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博士(理学)中村美浩 学位論文題名

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Academic year: 2021

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(1)

     博士(理学)中村美浩 学位論文題名

One ‑ dimensional Perturbation of  the Shift

(シフトの一次元の摂動)

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  

ヒ ル ベ ル ト 空 間 上 の 等 長 作 用 素 は , 単 独 の 作 用 素 と し て み た と き 既 に そ の 構 造 が 十 分 よ く わ か っ て い る ,た と え ば ,

Wold

分 解 によ っ て ユ ニ タり の 部 分 と シフ ト の 部 分 の 直和 に わ け ら れ , シ フ ト の 部 分 は そ の 重 複 度 だ け で 分 類 で き , ス ベ ク ト ル の 状 態 は も ち ろ ん 不 変部 分 空 間 も

Beurling

Lax‑Halmos

の 定 理に よ り す べて記 述でき る.一 方,ユ ニタ りの 部 分 は , さ ら に 単 位 円 周 上 の

Lebesgue

測 度 に 関 し て 絶 対 連 続 な部 分 と 特 異 的 な部 分 の 直 和 に わ け ら れ , そ れ ら の ス ベ ク ト ル 分 解 を 考 え る こ と に よ り ほ と ん ど す べ て の こ と が 記述 できる .

  

本 論 文 で は , ヒ ル ペ ル ト 空 間 上 の 等 長 作 用 素 の

1

次 元 の 摂 動 , す な わ ち 等 長 作 用 素

と の 差 が 階 数

1

で あ る 縮 小 作 用 素 を 対 象 に , そ の 構 造 を 研 究 し て い る , ヒ ル ベ ル ト 空

間上 の縮小 作用素 の体 系的な 研究は ,Sz.‑Nagy −Foias やde Branges によっ て1960 年 代から行な

わ れ て お り , そ れ ぞ れ が 自 分 た ち の 研 究 を ま と め 出 版 し た 著 書は す で に 古 典と な っ て い

る , し か し , 彼 ら の 理論 に よ っ て 縮 小作 用 素 に 関 する す べ て の 事が わ か っ て いる わ け で は

な く , 現 在 も 彼 ら を 含 め た 多 く の 研 究 者 に よ っ て 縮 小 作 用 素 の構 造 の 研 究 が行 な わ れ て

い る . 本 諭 文 で は , 特 定 の 縮 小 作 用 素 を 摂 動 と い う 立 場 か ら 見る こ と に よ って , 新 し い

結 果 を 得 て い る , 特 に , 具 体 的 か っ 典 型 的 な 等 長 作 用 素 で あ る 単 位 円 板 上 の

Hardy

空間

の 上 の シ フ ト 作 用 素 に っ い て , そ の

1

次 元 の 摂 動 を さ ら に 詳 し く 考 察 し て い る .

  

この 様な対 象の 研究は ,D ,N .

Clark

によるrestrict,ed shift の1 次元摂動の研究(1972) や,さ

らにはM .S .Livsic によるquasl ―unitary の研究(1946 )1950) にまで遡れる,しかし,それらの研

究 は 本 論 文 と は 別 な 視 点 か ら の 問 題 の 設 定 が な さ れ て お り 解 析 法 も 異 な る . 本 論 文 で

Clark

の 結果 を 新 し い 角度 か ら 見 直 し てさ ら に 発 展 させ て い る , また ,

D

Sarason

は最 近

(2)

の 研 究(19861990)で シ フ ト の1次 元 の 摂 動 の 非 常 に 特 殊 な 場 合 を 別 な 形 で 扱 っ て い る が , 本 論文 ではそ れを 包括す る結 果を得 てい る,

  ま ず , ヒ ル ベ ル ト 空 間W上 の 等 長 作 用 素 レ に 対 し , そ れ と の 差 が 階 数1で あ る 縮 小 作 用 素Rは 必 然 的 に レ 十(a1)g0レ .9の 形 に な る こ と が わ か る . た だ し ,gHの 単 位 ベ ク ト ル でaIま 絶 対 値1以 下 の 複 素 数 で あ る , こ れ ら の 作 用 素 の う ち , 再 び 等 長 作 用 素 で あ る も の はlal1に 対 応 し , 等 長 作 用 素 で な い も の はlal1に 対 応 す る , レ とgを 固 定 し た と き ,1次 元 摂 動 の 族 { レ 十 ( ―l)goレ .glal≦1) の ュ ニ タ リ 不 変 量と し て , 単 位 開 円板 上 の 解析 関数 を導 入する :cv(z)=(; レ.(I‑zV.)‑lg,g)/((J‑ zV゛)−lg 9),1次元の摂動をuとa を バ ラ メ ー タ ー と し て 記 述 し 具 体 的 な 計 算 を 行 な う こ と が , こ の 研 究 の キ ー ポ イ ン 卜 で ある ,

  考 察 の 対 象 は , 摂 動 が 等 長 作 用 素 の 場 合 と 等 長 作 用 素 で な い 場 合 に 分 け ら れ , そ れ ぞ れ 更 に , も と の 等 長 作 用 素 が 一 般 の 場 合 と シ フ ト の 場 合 と に 分 け て 議 論 さ れ る .   等 長 作 用 素 の1次 元 の 摂 動 が 再 び 等 長 作 用 素 で あ る と き , そ れ が ユ ニ タ リ 部 分 を 持 っ か ど う か を 判 定 す る 条 件 を 凵 を 使 っ て 与 え る こ と が で き る , こ れ は ,cyclicな 等 長 作 用 素 の 関 数 空 間 上 の 積 作 用 素 へ の 表 現 を 用 い て ,Fatouの 定 理 な ど に よ り 証 明 で き る . さ ら に , も と の 等 長 作 用 素 が ュ ニ タ リ 部 分 を 持 た な い な ら ば ,1次 元 の 摂 動 の ユ ニ タ リ 部 分 は 特 異 的 で あ り 重 複 度 が1で あ る こ と が わ か る , ま た , こ れ の あ る 意 味 で の 逆 問 題 と し て , 任 意 に 重 複 度1の 特 異 的 ユ ニ タ リ 作 用 素 が 与 え ら れ た と き , こ れ を シ フ ト の あ る1次 元 の 摂 動 の ュ ニ タ リ 部 分 と し て 実 現 で き る こ と も 示 せ る . こ の 結 果 の 系 と し て , ど ん な 特 異 的 ユ ニ タ リ 作 用 素 も シ フ ト の ト レ ー ス 族 の 摂 動 に よ っ て 得 ら れ る と い うCareyーPincusの 定理に ,構 成的な 証 明を与 える ことが でき る.

  1次 元 の 摂 動 が 等 長 作 用 素 で な い 場 合 に は , ま ず ユ ニ タ リ 部 分 の 有 無 は も と の 等 長 作 用 素 の ユ ニ タ リ 部 分 と 摂 動 項 の 単 位 ベ ク ト ルgと の 関 係 に よ っ て 決 ま り , も と の 等 長 作 用 素 が ュ ニ タ リ 部 分 を 持 た な い な ら ば ,1次 元 の 摂 動Rは 常 にSz.‑NagyFoiasの 意 味 で Coク ラ ス に 入 る . す な わ ち ,nooの と き ロ は0に 強 収 束 す る , こ れ は ,Rの 最 小 等 長 伸 張 が あ る 等 長 作 用 素 の1次 元 の 摂 動 に な る こ と か ら | 上 の 結 果 を 適 用 し て そ れ が ユ ニ タ リ 部 分 を 持 た な い こ と を 示 す こ と に ` よ り 証 明 さ れ る , さ ら に こ の 場 合 に は ,RCOク ラ ス で あ る こ と を 使 っ て , そ の 作 用 素 値 特 性 関 数 を 求 め る こ と が で き る . こ れ は , gauに よ っ て は っ き り と 書 き 表 す こ と が で き る , 作 用 素 値 特 性 関 数 は 縮 小 作 用 素 の

25‑

(3)

完全ユニタリ不 変量であるから,このことから系として,不足指数が1 ,m 十1 (1 ≦m ≦oo ) で あ る す べ て の

Co

ク ラ ス 作 用 素が 重複 度m のシ フト の1 次元 の摂 動と な るこ とを 証明 できる.

  

次に ,も との等長作用素 として特に重複度

1

のシフト ,すナょわち

Hardy

空間H2 上 のシ フト作用素S につ いて,その

1

次元の摂動をよ ・り詳しく調べる.このと き,凵と

g

の関係 は,単位円周上の関数として明示的に表わされる.

  

シフ トの

1

次元の摂動丑

‑S

十(a ―l)gS*g (g はH2 の 単位ベクトル)にっいて,ま ずこ れ が 等 長 作 用 素 で な い 場 合 に は, この 最小 等長 伸 張は 重複 度2 のシ フト

SOS

とユ ニタ リ 同値 にな り, この ユ ニタ リ同 値を 与え る

H20 H2

上 のユ ニ タリ 作用 素が

9

a

u

を用 いて書き表せる,実際それは,非有界なToeplitz 作用素の積と有界なToeplitz 作用素を要素 と する ブロ ック行列の形で 得られる,これからさらに ,R の2 通りのde Branges モデ ルを 求 める こと がで きる , また ,g とu ー

c

が共通の内部関 数を因子として持たないとい う仮 定 のも とで ,R の不 変部 分空 間 の束 を決定でき,それ がシフトの不変部分空間の束 と同 型であることがわかる.これは,Sz.‑ Nagy ーFoias の一般論よりもかなり見やすい形である,

R

の 可換 子環 に っい ても ,同 じ 仮定 のも とで その 形 を決 定で きる,すなわち,

R

の 可換 子環はR のロoo  ‑functional calculus の全体である.内部関数の共通因子にっいての仮定が本 質的で不可欠であることは直ちに分かる.

  

上のR が等長作用素の場合,すなわちlal =1 のときには,H2 族関数9a :(1‑ co)g/(l ‑ acv) が 単位 ベク トル であ る かな いか に応 じて,R はシフト とュニタリ同値であったり特 異的 ユ ニタ リ部 分を持ったりす る.何れの場合も,R のシフ ト部分と

S

との間のュニタリ 同値 を与えるユニタ リ作用素は,前と同じように 非有界Toeplitz 作用素の積によって具体的に 書 き表 せる ,こ の表 示 によ って ,R のユ ニタ リ部 分 が作 用す る部分空間M の形も求 めら れ,Sarason によ って研究されたいわゆる近 不変部分空間の形をしている ことがわかる:

M

: Th(H2e cpH2) .このM を表わすH2 族関数 轟と内部関数ザも,g とa によ ってはっきりと 決 まる ,さ らに ,R のユ ニタ リ 部分 のスベクトル分解 も,ある関数空間上の積作用 素と し ての 表現 によ って 与 える こと がで きる . これ は,

Clark

の 結果 を含 む もの であ る,

26

(4)

主 副 副 副

学位論文審査の要旨 査    教 授    安 藤

          

One‑dunensional Perturbation of the Shift

( シ フ 卜 の 一 次 元 の 摂 動 )

  申 請 者 は ヒ ル ベ ル ト 空 間 上 の 等 長 作 用 素 に1次 元 だ け の 摂 動 を 加 え て 得 ら れ る 線 形 作 用 素 が 縮 小 作 用 素 の 性 質 を 保 っ と き に 、 そ の 構 造 を 詳 細 に 解 明 し た 。 特 に 、 典 型 的 な 重 複 度1の 等 長 作 用 素 で あ る 単 位 円 板 上 のHardy空 間H2上 の シ フ ト 作 用 素 の1次 元 摂 動 をさ らに詳 しく 考察し てい る。

  申 請 者 は ま ず 、 等 長 作 用 素 レ の1次 元 の 縮 小 的 な 摂 動Rは 、 単 位 ベ ク ト ルgと 絶 対 値 が1以 下 の 複 素 数aを パ ラ メ ― 夕 と し てR‑レ 十 (Ql)g0レ ゛gの 形 で 決 ま る こ と か ら 出 発 す る 。 こ こ で[al1の と き が 丁 度Rが ま た 等 長 作 用 素 に な る こ と に 対 応 す る 。 さ ら に 、 単 位 ペ ク ト ルgを 共 有 す る 縮 小 的 な1次 元 摂 動 の 族 の ユ ニ タ リ 不 変 量 と し て 、 単 位 開 円 板 上 の解 析関数u(z) 三くzレ゛(JーzV゛ )―ig)g冫 /く(j‑zV゛ )−1gIg冫を導入し、摂動Rを記述するパ ラ メ ー タ と し てuz) とaを 使 っ て 詳 し い 解 析 を 行 う の が 、 申 請 者 の 卓 越 し た 着 眼 で あ る 。     1次 元 摂 動Rが ま た 等 長 作 用 素 に な る と き 、 す な わ ちlaI1の と き 、 申 請 者 はRが ユ ニ タ り の 部 分 を も っ か ど う か を 、 関 数u( ; ) の 境 界 値 の 状 況 で 判 定 す る 方 法 を 確 立 し た 。

も との等 長作用 素レがユニ で 重 複 度は 常 に

1

であ るこ

タリ部 分を持た ないと きに とを突き止めている。また、

は 、

R

の ユ ニタリ 部分は 特異的 こ の逆問 題として申請者は、ど んな 重 複 度

1

の 特異 的 な ユ ニタ リ 作 用 素も 、 シ フ トの あ る

1

次元 摂動の ユニタ リ部分 とし て 実 現す ること も証明 している 。この 結果の 系とし て、ど んな特 異的ユ ニタリ 作 用素もシフトのトレ―ス族の摂動によって実現できるというCarey ーPincus の定理に構成的 な証明を与えることができる。

毅 孝 彦 利

晶 貴

本 路

岸 中

授 授

   

   

教 教

査 査

(5)

  次 に1次 元 摂 動Rが 等 長 で は な い 縮 小 作 用 素 の と き 、 す な わ ちlalく1を 考 察 す る 。R が ユ ニ タ リ 部 分 を 持 っ か ど う か は 、 レ の ュ ニ タ リ 部 分 の 有 無 と9と の 関 係 に よ っ て 決 ま る 。 申 請 者 は 、 レ が ュ ニ タ リ 部 分 が 持 た な い と き は 、Rは ユ ニ タ リ 部 分 を 持 た な ぃ ば か り か 、n→ ooの と きR゛ は0に 強 収 束 す る こ と 、 別 の 用 語 を 使 え ばRがC.oク ラ ス の 縮 小 作 用 素 で あ る こ と を 見 い だ し た 。 一 般 に ユ ニ タ リ 部 分 を 持 た な い 縮 小 作 用 素 に 対 し て は 、 そ の 完 全 な ュ ニ タ リ 不 変 量 で あ る 特 性 関 数 と 呼 ば れ る 開 円 板 上 の 作 用 素 値 関 数 が 定 義さ れる が 、申 請者 は いま 対象 と なっ てい るRの 特 性関 数は9,0,u(;) を使って具体的に 表 示で きる こ とを 示し て いる 。ま た 、逆 問題  ̄ とし て、 不 足指 数が1,m十1(1≦m≦oo)のど ん なC.。 ク ラ ス の 縮 小 作 用 素 も 、 重 複 度 がmの シ フ ト の1次 元 摂 動 と し て 実 現 で き る こ とを確立 した。

  次 に 申 請 者 は 、 も と の 等 長 作 用 索 が 重 複 度1の シ フ ト 、 す な わ ちHardy空 間H2上 の シ フ ト 作 用 素Sの 場 合 の 縮 小 的 な1次 元 摂 動R‑S十(aー1)g S゛gを 特 に 詳 し く 考 察 し て い る。この 場合は、gもH2の関数である 。

  ま ず 申 請 者 は 、Rが 等 長 作 用 素 で な い 場 合 、 す な わ ちlalく1の と き は 、 そ の 最 小 等 長伸 張 はSOSと ユ ニ タ リ 同 値 で あ る こ と を 示 し た 、 さ ら に 、 そ の 同 値 性 を 実 現 す るH20H2 上 のユ ニタ リ 作用 素がg aを使った非有 界な′roeplitz作 用素の積、有界な′roeplitz作用素を 要 素に 持っ ブ ロッ ク( 作用素)行列で害 き表せることを見 いだした。9(;)とU(;)‑nが互い に 素 と い う 条 件 の 下 に 、Rの 不 変 部 分 空 間 の な す 束 が 、 シ フ トSの 不 変 部 分 空 間 の な す 束 に 同 型 で あ り 、 ま たRと 可 換 な 作 用 素 はHooの 関 数u(z)を 使 っ てu(R)と 表 示 で き る こ と を示した 。

    Rが等長作用素 である場合、すなわちlal=1ときは、申請者は関数9a(め三(1‑u(;))9(z) /(1 ‑轟u )(z)) のH2― ノル ムが1であ る かど うか に 応じ て、Rはシフトとユ ニタリ同値であっ た り 特 異 的 な ユ ニ タ リ 部 分 を 持 っ た り す る こ と を 確 立 し 、Rの シ フ ト 部 分 とSと の 同 値 性 を 与 え る ユ ニ タ リ 作 用 素 を 具 体 的 に 構 成 し て い る 。Rの ユ ニ タ リ 部 分 の ス ペ ク ト ル 分解も、 具体的なある関数 空間上の積作用素と して実現している 。

  作 用 素 の1次 元 摂 動 に 関 し て は 、ClarkやLivsic等 の 研 究 が あ る が 、 申 請 者 は 異 な る 視 点 か ら の 考 察 に よ り 更 に 深 い 結 果 に 到 達 し 、 彼 等 の 結 果 を 発 展 さ せ る ば か り で な く 、 最 近 の S arasonの 結 果 を も 特 殊 な 場 合 と し て 含 む 一 般 的 な 結 果 を え て い る 。   以 上 申 請 者 の 研 究 は 、 こ の 分 野 の 研 究 を ほ ば 完 成 の 域 に ま で 押 し 進 め た も の で あ り 、 博士(理 学)の学位を得る にふさわしいもので ある。

参照

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