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問われる人間の尊厳とヒューマンケア

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Academic year: 2021

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特 別 講 演

「問われる人間の尊厳とヒューマンケア」

紙屋克子(静岡県立大学教授/筑波大学名誉教授)  

 世界に例をみない速さで進行するわが国の高齢社会、そして高度先進医療の進展は、国民のケ アニーズを増大させるとともに、医療に対する国民の価値観をも大きく変化させました。その具 体的な影響は、Informed consent(IC)法理の導入やquality of life(QOL)の重視というかたちで、 これまで以上に看護やケアに対する国民の期待を高めることになりました。また、看護の周辺領 域にはこうした社会の要請に応えるために新しい有資格職の誕生が相次ぎ、改めて看護の役割と 専門性が問われています。チーム医療において、多職種と協同しながら看護者がその専門性と独 自性を発揮するためには、看護活動の中核をなす看護支援技術を明確化する必要があります。  看護者が行う日常生活支援の活動の中には、ヘルパー、介護福祉士、理学療法士、ひいては素 人のできる行為まで、幅広い技術の存在が確認されます。しかしながら生活支援の専門職として、 看護者が提供する技術には目的・方法・効果の期待において、他の職種と明確な違いがなければ なりません。  人々の日常生活の営みは、その国の文化を端的に表わしています。もし、人がなんらかの理由 によって、自らの意志と能力で生命と生活をコントロールできなくなったとき、社会がその人の 人間としての尊厳を損なうことなく、生命と生活の有り様を支援してゆく手段とシステムをどの ように準備しているかということは、まさに、その国の文化が到達したレベルを表わしていると いってよいでしょう。具体的には社会的弱者である子供や老人、病者や障害者の基本的人権と生 活が、どのように護られているかが問われます。医療と看護は、福祉や教育と並んでその国の文 化レベルを評価する尺度とも考えられます。  健康にその人らしく生きること、その人にふさわしい死を迎えることは、人間としての基本的 な権利です。複雑に進歩する社会にあって、今こそ人間の尊厳が問われる時代といえるでしょう。 わが国では、看護の必要性については広く知られているものの、その役割については十分に理解 されているわけではありません。  多くの専門職と連携して地域でもチーム医療の実践が望まれる今日、専門職間の対等性は知識 の量によるものではなく、その領域の専門家として、他の専門職の信頼にたる活動ができる能力、 そして責任がとれるということが重要です。  地域・臨床の実践現場においても多忙な現状に埋没して、これまでの実践をただ踏襲するだけ でなく常に時代の要請に応え、新しい課題に挑戦する実践者として自己研鑽とチームの力量を高 める看護活動の在り方について、私の専門である意識障害の看護、ならびに看護技術の開発と成 果について紹介すると共に、私見を述べさせていただきます。

参照

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