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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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博 士 ( 理 学 ) 山 内 雄 介

     学位論文題名

Global Existence and NonexlStenCeofS01utionSfor     aReaCtion ―Di 丑・..uSionSVStem

   (反応拡散方程式系における時間大域解の存在・非存在について)

学位論文内容の要旨

  時 間 変 数 を 含 む 微 分 方 程 式 に お い て は 、 解 が 時 間 無 限 大 ま で 大 域 的 に 存 在 す る 場 合 と 、 有 限 時 間 で 解 や 解 の 微 分 が 発 散 し て し ま い 時 間 大 域 的 に は 解 が 存 在 し な い 場 合 と が あ る 。 一 般 に 、 後 者 の 現 象 を 「 解 の 爆 発 」 と 呼 ぶ 。 本 研 究 で は 、 あ る 反 応 拡 散 方 程 式 の 連 立 系 に お け る解 が、時 間大域 的に存 在す る解か 爆発す る解か につ いて考 察する 。

  半 線 型 の 反 応 拡 散 方 程 式 眦 ― △u= ザ ゆ 冫1) に つ い て は 、1966年 にH.Fuitaに よ り 時 間 大 域 解 の 存 在 ・ 非 存 在 の た め の 冪pの 条 件 が 示 さ れ て い る 。Nを 空 間 次 元 と す る 。 こ の と き 、 も しp冫1十2/Nで あ れ ば 、 十 分 小 さ ぃ 初 期 値 に 対 し て は 時 間 大 域 解 が 存 在 し 、 十 分 大 き い 初 期 値 に 対 し て は 時 間 大 域 解 は 存 在 し な い 。 ま た 、 も しpく1十2/Nで あ れ ば 、 任 意 の 初 期 値 に 対 し 時 間 大 域 解 は 存 在 し 得 な ぃ 。 な お 、 臨 界 冪 の と き 、 っ ま りp 1十2/N の場 合は、Hめmbl.Wa(1973) やKobめ′a旧hi―Sira(卜Tanaka(1977)やWもissler(1981)らにより、

時 間 大 域 解 は 存 在 し 得 な ぃ こ と が 示 さ れ て い る 。 こ れ ら の 結 果 を 始 め と し て 、 反 応 拡 散 方 程式 の爆発 解の解 析は近 年活 発に進 められ てきた 。

  単 一 種 か ら な る 固 体 の 化 学 物 質 の 燃 焼 現 象 は 、 温 度 と 質 量 の 分 布 を 未 知 関 数 と し た2本 の 反 応 拡 散 方 程 式 の 連 立 形 で 記 述 さ れ る 。 こ の 連 立 形 に お け る 非 線 型 項 は 未 知 関 数 の 冪 乗 や 指 数 関 数 か ら な っ て お り 、 本 研 究 で 扱 う 方 程 式 系 は そ の 非 線 型 項 の 振 る 舞 い を 解 析 す る た め の1つ の モ デ ル と し て 位 置 付 け ら れ る 。 ま た 、 こ の よ う に 未 知 関 数 が 温 度 分 布 を 表 す 場 合 、 解 の 爆 発 は 発 火 現 象 、 爆 発 時 刻 は 発 火 時 刻 、 爆 発 集 合 は 発 火 点 に 相 当 す る 。   本研 究では 次の 反応拡 散方程 式の初 期値問 題に ついて 考察を する。

こ の 方 程 式 系 に韜 い て 、 正 値解 が 時 間 大 域 的に 存 在 ・ 非 存在 す る た め の6つ の 冪 り ,珊 , り ( ゴ = 1,2) の 条 件 を 示 し 、 そ の 臨 界 点 を 明 ら か に し た 。 ま た 、6つ の 冪 が 丁 度 臨 界 点 に あ る 時 に は 、 時 間 大 域 解 が 存 在 し な い 事 も 明 ら か に し た 。

  ま ず 初 め に 、 時 間 局 所 解 の 構 成 す る が 、 そ の 際 に は 逐 次 近 似 法 を 用 い る 。 本 研 究 で 扱 う 反 応 拡 散 方 程 式 系 は 、 非 線 型 項 が 「 空 間 変 数 の 冪 乗 」 と 「2つ の 未 知 関 数 の 冪 乗 」 の 積 を な し て い る 。 こ の た め 、 解 の 属 す る 関 数 空 間 は 、 一 様 有 界 な 関 数 の 空 間 や 空 間 遠 方 で 多 項 式 程

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P   

  

            

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度 の 減 衰 を 持 つ 関 数 の 空 間 だ け で は な く 、 空 間遠 方で 多 項式 程度 の増 大 度を 持つ 関数 の空 間 も 扱 う 必 要 が あ る 。 そ の 関 数 空 間 に 合 っ た 形の 解の 不 等式 評価 を新 た に考 案す るこ とで 時間大域解の存在証明を行った。

  続 い て 、 時 間 大 域 解 を 構 成 す る 。 方 程 式 系 に比 較原 理 が適 用で きる た め、 時間 大域 的な 優 解 を 構 成 す る 事 に よ り 、 先 程 得 た 時 間 局 所 解か ら時 間 大域 解の 存在 を 証明 する 。空 間変 数 の 冪が 付い てい な ぃ非 線型 項め りめ ( ゴ=1j2)に 関し ては 、Escobedo−Levine (1995)が 同 様 の 手 法 で 時 間 大 域 解 の 存 在 を 証 明 し て い る。 しか し 、本 研究 の非 線 型項 では 、上 でも 述 べ た よ う に 解 の 存 在 す る 関 数 空 間 を 変 え る 必要 があ り 、そ れに 合っ た 新た た優 解を 構成 す る こ と で 問 題 を 解 決 し た 。 ま た 、 非 線 型 項 が未 知関 数 に対 しり プシ ッ ツ性 を有 して いる と き に は 、 縮 小 写 像 の 原 理 を 用 い て 時 間 大 域 解の 存在 と その 一意 性も 示 せる 。空 間変 数の 冪は付いているが未知関数の冪が1つの非線型項|ロI lzl,qi,Ix| 2yp2 (ql P2冫1)に関しては、

MochizukiーHuang (1998)がこ の手 法 で時 間大 域解 の存 在 とそ の一 意性 を 示し てい るが 、本 研 究 で は 非 線 型 項 に未 知関 数 が2っ と も含 まれ てい るこ と によ り、 解の 空 間・ 不等 式評 価を 非線型項に合うよう変形し問題を解決した。

  一 方、 時間 大域 解 の非 存在 を示 す際 に は、 「Kaplanの方 法 」と 呼ぱ れる 手 法を 応用 する。

こ の 手 法 は 、 時 間 変 数 の み を 変 数 と し て 持 つ 補助 関数 を 用い て、 偏微 分 方程 式を 常微 分方 程 式 に 変 形 し 解 析 を 行 う 手 法 で あ る が 、max(pi,q2)く1とmax(Pi,q2)冫1の 場合 で応 用の 仕 方 が 異 な る 。max(Pi,q2)く1の 場 合 に は 、2本 の 方 程 式 の 相 互 作 用 が 解の 爆発 に影 響を 及 ば す こ と を 考 慮 し 、2本 の 偏 微 分 方 程 式 両 方 を 常 微 分 方 程 式 に 変 形 し 得ら れた 常微 分方 程 式 系 を 解 析 す る 。 一 方 、max(Pi,q2)冫1の 場 合 に は 、2本 の 方 程 式 そ れぞ れの 自己 増大 が 解 の 爆 発 に 影 響 を 及 ば す こ と か ら 、1本 の み の 偏 微 分 方 程 式 を 常 微 分 方程 式に 変形 し解 析 す る。 また 本研 究 では 、常 微分 方程 式 へ変 形す る時 に用 い る補 助関 数を 改 良す るこ とで、

新たにsublinearの場合などにも適用を可能にした。

  本 論 文 の 構 成 は 、以 下の 通 りで ある 。Partlでは 、時 間 大域 解存 在定 理 を示 す。 主結 果を Section2で 述 べ た 後 、 は じ め にSection3で 時 間局 所解 存 在定 理を 示す 。 次のSection4で方 程 式 系 の 優 解 の 構 成 し 比 較 原 理 をSection3で 得た 局所 解 に対 し用 いて 、 時間 大域 的を 構成 す る 。ま たSection5では 、非 線型 項が 未 知関 数に 対し りプ シ ッツ 性を 有し て いる とき に、縮 小 写 像 の 原 理 を 用 いて 時間 大 域解 存在 と一 意 性を 示す ふ一 方、Part2で は 時間 大域 解の 非存 在 定 理 を 示 す 。 主 結 果 をSection7で 述 べ た 後 、ま ずSection8にて 証明 に 不可 欠な 不等 式評 価 を い く っ か 準 備 する 。そ の 後、Section9で は「2本の 方 程式 の相 互作 用 によ る解 の増 大」

に よ り 解 が 非 存 在 と な る 場 合 、Sectionl0で は「1本の 方 程式 のみ によ る 解の 自己 増大 」に よ り 解 が 非 存 在 と なる 場合 の 証明 を行 う。 各Sectionで 補 助関 数を 定義 し 、偏 微分 方程 式を 常 微 分 方 程 式 に 変 形し 解析 を 行う 。Part3では 、PartlとPart2の結 果を(1) piく1,q2く1, (2) Pi冫1,q2く1,(3) Piく1,q2 >1,(4) Pi>1,q2 >1の4つ の 場 合 に分 けま とめ る。

27 ‑

(3)

学位 論文審査の要旨 主査

副査 副査

准教授 教授 教授

津田谷 神保 小澤

公利 秀一    徹

     学位論文題名

Global Existence and NonexlStenCeofSOlutionSfor     aReaCtion −Dif んSionSVStem

   (反応拡散方程式系における時間大域解の存在・非存在について)

固形燃料の燃焼現象を記述する反応拡散方程式はこれまでに様々な研究結果が得られている,その モデルを簡略化した単独方程式の中で,非線型項が菓乗夕イプである方程式については1960年代 半ばFuitaによって時間大域解の存在と非存在が示された.その結果は,非線型項の菓と空間次元と の関係によって解の挙動が変わってくるということ,っまり,時間大域解が存在する場合や存在しな い場合があるということである,さらに時間大域解存在と非存在を分ける冪についての臨界値が明ら かになった.この結果を出発点としてその後反応拡散方程式研究が大きく進展した.非線型項の菓が 臨界値に等しい場合は,Hayakawa,Kobりashi,S江a0・Tanaka,Weisslerにより時間大域解が存在し ないことがわかっている.さらに有界領域の場合や初期値境界値問題についても研究が盛んに行われ ている.

  1990年代に入ると,反応拡散モデルをやや複雑にした場合,すなわち連立方程式の場合を扱う 研究が始まった.この連立方程式の未知関数は燃焼現象における物質の質量と温度分布を表す.まず,

1991年 にEscobedo.Herreroが弱い相互作用のタイプである非線型項に対し,時間大域解の存在 と 非存在を示した,1995年にはEscobedo.kv血eが強い相互作用のタイプである非線型項に対し 時間大域解の存在と非存在を示した.この結果によって,強い相互作用では非線型項における未知関 数の自己増大度が解に影響を及ぽすことが明らかになった.1998年になると,弱い相互作用のタ イプで菓乗型空間変数係数の非線型項に対し,MochiZuki‐Huangが時間大域解の存在と非存在を示 した.これら3つのタイプを統合した非線型項の場合,っまり強い相互作用のタイプで係数が空間変     ー28―

(4)

数の羃乗である非線型項については未解決問題として残されていた.統合型の非線型反応拡散モデル を 解 析 す る 手 法 の 開 発 は 反 応 拡 散 研 究 を 進 展 さ せ る 上 で も 重 要 課 題 で あ る .     t

  著者はこの統合型の非線型項をもつ反応拡散方程式系について時間大域解の存在と非存在を示した.

また,それぞれの結果が成り立っための,非線型項の未知関数および空間変数の菓についての条件を 明らかにした.結果の証明の中で最初の工夫は時間局所解の構成に見られる.これまでに知られてい る研究結果では非線型項が定数係数であるか,または弱い相互作用のタイプであるため空間無限遠方 で多項式程度の減衰をもつ関数を扱えぱ十分であった.これに対し,統合型の場合,非線型項の特徴 から空間無限遠方で多項式程度の増大度を持つ関数を扱わなければならない.著者は適切な解空間を 導 入 し, そ れ に合 っ た 解の 評 価 式を 求 め る こと で時間局 所解の 存在を示 すことが できた .   時間大域解の存在については,証明で比較原理を用いるので時間大域的優解を構成する必要がある,

従来の方法とは異なり,上で述べた解空間に合った新しい優解を導くことによって存在証明が可能に なった.ただし.この結果では非線型項が劣線型の場合も含んでいるので時間大域解の一意性は一般 には期待できない.非線型項が優線型の場合は時間大域解の一意性が成り立っことを著者は証明して いる.この証明の中でも時間局所解の存在証明と同じように新しい解空間を定義し,それに合った解 の評価式を導き出すという工夫が見られる.これらの新しい解空間とそれに対する解の評価式は著者 自身によって見っけ出されており高く評価できる.

  時間大域解の非存在についての証明は今までに使われてきた手法を土台としている,ただし,この 手法はそのままでは適用できない.非線型項に含まれている未知関数の冪と解の性質との関係に着目 し,未知関数の菓について場合分けすることによって1つの方程式のみを,あるいは両方の方程式を 常微分方程式に変形する方法を考え出した.また,これまでに使われていた補助関数の改良という工 夫をすることによって劣線型の場合への応用も可能になった.

  このようにして示された時間大域解の存在,非存在,それぞれの場合における非線型項の未知関数,

空間変数の菓についての条件を比較してみるとこれらの条件は最良であることがわかる.しかも,今 までに知られている研究結果の条件を含んでいる.したがって,過去の研究結果が自然な形で含まれ ることになり,著者は優れた結果を示したと言える.

  これを要するに,著者は,反応拡散方程式系について解の評価式の新知見を得たものであり,非線 型偏微分方程式論の発展に貢献するところ大なるものがある,

  よ っ て 著 者 は ,北 海 道 大学 博 士 (理 学 ) の学 位 を 授与 さ れ る 資格 あ る もの と 認 める .     ―29―

参照

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