鱗 灘
磁
m
第 63 回 日本 循 環 器学 会 学術 集 会
蠍 潔 黴 総 蠍 灘鑼 齶 縮聯 寂輔 黴 淑 塒 黙 願 駕 嬲 罵鑼 鰲鯲 熨 竃
V 最 近
の循 環 器 負 荷 試 験
:運 動 生 理 ・ 運 動 療 法
と の連 関
呼 気 ガ ス 分 析指 標 と 運 動 療 法 効 果
か
t
うf
ヨ 心 臓m
「管研 究所加 藤 理
’
ヒ ト
x
ち
t=
げ
,
ぬ //// tt/en//
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/ビ
ま i鵬 鯲 脳 鞴
飜驪 繊 鬟ミ
1
蠶鍵論i
難 蠶 鎌 瀕 1蠶 蠶il
近
年,
運 動 療 法 が 安 定 狭 心 症, 急 性心筋 梗 塞,開 心 術後, 本 態性高血圧 症などの各 種 循 環 器 疾 患 患 者の運 動 耐 容 能
, QOL
お よ び予後
を改善
す る 効 果を有
す ることが 認 め られてい る.
その ような 運 動 療 法を
安
全 に実
施し,
かつ 最 大 限の効 果を得るた めには, 運 動 耐 容 能を 正確
に 測 定 して, 最適
な 運動
処方を作 成すると と もに随時
効 果を評 価し な が ら行 うこ とが 重 要であ り,
そのためには 心 肺 運 動 負 荷 試 験
( CPX )
】一 一
3 )が
有
用 で ある.
本 稿では,
CPX
で得
ら れ る呼 気 ガス分 析 各 指 標の意 義 および 運 動 療 法によ る変 化な ら び に期待
され る効 果につ いて,
これまでの知 見に今回の シ ンポジウム (第63
回 日本循環 器 学会 学 術 集 会 )で の報 告を加 えて述べ る
.
シ ンポ ジス ト
野 原 隆 司 (京都大学大 学 院 医 学 研 究 科循 環病 態学) 平 野 浩二 (久留 米 大学 医 療セ ン タ
ー
循 環 器 科 ) 松 本晃裕 (東 京 大 学 医 学部循 環器科 )前 原 和 平 (福 島県 立 医 科 大 学 第 1内 科)
佐 藤
徹 (国立循 環器病セ ン タ
ー
心 臓 内 科) 加藤 理 (心臓血管 研 究所 )長 田尚彦 (聖マ リ アソナ 医科大 学第2内科 ) 小 池 朗 (東 京 医科 歯 科大 学 医 学 部 救 急 医 学)
回復 期
図
1
呼 気ガ ス分析 指標の位置づ け心肺 運 動 負 荷 試 験 (CPX )は
,
安 静4分,
20W
ウォ
ー
ム ア ッ プ4
分に続 き,
10W ラ ソブ負 荷を症 候 限界 型で行っ た.
運 動 開 始時指 標と してはτon , 最 大下 負 荷 時 指 標 と
してはAT
,
VE − Vco2
slope,
PETco2,
最 大 負荷 時 指標 と してはpeak寸02
,
rnaximalVOz
を用いた.
1 .
酸 素 摂 取 量 (Vo2
)酸 素 摂 取量
( VO2 )
は,
生体が1
分 間に大 気 中 か ら取 り込 む 酸 素 量 (ml1
分)
で, 体全体で消費
す る
酸素
量(
酸 素 消 費 量 ;Qo2
) とは 異 なる.
通 常, 体 重1kg
あた り に 換算 し て表示 す る (rnl !
分1kg
).
定 常 状 態が成立 して いる ときには,Vo2
と
Qo2
は等 し く,Fick
の式( Vo2
= :Qo2
= :CO
×動 静 脈 酸 素
較
差)
か らVO2
は 心拍出量( CO
)の 指 標 と なる.
した が っ て , 心肺運
動 負荷
試験
( CPX )
で はVo2
によっ て運 動 中の心ポ ンプ
機 能 お よ び循 環 動態
を 非観血 的 に推 察す ること が 可能[κ
ey
words ]心 肺 運 動負荷試験, 呼気ガス分 析 指 標, 運 動 療法, 循環器疾 患
,
運 動 耐容能日本 循 環 器 学 会 専 門 医 誌 循 環 器専門 医 第7巻 第
2
号 285%
AT
i
・・! 1
50
。
L
_NYHA
O
NYHA
vs
%AT
] 1 王
壬
劉
50tt
歯
1 ff
NYHA
vs %peakVo2
壬 壬
皿
壬
I
y − − 1
図
2
percentof
predictedAT
お よ び peakVo2
年 齢
,
性 別 か ら 予 想 さ れる 正常値に対す る実測値の 割合 をpercent
ofpredicted
AT
(%AT
), percent
ofpredicted
peak
Vo2
(%peakVo2
)と し,
NYHA 心機 能分 類との 関 連 を 調べた (自転 車エル ゴ メ
ー
タ).
%AT,
%peak Vo2 は 重 症 度 が 高 く な る に 従っ て 低 値 を とっ た (pくO.
001,
分散分 析 ).
(文 献 4より引用)
である
.
a , 嫌
気性代謝閾値
(AT
)AT ( ml !
分 /kg )
はWasserman
らの 定 義1−− 3
)に従い ,
“
運 動 強 度を漸増
す る過 程(
ランプ
負 荷 )で有 酸
素
的代 謝に無 酸 素 的 代 謝に よ るエ ネル ギー
産 生が加わ る時
点のVo2
” として 測定す る.
呼 気ガス分 析 法では
,
運 動 強 度の増 加に伴
い ,( D
ガス交 換 比 (
R =VCQ21Vo2 )
が 上昇 し始め る点,
(2
)Vco2 − Vo2
関係
の 傾 きが急に 増 す 点( V −− slope
法
),
VEIVo2
が増 加 し始 める点,
(4
)PETo2 (
呼 気 終 末 酸 索 分 圧 ) が 増 加し始め る 点,
な どの†
02 をAT
と し てい る.
た だ し 重症 例で はAT
の測 定が困難 な こ と が ま れでない.
AT
の 正常 値 は 健 常 例に おい て も年
齢, 性別,負 荷 方 法に よ り異な る
,
伊 東ら が自転 車エル ゴ メー
タ に よ る負 荷で求 めた 正常 値は
,
男性 :AT =
− 0 , 22x
年 齢 +32 . 3 ,
女性 :AT =− 0 . 16
× 年 齢+
27 . 8 ( ml1
分ノ kg )
であっ た.
実 測 値 をこれ らで
補
正 し た値 ( percent
of
predicted
AT
:%AT
: 実 測 値 /予 測 値 ) は 運 動 耐 容 能を よ く表す(
図2
)4
).
AT
は, 主 に(1)活 動 筋へ の酸 素 輸 送 量,
(2
)活動
筋 量 な らびにその有 気 的 代 謝 能,
な ど に よ り規 定さ れ てい る と考え ら れ る
.
(1)には 動 脈 血 酸 素 含 有 量
,
心拍
出量,
血流 分 布などが関与
し てい る.
心機 能が直 接 関 与す る の は心拍
出量で あ る.運動
強 度増
加に対 応 する心拍
出量 の増 加の程 度が同 じであ れ ば,
基 礎 疾 患 と は 関 係 な く, AT
も 同 じと考 えら れ る.
一 方,
に関連
す る要 因としては, 運 動 制 限 に よ る活 動 筋の筋 肉 量の減 少, 心 不全 状 態で の慢
性の低 灌 流 状 態に起因 す る活動筋
細 胞の ミ トコ ン ドリ アの数な ら び に質の変 化, 活 動 筋のエ ネルギー
代 謝に か かわ る 酸 化 的リン酸 化 酵 素 などの酵 素 活 性の低 下な ど が
考
えら れ る.
心 不全で はこれ ら の要 因に よ りAT
が低 下 すること が多い. b .
最 高 酸 素 摂 取 量 (peak
Vo2
)漸
増負荷
テス トで は,VO2
は運 動 強 度の増 加 と ともに直 線 的に増 加 するが, ある時 点 よ り負 荷量 を増 加 して も そ れ 以上VOz
が増
加 し ない 状 態,す な わ ち 頭 打ち状 態
( leveling
off )
と な る.
こ れ は,運
動に よ る 心拍 出 量 およ び酸 素 利 用 能の増 加が限界
に達 したこ とを 示 す.
この時 点で のVo2
を 最 大 酸
素摂取
量( maximal
Vo2 )
と よ ぶ.
し か し, 運 動 習 慣が ない被 検 者の場 合,maximal
Vo2
の測定は 困難な場 合 も ある
.
そこ でそ の代わ り に,
検 査で得 ら れ たVo2
の最高
値,
す な わ ちpeak
VQ2 ( mZ1
分/ kg )
が用い ら れ る.
検査 が検 者ま た は被 検 者の主観で中止 さ れ る た め,
客 観 性286 目本循 環器 学 会 専 門 医 誌 循 環 器 専 門 医 第7巻 第
2
号に欠 け る 欠 点はある が, 心
疾
患の重 症 度 とよく相 関し,
予後
判 定の指 標 と して有 用で あ る.特
に重 症心不 全 患 者の予後
をよく反 映 する ので, 最 近では心移 植の適 応 決 定の最も重 要な
指標
と し て 用いら れ てい る
( peak
Vo2
く14 . 0
ml1
分/ kg )
5).
こ の指標 も年
齢,
性別に よ り正 常 値が異 な るため
,
予 測 値に対 する実 測値
の割 合( percent
of
predictedpeak
Vo2
:%peak
Vo2
)で評 価す る.
伊 東 ら が自転 車エ ル ゴメー
タ に よる負 荷で求 めた 正 常 値 は , 男 性 :
peak ▽ 02 =− 038
x年
齢+
52. 1 ,
女 性 :peak
Vo2
・ ・− O. 23
x 年
齢 +40. 4
(
ml !
分ノ kg )
で あっ た( 図 2 ) 4
).
2 . 酸素脈 ( 02pulse .
Vo21HR
)Fick
の式の両 辺を 心拍 数( HR )
で 除 すこと によっ て
求
め ら れ (VO2
/HR
=CO
/HR
×動 静 脈 酸 素 較 差 ),1
回拍 出量 を反映 す る指 標である.
3 . 酸素摂
取量
立 ち 上 が り時 定 数 (timecon −
stant : τon )
運 動 開 始 時の 心拍 出量 と
動静脈酸素
含 有 量較
差 の応 答 を 反 映 す る 指 標で , 正常 例 で は,20W
(
ワッ ト)
開 始時
で約20 〜40
秒である.
今回, τ
on
は, 心 疾 患 症 例では重
症 化す る ほ ど 正常者
に 比 し延
長し,peak
Vo2 ( r
=− O . 61 )
,最 大心拍 出量
(
r=− 0. 45)
と負 相 関 を 示 すこ と が報 告 さ れた (松 本 晃 裕 ).
重症心 不 全 症 例 で は,
運 動開始 時の 心拍出量の時 定 数 もτon
と同 様に 延 長 し, 両 者 間に 良 好な 正 相 関 が 認 め ら れ た(
r =0, 85
).
し た がっ て τon は 心疾 患 症 例の運 動 耐 容能
評価
の上 で有
用 な指 標と考 え られる.
また, カテー
テ ル挿入 下で 自転 車エ ルゴメー
タ定 量 負荷 試 験を行っ た結 果
,
τon
は心 拍 出量増
加率と負 相
関
を 示 し,
心拍出量 増 加 率 は 総 末 梢 血 管 抵 抗 減 少 率 と高い相 関を認め た.
こ の こ と か ら,慢
性心 不全 症 例にお け るτon
の延 長の 主要 因は,
心拍
出 量増 加反
応の遅延
, ま た心拍 出 量 増 加の遅 延の 主要な規 定 因 子は総
末梢
血管
抵 抗減少
率, し た がっ て骨 格筋
の血管
拡張
反応不良であることが示 さ れた
(
前 原 和 平).
(
51騰
)
こ
。
暑
,
一.
、、。661 二 琶 11 司
△
図 3 運 動 療法に よるτon と反応性充 血 時 下 腿 組 織 血 流 量 の 変 化 の 関係
さらに, 心疾 患 症 例を対
象
に行
っ た,2
週 間のAT
レベ ル の運 動 療 法 施 行 前 後の τon
およ び反 応 性 充血時下 腿組織
血流
量 の各 変 化 量の間にr
=− 0. 73
の良 好 な 負 相 関 関 係を認め た こと か ら,τon の
変
化に は,
血管拡
張 能の関 与 が 大 きい こ とが示 唆 さ れた (加 藤理) (
図3 ).
4 .
ム▽021
△WR
仕 事 率 (
WR )
が1W 増
加 す る こ と によっ て,
ど れだ け
VO2
が 増 加 す るかを 表 す 指 標で, 末 梢 の運 動 筋へ の酸素輸
送の増
加 の程 度お よび 運 動 筋で の酸 素 利 用 状 態 を示 している
, 10 〜 20W
の ラ ンプ 負荷時
で は,年 齢,
性 別に か かわ ら ず, 約10
〜11m
〃W
が 正常
と さ れ てい る.
この値 が 低 値の ときは,
運 動 筋での酸 素 消 費量の増加 に比し酸素
摂 取量 が少ない こ と を意 味し,
そ の結 果02
不足が 生 じ, 運 動 耐 容 能は低下 す る
,
こ の指標に は,
心拍 出 量,
血流 分 布, 動 静 脈 酸 素 較 差, 筋 肉 代 謝が影 響す るこ と が 知 ら れ てい る.
た だ し,
この指 標 は,
ramp
slope
が急 峻に な るほ ど低下 す る の で,
異 なっ たプロ トコー
ル間での比 較は 困難である
.
5 . VE − Vco2
slope
ある
一
定量の炭酸
ガスを呼 出す る の に ど れ だ け 換 気 す れ ばよい かを 表 し, 運 動 時の 心拍 出 量の増
加 の程 度を反 映す る
.
再 現 性が良好で, 息 切れ症 状に対 応 する とさ れる.
肺 胞 換 気 量 をVA ,
死 腔日本循環 器学 会 専門医誌 循環 器専門 医第ア巻第
2
号 287図
4
安 静 時 お よ び運動強度を変 化 さ せ た 時 の 平 均動 脈血 PCO2 (破 線 ) と肺胞 気PCO2
(実 線 ) PETc 〔〕zは,
安 静 時に はPaCOz よ り も低いが,
運 動中 はPaco2 よ り も高くなる.
(文献1,2よ り引用 )
匝 \ 鳥 一 次
非 常 強一
い 運 動に
換 気 量 を
VD ,
死腔 換気率をVD
/VT
, 肺 胞 炭 酸 ガス分 圧をPAco2
,動 脈血炭 酸 ガス分圧 をPaco2,
静 脈血炭 酸ガス分 圧を
PVCO2 ,
大 気圧をPB
と す る と, VCo2
=VA
xPAco2 /PB ,
VA
・ ・VE
×( 1− VD / VT ),PAco2 =PacQ2
か ら,
VEIVco2
=R
/(Paco2
×
( 1 − VDIVT
))(R
:定 数)
と表
さ れ,VE −▽
co2slope
は,
VDIVT
とPaco2
に よ り決 定 さ れる.
よっ て,
Paco2
が低 下 する と き,
お よ びVDIVT
が増 大 する と き に
VE − Vco2
s正ope は高 値 を示 す.
心
疾
患 で はVE −VGO2
slope の規 定 因 子 と し て, VD / VT ,
Paco2
が独立 し て関 係す る.
今回 の シンポ ジウ ム に
お
い て,
換 気が 比較 的 均一
な心疾
患で は,VD / VT
の規 定 因 子 は 心 拍 出 量 で あ り,Paco2
の規 定 因 子 は血行動 態
とPvco2
換 気 感 受 性の 両者で あ るこ と が示 さ れた (佐 藤 徹).
6 ,
呼 気 終 末炭酸
ガス分
圧( PETco2
)
PETcO2
は, 呼気 終 末 時に測 定した呼 気ガス の炭 酸ガス分 圧で
,
呼 吸サ イ ク ル 中 の最も高い肺 胞 炭 酸ガス分 圧( PAco2 )
であ る.一
方 動 脈血炭 酸 ガス分 圧 (Paco2
)は,肺 胞 炭 酸 ガス分 圧( PAco2 )
の平 均 値を反 映す る
.
そのた め 通常,
炭 酸ガス産 生 量 が 低 い 安 静 時には,PETco2
はPaco2
よ り も低値
であるが,
炭 酸ガス産 生 量が高
い運 動時 には
, PETco2
がPaco2
よ り も高
値 と な る.
ま た 呼 吸 が 遅 く な る と,Paco2
に比べPETco2
が高値
と な る.
運 動 中に,PETcO2
がPaco2
よ りも 低 値である場 合 は, ガス交 換を行っ てい る肺 胞への 血流が不足 し てい る換 気血流不均 衡の存 在を示 し てい る
( 図 4 ).
本 シン ポジ ウムに おい て は
, NYHA
I 〜
皿度の心疾 患 症 例 を 対 象に
,2
週 間のAT
レベ ル の運 動 療 法を 施行し, 運 動 療 法 前後
の安静
時お よ び運 動 時のPETco2
を 検 討 し た 成績が報 告 さ れた(
松 本 晃 裕).安
静 時PETcO2
は,
運 動療法
前 後で変 化 な く低 値であっ た が,
運動
時PETco2
は, 運動療
法 後に有 意に増
加 し た.
心 疾 患 症 例で は, 安 静 時には心拍 出量低下,
運 動 時に は 心拍 出 量 増 加 不足の た め, ともに換 気血 流不均 衡 を 生 じ, PETco2
は低 値を 示 していた が, 運 動 療 法に よ り 運 動 時の 心拍 出量
増
加が改 善 され た こ と に よりPETcO2
が増
加 したと考 え られ た.
離 饕. 1 邏 鑼 騨 讌 鎌 爨
CPX
に より運 動 療 法の効 果を判 定し,
かっ そ の指 標の特性 を明 確に す る 目的で,
冠動脈
バ イパス術
( CABG )
後 症 例44
例( 男
性41
例,
女 性3
例, 平 均 年 齢62 , 1
±7 . 9歳)
を対 象 と して検 討 し た結 果を報告
し た (加 藤 理 ).
対 象を
,
自転 車エ ル ゴ メー
タ に よ る運 動 療 法 施 行 群 (T
群 :21
例,
男 性20
例 , 女性1
例,
平均 年 齢60 . 9
±6 . 6
歳,
平 均グ ラフ ト本 数2 , 6
±0 . 7
本 )と従 来のプロ トコ
ー
ル に従っ た
廊
下 歩 行に よ る リハ ビ リテ
ー
ショ ソ施行 群
( C
群 :23
例, 男 性21
例, 女 性
2
例, 平 均 年 齢63 . 2
±8 . 9
歳, 平 均 グラ フ ト本 数2. 6
±O. 7
本)
に無 作 為に分 類し た.
両群 間 に, 性 別,年
齢, グラ フ ト本 数に差を認め な かっ た
.運
動 療 法は,AT
レ ベ ル で2
週 間 行っ た、
運 動 療 法 前 後でCPX
を 症 候 限 界 型で行い,
同 時 に運 動 時 最 大心拍出量( peak
CO )
を測 定し た.
各 指 標の変
化 率 :(
運動療
法後
の値 一
運 動療
法 前 の値 )/(運 動 療 法 前の値 )×100
(% )を 求 め,2
群288
目本循 環器 学 会専門 医誌 循 環 器専門 医第7
巻 第2
号(% 〉 安 静 時 ウォ
ー
ム アップ 時40
最 大 下 負 荷 時 巖 大 負 荷 時* *
OO
Φ の
言
δδ
〉 Φ
E
[ ←
の
石
」
Φ
×
δo ト
固
Φ
2
Ω の&o
>
1
副
〉
図5 各 指 標の運動療 法前後の変化 率の差 (△T 群
一
△C 群)運動 療 法 前後での
,
T 群お よ びC群の各 指 標の変化 率の平 均 値の差 を 図 示 し た,
間 で 比
較
した.
各 指 標の運 動 療 法 前 後の変 化 率の差 (丁群
一 C
群 ) をみ る と
,
運 動 開 始 時VO2
立 ち 上 が り 時 定 数(
τon )
が33 . 0
%,△VO2
!△WR
が35 . 8
% と ほぼ 同 程 度で最 も大 きか っ た.peak
CO
も,21 . 2
% と 大 き な差を 認 め た が,
そ の 程 度は τon
お よ び△
Vo21
△WR
よ り小さ かっ た(
図5 ).
以上 の成 績 は
, AT
レ ベ ル の短 期 運 動療
法は,
低〜
中 等 度の運 動 時 呼吸循環
器系
応 答を改善
し,その効 果は最 大 負 荷 時よ りも最 大 下 負 荷 時の指 標 に よ りよく反 映 さ れるこ と を 示 す
.CO
に 比 し,
τ
on
お よび△Vo21
△WR
の改善
の程 度が大 きく,かっ 同程 度であっ たこ と か ら,
AT
レ ベ ルの短 期 運 動 療 法の効 果は,
血管 拡 張 能の改 善に よ る 血流 再 分 布に よ る と考 え られた.
瞳
蕪 談;蕪 :羅1素伽
軽
症心 不 全の長 期 予 後 予 測に お け るCPX
の意 義 につ い て の報 告はこれ まで ほ と ん どなかっ た.
今回,NYHA
1 . 6
±0. 7
度,
年 齢56
士13
歳の260
例を対 象に
10
年 生 存 率と呼 気ガス 分 析 指 標と の関 係に つ い て検 討 し,
死 亡例で τon
の延 長 (76 . 7
±
433vs
55 . 3
±30 , 6
秒,
死亡例vs
生 存例)
,AT
の低 下 (
14 . 1
±2. 7vs
16. 2
±3 . 7
mJ1
分1kg
),peak Vo2
の 低 下( 18. 7
±4 , 8
vs
23 . 8
±6 . 9
mJ1
分/ kg )
を認め た が, △
Vo21
△WR
に は生存
例, 死 亡例 間に差を認め な かっ た こ と が報 告 され (小 池 朗 )
,
軽 症心 不全 症 例に おい て は単回 のCPX
で τ・on
,AT ,
peak
Vo2
を計 測 するこ と が,長
期生命 予 後 の予 測に有 効 なこと が 示唆
さ れ た.
一 欄 鮮 1:
,
黼 灘 蔑・
謝 餐爨譲
:難
飆 羣餐lii騨 鷲i
自他 覚 症状
が安 定 した,
左 室 駆 出率 ( EF )45
% 以 下の連
続25
例 をAT
レ ベ ル で ト レー
ニ ン グする
T
群 と運 動 療 法を 施行 し ないC
群の2
群に 分 類 し,
左心機能
低下症 例の運 動 耐 容 能に対す る運 動療
法の効 果 を 検 討 し た成績
が報告
さ れ た (加 藤 理 ).
T 群
は, 男 性7
例, 女 性2
例,
平均 年 齢61 . 9
±
8. 4Wh ,
peak
Vo218 . 6
±5. 6
m11
分1kg
, 拡 張 型日本 循環器 学 会専門 医 誌 循 環器 専門医 第7巻 第
2
号289
心
筋
症7
例,
心筋 梗塞2
例で あっ た. C
群は,
男 性14
例, 女 性2
例, 平 均 年 齢63 . 8
±13. 1
歳, peak
Vo219 . 4
±3. 8
ml /
分! kg ,
拡 張型 心筋 症9
例, 心筋 梗 塞
7
例であっ た.
年 齢, 性 別,peak
Vo2
につ い て,
両群 間に差を認め なか っ た. T
群 は,
週 平均2. 3
回のAT
レベ ル の運動療
法 を6
ヵ月 間 実 施,一
方, C
群は,
運 動 療 法 は 実 施 せ ずに観 察 した.
両 群 と もに,
開 始 時 と6
ヵ月後
に 心
肺
運動
負荷
試験
,RI
angiography に よ るEF
測 定, 血 中
BNP
およびnorepinephrine
(NE )
測 定を行っ た.
EF
は,T
群で は不 変で あっ た が,C
群で は36 . 3
%か ら31 . 3
%へ有
意に減 少 した( p
<0. 01 ).
両群 間の 変 化 量の比
較
で は,T
群の +1. 6
%に対 しC 群
は一 4 . 9 %
とT
群でC
群に比 し有 意に増 加 し た.peak
VO2
は,
T
群 では18. 6
ml !
分/ kg
か ら
20. 9
ml !
分/ kg
と有
意に増
加 し た が(
p〈0005
),C
群で は19 . 4
ml
!分 /kg
か ら18 . 2
mJ1
分1
kg
と減
少傾向
を認め た.
変 化 量の比 較では,T
群+
2. 3mU
分1kg
に対 しC
St − 1. 1
mlf
分1kg
とT
群でC
群に比 し有 意に増 加し た( p
〈0. 01 ).
VE −−Vco2
slope
は, 両群
と も有
意な変 化を示 さ な かっ た が,
変 化 量は, T
群の一2. 3
に対 しC
群 は+
1 . 9
でT
群でC
群に 比 し低下 す る 傾向
を認め た.運動療
法 前後
のBNP
の変 化 量 (△BNP
)は,T
群の一 76 . 2pg
!m
♂に対 しC
群は +12. 8
pg! ml
と
T
群で減
少す る傾 向を認め た( p = O . 05 ).
運 動療
法 前 後のNE
の変 化 量 (△NE
) は,
T
群の一
〇. 39
ng
/ml
に対 しC
群 は十 〇. 03
ng
!ml
で,
T
群で有意
に減
少 し た(
pく0 . 05 ).
以上 より,
AT
レ ベ ルの運 動 療 法に より,
(D
心 不全の増 悪 や 突 然死 は認
め ら れず,運動
耐 容能
の 改
善,
左 室機 能 低下阻止, 交 感 神 経 活 性の改 善 傾 向な どQOL
や 生命 予 後の改 善を期 待できる効 果が得られ るこ とが示 さ れ た.
,
1鰍 済 9 爵羣識 ii蓐照轄匸
1}崢 w’
/E// 義幡flげ
、 、
. .
本シソポジ ウ ム の主 題の1
つ で あ る呼
気ガス分 析 指 標と運 動 療 法 効果 につ い てま と め た
.
な お 本 文 中で は触れ な かっ た が, 野 原 隆 司 は,
運 動 負 荷試験で は運 動 中の心 室 期 外 収 縮( VPC )
の発
生 を予 測 するこ と は で き ないが
,
長 期 運 動 療 法 は(1)リモ デ リン グ を抑 制 し, (2)圧 反 射 感 受 性
( baroreflex
sensitivity
:BRS )
を 改善
す るこ と により
, VPC
抑 制に有 効で あ る と発
表 し た.
平 野 浩二 は, QTcD
は虚血 に より増 大 し,
重 症例 ほ ど増
大の程 度 が 大 き く,
心筋
虚血 の 定性の みな ら ず 半 定 量 的な新
しい 指 標とな り う る が,
運 動 療 法に よ り
QTcD
は有 意に減 少 する と報告
し た.
さ らに長田尚 彦は,
血漿 BNP
値の経 時 的 測 定 は,回
復
期心筋
梗 塞 患 者の潜 在 性 左心 不全を 予 測 す るこ と が可
能
で あり, 運 動 処 方変更
の一
指 標と して 有 用 なこ とを 示 唆 した
.
CPX
に よ り適
切な運 動 処 方 を 作 成 し,
呼 気 ガス分 析 指 標, 血漿
BNP
値,
お よび 心 電図 変 化に 注 意 しな が ら運 動療法
を継
続す ること は, 各 種 心疾
患の運 動 耐 容 能お よ びQOL
の 改 善の み な ら ず,
予後
改善にも有 効である と考
える.
謝 辞
本 研 究に ご協 力いた だい た
,
心臓血管研 究 所 〈生 理 機 能検査部〉前田知 子,
田嶋 明 彦,
原田直 美,
西谷香 織,
玉 腰 久 美 子,
〈内 科 〉 大 宮一
人,
伊 東 春 樹,
〈外 科〉青木 啓
一
(敬称略)の諸氏に深 謝いた しま す
.
鞴
1
飜贓 轍 灘 爨 璽・嬲勲
騰纛
鑼黼 鱸 灘 鑞 落響 鰻 鸚 靉讐1)Wasserman K, Hansen
JE
,Sue
DY
et
a1
:Principles
。f
Exercise
Testing
and Interpretation, Lea & Febiger,
Philadelphia ,
2nd,1994
2)谷 口興
一
監訳 :運 動 負 荷テス トの 原 理 と その評 価 法 (原 著 第 2版),
南江 堂,
東 京,1999
3)谷 口興
一
編 :心 肺 運動 負 荷テ ス ト
,
南江 堂,
東 京,
19934
)Itoh H
,
Koike A,
Taniguchi K et a1:Severity andpathophysiology
of heart failure onthe
basis of anaero−
bic
t血reshold
(AT
)arld related parameters.
Jpn
CirclJ
53:146
,
19895)Myers
J ,
Gullestad L:The roleof
exercise
testingand
gas−
exchange measurement inthe
prognos
亡ic
assess−
ment of patients with heart failure
.
CurrOpin
Cardiol
1998;
13
:145 −
155290 日本循 環器学 会専 門 医誌 循環 器 専門 医第7巻 第