• 検索結果がありません。

博士(歯学)堀向弘眞 学位論文題名

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "博士(歯学)堀向弘眞 学位論文題名"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

     博士(歯学)堀向弘眞 学位論文題名

肝 細 胞 増 殖 因子 (HGF) 刺激に おけ る 口腔扁平上皮がんの浸潤性におよぼす

¢ながん遺伝子群転写因子EIAF の役割 学位論文内容の要旨

c‑metは骨肉腫細胞から分離されたがん遺伝子で、その遺伝子産物c―METは50kDの a鎖 と145kDのp鎖 か ら な る190kDの 膜 貫 通 型 の チ ロ シ ン キ ナ ー ゼ 型 受 容 体であ る。そのりガンドとなる肝細胞増殖因子(Hepatocyte growth factor: HGF)が結合す るこ とに よっ てc‑METの細 胞内ド メイ ンの りン 酸化 が生 じ、 これにより種々の正 常 細 胞 で の 生物 学的反 応が 誘導 され るこ とや 、HGF刺激 によ りc‑METをも っがん 細胞の浸潤・転移が増強することが報告されている。

  浸 潤・ 転移 は悪 性腫 瘍の 特徴 的な性質で、癌細胞が周囲の正常組織に浸潤して い く た め に は、 細胞接 着の 低下 、運 動性 の亢 進に よる 原発 巣か らの 離脱 ととも に、 細胞 外基 質分 解酵 素に よる 腫瘍をとりまく周囲組織や基底膜の破壊が重要で ある 。細 胞外 基質 分解 酵素 には マトリックスメタロプロテアーゼ、やウロキナー ゼタイププラスミノーゲンアクチベーター,カテプシンなどが知られており、これ らは 浸潤 性の 癌で 強発 現し てい ることが報告されている。このうちマトリックス メ 夕 口 プ 口 テア ーゼ(MMP)は、 現在 まで に16種類 の分 子種 が報 告さ れ、 一次構 造と 基質 特異 性の 違い から5群に 分類さてしヽれる遺伝子ファミリーで、MMPの産 生レ ベル とが ん細 胞の 浸潤 能が 深く関連していることや、非転移性の細胞にMMP‑

9の 遺伝子導入を行うことによって転移能を獲得すること、MMP‑3のantisense発現 ベク ターの導入によりin vitroでの浸潤活性の減少が生じることなどから、MMPと がん 細胞 の浸 潤転 移と の関 連が 示唆 され てい る。MMP遺 伝子 のプロモーター領域 には 数個 のets結 合モ チー フが存 在し 、etsが ん遺 伝子 群転写 因子がMMP遺伝子の 発現に重要な役割を演じていることが推測される。

  etsが ん遺 伝子 フん ミリ ーはト リ赤芽球症レトロウイルスE26から最初に発見さ れたv‑etsに対するプロトがん遺伝子で、現在、ヒトを含む種々の生物種から30種 以上 の遺伝子が分離されている。etsファミリーに属する遺伝子産物は約85個のア ミノ 酸よ りな るETSド メイ ンをも ち、ETSドメインはフんミリー間で高いホモロジ ー を 有 し て い る 。 こ のETSド メ イ ン を 介 して 遺伝 子産 物が 転写 調節 領域 に結合 し、 多く の場 合、 遺伝 子の 転写 を活性化する転写因子として働き、細胞の腫瘍化 との関連も報告されている。

  EIAFは アデ ノウ イル スの がん 遺伝 子で あるEIA遺 伝子 のプ 口モーター領域に結 合 す る ヒ ト 細胞 の転写 因子 とし て分 離同 定さ れた 。そ のcDNAの 塩基 配列 を基に した アミ ノ酸 配列 の解 析に より 、EIAFは カル ボキ シル 末端側 にETSドメインをも つピ おファミリーの転写因子であることが明らかになった。HigashinoらはEIAFbs 複数 のMMP遺 伝子 の転 写を 亢進す るこ とを 示し 、Kayaら は非 浸潤性の乳癌細胞株 にEIAFの 発 現 プ ラ ス ミ ド を 導入 す る こ と でMMP‑9の産 生が 増加 し浸 潤形 質を獲 得す るこ とを 明ら かに した 。ま た、Hidaらは、EIAFを発現し浸潤性に増殖する口 腔扁 平上 皮が ん細 胞株HSC3細胞 に、antisense EIAF発現ベクターを導入すること

549 ‑

(2)

によって浸潤活性の減少がみられたと述べている。さらに半沢は、c‑METを強く 発 現し て いるHSC3をHGFで刺 激 する とEIAFとMMPsに相関した 発現の亢進 がみ られる ことを報告 し、HGF/c‑METシグ ナル伝達系 におけるEIAFの関与を示唆し ているが、HGF/c‑metがもたらすがん細胞の浸潤転移の増強に関わる因子の詳細は 今だに不明瞭な点が多い。

今回の検索はHGF/c‑Metシグナル伝達系におけるEIAFの役割の詳細を知ることを目 的に行った。く:a9.22は口腔扁平上皮がん由来の細胞株で、EIAFとMMPの発現が低 く、ヌードマウスに移植した際も、膨張性に増殖する細胞であることが明らかにさ れている。また、c‑METの発現も低いことを抗c−MET抗体を用いたWestern blotting 法 で確認 している。HSC3も口腔扁平 上皮がん由 来の細胞株 であるが、EIAF、 MMP、c‑METを強発 現している細胞株で、浸潤性増殖を示すことが報告されてお り 、 こ れ ら の 遺 伝 子 / 遺 伝 子 産 物 を 対 照 と し て 用 い た 。   、 まずc‑met発現プラスミドpRS2をLipofectoamine(GibcoBRL)を用い、Ca9.22に遺伝 子導入した。導入48時間後からネオマイシン(G418)によるセレクションを行い、

約3週間後にG418耐 性コロニーをク口ーニングし、これらをc‑met発現く'a9.22 (met9.22)とした。

met9.22は、HGF刺激によりMMP‑1、MMPー9を強く産生することがそれそれの抗体 を用いたWestern blotting法、免疫染色法で示され、また細胞生物学的にも浸潤活性 をもつことがInavasion assay法で明らかになった。この際、相関したEIAF mRNAの 転写亢進がNorthern blotting法で認められ、このような所見からHGF/c‑METによる 細胞の浸潤活性の増強の際には、EIAFの転写亢進によるMMP産生の増大が関与し ていることが強く示唆された。

  さらに、EIAFの働きを直接的に検索する目的でmet9.22にantisense EIAF発現ベク ターpZeoSV2ASEIAFをmet9.22に遺伝子導入し、ゼオシンを用いた遺伝子導入細胞 のクローニングを行い、c‑metとantisense EIAFを共発現するCa9.22細胞(met9.22 AS)を得た。

EIAFのantisense発現ベクターpZeoSV2ASEIAFは、EIAFに特異的なグルタミンリッ チドヌインを中心としたn.n.400‑761の362bpのEIAF cDNA断片をゼオシン耐性遺伝 子を持つ発現ベクターpZeoSV2(Invitrogen)に逆向きの配列方向に組み込むことに より作製した。antisense EIAF発現ベクターを導入し、EIAF夕ンバクの産生を阻害 したmet9.22AS細胞では、HGFの刺激 によってもMMPの産生亢進、浸潤活性の増 強、相関したEIAF mRNAの転写亢進は認められず、母細胞のく'a9.22と同様の性状 を示していた。この結果は、EIAFはHGFc‐METのシグナル伝達系の下流に位置し ているが、antisenscElAF発現ベクターの導入によりE1AFのタンバクへの翻訳が阻 害され、本来起こるべきE1AFによるMMPの転写の亢進が低下させられたことによ るものであると考えられる。

  このような実験結果は転写因子E1AFがHGF./c‐METシグナル伝達系の下流に位置 し、HGFによるが ん細胞の浸 潤に深く関 与している ことを強く示唆している。

(3)

学位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 教授 助教授

戸 塚 靖 則 向 後 隆 男 渡 邊 継 男 進 藤 正 信

学 位 論 文 題 名

肝 細 胞 増 殖 因 子 (HGF) 刺 激 に お け る 口腔扁平上皮がんの浸潤性におよぼす

¢ な がん 遺伝 子群 転写 因 子 EIAF の役 割

  審 査 は 、 戸 塚 、 向 後 、 進 藤 各 審 査 員 出 席 の 下 で 、 申 請 者 に 対 し て 提 出 論 文 と そ れ に 関 連 し た 学 科 目 に つ い て 口 頭 試 問 に よ り 行 わ れ た 。 渡 邊 審 査 員 は 、 個 別 に 審 査 を 行 っ た 。 審 査 論 文 の 概 要 は 、 以 下 の 通 り で あ る 。

  悪 性 腫 瘍 が 浸 潤 ・ 転 移 を 生 じ る た め に は 、 細 胞 接 着 の 低 下 や 運 動 性 の 亢 進 に よ る 原 発 巣 か ら の 離 脱 と と も に 、 マ ト リ ッ ク ス メ 夕 口 プ ロ テ ア ー ゼ (MMP)等 の 細 胞 外 基 質 分 解 酵 素 に よ る 周 囲 組 織 や 基 底 膜 の 破 壊 が 不 可 欠 で あ る 。c‑METは 膜 貫 通 型 の チ ロ シ ン キ ナ ー ゼ 型 受 容 体 で 、 肝 細 胞 増 殖 因 子(HGF)の 結 合 に よ り 、c METの 細 胞 内 ド メ イ ン に り ン 酸 化 を 生 じ 、 こ れ に よ り 正 常 細 胞 に お け る 様 々 な 生 物 学 的 反 応 が 誘 導 さ れ 、 ま た が ん 細 胞 に お い て は 浸 潤 ・ 転 移 能 が 増 強 す る と 考 え ら れ て い る 。 最 近 、c‑METを 強 く 発 現 し て い る が ん 細 胞 をHGFで 刺 激 す る と 、 MMPs産 生 の 亢 進 と と も に 、 そ れ に 相 関 し てetsが ん 遺 伝 子 群 の 転 写 因 子 の1つ で あ るEIAF発 現 の 亢 進 が み ら れ る こ と が 報 告 さ れ 、HGFc_METシ グ ナ ル 伝 達 系 に お け るE1AFの 関 与 が 示 唆 さ れ て い る が 、 そ の 詳 細 に つ い て は 未 だ 不 明 な 点 が 多 い 。

  本 研 究 は 、 が ん 細 胞 のHGFcMETシ グ ナ ル 伝 達 系 に お け るE1AFの 役 割 を 明 ら か に す る こ と を 目 的 に 行 わ れ た 。

【 実 験 細 胞 及 ぴ 実 験 方 法 】

  ヒ ト 口 腔 扁 平 上 皮 が ん 由 来 細 胞 株Ca9.22を 用 い 、c‑met及 びanti‑sense EIAF 現 ベ ク タ ー の 遺 伝 子 導 入 を 行 っ た 。 ま た 、c‑MET高 発 現 細 胞 株 で あ る ヒ ト 口 腔 扁 平 上 皮 が ん 由 来 細 胞 株HSC3を 陽 性 対 照 と し て 用 い た 。

  c‑met発 現 プ ラ ス ミ ドpRS2Lipofectoamineを 用 い て 、Ca9.22に 遺 伝 子 導 入 し た 。 導 入48時 間 後 か ら ネ オ マ イ シ ン に よ る セ レ ク シ ョ ン を 行 い 、 約3週 間 後 にG4 18耐 性 コ ロ ニ ー を ク ロ ー ニ ン グ し 、c‑met発 現Ca9.22細 胞 (met9.22) を 得 た 。 次 に 、EIAFに 特 異 的 な グ ル タ ミ ン リ ッ チ ド メ イ ン を 中 心 と し た362bpEIAF cDNA断 片 を ゼ オ シ ン 耐 性 遺 伝 子 を 持 つ 発 現 ベ ク タ ーpZeoSV2に 逆 向 き の 配 列 方 向 に 組 み 込 み 、EIAFantisense発 現 ベ ク タ ーpZeoSV2ASEIAFを 作 製 し た 。 こ の

(4)

ベ クタ ーをmet9.22に 遺伝子導入し、ゼオシンを用いた遺伝子導入細胞のク口ーニ ン グを 行い 、c‑metとantisense EIAFを 共発 現す るCa9.22細胞(met9.22AS)を得 た。  Ca9.22,met9.22,met9.22ASとHSC3を10%FBS添 加DMEMで 培 養 し 、 通 法 に従 って処理した後、c‑METの発現をWestern blot法で検索した。次に、Ca9.22、met9.2 2,met9.22AS,HSC3をHGFで6時 間 処 理 し 、HGF未 処 理 な ら び にHGF処 理Ca9.2 2,met9.22,met9.22AS,HSC3各々について、EIAF mRNA,EIAF antisense RNAの発 現をNorthern blotting法で、MMP‑1,MMP‑9の発現をWestern blotting法ならぴに免 疫 染色 法、 また 細胞 生物 学的 浸潤 活性 をin vitro invasion assayで検 索した 。

【 実験 結果 】

  母 細 胞 のCa9.22で はc‑MET発 現 は 軽 度 で あ っ た が 、met9.22.met9.22AS及 ぴ HSC3で は明 らか な発 現が 認め られ た。

  HGF未 処 理 のCa9.22で はEIAF mRNAの 発 現 は 軽 度 で あっ た が 、met9.22.HSC3 で はEIAF mRNAが 、 ま たmet9.22ASで は2っ の 異 な っ た ク ロ ー ン の い ず れ に お い て も 、EIAF mRNAとEIAF antisense RNAが 認 め ら れ た 。HGF処 理 に より 、HSC3 とmet9.22で はEIAF mRNAの 著 し い 発 現 増 強 が み ら れ たが 、met9.22ASで は 増 強 は 認め られ なか った 。

  Ca9.22で はMMP‑1,MMP‑9の 発 現 は ほ と ん ど 認 め ら れず 、HGF刺 激 に よ る 発 現 亢 進 も み ら れ な か っ た 。met‑9.22とHSC3で は 、HGF非 刺 激 時 に もMMP‑1,MMP‑

9の 発 現 が み ら れ 、HGF刺 激 に よ りMMP‑1,MMP‑9夕 ン パ ク の 発 現 は 著し く 亢 進 し た 。 こ れ に 対 し て 、met9.22ASで はHGF非 刺 激時 にも 軽度 の発 現が みら れた も の の 、HGF刺 激 に よる 発現 亢進 は認め られ なか った 。免 疫染 色の 結果 も同 様で 、 HSC3,met9.22では 細胞質 にMMP‑1、MMP‑9陽 性所 見が 得ら れた が、Ca9.22っmet9.

22ASで はHGF非 刺 激 時 、 刺 激 時 と も 明 ら か な 陽 性 所 見 は 認 め ら れ なか っ た 。   invasion assayに おい て浸 潤細 胞数 は、met9.22とHSC3ではHGF刺 激により、そ れ そ れ 約4倍 の 浸 潤活 性の 増強 がみら れた が、Ca9.22、met9.22ASではHGFによ る 活 性の 増強 はほ とん ど認 めら れな かっ た。

  こ の よ う に 、met9.22はHGF刺 激 に よ りMMP‑1っMMP‑9を 強 く 産 生 し、 ま た 細 胞 生 物 学 的 に も 浸 潤活 性が 増強 した 。こ の際 、相 関し たEIAF mRNAの 転写 亢進 が 認 め ら れ 、HGF/c‑METシ グナ ル 伝 達 系 に よ る が ん 細 胞 の 浸 潤 活 性 の 増 強 の 際 に は 、EIAFの 転 写 亢 進 に よ るMMP産 生 の 増 大 が 関 与 し て い る こ と が 示 さ れ た 。 一 方 、met9.22ASで は 、HGF刺 激 を 加 え た 際 に も にMMPの 産 生 や 浸 潤 活 性 の 増 強 、 な ら び にEIAF mRNAの 転写 亢進 が認め られ ず、 これ はantisense EIAF発現 ベク タ ー の 導 入 に よ りEIAFの タ ン パ ク へ の 翻 訳 が 阻 害さ れ、 本来 起こ るべ きEIAFに よ る MMPの 転 写 亢 進 が 抑 制 さ れ た こ と に よ る も の と 考 え ら れ た 。   こ の よ う な 実 験 結 果 は 、 転 写 因 子EIAFがHGF/c‑METシ グ ナ ル 伝 達 系 の 下 流 に 位 置 し 、HGFに よ る が ん 細胞 の 浸 潤 に 深 く 関 与 し て い る こ と を 強 く 示 唆 し て い る 。

  論 文の 審査にあたって、論文申請者による研究の要旨の説明後、本研究ならぴに 関連 する 研究について質問が行われた。いずれの質問についても、論文申請者から 明快 な回 答が得られ、また将来の研究の方向性についても具体的に示された。本研 究 は 、HGF/c‑METに よる がん 細胞の 浸潤 形質 の発 現に は、 シグ ナル 伝達 系の 下流 に 位 置 す る転 写 因 子EIAFに よ るMMPの 転写 亢 進 が 深 く 関 与 し て い る こ と を 明 ら かに した ことが高く評価された。本研究の業績は、口腔外科の分野はもとより、関 連領域にも寄与するところ大であり、博士(歯学)の学位授与に値するものと認めら れた。

参照

関連したドキュメント

Cioffi, “Pilot tone selection for channel estimation in a mobile OFDM systems,” IEEE Trans.. Sunaga, “Rayleigh fading compensation for QAM in land mobile ra- dio communications,”

ている。本論文では、彼らの実践内容と方法を検討することで、これまでの生活指導を重視し

1)研究の背景、研究目的

雑誌名 博士論文要旨Abstractおよび要約Outline 学位授与番号 13301甲第4306号.

氏名 学位の種類 学位記番号 学位授与の日付 学位授与の要件 学位授与の題目

beam(1.5MV,25kA,30ns)wasinjectedintoanunmagnetizedplasma、Thedrift

リポ多糖(LPS)投与により炎症を惹起させると、Slco2a1 -/- マウス肺、大腸、胃では、アラキ ドン酸(AA)およびエイコサペンタエン酸(EPA)で補正した PGE 2

学位の種類 学位記番号 学位授与の日付 学位授与の要件 学位授与の題目