5ゼオライトを中心として用いてイ ソプ口バノール とアクリロニト1」ルの反応を行った結果をまとめている。H‑ZSM‑5は触媒 的に反応を進行 させ,その物性で活性について議論している。第4章はアクリル酸と1.ブ タノールのェス テル化反応に対する固体酸の触媒特性を検討した。第5章は総括である。

本 論 文 の 主 な 結 果 と 知 見 を ま と め た 。 以 下 、 第2章 以 下 の 概 要 を 述 べ る 。

  第 2章 は へ テ 口 ポ リ 化 合 物 に よ る Ritter反 応 に つ い て 述 べ て い る 。   本章では、反応特性が異なる各種のアルコール分子を用いてRitter反応を調べた。それ に、ヘテロポリ化合物、特にCs2.sHo.sPWi9040 (Cs2.5と略す)に注目し、各種の固体酸や 液 体酸 などのRitter反応に触媒特性を評価した。反応1としてアクリ口二トリルと1‑ア ダマンタノールの反応を行った。1‑アダマンタノールは三級アルコールであり,カルポカ チオンが生成しやすく,かつ、安定な骨格構造を持つ。この反応は比較的に進行しやすい ことが推定できる。この反応に,Cs2.5塩が高活性であることを見出した。反応2としては、

アクリロニト1Jルとtert.ブタノールの反応を行った。tert.ブタノールは三級アルコールで あるが、tert‑ブタノールはイソブテンに脱水しやすい。多くの固体酸では脱水が激しく起 こり,N‑ tert‑ブチルアクリルアミドの収率は低かった。固体酸の中ではCs2.5塩が最も高 収率であることが分かった。 反応3はRitter反応の中で、高難度されているアクリロニト リルとイソプロバノールの反応を検討した。イソプ口バノールは二級アルコールであり,

二級カルボカチオンは相対的に不安定なので,反応性は低いと予想される。事実、触媒的 に この 反応を進行さ せた例は今まで報告されていない。Cs2.5でも低収率に留まった。

  第3章はH‑ZSM‑5ゼ オラ イト によ るアクリ口二 トリルとイソプロパノールからN‑イソ

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プロピルアク1」ルアミドの合成について述べている。

  高難度反応として認識されているアクリ口二トリルとイソプロノヾノールの反応に各種の 固体酸やゼオライ卜の触媒特性を調べた結果、H‑ZSM‑5は特異的に高活性であることを見 出した。H‑ZSM‑5によ って初めて固体―液体反応系でアクリ口ニトリルとイソプ□バノー ルの反応を触媒的に進行させることを実現した。N‑イソプロピルアクリルアミドの収率は 大き くH‑ZSM‑5のSi/Al比に 依存 し,Si/Al:37で最大活性となった。H‑ZSM‑5の酸量、

酸強度のみならず疎水性およびそのユニークな細孔構造はその特異的な高活性に関与して いる重要な因子であることを実証した。H‑ZSM‑5のSi/Alの比によらず、反応中活性劣化 が観察された。劣化の原因は主に反応物アクリ□ニトリルの重合によって生成したポリマ ーが触媒細孔を閉塞するためであることを明らかにした。反応後H‑ZSM‑5の空気中で焼成 することにより、活性が回復することを実証した。

  第4章は固体酸によるアクリル酸と1.ブタノールの液相工ステル化反応について述べて いる

  本章では,各種の固体酸および液体酸,ヘテ口ポリ酸を用い,特にCs2.sHo.sPWi9040の 触媒特性を注目し,アクリル酸と1一ブタノールのエステル化を系統的に調べた。ヘテロ ポリ酸は通常無機酸である硫酸などより高活性であることが分かった。また、アクリル酸 と1゜ブタノールのェステル化反応にへテ□ポル酸の活性はその酸強度に依存し、酸強度が 大きいほど活性が高くなった。固体酸の中ではCs9.sHo.sPWi9040が最も高活性を示した。

Cs9.sHo.sPWi2040の強酸性と疎水性が活性の支配因子であり,Cs9.sHo.sPW19040は強い耐水 性を発揮した。

  以 上,本研究ではこれまで、触媒的な合成が不可能であったイソプ口パノールを用いた Ritter反応を、ゼオライトを用いて可能にしたものであり,さらにこの知見を用いること によ り,新規な固体触媒の開発を可能するものと期待できる 。

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学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

固体酸を用いた環境調和型有機合成反応

  現 在 の 化 学 工 業 に韜 いて もな お、 硫酸 やフ ツ酸 な どの 液体 酸を 用い るプ ロセ スが 数多 く 実 施 さ れ て い る 。こ れら では 、有 害な 廃棄 物が 多 く副 生し 、そ の処 理に 大き なエ ネル ギ ― を 費 や し て い る。 その ため 、以 前よ りこ れら の 液体 酸を 代替 でき る固 体酸 の開 発が 強く 望 まれ てい る。

  N・ ア ル キ ル ア ク リ ル ア ミ ド お よ び そ の 誘 導体 は 吸湿 性高 分子 の原 料と して 注目 され て い る 。 こ の 高 分 子は 乾燥 地の 湿度 調節 など 多く の 応用 が提 案さ れて いる 環境 改善 のた め の 重 要 な 機 能 材 料 で あ る 。 こ のN. ア ル キ ルア ク リル アミ ドの 合成 法と して 工業 的に は 過 剰 硫 酸 を 用 い る ア ク リ ロ ニ 卜 リ ル と ア ル コ ー ル か ら の り ッ タ 一 反 応 が用 いら れて い る 。 本 研 究 で は 、こ れま で実 現さ れて いな ぃ固 体 触媒 を用 いる りッ タ一 反応 、特 に注 目 さ れ て い る ア ク リロ ニト リル とイ ソプ ロピ ルア ル コー ルの 反応 に焦 点を あて てい る。

  各 種 の 固 体 酸 の この 反応 に対 する 触媒 特性 を系 統 的に 調べ た結 果、 高シ リカ ゼオ ライ ト で あ るH‑ZSM‑5が 特 異 的 な 活 性 を 示 す こ と を 初 め て 見 出 し て い る 。 そ の 活 性 は こ れ ま で 用 い ら れ て い る 固 体 超 強 酸 で あ る 硫 酸 処 理 ジ ル コ ニ ア や へ テ ロ ポ リ 酸を 遥か に凌 ぐ も の で あ っ た 。 さ ら に 、 活 性 は ゼ オ ラ イ ト 中 の 尚 含 量 と と も に 特 徴 的 に変 化し 、そ の 変 化 は ゼ オ ラ イ 卜細 孔内 の疎 水性 と相 関が ある こ とを 明ら かに して いる 。こ れら のこ と か ら 、 反 応 がH‑ZSM‑5上 で 特 に 速 や か に 進 行 す る の は 、 細 孔 内 疎 水 性 に よ る ア ル コ ー ル の 反 応 阻 害 回 避と この 特異 細孔 内で の反 応促 進 効果 によ るも のと 推定 して いる 。こ の 触 媒 の 問 題 点 と して 反応 中の 活性 低下 が指 摘さ れ た。 その 活性 の回 復法 とし て、 空気 中焼 成 が有 効で ある こと を実 証し てい る。

  以 上 、 本 研 究 で はこ れま で、 触媒 的な 合成 が不 可 能で あっ たイ ソプ ロピ ルア ルコ ール を 用 い た り ッ タ 一 反応 を高 シリ カゼ オラ イト を用 い て可 能に した もの であ り、 さら にこ の 知 見 を 用 い る こ と に よ り 、 新 規 ぬ 固 体 触 媒 の 開 発 を 可 能 に す る も の と 期待 でき る。

  審査員一同は、これらの成果 を高く評価し、また研究者として誠実かつ熱心であり、 大学 院課程における研鑽や取得単位 なども併せ申請者が博士(地球環境科学)の学位を受け るの に十 分 な資 格を 有す るも のと 判定 した 。

    −1447―

逸 義

俊 貴

原 中

村 津

奥 田

中 嶋

授 授

授 授

   

   

教 教

教 助

査 査

査 査

主 副

副 副

参照

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