• 検索結果がありません。

3)ナノ粒子分散系有機無機ハイブリッド

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "3)ナノ粒子分散系有機無機ハイブリッド"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

1.はじめに

有機無機ハイブリッド材料は無機物と有機ポ リマーをナノ分散することで,それぞれ単独で は達し得ない特性を発現できる機能性材料とし て期待されている。一般に,有機無機ハイブリ ッド材料は金属アルコキシドのゾル−ゲル法で 調製されるゾルと有機ポリマーをナノメートル サイズで分散したナノ構造体として形成され, これらのナノ分散には有機ポリマーとゾルとの 間で共有結合,水素結合,配位結合,π−π 相 互作用,イオン性相互作用,疎水性相互作用な どの相互作用が不可欠である。しかし,ゾル− ゲル法による有機無機ハイブリッドには,①ゲ ル化に伴う硬化収縮が大きい,②トリアルコキ シシランの加水分解でアルコールが生成する, ③硬化反応の時間が長いなどの欠点がある。そ こで,これらの欠点を軽減する方法として,加 水分解−縮合反応が完結して得られる反応性ポ リシルセスキオキサンとモノマーとの架橋反応 や金属酸化物ナノ粒子のポリマー中への分散等 が有効な手法と考えられる。金属酸化物ナノ粒 子を用いた有機無機ハイブリッドとして,例え ば,ジルコニアナノ粒子を有機ポリマーに均一 分散することで,透明な高屈折率有機無機ハイ ブリッドを作製することができる。しかし,未 処理のジルコニアナノ粒子水分散体は親水性が 高く,有機ポリマーに分散することはできない ので,疎水性表面処理を施す必要がある。本稿 では,表面処理したジルコニアナノ粒子をポリ マー中に分散して屈折率を制御した有機無機ハ イブリッドについて,著者らの最近の研究例を 述べる。

2.ジルコニアナノ粒子を用いた高屈折

率有機無機ハイブリッド

高屈折率材料を得るためには,ハロゲン,芳 香環,硫黄などの高屈折率を付与する成分を分 Osaka Municipal Technical Research Institute, Electronic Material Research Division

Kimihiro Matsukawa

Nanoparticle Dispersed Organic

―Inorganic Hybrids

松 川 公 洋

(地独)大阪市立工業研究所 電子材料研究部

ナノ粒子分散系有機無機ハイブリッド

複合化と機能発現

特 集

〒536―8553 大阪市城東区森之宮1―6―50 TEL 08―6963―8031 FAX 08―6963―8040 E―mail : kmatsu@omtri.or.jp 15

(2)

子内に導入する方法があるが,これらを含んだ 有機系材料では屈折率の温度依存性が問題とな り,有害性,臭い,耐熱性などの問題がある。 一方,チタニアやジルコニアのナノ粒子を有機 ポリマーマトリックスに分散,配合することに より,高屈折率有機無機ハイブリッドを生成す ることができる。ジルコニアに比べて,チタニ アの方が屈折率は高いが,光触媒活性が少ない とされるルチル型でも,そのバンドギャップエ ネルギーは3.0eV で,413nm 以下の光波長域 で光触媒活性を示す可能性があり,有機バイン ダーを冒す恐れがある。しかし,ジルコニアの バンドギャップエ ネ ル ギ ー は5.0eV と 大 き く,250nm 以下の紫外線領域でしか光触媒活 性を示さない。よって,屈折率2.17のジルコ ニアナノ粒子を含んだ有機無機ハイブリッドは 安定性の点で優れており,実用的観点から,ジ ルコニアナノ粒子分散した有機無機ハイブリッ ドの開発が強く求められている。

3.2段階法によるジルコニアナノ粒子

分散体の合成

1−3) ポリマーマトリックス中で高屈折率のジルコ ニアナノ粒子の凝集を抑制し,高度に分散させ るためには,分散剤によるナノ粒子表面の化学 修飾が不可欠である。分散剤にはアルコキシシ リル基,水酸基,リン酸基,カルボキシル基, アミノ基などを界面結合成分とし,ポリエステ 図1 2段階法によるジルコニアナノ粒子分散体の作製 16

(3)

+ Photo-cured zirconia nanoparticle hybrids

Irgacure 184

DPHA

ル,ポリエーテル,アクリル,ウレタン,シリ コーン等を主骨格としたものがあり,その選択 性は広く,有機成分が粒子表面に結合したジル コニアナノ粒子の開発が広くなされている。シ ランカップリング剤を分散剤として用いた場 合,シランカップリング剤同士の反応が起こる ので,再凝集を起こし易く,ナノ粒子分散体の 安定性が低いことが問題であった。そこで, 我々は,シランカップリング剤の使用量を低減 する方法について研究した。シランカップリン グ剤に併せて2―メタクリロキシオキシエチル イソシアネート(MOI)を用いた2段階法に よるジルコニア分散体を合成し,それら用いた 光架橋性ポリマーハイブリッド膜の物性につい て検討した。メチルエチルケトン(MEK)中 で,ジルコニア粒子に対してビニルトリメトキ シシラン(VTMS)を用いてビーズミル分散 処理したジルコニア分散溶液を作製した。さら に,この溶液に MOI を添加し,室温で超音波 処理することによってジルコニア粒子表面にメ タクリル基が修飾されたジルコニアナノ粒子分 酸体(ZrO2―MOI)を得た(図1)。得られたナ ノ粒子の DLS 平均粒子径は,ほとんど1次粒 径まで分散しており,2段階法が効果的である ことが分かった。MOI 添加,超音波処理後の スラリーの赤外吸収スペクトルより,イソシア ネートのピークが減少し,ウレタン結合の形成 が進行していることが確認できたことより, MOI の表面への化学結合が示唆された。粒子 表面には MOI に由来するメタクリル基が結合 しており,光ラジカル重合開始剤の存在下で多 官能アクリレートモノマーとの光ラジカル重合 により,ハイブリッド薄膜を容易に形成できた (図2)。 ジルコニアナノ粒子(66wt%含有)とジペ ン タ エ リ ス リ ト ー ル ヘ キ サ ア ク リ レ ー ト (DPHA)を光架橋させた光架橋ハイブリッド 薄膜の光線透過率は87% と透明性が非常に高 く,図3に示すように,ナノ粒子添加量が増え るにしたがって屈折率は増大した。例えば,80 wt%含 有 し た ハ イ ブ リ ッ ド 膜 の 屈 折 率 は,1.68を 示 し た(DPHA の み で は1.52)。 このことから組成比によって屈折率を容易に制 御できる高屈折率薄膜として,各種光学材料へ の応用が期待できる。 図2 表面修飾ジルコニアナノ粒子(ZrO2­MOI)と多官能アクリレートとの光ラジカル重合による有機無機ハ イブリッドの作製 図3 ZrO2­MOI/DPHA ハイブリッド薄膜のジルコ ニア含有量による屈折率変化 17

(4)

4.おわりに

屈折率を制御した薄膜は,特に,スマートフ ォン,タブレット PC 等のディスプレイを含ん だ情報端末に不可欠な材料である。反射防止膜 や ITO との屈折率マッチング層は,デバイス の視認性の向上に大きく寄与するので,特に重 要で,今後も需要が見込まれる。 ジルコニアナノ粒子をポリマーマトリックス 中に分散した有機無機ハイブリッドにおいて, 高屈折率のジルコニアナノ粒子の凝集を抑制 し,高度に分散させるためには,ナノ粒子表面 の化学修飾が不可欠であり,本稿では2段階法 による表面処理を述べた。多官能アクリレート モノマーにジルコニアナノ粒子を高度に分散す ることで,高屈折率透明薄膜を生成することが 可能であった。これらの知見を元に,今後はさ らに新たな光学材料開発に繋がることを期待し ている。 文献 1)南 有紀,村田一紀,渡瀬星児,松川公洋,高分子 論文集,67,397(2010).

2)K.Matsukawa and S.Watase,Coatings Science

Inter-national,Proc.,(2012).

3)K.Matsukawa,Y.Minami,and S.Watase,,IDW’12 (The 19th

International Display Workshops),965 (2012).

18

参照

関連したドキュメント

線遷移をおこすだけでなく、中性子を一つ放出する場合がある。この中性子が遅発中性子で ある。励起状態の Kr-87

と言っても、事例ごとに意味がかなり異なるのは、子どもの性格が異なることと同じである。その

次亜塩素酸ナトリウムは蓋を しないと揮発されて濃度が変 化することや、周囲への曝露 問題が生じます。作成濃度も

 ファミリーホームとは家庭に問題がある子ど

優越的地位の濫用は︑契約の不完備性に関する問題であり︑契約の不完備性が情報の不完全性によると考えれば︑

職場環境の維持。特に有機溶剤規則の順守がポイント第2⇒第3

職場環境の維持。特に有機溶剤規則の順守がポイント第2⇒第3

年間約5万人の子ども達が訪れる埋立処分場 見学会を、温暖化問題などについて総合的に