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工業科目における動機づけの研究 -演示実験を取り入れた一斉学習指導による授業の設計と実践-

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工業科目における動機づけの研究 −演示実験を取

り入れた一斉学習指導による授業の設計と実践−

著者

小野寺 力

学位授与機関

Tohoku University

学位授与番号

11301甲第18815号

URL

http://hdl.handle.net/10097/00125760

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博士論文

工業科目における動機づけの研究

―演示実験を取り入れた一斉学習指導による

授業の設計と実践―

小野寺 力

平成

31 年

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目次

第 1 章 序論 1 1. 1 演示実験を用いた授業 1 1. 2 工業科目における演示実験の現状 2 1. 3 本論文の目的 6 1. 4 本論文の構成 6 1. 5 用語の定義 9 第 2 章 授業設計モデルと授業分析の手法 11 2. 1 研究上の視点 11 2. 1. 1 研究上の立場 11 2. 1. 2 研究者の位置 12 2. 2 本論文で実施する授業実践と調査の対象 12 2. 3 インストラクショナル・デザイン(ID)による授業の設計 15 2. 4 学習意欲のデザイン 16 2. 4. 1 ケラーのARCSモデル 17 2. 4. 2 動機づけの要因と動機づけ方略 20 2. 4. 3 アンケートによる学習意欲の量的な調査と分析 21 2. 5 学びを支援する働きかけ 23 2. 5. 1 ガニェの 9 教授事象 23 2. 5. 2 学習目標の分類 25 2. 5. 3 学習の階層モデル 26 2. 5. 4 学習者の学びを支援する ID プロセス 28 2. 5. 5 ID プロセスと学習意欲のデザインステップの統合 29 2. 6 演示実験と教育メディアの選択 31 2. 6. 1 教育メディアとしての演示実験 32 2. 6. 2 授業で演示実験を用いるための手続き 33 2. 7 演示実験教具の製作と演示実験の実施手順 34 2. 7. 1 演示実験教具の製作 35 2. 7. 2 演示実験の実施方法 36 2. 8 多角的・重層的な知見を得るための質的研究法 37 2. 8. 1 質的研究法の背景と特徴 37 2. 8. 2 質的データの分析戦略 39 2. 8. 3 コード化とカテゴリー化 40

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ii 2. 8. 4 要約的内容分析 40 2. 9 単独の研究方法よりも幅の広い知見が得られる混合研究法 42 2. 9. 1 量的研究と質的研究の立場の違い 42 2. 9. 2 量的研究と質的研究の両立 43 2. 9. 3 量的および質的な研究結果の混合 45 2. 9. 4 量的および質的な研究結果を混合するための戦略 46 2. 10 形成的評価を通じた教育活動の改善 46 2. 11 調査と分析の方法 47 第 3 章 演示実験を用いた授業の学習効果の分析 49 3. 1 学習効果を調査するための授業の設定 49 3. 1. 1 【板書】の概要 50 3. 1. 2 【演示】の概要 51 3. 2 学習効果の調査と分析の方法 57 3. 2. 1 学習効果の調査方法 57 3. 2. 2 学習効果の分析方法 58 3. 3 【板書】と【演示】の学習効果の比較 59 第 4 章 演示実験が学習意欲にもたらす効果の量的調査を用いた分析 61 4. 1 調査の対象とする授業の設定 61 4. 2 学習意欲の調査と分析の方法 61 4. 2. 1 学習意欲の調査方法 61 4. 2. 2 学習意欲の分析方法 62 4. 3 【板書】と【演示】の学習意欲の比較 63 第 5 章 演示実験による動機づけの要因 65 5. 1 予備的調査 65 5. 2 生徒を動機づける要因を調査するための授業の設定 66 5. 2. 1 授業形態 66 5. 2. 2 動機づけ方策と授業の構成 67 5. 3 生徒を動機づける要因の調査と分析の方法 67 5. 3. 1 生徒を動機づける要因の調査方法 67 5. 3. 2 生徒を動機づける要因の分析方法 68 5. 4 生徒を動機づける要因の分析結果 68 5. 4. 1 量的分析の結果 68 5. 4. 2 質的分析の結果 69

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iii 5. 4. 3 質的データを量的データに変換して量的データと混合した結果 72 5. 5 生徒を動機づける要因の考察 73 5. 6 まとめ 73 第 6 章 演示実験が学習意欲にもたらす効果の混合研究を用いた分析 75 6. 1 演示実験の有無が授業の設定に及ぼす影響 75 6. 1. 1 【板書】と【演示】において共通の設定 76 6. 1. 2 【板書】と【演示】において異なる設定 76 6. 2 生徒の反応を比較するための調査と分析の方法 77 6. 2. 1 【板書】と【演示】の生徒の反応を比較するための調査方法 77 6. 2. 2 【板書】と【演示】の生徒の反応を比較するための分析方法 79 6. 3 【板書】と【演示】について生徒の反応を比較した結果 80 6. 3. 1 量的分析の結果 80 6. 3. 2 質的分析の結果 81 6. 3. 3 量的データ分析と質的データ分析を並列に行った結果の混合 84 6. 4 演示実験を一斉学習指導の授業に取り入れることによる影響の考察 85 6. 5 まとめ 86 第 7 章 生徒の動機づけを高める授業の改善 88 7. 1 生徒の動機づけを高めるための授業の設定 88 7. 1. 1 生徒を動機づける授業設定の立案 88 7. 1. 2 ポスターとプリントの制作過程 91 7. 1. 3 立案した授業設定が学習意欲に及ぼす影響の推測 92 7. 2 学習意欲の調査と分析 93 7. 2. 1 学習意欲の調査方法 93 7. 2. 2 学習意欲の分析方法 93 7. 3 学習意欲の分析結果 93 7. 3. 1 量的分析の結果 93 7. 3. 2 質的分析の結果 95 7. 3. 3 量的データ分析と質的データ分析を並列に行った結果の混合 97 7. 4 提案した授業設定が学習意欲に及ぼす影響の考察 99 7. 5 まとめ 100 第 8 章 結論 102 8. 1 本論文のまとめ 102 8. 2 今後の課題と展望 105

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iv 付録 A 工業科目における実践的・体験的学習の割合 108 付録 B ウィルコクソン検定 110 付録 C 要約的内容分析 113 付録 D 統計データ 115 付録 E 調査対象授業と年間授業計画 125 付録 F 調査対象授業のレッスンプランニングシート 133 付録 G 調査対象授業の簡略版設計プロセスを支援する点検表 170 付録 H 使用した演示実験器具 207 付録 I 演示実験と動画による動機づけの度合いの比較 225 I. 1 授業の設定 225 I. 2 学習意欲の調査と分析方法 226 I. 2. 1 学習意欲の調査方法 226 I. 2. 2 学習意欲の分析方法 226 I. 3 【演示】と【動画】の学習意欲の比較 227 付録 J 演示実験とシミュレータによる動機づけの度合いの比較 228 J. 1 授業の設定 228 J. 2 学習意欲の調査と分析方法 229 J. 2. 1 学習意欲の調査方法 229 J. 2. 2 学習意欲の分析方法 229 J. 3 【演示】と【シミュレータ】の学習意欲の比較 229 付録 K 生徒の自由記述データ 231 資料 1 ARCS 評価シート 248

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v 資料 3 第 5 章の自由記述アンケート 250 参考文献 251 謝辞 265 研究業績 266 Abstract 267

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第 1 章 序論

1. 1 演 示 実 験 を 用 い た 授 業

理 科 の 授 業 で は, 小 学 校 か ら 高 校 の 学 習 指 導 要 領 解 説 1 - 3 )に お い て, 演 示 実 験 を 含 む 観 察 ・ 実 験 を 行 う こ と が 求 め ら れ て い る. 高 等 学 校 学 習 指 導 要 領 解 説 理 科 編 3 )に よ れ ば, 高 校 の 物 理 や 化 学 で は , 観 察 , 実 験 な ど を 通 じ て , 原 理 ・ 法 則 や 基 本 的 な 概 念 を 理 解 し 活 用 す る 能 力 を 身 に つ け る こ と が 重 要 と さ れ て い る. こ う し た 背 景 か ら, 各 都 道 府 県 の 教 育 セ ン タ ー4- 6 )お よ び 教 育 研 究 会 7, 8 ) 主 体 と な っ て, 現 場 の 教 員 が 日 々 の 授 業 に 演 示 実 験 を 導 入 す る 取 り 組 み を 支 援 す る た め の, 様 々 な 事 例 が ホ ー ム ペ ー ジ 上 で 公 開 さ れ て い る . ま た , 教 材 の 販 売 業 者 の カ タ ロ グ に は, 教 師 が 日 々 の 授 業 に 実 験 を 簡 便 に 取 り 入 れ ら れ る よ う に す べ く, 演 示 実 験 に 利 用 で き る 実 験 器 具 が 多 く 掲 載 さ れ て い る 9 , 1 0 ). さ ら に, 多 く の 教 育 実 践 者 が 魅 力 的 な 演 示 実 験 を 開 発 し て そ の 成 果 を 文 献 に 著 し て お り, そ れ ら の 中 で は 演 示 実 験 を 授 業 に 取 り 入 れ る よ う 推 奨 さ れ て い る 1 1 - 14 ). こ の よ う に , 演 示 実 験 は 理 科 教 育 の 現 場 で 広 く 用 い ら れ て い る 教 授 法 の 一 つ で あ り, そ の 実 施 を 支 援 す る 多 く の 取 り 組 み が 行 わ れ て い る . 本 論 文 が 対 象 と す る 工 業 高 校 の 工 業 科 目 に つ い て も, 高 等 学 校 学 習 指 導 要 領 解 説 工 業 編15 )に よ る と, 演 示 実 験 を 含 む 各 種 メ デ ィ ア 教 材 を 適 切 に 活 用 し て, 理 論 に 偏 る こ と な く 体 験 的 な 学 習 を 通 し て 具 体 的 に 科 目 内 容 を 理 解 さ せ る こ と が 求 め ら れ て い る. ま た , 工 業 科 目 の 特 徴 と し て , 理 科 教 育 で 求 め ら れ て い る 基 本 的 な 概 念 の 理 解 よ り も, 個 々 の 物 理 現 象 の 理 解 に 重 点 が お か れ て い る.

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1. 2 工 業 科 目 に お け る 演 示 実 験 の 現 状

工 業 に 関 す る 科 目 で は, 技 術 革 新 の 進 展 等 へ の 対 応 と , 創 造 性 や 問 題 解 決 の 能 力 の 育 成, 及 び 望 ま し い 勤 労 観 ・ 職 業 観 の 育 成 が 一 層 重 視 さ れ る こ と か ら, 実 験・実 習 1の 充 実 へ の 配 慮 が 特 に 求 め ら れ て お り, 学 習 指 導 要 領 で は 総 授 業 時 数 の 10 分 の 5 以 上 を 実 験 ・実 習 に 配 当 す る こ と と さ れ て い る 1 7 ). 実 験 や 実 習 に は 様 々 な 形 態 ( 示 範 実 験 ・ 教 示 実 習 や 製 図 作 業, 調 査 , 設 計 や 製 作 , 観 察, 見 学 , 現 場 実 習 な ど )が 考 え ら れ る が , 学 習 指 導 要 領 で は , 専 門 科 目 の 授 業 中 に 行 わ れ る 示 範 実 験 も 実 験 ・ 実 習 に 含 む と し て い る 1 5 ). た だ し 本 論 文 で は, 示 範 実 験 で は な く , よ り 一 般 的 な 演 示 実 験 と い う 語 を 用 い る こ と に す る. こ う し た 背 景 が あ る に も か か わ ら ず, 工 業 科 目 で は 普 通 科 の 理 科 と 比 べ 演 示 実 験 に 対 す る 取 り 組 み が 手 薄 で あ る と の 指 摘 も あ る 1 6 ). 例 え ば , 本 論 文 で 調 査 対 象 と し た 筆 者 の 勤 務 校 の 二 校 の う ち 一 校 で は, 所 属 す る 電 子 科 の 工 業 科 目 の 履 修 単 位 数 は 38 単 位 で あ っ た . そ の 中 で , 「 工 業 技 術 基 礎 」, 「 実 習 」 ( 実 験 ・実 習 を 実 施 す る た め に 設 定 さ れ て い る 科 目 ), 「 課 題 研 究 」( 調 査 , 設 計 や 製 作 な ど に 用 い ら れ る ), 「 製 図 」( 製 図 作 業 ), 「 情 報 技 術 基 礎 」( コ ン ピ ュ ー タ の 操 作 に よ る 実 践 的, 体 験 的 な 学 習 ), の 履 修 単 位 数 の 計 が 16 単 位 で あ っ た. 工 業 科 目 の 総 授 業 時 数 の 10 分 の 5 以 上 を 実 験・実 習 に 配 当 す る た め に は 3 単 位 (授 業 の 105 回 分 )の 座 学 に お い て も 実 践 的 ・ 体 験 的 な 学 習 が 必 要 と な る. し か し な が ら , こ れ が 実 施 さ れ て い る と は 言 い 難 い の が 現 状 で あ る. 付 録 A に , 工 業 高 校 の 座 学 に お い て 実 践 的 ・ 体 験 的 な 学 習 が 必 要 な 単 1 実 験・実 習 は , 「 工 業 技 術 基 礎 」, 「 実 習 」の ほ か , 「 課 題 研 究 」, 「 製 図 」 及 び 専 門 科 目 の 授 業 中 に 行 わ れ る 示 範 実 験・教 示 実 習 や 製 図 作 業 , 調 査 , 設 計 や 製 作, 観 察 , 見 学 , 現 場 実 習 な ど の 実 践 的 , 体 験 的 な 学 習 を 指 す 1 7 ).

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3 位 数 を, 工 業 高 校 の 平 均 履 修 単 位 数 の 調 査 結 果 を も と に 小 学 科 ご と に 分 析 し た 結 果 を 示 す. 上 記 の よ う に, 学 習 指 導 要 領 に お い て 演 示 実 験 の 実 施 が 求 め ら れ て い る に も か か わ ら ず, 工 業 科 目 の 演 示 実 験 の 効 果 や 授 業 設 計 の 手 法 に つ い て の 研 究 例 も 限 ら れ る が, そ う し た 例 の 中 で , 工 業 高 校 生 は 授 業 に お け る 「 熱 心 」 さ , お よ び 「 興 味 ・関 心 」 に 欠 け る と い う 実 態 を 背 景 と し て 1 8 ), 演 示 実 験 を 用 い , こ う し た 生 徒 に 授 業 に つ い て の 関 心 を 持 た せ る こ と を 企 図 し た 学 習 指 導 案 の 提 案19 ), 実 践 事 例 を 通 じ た 授 業 者 の 振 り 返 り に 基 づ く 演 示 実 験 の 効 果 の 考 察 , お よ び, 演 示 実 験 の 実 施 に あ た っ て の 配 慮 す べ き 事 項 の 検 討 に つ い て の 先 行 研 究 が あ る. 工 業 科 目 に つ い て の 演 示 実 験 の 効 果 を 分 析 ・ 検 証 し た 研 究 に よ れ ば, 以 下 の 2 点 に つ い て 効 果 が 認 め ら れ た と の 報 告 が あ る . ① 実 験 の 結 果 を 予 想 し 理 由 を 考 え る こ と で, 根 拠 の あ る 自 分 の 考 え を 持 て る 2 0). ② 生 徒 の 授 業 に 対 す る 興 味 関 心 を 高 め る 2 0, 2 1 ). ① は, 演 示 実 験 に つ い て 予 想 し た り 考 え る 学 習 活 動 を 生 徒 に 行 わ せ る こ と で, 「 受 け 身 で 学 習 し て い た 生 徒 の 学 習 態 度 を 自 分 の 考 え を 持 つ よ う に 変 容 さ せ た 」, す な わ ち , 演 示 実 験 が 態 度 の 学 習 の 糸 口 と な っ た 可 能 性 を 示 し て い る. ② は , 演 示 実 験 の 利 用 が 授 業 へ の 興 味 ・ 関 心 を 高 め る 働 き を し た と 解 釈 で き る. こ れ ら の 報 告 は , 演 示 実 験 に よ っ て , 科 目 の 観 点 別 評 価 の う ち , 関 心 ・ 意 欲 ・ 態 度 の 観 点 に つ い て 生 徒 の 授 業 で の 状 況 が 改 善 さ れ る 可 能 性 を 示 唆 す る も の で あ る. た だ し , 後 に 述 べ る よ う に , 学 習 者 の 視 点 , 他 の 教 育 メ デ ィ ア と の 比 較, 結 果 の 外 的 妥 当 性 等 の 観 点 か ら の 分 析 は 必 ず し も 十 分 と

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4 は 言 え ず, 一 斉 授 業 の 一 環 と し て 実 施 さ れ る 演 示 実 験 の 効 果 に つ い て は , さ ら に 注 意 深 く 吟 味 す る 必 要 が あ る. 一 方, こ う し た 教 育 上 の 効 果 を 得 る た め の ト レ ー ド オ フ と し て , 演 示 実 験 を 工 業 科 目 の 授 業 で 用 い る に あ た っ て は, 種 々 の コ ス ト や 配 慮 が 授 業 者 に 求 め ら れ る. 例 え ば , ③ 教 材 を 準 備 す る 時 間 や 労 力 を 費 や す 必 要 が あ る 2 0 ). ④ 授 業 が マ ン ネ リ 化 し な い よ う に 新 し い 実 験 教 材 を 開 発 す る 必 要 が あ る 1 6 ). ⑤ 実 験 で 現 れ る 現 象 に つ い て 丁 寧 に 説 明 す る 必 要 で あ る 1 6). ⑥ 単 に 演 示 実 験 を 見 せ る だ け で は 無 く そ れ に 関 す る 学 習 活 動 を 行 わ せ る 必 要 が あ る 16 ). ⑦ 実 験 に か な り の 時 間 が 必 要 な の で, 授 業 の 内 容 を 精 選 す る 必 要 が あ る 1 6 ). ⑧ 生 徒 の 活 動 時 間 を 確 保 す る た め, 提 示 (説 明 や 板 書 な ど )に 費 や す 時 間 を 減 ら す 必 要 が あ る 2 0). と い っ た 事 項 が, 先 行 研 究 で は 指 摘 さ れ て い る . 演 示 実 験 を 取 り 入 れ た 授 業 で あ っ て も, 当 然 な が ら , 教 育 課 程 (カ リ キ ュ ラ ム)と 年 間 の 授 業 計 画 (年 間 指 導 計 画 )に よ っ て 決 め ら れ た 単 位 時 間 数 の 中 で , 教 科 書 に 沿 っ た 学 習 内 容 を こ な し て い く た め の 配 慮 が 求 め ら れ る. し た が っ て, 工 業 科 目 で 演 示 実 験 を 実 施 す る に は , そ の 効 果 を 的 確 に 把 握 し つ つ , 上 に 挙 げ た よ う な 付 加 的 な コ ス ト と の 見 合 い の 中 で 無 理 な く 実 施 で き, か つ , 授 業 の 改 善 に 繋 が る よ う な, 授 業 の 設 計 と 評 価 の 手 法 が 求 め ら れ る . 例 え ば , 演 示 実 験 の 実 施 を 前 提 と す れ ば, ③ と ④ は 避 け が た い コ ス ト と 言 え る . 一 方 で, ⑤ と ⑥ に つ い て は , イ ン ス ト ラ ク シ ョ ナ ル ・ デ ザ イ ン (Instructional Design, ID)2 2)等 の 教 育 工 学 的 な 手 法 を 用 い る こ と で 改 善 が 期 待 で き る. し

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5 か し, ⑦ お よ び ⑧ に つ い て の 具 体 的 な 方 策 に つ い て , 先 行 研 究 1 8 -2 0 )で は 示 さ れ て い な い. 一 方, 演 示 実 験 に つ い て の 研 究 の 中 で も , 生 徒 の 学 び の 変 容 に 注 目 し た 調 査 は 成 さ れ て こ な か っ た し, そ の 調 査 手 法 の 開 発 自 体 が 課 題 の 一 つ と 言 っ て 良 い. 実 験 の 直 接 的 な 効 果 と し て 期 待 さ れ る ② の 観 点(「 興 味 関 心 」の 亢 進 ) に 限 っ て も, そ の 計 測 と 評 価 は 容 易 で は な い し , 学 習 効 果 と 生 徒 の 動 機 づ け の 度 合 い は, 上 述 の ③ 〜 ⑧ に つ い て の 授 業 設 計 の 影 響 を 大 き く 受 け る は ず で あ る. 加 え て , 授 業 を 実 施 す る た め の 学 習 環 境 や , 学 習 者 の 学 習 課 題 に 対 す る 適 性, 学 習 者 の 動 機 づ け に 関 す る 情 意 的 ・ 認 知 的 な 側 面 , 授 業 者 が 学 習 者 に 提 供 す る 学 習 支 援, 授 業 者 の 特 性 , 学 習 者 の 家 庭 環 境 , 学 習 者 の 家 族 の 学 習 活 動 へ の 支 援 状 況, な ど の 様 々 な 要 因 2 2 )が 複 雑 に 絡 み 合 い な が ら, 学 習 効 果 と 生 徒 の 動 機 づ け の 度 合 い に 影 響 を 及 ぼ し て い る と 考 え ら れ る. こ う し た 状 況 に お い て は, 授 業 の 結 果 に 基 づ い て 授 業 の 過 程 を 広 い 視 点 で 振 り 返 り , 体 系 的 に 分 析・考 証 を す る こ と で 授 業 の 改 善 の 手 だ て を 探 索 す る 必 要 が あ る. そ の た め に は, 複 数 の 研 究 方 法 を 用 い た 多 角 的 な 授 業 結 果 の 検 証 が 求 め ら れ る. す な わ ち , 評 価・改 善 の た め の 適 切 な 形 成 的 評 価 が , 授 業 の 成 否 の 鍵 と 考 え ら れ る. こ う し た 形 成 的 評 価 に あ た っ て, 広 く 一 般 に 行 わ れ て い る , 授 業 者 が 予 め 設 定 し た 項 目 に つ い て 生 徒 が 回 答 す る 形 式 の ア ン ケ ー ト 調 査 で は, 授 業 改 善 に 繋 が る 可 能 性 の あ る 生 徒 の 多 様 な 反 応 を 十 分 に 汲 み 取 る こ と は 難 し い. こ れ に 対 し, イ ン タ ビ ュ ー や 自 由 記 述 ア ン ケ ー ト に 基 づ く 質 的 な 調 査 は , そ の 分 析 に ス キ ル と 手 間 を 要 す る も の の, 生 徒 の 不 定 型 的 な 反 応 ま で 拾 い 上 げ る こ と が で き る 可 能 性 が あ る. こ れ ら の 異 な る 2 つ の ア プ ロ ー チ , す な わ ち , 量 的 お よ び 質 的 な 手 法 を 援 用 し, 形 成 的 評 価 に 混 合 研 究 23 )の 手 法 を 導 入 す る

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6 こ と で, 演 示 実 験 授 業 に お い て 効 果 的 な , 授 業 設 計 と 評 価 ・ 改 善 の サ イ ク ル を 実 現 で き る 可 能 性 が あ る.

1. 3 本 論 文 の 目 的

本 論 文 で は, 授 業 へ の 熱 心 さ や 興 味 ・ 関 心 に 問 題 が 指 摘 さ れ て い る 工 業 高 校 生 に 対 し て, 授 業 の 魅 力 を 高 め る こ と で 授 業 へ の 参 加 を 促 す こ と が 重 要 な 課 題 で あ る と 考 え た. そ の た め に , こ れ ま で 興 味 ・ 関 心 を 引 き 出 す 効 果 が あ る と 言 わ れ て き た 演 示 実 験 に つ い て, 工 業 科 目 の 授 業 を 対 象 と し て , 改 め て そ の 学 習 に 及 ぼ す 効 果 を 吟 味 し, 特 に , 生 徒 の 動 機 づ け に 及 ぼ す 影 響 を 明 ら か に す る こ と を 本 論 文 の 第 一 の 目 的 と す る. さ ら に , 一 斉 学 習 指 導 と い う 現 実 的 な 状 況 あ る い は 制 約 の 下 で, 演 示 実 験 を 織 り 交 ぜ つ つ 生 徒 の 動 機 づ け を 高 め る た め に 効 果 的 な 授 業 設 計 と そ の 形 成 的 評 価 の 手 法 を, 実 践 を 通 じ て 明 ら か に す る こ と を 第 二 の 目 的 と す る.

1. 4 本 論 文 の 構 成

本 論 文 は 大 き く2 つ の 部 分 か ら 構 成 さ れ る (図 1. 1). 一 つ は , 教 師 主 導 の 一 斉 指 導 授 業 の 中 で 実 施 さ れ る 演 示 実 験 が 生 徒 に 及 ぼ す 影 響 に つ い て の 分 析 で あ る. 第 二 の 部 分 は , 演 示 実 験 を 伴 う 授 業 に お い て , 生 徒 の 動 機 づ け の 度 合 い を 高 め る た め の 授 業 設 定 ・ 設 計 に 向 け て の 分 析 と 考 察 で あ る. こ う し た 研 究 を 行 う に あ た っ て, 教 育 活 動 を 効 果 2・効 率 3・魅 力 4の 観 点 か ら と ら え て そ れ を 改 善 し て い く イ ン ス ト ラ ク シ ョ ナ ル ・ デ ザ イ ン 2 一 般 的 に は 課 題 達 成 に 度 合 (テ ス ト で の 成 績 )を 指 す . 3 教 育 活 動 の 効 率 と は , コ ス ト 効 果( 対 費 用 効 果 )を 指 す . 同 じ 教 育 効 果 を あ げ る た め に 投 入 す る コ ス ト ( 人 ・ モ ノ ・ 金 ・ 時 間 ) を 減 ら す こ と が で き れ ば 効 率 は 高 く な る 2 5 ) . 4 教 育 活 動 の 魅 力 と は , 「 ま た や っ て み た い 」 と 思 う 気 持 ち に さ せ る こ と を

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(Instructional Design, ID)2 2 )の 手 法 の う ち, ケ ラ ー の ARCS モ デ ル 2 4 )と ガ ニ

ェ の 9 教 授 事 象 2 2)を 利 用 す る. ARCS モ デ ル で は , 注 意 (Attention), 関 連 性

( Relevance), 自 信 ( Confidence), 満 足 感 (Satisfaction)の 4 つ の 要 因 に 整 理 し た 枠 組 み を 用 い て 動 機 づ け の 設 計 を 検 討 す る 24 ). ま た , ガ ニ ェ の 9 教 授 事 象 は, 学 習 を 支 援 す る た め の 9 種 類 の 働 き か け で 構 成 さ れ る 2 2 ). 設 計 し た 授 業 を 評 価 す る に あ た っ て, ア ン ケ ー ト に よ る 量 的 な 調 査 と 生 徒 が 記 述 し た 感 想 や 意 見 に 基 づ く 質 的 な 調 査 の 双 方 を 実 施 し た. 生 徒 の 記 述 し た 感 想 や 意 見 は 内 容 の 差 異 や 類 似 性 に 沿 っ て 質 的 に 分 析 し た. こ こ で , 授 業 の 課 題 を 抽 出 す る に あ た っ て, 混 合 研 究 2 3 )の 方 法 を 用 い た. 本 論 文 の 第 2 章 で は, こ れ ら の 理 論 ・ モ デ ル と 調 査 ・ 分 析 方 法 の 概 要 に つ い て ま ず 述 べ る . 続 く 第 3 章 と 第 4 章 が 研 究 の 第 一 の 部 分 に 対 応 し て お り , 演 示 実 験 を 用 い た 教 師 主 導 の 授 業 が 生 徒 に 及 ぼ す 効 果 に つ い て の 分 析 と し て, ま ず , 演 示 実 験 を 取 り 入 れ た 工 業 科 目 の 授 業 の 学 習 効 果 に つ い て, テ ス ト の 得 点 を 量 的 に 分 析 す る(第 3 章 ). 次 に , 工 業 科 目 の 授 業 に お け る 生 徒 の 動 機 づ け に つ い て の ア ン ケ ー ト を 量 的 に 分 析 す る(第 4 章 ). 第 5 章 か ら 第 7 章 ま で は 研 究 の 第 二 の 部 分 で , 生 徒 の 動 機 づ け の 度 合 い を 高 め る た め の 授 業 設 定 に つ い て の 分 析 と 考 察 に 充 て る. は じ め に , 生 徒 を 授 業 で 動 機 づ け る 要 因 を, ARCS の 4 要 因 に 限 定 す る こ と な く , 質 的 デ ー タ と 量 的 な デ ー タ を 対 照 す る こ と で 調 べ(第 5 章 ), そ の 結 果 に 基 づ い て , 量 的 お よ び 質 的 に 分 析 か ら, 生 徒 の 動 機 づ け を 高 め る た め に 効 果 的 な 授 業 の 設 定 を 考 察 す る(第 6 章 ). そ の 結 果 を 受 け て , 授 業 の 設 定 を 変 え る こ と で , 演 示 実 験 を 取 り 入 れ た 授 業 に お け る 生 徒 の 動 機 づ け の 度 合 い を 高 め る 具 体 的 な 工 夫 を 行 う(第 7 章 ). こ う し た 授 業 改 善 の 過 程 に お い て 量 的 な 分 析 と 質 的 な 分 析 を 組 指 す . つ ま り 学 習 意 欲 が 継 続 す る こ と で あ る 2 5 ) .

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み 合 わ せ た 混 合 研 究 の 手 法 を 形 成 的 評 価 に 利 用 し, そ の 効 果 を 実 践 を 通 じ て 検 証 す る(第 6 章 と 第 7 章 ).

図 1. 1: 論 文 の 構 成 図 . こ こ で , 【 板 書 】と【 演 示 】は そ れ ぞ れ , 板 書 と 演 示 実 験 を 主 た る 教 育 メ デ ィ ア と し て 用 い た 授 業 を 示 す.

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1. 5 用 語 の 定 義

本 論 文 に お い て は, そ れ ぞ れ の 用 語 を 以 下 の よ う に 定 義 す る . (1) 動 機 づ け 心 理 学 の 研 究 で 扱 う 動 機 づ け の 概 念 は, 教 科 の 学 習 に つ い て 扱 う 学 習 意 欲 と 同 一 の も の で は な い. 動 機 づ け の 概 念 は 学 習 意 欲 を 含 む 広 い 概 念 で あ る . 学 習 意 欲 の 「 意 欲 」 に つ い て, 学 習 心 理 学 者 で あ る ケ ラ ー は , 「 人 が 何 を 望 み, 何 を 選 ん で 行 い , そ し て 何 を 行 う こ と に 全 力 を 傾 け る か を 一 般 的 に 意 味 す る. 」 と 述 べ て い る 2 4 ). こ う し た 定 義 を 学 習 に つ い て 用 い れ ば , 藤 倉 が 述 べ る よ う に, 「 学 習 意 欲 と は , 教 科 学 習 の 場 で 発 揮 さ れ る 学 習 へ の 意 志 や 欲 求 と い え る 」2 6 )で あ ろ う. し か し, 学 習 意 欲・意 欲・動 機 づ け は , 具 体 的 に は ど の よ う な 意 味 で , 何 を 指 す も の と し て 使 わ れ て い る の か 整 理 さ れ て お ら ず, こ れ ら の 指 す 概 念 を 分 離 し て 扱 う こ と が 難 し い 2 7 ). こ う し た 現 状 を 踏 ま え て 磯 田 は , 「 動 機 づ け 」, 「 学 習 意 欲 」, 「 意 欲 」 に つ い て 検 討 し , 動 機 づ け と い う 言 葉 が 学 習 意 欲 や や る 気 と 同 一 の 意 味 で 用 い ら れ る こ と が 一 般 的 と な っ て い る と し て, こ れ ら を 英 語 学 習 に つ い て の 動 機 づ け 研 究 に お い て 区 別 せ ず に 用 い た2 8 ). こ れ に 倣 い, 本 論 文 で も 「 動 機 づ け 」 , 「 学 習 意 欲 」 , 「 意 欲 」 を 区 別 せ ず に 用 い る . (2) 工 業 科 目 学 習 指 導 要 領 で 設 定 さ れ た 61 科 目 の 工 業 に 関 す る 科 目 を 本 論 文 で は 工 業 科 目 と 呼 ぶ 1 7 ). (3) 一 斉 学 習

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10 一 斉 学 習 は 吉 崎 に よ る 定 義 を 用 い る 2 9 ). そ れ に よ る と , 「 一 斉 学 習 と は , 共 通 の 学 習 目 標(ね ら い ), 共 通 の 学 習 内 容 , 共 通 の 教 材 (あ る い は メ デ ィ ア ), 共 通 の 学 習 方 法, 共 通 の 学 習 時 間 (学 習 進 度 ), 共 通 の 学 習 場 所 の も と で , 学 級(あ る い は 学 年 )の 全 員 の 子 ど も が 一 緒 に 学 習 す る 形 態 で あ る . (4)演 示 実 験 デ ィ ジ タ ル 大 辞 泉 3 0 )に よ る と, 演 示 実 験 は 「 学 校 教 育 の 理 科 や 科 学 の 授 業 で, 教 師 が 生 徒 に 向 け て 行 う 実 験 . ふ つ う 生 徒 の 興 味 を 引 い て 記 憶 に 留 ま る よ う な, 現 象 を 明 快 に 示 す 実 験 が 行 わ れ る . 」と さ れ て い る . 本 論 文 で は , 演 示 実 験 の 定 義 と し て, こ れ を 用 い る .

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第 2 章 授業設計モデルと授業分析の手法

本 章 で は, は じ め に 研 究 上 の 視 点 を 明 確 に し , 次 い で , 調 査 の 対 象 に つ い て 述 べ る. 続 い て , 以 降 の 論 議 で 必 要 あ る い は 前 提 と な る , 動 機 づ け モ デ ル を 含 む イ ン ス ト ラ ク シ ョ ナ ル デ ザ イ ン(Instructional Design: ID)の 知 見 , お よ び 授 業 を 分 析 す る た め に 用 い る, 量 的 研 究 , 質 的 研 究 , お よ び 混 合 研 究 の 手 法 に つ い て そ の 概 要 を ま と め る. さ ら に , 調 査 対 象 と す る 授 業 と そ の 実 施 形 態 の 選 択 基 準, お よ び 演 示 実 験 教 具 の 開 発 お よ び 演 示 実 験 の 実 施 の 手 続 き , に つ い て 説 明 す る. 最 後 に , 授 業 の 改 善 に 関 す る 形 成 的 評 価 の 技 法 に つ い て 概 観 す る.

2. 1 研 究 上 の 視 点

2. 1. 1 研 究 上 の 立 場

本 論 文 で は, 授 業 の 設 計 に お い て , 認 知 主 義 と 行 動 主 義 心 理 学 に 基 づ く 教 授 モ デ ル1 ), 具 体 的 に は , 動 機 づ け の 設 計 に ケ ラ ー の ARCS モ デ ル2 ), 授 業 の 構 成 に は ガ ニ ェ の 9 教 授 事 象 3 )等 を 用 い る. こ れ ら 行 動 主 義 ・ 認 知 主 義 に 基 づ く 教 授 モ デ ル で は 、 学 習 を 客 観 的 に 捉 え ら れ る 知 識 を 身 に つ け る プ ロ セ ス で あ る と い う 客 観 主 義 1の 立 場 と し て 捉 え て い た 1). 一 方 で , 授 業 の 評 価 に あ た っ て は 実 用 主 義 2に 位 置 づ け ら れ る 混 合 研 究 4)の 手 法 を と る. こ う し て , 異 な る 哲 学 的 立 場 に 基 づ く 授 業 の 設 計 と 授 業 の 評 価 を 統 合 し, 複 数 の 観 点 か 1対 象 を 客 観 的 ( 誰 が 見 て も 同 じ ) に 捉 え る 哲 学 的 立 場 1 ). 2実 用 主 義 は 研 究 に よ っ て も た ら さ れ る 結 果, 問 題 , そ し て 現 実 世 界 の 実 践 に お け る 実 用 性 に 焦 点 を 当 て る 研 究 哲 学 で あ る 4).

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12 ら 課 題 解 決 の 行 程 を 見 つ け 出 す 必 要 が あ る と 考 え た た め, 本 論 文 は 全 体 と し て 折 衷 主 義 3の 立 場 か ら 課 題 に ア プ ロ ー チ す る.

2. 1. 2 研 究 者 の 位 置

本 論 文 で は, 研 究 者 自 身 の 担 当 す る 科 目 の 授 業 改 善 を 目 的 と し て 様 々 な 介 入 を す る こ と か ら, 研 究 者 の 位 置 が 問 題 と な る . な ぜ な ら , 研 究 者 の 位 置 は 研 究 の 客 観 性 や 信 用 性 に 影 響 を 与 え る た め で あ る. こ の 研 究 者 の 位 置 に は , 研 究 対 象 の 外 に 自 分 を 位 置 づ け て デ ー タ を 取 る 「 外 側 の 位 置 」, 研 究 対 象 の 中 に 入 り 込 ん で デ ー タ を 取 る 「 内 側 の 位 置 」, 研 究 対 象 の 内 側 と 外 側 の 双 方 か ら デ ー タ を 取 る 「 中 間 の 位 置 」, の 3 つ が あ る と さ れ て い る が 5 ), 本 論 文 で は 基 本 的 に 「 内 側 の 位 置 」 を 取 る. こ の 位 置 を 取 る こ と で 実 践 的 な 知 見 を 求 め る こ と が 可 能 と な る が, そ の 一 方 で , 理 論 的 な 考 察 を 行 う 場 合 に は , 研 究 対 象 を 外 側 か ら 眺 め る こ と が 求 め ら れ る. し た が っ て , 状 況 に よ っ て 「 中 間 の 位 置 」 も 適 宜 採 用 す る こ と に す る.

2. 2 本 論 文 で 実 施 す る 授 業 実 践 と 調 査 の 対 象

本 論 文 で は 工 業 高 校 で 行 わ れ る 工 業 科 目 の 授 業 を 調 査 の 対 象 と し, 中 で も 一 斉 学 習 指 導 に 演 示 実 験 を 取 り 入 れ た 授 業 を 中 心 に 分 析 を 行 う. 調 査 の 対 象 は 筆 者 が 担 当 す る 授 業 と す る. 専 ら 筆 者 の 担 当 す る 授 業 の 改 善 を 目 的 と す る た め, 教 育 課 程 (カ リ キ ュ ラ ム )と 年 間 の 授 業 計 画 (年 間 指 導 計 画 )へ の 介 入 は 行 わ な い. 筆 者 の 担 当 す る 授 業 は 工 業 高 校 の 学 科 ・ 電 子 科 で 実 施 さ れ て い る 教 科 ・ 工 業 の 中 の 科 目 で, 調 査 を 実 施 し た 工 業 高 校 は 2 校 で あ っ た . 1 つ 目 の 調 査 対 象 3問 題 解 決 を 志 向 し て, 使 え る 研 究 成 果 は 何 で も 使 お う と す る 哲 学 的 立 場 1 ).

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13 校(調 査 対 象 校 A)は 東 北 地 方 の 太 平 洋 側 の 人 口 約 5 万 人 の 農 業 地 帯 に あ る 市 に 所 在 す る 工 業 高 校 で あ っ た. 2 つ 目 の 調 査 対 象 校 (調 査 対 象 校 B)は 東 北 地 方 の 太 平 洋 側 の 人 口 約 20 万 人 の 工 業 地 帯 に あ る 市 に 所 在 す る 工 業 高 校 で あ っ た. 調 査 対 象 の 科 目, 対 象 生 徒 の 学 年 , 対 象 ク ラ ス の 人 数 な ど 科 目 お よ び 生 徒 に 関 す る 情 報 を 表 2. 1 に 示 す . 表 2. 1 に 示 す よ う に 本 論 文 で は , 実 際 の 学 校 現 場 に お い て 筆 者 の 担 当 す る 授 業 を 調 査 対 象 と し て い る の で, 統 制 群 は 置 く こ と が で き な い . し た が っ て , ア ン ケ ー ト の 量 的 な 調 査 と 分 析 で は 科 学 的 実 験 の よ う な 内 的 妥 当 性 は 求 め に く い. さ ら に , 筆 者 の 担 当 す る 科 目 を 調 査 対 象 と す る の で , 筆 者 の 行 う 授 業 以 外 の 授 業 に ど の 程 度 適 用 で き る の か を 検 証 す る こ と も で き な い. し た が っ て, 外 的 妥 当 性 も 高 く な い . こ う し た 難 点 を 持 ち つ つ も , 可 能 な 限 り 多 数 か つ 多 様 な デ ー タ を 収 集 し 多 角 的 に 分 析 す る こ と で, 教 員 の 主 観 的 な 解 釈 に 因 表 2. 1: 調 査 対 象 生 徒 と 科 目 . 章 調 査 校 調 査 年 度 学 年( 在 籍 数) 科 目(単 位 数1) 学 習 内 容 3 A 2011 1 年 (32) 電 気 基 礎(2) 太 陽 電 池 の 原 理 と 特 性 3 年 (31) 通 信 技 術(2) 人 工 衛 星 の 太 陽 電 池 パ ネ ル 2012 2 年 (32) 電 子 回 路(2) 半 導 体 4 A 2012 1 年 (36) 電 気 基 礎(3) 直 流 回 路 5 A 2009 3 年 (34)2 実 習(3) 太 陽 電 池 の 負 荷 特 性 2012 1 年 (36) 電 気 基 礎(3) 直 流 回 路 工 業 技 術 基 礎(3) キ ル ヒ ホ ッ フ の 法 則 2 年 (32) 電 子 回 路(2) 半 導 体, 増 幅 回 路 実 習(3) FET の 特 性 6 A 2013 1 年 (28) 電 気 基 礎(2) 電 流 と 磁 気, 静 電 気 7 B 2017 2 年 (35) 電 子 回 路(4) 負 帰 還, 発 振 回 路 1高 等 学 校 学 習 指 導 要 領 解 説 工 業 編 6 )に よ る と, 「 1 単 位 時 間 を 50 分 と し , 35 単 位 時 間 の 授 業 を 1 単 位 と す る こ と を 標 準 と す る 」 と さ れ て い る . 2こ の う ち 19 名 を 調 査 対 象 と し た .

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14 わ れ な い 妥 当 な 結 論 を 得 る こ と が 可 能 と 考 え た. 表 2. 1 の「 電 気 基 礎 」, 「 通 信 技 術 」お よ び「 電 子 回 路 」は 座 学 で あ り , 「 工 業 技 術 基 礎 」 と 「 実 習 」 は 実 験 ・ 実 習 で あ る. こ れ ら の 授 業 を 3 つ の 授 業 形 態 に 分 け て 分 析 を 行 う. そ の 際 , 授 業 で 用 い る 主 た る 教 育 メ デ ィ ア の 違 い に よ っ て 授 業 形 態 を 分 類 し た. ま ず , 座 学 に つ い て は 演 示 実 験 と 取 り 入 れ る か 取 り 入 れ な い か で, そ れ ぞ れ 演 示 実 験 を 取 り 入 れ た 授 業 (以 後 , 【 演 示 】)と 演 示 実 験 を 取 り 入 れ な い 授 業(以 後 , 【 板 書 】 )と い う 2 つ の 授 業 形 態 に 分 類 す る. さ ら に , 実 験 ・ 実 習 は , 生 徒 実 験 を 取 り 入 れ た 授 業 (以 後 , 【 実 験 】 )と い う 3 つ 目 の 授 業 形 態 と す る . 表 2. 1 に 示 し た 科 目 で は , 実 習 を 除 い て 検 定 教 科 書 を 用 い た . さ ら に , そ れ ぞ れ の 教 科 書 に 沿 っ た 副 教 材 も 活 用 し た. 「 工 業 技 術 基 礎 」 で は 検 定 教 科 書 に 加 え て, 調 査 対 象 校 で 作 成 し た プ リ ン ト 教 材 を 利 用 し た . ま た , 実 習 で も 調 査 対 象 校 で 作 成 し た プ リ ン ト 教 材 を 利 用 し た. 最 後 に, 座 学 と 実 験・実 習 の 学 習 テ ー マ の 関 係 に つ い て 述 べ て お く . 学 習 指 導 要 領 解 説 6 )で は, 工 業 科 目 の 座 学 と 実 験・実 習 と を 有 機 的 に 関 連 さ せ , 体 験 的 な 学 習 を 通 し て そ の 内 容 を 理 解 さ せ る こ と が 求 め ら れ て い る. そ の た め , 通 常, 実 験 ・ 実 習 の 学 習 テ ー マ は 座 学 の そ れ と の 関 連 づ け が な さ れ て い る . 座 学 と 実 験 ・ 実 習 の 学 習 は 学 年 ご と に 並 行 し て 進 め ら れ る が, 複 数 の 教 員 が 担 当 し て 10 名 程 度 の 班 編 成 の ロ ー テ ー シ ョ ン で 実 施 す る 実 験・実 習 と , 一 人 の 教 員 が 一 斉 学 習 指 導 を 行 う 座 学 で は, 年 間 学 習 指 導 計 画 に お い て 両 者 の 学 習 テ ー マ の 実 施 時 期 を 一 致 さ せ る の は 容 易 で な い. そ の た め , あ る 学 習 テ ー マ に つ い て, 座 学 が 実 験 ・ 実 習 に 先 行 し て 指 導 し た り , そ の 逆 に な っ た り す る の が 一 般 的 で あ る.

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2. 3 イ ン ス ト ラ ク シ ョ ナ ル ・ デ ザ イ ン (ID)に よ る 授

業 の 設 計

こ れ ま で, 学 習 理 論 は 「 人 が ど の よ う に 学 ぶ か 」 に つ い て 様 々 な 研 究 知 見 を 提 供 し て き た 1 ). 時 代 の 移 り 変 わ り と 共 に , 学 習 理 論 は 行 動 主 義 か ら 認 知 主 義, 構 成 主 義 心 理 学 と い っ た 異 な る 基 盤 を 背 景 と し て 発 展 し て き た 1). こ う し た 過 程 の 中 で, ID は 行 動 主 義 心 理 学 と 認 知 主 義 心 理 学 の 観 点 を 統 合 と し て 登 場 し た 教 授 設 計 理 論 の 1 つ で あ る 7 ). ID と は , 教 育 活 動 を 効 率 , 効 果 , 魅 力 の 観 点 か ら 捉 え て 授 業 を 設 計 す る た め の 考 え 方 で あ る 8 ). こ の フ レ ー ム ワ ー ク で は , 入 力 と 出 力 を ま ず 設 定 す る. 入 力 は 学 習 者 の 現 状 で あ り , 出 力 は 目 標 と す る 学 習 の 成 果 で あ る . そ し て, 入 力 と 出 力 の 差 を 埋 め る た め に 教 育 活 動 が 実 施 さ れ る . 1 回 の 教 育 活 動 の 実 施 で は 目 標 と す る 学 習 の 成 果 が 容 易 に 得 ら れ な い と 考 え て, 学 習 者 か ら の フ ィ ー ド バ ッ ク を 得 て 授 業 に 改 善 を 加 え 続 け る の が 一 般 的 で あ る 7, 8 ). こ う し た 改 善 を 加 え 続 け る 教 育 活 動 を シ ス テ ム 的 に 開 発 す る プ ロ セ ス の 例 と し て ADDIE(Analysis:分 析 , Design:設 計 , Development:開 発 ,

Implementation:実 施 , Evaluation:評 価 )モ デ ル が よ く 知 ら れ て い る (図 2. 1)3 ). こ の モ デ ル は 具 体 的 で 精 緻 化 さ れ た モ デ ル と い う よ り も , さ ま ざ ま な モ デ ル に 共 通 す る 根 本 的 な 構 造 を 表 し た 枠 組 み で あ る と さ れ る 7 ). し た が っ て, 教 育 活 動 の 改 善 に は , プ ロ セ ス の 各 段 階 で ど の よ う な 手 続 き を 取 る か が 重 要 と な る. 本 論 文 で は, ID の 理 論 や モ デ ル の う ち , 2. 1 節 で 言 及 し た ARCS モ デ ル 2 ) と 9 教 授 事 象 3 )に 加 え て, 学 習 目 標 の 5 分 類 3 )お よ び 学 習 階 層 図 3 )を 援 用 し て 授 業 の 設 計 を 行 っ た. こ れ ら に つ い て は 続 く 2. 4 節 と 2. 5 節 で 順 に 取 り 上 げ る.

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2. 4 学 習 意 欲 の デ ザ イ ン

鈴 木 は 9), 「 動 機 づ け 研 究 の 裾 野 は 広 く , 研 究 の 歴 史 は 長 く , 様 々 な 理 論 や 立 場 が あ る 」 と し た 上 で, 「 問 題 解 決 を 志 向 す る 取 組 に と っ て は , 厄 介 な こ と で も あ る 」 と 述 べ て い る. こ の 理 由 に つ い て , 既 存 の 理 論 が 対 立 し た 解 釈 を 示 す 場 合 が あ る こ と や, 対 立 し た 双 方 の 解 釈 と も 了 解 可 能 で あ る こ と を 挙 げ て い る9 ). そ の 上 で , 動 機 づ け の 理 論 に つ い て , 鈴 木 9 ), 島 田1 0)を 引 用 し て, 「 一 般 の 心 理 学 的 な 原 理 を 明 ら か に し よ う と す る も の で , 学 習 意 欲 と い う 問 題 に 直 接 回 答 を 与 え る も の で は な い 」 と し て い る. こ う し た 鈴 木 の 指 摘 か ら も 9), 学 習 者 の 学 習 意 欲 を 動 機 づ け 理 論 に 基 づ い て 亢 進 す る た め の 授 業 設 計 の 難 し さ が 予 想 さ れ る. こ う し た 状 況 に お い て も 教 育 活 動 全 般 に つ い て 活 用 で き る 実 践 者 向 け の 汎 用 的 な モ デ ル と し て, ジ ョ ン ・ M・ ケ ラ ー (John M. Keller)の ARCS モ デ ル

2 )や レ イ モ ン ド ・J・ ウ ラ ッ ド コ ー ス キ ー (Raymond J. Wlodkowski)の 時 系 列

モ デ ル 11 )が 知 ら れ て い る. ARCS モ デ ル で は 第 1 章 で 述 べ た 4 つ の 要 因 に 沿

っ て 方 略・方 策 を 検 討 す る 2 ). 一 方 , 時 系 列 モ デ ル で は , 動 機 づ け の 要 因 が 学

習 の 開 始 期, 展 開 期 , 終 末 期 と い う 時 間 の 系 列 に 対 応 づ け ら れ て い る 11 ). い

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17 ず れ の モ デ ル も 1 2 ), 多 く の 動 機 づ け の 概 念 を 統 合 し な が ら 教 授 方 略 を 産 み 出 す 系 統 的 な 手 法 を 提 案 し て い る. こ れ ら の モ デ ル の う ち , ARCS モ デ ル で は 動 機 づ け 方 策 の 選 択 に 関 す る ガ イ ダ ン ス が 提 供 さ れ る だ け で な く 7 ), 学 習 意 欲 デ ザ イ ン の プ ロ セ ス に 沿 っ た ワ ー ク シ ー ト と 動 機 づ け の 要 因 に 沿 っ た 評 価 ツ ー ル が 提 供 さ れ て い る. こ う し た 点 か ら 授 業 の 実 践 者 に と っ て よ り 利 用 し や す い と 考 え ら れ る た め, 本 論 文 で は ARCS モ デ ル を 用 い て 学 習 意 欲 の デ ザ イ ン を 行 う こ と に し た.

2. 4. 1 ケ ラ ー の ARCS モ デ ル

1960 年 代 に ジ ョ ン ・ B・ キ ャ ロ ル (John B. Carroll)は , 個 人 差 を 「 学 習 に 必 要 な 時 間 と 学 習 に 使 っ た 時 間 の 差 」 と し て 捉 え る こ と で, 従 来 か ら の 知 能 に よ る 個 人 差 に つ い て 見 直 し を 求 め た1 3 ). 学 習 持 続 力 は 学 習 意 欲 と み な す こ と が で き 1 3 ), こ れ を 高 め る こ と で , 生 徒 は 与 え ら れ た 学 習 機 会 を 十 分 に 活 用 し, 生 徒 の 学 習 率 (テ ス ト の 得 点 率 )が 高 ま る と 考 え ら れ る . そ の た め に は , 魅 力 あ る 授 業 を 行 い 生 徒 の 学 習 意 欲 を 高 め る 工 夫 が 求 め ら れ る. ID で は , 教 育 活 動 の 効 果 ・ 効 率 ・ 魅 力 を 授 業 の 成 果 と 捉 え て い る 14 ). こ れ ら の う ち, 教 育 活 動 の 魅 力 が 授 業 の 成 果 の 1 つ と し て 取 り 上 げ ら れ る よ う に な っ た の は, 1979 年 以 降 と 考 え ら れ る 9 ). 1979 年 に チ ャ ー ル ズ ・ M・ ラ イ

ゲ ル ー ス(Charles M. Reigeluth)と M・デ イ ビ ッ ド・メ リ ル (M. David Merrill) は 授 業 設 計 モ デ ル の 体 系 化 に あ た っ て, 授 業 設 計 に 関 す る 変 数 を 授 業 の 条 件 , 授 業 の 方 法, 授 業 の 成 果 の 3 つ に 類 型 化 し た 1 5 ). こ こ で , 授 業 の 条 件 に は 教

科 内 容 の 特 性 と し て 授 業 の 目 的 と 授 業 の 制 約 1 5 ), お よ び , 学 習 者 の 特 性 が 含

ま れ る. 授 業 の 方 法 に は 教 授 方 略 , 実 施 方 略 , 管 理 方 略 の 3 つ が 含 ま れ る 1 5 ).

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18 ら れ て い る 15 ). こ れ ら の う ち 学 習 者 に 対 す る 成 果 の 1 つ と し て 教 育 活 動 の 魅 力 が 提 案 さ れ て お り 1 5 ), こ れ ま で 認 知 領 域 の 学 習 目 標 へ 到 達 す る た め の「 手 段 」 と し て 扱 わ れ る こ と が 多 か っ た 動 機 づ け が, 次 へ の 学 習 へ の 動 機 づ け と し て 授 業 の 成 果 の 1 つ と 位 置 づ け ら れ た 9 , 1 5 ). 鈴 木 は こ の 提 案 を 短 期 的 な 認 知 目 標 の 効 率 的 な 達 成 に 偏 っ て い た 授 業 設 計 の あ り 方 を 見 直 す 試 み で あ る と 評 価 し て い る 9 , 1 2). こ う し た 授 業 の 魅 力 を 直 接 扱 う た め に, 授 業 の 設 計 者 (デ ザ イ ナ ー )や 教 育 の 担 当 者(イ ン ス ト ラ ク タ ー )あ る い は 研 修 担 当 者 が 使 い や す い よ う に 整 理 さ れ た 動 機 づ け モ デ ル が ARCS モ デ ル で あ る 2 ). ARCS モ デ ル を 考 案 す る に あ た っ て, ア メ リ カ の 教 育 工 学 者 ケ ラ ー は , こ れ ま で の 動 機 づ け 理 論 を 生 理 学 や 神 経 学 に 依 拠 す る も の, 行 動 主 義 の ア プ ロ ー チ に よ る も の , 認 知 的 理 論 , 感 情 や 情 意 を 扱 う 研 究, と い う 4 つ に 分 類 し た 2 , 8 ). ケ ラ ー は こ れ ら の 4 つ に 分 類 し た 理 論 を 統 合 す る こ と で モ デ ル の 説 明 力 を 高 め 8 ), そ の 成 果 を 「 動 機 づ け と パ フ ォ ー マ ン ス の マ ク ロ モ デ ル 」と し て 提 案 し た(図 2. 2)8 ). こ の モ デ ル で は, 入 力 ・ プ ロ セ ス ・ 出 力 の 概 念 を 用 い て , 動 機 づ け と 課 題 達 成 状 況 の 関 係 を 系 統 的 に 説 明 し て い る 2 , 8 ). ま た, ケ ラ ー は , 心 理 学 研 究 に お け る 期 待 ×価 値 理 論 を 採 用 し て , 多 種 多 様 な 動 機 づ け 理 論 を 簡 潔 に 整 理 し た 2 ). ケ ラ ー の 整 理 に よ っ て 動 機 づ け の 要

因 は, 注 意 (Attention, A)・ 関 連 性 Relevance, R)・ 自 信 (Confidence, C)・ 満 足 感(Satisfaction, S) の 4 つ に ま と め ら れ た 2 ). ケ ラ ー の 整 理 し た 心 理 学 的

な 基 盤 を 要 因 ご と に 見 る と, 注 意 の 要 因 (A)は 覚 醒 理 論 と 古 典 的 概 念 , 好 奇 心, 退 屈 , 刺 激 追 求 , と い っ た 心 理 学 的 基 盤 を 背 景 に し て い る 2 ). ま た , 関 連

性 の 要 因(R)は , 目 的 の 選 択 , 動 機 , 将 来 指 向 性 と 将 来 時 間 , 興 味 , 内 発 的 動 機 づ け, フ ロ ー , な ど 2 ), 自 信 の 要 因 (C)は , 統 制 の 所 在 , 指 し 手 ・ コ マ 理 論 ,

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19 自 己 効 力 感, 自 己 効 力 感 の 効 果 , 原 因 帰 属 理 論 , 自 己 成 就 予 言 , 教 師 (管 理 者 ) の 自 己 効 力 感, 学 習 性 無 力 感 , 学 習 性 楽 観 主 義 , 能 力 に つ い て の 信 念 , ゴ ー ル 指 向 性, な ど 2 ), そ し て , 満 足 感 の 要 因 (S)は , 強 化 と 条 件 づ け , 外 発 的 強 化 と 内 発 的 動 機 づ け の 関 係, 認 知 的 評 価 と 満 足 感 , と い っ た 心 理 学 的 基 盤 か ら 整 理 さ れ て い る 2 ). こ こ で , 注 意 と 関 連 性 の 要 因 は 価 値 の 側 面 に 反 映 さ れ る 2 ). 一 方 , 自 信 の 要 因 は 期 待 の 側 面 に 対 応 す る . さ ら に , 満 足 感 の 要 因 は 学 習 者 の パ フ ォ ー マ ン ス の 結 末 か ら 得 ら れ た 感 情 や 態 度 の 受 け 止 め に 対 応 す る 2 ). ARCS モ デ ル の こ れ ら 4 つ の 要 因 は そ れ ぞ れ 3 つ の 下 位 分 類 を 持 つ (表 2. 2)2 ). ケ ラ ー に よ れ ば, 学 習 意 欲 の デ ザ イ ン ス テ ッ プ は 表 2. 3 に 整 理 さ れ る 10 段 階 で 与 え ら れ る 2 ). 本 論 文 で は , 「 試 行 」 の 段 階 で , 混 合 研 究 4 )(2. 9 節 で 図 2. 2: ケ ラ ー の 動 機 づ け と パ フ ォ ー マ ン ス の マ ク ロ モ デ ル 2 ). 文 献 2 の 図 1. 2 を も と に 作 成 .

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20 詳 し く 述 べ る)の 手 法 を 評 価 に 用 い る こ と で , 【 演 示 】に お い て 生 徒 の 動 機 づ け を 高 め る た め に 必 要 な 情 報 を 収 集 す る.

2. 4. 2 動 機 づ け の 要 因 と 動 機 づ け 方 略

A, R, C, S, で 表 さ れ る 4 つ の 要 因 は そ れ ぞ れ 「 学 習 者 の 関 心 を 獲 得 す る , 学 ぶ 好 奇 心 を 刺 激 す る 」, 「 学 習 者 の 肯 定 的 な 態 度 に 作 用 す る 個 人 的 ニ ー ズ や ゴ ー ル を 満 た す 」, 「 学 習 者 が 成 功 で き る こ と , ま た , 成 功 は 自 分 た ち の 工 夫 次 第 で あ る こ と を 確 信 ・ 実 感 す る た め の 助 け を す る 」, そ し て , 「 (内 的 と 外 的)報 奨 に よ っ て 達 成 を 強 化 す る 」と 定 義 さ れ て い る 2 ). こ の モ デ ル で は , A で 学 習 者 に お も し ろ そ う だ な と 思 わ せ, R で 学 習 者 に や り が い が あ り ど う だ な と 思 わ せ, C で や れ ば で き る と 思 わ せ , S で や っ て よ か っ た と 思 わ せ る , こ と で 次 へ の 意 欲 に つ な げ て い く 1 6 ). 表 2. 2: ARCS モ デ ル の 4 つ の 要 因 と そ れ ら の 下 位 分 類 2 ). 文 献 2 の 表 4. 1, 表 5. 5, 表 6. 3, 表 6. 3 を も と に 作 成 . 注 意(A) 関 連 性(R) 自 信(C) 満 足 感(S) 知 覚 的 喚 起(A1) 親 し み や す さ(R1) 学 習 要 求 (C1) 内 発 的 な 強 化(S1) 探 究 心 の 喚 起(A2) 目 的 指 向 性(R2) 成 功 の 機 会(C2) 外 発 的 な 報 酬(S2) 変 化 性(A3) 動 機 と の 一 致(R3) 個 人 的 な コ ン ト ロ ー ル(C3) 公 平 感(S3) 表 2. 3: 学 習 意 欲 の デ ザ イ ン ス テ ッ プ 2). 文 献 2 の 表 8. 1 を 改 変 し て 作 成 . 設 計 一 般 学 習 意 欲 の デ ザ イ ン ス テ ッ プ 分 析 1. 科 目 の 情 報 を 得 る 2. 学 習 者 の 情 報 を 得 る 3. 学 習 者 を 分 析 す る 4. 既 存 の 教 材 を 分 析 す る 設 計 5. 目 標 と 評 価 項 目 を 書 き 出 す 6. 方 策 の 候 補 を 書 き 出 す 7. 方 策 を 選 択 ・ 設 計 す る 8. 教 授 設 計 に 組 み 込 む 開 発 9. 教 材 を 選 択 ・ 開 発 す る 試 行 10. 評 価 ・ 修 正 を す る .

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21 本 論 文 で 実 施 す る 授 業 の た め に, ケ ラ ー が 提 案 す る 動 機 づ け 方 策 チ ェ ッ ク リ ス ト 2 )お よ び 鈴 木 の 提 案 す る ARCS モ デ ル に 基 づ く ヒ ン ト 集 16 )を 参 考 に 3 つ の 授 業 形 態 の 動 機 づ け 方 略 の 一 覧(表 2. 4)を 作 成 し , こ れ を 使 用 し た .

2. 4. 3 ア ン ケ ー ト に よ る 学 習 意 欲 の 量 的 な 調 査 と 分 析

ARCS モ デ ル に 沿 っ て , 授 業 で の 学 習 者 の 反 応 を 測 定 す る た め の ツ ー ル が 提 案 さ れ て い る. 本 論 文 で は , ARCS 評 価 シ ー ト 1 7 - 1 9)(資 料 1), お よ び 科 目 の

興 味 度 調 査(Course Interest Survey: CIS)2 )(資 料 2)の 2 つ の ツ ー ル を 使 用 す

る. 表 2. 4: 授 業 で 実 施 し た 動 機 づ け 方 略 . こ こ で , 分 類 は ARCS の 下 位 分 類 を 示 す. ま た , な し , 演 示 , 実 験 は そ れ ぞ れ , 実 験 な し 授 業 , 演 示 授 業 , 実 験 授 業 を 示 す. ○印 は 対 応 す る 授 業 形 態 で 動 機 づ け の 指 針 を 用 い た こ と を 示 す. 分 類 授 業 で 用 い た 動 機 づ け の 指 針 な し 演 示 実 験 A1 (1)視 覚 (実 験 , 板 書 )で 学 習 者 の 注 意 を 喚 起 す る ○ ○ ○ A2 (2)質 問 で 学 習 者 の 注 意 を 喚 起 す る ○ ○ A3 (3)演 示 実 験( 生 徒 実 験 ), 板 書 , 教 科 書 な ど メ デ ィ ア を 切 り 替 え る こ と で 授 業 の 流 れ に 変 化 を 持 た せ る ○ ○ R1 (4)過 去 の 学 習 内 容 と の 関 連 を 示 す ○ ○ R2 (5)小 テ ス ト や 定 期 考 査 な ど 直 近 の 価 値 を 述 べ る ○ ○ R3 (6)演 示 実 験 ( 生 徒 実 験 ) を 用 い て 学 習 過 程 を 楽 し く す る ○ ○ (7)協 調 的 な グ ル ー プ 活 動 を さ せ る ○ (8)生 徒 の や り や す い 実 験 の 進 め 方 に 任 せ る ○ C1 (9)授 業 者 が こ の 授 業 で 達 成 し て ほ し い こ と を 示 す ○ ○ (10)生 徒 が 実 験 を 開 始 す る 前 に 正 し い 実 験 結 果 を 明 示 す る ○ (11)測 定 器 の 使 い 方 や 接 続 方 法 に つ い て 明 確 な 指 示 を 与 え る ○ C2 (12)難 易 度 レ ベ ル を 適 切 に 設 定 す る ○ ○ ○ (13)演 示 実 験( 生 徒 実 験 )を 含 め た 多 様 な 教 育 メ デ ィ ア を 用 い て 情 報 を 分 り 易 く 提 示 す る ○ ○ ○ (14)学 習 者 の 回 答 に 対 し て 肯 定 的 な コ メ ン ト を す る ○ ○ ○ C3 (15)生 徒 の ペ ー ス で 実 験 を 進 め さ せ る ○ S1 (16)教 授 事 象 4 と 5 で 学 ん だ 内 容 を 使 う 機 会 を 与 え る ○ ○ S3 (17)教 授 事 象 4 と 5 で 学 ん だ 内 容 で 解 け る 問 題 を 出 題 す る ○ ○ ○ S2 (18)学 習 者 が 問 題 に 回 答 し た と き は ほ め る ○ ○ ○

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22 ARCS 評 価 シ ー ト は ARCS モ デ ル に 基 づ い て 授 業 や 教 材 を 評 価 す る 目 的 で 開 発 さ れ た 1 8 , 1 9 ). こ の シ ー ト の 開 発 に あ た り , 調 査 対 象 と し て 大 学 生 が 想 定 さ れ て い る が 1 8 , 19 ), シ ー ト の 質 問 が 理 解 で き る 対 象 者 で あ れ ば 利 用 で き る と 考 え ら れ る. こ の シ ー ト は ARCS の 4 つ の 要 因 と そ れ ら の 12 の 下 位 分 類 を 併 せ た16 の 項 目 に つ い て 評 価 す る ツ ー ル で あ る . こ の 調 査 で は , 対 立 す る 形 容 詞 の 対 を 用 い て 対 象 の イ メ ー ジ に つ い て ど の 程 度 あ て は ま る か を 回 答 す る Semantic Differential (SD)法 4を 用 い て お り, そ れ ぞ れ が 9 件 法 で , 5 を 「 ど ち ら と も い え な い 」 と し て, 9 が 最 高 , 1 が 最 低 評 価 で あ る . 2 つ 目 の ツ ー ル で あ る CIS は , 学 習 者 が 特 定 の 科 目 に 関 し て ど の よ う に 動 機 づ け ら れ た の か を 測 定 す る た め に 開 発 さ れ た 2). こ の 調 査 は 成 人 , 大 学 院 生, 大 学 生 , 高 校 生 に 対 し て 利 用 す る こ と を 想 定 し て い る 2 ). さ ら に , 読 み 書 き の レ ベ ル に 問 題 が な け れ ば, 年 齢 の 低 い 子 ど も に も 利 用 可 能 で あ ろ う と さ れ て い る 2 ). CIS は ARCS モ デ ル の 4 つ の 要 因 に 沿 っ た 34 の 項 目 (A と C に つ い て そ れ ぞ れ 項 目, R と S に つ い て そ れ ぞ れ 9 項 目 )で 構 成 さ れ た 調 査 票 で あ る 2). 調 査 項 目 の そ れ ぞ れ が 5 件 法 で , 3 を「 ど ち ら と も い え な い 」と し て, 5 が 最 高 , 1 が 最 低 評 価 で あ る . 第 4 章 と 第 5 章 で は , 生 徒 が い か に 動 機 づ け ら れ た か に つ い て , 比 較 的 簡 便 に 実 施 可 能 な ARCS 調 査 シ ー ト に よ っ て , 学 習 テ ー マ ご と に 調 査 を 実 施 す る. 第 6 章 と 第 7 章 で は , CIS を 調 査 に 用 い る . こ の 調 査 は 授 業 ご と に 実 施 し た. こ こ で , 調 査 対 象 者 の 実 態 に 合 わ せ て , 文 献 2 の 日 本 語 訳 の「 イ ン ス ト ラ ク タ ー 」 を 「 教 師 」 に, 「 ク ラ ス 」を 「 授 業 」に 置 き 換 え て 使 用 し た . CIS の 中 で, 質 問 番 号 4, 6, 7, 8, 11, 17, 25, 26, 31 は 反 転 項 目 の た め 2 ), 1 が 最 高 , 5 4対 に な っ た 形 容 詞 を 提 示 し, ど の 程 度 あ て は ま る か を 回 答 す る 2 0 ).

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23 が 最 低 評 価 と し て, 集 計 の 際 に 評 価 値 を 反 転 し た . 生 徒 ご と に , CIS の 評 価 値 を 全 て 累 積 し て CIS の 尺 度 全 体 の 得 点 (34 か ら 170)を 求 め た 2 ). 動 機 づ け の 量 的 な 尺 度 を 得 る た め, 第 4 章 と 第 5 章 で は , ARCS 評 価 シ ー ト の 質 問 の 評 価 値 の 平 均 を 求 め た. 第 6 章 で は【 板 書 】と【 演 示 】に つ い て CIS の 尺 度 全 体 の 得 点 を 求 め た. 収 集 し た デ ー タ の 度 数 分 布 (第 4 章 と 付 録 D に 示 す)を 調 べ た と こ ろ , 正 規 性 が 低 い と 認 め ら れ た の で , 第 4 章 か ら 第 7 章 で 結 果 の 差 異 を 議 論 す る 際, ウ ィ ル コ ク ソ ン 検 定 (付 録 B)を 検 定 に 用 い た .

2. 5 学 び を 支 援 す る 働 き か け

ID に お い て 学 習 活 動 を 支 援 す る 基 礎 と な っ て い る 総 合 的 で 包 括 的 な 教 授 理 論 と し て, ロ バ ー ト ・ M・ ガ ニ ェ (Robert M. Gagne)の 提 唱 し た 教 授 理 論 が 知 ら れ て い る 7 ). こ の 理 論 は , 9 教 授 事 象 , 学 習 成 果 の 5 分 類 , 学 習 の 階 層 モ デ ル, と い う 3 つ の 要 素 で 構 成 さ れ て い る 7 ). 以 下 で , こ れ ら 3 つ の 要 素 に つ い て そ の 概 要 を 述 べ て お く. 加 え て , ID 初 心 者 に 広 く 用 い ら れ て い る ウ ォ ル タ ー ・ デ ィ ッ ク(Walter Dick)と ジ ェ イ ム ス ・ O・ ケ ア リ ー (James O. Carey) の シ ス テ ム 的 な ア プ ロ ー チ の プ ロ セ ス に つ い て 概 要 を 取 り 上 げ る 2 1 ).

2. 5. 1 ガ ニ ェ の 9 教 授 事 象

第 二 次 世 界 大 戦 以 降 の 学 習 理 論 は, 行 動 主 義 心 理 学 の 知 見 を 基 に , 効 果 的 に 学 習 者 の 学 習 を 促 す た め の ノ ウ ハ ウ と し て 蓄 積 し た 1 , 7 ). 行 動 主 義 心 理 学 で は 人 間 の 頭 の 中 で 起 き て い る こ と を ブ ラ ッ ク ボ ッ ク ス と し て 扱 い, 刺 激 , 反 応, 強 化 , と い う 外 側 か ら 観 察 で き る 現 象 に 基 づ い て 理 論 が 組 み 立 て ら れ て い た 1, 7 ).

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24 行 動 主 義 に 続 い て, 人 間 の 頭 の 中 で 起 き て い る 情 報 処 理 過 程 を 明 ら か に し よ う と す る 認 知 主 義 心 理 学 が 登 場 し た 7 ). こ れ は , 人 間 の 認 知 の 過 程 を ブ ラ ッ ク ボ ッ ク ス と み な す の で は な く, そ れ を コ ン ピ ュ ー タ で 行 わ れ る よ う な 情 報 処 理 の 過 程 と み な す 試 み で あ っ た 7 ). こ う し た 背 景 を 基 に , ア メ リ カ の 学 習 心 理 学 者 で あ る ガ ニ ェ は 学 び を 支 援 す る た め の 外 側 か ら の 働 き か け を 9 教 授 事 象(表 2. 5)と し て 提 案 し た 3 ). 9 教 授 事 象 で は , 人 間 が ど の よ う に 新 し い 知 識 や 技 能 を 習 得 す る か に つ い て 説 明 す る 学 習 モ デ ル(内 的 条 件 )を 反 映 し た 目 的 が 設 定 さ れ る(表 2. 5). こ れ に 沿 っ て 効 果 の あ る 学 習 支 援 を 行 う た め に は, 学 習 環 境 を 組 み 立 て る , 説 明 方 法 を 工 夫 す る , 作 業 を 課 す , と い っ た 活 動 が 求 め ら れ る 3 ). こ う し た 学 習 を 支 援 す る 過 程 は , 9 つ の 教 授 事 象 に 沿 っ た 学 習 活 動 と 指 導 方 略 を 設 計 す る こ と で 実 現 で き る と 考 え ら れ て い る 3). 表 2. 5: ガ ニ ェ の 9 教 授 事 象 3 ). 文 献 3 の 表 2-2 を 改 変 し て 作 成 . 事 象 目 的 1 学 習 者 の 注 意 を 喚 起 す る ・ 学 習 へ の 準 備 を さ せ る. ・イ ン ス ト ラ ク シ ョ ン の 関 連 性 や 目 的 に 向 け て 学 習 者 の 注 意 を 方 向 づ け る. 2 学 習 者 に 目 標 を 知 ら せ る ・ 期 待 さ れ る 成 果 を 明 ら か に す る. 3 前 提 条 件 を 思 い 出 さ せ る ・ 学 習 者 が 既 有 知 識 と 新 し い 学 習 内 容 を 関 連 づ け る. ・ 新 し い 学 習 の ゴ ー ル を 与 え る. 4 新 し い 事 項 を 提 示 す る ・ 学 習 す べ き 新 し い 情 報, 手 順 , プ ロ セ ス や 問 題 解 決 の タ ス ク を 提 示 す る. ・ 提 示 さ れ た 内 容 を 既 習 の 知 識 と 結 び つ け る こ と で, 長 期 記 憶 へ の 符 号 化 を 促 す. 5 学 習 の 指 針 を 与 え る ・ 事 象 4 に て 提 示 し た 事 項 を 精 緻 化 す る . ・ こ の 段 階 は, 豊 か な 知 識 構 造 の 符 号 化 や 構 築 を 促 す. 6 練 習 の 機 会 を つ く る ・ 学 習 者 の 反 応 を 誘 い 出 す. ・ こ の 目 的 的 は, 評 価 す る こ と で は な く , 不 確 か さ や 誤 解 を 発 見 す る こ と に あ る. 7 フ ィ ー ド バ ッ ク を 与 え る ・ 理 解 の 正 確 さ に つ い て, 学 習 者 へ 情 報 を 与 え る . 8 学 習 の 成 果 を 評 価 す る ・ 学 習 し た 知 識 や ス キ ル の(時 間 が 経 っ た 場 合 に お け る)保 持 を テ ス ト す る . 9 保 持 と 転 移 を 高 め る ・ 定 期 的 な 練 習 に よ っ て 学 習 し た こ と を 強 化 す る.

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25

2. 5. 2 学 習 目 標 の 分 類

1950 年 代 後 半 に 米 国 の 教 育 心 理 学 者 ベ ン ジ ャ ミ ン・S・ブ ル ー ム (Benjamin S. Bloom)は 教 育 目 標 を 認 知 的 領 域 (知 識 と 思 考 ), 精 神 運 動 的 領 域 (物 理 的 な 動 作), 情 意 的 領 域 (感 情 と 態 度 )に 分 類 し た 2 2, 2 3 ). こ の 教 育 目 標 の 分 類 で は , 生 徒 の 習 得 状 況 を 測 定 す る た め の 枠 組 み と し て, 教 育 内 容 よ り 学 習 過 程 に 焦 点 を 当 て て い る. そ の 後, ガ ニ ェ は , 学 習 成 果 の 質 的 な 違 い に 基 づ い て , 学 習 成 果 の 5 分 類 (知 的 技 能・認 知 的 方 略・言 語 情 報・態 度・運 動 技 能 )を 提 案 し た (表 2. 6)3, 2 4). こ の 分 類 枠 で 授 業 の ね ら い を 分 類 す る と 、 そ の ね ら い の 性 質 に あ わ せ た 効 果 的 な 指 導 方 略 を 検 討 で き(表 2. 6)2 4 ), 授 業 を 設 計 す る ガ イ ド ラ イ ン と な る . 本 論 文 で 調 査 対 象 と し た 科 目 で は, 原 理 を 知 る , 公 式 を 活 用 で き る , と い っ た 目 標 が 設 定 さ れ て い る の で, ガ ニ ェ の 提 示 し た レ ッ ス ン プ ラ ン 3 )に 沿 っ 表 2. 6: ガ ニ ェ の 5 つ の 学 習 成 果 と 授 業 設 計 の 原 則 2 4 ). 文 献 24 の 表 III-2 を 改 変 し て 作 成. 学 習 成 果 言 語 情 報 知 的 技 能 認 知 的 方 略 運 動 技 能 態 度 成 果 の 性 質 指 定 さ れ た も の を 覚 え る 宣 言 的 知 識 再 生 的 学 習 規 則 を 未 知 の 事 例 に 適 用 す る 力 手 続 き 的 知 識 自 分 の 学 習 過 程 を 効 果 的 に す る 力 学 習 技 能 筋 肉 を 使 っ て 体 を 動 か す / コ ン ト ロ ー ル す る 力 あ る 物 事 や 状 況 を 選 ぼ う / 避 け よ う と す る 気 持 ち 学 習 成 果 の 分 類 を 示 す 行 為 動 詞 ( 事 象 2) 記 述 す る 区 別 す る 確 認 す る 分 類 す る 例 証 す る 生 成 す る 採 用 す る 実 行 す る 選 択 す る 成 果 の 評 価 ( 事 象 8) あ ら か じ め 提 示 さ れ た 情 報 の 再 認 ま た は 再 生 全 項 目 を 対 象 と す る か 項 目 の 無 作 為 抽 出 を 行 う 未 知 の 例 に 適 用 さ せ る: 規 則 自 体 の 再 生 で は な い 課 題 の 全 タ イ プ か ら 出 題 し 適 用 で き る 範 囲 を 確 認 す る 学 習 の 結 果 よ り 過 程 に 適 用 さ れ る 学 習 過 程 の 観 察 や 自 己 描 写 レ ポ ー ト な ど を 用 い る 実 演 さ せ る: や り 方 の 知 識 と 実 現 す る 力 は 違 う リ ス ト を 活 用 し 正 確 さ, 速 さ, ス ム ー ズ さ を チ ェ ッ ク 行 動 の 観 察 ま た は 行 動 意 図 の 表 明 場 を 設 定 す る. 一 般 論 で な く 個 人 的 な 選 択 行 動 を 扱 う 指 導 方 略 ヒ ン ト 前 提 条 件 ( 事 象 3) 関 連 す る 既 習 の 熟 知 情 報 と そ の 枠 組 み を 思 い 出 さ せ る 新 出 技 能 の 前 提 と な る 下 位 の 基 礎 技 能 を 思 い 出 さ せ る 習 得 済 の 類 似 の 方 略 と 関 連 知 的 技 能 を 思 い 出 さ せ る 習 得 済 の 部 分 技 能 や よ り 基 礎 的 な 技 能 を 思 い 出 さ せ る 選 択 行 動 の 内 容 と そ の 場 面 の 情 報 を 思 い 出 さ せ る

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26 て, 知 的 技 能 の 学 習 を 対 象 と し た 9 つ の 教 授 事 象 で 構 成 さ れ る 授 業 を 設 計 し た(表 2. 7). 本 論 文 で 扱 う 3 つ の 授 業 形 態 の う ち , 【 演 示 】 で は , 教 授 事 象 1 か ら 9 の う ち の 1 つ ま た は 複 数 の 事 象 中 に 演 示 実 験 を 実 施 し た (表 2. 7).

2. 5. 3 学 習 の 階 層 モ デ ル

学 習 の 階 層 モ デ ル と は, 1960 年 代 に 学 習 心 理 学 者 で あ る ガ ニ ェ に よ り 提 唱 さ れ た 教 授 の 処 方 モ デ ル で あ る 3 , 2 3 ) . こ の モ デ ル で は , ス キ ル が 相 互 に 階 層 表 2. 7: 授 業 の 構 成 と 学 習 活 動 . 事 象 【 板 書 】 【 演 示 】 【 実 験 】 1 説 明 発 問 説 明 板 書 教 材 の 提 示 演 示 実 験* 説 明 板 書 教 材 の 提 示 2 説 明 説 明 説 明 3 説 明 発 問 板 書 説 明 発 問 板 書 演 示 実 験* 説 明 発 問 板 書 4 説 明 発 問 板 書 説 明 発 問 板 書 演 示 実 験* 説 明 発 問 板 書 5 例 題 を 提 示 説 明 板 書 例 題 を 提 示 説 明 板 書 演 示 実 験* 説 明 発 問 板 書 実 験 の 実 演 測 定 例 の 提 示 6 問 題 を 課 す 問 題 を 課 す 生 徒 実 験 7 問 題 の 解 答 フ ィ ー ド バ ッ ク コ メ ン ト 問 題 の 解 答 フ ィ ー ド バ ッ ク コ メ ン ト 演 示 実 験* デ ー タ の 確 認 フ ィ ー ド バ ッ ク コ メ ン ト 8 問 題 を 課 す 問 題 を 課 す レ ポ ー ト の 作 成 9 問 題 の 解 答 フ ィ ー ド バ ッ ク コ メ ン ト 問 題 の 解 答 フ ィ ー ド バ ッ ク コ メ ン ト 演 示 実 験* レ ポ ー ト の 点 検 コ メ ン ト フ ィ ー ド バ ッ ク *教 授 事 象 1 か ら 9 の う ち の 1 つ ま た は 複 数 の 事 象 中 に 演 示 実 験 を 実 施

図 1. 1:  論 文 の 構 成 図 .  こ こ で ,  【 板 書 】と【 演 示 】は そ れ ぞ れ ,  板 書 と 演 示 実 験 を 主 た る 教 育 メ デ ィ ア と し て 用 い た 授 業 を 示 す
図 2. 1: ADDIE モ デ ル の プ ロ セ ス 3 ) .  文 献 3 の 図 2-1 を も と に 作 成 .
表 4. 1: ARCS 評 価 シ ー ト の 質 問 項 目 4 ) .  こ こ で , A0, R0, C0, S0 は ARCS の 4 つ の 要 因 を 示 し , 1,2,3 の 数 字 が 併 記 し て あ る も の は そ れ ぞ れ の 要 因 の 下 位 分 類 を 示 す 5 )
図 D. 3:  表 D. 10 で 示 し た 第 7 章 【 演 示 】 の 尺 度 得 点 の 度 数 分 布 .

参照

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