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細街路小交差点における自転車の通行挙動特性の把握 平成25年度(本報告)タカタ財団助成研究論文 ISSN 2185

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細街路小交差点における

自転車の通行挙動特性の把握

― 平成 25 年度(本報告) タカタ財団助成研究論文 ―

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研究実施メンバー

研究代表者

流通科学大学 総合政策学部

教授

三谷

哲雄

研究協力者

徳島大学大学院 ソシオテクノサイエンス研究部

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報告書概要

近年,自転車は利用促進への関心が高まっている一方で,自転車関連事故は全事故の20%を 越え,高止まりの傾向にある.その4割近くは,細街路小交差点で発生している.自転車の通 行安全性の向上は,利用促進の上で大きな課題となっている.これを受け「安全で快適な自転 車利用環境創出ガイドライン(2012.11)」が発出された.「自転車は幹線道路や細街路において 車道部左端を通行する」の原則のもと,自転車の「通行位置明示」により周知・誘導を図る指 針が示されている.しかし,自転車関連事故の半数以上を占める細街路小交差点では,一部都 市で単路区間の車道左端のカラー化やピクトサインなどの整備が実験的に実施されている程度 で,その効果検証は不十分で,安全性向上のための課題も不明確である. 本研究は,細街路小交差点における今後の自転車の通行安全性向上に向けた取り組みのため に,通行位置明示の施策が導入された小交差点や従来の小交差点を対象として,走行挙動や接 近時の運転者の注視行動,見通し距離に関する通行挙動の実態把握を目的とする.それらを通 行安全性の視点から施策有無や通行位置で比較することで,「通行位置明示」の効果と共に,整 備しても残存する恐れのある自転車通行に関わる安全上の問題について考察する.その結果に 基づき,細街路小交差点における「通行位置明示」による自転車通行安全性を補完,補強する ためのレイアウトや対応策に関するヒントの整理する. 結果,細街路小交差点での自転車の通行挙動実態に関する基礎的分析から,交差点を通行す る自転車の走行挙動の特性や接近時の交差点の見えの特性を明らかにした.その特性から,通 行位置明示は,[1] 自転車の通行位置誘導(非優先進入路で 2 割程度改善・優先進入路で 5 割程 度改善),[2] 交差道路の見えに関する安全性向上,[3] 交差点進入速度分布改善の効果,を有 することがわかった.その一方で,整備しても残存する恐れのある自転車通行に関わる安全上 の問題として,(1) 残存する右側通行(特に右折時に交差点手前で既に右側通行),(2) 右折時の 交差点手前側を右側通行での流出,(3) 左折時の左側路側帯への流出,(4) 非優先進入路での一 時不停止や逆走時の左側路側帯進入速度の高まり,(6) 優先進入路での減速や徐行通行の少な さ,が明らかとなった.加えて,これらの問題への対策案を示した.

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目 次

細街路小交差点における自転車の通行挙動特性の把握 第1 章 はじめに ... 1 1.1 研究の背景 ... 1 1.2 研究の目的 ... 1 1.3 報告書の構成 ... 2 第2 章 自転車通行の安全の現状と研究方針 ... 3 2.1 自転車通行に関する規定 ... 3 2.2 自転車の関わる事故の特性 ... 6 2.3 無信号小交差点での自転車に関わる安全対策 ... 7 2.4 ガイドライン ... 10 2.5 研究方針 ... 13 第3 章 通行挙動実態調査 ... 15 3.1 調査対象交差点 ... 15 3.2 交差点進入路の道路条件と比較方法 ... 17 3.3 通行挙動実態調査の基準位置 ... 19 3.4 対象交差点の基本特性 ... 20 3.5 ビデオによる一般通行調査 ... 21 3.6 アイマークレコーダーによるモニター走行調査 ... 22 第4 章 通行挙動特性の基礎的分析 ... 26 4.1 分析用データの作成 ... 26 4.2 通行位置明示の有無による走行挙動特性の比較分析 ... 31 4.3 通行位置の違いによる見えの特性の比較分析 ... 42 第5 章 結論 ... 48 5.1 自転車の通行挙動特性のまとめ ... 48 5.2 通行位置明示の自転車通行挙動に対する効果と課題 ... 51 5.3 通行位置明示の安全性向上のためのヒント ... 53 5.4 今後の研究課題 ... 55 参考文献 ... 56 謝辞 ... 57 付録 ... 58

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図表一覧

表2.1 自転車通行場所 ... 4 表2.2 自転車に係る主な交通ルール 3) ... 5 表2.3 兵庫県における自転車関連事故の実態 ... 7 図2.1 非優先側進入路の1当自動車向けの一時停止支援システム 11)... 9 図2.2 優先側進入路の2当自転車向け接近車両通知装置 13)... 10 図2.3(a) 幹線道路交差点での整備例 ... 11 図2.3(b) 細街路単路部の整備例 ... 11 図2.4 整備前後の自転車通行位置の変化 16) ... 12 図2.5 研究の背景と狙い ... 14 図2.6 着目する通行挙動特性項目 ... 14 図3.1 調査対象交差点の位置 ... 16 表3.1 交差点進入路の道路条件とグループ ... 17 表3.2 施策効果検証のための進入路比較の組合せ ... 17 図3.2 「非優先・順走」進入路の状況 ... 18 図3.3 「非優先・逆走」進入路の状況 ... 18 図3.4 「優先・順走」および「優先・逆走」進入路の状況 ... 19 図3.5 通行挙動実態調査の原点・断面・通行位置 ... 20 図3.8 ビデオカメラの設置位置と映像のサンプル ... 21 表3.3 交差点進入路別の観測交通量 ... 22 表3.4 アイマークレコーダー(EMR-9)の仕様 ... 23 図3.9 視線挙動計測機材の装着状況 ... 24 図3.10 視線挙動の走行調査の概念図 ... 24 表3.5 アイマークビデオのサンプル ... 25 表4.1 「通行位置明示」進入路の自転車の走行挙動属性 ... 27 表4.2 分析に用いた自転車の走行挙動データ ... 28 図4.1 見通し距離の概念図 ... 29 表4.3 注視対象物の属性項目 ... 30 表4.4 取得できた注視行動データ(交差点接近中の注視点の動き) ... 30 図4.2 走行挙動の分析項目 ... 31 図4.3 進入路ごとの自転車通行位置[通行位置明示・有り]... 33 図4.4 進入路ごとの自転車通行位置[通行位置明示・無し]... 34 表4.5 通行位置構成割合の一覧表 ... 35 表4.6 通行軌跡の特徴の一覧表 ... 35 図4.5 交差点への進入速度 ... 40

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図4.6 進入直前の停止状況 ... 41 図4.7 進入手前の首振り安全確認 ... 42 図4.9 見えの特性の分析項目 ... 43 図4.10 通行位置ごとの左右の交差道路の見通し距離 ... 44 図4.11 左側路側帯の見通し距離に対する比率 ... 45 図4.14 通行位置ごとの注視時間構成比 ... 46 図4.15 通行位置ごとの注視回数 ... 47 表5.1(a) 自転車の走行挙動特性のまとめ [非優先] ... 49 表5.1(b) 自転車の走行挙動特性のまとめ [優先] ... 50 表5.2 通行位置明示でも残存する恐れのある問題点とその要因 ... 54 表5.3 安全性向上のための対策案と具体例 ... 55 付図3.6(a) 交差点進入路の断面構成と様子(西葛西) ... 59 付図3.6(b) 交差点進入路の断面構成と様子(葛西) ... 60 付図3.6(c) 交差点進入路の断面構成と様子(金沢) ... 61 付図3.7(a) 交差点寸法と基準位置(西葛西・葛西) ... 62 付図3.7(b) 交差点寸法と基準位置(金沢) ... 63 付図4.12(a) 通行位置ごとの左右の交差道路の見通し距離[西葛西・葛西] ... 64 付図4.12(b) 通行位置ごとの左右の交差道路の見通し距離[金沢] ... 65 付図4.13(a) 左側路側帯の見通し距離に対する比率[西葛西・葛西] ... 66 付図4.13(b) 左側路側帯の見通し距離に対する比率[金沢] ... 67

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第 1 章 はじめに

1.1 研究の背景

近年,自転車は環境にやさしい交通手段としても,健康促進の観点からも,利用促進への関 心が高まっている.一方で,交通事故の総数が減少している中で,自転車関連事故は全事故の 20%を越え,高止まりの傾向にある 1) .また自転車関連事故は,信号機のない交差点で半数以 上が発生し,そして無信号小交差点ではおよそ4 割が発生し,その大部分は出合頭事故である 2) .自転車の通行安全性の向上は,利用促進の上で大きな課題となっている. これを受けて,国土交通省と警察庁は,2012 年 11 月に合同で「安全で快適な自転車利用環 境創出ガイドライン(以下,ガイドライン)」を発出した.このガイドラインは,自転車ネット ワークの計画,自転車通行空間の設計,利用ルールの徹底などの方針を定めたものである.こ の中で,「自転車は幹線道路や細街路において車道部左端を通行する」という原則を明確にし, 自転車レーンや通行指導帯,ピクトグラムによる「通行位置明示」により,その周知・誘導を 図る指針が示されている. ガイドラインでは,幹線道路の信号交差点や幹線道路の小交差点のレイアウト指針が示され, 各地で実験・検証が行われている.しかし,自転車事故の半数以上を占める細街路同士の小交 差点については,西葛西や金沢等の一部の都市で「指導帯」と称して車道部の左端のカラー化 やピクトサインの整備が実験的に行われているだけで,安全性も含め,その効果検証や課題検 討は十分ではない. 一方,著者らの研究グループは,従来より空間制約やコスト制約の厳しい小交差点での出合 頭事故防止のための,簡便で効果的な安全対策の研究を進めている.対策目標として,車両の 適正通行を促すこと(第1当事者向けの補完対策),交差道路側の危険通行に対する衝突回避を 支援すること(第2当事者向けの補強対策),の視点を重視している.これらの視点から,幾つ かの効果的な対策を提案してきた.これらの対策は,出合頭事故の多い自転車の安全性向上に も有効と考えている.今後の自転車の安全性向上には,ガイドライン指針に応じた安全施策の 検討が必要と認識している.

1.2 研究の目的

本研究は,細街路小交差点における今後の自転車の通行安全性向上に向けた取り組みのため に,自転車指導帯やピクトサインなどの通行位置明示の施策が導入された小交差点や従来の小 交差点を対象として,走行挙動や接近時の運転者の注視行動,見通し距離に関する通行挙動の 実態把握を目的とする.それらを通行安全性の視点から施策有無や通行位置で比較することで, 「通行位置明示」の効果と共に,整備しても残存する恐れのある自転車通行に関わる安全上の 問題について考察を試みる.その考察の結果に基づき,細街路小交差点における「通行位置明

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示」による自転車通行安全性を補完,補強するためのレイアウトや対応策に関するヒントの整 理を試みる.

1.3 報告書の構成

第2 章では,自転車通行に関する規定や細街路小交差点における事故特性,安全対策,ガイ ドラインや実施事例など自転車通行の現状を整理すると共に,本研究の位置づけならびに研究 方針を示す.第3 章では,通行挙動実態の調査方法を整理する.第 4 章では,細街路小交差点 における自転車の通行挙動に関する基礎的分析の結果を示す.第5 章では,分析の結果に基づ き,「自転車通行位置明示」の効果と課題について考察する.その考察から得られた,細街路小 交差点における「通行位置明示」の安全性向上のためのヒントを整理する.

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第 2 章 自転車通行の安全の現状と研究方針

2.1 自転車通行に関する規定

2.1.1 通行場所 3) 自転車の通行場所は,専用空間,車道区間,歩道(的)空間の3種類に大別できる(表 2.1). 専用空間としては,「自転車専用道路・自転車歩行者専用道路」,「自転車道」がある.前者は, 自動車とは別路線で,いわゆるサイクリングロードと呼ばれる場合もある.幅員は,3m 以上(自 転車歩行者専用道では4m 以上)で,双方向通行可能である.後者は,一般道路において道路内 両側に物理的分離された自転車専用の通行場所である.幅員は,2m 以上(やむを得ない場合 1.5m 以上も可)必要である.規制が無ければ双方向通行が可能である. 車道空間においては,原則,他の車両と同じ道路空間内の「車道左端」を通行することとな る.そこは車両との混在空間である.それ以外に,「自転車専用通行帯(自転車レーンと呼ばれ る)」がある.物理的分離は無いものの自動車の通行は不可である.幅員は 3m 以上(1.5m 以上 が望ましい・やむを得ない場合1m 以上でも可)必要である.片側一方通行である. 歩道(的)空間としては,「自転車歩行者道(自歩道と呼ばれる)」がある.自転車と歩行者の混 在が許可された空間である.幅員は 3m 以上(歩行者が多い場合 4m 以上)必要である.通行指 定部分(車道側を白線やカラー舗装など)が明示されている場合もある.それ以外の場所として は,「路側帯」を通行できる.路側帯は,歩道設置されていない道路において道路端寄りに設け られた部分である.道路標示(白線)によって区画されている.歩道と同等の空間である.

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表2.1 自転車通行場所 種別 名称 概要 専用空間 自転車専用道路 自動車とは別路線/幅員3m以上(自転車歩行 者専用道では4m以上)/双方向通行可能 自転車歩行者専用道路 (同上) 自転車道 道路両側の物理的分離/幅員2m以上(やむを得ない場合1.5m以上も可)/双方向通行可能 車道空間 車道左端 自動車との混在 自転車専用通行帯 (自転車レーン) 物理的分離無しだが自動車通行不可/幅員 3m以上(1.5m以上が望ましい・やむを得ない場 合1m以上)/片側一方通行 歩道(的)空間 自転車歩行者道 (自歩道) 歩道上で自転車・歩行者の混在が許された空 間/幅員3m以上(歩行者が多い場合4m以上) /通行指定部分の明示もある 路側帯 歩道設置されていない道路の路端寄りに設置 /道路標示(白線)で区画/歩道と同等 2.1.2 通行規定 3) 自転車通行に関しては,「自転車は車両である」という原則の下,表2.2 に示されているよう な規定が定められている. 自転車は,歩道または路側帯と車道との区別のある道路においては,車道を通行しなければ ならない(車道通行の原則).自転車は,道路から左側部分を左端に寄って通行しなければなら ない(左側部分通行の原則).路側帯では,著しく歩行者の通行の妨げとなる場合以外において 通行可能であるものの,歩行者の通行の妨げにならない速度と方法で通行しなければならない (歩行者優先).自転車歩行者道やそれ以外でも政令で定められた者(児童及び幼児・70 歳以上の 高齢者)が通行する場合は,自転車は歩道通行が可能である.歩道を通行する場合,歩道中央か ら車道寄り部分もしくは通行指定部分を徐行し,歩行者の通行を妨げる時は一時停止しなけれ ばならない(歩行者優先).通行するときは,歩道の状況に応じた安全な速度と方法で通行する ことができる. 交差点では,一時停止すべき場所では,一時停止しなければならない.無信号交差点におい て狭い道路から広い道路へ出る場合,他車両の通行を妨害しないようにし,徐行しなければな らない.見通しのきかない交差点を通行するときは,徐行しなければならない.自転車横断帯 がある場合は,そこを通行しなければならない.右折するときは,交差点手前でできる限り左 側端に寄って,交差点の側端を徐行しなければならない.交差点内を通行する場合,他車両や 歩行者に注意し,できる限り安全な速度と方法で進行しなければならない.

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表2.2 自転車に係る主な交通ルール 3) ・車道通行の原則 自転車は、歩道と車道の区分がある道路では車道を通行しなければならない(ただし、自転車道があれば 自転車道を通行しなければならない。また、著しく歩行者の通行を妨げることとなる場合等を除き、路側帯を  道路では左側を通行しなければならず、特に、車両通行帯のない道路では、道路のひだり左側端を通行 しなけれならない。また、車両通行帯のある道路では原則として一番左側の車両通行帯を通行しなければ 道路交通法第17条、第17条の2、第18条、第20条、第63条の3 ・例外的に歩道通行が可能な場合 ふつう自転車は①道路標識等により普通自転車が当該道路を通行することができることとされているとき、 ②当該自転車の運転者が高齢者や児童、幼児等であるとき、③車道又は交通の状況に照らして当該自転 車の通行の安全を確保をするため当該自転車が歩道を通行することがやむを得ないと認められたとき(例 えば道路工事が行われている場合や車道幅員、交通量等からみて自動車との接触の危険があるような場 ただし、普通自転車は歩道の中央から車道よりの部分を徐行しなければならず、歩行者の通行の妨げるこ ととなるときは一時停止しなければならない(普通自転車通行指定部分については、歩行者がいないとき 道路交通法第63条の4 ・信号機に従う義務 道路を通行する際には、信号機等に従わなければならない。特に、横断歩道を進行している道路を横断す る場合や、歩行者用信号機に「歩行者・自転車専用」の表示がある場合は、歩行者用信号機に従わなけれ 道路交通法第7条、道路交通施行令第2条 ・交差点の通行方法 交差点を通行しようとする場合において、付近に自転車横断帯がある時は、当該自転車横断帯を通行しな ければならない。また、信号機がない交差点等において、狭い道路から広い交差道路に出るとき等は、交 差道路等を通行するほかの車両の進行を妨害しないようにするとともに、徐行しなければならない。さらに、 交差点内を通行するときは、状況に応じてほかの車や歩行者に注意してできる限り安全な速度と方法で進 道路交通法第36条、第63条の7 ・安全運転の義務 道路及び交通等の状況に応じ、他人に危害を及ばさないような速度と方法で運転しなければならない 道路交通法第70条 ・並進の禁止 道路標識等により認められている場合を除き、他の自転車と並進してはならない 道路交通法第19条、第63条の5 ・徐行すべき場所 道路標識等がある場合のほか、左右の見通しがきかない交差点等を通行しようとするときは、徐行しなけ 道路交通法第42条 ・一時停止すべき場所 自転車は車両の一種なので、道路標識等により車両等が一時停止すべきとされている時は、一時停止をし 道路交通法第43条 ・夜間のライト点灯等 夜間はライトを点灯しなければならない。また、反射器材を備えていない自転車(尾灯をつけているものを 規制第9条の4、都道府県の道路交通規制 ・警音器の使用 左右の見通しのきかない交差点や見通しのきかない曲がり角であって、道路標識等によって指定された場 所等を通行しようとするときには、警音器を鳴らさなければならないただし、そのような場合以外には、危険 道路交通法第54条 ・ブレーキの装備 前輪及び後輪にブレーキを備えつけていない自転車を運転してはならない 道路交通法第63条の9、道路交通法施行規制第9条の3 ・二人乗り、三人乗りの禁止 自転車の二人乗りは、各都道府県公安委員会規制に基づき、6歳未満の子供を乗せるなどの場合を除き、 道路交通法第55条、第57条 ・酒気帯び運転等の禁止 酒気を帯びて自転車を運転してはならない。また、酒気を帯びているものに自転車を提供したり、飲酒運転 を行うおそれがある者に酒類を提供したりしてはならない 道路交通法第65条 ・片手運転の禁止 携帯電話の通話や操作をしたり、傘をさしたり、物を担いだりすること等による片手での運転は、不安定な 運転になるのでしてはならない(また、そのような行為自体を禁止にしている都道府県もある) 道路交通法第70条、第71条、都道府県の道路交通規制道路交 ※ 出典:交通工学編集委員会:「交通工学入門・第4回・自転車に関して」,交通工学,Vol.47,No.4,2012 通 行 場 所 に 関 す る 規 定 通 行 方 法 に 関 す る 規 定

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2.1.3 細街路小交差点での自転車通行 細街路小交差点の大半は,無信号交差点である.交差点進入路には,歩道は見られず,路側 帯が設置されている程度である.また,一時停止規制や一方通行規制の定められている進入路 も多い.したがって,細街路小交差点の自転車通行において,車道通行の原則,左側部分通行 の原則,路側帯通行は可能だが歩行者優先,交差点手前では一時停止規制の遵守,交差点内で は交差点側端の徐行,優先側からの進入であっても安全な速度と方法で通過,などの規定が関 わってくる.これらの視点で,自転車の通行挙動特性を捉えることが重要となる.

2.2 自転車の関わる事故の特性

兵庫交通科学研究会が2009 年に実施した研究 2) によると,兵庫県下の交通事故詳細データ ベース(2004-2008 年)を用いた統計分析から,自転車関係事故(第一当事者もしくは第二当事者 のいずれかが自転車)は,全事故の約 20%を占めていることが示された.これは,全国の傾向 と同様である 1) この兵庫県での詳細分析の結果 2) によると,自転車が第一当事者(1当自転車)となる事故は, 自転車関連事故の約 30%を占め,その約 70%が出合頭事故である.相手当事者は,その 70% 以上が自動車である.2当自転車の事故は,自転車関連事故の約70%を占め,その約 60%が出 合頭事故である.相手当事者は,その約90%が自動車である. 発生箇所特性に着目すると,自転車関連事故の約20%は信号機の有る交差点で発生し,単路 部では約 25%,そして信号機の無い交差点ではその半数以上(約 55%)が発生している.また, 4割近くが小規模交差点で発生している.その大半(約 90%)は,出合頭事故である.その傾向 は,小交差点ほど強い.1当自転車の事故は,信号機の無い中小規模交差点で多い(およそ半数). 同規模同士または小規模道路からの進入時に1当になりやすい.2当自転車の事故は,規模に 関わらず信号機の無い交差点で多い(およそ半数).同規模同士または1当進入路より大きい道 路からの進入時に2当になりやすい.一時停止規制のある交差点での自転車関連事故は,規制 の無い交差点の2倍近くある.その傾向は,小規模交差点ほど強い. 自転車事故防止には,信号機の無い中規模以下の交差点および幹線道路との小交差点での出 合頭事故をターゲットとした対策で,1当自転車や1当自動車の進入対策,それぞれに対応す る形で2当自動車や2当自転車への通行支援,が重要となる.

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表2.3 兵庫県における自転車関連事故の実態 合計 自転車関連事故 それ以外の事故 5ヵ年 168,984 39,324 129,660 合計 内,出合頭事故 内,第二当事者が自動車 自転車が第一当事者 11,251 8,645 8,279 自転車が第二当事者 29,117 17,175 25,767 内,信号機の無い中小規模交差点 内,信号機の無い大規模交差点 内,それ以外 自転車が第一当事者 5,897 349 5,005 自転車が第二当事者 14,169 1,252 13,696 自転車関連事故 内,出合頭事故 内,車両相互のその他 信号機の有る交差点 7,800 2,548 5,213 信号機の無い交差点 21,194 18,339 2,778   小規模交差点 14,527 12,968 1,500   その他の交差点 6,667 5,371 1,278 単路部 10,330 4,373 5,510 ※兵庫県下の2004-2008年の人身事故データ(飲酒運転,高速道路の事故は除く) / 兵庫交通科学研究会(事務局:県警交通研究所)

2.3 無信号小交差点での自転車に関わる安全対策

無信号小交差点での交通事故を対象とした安全対策に関する過去の研究成果のうち,自転車 に関わる主な対策を概観する. 2.3.1 路上看板 (1当自動車・1当自転車) これは,自転車に限らず小交差点ではよく見られる.交差点進入時の1当への注意喚起を狙 うものである.しかし通行者は,こうした路上看板に対して認知はするものの,それに留意す ることは無いことが指摘されている 4) .その効果はほとんど期待できない.微視的に見れば, 視界悪化の可能性も考えられる. 2.3.2 一時停止規制 (1当自動車・1当自転車) これは,優先関係の不明確さをなくすことで秩序ある通行を促すことがねらいである.規制 無し交差点に比べ有り交差点のほうが出合頭事故の割合は大きい 5) .子供・高齢者の歩行者や 自転車による事故割合が大きい 5) .子供や高齢歩行者,自転車の一時停止不履行が事故の一因 といえる 5) .設置においては,ドライバーのみならず,子供・高齢歩行者,自転車の適正な通 行を促すことが重要となる 5) 一方通行(自転車除く)道路同士で一時停止規制を有する小交差点において,順走側進入路と 逆走側進入路の直進自転車の挙動の違いを分析することで,逆走側進入路における一時停止規 制に関する情報提供の重要性が指摘されている 6) .右左折時の挙動や交差点進入位置や内部通 行位置などには言及されておらず直進時に限定されるものの,規制情報提供は,自転車の適正 な通行を促すための対策として重要といえる(◆成果:既存対策知見).

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2.3.3 道路反射鏡 5) (1当自動車・1当自転車・2当全当事者) これは,小交差点での見通しの悪さを補完する目的で設置される.設置無し交差点に比べ, 設置有り交差点では,出合頭事故の割合が大きい(約 1.5 倍).通行者アンケートによれば,接 近速度の見誤りや接近物の位置誤認が見られた.不適切な利用に伴う問題挙動が事故の一因と いえる.安易な設置は出合頭事故を誘発する恐れがある(◆成果:既存対策知見).適切な利用 を促すことが重要となる. 2.3.4 交差点明示 (全通行者) これは,通行者の交差点未認識による危険な速度での進入を想定したものである.優先・非 優先関係が明確化される傾向があること 7) や,短期的に自転車の接近速度の低下・安全行動の 増加 8) が見られること,などが指摘されている.路面標示の劣化や通行者の習慣性による効 果低下などが懸念されるものの,短期的には一定の効果が見込まれる(◆成果:既存対策知見). 2.3.5 ハンプ 9)など (1当自動車) これは,自動車の通行速度抑制を狙ったものである.速度抑制効果や一時停止促進 効果など が見られることが指摘されている.その一方で,最新のハンプを利用することで振動の問題は ほとんど見られないものの,ほぼ全ての周辺住民から騒音の問題が指摘されている.さらに移 動制約を有する通行者はもちろん歩行者や自転車の通行への悪影響が強く懸念されている. 2.3.6 出合頭事故防止のための路上警報システム (1当自動車・2当自転車) 著者らは,空間制約やコスト制約の厳しい小交差点での簡便で効果的な出合頭事故防止対策 の研究を進めている. その一つとして,位置・速度センサー,挙動判定アルゴリズム,発光装置を組み合わせて, 一時停止を怠る恐れのある接近車両を挙動解析により交差点手前で検知し,警告発光により挙 動改善を促す路上警告システムを開発した 10)11) ( 図 2.1 ).公道実験の結果,一時停止しない 車両は1/2~1/3 に減少し,一時停止は 1.5 倍から 2 倍に増加した.停止不能車両比率に基づく 推計によると,事故件数は約60%の減少効果が見込まれる(1当自動車向け). また,このシステムによる警告発光を優先道路側の歩道上の自転車にも同時に通知したとこ ろ,交差点手前での停止や安全確認,回避行動が増加した.1当自動車への効果だけでなく, 2当自転車への効果も見られた.現在のシステムは,路上の車止め程度に小型化は可能である. しかし,利用しているセンサーならびに制御基盤の消費電力が大きいために,公道設置には電 源の工夫を要する. こうした効果を維持しつつ,より簡便な装置の実現に向けた取り組みの一環として,2当自 転車向け対策に特化した装置を考案した 12)13) ( 図 2.2 ).挙動判定アルゴリズムを外し,非優 先側車両の存在を通知するだけにした.公道実験の結果,小型ワイドミラーによる通知だけで は,その効果はほとんど見られなかった.しかし同時に発光通知することで,安全確認は60% 増加,安全確認はより手前で実行され,減速行動は30%増加,通過速度は 20%低下,が見られ た.接近車両の検知と通知の仕組みだけでも,2当自転車への通行支援効果が確認できた(2当

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自転車向け). また現在,交差点の見落としによる一時不停止の防止を目的とした簡便で効果的な対策の一 つとして,「交差点明示の高度化」に関する研究の準備を進めている. 2.3.7 自転車に関わる安全対策の現状 「1当自動車」向け対策(逆の見方をすれば「2当自転車」向けの対策)としては,上記の対 策のうち,その有効性や課題を考えると,一時停止規制や道路反射鏡,交差点明示,接近車両 通知装置,が適合すると考えられる.「1当自転車」向けの対策としては,一時停止規制や道路 反射鏡,交差点明示が適合すると考えられる.しかし,一時停止規制や道路反射鏡では,その 適切な利用を促す工夫が不可欠である.(◆成果:既存対策知見) 非優先側進入路の自動車向け一時停止支援システム ( 車止め筐体を使った試作機とその設置例 ) 約 8 0 0 m m 200mm 接近物体センサー(内蔵)  ⇒ 距離+速度   (逐次計測) 発光装置 ⇒ 注意喚起・視線誘導 判定装置(内蔵)  ・判定アルゴリズム  (交差点進入前の   接近中に予測判定)  ・発光制御装置 細街路小交差点への設置 細街路小交差点への設置 幹線道路小交差点への設置 (1) 一時停止しない車両は1/2~1/3に減少 (2) 一時停止は1.5倍から2倍に増加 (3) 事故件数は約60%の減少効果(停止不能車両比率に基づく推計) 図2.1 非優先側進入路の1当自動車向けの一時停止支援システム 11)

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優先側進入路の2当自転車向け接近車両通知装置 ( 車止め筐体を使った試作機例 ) 広角ミラー タイプ 780mm 80mm 260mm 160mm 54mm LED Light with battery 広角ミラー&点滅LED タイプ Bollard 通知方法: ○広角ミラーへの接近 車両の写り込み 通知方法: ①広角ミラーへの接 近車両の写り込み + ②LEDライト発光 実験時の設置状況 小型ワイドミラーだけでは効果はほとんど見られ ないものの接近検知の発光通知で, (1) 自転車の安全確認は60%増加 (2) より手前で安全確認 (3) 減速行動は30%増加 (4) 通過速度は20%低下 ↓  優先側の2当自転車への通行支援効果 自転車 図2.2 優先側進入路の2当自転車向け接近車両通知装置 13)

2.4 ガイドライン

2.4.1 概要 14) 国土交通省道路局は,平成19(2007)年に警察庁交通局と連携し,自転車道や自転車専用通行 帯の整備を進めるため,全国98 地区を自転車通行環境整備の先進モデル地区として指定した. さらに平成23(2011)年に,警察庁交通局と連携し,有識者による検討委員会を設置した.この 検討委員会は,平成24(2012)年 04 月に「みんなにやさしい自転車環境-安全で快適な自転車 利用環境の創出に向けた提言-」をまとめた.この中で,各地域においてハード・ソフト両面 の取り組みを進めるためのガイドラインを早急に作成することが提言された.これを受けて, 平成24(2012)年 11 月 29 日に「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」が,国土交通 省道路局及び警察庁交通局より道路管理者,都道府県警察に発出された. ガイドラインの中では,自転車通行空間(のネットワーク)の計画,自転車通行空間の設計, 利用ルール徹底,総合的な取組み,の4つの観点で指針が示されている.自転車通行空間の設 計の中では,単路部での自転車道,自転車専用通行帯,車両混在における設計の基本的な考え 方,交差点部での設計の考え方,が提示されている.交差点部として想定されているのは,信 号機のある交差点や大規模な交差点,幹線道路と細街路の小交差点(「細街路交差点」と明記さ れているものの実体は幹線道路である),である.しかしながら,細街路同士の小交差点の指針 は明記されていない.

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細街路小交差点に関係する指針として,細街路の単路部での車両混在整備の中で,自転車利 用者への適正通行促進とともに,自動車への注意喚起のために,「自転車通行位置(車道左端)の 明示」が提示されている.明示方法としては,路肩のカラー舗装,帯状の路面標示(自転車走行 指導帯あるいは指導帯),白線と共にピクトグラム(白線ピクト)の設置などが示されている.交 差点部での安全性の検討が課題として残されている. 「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」より抜粋 札の辻交差点 ( 東京都港区芝5丁目 ) 図2.3(a) 幹線道路交差点での整備例 「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」より抜粋 指導帯 ( 東京都江戸川区西葛西 ) 白線ピクト ( 石川県金沢市 ) 図2.3(b) 細街路単路部の整備例

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2.4.2 自転車通行環境整備の効果 「自転車通行空間整備・計画事例集(土木学会)」に基づき,細街路における自転車施策の先 行実施地区の事例を整理する. (1) 金沢市の事例 三国ら 15) は,金沢市で取り組んでいる自転車通行環境整備に関するアンケート調査に基づ き,自転車走行指導帯の設置前後の比較を行っている.整備後は,歩行者・自転車利用者共に, 朝の時間帯は「とても安全」「まあ安全」が約20%増加し,「やや危険」「とても危険」が 30% 減少してる.自動車のドライバーへの「自転車が指導帯を走行することになったことにより不 便になったことはありますか?」の問いに対して,「特に問題ない」が約半数を占め,「スピー ドが出せなくなった」が18%占めている.また今回の整備は,82%の被験者が(交通安全対策と して)効果的と回答している.車道の左端に自転車の通行する位置と方向を明示することは,自 転車に対して「車道走行の原則」を周知するだけでなく,自動車からの視認性を高める(ことに よる安全性)点からも有効とコメントしている. (2) 東京都世田谷区の事例 稲垣ら 16) は,自転車の専用空間を確保できない道路(の単路区間)に設置された「左側通行指 導帯標示」の整備効果の評価のために,各地点の走行方向別に自転車通行位置の整備前後の比 較を行っている(図 2.4).通行位置調査の結果,整備後は左側通行率が大きく増加している.指 導帯標示の整備は,自転車通行位置の遵守率を向上させるための対策として有用であるとして いる. 図2.4 整備前後の自転車通行位置の変化 16)

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2.5 研究方針

2.5.1 自転車の安全性向上のための現状 自転車通行に関しても明確なルールが存在し,その遵守が自転車通行の安全上,大原則とな ることは言うまでもない.自転車関連事故の3割が1当自転車,7割が2当自転車である.前 者の場合,自転車に何らかのルール違反が存在し,後者の場合,相手当事者に何らかのルール 違反が存在する.これらのルール違反に対して,細街路小交差点において自転車通行安全を補 完・補強するために,幾つかの効果的な対策が提案されている. 細街路におけるガイドライン指針による「通行位置明示」施策は,単路部での車道左端通行 のルールに焦点を当てて,路上での「ルール周知」と共に「通行誘導」を狙ったものである. 「通行位置明示」の整備は,幾つかの場所で実験的に行われている.その中で細街路同士の小 交差点への進入路にも導入されている.しかし,単路区間に対する効果検証は幾つか見られる ものの,交差点部に対しては少ない. このため,細街路小交差点での「通行位置明示」の効果や整備しても残存する安全上の課題 などは明らかになっていない.また,課題に対する既存対策の活用や適用法に関する知見も得 られていない.したがって,細街路小交差点における今後の自転車の通行安全性向上のための 対策の検討は十分ではない. 2.5.2 本研究の位置づけ そこで,本研究では,細街路小交差点における今後の自転車の通行安全性向上に向けた取り 組みのために,自転車の通行挙動特性の把握を目的とする.その結果に基づいて,「通行位置明 示」の効果や整備しても残存する恐れのある自転車通行の安全上の問題について考察を試みる. その考察の結果に基づいて,細街路小交差点における「通行位置明示」による自転車通行安全 性を補完,補強するためのレイアウトや対応策に関するヒントの整理を試みる. 2.5.3 通行挙動特性項目 本研究で着目する自転車の通行挙動特性項目を図 2.5 に示す.細街路小交差点における自転 車の安全性に関わる基本特性項目として「走行挙動」に着目する.加えて,自転車による交差 点通過時の安全に影響する接近時の「交差点の見え(見かたや見え方)の特性」に着目する. 走行挙動は,自転車指導帯やピクトサインなどの通行位置明示の施策が導入された小交差点 や従来の小交差点において,交差点への接近・進入・流出までの一連の挙動を分析する.それ らを通行ルールの観点から実態を捉え,施策有無により比較することで,安全性への効果や残 存課題について考察する.走行挙動データは,対象交差点におけるビデオを用いた一般通行調 査から収集する. 見えの特性は,施策の狙いである「車道左端」位置とその他の通行位置との比較により分析 する.本研究では,通行安全性に関わる見えの特性を把握する視点として「交差道路の見通し

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距離」と「運転者の注視行動」に着目する.注視行動データは,アイマークレコーダー(視線記 録装置)を使ったモニター走行調査により収集する.見通し距離は,交差点計測の結果に基づき 机上計測する. 考察 通行位置明示の効果 整備しても残存する安全上の問題 ヒント整理 補完・補強のレイアウトや対策 自転車の 通行挙動特 性の把握 エコフレンドリーな乗り物 健康促進 ↓ 自転車利用促進への関心は高い 安全で快適な自転車利用環境創出 ガイドライン (2012.11) ---①自転車ネットワークの計画 ②自転車 通行空間の設計 ③利用ルールの徹底 の方針を定めたもの 「自転車は幹線道路や細街路において 車道部左端を通行する」原則の下「通 行位置明示」により周知・誘導を図る指 針 幹線道路 の信号交差点や小交差点 ⇒ レイアウト詳細指針・各地実験・検 証 細街路小交差点 ⇒ 一部の都市 で,単路区間での車道左端のカラー化 やピクトサイン等の整備が実験的に実 施 ↓ 効果検証は不十分 ↓ 安全上の課題も不明確 ↓ 自転車の通行安全性向上に向け た検討は十分ではない 自転車関連事故 ---全事故の20% 高止まり 細街路小交差点で半数以上 出合頭事故が大半 利用促進上の課題 自転車の通行安全性の向上 細街路小交差点における 今後の自転車の通行安全性向上 に向けた取り組みのために 図2.5 研究の背景と狙い 自 転 車 ←

自 転 車 ←

考察 どこまで「見え」る? どこを「見な」がら接近? 通行位置ごとに・・・ 通行位置明示の効果 整備しても残存する安全上の問題 ヒント整理 補完・補強のレイアウトや対策 従来の小交差点 「自転車通行位置明示」を 導入した小交差点 「見え」の特性は? 走行挙動はどう違う? 通行挙動特性自転車の の把握 一時停止は? 安全確認は? 通行位置は? 速度は? 図2.6 着目する通行挙動特性項目

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第 3 章 通行挙動実態調査

3.1 調査対象交差点

「自転車通行空間整備・計画事例集(土木学会)」や先進導入地区の関係者等から得られた情 報に基づき,「自転車通行位置の明示」施策の導入地区として,東京都江戸川区西葛西駅周辺, 石川県金沢市中心部,の2地区を選定した.各地区の調査対象交差点を選定するため,交差点 特性や交通量,調査実施可能性などについて,現地確認を実施した(西葛西:2013 年 06 月 14 日・ 28 日/金沢市:2013 年 07 月 18 日~19 日). 現地確認の結果に基づき,幅員が4m から 6m 程度の細街路同士の交差点であること,一定 の自転車交通量が見込まれること,施策導入された進入路を有すること,の条件で「施策有り」 交差点を選定した.また,「施策有り」交差点と同程度の規模であること,「施策有り」と同じ 交通規制(一時停止規制や一方通行規制)を有すること,の条件で,「施策無し」交差点を選定し た. その結果,本研究では,西葛西・葛西地区で4交差点(内,予備1交差点),金沢市で3交差 点を調査対象交差点(内,予備1交差点)とした.それぞれの交差点の位置を図 3.1 に示す.西 葛西①・②および葛西①・②は,鉄道高架の側道と高架下横断道との小規模な無信号交差点で ある.数100m 東側に鉄道駅がある.西葛西①・②の沿道は,主に商業施設である.葛西①・ ②の沿道は,主に住宅地である.金沢①②③は,いずれも住宅地区内の細街路同士の小規模な 無信号交差点である.金沢①は,その南側に小学校があり,通学路上の交差点である.

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名称 住所 西葛西① 東京都江戸川区西葛西6丁目7 西葛西②(*) 東京都江戸川区西葛西3丁目15 葛西① 東京都江戸川区中葛西3丁目14 葛西② 東京都江戸川区中葛西3丁目15 金沢① 石川県金沢市長土塀1丁目1 金沢② 石川県金沢市玉川町13 金沢③(*) 石川県金沢市芳斉2丁目10 金沢④(*) 石川県金沢市尾張町2丁目16 (*) 予備交差点 西葛西四丁目 中葛西三丁目 中葛西四丁目 中葛西五丁目 中葛西六丁目 西葛西五丁目 西葛西三丁目 西葛西六丁目 西葛西七丁目 800m 200 0 200 400 600 西葛西② 西葛西① 葛西① 葛西② 西葛西駅 葛西駅 ※この地図の背景図には基盤地図 情報(縮尺2500レベル)を使用した. 東京都江戸川区 安江 武蔵町 上堤町 本町1丁目 本町2丁目 昭和町 六枚町 玉川町 芳斉2丁目 芳斉1丁目 高岡町 長土塀1丁目 長町3丁目 金沢③ 金沢① 金沢② 金沢駅 石川県金沢市 図3.1 調査対象交差点の位置

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3.2 交差点進入路の道路条件と比較方法

対象交差点の進入路の道路条件は,表 3.1 のとおりである.対象交差点の進入路を利用する ことで,6種類のグループに分類できる.表 3.1 に示すように,今回の対象交差点では,一方 通行路の順走・逆走の進入路で施策有無の組合せを確保できる.双方向通行の進入路の施策有 無のグループは,確保できない.そこで本研究では,施策有無による比較は,組合せを確保で きた一方通行路における順走・逆走のグループで行うこととした.道路条件別の進入路グルー プを表3.2 に示す. 「非優先・順走」の交差点進入路の状況を図3.2 に示す.「非優先・逆走」の交差点進入路の 状況を図3.3 に示す.「優先・順走」および「優先・逆走」の交差点進入路の状況を図 3.4 に示 す. 表3.1 交差点進入路の道路条件とグループ 名称 交差点への進入路の道路条件 味:(自転車の進入方向:優先・非優先)/(走行方向:一方通行の逆走・順走・双方向)/(指導帯の有無) 西側進入 東側進入 北側進入 南側進入 西葛西① 非優先/逆走 /カラー化 非優先/順走 /カラー化 優先 /双方向/無し 優先 /双方向/無し 西葛西②(*) 非優先/順走 /カラー化 非優先/逆走 /カラー化 優先 /双方向/無し 優先 /双方向/無し 葛西① 優先 /双方向/無し 優先 /双方向/無し 非優先/順走 /無し 非優先/双方向/無し 葛西② 優先 /双方向/無し 優先 /双方向/無し 非優先/逆走 /無し 非優先/双方向/無し 金沢① 非優先/双方向/無し 非優先/双方向/無し 優先 /逆走 /白線ピクト 優先 /順走 /白線ピクト 金沢② 非優先/双方向/無し 非優先/双方向/無し 優先 /逆走 /無し 優先 /順走 /無し 金沢③(*) 優先 /双方向/無し 優先 /双方向/無し 非優先/順走 /ピクト 非優先/逆走 /ピクト (*) 予備

非優先/順走における「施策」有無のグループ

優先/順走における「施策」有無のグループ

非優先/逆走における「施策」有無のグループ

優先/逆走における「施策」有無のグループ

非優先/双方向のグループ

優先/双方向のグループ 表3.2 施策効果検証のための進入路比較の組合せ 有り 無し 一方通行 非優先 順走 西葛西①東側進入[カラー化] 葛西①北側進入[無し] 西葛西②西側進入[カラー化](*) 金沢市③北側進入[ピクト](*) 逆走 西葛西①西側進入[カラー化] 葛西②北側進入[無し] 西葛西②東側進入[カラー化](*) 金沢市③南側進入[ピクト](*) 優先 順走 金沢市①南側進入[白線ピクト] 金沢市②南側進入[無し] 逆走 金沢市①北側進入[白線ピクト] 金沢市②北側進入[無し] 双方向通行 非優先 - (対象進入路無し) 葛西①南側進入[無し](*) 葛西②南側進入[無し](*) 金沢①西側・東側進入[無し] 金沢②西側・東側進入[無し] 優先 - (対象進入路無し) 西葛西①北側・南側進入[無し] 西葛西②北側・南側進入[無し](*) 葛西①西側・東側進入[無し] 葛西②西側・東側進入[無し](*) 金沢③西側・東側進入[無し](*) 自動車の 通行規制 自転車の 進入方向 自転車の 走行方向 「通行位置明示」施策の有無別の進入路

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非優先・順走方向 カラー化 ( 西葛西①東側進入 ) カラー化 ( 西葛西②西側進入 ) 無し ( 葛西①北側進入 ) ピクト ( 金沢市③北側進入 ) 図3.2 「非優先・順走」進入路の状況 非優先・逆走方向 カラー化 ( 西葛西①西側進入 ) カラー化 ( 西葛西②東側進入 ) ピクト ( 金沢市③南側進入 ) 無し ( 葛西②北側進入 ) 図3.3 「非優先・逆走」進入路の状況

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白線ピクト ( 金沢市①南側進入 ) 無し ( 金沢市②南側進入 ) 白線ピクト ( 金沢市①北側進入 ) 無し ( 金沢市②北側進入 ) 逆走方向 順走方向 図3.4 「優先・順走」および「優先・逆走」進入路の状況

3.3 通行挙動実態調査の基準位置

通行挙動計測のための基準位置を図3.5 に示す.進入路の左側の隅切り延長線上の交点を交 差点原点とする.そこを横断する断面を基準断面,上流側に向かって順に,隅切断面,[-5m] 通過断面,[-10m]通過断面,[-15m]通過断面,とする.進入路の通行位置は,①から⑥の6種 類を設定する.左右の路側帯は,歩道も含む.車道左端および右端は,「通行位置明示」の有る 場合はその中央,無い場合は比較対象進入路(明示有り)と同等の位置,とする.

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[ 00m] 基準断面 [ 隅切 ] 隅切断面 [-05m] 通過断面 [-10m] 通過断面 通行位置 ① 左側路側帯(歩道も含む) ② 車道左端 [-15m] 通過断面 ③ 車道左側 ④ 車道右側 ⑤ 車道右端 ⑥ 右側路側帯(歩道も含む) ⑤ ⑥ ① ② ③ ④

← 交差点原点 図3.5 通行挙動実態調査の原点・断面・通行位置

3.4 対象交差点の基本特性

対象交差点において,進入路の断面構造,交差角度,隅切り形状,路面標示や標識の位置な どの基本特性を調査した.西葛西・葛西の調査は,2013 年 08 月 07 日(水)~09 日(金)に実施し た.金沢の調査は,2013 年 09 月 26 日(木)~29 日(日)に実施した. なお,交差点進入路の断面構成と様子,ならびに交差点の各種寸法と通行挙動実態調査に用 いる基準位置は,付図 3.6,付図 3.7 に整理した.なお,これらの地図の背景図には,基盤地 図情報(縮尺 2500 レベル)を利用した.

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3.5 ビデオによる一般通行調査

3.5.1 調査目的 本調査は,一般通行者による走行挙動データを取得するために,交差点への接近,進入,流 出までの一連の挙動のビデオ観測を目的とする.挙動としては,通過断面ごとの通行位置,走 行速度,交差点手前での停止状況,首振りによる安全確認行動,交差点内部の走行位置,流出 方向,を捉える. 3.5.2 調査方法 調査は,自転車や歩行者の多い通勤・通学の早朝,下校や買い物の時間帯の夕方を中心に実 施した.観測用ビデオカメラの設置位置は,「通行位置明示」進入路については交差点から30m 程度の範囲を撮影できること,交差点に接近してくる自転車運転者の顔方向が確認できること, 交差道路からの進入や交差点流出の位置が確認できること,を考慮して決定した.通行位置や 通過瞬間を判断するために,路面にはマーカーを設置した.図3.8 に,ビデオ設置位置と撮影 映像のサンプルを示す. 自 転 車 ← 自 転 車 ← ビ デ オ ビ デ オ 西葛西①西側進入 西葛西①東側進入

図3.8 ビデオカメラの設置位置と映像のサンプル

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3.5.3 実施結果 西葛西①・②および葛西①・②は,2013 年 11 月 01 日(金),7 時~17 時に実施した.金沢①・ ②は2013 年 12 月 17 日(火),金沢③は 2013 年 11 月 27 日(水)において,それぞれ 7 時~9 時 と14 時~16 時に実施した. 表3.3 に観測された交通量を示す.自転車は,多いところで 200 台程度,少ないところで 100 程度観測することができた. 表3.3 交差点進入路別の観測交通量 交差点名称 進入路 道路条件 観測 進入交通量 (※原付も含む)1時間あたり交通量 (カラーは,施策有無の比較グループ) 時間(hr) 四輪 二輪(※) 自転車 歩行者 合計 四輪 二輪(※) 自転車 歩行者 合計 西葛西① 東側進入 非優先/順走 /カラー化 5.0 81 8 95 131 315 16 2 19 26 63 西側進入 非優先/逆走 /カラー化 5.0 0 0 159 301 460 0 0 32 60 92 北側進入 優先 /双方向/無し 5.0 67 16 449 615 1,147 13 3 90 123 229 南側進入 優先 /双方向/無し 5.0 87 17 616 648 1,368 17 3 123 130 274 西葛西② 東側進入 非優先/逆走 /カラー化 4.9 0 0 162 135 297 0 0 33 27 60 西側進入 非優先/順走 /カラー化 4.9 66 10 230 320 626 13 2 47 65 127 北側進入 優先 /双方向/無し 4.9 76 12 443 506 1,037 15 2 90 103 211 南側進入 優先 /双方向/無し 4.9 95 19 607 463 1,184 19 4 123 94 241 葛西① 東側進入 優先 /双方向/無し 3.8 47 12 460 399 918 12 3 120 104 239 西側進入 優先 /双方向/無し 3.8 53 29 567 315 964 14 8 147 82 251 北側進入 非優先/順走 /無し 3.8 36 13 86 55 190 9 3 22 14 49 南側進入 非優先/双方向/無し 3.8 5 8 71 217 301 1 2 18 56 78 葛西② 東側進入 優先 /双方向/無し 3.6 46 22 520 427 1,015 13 6 144 118 281 西側進入 優先 /双方向/無し 3.6 53 23 533 410 1,019 15 6 148 113 282 北側進入 非優先/逆走 /無し 3.6 1 2 47 44 94 0 1 13 12 26 南側進入 非優先/双方向/無し 3.6 47 11 166 96 320 13 3 46 27 89 金沢① 東側進入 非優先/双方向/無し 4.5 125 4 30 48 207 27 1 7 11 46 西側進入 非優先/双方向/無し 4.5 101 1 49 193 344 22 0 11 42 76 北側進入 優先 /逆走 /白線ピクト 4.5 2 0 321 291 614 0 0 71 64 135 南側進入 優先 /順走 /白線ピクト 4.5 416 6 290 148 860 92 1 64 33 189 金沢② 東側進入 非優先/双方向/無し 4.5 58 2 34 74 168 13 0 8 16 37 西側進入 非優先/双方向/無し 4.5 168 3 102 115 388 37 1 23 26 86 北側進入 優先 /逆走 /無し 4.5 0 1 85 201 287 0 0 19 45 64 南側進入 優先 /順走 /無し 4.5 413 7 143 150 713 92 2 32 33 158 金沢③ 東側進入 優先 /双方向/無し 4.4 85 10 131 48 274 19 2 30 11 62 西側進入 優先 /双方向/無し 4.4 151 2 11 17 181 34 0 2 4 41 北側進入 非優先/順走 /ピクト 4.4 18 0 191 82 291 4 0 43 19 66 南側進入 非優先/逆走 /ピクト 4.4 0 0 135 84 219 0 0 31 19 50 合計 123.4 2,297 238 6,733 6,533 15,801 19 2 55 53 128

3.6 アイマークレコーダーによるモニター走行調査

3.6.1 調査目的 本調査は,交差点接近時の自転車運転者の注視行動の計測を目的とする.運転者の注視行動 として,接近走行中の注視点の変化と共に,注視した時の通過地点(交差点からの距離)を取得 する.本研究では,被験者や調査機材の確保,現地調査期間の制限などにより,全ての進入路 において一人の被験者で実施するモニター調査とした.被験者には,通行規制にしたがって, 安全に普段どおりの走行を心がけるよう指示した. 3.6.2 調査方法

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(1) アイマークレコーダー 被験者の注視点の記録のために,アイマークレコーダー(EMR-9)を使用する.アイマークレ コーダーは,視線移動を検出するために眼球の状態を撮影するアイカメラと,被験者の見てい る範囲を撮影する視野カメラとで構成されている.コントローラーは,アイカメラで解析され た視線位置(アイマーク)を,視野カメラの映像上に重ねて記録する(アイマークビデオ).このア イマークビデオを解析することで,道路空間内の注視点を連続的に計測できる.利用する装置 の仕様を表3.4 に示す. 表3.4 アイマークレコーダー(EMR-9)の仕様 ヘッドユニット 視野カメラ 検出センサー 1/3インチ・カラーイメージセンサー 有効画素数 640(H)×480(V) 質量 150g アイマーク検出ユニット 検出センサー 1/3インチ・白黒イメージセンサー (アイカメラ) 有効画素数 640(H)×480(V) 測定範囲 眼球運動 : 水平±40度,垂直±20度 検出方式 瞳孔/角膜反射方式,瞳孔法(暗瞳孔法) 検出レート 60Hz 検出分解能 60Hz : 水平0.1度,垂直0.1度 / 瞳孔径 : 0.02mm コントローラ 出力信号 映像信号(データ重畳可能) / AUDIO出力(モノラル) / シリアルデータ(フレームカウンタ・停留点座標など) / イベント出力(TTL信号) 記録時間 約60分 記録データ アイマーク重畳視野映像(MPEG4・640*480) / 計測 データ(バイナリ形式) 外形寸法 約 85(W)×147(D)×63(H) mm 質量 590g システム構成 (2) 記録方法 被験者のアイマークレコーダー装着状況と自転車への調査機材を取り付け状況を図 3.9 に示 す.前方下向ビデオカメラは,車輪接地位置と道路面を撮影し,進入路横断方向の位置の確認 に用いる.側方ビデオカメラは,沿道地物を撮影し,進入路縦断方向の位置の特定に用いる. 予め側方ビデオカメラと同じ高さから沿道地物写真を撮影し,写真内の地物の位置(交差点原点 からの距離)を計測しておく.事後に側方カメラの映像に写りこんだ地物により交差点からの自 転車位置を特定する.通過地点ごとの注視点を特定するため,アイマークレコーダーと側方ビ デオカメラおよび前方下向ビデオカメラとは時刻同期させる.

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アイマークレコーダー (カメラ:頭部) (本体:前かご) 前方下向ビデオカメラ (進入路横断方向の位置確認) 側方ビデオカメラ (進入路縦断方向の位置特定) 図3.9 視線挙動計測機材の装着状況 (3) 走行方法 調査対象進入路において,6種類の通行位置ごとに交差点進入直前までの注視行動を計測し た.交差点原点から30m 程度離れた位置から交差点へ直進で進入した.各通行位置ごとに走行 練習も含めて3回程度走行した.限られた調査時間の中で可能な限り他通行者の影響を受けな い状況で走行した. 通行位置 ① 左側路側帯(歩道も含む) ② 車道左端 ③ 車道左側 30m ④ 車道右側 ⑤ 車道右端 ⑥ 右側路側帯(歩道も含む) ⑤ ⑥ ① ② ③ ④ 自 転 車 ← どこを「見な」がら接近? 通行位置ごとに・・・ 図3.10 視線挙動の走行調査の概念図

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(4) 実施結果 施策有りの8つの進入路とそれに対応する比較用の4つの進入路のうち,西葛西①・②,葛 西①・②,金沢①・②・③の合計 12 進入路で走行調査を実施した.被験者は,普段から自転 車を利用している大学生(4年生)とした.西葛西・葛西の調査は,2013 年 08 月 07 日(水)~09 日(金)に実施した.金沢の調査は,2013 年 09 月 26 日(木)~29 日(日)に実施した.各通行位置 ごとに2~3回程度の交差点接近時の視線挙動データを収集できた.アイマークビデオのサン プルを表3.5 に示す. 表3.5 アイマークビデオのサンプル 通過位置 記録されたビデオ映像 [-5m]付近 [-10m]

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第 4 章 通行挙動特性の基礎的分析

本章では,細街路小交差点における自転車の通行挙動に関する基礎的分析を行う.「通行位置 明示」による自転車の通行挙動に対する効果や残存する安全上の課題を考察するために,交差 点接近時の「走行挙動」の特性および通行位置ごとの「見え」の特性を把握する.

4.1 分析用データの作成

4.1.1 走行挙動 交差点接近中の走行挙動として,交差点接近中の通行位置,交差点進入位置,速度,進入手 前の安全確認や停止状況,交差点内部の通過位置,流出時の通行位置,などに着目した. 本研究では,一般通行調査で得られたビデオ映像を用いて,1通行者ごとに挙動を目視判断 し,通行者の属性データとして入力することとした.通行者種別は,歩行者・自転車・二輪車(原 付含む)・四輪車,とした.「通行位置明示」進入路および比較進入路の自転車の走行挙動属性 とデータ項目を表4.1 に示す.「通行位置明示」進入路の自転車以外の通行者ならびに,交差道 路の全通行者,の走行挙動は,表4.1 のサブ属性のみ入力することとした. 対象交差点の進入路のうち,「通行位置明示」有無による挙動比較のため,西葛西①東側進入・ 西側進入([有り(カラー化)]),葛西①北側進入・葛西②北側進入([無し]),金沢①北側進入・南側 進入([有り(白線ピクト)]),金沢②北側進入・南側進入([無し]),の8進入路の自転車の走行挙動 をデータ化した.また,参考比較のために,交差道路のうち比較的に自転車交通量の多かった 西葛西①南北,葛西①東西,葛西②東西もデータ化した.これらはすべて「優先・双方向」で 施策無しの進入路である. 現時点で入力完了したサンプル数を表4.2 に示す.

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表4.1 「通行位置明示」進入路の自転車の走行挙動属性 断面 属性 サブ データ項目 [-10m] 通過時刻 (区間速度計算用) 通行位置 6種類 ①左側路側帯・②車道左端・③車道左側・④車道右側・⑤車道右端・⑥右側路側帯 [-5m] 通過時刻 (区間速度計算用) 通行位置 6種類 ①左側路側帯・②車道左端・③車道左側・④車道右側・⑤車道右端・⑥右側路側帯 < 区間 > 路上占有状態 * 程度 0:無し(駐車車両や看板など) 1:有り(車道に影響するまで張出し) 2:有り(車道中央付近まで張出し) 他通行者 無し 有り 種別:歩行者・自転車・二輪・四輪 方向:対向・同向 位置:他通行者の進行方向の通行位置 交錯時挙動 3種類 0:影響無し・1:回避・2:停止 [隅切] 通過時刻 * (区間速度計算用) 通行位置 * 6種類 ①左側路側帯・②車道左端・③車道左側・④車道右側・⑤車道右端・⑥右側路側帯 停止状況 * 4種類 0:無し・1:減速・2:徐行(すぐに停止できる程度の速度)・3:停止 安全確認 * 向き 左・後・右 (首ふり) 回数 無し・1回・2回・3回・4回以上 [00m] 通過時刻 (区間速度計算用) < 区間 > 進行方向 * 3種類 左折・直進・右折 交差点 通過位置 * 3種類 手前・中央付近・奥側 (右左折のみ) 内部 路上占有状態 * 位置 角:左手前・左奥・右手前・右奥 程度 0:無し(駐車車両や看板など) 1:有り(車道に影響するまで張出し) 2:有り(車道中央付近まで張出し) 他通行者 進入路 左側・向側・右側・同じ側 無し 有り 種別:歩行者・自転車・二輪・四輪 方向:対向・同向 位置:他通行者の進行方向の通行位置 交錯時挙動 3種類 0:影響無し・1:回避・2:停止 [出口] 通行位置 * 6種類 ①左側路側帯・②車道左端・③車道左側・④車道右側・⑤車道右端・⑥右側路側帯 路上占有状態 * 程度 0:無し(駐車車両や看板など) 1:有り(車道に影響するまで張出し) 2:有り(車道中央付近まで張出し)

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表4.2 分析に用いた自転車の走行挙動データ 交差点名称 進入路 道路条件 データ 自転車 (カラーは,施策有無の比較グループ) セット 左折 直進 右折 計 入力率 西葛西① 東側進入 非優先/順走 /カラー化 フル 41 30 23 94 100% 西側進入 非優先/逆走 /カラー化 フル 9 38 53 100 63% 北側進入 優先 /双方向/無し サブ 4 95 3 102 23% 南側進入 優先 /双方向/無し サブ 3 91 2 96 16% 葛西① 東側進入 優先 /双方向/無し サブ 5 90 3 98 21% 西側進入 優先 /双方向/無し サブ 4 76 4 84 15% 北側進入 非優先/順走 /無し フル 23 39 19 81 94% 葛西② 東側進入 優先 /双方向/無し サブ 14 72 7 93 18% 西側進入 優先 /双方向/無し サブ 3 91 4 98 18% 北側進入 非優先/逆走 /無し フル 9 30 5 44 94% 金沢① 北側進入 優先 /逆走 /白線ピクト フル 16 83 1 100 31% 南側進入 優先 /順走 /白線ピクト フル 5 91 4 100 34% 金沢② 北側進入 優先 /逆走 /無し フル 5 75 5 85 100% 南側進入 優先 /順走 /無し フル 13 81 6 100 70% 計 154 982 139 1,275 29% 4.1.2 交差道路の見通し距離 進入路の通行位置ごとの交差道路の見通し距離は,現地計測で得られた交差点寸法を用いて 計算することとした.図4.1 に示すように,通行位置ごとに交差点原点からの距離を変化させ て,左右の交差道路側の見通せる距離を計算した.ここでは,視界遮蔽物が交差点角の民地境 界線まで立地していて,視界が最も狭い状況を想定した. 対象交差点の進入路のうち,西葛西①東側進入・西側進入,葛西①北側進入,葛西②北側進 入,金沢①北側進入・南側進入,金沢②北側進入・南側進入,の8進入路の見通し距離を計算 した.

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⑤ ⑥ ① ② ③ ④ 自 転 車 ← X yL yR X : 交差点原点からの距離 yL : 左側の見通せる距離 yR : 右側の見通せる距離 どこまで「見え」る? 図4.1 見通し距離の概念図 4.1.3 運転者の注視行動 通行位置ごとの注視行動として,交差点接近中の注視点の変化をデータ化することとした. 具体的には,モニター走行調査で得られたビデオ映像を用いて,それぞれの交差点進入走行ご とに,自転車の通過地点と注視対象物とを目視判断し,通過地点ごとの属性データとして入力 することとした.表4.3 に注視対象物の属性項目を示す.注視対象物の存在する場所として7 つのエリア区分を設定した. 対象交差点の進入路のうち,標準的な形状の交差点で分析するために,西葛西①の東側進入・ 西側進入,葛西①の北側進入,葛西②の北側進入をそれぞれデータ化した.しかしながら,ア イマークビデオに記録された視線位置にデータ欠損(太陽光などによる検知エラーやミス)が多 く見られた.また,走行調査時に他通行者の影響を受けた走行が多く見られた.これらを除外 した結果,分析に使える交差点進入走行は,各進入路の通行位置ごとに1サンプルずつで,合 計24 サンプルとなった. 取得できた注視行動のデータを表 4.4 に示す.表中の図は,通行位置ごとの一回の交差点進 入走行における注視点の動きを軌跡として示したものである.交差点原点からおよそ15m 付近 から交差点原点付近までを示した.

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表4.3 注視対象物の属性項目 通過地点ごとの属性項目 イメージ エリア 進入路 左側沿道 (進入路左) 左右沿道の挟まれた中央空間 (進入路中) 右側沿道 (進入路右) 交差点部 左手前角から見通せる空間 (交差側左) 交差点内部の空間 (交差点) 右手前角から見通せる空間 (交差側右) 対向路 路上および左右沿道の空間 種別 通行者 歩行者 自転車 車両(二輪・四輪) 路面標示 停止線 止まれ 指導帯・ピクト その他 沿道建物や地物 表4.4 取得できた注視行動データ(交差点接近中の注視点の動き) ※アイマークレコーダーのデータ欠損の多いサンプルや他通行者の影響したサンプルは除外. 交差点原点から のおよその距離 左側路側帯 車道左端 交差点原点から のおよその距離 車道右側 車道右端 右側路側帯 左側路側帯 車道左端 車道左側 車道左側 車道右側 車道右端 右側路側帯 西葛西① 葛西①(上段) / 葛西②(下段) 東側進入 北側進入 西側進入 北側進入 非 優 先 0 2 4 6 8 10 12 14 交差側右 交差側左 交差点 進入路左 進入路左 進入路中対向路 0 2 4 6 8 10 12 14 0 2 4 6 8 10 12 14 0 2 4 6 8 10 12 14

表 2.1 自転車通行場所 種別 名称 概要 専用空間 自転車専用道路 自動車とは別路線/幅員3m以上(自転車歩行 者専用道では4m以上)/双方向通行可能 自転車歩行者専用道路 (同上) 自転車道 道路両側の物理的分離/幅員2m以上(やむを 得ない場合1.5m以上も可)/双方向通行可能 車道空間 車道左端 自動車との混在 自転車専用通行帯 (自転車レーン) 物理的分離無しだが自動車通行不可/幅員 3m以上(1.5m以上が望ましい・やむを得ない場 合1m以上)/片側一方通行 歩道(的)空間 自転車歩行者道 (
表 2.2 自転車に係る主な交通ルール   3)  ・車道通行の原則 自転車は、歩道と車道の区分がある道路では車道を通行しなければならない(ただし、自転車道があれば 自転車道を通行しなければならない。また、著しく歩行者の通行を妨げることとなる場合等を除き、路側帯を  道路では左側を通行しなければならず、特に、車両通行帯のない道路では、道路のひだり左側端を通行 しなけれならない。また、車両通行帯のある道路では原則として一番左側の車両通行帯を通行しなければ 道路交通法第17条、第17条の2、第18条、第20条、
表 2.3 兵庫県における自転車関連事故の実態 合計 自転車関連事故 それ以外の事故 5ヵ年 168,984 39,324 129,660 合計 内,出合頭事故 内,第二当事者が自動車 自転車が第一当事者 11,251 8,645 8,279 自転車が第二当事者 29,117 17,175 25,767 内,信号機の無い中小規模交差点 内,信号機の無い大規模交差点 内,それ以外 自転車が第一当事者 5,897 349 5,005 自転車が第二当事者 14,169 1,252 13,696 自転車関連事故 内
表 4.1 「通行位置明示」進入路の自転車の走行挙動属性 断面 属性 サブ データ項目 [-10m] 通過時刻 (区間速度計算用) 通行位置 6種類 ①左側路側帯・②車道左端・③車道左側・④車道右側・⑤車道右端・⑥右側路側帯 [-5m] 通過時刻 (区間速度計算用) 通行位置 6種類 ①左側路側帯・②車道左端・③車道左側・④車道右側・⑤車道右端・⑥右側路側帯 &lt; 区間 &gt; 路上占有状態 * 程度 0:無し(駐車車両や看板など) 1:有り(車道に影響するまで張出し) 2:有り(車道中央付近まで張出
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