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JAIST Repository: 研究基盤を支える教育研究支援系技術職員のキャリアパスに関する一考察(第二報) : 技術研鑚・キャリアアップについて

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Academic year: 2021

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JAIST Repository

https://dspace.jaist.ac.jp/ Title 研究基盤を支える教育研究支援系技術職員のキャリア パスに関する一考察(第二報) : 技術研鑚・キャリア アップについて Author(s) 平田, 暁子; 大原, 三佳; 江端, 新吾 Citation 年次学術大会講演要旨集, 35: 53-56 Issue Date 2020-10-31

Type Conference Paper Text version publisher

URL http://hdl.handle.net/10119/17384

Rights

本著作物は研究・イノベーション学会の許可のもとに 掲載するものです。This material is posted here with permission of the Japan Society for Research Policy and Innovation Management.

(2)

1B08

研究基盤を支える教育研究支援系技術職員のキャリアパスに関する一考察

(第二報)

~技術研鑚・キャリアアップについて~

○平田暁子(富山大学),大原三佳(分子科学研究所),江端新吾(東京工業大学) 1. はじめに 研究力向上改革2019(文部科学省)[1]に、チーム型研究体制の構築について、URA の質保証(認定 制度)と並び、技術職員のキャリアパスの構築が掲げられている。福田[2]が述べているキャリアパスに 必要な3 要素のうち、技術職員の「適切な教育」がどのように計画だてられ、経験はどのように積むの かに関心と疑問をもつようになった。そこで、研究基盤を支える教育研究支援系技術職員として、基礎 基盤研究部会研究基盤・整備高度化委員会等で議論されている共用機器の管理・分析担当者を対象に技 術研鑽、キャリアップの実態調査を行い、昨年度の大会(第34 回)で発表した[3]。アンケート調査の 結果、1/4 の回答者が、「メーカーの講習会、ユーザーズミーティング等への参加」がもっとも有効だっ たと考えており、8 割の回答者が有効であると考えていることがわかった。経験年数が長くなるにつれ、 「機器・分析技術研究会への参加」、「学会への参加」効果の選択者が増加していた。一方で、これまで の技術研鑽、キャリアアップに関し、8 割の回答者が困ったことがあると回答していた。困ったことに は、「使用できる予算がない」、「業務が多忙のため、時間がない」、に次いで、「どのように研鑽、キャリ アアップしたらよいかわからない」を選択している回答者が、約4 割存在した。何故そのような現状で あるのかに疑問を持ち、さらに突き詰めるため、今回、新たに実態調査を行い、教育研究支援系技術職 員の技術研鑚、キャリアアップについて、考察を行った。 2. 技術研鑚、キャリアアップの実態調査方法 昨年度の発表では、「質量分析技術者研究会」、「NMR Club」、「XRD 分析技術研究会」、「顕微情報交流会」 の 4 団体に、「研究基盤を支える技術職員の技術研鑽に関するアンケート」(ここでいう「研究基盤を支 える」は、共用機器の管理・分析を想定)を依頼し、73 名の回答が得られた。上記 4 団体は、技術職員 有志で会を立ち上げ、所属する会員は自らの意思で入会し、よりよいデータを得るために、活動してい る、いわば、向上心が高い技術職員(非常勤職員も含む)の集合体である。今年度は、昨年度の 4 団体 に加え、「大学技術職員組織研究会」にも依頼を行った。「大学技術職員組織研究会」は、全学技術部を 展開している大学の管理職経験者が集まり、全学技術部運営に発生する問題や悩みを運営側の視点で討 論・研究し、今後の技術部運営の指針作成を目的として 2018 年に立ち上げた会である。2019 年より、 共用機器の管理・分析にかかわる技術職員を中心とした「技術職員有志の会」が統合され[4]、管理職だ けでなく、大規模団体となった会であることより、本アンケート回答者数の増加を目的とし、依頼した。 複数の団体に加入している者も存在する。アンケートの回答は個人が特定できないよう所属先も含め、 無記名としたため、アンケート依頼者の母数、回答率は不明である。 アンケートは、「どのように研鑽、キャリアアップしたらよいかわからない」原因をさぐることを目的 とし、構築した。 ○昨年度実施のアンケートへの回答(択一式) ○担当機器の経験年数(複数の機器の担当の場合は最長年数、択一式) ○担当機器にかかるエフォート(年間の全仕事時間に対する割合、択一式) ○担当機器へのかかわり方(自身のメインの機器について、択一式) ○担当機器(選択式、複数選択可) ○過去に、どのように研鑚、キャリアアップしたらよいかわからなかった経験の有無(択一式) ○わからなかった経験があった場合の相談相手(選択式、複数選択可) ○わからなかった経験があった場合、その後の解決方法の有無(択一式) ○現在、どのように研鑚、キャリアアップしたらよいかわからないことの有無(択一式) ○わからない場合の相談相手(選択式、複数選択可) 1B08

(3)

○ロールモデルとなる技術職員の有無(選択式) ○技術のランク付け、ポイント制などの変⾰をのぞむかどうか(年功序列制度ではなく、技術が反映さ れるシステム)(択一式) 上記のアンケートに対し、85 名の回答が得られた。 3. 調査結果 3.1. 回答者のプロフィールについて 昨年度の回答者 73 名のうち、「どのように研鑚、キャリアアップしたらよいかわからない」の選択者 は、全体の 38%であったが、今回の回答者 85 名は必ずしも昨年度の回答者 73 名と一致しないのではな いかと考え、昨年度実施のアンケートへの回答(択一式)を設問として取り入れた。昨年度実施のアン ケートに、「回答している」46%、「回答していない」20%、「不明」34%という結果であったことより、 昨年度と今回の共通回答者は半数と考えられる。昨年度のアンケートとは別ものと認識したうえで、デ ータ結果と解析を行うこととした。 回答者 85 名の経験年数は、5 年以上 10 年未満がもっ とも多く 34%をしめ、次いで、10 年以上 20 年未満が 27%であった。エフォートに関しては、80%以上が 32% でもっとも多く、次いで、60%以上 80%未満が 20%で あったことより、回答者の半数以上が担当機器に業務時 間の半分以上の時間を費やしていると考えられる。 担当機器へのかかわり方の設問では、自身のメインの 機器について、ひとりで管理/複数の技術職員で管理/ 教員と管理/教員の補助/利用者として/のなかから、 択一式とした。回答者の半数がひ とりで管理していることがわか った(図1)。担当機器の設問で は、複数の種類の機器の管理者が 6 割であった。 3.2. 過去の経験について 昨年度の設問での「どのように 研鑚、キャリアアップしたらよい かわからない」の選択者は、全体 の 38%であったが、今年度は「過 去に、どのように研鑚、キャリア アップしたらよいかわからなか った経験の有無」についての設問 に、74%があったと回答してい た。経験年数別で比較すると、3 年以上 5 年未満まで増加傾向にあ り、5 年以上では、経験年数が増加するにつれ、減少傾向にあった (図2)。エフォート別、担当機器へのかかわり方別、担当機器別 での比較では、際立った傾向はみられなかった。ひとりで管理して いても(74%)、複数の技術職員で管理していても(73%)、教員と 管理していても(77%)経験があったと回答した割合には大差がみ られなかった。 相談相手に関しては、「いなかった」回答者が 22%に対し、「所 属先の技術職員」が 26%ともっとも高い値を示していた。次いで、 「学外の技術職員」選択者が 22%であった。「その他」には、自分 で解決、学内の教員(研究者)との連携、メーカー実施の講習会、 セミナーへの参加、学会への参加、資格取得、があげられていた。 学内では解決できなくとも、学外との連携、情報交換が活発である ことが、読み取れた。昨年度の報告でもさせていただいたが、大学 連携研究設備ネットワーク講習会をあげていた回答者が 5 名存在 50% 31% 15% 2% 2% 図1 担当機器へのかかわり方 ひとりで管理 複数の技術職員で管理 教員と管理 教員の補助 利用者として 0% 20% 40% 60% 80% 100% 全体 20年以上 10年以上20年… 5年以上10年… 3年以上5年未満 1年以上3年未満 1年未満 図2 過去にどのように研鑚、キャリアアップしたらよいか わからなかった経験 あった なかった 22% 26% 11% 9% 2% 22% 8% 図3 相談相手 いなかった 所属先の技術職員 所属長(センター長、教授など) 技術長 事務職員(課長など) 学外の技術職員 その他

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した。経験年数別、エフォート 別、担当機器へのかかわり方 別、担当機器別での比較では、 際立った傾向はみられなかっ た。 解決方法の有無については、 半数があったと回答していた。 経験年数別、エフォート別、担 当機器へのかかわり方別、担当 機器別の比較では、際立った傾 向はみられなかった。相談相手 に「学外の技術職員」選択者が 「あった」と回答している割合 がもっとも高かった。 3.3. 過去と現在の比較より 「現在、どのように研鑚、キ ャリアアップしたらよいかわからないことがある」の有 無については、「あり」の回答者が 54%であった。「過去 に、どのように研鑚、キャリアアップしたらよいかわか らなかった経験の有無」についての設問では、74%であ った。 「過去」と「現在」を回答者単位で比較した結果を、図 5に示した。過去、現在いずれにおいても、どのように 研鑚、キャリアアップをしたらよいかわらかない回答者 が半数近くであった。過去にあったが、解決方法があり、 現在はない回答者は 19%であった。一方で、「過去も現在 もない」回答者は 24%、全体の 1/4 であった。 3.4. ロールモデルの存在の有無について ロールモデルとなる技術職員の有無(選択式)につい ては、57%がいないと回答していたのに対し、学内・学 外の両方に存在する回答者が 2%、学内に存在する回答 者が 14%、学外に存在する回答者が 21%であった(図 6)。図5と照らしあわせてみ たところ、解決方法があった回 答者には、ロールモデルの存在 の割合が多いことがわかった。 「過去になかったが現在はあ る」回答者には、ロールモデル の存在を半数が回答している ことより、今後の発展が期待で きる。 3.5. 評価について 昨年度の発表では、看護師の 能力開発・評価のシステムであ るクリニカルラダーのような 教育研究支援系技術職員向け のシステムの開発により、「ど のように研鑽、キャリアアップしたらよいかわからない」技術職員を減少させることができるのではな いか、といった提案をさせていただいた。そこで、「技術のランク付け、ポイント制などの変⾰をのぞむ かどうか(年功序列制度ではなく、技術が反映されるシステム)(択一式)」を設問に加えた。のぞむ/ のぞまない/わからない/のなかから、択一式とした。のぞむ 41%、のぞまない 9%、わからない 44%、 0% 20% 40% 60% 80% 100% 全体 その他 学外の技術職員 事務職員 技術長 所属長 技術職員 いなかった 図4 解決方法の有無 あった なかった 回答なし 20% 32% 19% 3% 2% 24% 図5 過去と現在の比較 過去も現在もある(解決方法があったを含む) 過去も現在もある(解決方法なし) 過去にあったが現在はない(解決方法があったを含む) 過去にあったが現在はない(解決方法なし) 過去になかったが現在はある 過去も現在もない 0% 20% 40% 60% 80% 100% 全体 過去も現在もない 過去になかったが現在はある 過去にあったが現在はない(解決方法なし) 過去にあったが現在はない(解決方法が… 過去も現在もある(解決方法なし) 過去も現在もある(解決方法があったを含む) 図6 ロールモデルの存在の有無 学内・学外に存在 学内に存在 学外に存在 いない 回答なし

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という結果であった。図5との照らし合わせでも、経験年数別、エフォート別、担当機器へのかかわり 方別、担当機器別の比較でも、際立った傾向はみられなかった。「のぞまない」回答者の理由には、「そ れぞれ置かれている立場・環境・設備が異なるため、同じ物差しで「評価」を決められることには反対」、 「技術ベースのランク付けの評価基準は装置により大きく異なるためキャリアアップに利用するのは 困難ではないか」、「「技術的研鑽」と「キャリアアップ、ランク付け、評価」は分けて考えるべきであっ て、これらを安易に紐付けるべきではないと思う」他のコメントがあった。 4. 考察 1)「過去に、どのように研鑚、キャリアアップしたらよいかわからなかった経験の有無」についての設 問では、74%が「あった」と回答していたが、「現在、どのように研鑚、キャリアアップしたらよいかわ からないことがある」の有無については、「あり」の回答者が54%であった。回答者単位で比較した場 合、解決方法があったと回答しながらも、「過去も現在もある」回答者が20%存在したことより、解決 方法をみつけ、ひとつ解決しては、次の問題に直面し、成長していくことが考えられる。このことは、 「過去になかったが現在はある」回答者が2%とわずかであるが存在することからも、成長段階での壁 を乗り越えていくことが考えられる。エフォート、担当機器へのかかわり方、担当機器にはかかわらな いともいえる。 2)ロールモデルとなる技術職員の存在があったほうが、問題に直面したときに、解決に導かれるとい える。「過去になかったが現在はある」回答者には、ロールモデルの存在を半数が回答していることよ り、今後の発展が期待できるといえる。一方で、「過去も現在もない」回答者にとって、ロールモデルの 存在が必ずしも多いとは言えない。自分が目指す姿であるロールモデルを見つけること、また、そうい った存在が身近や全国にいることが、キャリアアップにつながるのではなかろうか。 3)「技術のランク付け、ポイント制などの変⾰をのぞむかどうか(年功序列制度ではなく、技術が反映 されるシステム)」はのぞむ回答者が41%、のぞまない回答者が 9%であった。「技術研鑚、キャリアア ップについてコメント等」の記載欄を設けたところ、評価に対するコメントが多数寄せられた(12 件/ 45 件)ことから、評価にはこだわっているのではないかと考えられる。裏を返せば、自身が正当な評価 を受けてないと考えているのではないかと考えられる。また、「のぞまない」と回答しているのは、「過 去にも現在にも研鑽、キャリアアップに困ったことがない」回答者のほうが多く存在していた。このデ ータが何を表しているのか、さらに検討する必要があると考えた。 4)本アンケートでは、「研鑚、キャリアアップ」と並列してきたが、「キャリアアップ」の捉え方が人 それぞれであることがコメントからも読み取れた。技術研鑚に関するコメントは20 件/45 件あり、前 向きなコメントが多かった。技術職員である以上、日々の研鑚が必須と考えていることがうかがえた。 一方で、技術研鑚≠キャリアアップというコメントも3 件/45 件あった。「キャリアアップ」、「キャリ アパス」、「スキルアップ」…言葉の定義、受け取り方が人それぞれであることが本アンケートの回答(コ メント部分)で露呈する結果となった。法人化後は各所属先の目指す姿も違うと考えらえるが、共通す る考え方として、技術研鑚を積んで「プロフェッショナルとして成功するために、組織でどう働くか」 「所属先に専門性を認めさせるためのテクニック」[5]も重要なのではなかろうか。 謝辞 「質量分析技術者研究会」、「NMR Club」、「XRD 分析技術研究会」、「顕微情報交流会」の代表者の皆 様には会員へのアンケート依頼の配信等様々なご協力をいただきました。また、85 名の技術職員からア ンケートに回答いただきました。本発表にかかわりいただきましたすべての皆様に深謝いたします。 参考文献 [1] 文部科学省,研究力向上改革 2019(2019 年 4 月). [2] 福田秀樹,「中小企業における「キャリアパス」の活用法」,実務,6,48-51(2012). [3] 平田暁子(2019),「研究基盤を支える教育研究支援系技術職員のキャリアパスに関する一考察」研 究・イノベーション学会第34 回年次学術大会講演要旨集,570-573. [4] 丹松美由紀ほか,(2020),「技術職員有志の会と大学技術職員研究会@米子の取り組み (https://www.ofc.titech.ac.jp/iris/contents/img/20200130-05.pdf). [5] 平康慶浩,「出世する人は人事評価を気にしない」,日経プレミアシリーズ,24(2014)

参照

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