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博士(農学)小林由喜也 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(農学)小林由喜也 学位論文題名

移植用ポット苗の精密間引きの自動化に関する研究

学位論文内容の要旨

  野菜の 高品質 化と労 力削 減への 要求が 高まり ,移 植機用 型枠・ ポット 苗に加えて,プラグ苗・

セ ル 苗 と い っ た成 型 苗 によ る栽 培が急 速に普 及し始 めた 。しか し,1株1本立 てが求 められ る野 菜 の成 型苗は ,ポッ ト毎に 複数 粒を播 種し, 人力間 引きに よる 健苗選 抜を慣習としているが,露 地 栽培 とfま 違っ て発芽 後数日 の幼苗 を間 引くこ とと, 一般に1 ha当た り5万株ものポット数を処 理 する ため, 多大の 労カを 要し て機械 化の隘 路にな ってい る。

  本研 究は ,機械 移植用 型枠ポ ット苗 を対 象にし て,健 苗を1本立 てにす る精 密間引 き作業 の自 動 化・ 口ボッ ト化技 術の開 発を 行った 。まず ,間引 き期に おけ る幼苗 の苗諸元を定義して栽培上 の 生育 評価法 との関 連を追 求し ,多変 量解析 によっ て苗諸 元を 用いた 苗の評価法を解明するとと も に, 自動化 に適し た画像 処理 法・画 像特徴 値・画 像解像 度を 明確に して,ロボットによるポッ ト 苗の 認識・ 評価技 術を明 らか にした 。次い で,こ れらの 結果 を応用 した苗センサとポット苗認 識 装置 を試作 して実 際的な 性能 を確認 し,そ れらを 並列配 置し た実用 性のある自動間引きロボッ ト の開 発仕様 を提案 した。

  本研究 で得ら れた成 果の 大要は ,次の ようで ある 。

1. 野菜苗 の性状 と評価 ・分 類の実 態

  苗 の 外 観 形状 を 表 す 苗 諸元を 定義す ると ,野菜 の幼苗 はI〜W型に分 類され ,ポッ ト苗 で機械 移 植さ れ て い る 野菜 はIとm型に 属 し た 。I型 の キ ャベッ とハク サイ および 皿型の レタス の苗諸 元 は, 展 開 す る2枚 の 子 葉は 同型 と見な すこと ができ るな ど,8項目 の「主 要苗諸 元」で 表現で き,そ れらの 相関 によっ て,@ 子葉長 ・子 葉幅・ 子葉面 積・苗 幅,◎ 苗高 ・胚軸長,◎胚軸径,

@子葉 角の四 っに グルー プ分け できた 。

  栽培 上の生 育診断 法によ る評価 は, 主要苗 諸元の 内で前 分類 による ◎子葉 の型と大きさおよび

@子葉 角,次 いで ◎胚軸 長を重 視して いる と考え られた 。さら に生育 診断 法では「良い苗は生育 が良く ,形態 的な バラン スのよ いもの」と定義しているが,生育の良否は子葉の大小で評価でき,

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形 態的な バラ ンスは 胚軸長 ナょど から 算出で きる徒 長性と2枚の子葉寸法から求められる対称・異 常 性 の2要 素で 評 価 で きた。 生育 診断法 で5段階に 評価さ れた苗 は, 各階級 の苗諸 元の大 小およ び 苗 諸 元 レ ーダ 図 の 形 態 が類 似 し た か ら ,苗 の 評 価 要 素と し て は 主要苗 諸元 が利用 できる 。

2.多変量 解析 を利用 した苗 の分類 と評 価

  評価 に必要 な苗 諸元は ,5段階に 評価さ れた苗 を用い てク ラスタ ー分析 を行い ,先 にグル ープ 分けし たと同 様に @の子 葉に関 する苗 諸元の 内の ーつ, ◎の胚 軸長ま たは 胚軸高,◎胚軸径,@

子葉 角 の4項 目が 抽 出 さ れた。 また,2階 級間の 判別分 析に よって ,最も 評価の 低い 不良苗 では 奇形な どがあ るた め複数 の苗諸 元が階 級判別 に係 わって いるが ,他の 階級 間の判別には子葉面積

・子葉 角,胚 軸長 のいず れかー っが大 きく寄 与す ると判 断でき た。

  さ ら に , 分類 し た4種 類の 苗 諸 元 で 主成 分 分 析 を 行 い, 第1. 第2主 成分ス コアの2次 元分布 が苗の 評価毎 にグ ループ 分けが 出来る ことを 示し ,標準 的なキ ャベツ の苗 諸元を用いて健苗の評 価法 を 開 発 し た 。1ポ ッ ト に2本 の 苗 が あ ると 仮 定した 場合に ,キャ ペツ 苗をラ ンダム に2本組 合わせ た選抜 シミ ュレー ション では,95%の 組合せ におい て実用 上問 題のない判定が下され,主 成分分 析によ る評 価法の 有効性 を確認 した。

3. 画像 処理を 利用し た苗の 計測と 評価

  苗諸 元を自 動計 測する ために ,ポッ ト苗の 上面 と横方 向から 撮影し た画 像から計測する方法を 検討 し,苗 諸元は 画像値 と高 い相関 を示し ,画像 から 苗諸元 を推定 出来る ことを示した。ただし 胚軸 径のみ は,苗 の全姿 を写 す画像上では細すぎて測定誤差が多いため,特別の配慮が必要になっ た。 また,90度ず れたニ っの横 方向画 像を用 いれ ば,上 面画像 がなく ても 苗諸元が推定できた。

  さら に,26万余の 画素で 構成さ れる画像から画像値を求めるには多くの演算時間を要するため,

処理 時間短 縮を目 的とし て, 画素数 を減ら した圧 縮画 像を使 う方法 を検討 した。これから,1536 画素 の画像 と原画 像によ る苗 評価の 結果は ,胚軸 を除 いてほ とんど 一致す ることを証明し,瞬時 に 処 理で き て 自 動 化が 容 易 と な る低 解 像 度 画 像 セン サ の 利 用 によ る 高 能率化 を可能 にし た。

4.透 過型光 センサ を利用 した 苗セン サの開 発

  ポ ット苗 を認識 する透 過型 苗セン サを考 察し, レー ザ光に よって 基本認 識特性を確認した。次 いで 散乱 光の赤 外発光 ダイオ ード を使っ たセン サによ る基礎 実験 を行っ て,ほぼ理論値に近い認 識特 性を 得る機 構を開 発する と共 に,そ の検出 限界をO. 2mmまで 確保し ,lmm程度の胚軸径でも

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識別で きるよ うにし た。

  基礎実 験に 基づい て16個の 赤外 発光ダ イオー ドを使 った実 用苗 センサ を試作し,走査手法の改 善によ って試 験片お よび センサ の認識寸法の相関係数は,O, 98以上になる良好な認識機構を開発 した 。これ を用い てハク サイ とキャ ベッ苗 を認識 し,3項に 述べた 圧縮 画像と 同程度 の画像 を得 て,画 像計測 値と実 測値 の相関 が高い ことを 示し た。

5.ポッ ト苗認 識装 置の試 作と間 引き口 ボッ 卜の提 案

  ポ ット 苗認識 装置は 型枠苗 箱の 上面の 前後・ 左右に 走行す る台 車と, この台 車に搭 載し た5自 由度 の口 ボット ハンド 型マニ ピュ レ一夕 および ハンド 先端部 に装 着した 苗センサで構成され,型 枠上 面を 順次移 動しな がらポ ット 苗を認 識・評 価する システ ムで あり,16ビットのマイク口コン ピ ュ一夕1台 で制御 する 。この システ ムのポ ット苗 認識 実験で は,主 成分分 析評 価法に よる評 価 と栽 培分 野での 評価は ほば一 致し た。さ らに, センサ の平行 ・斜 行検出 手法を開発し,苗の胚軸 が 重 な っ て 見 え る 場 合 で も , そ れ ぞ れ の 苗 立 ち 位 置 を 特 定 出 来 る 能 カ を 付 加 し た 。   苗 認識装 置の実 験結果 から 間引き 口ボッ トの基 本設 計を行 った。 キャベ ツ栽培で作付面積3 ha

(必 要苗 数165,000本,8x10型枠で約2,000箱)を想定した口ボットは,次のような仕様である。

  @ 構  造: 台車 搭載型 (ラッ ク・ピ ニオン 式レ ール走 行方式 )   ◎ 苗セン サ:透 過型苗 セン サ8基 並列 ・同時 旋回駆 動型

  ◎ 間引き 部:間 引き苗 位置 記憶型 ,揺動 式電熱 カッ タ9基 並列 型

  @ 制 御 シ ス テ ム : 制 御 用 ホス ト コ ン ピ ュー 夕1台 , 苗セ ン サ 専 用 ワン チ ッ プ マ イコ ン8台   ◎1日 処理能 力:11,000ポ ット(8 xi0型枠 で140箱)

  こ こに提 案する 間引き ロボ ットは ,基礎 実験で 開発 した苗 センサ をロボ ットハンドに並列配置 し た間引 きシ ステム であり ,経営 規模の 比較 的大き い野菜 専業農 家で は1台 ,育 苗セン ターに お ける 間引 きサブ システ ムとし ては 複数台 を配置 して利 用でき る。

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学位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教 授 教 授 教 授 助 教授

南部 伊藤 八鍬 高井

   悟 和彦 利郎 宗宏

  本論 文はそ の成 果を6章, 図・写 真129,表24,引用 文献な どを含 む総頁210の和文 論文に まと めら れてい る。別 に参 考論文16編が添 えら れてい る。

  野菜 のポッ ト育 苗には ,機械 移植用 とし て,プ ラグ苗 ・セル 苗と呼 ばれるものが含まれるが,

いず れも間 引き労 カが 問題と なって いる。 本研究 は機 械移植 用型枠 ポット 苗を1本立 てに する精 密間 引き作 業の自 動化 ・口ボ ット化 を目標 とし, 苗諸 元の認 識と評 価方法 への技術的表現と間引 き ロ ボ ッ ト 開 発 の 可 能 性 を 見 出 す こ と を 目 的 と し て い る 。 結 果 の 概 要 を 以 下 に述 べ る 。

1.野菜 苗の性 状と 評価・ 分類の 実態

  著 者は 幼 苗 の 形 状をI〜W型 に分 類 し , 形 状を 定量 化する 苗諸 元を定 義した 。I型のキ ャベツ

・ ハ ク サイ お よ びIV型 の レタ スの苗 形状は ,8項目の 苗諸元 で表 現可能 となり ,子葉2枚 の諸元 は相 関が 高く, @子葉 長・子 葉幅 ・子葉 面積・ 苗幅, ◎苗高 ・胚 軸長, ◎胚軸径,@子葉角の順 に分 けら れる。 生育診 断法に よれ ば,rよい 苗とは ,生育が良好かつ形態的バランスの良いもの」

であ り, 生育の 良否は 子葉の 大小 で評価 でき, 形態的 バラン スは 苗諸元 の徒長と子葉の対称・異 常 性に よって 評価で きる と判断 した。 栽培分 野で の生育 診断法 から5段階 に評価 した苗 は, 苗諸 元の 大小 とレー ダ図の 形が類 似し たので ,苗諸 元は苗 評価の 要素 として 利用できることを明らか にし た。

2.多 変量解 析を利 用した 苗の 分類と 評価

  上の5段 階評価 の苗を クラス タ一 分析す ること によっ て,苗 評価 に必要 な苗諸 元とし ては ,前 項 @ の子葉 関係, ◎の胚 軸長ま たは 胚軸高 ,◎の 胚軸径 ,@ の子葉 角であ ること を指摘 し,2段 階 ごとの 判別分 析に よって ,評価 の低い 不良 苗は奇 形など のため ,複数 の苗諸元が階級判別に係 わ るとし ,他の 階級 間の判 別には ,子葉面積・子葉角・胚軸長のうちーっが寄与すると判断した。

上 の4項 目の 苗 諸 元 で 主 成分 分 析 を 行 い, 第1. 第2主 成 分 ス コ アの2次元 分布が 苗評 価ごと に

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グル ープ分 けでき るこ とを示 し,キャベッ苗を用いた場合の健苗評価法を開発した。

3. 画像処 理を利 用し た苗の 計測と 評価

  キャ ベツ. ハクサ イ・レ タス 苗の形 状を平 面およ び側面 から 画像計 測した結果,これらの苗諸 元は画 像計 測値と 高い相 関のあ ること を明 示した 。側面 画像で は90度 ずれたニっの画像から判別 できた 。処 理時間 の短縮 を目的 として ,画 素数を 減らし た低解 像度 の圧縮 画像による計測値でも 十分な 苗評 価が得 られ, 画像処 理が高 能率 化でき ること を実証 した 。

4.透過 型光 センサ を利用 した苗 セン サの開 発

  ポ ット苗 を認識 する 透過型 苗セン サを考 案し ,レー ザ光に よる基 本認識特性を確認した。っい で ,赤外 発光ダイオード使用のセンサによる基礎実験の結果から,検出限界はO. 2mmまでであり,

l mm程 度の 胚軸径 でも計 測可能 とした 。応 用実験 として は,実 用的 苗センサを試作し,走査手法 の 改善に よって ,試験 片お よびセンサの認識寸法の相関係数がO. 98以上となる良好な認識機構を 開 発した 。これ を用い てキ ャベツ 苗とハ クサイ 苗を認 識さ せ,前 項の圧 縮画像と同程度の画像を 得 ること により ,実測 値と の相関 の高い ことを 確認し た。

5. ポット 苗認識 装置の 試作 と間引 き口ボ ットの 提案

  ポ ッ ト 苗 認識 装 置 に は , 苗枠 上 面 をX‑Y方 向 に 走行 す る 台 車 と ,こ の台車 に搭 載した5自 度 を持つ ロボッ 卜ハ ンド型 マイピ ュレー タお よびハ ンド先 端部に 装着し た苗 センサで構成され,こ れを16ビット のマイ ク口コ ンピュ 一夕1台で 制御 する。この装置は苗枠上面を順次移動しながら,

ポット 苗を認 識・ 評価す るシス テムで ある 。まず ,ポッ ト苗の 認識に 必要 な位置制御の精度を確 認し, っぎに 認識 実験で は,複 数苗の 検出 システ ムを開 発し, 主成分 分析 評価法による苗評価と 栽培分 野での 評価 とがほ ぼ一致 するこ とを 確認し た。

  間 引 き ロ ボッ ト の 構 想 と して は ,sox 50mmの ポット 苗で8x10個の型 枠の上 面を 走行す る8基 並列 の苗セ ンサの 後方 に間引 き苗位 置記憶 型間引 き作 業部と 揺動式 電熱カ ッタ9基を 並列 したも のであ る。台 車の 駆動, 苗セン サおよび間引き作業部の駆動には,それぞれ独立したステップモー タを使 用する 。1日処理 能カ は140箱(11,200ポ ット )であり,作付面積3恤(必要苗数165,000) 規模の 野菜専 業農 家向け に利用 され, ある いは育 苗セン 夕一の 間引き サプ システムとして利用で きる。

  以上 のよう に,本 研究は 学術上 斬新 な知見 を取り 入れた もの であり ,野菜苗移植技術面からも

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高く評 価さ れる。

  よっ て,審 査員一 同は, 別に 行った 学力確 認試験 の結果 と合 わせて ,本論文の提出者小林由喜 也は 博士( 農学) の学 位を受 けるのに十分な資格があるものと認定した。

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参照

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