一ポーランド国立図書館蔵の自筆譜の研究VI
A Bibliographical Study on Chopin’s Preludes op. 28 by Autograph Note in Polish National Bibliotek [6]佐 藤 允 彦
プレリュード,作品28の3,ト長調の作曲の時期について,Maurice J. E. Brownは 彼の著書Chopin」an index Of his worksの中で1836年より1839年11月迄の作品とし, Chronological No.107とし,一群の作品を列挙している。この3年に作曲された一群の 作品は,3・5・6・8・9・11・12・13・14・15・16・18・19・20・22・23・24番であ るとしている。この説は,3年の間に多数の作品が集中して作曲されたものであるとして も,1839年11月迄の間に集中して作曲されたという説には賛成することができない。この プレリュードの出版は1839年9月にLeipzigのBreitkopf&Haerte1(6088:Cahiers I,II)とドイツ版が出版され,フランスではPleye1から版権を買いとったAdolphe Catelin (560)が同年6月に出版,イギリス版は,Wesselが(Book I:3098;Book II:3099) 8月30日に出版しているのである。この出版の時期からみて,作曲の時期を1839年11月迄 としたBrownの説は単なるミスプリントとして看過ごすことのできない点であろう。 確かに大多数のプレリュードは,パリ時代のある時期に集中して作曲され,しかも大部 分は完成譜としてではなく,未完のままマヨルカにもち出され,マヨルカで加筆,訂正な どが行われているのである。ショパンがプレリュード集の計画をしたのは,1835年,作品 27の2曲のノクターンを完成し,作品番号27をつけた直後のこととする説が多いが,『相 愛大学研究論集』第2巻の中で記述したように,ショパンは1835年6月30日Breitkopf 社に宛てた手紙に「四手のためのソナタ・作品28」について触れており,その頃のショパ ンは計画だけに終った四手用のソナタに作品番号28を予定し,それ以上に多くの作曲中の 作品が多数あったことから判断すると,プレリュード集が実際に完成し作品番号をつける 段階まできて,作品番号が分らなくなってしまい,Fontanaに分らなくなった旨を述べ, Fontanaも作品番号をつけないまま出版社に送りつけるという事態が生じている訳であ る。ショパンのプレリュードの研究 こうした事実は,ショパンの手元には確かに多くのスケッチ,未完の作品,計画中の作 品が山積していたためにおきたことは確かであり,この種の作品の中にプレリュードの多 くが含まれており,プレリュード集を書きあげるという意志が早くからショパンの中に暖 められていたことも考えられる。それ故に1835年頃にプレリュードの計画ができあがった とするよりは,むしろもっと前からプレリュードの計画はありながら完成のめどがたたず, マヨルカ旅行の話しがでた段階でPleye1から旅費の一部を引きだすもっとも手近かな作 品を考えて前金を受けとったと考えられよう。こうした考え方を前提とするならぽ,プレ リュードのうち17曲を3年の間に集中して作曲したとするよりも,更に詳細な研究が必要 となり,各日の作曲の経過・完成の時期を再検討する必然性が生じると考えるのである。 ト長調第3番プレリュードは,自筆譜の第3頁と4頁の上段に書かれ,4頁の下6段に 第4番ホ短調が書かれている。五線紙は14段楽譜を用いている。この五線紙は,このプレ リュードに共通して用いられているもので,同じように12曲でまとめた作品10のエチュー ドでは10段の楽譜と12段の楽譜が雑居しているが,作品24と作品30のマズルカのセットで は,ショパンは12段譜を用い,コピーストとしてショパンを助けたフォンタナの用いた楽 譜は14段を用いている。こうした五線紙の違いはウィーンからパリ時代の初期にかけてみ られたことであり,パリ以後では14段を用いたと見ることができる。ト長調は14段の五線
紙に書かれ,1∼2,4∼5,7∼8,10∼11,13∼14を用い,間の3,6,9,12段目
は書き損じ,又は変更の時の予備として空けておくのがショパンの通常の書法であり,こ れと同じ書法は前述のマズルカや他の作品に共通している方法である。従って原譜4頁の方も1∼2,4∼5,7∼8の段を用いている。
速度記号VivaceのVはポーランド語のアルファベットにはなく,それだけに文字の 特徴がよく出ている。アッパータッチで切りこみ鋭くストレートダウンし,同じように鋭 角で上り,アッパーストップし次のiは上方からのストレートダウンでストップし,つ ぎのvは大文字と同じようにアッパーして鋭く右下方に下りて力点を止め,鋭くアッパ ーにはねあげたものである。次の小文字のaは,Z. Czeczot, A. Zacharias両研究者の 指摘するする通り,aのルービングの後に下方の切り込みに特徴がみられ,つぎの。は, 丸味を帯びながらもなにかiの方に近い筆勢となっている。この速度記号の筆勢は,マ ヨルカでの特徴であると考えられる(資料1)。楽譜そのものは中間色のインキを用いて 書かれているのに,速度記号や発想記号は淡色のインキCを用いて書かれているのがよ く分かるのである。同じVivaceの第19番変ホ長調の文字(資料2),筆勢,書法がひど く酷似し,同じ頃に書かれたに違いないと見られる。しかし第11ts P長調の書体(資料 3)は違っている。第3番ト長調に較べるとVは全体に丸味をもって描かれ,運筆とス トップが全く違った字体になっていることに気付く。更に発想記号Leggieramenteのし の書体がト長調と第19番変ホ長調のLegatoのしに共通の書体が見られる。ト長調では 2灘灘礁盤護叢…嘉
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資料2 資料3 資料4 しのタッチはアッパーで入り,やわらかく上方のルーピンクをつくり,ストレートに左 下方に勢いよく下り軽いルービングで次のeに流している(資料4)。ト長調の左下方へ のタウン角度は33度であり,変ホ長調のしのダウン角度は34度であり,角度的に殆んど 変化のみられない角度とシェーブをしている(資料2参照)。それに反し,第11番P長調の Lは極端に傾斜して軟かいタゾチの文字に変っている。Czeczot, Zacharias両氏も指摘 しているが,ショパンのLはかなりストレートに直立に近い字体が普通であるのに,ロ 長調はかなり横に傾斜しすきたきらいがあり,あるいは,このしの傾斜角度とルーピン クの勢いの中にショパンの健康と文字の関係の秘密があるのかも知れない。比較的良好な 状態の筆蹟には誰しも勢いがあり,それに対して弱っている時の字体には荒れるか,さも なければ筆勢を感じないのが普通である。 マヨルカの旅はショパンの健康にとっては大変なマイナスであった。島に到着直後から 健康状態が悪くなり,雨期の湿度が肺結核を一層悪い方向にむけたのである。ホテルを結 核の故で放り出されるように追われ,フランス領事の幹旋でようやくパルマ郊外ソソヴァ ンに引越している。その頃のショパンはひどく咳こんでいた,ということだが,それほど の衰弱ではなくマヨルカ製のピアノを弾き,作品に加筆をしたりしている。つまり,この 時期のショパンには未だ勢いのある文字が書けたことを意味し,事実フォンタナ宛てに自 分の病状を面白おかしく書き送っているのである。完全に病人ではあったが,未だ病気ゆ えに落ちこむところまではいっていない。そのソンウァンでも村人たちがショパンが結核ショパンのプレリュードの研究 であることを知り追い出されてしまうのである。度々医者が来れば当然目立つことであっ たろうし,静かな村の中ではショパンの咳は聞こえたのかも知れない。現存するソンヴァ ンの立地条件から考えれば,隣家とはかなりの距離があり咳が聞こえることはないと考え られるのだが,医者の出入りか女中の口から村人たちに知られたのかも知れない。ソンヴ ァンを追われてヴァルデモーザの無人の僧院に移住している。僧院は山の上にあり,平地 より湿度は高かったに違いなく,ショパンの健康は見るみるうちに悪化して衰弱し,その 果ては幻覚に襲われたという。その辺りの事情は,George Sandのtt Un hiver a Mallorca” の中に少し誇張して書かれはしているが,ショパンの健康状態も精神状態も正常ではなか ったのは事実である。この辺りは,気分の良いときは仕事をし,あとは臥っていたという のが実状であったろう。こう考えると同じマヨルカの字体の中でも,ソンヴァンとヴァル デモーザとでは大きな違いが生じることは当然である。加筆の作業にも大いに影響してい ると考えられる。勢いのあるVivaceの文字はソンヴァン辺りで書かれたに違いない。そ れ迄は,速度記号なしのままであったと考えてよい。というのは,この心地よい曲を Fontanaが写譜したものが残っているが(Warszawa, TiFC M/340),その速度記号は Moderatoであり,もう1点しitom6fici,のArchiwum. SbA 16という同じFontana の写譜したものもModeratoになっている。速度記号の違うModeratoの楽譜が存在し ていること,ショパンの書いたVivaceの文字, LeggieramentoがマヨルカのインキC であることから判断して,パリ時代に殆んど完成した形でマヨルカに持ちこまれ,速度記 号と発想記号を記入し,スラーを書き入れたものだという判断ができる。 B.3に見られるソプラノにつけたアクセントは明らかにマヨルカのインキであり(資料 5),フレーズはマヨルカの記入である。B.8の左手のオスティナート風の動きは6段目 (資料6)に書きあらためているが,実際に弾いて完成の時点でオクターブ下にとる方が 良いと考えて書き替えたものであろう。この書き替えはマヨルカではなくパリであったと 思われる。同様にB.10・11の書き替えも同様である。パリの中間色のインキの書きつぶし である(資料7,8)。B.7とB.9の#は明らかにマヨルカでの加筆である(資料9,10)。
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資料5 資料6 4資料7 資料8 資料9 資料10 消去の方法でショパンは,初期の作品では総じて真黒にぬりつぶす方法はとらず,右傾 の斜線でぬり消す方法をとっている。この場合前に書いた音が何であったかを知ることが できる程の消し方である。この作品の中での消去は,初期の特徴を示し,かなり前に逆っ て書かれていた初期の作品の可能性が大きい。ただ速度記号,発想記号,アルペジオ,臨 時記号などは書きこまず,自分で弾くときはその時の気分のままに弾いて楽しんでいた形 跡の見える曲である。一見エチュードにみまがうぽかりのオスティナート風の左手の動き を楽しみ,ひらめくような右手の旋律をどのように音色を変えながら演奏するかを考えな がら,この曲を何度も何度も弾きつめて,アルペジオ記号を記入し,速度もVivaceに決 定したのであろう。ただし,ショパンのVivaceは決して快速ではなく,「軽やかに」の 意味をもつものだけに,演奏者はそのことをわきまえていなけれぽならない。 B,28のLeggieroのしの傾斜角が深くなっている。字体は変化していないのに,傾斜 角の深味が深くなり,あるいはこの辺りはヴァルデモーザでの加筆かもしれないと考えら れる(資料11)。曲の終りを示す副縦線も,マヨルカに行くまで書きこまれていなかった ようである。曲の最後の和音のアルペジオ記号を書き入れたのと同じ色調のインキを用い て副縦線を書き入れ,曲の終りを示すFineの文字がかなり乱れていることに気がつく (資料12)。いわゆる大文字のFを書いているのだが,このFの書き方に他の曲とは違う 書法が見受けられる。最初は小文字のFを書くのと同じ要領で左下から右上方にタッチ アップして書きはじめ,ルービングを円を書くように運筆するのではなく,タッチアップ
ショパンのプレリュードの研究 資料11
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資料12 難灘難・ 資料13 資料14 の線をなぞるように左下方に引き下ろし,矢印⑥のところで一度下のルービングを描いた がそこでインキがなくなったのか,ペンにインキをつけてもう一度④点にもどりあらため て④点以下にループを描いて,大きなルービングののち中央でFのクPスパーを書いて, そののち他のiには較べられないほど長いダウンタッチのiを書き下ろしそのままnの トップに筆圧を加えてNのマウンドを円形に近い滑らかさでそのままeのループに筆圧 が入り,eのループの後で右横に流れるように筆を運んでいる。そのあとで大文字を表わ すトップバーを書いたのであろう。プレリュードでのバーつきのfの書法としては,ま ず小文字のfを書き,その後にトップパーを引いた形跡が見られる。若し,トップバー を引いてからfを書くという筆順であるならぽ,fのアヅパータッチのルービングがあま りにも不ぞろいであり,またクロスの後でiに流れるタッチから判断してfineの小文字 を書き終えてからトップバーを筆勢に任せて引いたと見る方が妥当であるように見受けら れる。そのトップバーは資料13で見られるように左から流れるように引いており,筆圧を 加えて引く場合もfのトップに接するように気をつけながら引いている。第3番の場合 は明らかにマヨルカで書きこんだものであり,こうしたfの書き改めの例として21番変 P長調に例がある(資料14)。これもト長調と同じようなタッチであり,こうして,トッ プバー付の同質のタッチに依る文字を探してみると,第3番,第5番,第21番の作品の文 字がひどく酷似していることに気がつく。この三曲のfの斜角は第3番が37度,第5番 が38度,第2!番が35度と3度の違いであり,こうした直線に近い文字の傾斜角度と運筆の 6端蝿毒饗
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灘 ・ 資料15 相似は,必然的に同じ時期の文字であると断定することができる。第3番ト長調はパリで 殆んど完成のところまで仕上げられ,マヨルカで加筆し最後の副縦線を引いたものであろ う。 プレリュード第四番・ホ短調は,ショパンの自筆譜の第四頁の下半分,第3番ト長調の 後半の下部に書かれている(資料15)。この曲は,明確に第3番の後に位置すべきものと 予定され,どこか他の五線紙に完成に近い形で書きつけられていたものを,第3番の後半, 自筆譜4頁目の下6段に書き写したものである。ショパンの何時ものくせとして,1∼2, 4∼5,という風に一段開ける方法をとらず,しかも次の頁に行かないように注意しなが ら書いたことは明白である。然もその書法はどの作品よりも整然としていて,他からの書 き写しであることは明らかである。少しの乱れもない。 この曲の作曲の時期については,Maurice J. E. Brownは, Index No.123とし, 1838年11月から12月迄の作品としている。その論拠としている点については,『相愛大学 研究論集』第5巻の中で述べたので,ここではあらためて触れることは避けたい。スケッ チからいきなり,作品化されたものと断定するにはこの楽譜はあまりにも整然としており, パルマでショパンが書き写したと断定しようとしても,この曲の書き写しに使われたイン キが,いわゆるパリ時代に用いた中間色のインキBであり,全体的に判断して,マヨル カのパルマで写譜又は作曲されたものではなく,パリでもう第3番の後の6段に書きとら れていたとみる方が妥当であると考えている。インキの色調は第1番ハ長調のB25まで と同じ色調のインキBであり,マヨルカでの作曲だとすれぽ,インキC色調でなけれぽショパンのプレリュードの研究 ならない。第1番の25小節までと同じということは,インキBが使用されたものであり, 加筆訂正はマヨルカ製のインキCであると判定することができる。プレリュード集の大 体の構想ができた時点で,この曲はもう第4番と予定され,パリで第3番の後半にとりま とめてびっしりと書きとられたとみたい。 まず目につくものとしては,速度記号の変更がされていることである。現在の楽譜では 自筆同様にLargoとなっているが,当初ショパンのこの曲に適わしいと考えていた速度 は何であったかは,実に興味のあることである。第3番のムーヴマンに対して,単旋律と 半音階で動く和音がショパンにどのようなイメージで演奏されていたかを知りたいとの欲 望にかられた。念を入れて消去した書きつぶしをルーペで拡大して見たところ,どうやら 当初はAndanteを予定していた風に読みとれるのである。 Andanteを予定していたとす れぽ,これ程哀愁にみちた旋律を弾くため細かいデュナミークの変化の指定,あるいは感 情的盛り上りを示すウェッジなどがもっと多く書かれなけれぽならなかったろうし,T. Higginsのいうように,「最も聴覚的な作品」であるこの曲の性格をどのように演奏する か,又A.Cortotの言うように「ヴァルデモーザのショパンの部屋の反響」がペダリソ グの効果を演奏者に任すという結果につながった,と考えることもできる。ショパンのペ ダリングについては,これ迄も様々な点から問題を提供されることが多いが,ショパンの 使っていたピアノの鍵盤の幅よりもせまいこと,例えば第2番イ短調の左手が,普通の手 の大きさなら楽につかむことのできるものであること,更にショパンの使ったプレイエル のピアノの一部がガット弦であったこと等を考慮に入れるとしても,当時のピアノの機能 性が一一tsペダリングに影響するものであると考えられる。 又,ショパンの奏法そのものがレガート奏法の典型のようであったと考えられるので, その奏法であれぽソフトペダルの使用に依り,このホ短調の旋律と半音階で下降する左手 の和声の効果を耳でバランス良く聴きながら演奏する自由を弾く側に与えたと見ることが できる。とすれぽ,AndanteよりもLargoの方が自然な音の流れを聴きとり易いとした のであろう。 Largoのしの大文字の特徴については,資料16から21迄を参考としてあげておく。第 2番のLは左方から流れるように右上に流れるタッチではじまり,第4番とは全く違う シェーブを見せている。第4番のしのルービングは,同じしargoの9番,20番と比較し てもタッチが違うことに気がつく。むしろルービングだけを考えれば,6番のルービング に近い。しかし上のループの後で左下方に下がるタッチが流れるように下でループするの ではなく,おもむろに上方に引かれてクロスするタッチは他にない。2番と4番のタッチ の違いはパリ時代の数年,少くともエチュード作品10の発表の前後の文字との比較研究が 今後の課題となるであろう。それがこの作品の作曲時期を知る上で一つの手掛りとなるこ とは確実である。 8
資料16
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資料18 資料17 懸鍵. 資料19 資料20 資料21 B.5,B6のナチュラルは,明らかにマヨルカの加筆てある。特にB 6のナチュラルを 記入してから消している。B8,9のウェッシもマヨルカでの加筆である。 B 12のアクセ ント及びナチュラルも同様にマヨルカの加筆である。B16, B17, B20のウェノジもマヨ ルカのインキの色が鮮やかである。 こうしてみると,第4番ホ短調はパリに居る間にあらかた書きあげられ,臨時記号,ア クセント,フレーズなどがマヨルカで加筆されているはかりである。 曲の最後のFlneの文字は字体の面からみると第20番と非常に近い感じがするが,トソ プバーの書かれていないFでありながら,第3番のfとneが非常に近いことに気付く。 3番のiの場合は筆勢良く引き下して,その勢いのままnの方に流れているが,4番で はそれ程の筆勢をもたずに,クロスループの後で1を書き,引き下して筆をとめているショパンのプレリュードの研究 資料22 だけで時期の断定の材料になりえない。この辺りの筆順の研究も未だこれからの問題とな るのではないだろうか。 ことは,第3番に近い書体であ る。更にnの前の山形が鋭角 になっている点に注意しなけれ
ぽならない。その後のeのル
ービングは全く同じ型であるこ とも同じである。こうしてみる と,第3番と同期にfineを書 きこんだという可能性が強いと 考えられる。トップバーは,そ の時の気分に応じて書くことも あり,バーつきであるかないかト長調第3番プレリュード自筆譜第3頁と第4頁 、 ㌦ 嚇鞍一一一 uatwwt一.
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