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幼児の運動調整に関する発達心理学的研究

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Academic year: 2021

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(1)博 士 学位 請 求論 文. 幼児 の運動調整 に 関す る発達心理学 的研 究. 赤尾. 依子.

(2) 要. 約. 本論文 は 、近年問題 とな ってい る子 どもの 自己抑制(selicontroD行 動 の低 下 を懸念 して 、 新 しく自己抑制行動 を測定す る課題 を提案す る こ とを 目的に研 究 を行 つた。 自己抑制行動 とは 、柏木 (1988)に よる独 自の理論的枠組み にお いて 、「集団場面 で 自分 の欲求や行動 を抑 制 、制 止 しなけれ ばな らない とき、それ を抑制す る行動」 と定義 され る。 まず 、第 1章 では 自己調整行動 を測定 して い る先行研 究を概観 し、使用 され て い る課題 に即 して 、運動調整 を測定す る課題 、認知調 整 を測定す る課題 、対人関係調整 を測定す る 課題 の 3つ に分類 し、それぞれ の課題 につい て比較 した。 第. 2章 では、「運動調整 を測定す る新 しい 図形描画課題 の信頼性 と妥 当性 の検討 と、運. 動調整 とその他 の調整 との 関連性 の検討」 を行 つた。 は じめに、図形描 画課題 の課題 とし ての妥 当性 の検討 を行 つた。 そ の結果 、図形描画課題 は 、先行研 究 で使用 され て い る運動 調整 を測定す る線テ ス トとの 間 に関連性 が認 め られ 、幼児 (4歳 か ら 6歳 児)の 運動調整 を 測定す る課題 として妥 当である ことが 明 らか に され た。次 に、図形描 画課題 の信頼性 を検 齢)に よる影 響 を受 け 討す るために縦断研 究 を行 つ た ところ、所要 時間に関 しては発達勒日 ないが 、逸脱 回数 につい ては発達 に よる影 響 を受 ける ことが確認 され た。 さらに、小学. 1. 年 生 にお い て も逸脱 回数 が完 全 にはな くな らず、運動調整 の発達過程 であることが示 され た。次 に、運動調整 と認知調 整、運動調整 と対人関係調整 との 関連性 を検討 した。認 知調 整 は 、Kagan,Rosman,Day9 Albert,&Ph皿 ゎs(1964)が 開発 した MFFテ ス ト(Matchng the Famiiar Figures test)で 測定 され た。 そ の結果 、運動調 整 と認知調整 との 間には衝動 運動調整 を行 う場合 に衝動性傾 向 の 高 い幼児 は 、 性傾 向にお いて有意 な関連性 が認 め られ 、 認知調整 を行 う場合 に も衝動性傾 向 の高 い ことが示 され た。次 に、運動調整 と対人関係調 整 との 関連性 を検討 した ところ、 ここに衝動性傾 向 の効果 は認 め られ なか つ た。 第. 3章 では、「図形描画課題 を使用 した応用研究」 として、図形描画課題 と日常生活 に. お ける 自己抑制行動や社会的 ス キル との 関連性 の検討 を行 つ た。 そ の結果 、幼稚園教諭 や 母親 の評価す る 自己抑制尺度 にお い て 自己抑制行動 の高 い幼児 は 、図形 描画課題 を使用 し た運 動調整 も高 い ことが示 され た。 したがって 、図形描画課 題 で測定す る運動調整 は 日常 生活 にお ける 自己抑制行動 と関係 の深 い ことが 明 らかに され た。 また 、図形描画課題 で逸 脱 回数 が少 な く運動調整 がで きる幼児 は 日常生活 にお いて活動的 であることも明 らか に さ れ た。 さらに、幼児期 に測定 され た社会的 ス キル尺度 につい ては 、図形描画 課題 の衝動性.

(3) 得点 の効果 が認 め られず 、2つ の 関連性 は示 され なか つた。 一 方、社会的 ス キル尺度 にお い て 「主張 ス キル 」 の得点 の高 い幼児 は図形描画課題 を行 う場合 に効率的 に課題 を遂行す ることが示 され た。 次 に、第. 4章 では、「親子 関係 と幼児 の 自己抑制行動 の発達」 につい て検討 した。 ここ. では 、母親 の しつ け態度 と幼児 の 自己抑制行動 との 関連性 を検討す るために、母親 の しつ け態度 を TK式 幼児用親子 関係検査 を用 い て測定 した。そ の結果 、図形描画課題 の衝動性 得点 の高 い衝動群 にお い て 、母親 が過干渉 で溺愛 した しつ け態度 を示す ことが示 され た。 以 上 本論文 では 、4章 に亘 つて幼児 の運動調整 とそ の規定因 につい て研 究 した結果 、以 下 の ことが 明 らかに され た。手 の運動調整 を測定す る図形描画課題 は 、短縮版 自己抑制尺 度 との 関連性 よ り、 自己抑制行動 の 中の 「遅延 可能」 を最 もよ く反映 して い る こ とが明 ら かに され た。 さらに、MFFテ ス トとの比 較 よ り衝動性傾 向を測定 して い る こ とが明 らか に され た。 これ らをま とめる と、図形描画課題 で測定 され る手 の運動調整 は、遅延行動 を 選択す べ き場面 で衝動的 に振 舞 わず に熟慮的 に行動 で きるか否 か を測定す る課題 である と 考 え られ る。 また 、幼児 の手 の運動調整 と母親 の過干渉 で溺愛 した しつ け態度 との 間 に関 連性 が認 め られ ることも示 され た。.

(4) 目. 第 1章. 次. 序論 1. 1. 自己調整機 能研 究 の意義. 1‐. 2. 自己調整機 能研 究 の歴 史. 1‐. 3. 自己抑 制 行 動 に 関す る先行研 究. 2. 1‐. 4. 1. 6. 1‐ 3‐. 運 動調整 を測 定す る課 題 6. (1)線 テ ス ト(描 画課題 ). 8. 亘 (2)Go/No― go司 果是 1‐ 3‐. 2認. (1)同 画探索テ ス ト(Matching the Famユ iar Figures tesじ. 1‐ 3‐. 10. 知調整 を測 定す る課 題. MFFテ ス ト). 10. (2)遅 延報酬課題. 14. (3)誘 惑抵抗課題. 17. 3対 人関係調整 を測定す る課題. 19. 19. (1)フ ラス トレー シ ョンテ ス ト 1‐ 3‐. 4. 4. 親子 関係 と幼児 の 自己抑制行動 の発達. 1‐. 5. 本研 究 の 目的. 2‐. 1     2 2   2. 1‐. 第 2章. 21. 自己抑制 行 動 を測 定 す る課 題 の ま とめ. 運 動調 整 を測 定す る図形描 画課 題 の 信 頼 性 と妥 当性 の 検 討 と、 そ の 他 の 調 整 との 関連 性 の 検 討. 1. 25. 研究1:運 動調整を測定する図形描画課題 の妥当性 の検討 と、運動調整 と. 28. 認 知 調 整 との 関連性 につい て 2‐ 1‐. 2‐ 1‐. 2‐ 1‐. 2‐ 1‐. 2‐. 2. 1 2 3 4. 目的. 28. 方法. 29. 結果. 34. 考察. 42. 石干多七2: 運 動調 整 と対 人 関係 調整 との 関連 性 に つ い て … … … …… … … … … ……. 1. 44. 2‐ 2‐. 1. 目的. 44. 2‐ 2‐. 2. 方法. 44. 2‐ 2‐. 3. 結果. 47. 2‐ 2‐. 4. 考察. 54.

(5) 2‐. 3. 石汗多七3: 図形描 画課題 の信頼性 の検討. 2‐. 3a. 研 究 3a. 56. 2‐ 3a‐. 2. 方法. 56. 3a‐. 3. 結果 と考察. 57. 石肝多七3b. 3c. 目的. 62. 2‐. 3b‐ 2. 方法. 62. 結果 と考 察. 62. 3. 石干グ七3c. 3‐. :幼 稚 園年 少児 か ら小学 1年生 まで を対象 と した図形描画課題 の 横 断研 究 一逸脱 回数 を指標 とした分析 一. 72. 203c‐ 1. 目的. 72. 3c‐. 2. 方法. 72. 203c‐. 3. 結果 と考察. 73. 4. 第3章. 62. 3b‐ 1. 2‐. 2‐ 3口. :幼 稚 園年少児 か ら小学 1年 生までを対象 とした図形描画課題 の 各指標 の分布. 2‐. 203b‐ 2‐. 56. 目的. 2‐. 3b. :2年 間 の縦断研 究 に よる図形描画課題 の信頼性 の検討. 3a‐ 1. 2‐. 2‐. 56. 75. 図形描画課題 の信頼性 の検討 に 関す る総合論議. 78. 図 形 描 画 課 題 を使 用 した 応 用 研 究 研究4:幼 児 を対象 とした 自己抑制尺度 の作成 と、それ と運動調整 との 関連性 について 0… ……………………………………………………………………. 1. `. 3‐. 3‐. la. lb. 3‐ 1‐. 3‐. 2. 4. 研究4a:幼 児 の 自己抑制行動 を測定す る質問紙 の作成. 79. … …・… … …・… …・ 79. 3‐. la‐. 1. 目的. 79. 3‐. la‐. 2. 撮 ブ テお. 79. 3‐. la‐. 3. 結 果 と考 察. 80. 自己抑 制尺度 と図形 描画課題 との 関連性 につい て. 84. 研 究 4b: 3‐. lb‐ 1. 目的. 84. 3‐. lb‐ 2. 方法. 84. 3‐. lb‐ 3. 結果 と考 察. 85. 幼児 を対象 とした 自己抑制尺度 の得点 と、運動調整 に 関す る総合論議 研 究 5:母 親 と幼稚 園教諭 に対 して行 った幼児 の 自己抑制尺度 の得点 と、 運動調整 との 関連性 につい て. ……. 87 90. 3‐ 2‐. 1. 目的. 90. 3‐ 2‐. 2. 方法. 90. 3‐ 2‐. 3. 結果. 91. 3‐ 2‐. 4. 考察. 96.

(6) 3‐. 3‐. 3. 4. 1. 第 5章 5‐. : 図形描 画課題 と日常 生活 にお ける活動性 との 関連性 につい て. 1. 1. 目的. 98. 3‐ 3‐. 2. 方法. 99. 3‐ 3‐. 3. 結果. 100. 3‐ 3‐. 4. 考察. 101. 研 究 7:幼 児 を対象 と した社 会 的 ス キル 尺度 、 自己抑 制 尺度 と図形 描 画課題 の 関 連 性 に つ い て … …・… … ・… …・… …・… … ・… …・… …・… … 00103 ・。103 ・・000・ 0000・ ・・・。 ・・・・・。 3‐ 4‐ 1 勺 ・・・・・・・・00・ ・0・ 0・ ・・00・ ・・・・。 目白 ・00・ ・・000・ ・・・・・・・・・・・0・ ・・0・ ・・・・。00000・ 。103. 3‐ 4‐. 2. 方 泄1 ・000000・. 3‐ 4‐. 3. 結果. … …・… …・… … 6… … ●… … ・… …・… …・… …・… …・… … 105. 3‐ 4‐. 4. 考察. ・0・. 00・. 0・. 0・. ・・・・・・・・・・・0・ ・・・00・ ・・・・0・. 0・. ・・・・・・・・・0・ ・・`110. 112. 研 究 8:親 子 関係 検 査 で 測 定 す る母親 の しつ け態 度 と幼 児 の 自己抑 制 行 動 との 関連性 の検 討 ・……………………………………………………………………0114 ・・ 114 4・ 1‐ 1 勺 ....・ ・・・・・・・00・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・00。 ・・・・・・・・・。 目白 4‐ 1‐. 2. 方法. 4‐ 1‐. 3. 結果. 4‐ 1‐. 4. 考察. … …・… …・… …・… … 0… …・… …・… …・… …・… …・… … 117 ・000121 ・・0・ 00・ ・・0・ 0・ 0・ 0・ ・・・・0・ ・・・00。 ・・・・・・・0・ ・・・・・・。. 123. 本研 究 の結果 のま とめ. 101. 5‐ 1‐. 503. ・・・・・・・000・ ・・・・・・・・00・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0・ ・・(114. 総合論議. 50102. 2. 98. 3‐ 3‐. 5‐. 5‐. ………. 親子関係 と幼児の 自己抑制行動の発達. 第4章 4‐. 研究6. 3. … …・… …・… … 0… …・… …・… …・… … 0… …・… ・123. 図形描画課題 開発 の信頼性 と妥 当性 の検討 につい てのま とめ 図形描画課題 を使用 した応用研 究 のま とめ. … …・… …・… …・… … 124. 親子 関係 と幼児 の 自己抑制行動 の発達 についての ま とめ. … …・…・ 126. 図形描画課題 、線 テ ス ト、MFFテ ス トの各指標 の相 関分析 の結果 の解釈 誤反応 を測定す る利 点. … … ・123. ……. 127. … …・… …・… …・… …・… …・… …・… …・… …・… 。128. 5‐. 4. 図形描画課題 が線 テ ス トよ りも優れ てい る点 について. 5‐. 5. 幼児 の 自己抑制行動 の規定因 としての母 親 の しつ け態度 について. 5口. 6. 今後 の課題 と展望. … …・… …・… …・…・ 129 … …・… … 130. … …・… …・… …・… …・… …・… …・… …・… …・… … … 130. References 附録 謝辞 皿.

(7) 第 1章. 1-1. 序論. 自己調 整 機 能 研 究 の 意 義. 自己調整機能 (seliregulationlと は 、奔放 な行動 の生 起 を抑 え、刹那的 な欲求 は満 た され な い ものの長期的 には よ り有益 な結果 につ なが る行動 を選択 させ た り、 自身 の欲求 には反 す るが社会的規 範 に沿 つた道徳的行動 を導 い た りす る機能 である。幼児期 には、親や保護 者 の指示 といった外的な統 制 によって行動 が調整 され る場合 が多 い が 、成長 に伴 い 、外的 な統制 な しに 自身 の行動 が調整 で きるよ うにな る。 こ うした 自己調整機 能 は 、選択反応課 題 にお ける熟慮J性 (eog。 ,Kagan,Rosman,Day9 Albert,&Phillゎ s,1964;Mサ akaWa,1981; 宮川 ,2001;山 崎 ,1994)、 手 の運動調整 (e.g"柏 木 ,1988;Maccobtt Dowlett Hagen,&. Degerman,1965;庄 司,1996)、 遅延報酬 の有効性 (eog"Mischel&Metzne■ 1962;鈴 木. ,. 2005)等 を指標 として 、 主 として幼児 を対象 に発達的 な視点か ら実験的研 究 が行 われ て き た。実験的 に検討 され る自己調整機能 は、実験場面 に応 じて操作的 に定義 され て い るため、 い ずれ も比較的単純 な反応 であるが 、青年期以降 の社会 生活 に必要 となる多様 で複雑 な 自 己調整機能 の 基礎 をなす もの と考 え られ る。例 えば、Mischel,Sh6da,&Peake(1988)は 、 幼児期 に 自己抑制行動 の選択 できる子 ど もは、青年期 の学業成績 が 良い こと、友人関係 が 良好 であるこ と、また様 々 な問題 へ の対処能力 の高 い ことを示 した。 Shoda,Mischel,&. Peake(1990)は 幼児期 の 自己抑制行動 が 、青年期 の 問題 へ の対処能 力や 自己統制 ス キル な どと関係 の あるこ とを示 して い る。 したがつて 、幼児期 にお ける実験的な 自己抑制行動 の 測定 は 、対象児 の将来 にお ける社会適応 の質 を予測す る上で も有用 である と考 え られ る。 柏木 (1988)は 、独 自の理 論 的枠組み に基 づ き、幼児期 の 自己調整機能 を 「集 団場面 で 自 分 の欲求や行動 を抑制 、制 止 しなけれ ばな らな い とき、それ を抑制す る」 とい う自己抑制 (self‐. controD行 動 と、「自分 の欲求や意志 を明確 に持 ち、これ を他 人や集 団 の前 で表現 し主. 張す る」 とい う自己主 張 (sel■ assertio→ 行動 の 2つ に分類 した。 そ して 、幼稚 園教諭 に対 す る質問紙調 査 によつて 、3歳 か ら 6歳 の子 どもを対象 に各 年齢 段 階 で 自己抑制行動 と自 己主張行動 が どの くらい現れ るかを検討 した。そ の結果、 自己抑制行動 に 関 しては 3歳 か ら 6歳 の間 に一 貫 してなだ らかな増加傾 向 が確認 されたが、自己主張行動 に関 しては 4歳 半 ごろ を さか い に伸びの見 られ な い ことが示 され た。 この結果 は、 日本 の文化的風土 が 自 己主張行動 よ りも自己抑制行動 に重点 を置 くことと関連 して い る と考察 され た。 したが つ.

(8) て 、 この よ うに子 どもの 自己抑制行動 が発達す るの な ら、就学時 の子 どもの行動 は、強 い 自己抑制傾 向 で特徴 づ け られ て い る と考 え られ よ う。 しか しなが ら、近年 の小学校教育場面 をみ る と、授業 中に着席 して教師 の話 を聞 き続 け られ ない子 どもの増加 が報告 され てお り、子 ども達が十分 に 自己抑制行動 を獲得 して い な い こ とが確認 され てい る。2002年 度 に実施 された文部科学省 による「通常 の学級 に在 籍す る特別 な教育的支援 を必要 とす る児童生徒 に 関す る全国実態調査」 にお いて 、学習面 か行 動面 で著 しい 困難 を示す児童生徒 の割合 は 6.3%で ある と報告 され て い る(特 別支援教育 の 在 り方 に関す る調査研 究協力会議 ,2003)。 また、幼稚 園教育場面 にお いて も気 にな る子 ど も達 が増 えて い る(藤 永 ,2009)。 例 えば 、気 になる子 ども(K君 )力 ヽ ヽる。彼 は、保育者 か ら 呼ばれ て も来 なか つた り、みんなが食事 の準備 を して い て も一 人 でふ らふ らしてい た り、 子 ども同士の 間 で トラブル をお こ して泣 い て い た りと、一つ一 つの行動 を見れ ばた い した もので な いか も しれ ない。しか し、前述 した い くつ かの 兆候 は、互いに 関連 しあってお り、 一 言 でい えば 自己抑制行動 の未熟性 が根底 にある と考 え られ る側 部 ,1998)。. この よ うな、. 幼児 の 自己抑制行動 を測定す るため の課題 はた くさんあるが 、幼児期 の 自己抑制行動 の基 礎 とな る運動調整 (eog"柏 木 ,1988;Maccoby Dowleヌ. Hagen,&Degerman,1965)に つい. ては 、研 究数 が少 な い。 そ こで 、本論文 では 、幼児 の運動調整 を測定す る新 しい課題 を開 発す ることを 目的 に行 われ た。 次節 か ら順 に、 自己調整機能 の研 究 の歴史、 自己抑制行動 を測定す る課題 、親子 関係 と 幼児 の 自己抑制行動 の発達 につい て説 明す る。そ して 、最後 に本研 究 の 目的 を述 べ る。. 1-2. 自己調 整 機 能 研 究 の 歴 史. 自己調整機能 の研 究は Vygotsky(1934)の 言語 に よる行動調整 (運 動調整)に 関す る基本概 念 を基 に、Lu五 a(1959)が 実証的研 究 を試 みた ことに よ り始 ま つた。 Luria(1959)は 単 一 あ るい は複数 の光刺激 に対す る選択的反応 (Go/No‐ go)を 求 める課題 にお いて 、言語教 示 に よ る子 どもの行動調整 を発達的、す なわち加齢 に伴 つて どの よ うな変化 を遂 げるかについ て 検討 し、言語 の行動調整 に関す る 3つ の次元 よ り構成 され る発達的 モ デ ル を提唱 した。第 一 の次元 は行 動 に対す る言語 に よる外的調整 か ら内的調整 へ の発達 である。 つ ま り、子 ど もが行動 を調整す る ときに 、始 めは他者 か ら与 え られ た外的 な言語 によつて行動調整 を行 い 、次 に子 ども自身 の外言 に よつて行動 調整 を行 い 、最終的 には子 ども自身 の 内言 に よつ.

(9) て行 動調整 が可能 となる発達段 階 に到達 す る とい うこ とである。例 えば、は じめは親 な ど、 子 どもよ りも 日上の人 か らの言語教示 (例 えば、「ゆ つ く り」)を 必要 とす るが、子 ども自身 が 自分 の行動 に対 して声 に 出 して 「ゆ つ く り」 といい なが ら行動す る段 階 を経 て 、最終的 には子 ども自身 が声 には出 さず 「ゆ つ く り」 と心 の 中で唱 えるだけで 、 自身 の行動 を調整 で きる段階 へ と到達す るので ある。第 二の次元 は行動 に対す る言語 の調 整形式 の発達 であ る。 つ ま り、言語 の調整形式 は 、言語 の物理的特性 が優位 で行動 を直接 喚起す る言語 の構 音 的・ 誘発的機能 が有効 な段階か ら、言語 の意味的特性 が行動 を方向づ ける言語 の意味的 機能 が有効 とな る段階 に向か つて発達す る とい うことである。 3歳 か ら 4歳 の子 どもを対 象 に、赤 ラ ンプ(始 発信号)が つい た ら、「押 せ 」、緑 ラ ンプ(抑 制信号)が つい た ら 「押す な」 とい う自分 自身 の言語命 令 に従 つて運動 反応 をす るよ うに教示す る と、始発信号 に伴 っ た 「押 せ 」は正確 な運動反応 を引き起 こ した の に対 し、抑制信 号 「押す な」 とい う言語反応 は運動 の抑制 ではな く、衝動的で誤 つた運動反応 を導 い た。 この ゴムバ ル ブの押 し分 けを 黙 って行 つ た実験 では 、抑制信号 に対 して. 42%の 運動反応 を示 したのに対 し、「押すな」. とい う自分 自身 の言語命 令 に よ つて 運動反応 を示 した反応 の 数 は 1961)。. 70%で あ つた(Luria,. 第 二 の次元 は運動 系 の発達 で 、常 に言語発達 が動作発達 に先行 し、言語反応 が刺. 激 とな って動作反応 を導 くとい う言語的運動系 か ら非言語的運動系 へ 向 かつて発 達す る と い うことで ある。行動 を始動 した り抑制 した りす るこ とが言語命令 に よつて方 向づ け られ るこ とか らも、言語系は他 の運動系 よ りも早 く体系化 され たシ ステ ム に到達す る と考 え ら れ る。 上述 の Lu五 a(1959)の 仮説 を基 に、MユleL Shelton,&Flaven(1970)や 永江 (1979)が 、3 歳 か ら 8歳 の子 どもに対 して運動促進 的教示 も しくは運 動抑制的教 示 の どち らが困難 で あ るのか を検 討 した(Figure l‐ 2‐ 1;4頁 参照. )。. 運動促進的教示 とは 「押 せ 」 と言 つてバル ブ. を押 させ る教示 で 、運動抑制的教示 とは 「押す な」 と言 つてバ ル ブを押 させ な い教示 であ った。 そ の結果 、単純 なバ ル ブ押 し運動 反応 を点灯信号で開始す ること、つ ま り運動促進 的教示 に従 つて 自己主張行動 を起 こす ことよ りも、点灯信号 を も とにバ ル ブ押 しを制 止 す るこ と、つ ま り運動 抑制的教示 に従 つて 自己抑制行動 を起 こす方 が 困難 であるこ とが明 ら かに され た。 この結果 は 自己主張行動 と自己抑制行動 の 2つ を区別 して研 究す べ きである ことを示唆 しただ けでな く、始動技能 よ りも制止技能 の方 の獲得 が遅 く、 よ り困難 である ことを示 した貴重 な結果 である。次 に、本稿 では 、 自己抑制行動 を検討す る実験課題 につ い て説 明す る。.

(10) 45. 40 35 ︵ 回︶ 無 回 e ⊃部. 30 25. □ O mlss:on. m Negative. 20 15 10 5. 0. 3歳 2ヶ 月. 4歳. 3歳 7ヶ 月. lヶ. 月. 4歳 1lヶ 月. 年齢群 Figure l‐ 2‐ 1.平 均 年齢別 群 にお け る Go/No‐ go課 題 の 条件別 誤 りの 結 果 (lM[iller et al.,1970)1. 1-3. 自己抑 制 行 動 に 関 す る先行 研 究. 2. Figure l‐ 3‐ 1に は 、 自己調 整機 能 の 構 造 を示 した 。 自己調 整機 能 は大 き く、 自己主. 張行 動 と自己抑 制行 動 に分 け られ る。そ して さ らに、自己抑 制行 動 は、それ が発揮 され る場面に即 して 、「運動調整 」、「認知調整 」、「対人関係調整 」 の. 3つ に分類 され る。各 々. の場面 で独 立 した能力 を要求 され るわけではないが 、 抑制す べ き対象が異な る。す なわ ち、 (1)運 動調整 では、言語教示 に従 って手足の動 きな どの運動 を抑制す る こ とが求 め られ 、. Figure l‐ 3‐ 1。 自己調 整機 能 の構 造 に つ い て. 1 0missionと は、運動促進的教示 に従 って 、反応す べ き刺激 に対 して反応 しないタイプの 誤 りの こと。Negativeと は 、運動抑制的教示 に従 つて 、反応 してはいけない刺激 に対 して 反応す るタイプ の誤 りの こ と。 2本 研究 の 内容 の一部 は 、荘厳 ・今 田(2001)に 掲載 され てい る。.

(11) (2)認 知調整 では、認知的 で合理的な判断 を働 かせ ることに よつて 、情報 を どの よ うに受容. し、処理す るのか に焦点が当て られ 、(3)対 人関係調整 では 、他者 との相 互 作用 の 中でその 行動 を選択 した結果 、他者 との 間 にい かな る事態 が生 じるのか を予測 し、非社会 的 な行動 を抑 えることが求 め られ る。Table. l‐. 3‐. 1に は、各調整 の代表的 な課題 を示 した。各課題 の. 測定方法 につい ては、 1‐ 3‐ 1以 降 の節 で順 に説 明す る。. Table l‐ 301。. 自己抑 制 行 動 運動調整. 自己抑 制 行動 の 各調 整 にお け る代表 的 な研 究 課題. 先行 研 究. 線テ スト. 別 府 (1987). .. Constant;ni&Ho!ving(1973) 柏 木 (1988). Maccoby,Dowley,Ha gen,&Degeman(1965) 尾 崎 (2008). 歩行テスト. Maccoby,D owley,Hagen,&Degerrnan(1965). 引・ ¨ …………… … …… ……"… …… …… ・ び ミiミ事お課題 う 藤苗:前 爾TI首 米r柿 澤1='IF藤 苗懃び Luria(1959) 永 江 (1979) Mi‖. er,Shelton,&F!ave‖ (1970). 笹 野 (1984) 笹 野 (1985). 認知調整. MFFテ ス ト. B:ock,Block,&Harrington(1974) 一 谷・― 谷 (1987). Kagan,Rosman,Day,A:ben4&Ph:!lips(1964) 柏 木 (1988) 宮 ,H(1990) 宮 j‖ (2001) 日 井 (1981) 山 崎 (1994). 遅 延報 酬 課 題. Funder&B:ock(1989) Jacobsen,Huss,Fendrich,Krues:,&Ziegenhain(1997) Mische:&Baker(1975). Mischel&Ebbesen(1970) Mischel,Ebbesen,&Zeiss(1972) Mische:&Metzner(1962). Mische:&MischeK1983) Mische:,Shoda,&Pea ke(1988) Mische:,Shoda,&Rodrigue2(1989) 光 富 (1988) 光 富 (1994). 対 人 関係 調 整. 誘惑抵抗課 題. 安部 (1980) Hattig&KarTFer(1973) 光 富(1995) 鈴 木(2005) 氏 家(1980). 遅 延 可能テ ス ト. 佐 藤・ 目良・柏 木 (1998). フラストレー ションテスト. 佐 藤・ 目良・柏 木 (1998) 鈴 木(2005).

(12) 1…. 3-1. 運 動調 整 を測 定 す る課 題. 運動調整 では言語教示 に従 つて手足 の動 きな どの運動 を抑制す る ことが求 め られ、そ の Go/No‐ go課 題 "な どがある。本研 究 で 線 テ ス ト"、 “ 歩行 テ ス ト"や “ 測定方法 としては “. 線 テ ス ト"と 提案 してい る “図形描画課題 "も ここに属す る課題 で あ る。次 か ら順 に “ “ Go/No‐ go課 題 "を 説明す る。. (1)線 テス ト(描 画課題). 自分 の行動 を調 整す る働 き として最 も基本 的 かつ 原初 的な ものは運動調整 で あろ う(柏 木 ,1988)。 歩行 、手 による物 へ の到達、把握 な どの幼少期 の感覚・ 運動機能 の成 立におい ては もちろんの こ と、 ことばの獲得や会話 、認 知機能 の成 立 に も運動調整 に関係す る筋 肉 運動器 官 の活動や 、そ の運動 の抑制・ 制 止 す る働 きは不可欠 である。 この よ うな運動調 整 を測定す る方法 として最 も古 くか ら使用 され て い るのが線 テ ス トである。 Maccoby et al。 (1965)は 、幼児期 は. 1歳 半 か ら 2歳 ごろの言語獲得 を基礎 に、言語教 示. に応 じて 自らの運動 を抑制 で きる能力 を発達 させ る ときである と考 え、幼児 (4歳 児 と 5歳 児)の 運動調整 と知的発達 との 関連性 を検討 した。彼 らは、日常 にお い ては活動的で環境 に 対 して探 索的 であることが知的発達 との 関連 で重要 な ことである と捉 えつつ も、問題解決 事態 では必 要 に応 じて行動 を抑制す る能力が重要である と考 え、ある課題 を言語教示 に従 つて意 図的 にゆ つ く り行 うテ ス トを作成 した。 そ のテ ス トでは、 で きるだけゆ つ くり直線 を描 く ことが要求 された。 これ を “ 線 テ ス ト"と い う。彼 らは、まず初 めに定規 と鉛筆 を 使用 して直線 を描 く練習 を させ てか ら、指定 の用紙 に定 規 と鉛筆 で直線 を描 くよ うに教 示 した。2試 行行 い 、1試 行 日に関 しては速 さに関す る教示 を与 えず、2試 行 日に関 してのみ 「ゆ つ く りと」 とい う速 さに関す る教示 を与 えた。 なお 、指標 は線 を描 くのに要 した時 間 であ った。 知能 検 査 には ビネ ー 式 の知能検査 が使用 され た。 そ の結果 、言語教 示 に従 つて 抑制す る能力 は知的発達 と関連 し、幼児期 の発達 の重要 な指標 となる ことが示 された。 また 、同様 の実験 を柏木 (1988)が 行 つてい る。柏木 (1988)は 年少児 (4歳 児)と 年長児 (6歳 児 )の 成績 を比較 した。実験 の試行数 につい ては Maccoby et al.(1965)と 異 な っていたが 、 実験手続 きは類似 していた。 この 実験 (Figure l‐ 3‐ 2;7頁 参照)で は、画用紙 に描 かれ た左 の丸 か ら右 の丸 までま っす ぐ線 を描 かせ る課題 が使用 され 、指標 は左 の丸 か ら出発 してか ら右 の丸 に到達 す るまで の所要時間 であつた。 1試 行 日はベ ー ス ライ ン とし、2点 間 に直 線 を描 く ことのみ を教示 した。 そ の後. 2試 行 、「ゆ つ く りと」 とい う速 さに関す る言語教.

(13) 示下 (抑 制試行)で 線 を描 かせ 、最後 の 1試 行 (ポ ス トテ ス ト)は 言語教示 な しで計. 4試 行線 を. 描 かせ た。無教示 で行 われ るポ ス トテ ス トでは 、抑制教示 に よる運動調整 の維持 がな され てい るかが検討 された。 Table l‐. 3‐. 2(8頁 参照)に はそ の結果 を示 した。 ベ ー ス ライ ン と言. 語教示下 の成績 に 関 して比 較 した ところ、年長児 で年少児 よ りも、言語教示 に よる運動 の 改善 が よ り大 き く認 め られ た。 ポス トテ ス トの成績 につい ては 、年少児 はそ の子 どものベ ー ス ライ ンの成績 に戻 つたが 、年長児 では言語教示下 の成績 がそのまま維持 され る こ とが 示 され た。 これ は 、年長児 が言語教示下で獲得 した所要時間 の抑制 とゆ つ く り描 くとい う 反応 の質 の改善 を、そ の後 も持続的 に発 揮 できること、つ ま り年長児 にお い て 自律的な運 動調整 が成 立 してい る ことを示唆 して い た(柏 木 ,1988)。 なお、ゆ つ く り描 くとい うことは 丁寧 に線 を描 くとい うこ とも視野 に入れ て い る。 つ ま り、年長児 は 自分 のペ ー スで 自由に 線 を描 きたい とい う気持 ちを抑 え、ゆ つ く りと丁寧 に線 を描 くことが可能 であると示 され た。 また、別府 (1987)は 言語 による運 動調整 を調 べ るために、手 の水平移動 を行 う課題 を 3 か ら 6歳 児 を対象 に実施 し、年長児 ほ ど言語教示 に従 つて ゆ つ く りと手 の水平移動 が行 え ることを示 した。 この よ うに発達 に伴 う言語 に よる運動 調 整 が描画な どの手 の動 きを精巧 にす ることが示 されて い る。 以 上の知 見 をま とめる と、幼児 が巧 緻 な筆記用具操作 を行 うためには、精巧 な運動調整 とそれ を可能 にす る言語機能 の発達が不可欠である ことが示 され た。 また、年少児 の段 階 では 、行動 の始発傾 向 が 強 く、制 止 、抑制 が 困難 であるた めに、 自分 の手 をゆ つ くり動 か す とい う言語教示 による 自己抑制行動 が無視 され がちで 、 ただ描 くことのみ に注意が払 わ れ る ことが 多 くな る ことも示 され た。. ●. ●. ▼. 了. ︰. ︰. ︰. ︰. 10cm. Figure l‐. 3‐ 2。. 線 テ ス トの課題. (柏 木 ,1988).

(14) Table l‐. 3‐. 2.線 テ ス トにお ける各試行 の所要 時間 の平均値 (秒 )と SD(柏 木 ,1988).. 男児(n=21) 2.76(1.89). 3.93(2.86). メてJ己 (n=23). 5。. 年少児 (平 均 年齢. :4。. 07歳 ). 3.96(4.30). 全体(N=44) 3。 39(3.39) 年長児 (平 均年齢 :5.65歳 ). 78(3.95). 10。. 女 児 (n=23) 5.04(3.62). 9口. 5。 11(3.73). 7.00(4.81). 3.14(3.48) 4。 00(3.42). 4.90(3.36) 6.30(4.30) 3。 59(3.“ L. 男 児 (n=22) 5.18(3.92). 全 4体 (N=45). 5.52(3.63). 43(9口 27). 93(7.30). 10.18(8.27). 13.18(10.17) 12.13(8.85) 12.64(9.42). 6.95(7.07) 7.65(8.16) 7.31(7.57). (2)Go/No― go課 題 Go/No‐ go課 題 とは 、MtteL. Shelton,&Flaven(1970)や 永江 (1979)ら の研 究 をもとに幼. 児 の運動調整 を測定す るために行 われ た課題 である。 この課題 は認知的選択 を基盤 とした 行動調整 を測定す る課題 である。 ここでは 、状況 を正確 に把握 し適 切 な反応 (行 動)を 起 こ す ことが要求 され る。 一 般的な Go/No‐ go課 題 では 、弁別反応 が求 め られ 、色 の違 う刺激 「赤 い ラ ンプがつ い た らゴム球 を握 つて くだ さ に対 して異 な る反応 を要求 され る。例 えば 、 い。黄 色 い ラ ンプがつい た ら握 らないで くだ さい 」 とい う教示 が与 え られ 、対象児 に握 る 反応 (go respOnse)と 握 らない反応 (nO‐ go response)の 弁別反応 を行 わせ るので ある。 笹野 (1984)は 、Go/No‐ go課 題 を用 い て 、選択反応事 態 にお ける幼児 の運動調整 を、2歳. 7ヶ 月 か ら 6歳 6ヶ 月児 を対象 に検討 した。 ここでは 、黄 色 い ヒヨコ と白い ヒヨコの 2つ の ヒヨコが順次提示 され 、黄色 い ヒヨコが提示 され た ら、デ ィス プ レイ上 の タ ッチ スイ ッ チ を押す ことが要求 され た。対象児 が反応す べ き刺激 に対 して タ ッチ スイ ッチ を押 した ら、 パ ー ソナル コ ン ピュー タの画面 に映 し出 され て い る ヒヨコの 口ば しが動 いて 「ピヨピヨ」 と鳴 き、反応 しては い けな い刺激 に対 して反応す るか無反応 の場合 には 「ダー メ」 とい う 音声 と共 に直 ちに絵 が消 失す る とい う事態 で 、条件 づ けが行 われ た。 そ して 、対象児 の刺 激提示 へ の反応 時間 と誤反応 を測定 した。 そ の結果 、年齢 ご とに反応 をみてゆ くと、3歳 児 か ら 4歳 児 では反応 時間が短 く誤反応 が 多 い衝動性傾 向 が示 され 、 5歳 児 では反応 時 間 が長 く誤反応 が少 な い熟慮性傾 向 が示 され た。 さらに、6歳 児 にな る とどち らの傾 向 も示 さず、迅速正確傾 向へ の変化 が認 め られ た。 また 、笹野 (1985)で は 、 タイ ミン グ動 作事態 での運動 調 整 の発達 を検討す るた めに、 3.

(15) 歳 lヶ 月か ら 8歳 6ヶ 月 まで の子 どもを対 象 に研 究 を行 つ た。実験装置 (Figure. l‐. 3‐. 3参 照). は 、パ ー ソナル コ ンピュー タ のデ ィス プ レイ上 に動 体指標 (光 斑 )を マ イ コ ン操 作 に よつて 写 し出 し、約. 40cm離 れ た位置 か ら観察 させ てそれぞれ の反応 点でキー押 しを させ る課題. であつた。 実験条件 は、動体指 標 が 明示 され る条件下で の狙準反応 と動体指 標 をマス キン グ した場合 の速度見越反応 の 2条 件 であつた。 なお、 ここでは運動調整 と関係 の ある狙準 反応 に関 してのみ説 明す る。狙準反応 の課題 は 、デ ィス プ レイ上 に動体指 標 をマ イ コ ン操 作 に よ つ て 写 し 出 し、 反 応 点 で キ ー 押 し反 応 す る も の で あ っ た 。 視 標 速 度 は Fast. tempo(140mm/sec)と Slow tempo(35mm/sec)の 2つ であ つた。各試行 間間隔 は 5secで 前 試行終了 5sec後 に予告 音 が示 され て動体視標 が 出現 し直 ちに指 標 が動 き始 める。そ の結果 、. Fast tempo条 件 では反応 時間 の正 規時間 か らのずれ (恒 常誤ガ は 3歳 児 か ら 4歳 児 が大 き く、5歳 児 では徐 々 に減少 して い き、6歳 児 か ら 8歳 児 では平均 100∼ 200msecの ほぼ安 定 した水準 に達 す る ことが分 つた。 また誤差 の方 向は全 体的 に遅延反応 が 多 いが 3歳 児 で は尚早 反応 の割合 が比 較的高 かった。 Slow tempo条 件 では 、3歳 児 か ら 4歳 児 では Fast. tempo条 件 よ りも誤差が大 き く、 尚早反応 も遅延反応 も多 く見 られ た。 5歳 児 では Slow tempo条 件 の誤差が少 な くな り、6歳 児以降 は さらに誤差 が少 な くな つた。以 上 をま とめ る と、動態視標 に対す る狙準反応 にお いて は、速度 の遅 い 方が速 い方 よ り正確 に反応す る と考 え られ が ちであるが、3歳 児 か ら 4歳 児 の反応結果 はそ の逆 で 、Slow tempoの 誤差 が 大 き くな つた。注意集 中力 の低 い年少幼児 では内部統制力 が弱 く、外部統制力 (視 標 の動 き) に影響 され ることの方が 多 い ため、注意 を集 中 させ る時間 の短 い Fast tempoの 成績 が 良 いが 、 内部統 制力 の働 き始 める 5歳 時以降では Slow tempoの 方が よ り正確 にな る と考 え られ る。 つ ま り、動態視標 の認知 に対す る内部統制力が. 5歳 児以降 に確 立 して くるた め、. 刺激 に反応す る手 の動 きも正確 になる と考 え られ る。. │. ●―――――――――――――>. │. 反 1点 Figure l‐ 3‐ 3.刺 激 提 示 の デ ィス プ レイ画 面 (笹 野 ,1985).

(16) 以 上 よ り、年 少 児 にお い て は速 く手 を調整 す る よ りもゆ つ く り調整 す る方 が 困難 で あ る こ とが示 され た 。 また 、 ゆ つ く り正確 に手 の 動 き を調 整 す る こ とが熟 慮 的 で あ る の だ が 、 あ る年 齢 を過 ぎ る と迅 速 か つ 正 確 に とい う反応 に移 行 し、熟 慮性 の 定義 に は 反 す る行 動 パ ター ンが 出現 す る こ とが確認 され た 。. 1-3…. 2. 認 知調 整 を測 定 す る課 題. 認知調整 では認知的 で合理的な判断 を働 かせ る ことによつて 、過度 な フ ラス トレー シ ョ ンな しに遅延行動 を選択 した り、適切 な刺激 を選択 した りす る ことが求 め られ る。 そ の測. MFFテ ス ト"と 、行動 を選択す る際 定方法 としては情報 処理 ス タイル に焦点 を当てた “ の メカ ニズム に焦点 を当てた “ 誘惑抵抗課 題 "が ある。MFFテ ス ト 遅延報酬課題 "や “ と他 の 2テ ス トに関 しては 、認知的な判断 を介 して衝動性 そ の もの を計 るか、も しくは衝 動的な問題解決 を した結 果不利益 を被 るかで、事態 が多少異 なる。 しか し、課題解決 事態 にお いて認知的 な判断 が必 要 である とい う点 では同様 な ので 、同類 の もの として分類 した。 次 か ら順 に上述 の 3つ の課題 を説 明す る。. (1)同 画探索テ ス ト(Matching the Familiar Figures test;MFFテ ス ト). Kagan,Rosman,Day9 Albert,&Ph遇. :暉 s(1964)が 、認 知様式 (cognit市 e style)を. 構成す. る次元 の一つ として熟慮性・衝動性 (rettection‐ impuls市 ity)の 概念 を提唱 して以来 、幼児 ・ 児童 を対象 に発達心理学的な観点か ら多 くの研究 が行 われて きた。認知様 式 とは、課題解 決場面 にお いて 、与 え られ た情報 の処理や課題解決 の方略 にお ける個人差 を説 明す る仮説 的 な枠組みである。熟慮性 ‐ 衝動性 の次元 は 、認知的遂行 の速 さと正確性 が 両 立 しに くい課 題 解 決場面 にお い て顕著 に表れ る と考 え られ 、そ の測定 には、MFFテ ス トが用 い られ て きた(Figure. l‐. 3‐. 4;11頁 参照. )。. 衝動性 とは、「い Kagan&Kogan(1970)に お いて 、熟慮性 ‐. くつ かの答 えの可能性 があ り、そ の 中か らもつ とも適切 と思われ るもの を 1つ だけ選択 し なけれ ばな らな い反応 の不確 定性 が 高 い事態 にお いて 、個人 が 自分 の解決仮説 の妥 当性 を 熟考す る程度」 と操 作的 に定義 され てい る。 そ して 、Kagan et al.(1960ら に よつて 、そ の よ う な 熟 慮 性 ‐衝 動 性 を 測 定 す る 課 題 と し て 考 案 さ れ た 標 本 一 致 課 題 (matching‐. to‐. sample tasDが. MFFテ ス トで あつた。MFFテ ス トでは、対象児 は各試行 に. お いて標 準図形 と選択 図形 を同時 に提示 され 、選択 図形 の 中か ら標 準図形 と同一の図形 を 選択す る ことが求 め られ る。 そ の際、第 1選 択 が生 じるまで の時間(初 発反応潜 時)と 正選. 10.

(17) 選 択 図形. 標準図形. Figure l‐ 3‐ 4。. MFFテ ス トの一 例. (Kagan et ale,1964). 択 に至 るまで の誤 答 数 が 測 定 され る。 反応 潜 時 が短 く誤 答数 が 多 い 対象児 は衝 動型 、反応 潜 時 が 長 く誤 答 数 が少 な い 対 象児 は熟 慮型 と定義 され る(eog.,Kagan,1976;Kagan et al。. ,. 1964,;Kagan&Kogan,1970;MesseL 1976;宮 り││,1990,1993;臼 井 ,1991;山 崎 ,199の 。 一般的 には衝動型 は不適応 である とされ てお り、臨床基礎研 究 にお いて も、衝動性 は 自己 抑制 の対極 と位置 づ け られ てい る(嶋 崎 ,1997)。 つ ま り、衝動的である こ とは 、自己抑制行 動 が獲得 で きて い ない ことを示す。 熟慮性 ―衝動性 の次元は、他 の認知的課題 の成績 との比較分析 か ら、しば しば知的能力や 性格的 0気 質的な個人差 、 また個人 の発達段階 と関連 づ けて捉 え られ て きた仏 ult,1973;. Ault,Crawford&Jettey9 1972,Odom,Mclntwe&Neale,1971)。. 例 えば、Navarro,. Aguilar,ユcalde,&Howell(1999)は 、認知 ス タイル が算数 問題 へ のアプ ロー チ の個人差 を 示 して い る と考 え、小学. 3年 生 に MFFテ ス トと算数 テ ス トを行 つた。そ の結果 、MFFテ. ス トで熟慮型 を示 した子 どもの 方が算数テ ス トの得点 の高 い こ とが示 され た。 また 、宮川 (2001)は 、児童用 に作 られ た Caむ ns&Cammock(1978)の 改訂版. MFFテ ス トを小学 1年. 生 と 4年 生 に実施 し、そ の結果 で後 の学業成績や教 室行動が予測 で きる こ とを示 して い る。. 11.

(18) また一 方では、熟慮 型 と衝動型 では 、課題解決場 面にお いて用 い る情報処理様式 が異 な るだ けであ り、両者 の認知能力 に差 を認 めな い立場 もある(Zeln■ er&Je」 beL 1976,1979)。 しか しなが ら、近年 の研 究 の流れ としては 、熟慮 型 の幼児 ・ 児童 の方が、衝動型 の幼児 ・ 児童 よ りも知的課題 の遂行 が優れ る とす る知見が多 い(Kogan,1976,1983;Messe■. 1976)。. 次 に幼児 を対象 とした研 究 を紹介す る。幼 児 を用 いた研 究 にお いては 、Wright(1971b) が Kaganの 児童版 MFFテ ス トを基 に KRISP(Kansas Reiection‐ Impuls市 ity Scale for Preschoolers)3を 作成 してお り、それ を用 い た研究が い くつ かある。宮川 (1977)は. KRISP. を用 いて 、幼稚 園年少児 (4歳 児 クラス)か ら幼稚園年長児 (6歳 児 クラス)の 子 どもを対象 に 研 究 を行 った。年 少児 は平均年齢 3歳 8ヶ 月、年 中児 は平均年齢 4歳 8ヶ 月、年長児 は平 均年齢 5歳 7ヶ 月であ つた。そ の結果 、年少児 か ら年 中児 にか けて急激 な反応潜時 の増大 と誤 答数 の減 少 が 見 られ 、以 後反応 潜 時 ・ 誤 答数 とも減少 に転 じて い た (Figure l‐ Figure l‐. 3‐. 6;13頁 参照. )。. 3‐. 5,. 反応潜 時 と誤答 数 の相 関 に関 して 、年少児 では先行研 究で報告. され て い るよ うな数値 を示 してい るが、年 中児 と年長児では かな り低 い値 を示 して い た(年. 22年 長児 :r=‐ 。 35)。 50;年 中児 :r=‐ 。 少児 :r=‐ 。. したが って 、宮川 (1977)は 、KRISPは 日. 本 人 の年 中児以 上 には課題 が容易過 ぎ、妥 当性 に問題 がある と考 えた。そ して 、 日本人 の 年 中児以 上 について は、Kaganの 児童版 MFFテ ス トを用 い た方が 、判別力 の 高 い個人差 の測定 が 可能 ではないか と考察 した。. MFFテ ス トを行 つた。課題 は 児 童 版 か ら抽 出 し た 6題 と. 柏木 (1988)は 、年少児 (4歳 )と 年長児 (6歳 )を 対象 として 柏 木 (1988)が 幼 稚 園 児 用 に Kagan et al。 (1964)の. Wright(1971b)の. KRISPか ら抽 出 した 3題 の計 9試 行 と、練習試行 3試 行 で構成 され て. い た。 1試 行 につ き誤反応 は. 3回 までで 、3回 目も誤反応 の場合 は次 の試行 へ進 んだ。 な. お、3回 目も正解 でない場合 は誤 反応 であることを告 げなかつた。指標 は、第 一反応 まで の反応潜時 と累積誤答数 であつた。 そ の結果 、反 応潜 時・ 累積誤答数 ともに年齢 間 で有意 な差が認 め られ 、年齢 が上が るに従 つて 、反応潜 時は増加 し、累積誤答数 は減少す る こと が示 され た。年長児 での累積誤答数 の平均 出現確率 は 22%、 年少児 にお ける累積誤答数 の 平均 出現確率 は 52%で あ つた。つ ま り、この結果 は年齢 が上が るに従 つて 、衝動 型 か ら熟 慮型 へ の移行 が認 め られ る こ とを示 して い る。. 3 wright(1971b)に よつて作成 され た KRISP(Kansas Rettect市 e‐ Impulsivtty Scale for Preschoolers)は 幼児用 の衝動型 ‐ 熟慮型認知 ス タイル を測定す るために,MFFテ ス トをも とに考案 され た。 12.

(19) ∝V ︵ 傘︶ 埋 幻 眸 C古 製 撻 Ц Юむ 紀里L∽︻. 6     5      4     3        2     1     0. □男 児. Z女 児. 年少児. 年長児. 年 中児 学年群. Figure l‐ 3‐ 5。. 日本 の幼児 にお ける KRISP(Kansas Re■ ective‐ Impulsivity Scale for Preschoolers)の 反応潜 時 の横断的研究 (宮 川 ,1977). 8 7 6 5 4. ︵ 軍︶ 埋 幻 許 e 轟 郎議 Юむ総旦L∽︼ ∝︼. □男 児 И女 児. 3 2. 1. 0. 年少 児. 年 中児. 年 長児. 学 年群 Figure l日. 3‐ 6。. 日本 の幼児 にお ける KRISP(Kansas Re■ ective‐ Impulsivity Scale for Presch001ers)の 誤答数 の横 断的研 究 (宮 川 ,1977). 13.

(20) 以 上の よ うに、様 々 な研 究者 に よつて認知調整 を測定す る MFFテ ス トは幅広 く使用 さ. MFFテ ス ト の特性 も関与 して い る。 そ の よ うな、多 くの研究者 によつて使用 され てい る MFFテ ス ト. れ て い る。それ は 、課題 の 明瞭性や手続 きの簡便 さな ど、追試 を行 いやす い. は認知調整 を測定す る課題 として適切 である と考 え らるため、本研 究 にお いて も認知調整 を測定す る課題 として採用 した。. (2)運 延報酬課題. 遅延報酬課題 とは、す ぐに手 に入 る価値 の低 い報酬 を断念 し、 よ り高 い報酬 を得 るため に待機 す る(我 慢す る)課 題 である。 しか も、その判 断 は対象児 自身 に よつて選択 可能 であ る。 なお、前者 を即時報酬 、後者 を遅延報酬 と呼ぶ 。. Mischel&Metzner(1962)に よれ ば、遅延報酬行動 は、遅延選択過程 と遅延維持過程 の 2 す ぐに手 に入 るが価値 の低 い報酬 と、 過程 か らな る と考 え られ てい る。遅延選択過程 とは、 一 定時間待機 しなけれ ばい けな い が価値 の高 い報酬 を手 に入れ られ る事態 があ り、そ のい ずれ かを選択す る過程 である。遅延維持 過程 とは、後者 を選 んだ際 に、報酬 が得 られ るま で一定期 間待機 し続 ける過程 である。Mischel&Metzner(1962)は 、5歳 か ら 12歳 の子 ど もを対象 に、実験直後 に もらえる 5セ ン トのキ ャ ンデ ィ と後 日(1日 か ら 4週 間後)に もら える 10セ ン トのキ ャ ンデ ィのいずれ を選ぶかについて調 査 した ところ、5歳 ∼8歳 までは 即時報酬 を、9歳 ∼ 12歳 では遅延報酬 を選択す る傾 向 が強 い ことが示 され た。 この課題 で は 、即時報酬 を選択す るか遅延報酬 を選択す るか とい うこ とが最 も重要な問題 な のだが 、 遅延報酬 を得 るためには欲求 を一 時的 に延期 し、そ の結果 よ り大 きな報酬 を手 に入れ られ る とい う期待 を持 つ ことが必 要 となる。 そ のためには 、認知的判断 と時間的展望 が必 要 と な つて くる。 これ らのスキル を獲 得す る ことによつて初 めて子 どもは 「大 きな報酬 をもら うためには長 く待 たなけれ ばい けない 」 と理 解 できるので ある。 次 に、遅延報酬課題 にお ける一般的な実験課題 を説 明す る。Mischel&Ebbesen(1970) は 、4つ の報酬提示条件 下 で待機 時間が異 な るか否 かについ て検討 した。対象児 は、保育 園児 (平 均年齢. 4歳 6ヶ 月、範 囲 :3歳 6ヶ 月 ∼5歳 8ヶ 月)で 、被験者 間計画法 で実験 は行. われ た。なお、使用 され た実験 条件 は遅延報酬提示 の有無 (2)× 即時報酬提 示 の有無 (2)の 4 条件 で 、最大待機 時間は 20分 であつた。4条 件 は 「遅延報酬 も即時報酬 も 日前 に提示 され ていない条件 (遅 延 0即 時報酬非提示条件)」 、「遅延報酬 も即時報酬 も 日前 に提示 され て い る条件 (遅 延 ・ 即時報酬提示条件)」 、「遅延報酬 のみ 日前 に提示 され て い る条件 (遅 延報酬 の. 14.

(21) み提示条件 、「即時報酬 のみ 日前 に提示 されて い る条件α口時報酬 のみ提示条件)」 で あ つ )」. た(Table. l‐ 3‐ 3参 照)。. そ の結果、遅延 ・ 即時報酬 ともに 日前 に提示 され て い な い条件 で最. も待機 時 間 が 長 く、報酬 を両方 見 せ られ て い る条件 で 最 も待機 時 間 が短 か っ た (Figure l‐ 3‐. 7参 照. )。. また 、20分 間待機 で きた子 どもと待機 で きな かった子 どもの割合 につい て 条. 件毎 に検討 した結果 、子 どもの 日前 に報酬 がない ときに待機 で きた子 どもが有意 に多 い こ とが示 され た(75%)。 なお、残 りの 2つ の条件 で 20分 間待機 できた子 どもは 25%あ り、 日前 に報 nllが 両方 ある条件 では 0%で あ つた(Figure. Table l‐. 3‐ 3。. l‐. 3‐. 8;16頁 参照. )。. 4つ の実験条件 (Mischel&Ebbesen,1970). 遅延報酬 提示. 非提 示. 提示. 遅 延・即 時報 酬 提 示. 即 時報 酬 のみ 提 示. 非提示. 遅延報酬のみ提示. 遅延・即時報酬非提示. 即時報酬. 0 8 6 4 2 0 8 6. ︵ ヨ 眸 e 肛世 導 起 象洒一. 4 2 0. 遅 延・即 時報 酬 非提 示. 遅 延・即 時報 酬 提 示. 遅 延報 酬 のみ 提 示. 条件 Figure l‐ 3‐ 7。. 遅延 報酬課 題 にお け る条件別 の 待機 時 間 の 平均値. (Mischel&Ebbesen,1970). 15. 即 時報 酬 のみ 提 示.

(22) 100 貧︶ 佃扁 e黒 く 製和p導起 距象R. 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 遅 延・即 時報 酬 非 提 示. 遅延 口 即 時報 酬 提 示. 遅 延 報 酬 のみ 提 示. 即 時報 酬 のみ 提 示. 条件 Figure l‐. 3‐ 8。. 各 条件 にお け る 20分 間待機 で きた子 ども と待機 で きな か つ た子 どもの 割合. (Mischel&Ebbesen,1970). 以 上 に述 べ た手 続 き が 、最 も基本 的 な遅 延 報 酬 課 題 の 手続 き で あ る。 そ の 後 、Mischel らは待機 時 間 の長 さに影 響 を及 ぼ す要 因 に 関す る研 究 を進 めた 。 つ ま り、遅延 期 間 中 の 対 象児 の認 知 方略 、す なわ ち 「どの よ うに して待 機 す るか」 を検 討 す る こ とに焦点 が 当て ら れ た 。 Mischel&Baker(1975)は 、遅延 報酬課 題 を開始す るに先 立 って 、待機 の 方法 に関 して 教 示 を与 えた 。 対象 児 は 大待機 時 間 は. 60名 の保 育 園児 で 、被 験 者 間計 画法 で行 われ た 。 なお 、最. 20分 で あ つ た。 この研 究 で は 、報酬 (マ シ ュマ ロ)の 持 つ 二つ の機 能 、つ ま り. 動機 づ け機 能 と情 報 を与 え る機 能 に 着 日 した 。 そ して 、待機 す るにあた つて. 2種 類 の機 能. のい ず れ か を含 む教示 を与 え 、与 え られ た 教示 に よ つて 待機 時 間 が 異 な るか否 か を検討 し た 。 教 示 は 、動機 づ け的側 面 に注意 を喚起す る教示 「この マ シ ュマ ロ は 甘 くてお い しい で す よ。 どん な にお い しいか 想 像 して ご らん」 と、報 酬 の 情報 的側 面 だ けに注意 を喚起す る 教示 「マ シ ュマ ロ を見 て ご らん。 丸 くて 白 くて、ふ わふ わ して い るで しょ。 白い 雲 み た い で す ね 。 マ シ ュマ ロ を見 た ら雲 の こ とを思 い 出 して ご らん」 で あ つ た 。 そ の 結果 、報 酬 の 動機 づ け的側 面 だ けに注意 を喚 起す る教示 下 での待機 時 間 が短 くな る こ とが認 め られ た 。 つ ま り、 この 結果 は報酬 の 情 報 的側 面 に注意 を向 け る こ とが待機 の維 持 に重要 で あ る こ と を示 した 。 次 に この課 題 の応 用 的 な実験 と して Mischel,Shoda,&Peake(1988)の 研 究 を紹介 す る。. 16.

(23) 彼 らは、幼児期 (6歳 時)の 遅延報酬課題 の待機 時間 と同一児 の. 10年 後 (青 年期)の 社会的能. 力及 び人格特性 との 関係 につい て検討 した。そ の方法 としては、遅延報酬課題 を行 つた子 どもの親 に 10年 後 に CCQ(CahfOrnia Child Q‐. Set)と. 学業 、友人関係 、問題解 決能力 に関. す る質問項 目 4項 目を記載 した質問紙 を配布 した。 そ の結果 、CCQは 67名 (男 性 32名 、 女性 35名 )分 回収 で き、も う一 方 の質問紙 につい ては 87名 (男 性 36名 、女性 51名 )分 回収 で きた。それ を基 に 6歳 児 の待機 時間 と質 問紙 の各項 目との相 関係数 を求 め、以下 の よ う な結論 を導 き出 した。す なわ ち、幼児期 の待機 時間 の長 い対象児 の方が、後 の学業や友人 関係 、 さらには様 々 な問題 へ の対処能力 が 高 い ことが導 き出 され た。 また、人格特性 につ い ては 、待機 時間 の長 い対象児 の方が、計画的で、注意深 く、理性 に従 つて行動 し、 かつ ス トレス状況 に陥 つて も動 じず、学業成績 も高 い ことが確認 され た。彼 らの研 究は、幼児 期 の 自己抑制行動 が子 どもの将来 の能力 を予測す る予測子 にな りうる ことを示 した点で大 変興味深 い。 さらに、Shoda,Mischel,&Peake(1990)は 、上述 の研 究 を発展 させ て 、 どの よ うな条件下 での待機 時間が、青 年期 の人格発達 と関連性 があるのかを検討 した。対象児 が遅 延報酬課題 を経験 した年齢 は 6歳 であ った。 質問紙 は、ACQ(the Adolescent Coping. QueStiOnnaむ e)と. CCQが 使用 された。そ の結果 、報 Ellが 眼前 にあ り、待機 時間中に効果. 的 な 自己統制方略 を何 も教示 され なか った条件 下 での待機 時間 のみ が青年 (平 均年齢 18歳. 3ヶ 月)の 、問題 へ の対処能力や 自己統制 ス キル 、 さらには 自我機能 との 間 に有意 な相 関 が 認 め られた。 したが って 、報酬 を眼前 に して長 時間待機 で きる 6歳 児 は、18歳 の時点で 自 己調整機能 の高 い有能 な人間 とな る可能性 が示 され た。 以 上の よ うに遅延報酬課題 に 関 しては、認知的判断 と時 間的展望 が課題 の結果 を左右す る重要 な要因である ことが示 され 、 さらに認知的判断 の一 部分 である待機 のための動機 づ け的側面 を コ ン トロール す ることによつて待機 時間 を操作で きる ことが示 され た。 また 、 幼少期 に測定 され る待機 時間 が青年期 の様 々 な能力 と関連性 の 高 い ことも示 された。. (3)誘 惑抵抗課題. 誘 惑抵抗 課題 で は 、「道 徳 的 に受 け入 れ られ な い よ うな行 動 や 、子 どもに とつて 権威 を持 つ よ うな人 (例 えば大 人 や 教 師)か ら禁 止 され た 行 動 の 生 起 率 が 人 為 的 に高 め られ る よ うな場 面 の 下 で 、そ の 行 動 を と らな い よ うに子 どもが要 求 され る場 面」 と定 義 さ れ て い る(Wright,1971a)。. 誘 惑抵抗 場 面 を用 い た研 究 で は 、子 どもの 行 動 を操 作す る. も の は何 か とい うこ とが 検 討 され 、 また操 作 され た 個 人 の 行 動 パ タ ー ン を理 解 す るた. 17.

(24) め に は 、 そ の 個 人 の 計 画 の 性 質 を理 解 しな けれ ば な らな い と考 え られ て い た(MilleL. GalanteL&Pribram,1960)。. この 事 態 で は 、玩 具 は壊 れ や す い し、他 者 の もので あ. るか ら触 れ な い で 欲 しい と対 象児 に教示 し、実験者 が 戻 るま で 玩 具 に触 れ な いで い る こ とを約 束 させ る。 そ の 後 、実験者 は退 出 し、対象 児 が 初 めて 玩 具 に触 れ るまで の 時 間 を指標 と して 測 定す る。 なお 、 この 時 間 が 遅延 報 酬行 動 の 指標 と して用 い られ て い る研 究 もあ る(氏 家 ,1980)。 氏 家 (1980)で は 、実験者 が 戻 るまで眼前 に置 かれ た 魅 力 的 な玩 具 に触 れ て は い けな い こ とを対象 児 に教 示 し、4歳 児 と 6歳 児 の待機 時 間 (遅 延 報酬行 動 )を 比 較 す る と とも に 、「言語 的 自己教示 方略 」、「言語 的気紛 らわ し方 略 」、「行 動 的気紛 らわ し方 略」、「視 線 そ らし方 略 」 の. 4つ の 方 略 を、4歳 、6歳 、8歳 が使 用す るか否 か を検討 す る実験 を. 行 つた 。「言語 的 自己教示 方 略」 とは、誘 惑 され る こ とを 自 ら禁 止 す る よ うな 内容 を持 つ た 発 話 を行 うこ とで あ つ た 。「言語 的気紛 らわ し方 略」 とは、 自己禁止 的 内容 を持 た な い 発 話 や 唄 を歌 うこ とで あ つ た。「行 動 的気紛 らわ し方 略 」 とは、誘 惑物 を用 い な い で 遊 ぶ 、手遊 び 、身 体や 机 な どを い じる行 動 を取 る こ とで あ つた 。「視線 そ ら し方 略」 とは、誘 惑物 を見 な い よ うに した り、誘 惑物 か ら視線 をそ らす とい う行 動 を取 る こ と で あ った 。そ の 結果 、視線 そ ら し方 略 が. 6歳 児 の待機 時 間 に影 響 を及 ぼ し、6歳 児 が 4. 歳 児 と比 べ て 待機 時 間 が 長 くな る こ とが示 され た 。 また 、言 語 的 自己教示 方 略 を使 用 で き る の は 8歳 児 で あ つ た こ とが示 され た 。 鈴木 (2005)は 、他者 との 関係 の 中で 自己抑制 した り自己主張 した りできるよ う工夫 した 誘惑抵抗課題 を使用 した。 そ こでは、魅力的 なお もちや に対す る誘惑抵抗状況 を 自己抑制 後 で このお もちゃで遊 ぼ うね とい う約束 を反故 に され る状況 を 自己主張状況 とした。 状況 、 また、そ の状況下 で 自己抑制す るか 自己主張す るか とい う認知 が 実際 の行動 に及 ぼす影響 を検討す るために、仮想 的な対人状況 にお ける反応 も測定 され た。 これ は仮想課題 とよば れ 、紙 芝居 を使用 し自己抑制状況 で 自己抑制行動 を選択す るか、 自己主張状況 で 自己主張 行動 を選択す るかが確認 され た。 そ の結果 、仮想課題 にお いて は 自己抑制状況 、 自己主張 状況 ともに発達 に伴 って状況 に一 致 した反応 を選択す る子 どもが増加 す るが、実験課題 に お い て 自己抑制状況 、 自己主張状況 ともに状況 に一 致 した行動 を とる対象児 の数 に年齢差 が 見 られ ない ことが示 され た。 また、仮想課題 と実験課題 で一 貫 して状況 一 致反応 を示す 子 どもは年齢 とともに増加す るが、自己主張状況 では年齢差 が 見 られ ない ことも示 され た。 この よ うな誘惑抵抗課題 では、 課題状況 をよ り日常生活 に近 くした ところに意味 がある。. 18.

(25) そ の結果 、 よ り自然 な状況 で子 どもの認知調整 を測定できるよ うにな つた。. 1…. 3-3対 人 関係 調 整 を測 定す る課 題 対人関係調整 では他者 との相 互 作用 の 中でその行動 を選択 した結果 、他者 との 間 にいか. な る事態が生 じるのか を予測 し、非社会的な行動 を抑 えることが求 め られ る。測定方法 と しては 、 “ 遅延可能テ ス ト"や “フ ラス トレー シ ョンテ ス ト"な どがある。 ここでは、 “フ ラス トレー シ ョンテ ス ト"を 説 明す る。なお、“ 遅延 可能テ ス ト"は 、質問紙 を使用 して測 定 され る場合 が 多 い。. (1)フ ラス トレー シ ョンテス ト. 友達 と一 緒 に遊 んだ り、 課題解決 をす る社会的場面 で子 どもが適応的 に過 ごすためには、 子 どもは他者 の気持 ちを考 え、 自分 の欲求 を抑制 し行動 しなけれ ばな らない。 佐藤・目良・柏木 (1998)は 、同一 対象児 の年少 時 (4歳 )と 年 中時 (5歳 )に 対 して 、半年 間隔 で年 2回 の計 4回 フ ラス トレー シ ョンテ ス トを行 つた。 この研 究 では 、子 どもは 自己調整 の理 由になるもの を どこまで意識 して い るのか 、 また 自己調整 につい て意識 して い る場合 には どの よ うな理:由 づ けがな され るのかが検討 され た。自己抑制行動 を測定す るテ ス トは、 「ブ ラ ン コの順番待 ち場面 (集 団場面)」 と 「友達 が無意識 に 自分 の作 つた花瓶 を壊 した場 面 (一 対 一 場面)」 が描 かれ た図版 を用 い た もので 、園児 の 日常生活 にお い て トラブル が発 生 しや す い場面 で あ つた。前者 は対人場面 にお い て遅延可能 か否 かを測定す るテ ス トで 、 後者 は対人場面 にお いて フ ラス トレー シ ョンに対処 で きるか否 かを測定す るテ ス トであつ た。 実験手続 き としては 、抑制す るか否 か と、何故 そ うす るのか を尋ねた。 そ の結果 、4 回 のフ ラス トレー シ ョンテ ス トで抑制す べ き と答 えた子 どもの割合 は、年少 時 の 1回 日に は 64%、. 2回 目には 64%、 年 中時 の 1回 目には 91%、 2回 目には 68%で あ り、年少 時、. 年長時 ともに 自己抑制す べ きである と答 えた子 どもが多 かつた。そ して 、いずれ も 50%を 超 えてお り、子 どもは 自己抑制行動 の選択 が 出来 ていた と考 え られた。 さらに、 自己抑制 す る と答 えた子 どもの理 由であるが 、「服従・場面適応」とい う理 由を使用す る子 どもが多 か つた。なお 、理 由 として 「対人関係 」を使用 した子 どもは少 なか つた。「服従・場面適応 」 の理 由 とは 、例 えば、「順番 は守 るもの」 とか 「お母 さんや保 育者 に怒 られ るか ら」な どあ つた。「対人関係 」 の理 由 とは 、「順番 を守 らな い と他 の子 どもた ちが いや な思 い をす るか ら」な どであ っ た。 理 由使用 頻度 に 関 しては、年齢 間 で有意 な差 は認 め られ な かつた。以. 19.

(26) 上 よ り、年少 時 の 時点で既 に、 自己抑制行動 の選択 が可能である こ とが確認 され た。 鈴木 (2005)は 、幼児 の 自己調整機能 の発達 に関 して 4歳 児 か ら 6歳 児 を対象 に、 自己抑 制状況 と自己主張状況 の 2つ の状況 を用 い て検討 した。課題 には、対象児 自身 と実験者 が 登場人物 である 3枚 の絵 か らなるス トー リー を用 い た。 自己抑制状況 と自己主張状況 につ いて各 2題 ず つ で計 4題 を作成 した(Table. l‐ 3‐ 4参 照)。. 対人葛藤 の原 因 とな る遊び道具 は 、. 「ス コ ップ」、「ブ ロ ック」、「絵本」、「ボール 」 の 4種 類 の 中の一つで 、遊 び道具 と状況 の 「 割 り当てはカ ウン ターバ ラ ンス され た。 どち らの状況 も 「行動」、「自己主張」、 自己抑制」 の. 3つ の反応 の選択肢 で 回答す るよ うに設 定 され て い た。「自己主張」や 「自己抑制」 に. つい ては言語 に よつて表 出 され るもので あるが、「行動」は非言語 で行動す る ことによつて 表 出 され るもので あ り、未熟 な反応 であ つた。 そ の結果 、年齢 の上昇 とともに状況 に一 致 した反応 を選ぶ子 どもが多 くな つていた。 また 、「行動」 とい う選択肢 を 4歳 児 は 5、. 6歳. 児 よ りも多 く選択 して い る ことが分 つた。使 い た い遊び道具 を相手 か ら取 つた り、持 ち去 られ た遊び道具 を 自ら取 り返す とい うよ うな欲求 を直接 的 に行動 で表 出す るよ うな反応 は 、 年齢 とともに減少 し、6歳 児 ではその よ うな反応 はほばな くな つていた。 対人関係調整 につい ては 、 いずれ も紙芝居 を使用 した実験 であ つた。課 題 は子 どもの 日 常生活 に近 い状況 とされ 、そ こで子 どもが どの よ うに振舞 うかが 問 われ た。 そ の結果 、6 歳児 の 時点で既 に必要な 自己抑制行動 の選択 できることが明 らかに された。他 の調整課題 と比 較す る と、対人関係調 整 の課題 にお い ては早 期 に 自己抑制行動 が獲得 され て い る。 た. Table l‐. 3‐ 4。. 仮想課題 で用 い た ス トー リー (鈴 木 ,2005).. に「他のお. a)プ ロックを見つけて遊ぼうとしたら、. 友達 が使つているか ら使 つてはいけないよ」と止 められ る。 自己抑制. b)実 験者 が持 つてきたボールで遊びたいと思 つたが、 実験者 は「 戻 つてきたら一 緒 に遊 ぼう、それまで少 し待 つ ていてね 」といつて、ボール を置 いてその場 を離れ てしま い、なかなか戻らない。. 硼 自己主張. でスコップを使 つて遊 んでいるとき、その場を少. ・取る (行 動 ) ・ 「貸 して」という (自 己主張 ) ・がまんする (自 己抑制 ) ・一 人で先 に遊び始める (行 動 ) 「早く遊びた い」と ・実験者を呼びに行き、 いう (自 己主張) 0が まんして待っている (自 己抑制 ). ・取り返す. (行 動 ). し離れ ている間 に、実験者 がスコップを持ち去ろうとす る。. ・ 「返 して」という (自 己主張 ) ・がまんする (自 己抑制 ). b)お もしろそうな絵本を見 つ けたが、実験者 が「今 か ら. ・取る (行 動 ) 「僕 (私 )も 読みた いので貸して」という ・ (自 己主張 ) ・がまんする (自 己抑制 ). 他 のお友達 に貸 してあげるところだか ら、少し待 つてね 」 という。ところが、実験者 はその子 か ら本を返してもらつ ても、一 向に貸してくれ ようとしない。. 20.

(27) だ 、鈴木 (2005)も 指摘す るよ うに、 これ らの研 究 で使用 され て い る課題 はあ くま で も紙芝 居 に よる仮想場面 であるため、必ず しも現実 の行動 と一 致す る とは限 らず 、そ の点 が大 き な問題 である と考 え られ る。. 1-3-4. 自己抑制 行 動 を測 定 す る課 題 の ま とめ. 自己抑制行動 は、 コ ン トロール され る反応 (controlled response)に よつて大 き く 「運動 調整」、「認知調整」、「対人関係調整」 に分類 され る。先行研 究 にお いて 、それぞれ の調整 の 中で様 々 な課題 が 開発 され てい る。本論文では、 これ らの調整 で使用 され て い る課題 を 用 いて 、新 たに開発 され た運 動調整 を測定す る図形描画課題 の妥 当性 の検討や 、調整 間 の 関連性 の検討 を行 う。 は じめに、運動調整 を測定す る線テ ス トを用 いて 、図形描画課題 の 妥 当性 の検討 を行 う。次 に、認知調整 を測 定す る MFFテ ス ト用 い て 、運動調 整 と認知調 整 との 関連性 を検討す る。 さらに、対人 関係調整 を測定す る フ ラス トレー シ ョンテ ス トを 用 いて 、運動調整 と対人関係調整 との 関連性 を検討す る。本論文 にお いて 、運動調整 に着 日した理 由につい ては 、本研 究 の 目的 (22頁 参照)で 述 べ る。 なお 、次節 では 、 自己抑制行動 の発達 の規定因 として しば しば先行研 究 にお い て検討 さ れ て い る親子 関係 、特 に母 親 の しつ け態度 と幼児 の 自己抑制行動 に的 を絞 つて説 明す る。. 1-4. 親 子 関 係 と幼 児 の 自 己 抑 制 行 動 の 発 達. 幼児 の行動や性格 を規定す る外的な要因 として最 も代表的 な もの は親子 関係 である と考 え られ る。 この 中で も親 の しつ け態度 と子 どもの性格や気 質、 自己抑制行動 との 関連性 に つい ては多 くの研 究で検討 され て い る(eog"Baumrind,1967;Feldman&Wentzel,1990;. Kopp,1982;Lewis,1981;西 野 ,1990;笹 野 ,1982)。 と りわ け、子 どもの行動 に対す る親 の 過干渉や、過保護 的 しつ け態度 が 、あるい は子 ども自身 の 自発的な活動 を促 し探索 を許容 す る 自由度 の大 き さが 、子 どもの 自主性 、 自発性 と大 き く関わ ることが指摘 されて い る。 Si市 erman&Ragusa(1990)は 、2歳 児 の衝動的行動 の統制 とそ の先行要因 として の親 の. しつ け態度 との 関連性 を検討 した。そ の結果、 自分 でや るよ うに励 ます母親 の子 どもは 、 見通 しが 可能 で 、遅延行動 を選択 で きる こ とが示 され た。つ ま り、母親 が子 どもに対 して 、 過剰 に干渉す るので はな く、 自立 を促 し励 ます こ とによつて 、子 どもは将来 へ の予測 とそ れ による自立が可能 とな る こ とが明 らかに され た。. 21.

(28) さらに、柏木 (1988)は 、幼児 を対象 に、母親 の しつ け態度や発達期待 と、幼稚園教諭 の 評価 した幼児 の 自己抑制行動 (自 己抑制 尺度 を使 用)の 発達 との 関連性 を検討 した。 Table l‐. 401に は、柏木 (1988)の 母親 の介入・過保護 と幼児 の 自己抑制行動 との相 関係数 を示 した。. これ による と、母親 による介入 0過 保護 が 高 い子 どもは 自己抑制行動 全 般 が低 い ことが 明 らかに され た。 以 上 よ り、 これ らの先行研 究 の結果 をま とめる と、母親 の子 どもに対す る過剰 な統制や 干渉 は 、子 どもの 自己抑制行動 の発達 と関連性 が認 め られ る ことが示 され た。. 1-5. 本 研 究 の 目的. Maria Montessoriは 手 を「知性 を持 った道具」と名 づ けて、子 どもの手 が 出産直後 か ら、 運動、社会、言語そ して 、認知面 に複雑 に関与 し、様 々 な物 を手で探索 し、操作す ること に よつて 、社会性 の発達や認知的発達 を促す と述 べ た(Orem,1965)。 つ ま り、幼児 が 日常 生活 にお い て繰返 し行 う作業 の 中か ら運動 を調整す る能力 を獲得 し、それ が社会性 の発達 や認知的発達 を促す とい う点 に Ma五 a Montessoriは 着 日 した ので ある。柏木 (1988)は 、 自己抑制行動 に関 して手指 の運動調整 との 関連性 を示 し、それ が幼児 の 自己抑制行動 の基 本 とな る ことを示 した。 また 、佐藤 (2007)は 、歩行 、手 による物 へ の到達 、把握 な ど幼児 期 の感覚 ・ 運動機能 の成 立は もちろん 、言葉 の獲得や認 知機能 の成 立 に も、運動 を調整す る働 きは不可欠 である と述 べ た。 この よ うに、運動調 整 は幼児 の 自己抑制行動 の 中で も基 本 とな る大切 な一側面 であるこ とが分 る。 それ に も関わ らず、幼児 の運動調整 を測定す る研 究は、認知調整 を測定す る MFFテ ス トや遅延報酬課題 と比較 して研 究数 が少 な い。 運動調整 に関す る研究 の研 究数 が少 な いか. Table l‐. 4‐ 1。. 母親 の介入・ 過保護 と幼児 の 自己抑制行動 との相 関係数 (柏 木 ,1988).. *. -.26. 林. フラス トレー ション耐性. *. -.35. 林. 持続 的 対処・根 気. *. ….26. 料. 制 止・ルー ル ヘ の 従 順. *. ■30. 料. 遅 延 可能. だL.***pく .001. 22.

Figure l日 3‐ 6。 日本 の幼児 にお ける KRISP(Kansas Re■ ective‐ Impulsivity Scale for Presch001ers)の 誤答数 の横 断的研 究 (宮 川,1977)3210年 少 児 年 長 児

参照

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