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博 士 ( 工 学 ) 水 野 紘 一

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Academic year: 2021

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博 士 ( 工 学 ) 水 野 紘 一

学 位 論 文 題 名

Bi 系高温 酸化物 超伝導 体薄 膜とそ の積層 型素子 に関 する研究

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  高温 酸化 物超 伝導 体は 、 金属 系超 伝導 体に 比べ 高い 超伝 導遷 移温 度を 持ち、簡 易 に得 られ る低 温環 境下 で 超伝 導性 を示 す。 この 材料 を用 いる こと によ り、従来 金 属系 超伝 導体 を用 いていた超伝導素 子の応用システムを小型化することができ、

ま た超 伝導 素子 の特 性向 上 も期 待さ れる 。こ のよ うに 高温 酸化 物超 伝導 体の素子 化 は実 用的 に大 きな 意味 を 持つ 研究 課題 であ る。 超伝 導素 子を 構成 する 際、特性 の 安定 性お よび 制御 性の 観 点よ り積 層型 の素 子構 造と する こと が望 まし く、高温 酸 化 物 超 伝 導 体 の 素 子 応 用 に お い て も 同 様 に 積 層 型素 子の 開発 が重 要と な る。

  高温 酸化 物超 伝導 体は 、 ペロ ブス カイ ト構 造を 基本 とし た層 状構 造を 持ち、他 の 類似 の層 状構 造化 合物 、 ある いは ペロ ブス カイ ト構 造の 物質 との 格子 整合性が よ い 。 そ の 中 で もBi系 酸 化 物 超 伝 導 体 は 、2次 元 性 の 強 い 材 料 で あ り 、Bi層 状 構 造化 合物 と積 層す るこ と で優 れた 積層 型素 子を 構成 でき る可 能性 があ る。本研 究 はBi系 酸 化 物 超 伝 導 体 薄 膜 と 、 他 の 酸 化 物 薄 膜 との 積層 化、 およ びそ の 積層 膜 の超 伝導 素子 への 応用 を 検討 した もの であ る。

  本 研 究 で は 、 ま ず 高 温 酸 化 物 超 伝 導 材 料 の 薄 膜 作製 方法 にっ いて 検討 し 、積 層 型 素 子 作 製 に 有 効 な 薄 膜 堆 積 方 法 に つ い て 考 察 を加 えた 。次 にBi系酸 化 物薄 膜 の結 晶構 造特 性の うち 、 結晶 性、 変調 構造 、基 板材 料と のエ ピタ キシ ャル関係 を 明 ら か に し た 。 ま た 、Bi系 酸 化 物 超 伝 導 体(BSCCO)と 、 そ れ と 類 似 の 結 晶 構 造 を 有 す るBi系 酸 化 物(BSCO、BSNCO)、 お よ びPb系 強 誘 電 体 が 近 い 格 子 定 数 を 持 っ こ と に 着 目 し 、 こ れ ら の 組 合 せ に お いて 、良 好な 積層 薄膜 が 作製 で き る こ と を 示 し た 。 次 に 、BSCCOを 超 伝 導 電 極 に 用 い 、BSCOを バ リ ア 層 と し て 用 い たBSCCO/BSCO/BSCCO接 合 、 お よ びBSNCOを バ リ ア 層 と し た BSCCO/BSNCO/BSCCO接 合 を 提 案 し 素 子 特 性 を 検 討 し た 。 こ れ ら の 素 子 に お い て 、 良 好 なJosephson効果 およ び非 線形 特性 が観 測さ れる こと を示 し、 ま た、

素 子 に お け るJosephson効 果 は 、 バ リ ア 層 で あ るBSCO、BSNCOを 介 し たSNS 型 構造 にお ける 近接 効果 に よる こと を明 らか にし た。 最後 に、 この 積層 型素子に お いて 、マ イク ロ波 帯で の へテ ロダ イン 検波 動作 を実 証し 、高 周波 能動 素子とし て の応 用可 能性 を実 証し た 。こ れら 実験 的研 究を 通じ 、高 温酸 化物 超伝 導体の積 層 型素 子に おい て、 超伝 導 材料 と類 似の 結晶 構造 を有 する 酸化 物材 料の 組み合わ せ が有 効で あり 、こ の積 層 構造 によ る高 温超 伝導 素子 の工 学的 応用 の可 能性を示 し た。

(2)

学 位 論 文 審 査 の 要旨

学位論文題名

Bi 系高温酸化物超伝導体薄膜とその積層型素子に関する研究

  近年、移動体通信の発展に伴い、通信システムにおける機器の効率化、大容量通信シス テムの開発が重要な研究課題となっている。通信機器の効率化においては、特に基地局側 で用いられる通信機器の高感度化、低損失化が有効である。また、大容量通信の実現に向 けては、通信搬送波の高周波化、すなわち通信機器の高周波化が望まれる。超伝導体を用 いた能動素子は、その高感度特性、低損失性、さらに超高周波で動作可能なことにより、

こ れ ら 要 求 を 満 た す 可 能 性が あ り 、 高周 波 素 子と し て の応 用 が 期待 さ れ てい る 。   本論文は、このような背景のもと、移動体通信における基地局の高感度化、超高周波化 の要求に応える能動素子として、高温酸化物超伝導体を用いた超伝導素子の可能性を探索 している。このために、素子特性の安定性や、実用上必要となる他の受動素子、半導体素 子との集積化を考慮し、積層型超伝導素子の実現を目的としたもので、主な成果は以下の 点に要約される。

(1)高温酸化物超伝導体として、超伝導臨界温度が高く、また結晶構造が、積層構造に 有利な層状をなすBi系酸化物超伝導体(Bi2Sr2CaCu208十6)に着眼し、この材料の酸化性雰 囲気を用いたスパッタ法による薄膜化技術を確立した。特に素子応用に重要となる良好な 超伝導特性、および平坦な表面を持つ薄膜を得ることを目指し、この材料系としては比較 的低温である650℃の成膜温度による薄膜形成方法を確立した。また、Bi系酸化物超伝導 体と同 種の材料 であり ながら、 超伝導 性を示さ なぃBi系 酸化物材 料(Bi2Sr2Cu06+6、 Bi2Sr2NdCu208十6)についても、Bi系酸化物超伝導体と同一成膜条件における薄膜形成方法 を確立した。

(2)上記の薄膜化技術を応用し、Bi系酸化物材料を同一真空中において連続成膜する積 層化技術を確立した。この技術により作製した積層膜の各層は、その結晶性、積層界面に おける組成分布において良好な特性を示した。さらに、積層膜に対する微細加工、電極形 成等のデバイス化の検討を行い三層構造の二端子素子を作製し、それらの素子において中 間の非超伝導層を通過して流れる超伝導臨界電流を観測した。さらに、電流一電圧特性に お い て 強 い 非 線 形 特 性 ( 負 性 抵 抗 特 性 ) が 存 在 す る こ と を 見 い だ し た 。     ―100一

也 一

則 彦

真 幸

正 和

城 笠

柴 谷

栗 武

小 山

授 授

授 授

教 教

教 教

査 査

査 査

主 副

副 副

(3)

(3)超伝導臨界電流の温度依存性と高周波応答の解析を行い、積層型素子が、超伝導/

常伝導/超伝導型(SNS型)ジョ セフソン接合として振る舞うことを明らかにし、さらに 素子の等価回路として抵抗シヤ ント型接合モデル(RSJモデル)が適用できることを示し た。これにより本研究の積層型 素子を高周波素子として応用する際、低温超伝導体のSNS 型接合およびRSJモデルによる解析手法が利用できるという有用な知見を得た。ニこで、

Bi系酸化物超伝導体を用いた積層型素子の実現とジョセフソン効果の実証は、他に先駆け て実現されたものである。

(4) 積層 型SNS素子 を高 周波 ミキ サと して 動作 させ 、20GHz帯でヘテロダインミキシ ングの基本特性を得ることに成功し、ミキシング特性がジョセフソン効果および負性抵抗 特性に起因する2種類の非線形効果によることを確認した。また、積層型素子と現在ミキ サとして広く用いられている半導体ダイオードとの比較において、実験室レベルで高周波 信号の検出感度が約104倍優れていること、10‑2から10‑4の大きさの局部発振電カで動作 可能であることを実証した。

  以上を要するに、著者は、高温酸化物超伝導体の薄膜化と積層化技術を確立、積層型超 伝導素子を実現、さらにその高周波ミキサ素子としての有用性を示しており、超伝導電子 工学の進歩に寄与するところ大 である。

  よ っ て著 者は 、北 海道 大学博 士(工学)の学位を授与される資格ある者と認める。

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