第 4 章 通行挙動特性の基礎的分析
4.1 分析用データの作成
4.1.1 走行挙動
交差点接近中の走行挙動として,交差点接近中の通行位置,交差点進入位置,速度,進入手 前の安全確認や停止状況,交差点内部の通過位置,流出時の通行位置,などに着目した.
本研究では,一般通行調査で得られたビデオ映像を用いて,1通行者ごとに挙動を目視判断 し,通行者の属性データとして入力することとした.通行者種別は,歩行者・自転車・二輪車(原 付含む)・四輪車,とした.「通行位置明示」進入路および比較進入路の自転車の走行挙動属性 とデータ項目を表4.1に示す.「通行位置明示」進入路の自転車以外の通行者ならびに,交差道 路の全通行者,の走行挙動は,表4.1のサブ属性のみ入力することとした.
対象交差点の進入路のうち,「通行位置明示」有無による挙動比較のため,西葛西①東側進入・
西側進入([有り(カラー化)]),葛西①北側進入・葛西②北側進入([無し]),金沢①北側進入・南側 進入([有り(白線ピクト)]),金沢②北側進入・南側進入([無し]),の8進入路の自転車の走行挙動 をデータ化した.また,参考比較のために,交差道路のうち比較的に自転車交通量の多かった 西葛西①南北,葛西①東西,葛西②東西もデータ化した.これらはすべて「優先・双方向」で 施策無しの進入路である.
現時点で入力完了したサンプル数を表4.2に示す.
表4.1 「通行位置明示」進入路の自転車の走行挙動属性
断面 属性 サブ データ項目 [-10m] 通過時刻 (区間速度計算用)
通行位置 6種類 ①左側路側帯・②車道左端・③車道左側・④車道右側・⑤車道右端・⑥右側路側帯 [-5m] 通過時刻 (区間速度計算用)
通行位置 6種類 ①左側路側帯・②車道左端・③車道左側・④車道右側・⑤車道右端・⑥右側路側帯
< 区間 > 路上占有状態 * 程度 0:無し(駐車車両や看板など) 1:有り(車道に影響するまで張出し) 2:有り(車道中央付近まで張出し)
他通行者 無し
有り 種別:歩行者・自転車・二輪・四輪 方向:対向・同向
位置:他通行者の進行方向の通行位置 交錯時挙動 3種類 0:影響無し・1:回避・2:停止
[隅切] 通過時刻 * (区間速度計算用)
通行位置 * 6種類 ①左側路側帯・②車道左端・③車道左側・④車道右側・⑤車道右端・⑥右側路側帯 停止状況 * 4種類 0:無し・1:減速・2:徐行(すぐに停止できる程度の速度)・3:停止
安全確認 * 向き 左・後・右
(首ふり) 回数 無し・1回・2回・3回・4回以上 [00m] 通過時刻 (区間速度計算用)
< 区間 > 進行方向 * 3種類 左折・直進・右折
交差点 通過位置 * 3種類 手前・中央付近・奥側 (右左折のみ) 内部 路上占有状態 * 位置 角:左手前・左奥・右手前・右奥
程度 0:無し(駐車車両や看板など) 1:有り(車道に影響するまで張出し) 2:有り(車道中央付近まで張出し) 他通行者 進入路 左側・向側・右側・同じ側
無し
有り 種別:歩行者・自転車・二輪・四輪 方向:対向・同向
位置:他通行者の進行方向の通行位置 交錯時挙動 3種類 0:影響無し・1:回避・2:停止
[出口] 通行位置 * 6種類 ①左側路側帯・②車道左端・③車道左側・④車道右側・⑤車道右端・⑥右側路側帯 路上占有状態 * 程度 0:無し(駐車車両や看板など)
1:有り(車道に影響するまで張出し) 2:有り(車道中央付近まで張出し)
表4.2 分析に用いた自転車の走行挙動データ
交差点名称 進入路 道路条件 データ 自転車
(カラーは,施策有無の比較グループ) セット 左折 直進 右折 計 入力率 西葛西① 東側進入 非優先/順走 /カラー化 フル 41 30 23 94 100%
西側進入 非優先/逆走 /カラー化 フル 9 38 53 100 63%
北側進入 優先 /双方向/無し サブ 4 95 3 102 23%
南側進入 優先 /双方向/無し サブ 3 91 2 96 16%
葛西① 東側進入 優先 /双方向/無し サブ 5 90 3 98 21%
西側進入 優先 /双方向/無し サブ 4 76 4 84 15%
北側進入 非優先/順走 /無し フル 23 39 19 81 94%
葛西② 東側進入 優先 /双方向/無し サブ 14 72 7 93 18%
西側進入 優先 /双方向/無し サブ 3 91 4 98 18%
北側進入 非優先/逆走 /無し フル 9 30 5 44 94%
金沢① 北側進入 優先 /逆走 /白線ピクト フル 16 83 1 100 31%
南側進入 優先 /順走 /白線ピクト フル 5 91 4 100 34%
金沢② 北側進入 優先 /逆走 /無し フル 5 75 5 85 100%
南側進入 優先 /順走 /無し フル 13 81 6 100 70%
計 154 982 139 1,275 29%
4.1.2 交差道路の見通し距離
進入路の通行位置ごとの交差道路の見通し距離は,現地計測で得られた交差点寸法を用いて 計算することとした.図4.1に示すように,通行位置ごとに交差点原点からの距離を変化させ て,左右の交差道路側の見通せる距離を計算した.ここでは,視界遮蔽物が交差点角の民地境 界線まで立地していて,視界が最も狭い状況を想定した.
対象交差点の進入路のうち,西葛西①東側進入・西側進入,葛西①北側進入,葛西②北側進 入,金沢①北側進入・南側進入,金沢②北側進入・南側進入,の8進入路の見通し距離を計算 した.
⑤ ⑥
① ② ③ ④
自転車←
X
yL yR
X : 交差点原点からの距離 yL : 左側の見通せる距離 yR : 右側の見通せる距離
どこまで「見え」る?
図4.1 見通し距離の概念図
4.1.3 運転者の注視行動
通行位置ごとの注視行動として,交差点接近中の注視点の変化をデータ化することとした.
具体的には,モニター走行調査で得られたビデオ映像を用いて,それぞれの交差点進入走行ご とに,自転車の通過地点と注視対象物とを目視判断し,通過地点ごとの属性データとして入力 することとした.表4.3に注視対象物の属性項目を示す.注視対象物の存在する場所として7 つのエリア区分を設定した.
対象交差点の進入路のうち,標準的な形状の交差点で分析するために,西葛西①の東側進入・
西側進入,葛西①の北側進入,葛西②の北側進入をそれぞれデータ化した.しかしながら,ア イマークビデオに記録された視線位置にデータ欠損(太陽光などによる検知エラーやミス)が多 く見られた.また,走行調査時に他通行者の影響を受けた走行が多く見られた.これらを除外 した結果,分析に使える交差点進入走行は,各進入路の通行位置ごとに1サンプルずつで,合 計24サンプルとなった.
取得できた注視行動のデータを表4.4に示す.表中の図は,通行位置ごとの一回の交差点進 入走行における注視点の動きを軌跡として示したものである.交差点原点からおよそ15m付近 から交差点原点付近までを示した.
表4.3 注視対象物の属性項目
通過地点ごとの属性項目 イメージ
エリア 進入路 左側沿道 (進入路左)
左右沿道の挟まれた中央空間 (進入路中) 右側沿道 (進入路右)
交差点部 左手前角から見通せる空間 (交差側左) 交差点内部の空間 (交差点)
右手前角から見通せる空間 (交差側右) 対向路 路上および左右沿道の空間
種別 通行者 歩行者 自転車
車両(二輪・四輪) 路面標示 停止線
止まれ 指導帯・ピクト その他 沿道建物や地物
表4.4 取得できた注視行動データ(交差点接近中の注視点の動き)
※アイマークレコーダーのデータ欠損の多いサンプルや他通行者の影響したサンプルは除外.
交差点原点から のおよその距離 左側路側帯
車道左端 交差点原点から のおよその距離
車道右側 車道右端 右側路側帯 左側路側帯 車道左端 車道左側
車道左側 車道右側 車道右端 右側路側帯
西葛西① 葛西①(上段) / 葛西②(下段)
東側進入 北側進入
西側進入 北側進入
非 優 先
0 2 4 6 8 10 12 14
交差側右 交差側左 交差点
進入路左 進入路左
進入路中対向路
0 2 4 6 8 10 12 14
0 2 4 6 8 10 12 14
0 2 4 6 8 10 12 14