Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/
Title
№30:転医後に外科矯正へと治療方針を変更した歯周
病を伴う上顎前突症例
Author(s)
武井, 純子; 宮崎, 晴代; 内田, 悠志; 安村, 敏彦; 片
田, 英憲; 髙野, 正行; 末石, 研二
Journal
歯科学報, 114(3): 298-298
URL
http://hdl.handle.net/10130/3341
Right
目的:患者の転居に伴い矯正治療の継続を依頼さ れ,改めて診断を行った結果,やむなく治療方針の 変更に至ることがある。本症例は,長期に渡る治療 にもかかわらず咬合の改善が行われず,口腔内環境 も悪化していたため,矯正装置を除去して歯周病の 治療を行い外科矯正へ治療方針を変更したことで良 好な治療結果を得たので報告する。 症例:患者は上顎前突治療の継続を希望する24歳女 性。転医までに約6年間の本格矯正治療を受けてい た。前医には出っ歯を主訴に18歳で来院し,Angle 分類Ⅱ級1類,overjet 10mm,overbite 2mm,SNA 86°,SNB73.5°,ANB12.5°,U1 to FH118°,L 1 to Mnd107°より上顎の突出と下顎の後退による 骨格性上顎前突と診断された。上顎第一小臼歯抜歯 にて本格治療を行ったが口唇の突出が改善しなかっ た。このため下顎第一小臼歯の抜歯を追加し上顎歯 は遠心移動を行なっていた。転医時は依然として上 顎前突の状態であり,かつ口腔衛生は極めて不良で 歯周病の悪化が顕著であったため,矯正治療を中断 し歯周病科へ治療を依頼した。中等度慢性歯周炎と 診断され矯正装置を除去し歯肉剥離掻爬術を含む全 顎歯周治療を約2年実施した。歯周病の改善ののち 27歳で再診断を行った。上顎に抜歯空隙が残る一方 で下顎前歯は唇側傾斜のまま下顎歯列の空隙はほぼ 消失し,overjet 11mm,overbite 2mm,上顎前突 傾向,下顎の後退が目立つ側貌であったため,審美 性の獲得を第一に考え外科矯正とした。治療方針と して上顎は J-Hook にて抜歯空隙を閉鎖し,下顎骨 を SSRO にて前方移動し,更にオトガイ形成術に より顔貌の改善を行った。この間,歯周病科にて歯 周病管理を継続した。外科的矯正治療の治療期間は 約3年間であった。 成績および考察:治療の結果,overjet 2mm,over-bite 1mm で大臼歯関係はⅠ級となった。セファ ロ分析は SNA85°,SNB76°,ANB8°であり,ANB は大きいもののオトガイ形成術によって顔貌の改善 がなされた。歯周病を伴う矯正治療では,歯周病医 による適切な歯周病治療を行った上で矯正治療を行 うことが安全な矯正を行う上で重要である。本症例 は前医での治療を含めて12年間という長期間に渡る 矯正治療となった。矯正治療期間の延長は患者の QOL の低下につながるため,適切な診断のもとに 治療を行う必要があると考えられる。