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(1)

現代企業と経営成果原則

57

現代企業と経営成果原則

桜井克彦

一 序

二 経営成果原則の意義

(i)企業目的

(ii)経営成果原則

(iii)経営成果原則の問題点 三 経営成果原則と適正概念

(i)三種の問題

(ii)適正決定と二つの接近

(a)倫理的ないし規範的アプローチ

(b)実践的アプローチ 四 資本成果適正額とその実践的決定

=It 資本成果と資本コスト

(i)資本コストの概要 回 資本構成要素のコスト

(b)加重平均資本コスト

(ii)資本成果の決定と資本コスト論

一 序

現代の巨大株式会社企業に共通的に認められるさまざまな本質的諸特質に

基づいて一つの企業モデルを作成し,それを現代企業なる名で呼ぶことにす

ると,企業についてのかかるモデルないし理念型は,伝統的な企業の経済理

論が措定する企業像とは大きく異るであろう。現代企業を貫く基本的法則は

伝統的な意味の営利法則とは考えられなくなりつつあるのであり、企業の運

営にあたって経営者が依るべき経営原則も,利潤最大化に関する伝統的な経

済原則では不適切となりつつある。現代の経営者が依るべき,そして依らざ

(2)

58 

径 む と 経 済

るをえない経営原則は,伝統的な営利原則としてではなく経営成果原則とし て理解されねばならない

O

本稿では,かかる経営成果原則についてその基本的な概念を明らかにする ことにしたい

G

その際に,経営成果の主要構成要京の一つである資本成果の 観点から,主たる考察がなされる。

二 経営成果原則の意義

(1) 

(  i  )企業の目的

企業の目的の理論的把握に際しては,企業が現実に指向している客観的な 目的とはなにかが念頭に白かれねばならない。目的とは,企業なるシステム が提示している状態傾向であり,かかる傾向の到達点である

O

それは,企業 ないしその主体としての経営者によって;意識されている目的と一致するかも

しれず,一致しないかもしれない。

企業の経済理論が伝統的に目的として主張してきたところの、所有者たる 株主のための利潤最大化なる概念によっては,現代企業におけるかかる客観 的目的を適切に理解しえなくなっていることは,既に多くの論者が指摘する 如くである

D

現代企業の目的は,制度としての企業を構成するさまざまなグ ループが抱くところの経済的ならびに非経済的な価値を反映しており,それ は,これら多様なグループの諸価値ないし諸利益の実現であり促進である

G

伝統的な

i

意味の利潤は,企業の諸関係者の一部たる株主が抱くところの価値 を代表する概念であり,利潤は企業目的の一部であるに過ぎない。

企業システムを構成する諸クツレープのそれぞれの価値ないし目棋が企業目 的を形成しているという志味において,企業の目的は多目的である。このこ とはまた,目的達成に際して作用すると伝統的に考えられてきた最大化原理 が作用せず,替わって満足原理が作用することを怠味するむ多椋な価値につ いてその各々を可及的最大に追求することは,概念の矛盾を生ずることにな

る 。

現代企業が追求する乙れら多様な目的はその具体的な発現形態を成長,存

続,利潤,社会的責任,等の如 l き諸目隠として氾握することもできるとは思

(3)

現代企業と探常成果原 H U

59 

われるが,かかる発現形態がなんであれその根底には企業構成ク。ループの 諸価値が存在するのであり,そのような諸価値が真の企業目的を形成するの であって,現代企業は乙の芯味で,多様なグループのための用具ないし手段 として存在するに到っているといえよう

O

なお,企業の用具的性格自休につ いて付言するならば,企業を生物とのアナロジイとの関連から一程の有機体 として把えその目的を企業自身の存続・成長とみる見解が出現してきており 興味を引くが,しかしながら,かかる見解は人工的所産としての企業組織の 本来的性協たる用具性の側而に対する配慮の欠如の点で問題を有すると思わ れる

O

(ii)

経営成果原則

l

乙述べたように,現代企業の目的は多元的であり現代企業はその内外を めぐるさまざまなグループの諸利益の促進を指向するのであって, こ こ か ら,多元的な諸価値ないし諸目的の追求が企業行動の客観的法則を形成して いるといいうる。このことは,とりもなおさず,現代企業ないしその経営者 が企業経営にあたって拠るべき経営原則が,かかる法則を根底にしつつ形づ くられざるをえない乙とを立味する。すなわち,経営者は企業内外の諸グル ープのための価値促進の可能性のいかんを基準として経営決定を下さねばな

らなし可D

諸グノレーフ。の価値促進のためには,いかなる原則ないし原理に i!~v

i

て立志 決定を行うべきであろうか。諸クツレープが抱く価値には経済的な性格のもの のみならず非経済的なそれも存在しており,企業の主要目的といいうるが

j

者 についてもその内容はさまざまである

D

問題を経済的性格の諸価値,すなわ ち,その大きさを貨幣的尺度によって担掠しうるような諸価値に限定しでさ え,これらの価値の内容は多絞であり,それらはしばしば相互に矛盾・対立 する

q

例えば,従業員は賃金の多からんことを願い,出資者は利

li

司の増大 を ,

iiJfn

者ないし則容は低価格を要求するであろう。かくの如き,一見した ところ相互排反的ともいいうる諸要求を等しく実現し促進しうるために拠る べきワーカブソレな終営原則を求めることは,容易でないようにみえる口

しかしながら,なんらかの実践的原則の確立が不可欠であり,乙こから,

(4)

60 

経 世 と 経 済

企業の経済的目的の達成に│児する限り,改善のものとはいえないまでもかな りに適切な原則として経営成果の原則ないし原理を考えることができるであ ろう。つまり,経営成果の適切な獲得とその適切な配分とをもって経営者の 行動原則とすることによって,相互対立的な企業目的の実現がある程度可能 となるといえよう。いわゆる「経営成果」もしくは「付加価値」なる概念が 内外の諸論者によって企業行動の原則として提唱されてきており,わが国で

(2) 

は高田教授によって「経営成果の原理」が提唱されるに到っているが,この ような「経営成果」もしくは「付加価値」の原則ないし原理は,経営原則を めぐってこれまで主張されてきた諸見解のうちでもすぐれて現実の企業経営 に適用可能であると思われる

C

ところで,一口に経営成果といってもその概念は論者によりさまざまであ る

o

伝統的な利潤原則よりもその内容において拡大された経営原則が多くの 論者によって主張され,かれらはかかる原則に関してあるいは「経営成果 J , 

「創造価値

J

, 1"生産価値

J

,あるいは「寄与価値

J

, 1"付加価値

J

,等程 々の名称を与えるとともに,これらの概念の内容もその名称の多核性に即応 して多様である

o

利潤よりも広範なこれらの諸概念を一括して経営成果と呼 ぶことにすると,経営成果はその量的限定と帰属主体へのその内部分割形態 とを論者によって異にするのである。ここでは,レーマンおよび細井教授の

(3) 

所説を参考に経営成果の概念を図 I のように考えたい

D

図 I 経営成果の内~

I

一一│ 一一一一一一一一一一

i ̲ 1) 

社 会 成 呆 ( 法 人 税 , 物 品 税 な ど → 政 府 , 地 方 自 治 体 に 帰 国 川 町 一 一 一 一 一 一一一一一一一一

│ 

イ)出資者成果

│ 

;!営

I 2)

叩 i 己 一 ) h J i 三郎 λ

→ 白 木 提 附 と 帰 民

利子,割引料)

XE  ''1"'.) 

, 

~TJ -..J I'I-I'/

2 1 I

3) 

労働者成果(従業員給料手当,福利 ml‑ 労 働 者 同 国

11

一 一 一 一 一一一一一 一一 一│

品!!果

I4) 

経営者成果(経営者給料手私員賞与)

‑ー経営者に帰属

│ 

償 却 費

@ : ; t j ‑ 一 五 五 三 三 五 二 ユ

(5)

現代企業と経営成果原則

61 

企業目的のところで触れた如く,現代企業はさまざまなクツレーフ。から構成 される一つのシステムであると考えることができる

o

伝統的な企業観にあっ ては,所有者たる株主のみが企業の存続・繁栄に重大に依存しおりリスクを 負但するとみなされてきた

c

しかるに制度化した現代企業にあっては,企業 の存続・繁栄に依存しリスクを負担するクーループは,株主のみに限られな い。株主をも含めて多様なグノレープが,企業に依存しておりその経営政策に よって支配されるに到っているロそして,これらグループほ他方において,

企業に対する圧力を高めてきており,ここから企業の目的は,かれらの価値 の多様性を反映しつつ多元的となっているのである。このことは,企業の主 体としての経営者がその行動原則として,従来の利潤原則とは異るものを受 入れることを要請する口経営成果の原則とは,企業は図 Iにおけるが如き経 営成果を適正な方法によって追求しそれを適正に諸帰属主体に配分していく べしという原則であり,この原則においては,利潤以外の諸要素も企業の目 的としてとり扱われることになる。かくて,経営者は,経営成果の原則を経 営原則とすることによって企業の要訪にかなりに応えることができるのであ

り,ここに経営成果原則の芯義が存在する

D

(iii)

経営成果原則の問題点

むろん,かかる経営成果原則は完全な経営原則ではなく,それは幾つかの 問題を有する

D

そのような問題点の幾っかをとりあけ'つつ成果原則に対する 理解をさらに深めることにしたい

O

経営成果原則の問題点の第ーは,この原則が主として企業目的の経済的側 面のみに関述するということである。企業がその充足を不可避的たらしめら れているところの諸ク

V

レープの価値は,その性絡において経済的であるのみ ならず非経済的でもある。したがって,経営成果の原則のみによっては企業 目的の経済的側而は充分には達成しえないことになる

o

ところで,経営成果の概念の内容は,利潤概念のそれよりははるかに拡大

されてはいるものの,それは経営成果という限定的な概念がもっ狭さを有す

るのであり,ここに経営成果原則の問題点の第二が存在する

o

すなわち,経

常成果の原則はその目的的概念として経営成果を措定しており,ここから成

(6)

62  ii

' E ; ; と 経 済 果原則は企業の諸グノレープのうちで政府・地ブ

j

自治休,資本提供者,労倒 者,および経営者という四極の特定ク勺レープを第一次的{こ主机することにな る

o

上記四種のグループの利益の促進が第一次的な目的とされるのである

D

むろん,経営成果の原則は,経営成果の適切な獲得ということもその部分と して合んでおり,この

23

味では,消費者や取引先などのグループの利益に対 する配慮が原則には存在する。しかしながら,経営成果なる概念が目的的概 念とされる以上,論理的には,前記の四グループ以外のものに対する配慮は 原則にあっては第二次的目的として位置せざるをえないことになる

o

多椋な クツレープからなるシステムとしての現代企業を念頭に置くとき,経営成果の 原則は経営原日

JI

としては,このような点にも問題を有するといえよう

D

とは いえ,経営成果概念に替わりうるほどに有力な概念が必ずしも存在しない 以上,経営成果原則はかなりに有効な経営原則であるといわねばならない。

なお,ここで経営成果の内容について付言するならば,資本成果のうちの 出資者成果の一部を構成する留保利益に関して多少の説明を加えておくこと が適切である

O

いうまでもなく,留保利益は支払配当とともに企業の純利益 の主要な構成要素であり,伝統的な見方はそれが出資者に帰属することを自 明のこととしてきた

O

しかるに,企業の存続,発展に対して大きく依存する グループは今日では出資者のみに限られず,留保利益は内部資金の主要な部 分として企業の成長・発展のための資金源泉を形づくっていること,所有と 支配が分離した現代企業にあっては出資者は企業による配当の支払によって のみ自己の利益を実現するにすぎず,留保利益の存在それ自体はかれの利益 と結びつかないことを考えるならば,留保利益の位置づけについてのかかる 伝統的な見方には難点がみられないこともない

D

乙の志味では,細井教授がそ の経営成果概念において示しておられるように,留保利益を出資者成果と切 ( 4 )   り離して経営体成果として位置づ、けることがより適切であるともいえよう。

とはいうものの,留保利益が配当の成長と密接に関係していることもまた,

企業の配当政策ないし留保政策の現実のうちに把握しうるのであり,こ乙

から本稿では,伝統的見解に従って留保利益をひとまず出資者に帰属せしめ

たのである

D

しかしながら,留保利益における現代的・特殊的性格が念頭に

(7)

現代企業と経営成果原則 63 

置かれるべきことはいうまでもない。

(1)企業目的についてのこ乙での主張については,詳しくは拙稿, r現代企業と

存続目標J,経営と経済, 51

l号を参照のこと。なお,目的ないし目標の 性格については,高田教授が詳しい検討を行なっておられる。(高困惑,

「径営成果の原理J,昭和44年)。

(2)  高田蓉,前掲書。

( 3 )  

Max Rudolf Lehmann, Leistungsmessung durch Wertschopfungs‑

rechnung, 1954 (山上達人訳,

I

生産性測定と創造価値計算J,昭和36年).

細井卓, r

配当政策(増補版)

,昭和36

(4)  細井教授は経営成果の構成内容を,社会成果,資本成果,経営者成果,労働 者成果,および経営体成果として把握しておられる(納井卓,前掲:rJ)。

三 終 営 成 果 原 則 と 適 正 概 念

(  i 

)三種の問題

経営成果原則では、適切な方法による適切な額の経営成果の獲得と,この 径営成果の適切な配分とが課題となるo このことは ④適切な方法,@適切 な成果額, 6適切な配分という,適切性ないし適正の概念を伴う三程の問題 の解決の必要性を志味するo③の問題は,経営成果の配分に直接

l

乙係わりあ わない諸クVレープと企業との関係、に関述するのであり,かかるグループとし ては消究者,販売先,仕入先,地域社会などを挙げうるo⑥およびのの問題 は,政府,資本提供者,労働者,経営者などの経営成果帰属グループと企業 との関係に関連するD ここでは, (ロ)およびのの問題を論ずる乙とにしたい。

(ii)適正決定と二つの接近

さて,経営成果原則に従って経営決定を下す際の大きな問題には,企業が 獲得すべき成果の適正額の決定,およびかかる成果の適正な配分の決定が合 まれるが,ここにいう適正ないし適切性ということは,多目的的な現代企業 を貫く本質的な法則との合致性を怠味するのであり,いわゆる倫理的ないし 規範的な芯味での適正を芯味しないD 経営成果の獲得および配分の結果が企 業の本質的目的の実現に寄与しうるときのみ,そのような獲得と配分は適正

(8)

64 

経 営 と 経 済

であるといいうるのである。

それでは,どのようにして経営成果の獲得および配分に際してそのような 適正さを実現しうるであろうか。二つの角度からこの問題に接近することに

しよう。

(a) 

倫理的ないし規範的アプローチ

経営成果の適正額とこの経営成果の適正配分との決定のための一つの接近 は,倫理学的ないし規結論的な角度からの考察である口かかる哲学的観点か らの接近は,むろん,理論的・科学的な接近ではない。哲学的観点からする 決定は,経営法則にかなう理論的・科学的な決定をそのまま芯味はしないか らである

D

それにもかかわらず,このような倫理的接近がかなりの有用性を もつことは否めないであろう口

(1) 

倫理学者フランケナによると,道徳的もしくは倫理的判断には,道徳的義務 の判断,道徳的価値の判断,および道徳外の価値の判断の三程を識別しうる

O

この場合,道徳的義務の判断とは行為の正邪や義務性 l こ関辿し,道徳的価 値の判断は行為者の動機や性格特性を扱い,道徳外の価値の判断は行為や 勤扱など以外のものの評価に関述する。道徳的義務の判断をめぐっては,こ れまでさまざまな理論が提示されてきており,これらの理論は義務論的理論

(deontological theories)

と目的論的理論

(teleological theories)

とに大別 しうる。後者はなにが道徳的に正しいか,間違っているか,義務づけられて いるか等々の判定のための基本的,究根的な規準または規範を,産出される 道徳外の価値の大きさに求めるものであり,それはまた,促進せんと努める べき善がだれのためのものかによって倫理的利己主義と,倫理的普通

j

主義あ るいは功利主義とに分けうる。他方,義務論的な諸理論は,目的論の理論と 異り,正,義務,道徳的な普‑が道徳と関係なく普であるものの関数に過ぎな い乙とを否定する

O

なお,義務論的理論も目的論的理論もいずれも,それら が一般的な規則に与える役割に応じて,行動主義的な理論と規則主義的なそ れとに大別しうるのであり,この場合,前者とは,基本的な義務判断は純粋 に個別的な判断であり,普遍的判断は利用しえぬとみるものである

o

義務の理論についてフランケナは,行動主義的な理論を否定するととも

(9)

現代企業と経首成果原則

65 

l

乙,慈愛の原則

(theprinciple of benevolence)

と公正の原則

(theprin ciple  of  justice)

とからなる,混合義務論の理論

(mixed deontological  theory)

がとられるべきことを主張するロすなわち,かれは,功利主義の理 論がいうような,悪 l とまさる一般的菩の畳を最大にする義務があるというと とは,量的表現によって善悪について語ることに意味があるとすれば,否定 は困難であること,ならびにかかる善行もしくは功利の原則がより基本的な 原則,われわれは善を行うべきであり,告を与えることを阻止し,避けるべ きであるという慈愛の原則を前提としており,そこから帰結することを指摘 する。さらにかれは,正,邪,義務の規則のすべてを慈愛の原則から直接も しくは間接に導出はしえないのであり,苔の産出と思の阻止のみを告げ善悪 の配分の仕方を告げぬ慈愛の原則と並んで,菩の配分を扱う公正の原則が不 可欠であるとみるとともに,かかる公正の原則については,これまで配分的 公正の基準として主張されてきたところの功罪もしくは長短

(desertor  merits)

の基準,平等の基準,必要・能力の基準のうちで平等の基準(公正

とは菩惑を人間聞に平等に配分するという芯味においてかれらを平等にとり 扱うことであるとする立場。但し,平等にとり扱うということは同一にとり 扱うことを怠味しない。)がとられるべきであるとみる

O

そして,義務の理 論について,慈愛の原則と公正もしくは平等の原則なるこつの基本的な義務 の原則が存在しており,前者からはさほど基本的でない多様な義務の原 則,すなわち,功利の原則,他人に害を与えぬという原則,他人の自由に干 渉せぬという原則,その他が,そして後者からは悶酌の平等と法の前におけ る平等という原則が結果すること,その他の原則,例えば約束を守るという 原則は,多分両者から結果することを結論するのである

o

倫理的義務の判断の基準をめぐっての上述のフランケナの所説は倫理的行

為一般を対象とするものであり,経営成果原則における適正基咋の問題とは

直接の関係を有しない。しかしながら,かれの所説が経営成果原則に対して

幾ばくかの適用可能性を有していることは明白であり,フランケナに従う乙

とき,経営成果の獲得に関しては,慈愛の原良Ijなる基本原則に基礎づけられ

た功利の原則が,そして経営成果の配分をめぐっては公正の原則が適用しう

(10)

66 

経 営 と 経 済

こるとになろう

D

そして,このことは,経営成果原則における泊正成果額お よび成果の適正配分とが,倫理的側同に関する限りそれぞれ,なるべく多く の成果額を,および平等の精神の下での各帰属主体への成果配分を指すこと を意味するのである。

フランケナの所説は,それが経営成果原則をめぐる適正概念の把握への倫 理的接近に際しでかなりに抽象的な原則を提示するにとどまるという点に限 界を有している

O

乙の:な味では,基本的にはフランケナと同ーの倫理学的立

(2) 

場に立ちつつも経済的行為の問題を直接にとりあげているレッシャーの所説 が,より参考になると思われる

O

レッシャーは「公正分配」なるその若において,経済的分配をめぐる有力 な伝統的見解たる功利主義の批判的検討を行なっている

o

かれは功利主義を 支える原則が最大多数者への長大の功用ないし苔であると解する口そして,

この原則は一方において効用の最大化を,他方において効用の配分による受 益者数の最大化を指向するといういわば二元的原則であるとともに,効用の 最大化の概念および受益者数の最大化の概念が必ずしも明確でないことを指 摘する

O

結局,かれは功利主義の原則を,効用の総量の最大化と,効用配分 への参加者数および、配分総量を一定とした場合の,配分受領額増大者数の最 大化とからなると解する

O

レッシャーによるとこのような功利主義原則は,二つの点で修正されねば ならない。第ーに,現実に無意味であるほど小量であるような効用配分量の 受領者の数を最小化することが,つまり,破滅回避の原則の詩人が不可避で ある。第二に,功利の原則はなかんずし配分にあずかる各人の正当な要求 の問題を考慮しないか,せいぜい要求が等しいものとみており,乙こから要 求への配分が,つまり功利原則とは異なる他の原則 , ðj~ い芯味の公正の原則j

の導入が必要である

D

そしてレッシャーにあっては,正当な要求の基単とし ては平等の基準,必要の基準,能力および,もしくは業績の基準,努力の基 準,生産性の基準,社会的効用ないし功利の基準,需要と供給の基準とがあ

り,いずれもが作用しうるとされるのである。

以上の如きレッシャーの所説は,分配問題についての検討という形はとっ

(11)

現代企業と経営成果原則

67 

てはいるものの,その実質は,経済的行為に際してとらるべき原則とてし の,効用ないし善の総量の増大の原則とかかる効用の配分の公正の原則との 良開である

O

かれは,功利主義のうちのいわば修正的功利主義(前述のフラ ンケナに従えば,純粋な功利主義は普の産出にのみ関連する〉を検討の対象 とするといいうるのであり,分配問題の名の下に経済財の獲得のプロセスと この財の配分のプロセスとの両者を論じているといえよう。要するにレッシ ャーもまた,フランケナ同線,慈愛もしくはそれから派生する功利の原則 と,公正の原則とを主張していると解しうるのであり,抽象的な状況で乙れ らの原則の適用を論ずるフランケと異ってレッシャーは,そのような原則を 経済的行為に関連させて展開していると理解しうるのである

o

フランケナおよびレッシャーの所説を眺めるとき,経営成果原理における 適正概念がある程度明らかになるといえよう。倫理学的な角度からは,経営 成果の適正額は慈愛の原則によって,また経済成果の適正配分は公正の原則 によって決定されることになるとともに,公正の原則については多殺な基準 が序在することが判明するのである

q

むろん,これで問題が片づ、いたわけで はない。経営成果の原則(こ慈変ないし功利の原則と公正の原則を適用する場 合にこれら両原則がより具体的になにを芯味するかが,さらに問われねばな

らないといえよう

O

(b) 

実践的アプローチ

経営成果原則における適正概念に対する倫理的角度からのアプローチは重 要ではある

o

しかしながら,かかるアプローチの結果として明確にして具体 的な適正概念がもたらされたとしても,この概念はそれが倫理的角度からの 巧奈の結果である以上,科学的・理論的な意味での十全な適正概念であると は必ずしもいいえない。適正経営成果額および適正分配基準への到達のため には,他の角)支からの接近も必要である

o

かかる接近はそれが純粋に倫理的な角度からの接近と区別されるという志

l

宋で非規箱的ないし経験的アプローチと呼ぶことができると思われるが,こ

こでは,そのような非規範的アプローチのうちで,経営成果の辺正額ないし

原准および、かかる経営成果の配分の適正基準ないし標準を決定するための宍

(12)

68 

経 営 と 淫 済 践的方法について述べることにしたい。

この実践的方法とは,経営計画と関連するものである

o

経営成果は社会成 果,資本成果,労働者成果,および経営者成果から結成され,これら四程の 諸成果の合計が経営成果額となる。企業の利益計画における目椋利益の大き さは短期的には,一方での資金計画からの必要留保額と他方での必要配当額 とから決定されるが,経営成果に関する経営計四についても同椋の思考を行 なうことができょう

O

すなわち,経営成果の辺正額は社会成果,資本成果,

労働者成果,および社会成果についてそれぞれその獲得必要額を明らかにす ることによって決定しうると考えられる

O

そして,このような形による適正 経営成果額の決定は,社会成果などの各程成果のいわば適正額が明らかにさ れている以上,そのまま経営成果の分配の基準の決定でもある

o

かくて,こ のようにして得られる適正経営成果額および経営成果配分標準は,経営成果 獲得と配分についての各種経営計画パターンないし諸代替案の間での選択に 際して,また,経営成果獲得と配分の活動の実施後の結果についての評価l 乙

(3) 

際して基準ないし標準として機能しうるのである

o

現実からの要請もしくは過去の経験のうちに適正の具体的内容を求めるこ の経営計画的アプローチは,それが長期的視野をもっ経営者によって利用さ れるならば,かなりに科学的にして適切なものたりうるであろう

o

なお,社 会成果をはじめとする四種の部分成果の必要額の実際の決定にあたっては,

社会成果が一方において企業外的要因によって,他方においては資本成果と の関連において決定されること,および経営者成果は他の成果に比して相対 的に小額であることに基づいて,資本成果および労働者成果の必要額が問題 となる。次節では,資本成果の必要額の決定について眺めたい。

(1) Wi1liam K. Frankena

, 

Ethics

, 

1963 

(杖下隆英訳, I 倫理学

J

,昭和

45

年。なお,本節におけるフランケナの所説については,拙稿,

r

経営倫理に ついての基礎的考案

J

,経営と経済,

122

号を参照のとと。

(2)  Nicholas Rescher, Distributive Justice:  a Constructive  Critique  of the Utilitarian Theory of Distribution

, 

1966. 

レッシャーの所説

に関しては,拙稿, I 現代企業における経営成果分配基平について

J

.経抗

(13)

現代企業と経営成果原則 69 

科学, 17

1号を参照のこと。

(3) 

河田教授もこのような経営計画的接近の~~義を強調しておられる(高田容,

前掲書,第8章)

│ 出 資本成果適正額とその実践的決定

経営成果の適正額およびかかる経営成果の適正配分基準に到達するための 実践的ないし経営計四的方法にあっては,資本成果の獲得必要額の決定が重 要となる

o

この決定は以下のようにして行ないうるであろう

o

資本成果は出資者成果と債権者成果とからなるが,まず出資者成果の獲得 必要額の決定はつぎの如くである

D

すなわち,出資者成果は配当と留保とか らなっており,それぞれについてその獲得必要額が決定されれば出資者成果 の獲得必要額は定まることになる

o

留保利益の獲得必要額は,それが企栄の 資金計画ないし見積資金運用表との関連において長期的資金の内部源泉の一 つを構成することによって算定されうるのである。

この点について簡単に説明するならば,はじめに,企業の利益はその処分 によって支払配当,役員賞与,法人税,および留保に分割される口この点 ば,具体的にはつぎの如くである

O

当期利益=法人税+役員賞与+配当

+積立金+次期繰越未処分利益剰余金一前期繰越未処分利益剰余金 留 保

そして,その期の配当,役員穴与,および、法人税を文払後の見積貸借対照 表に基づいて作成される見積資金運用表をつぎのように作成するとき,上記 の留保が企業の長期資金源泉のーっとして示される凸

ここから留保利益の必要額は,減価償却設をはじめとする他の長期資金源 泉との関連において定まることになる口この場合,企業資金の必要総額はと りわけ回定資産取得の必要額によって文配されるとともに,かかる必要額は 企業の必要成長率確保のための設備投資必要額から導出されるのである

o

出資者成果のうち留保利益はその大きさが以上のようにして決定されてく

ることになるゥ旧当の必要額は,従来の持分資本に対してこれまで支払われ

(14)

70 

見 積 資 金 運 用 表

(資金の源泉)

留保利益...・

H

・ . . . ・

H

・ . . . . ・

H

・ . . . ・

H

・ . . . ・

H

xxx 

現金支出を伴わぬ費用..,・

H

・ . . . . . ・

H

xxx

減価償却費………

xxx

貸付金回収...・

H

・ . , . ・

H

・ . . . . . ・

H

・ . . . . . ・

H

xxx

株式発行…....・

H

・ . . . . ・

H

・ . . . ・

H

・ . . . ・

H

xxx

xxxx 

I  (m~の使途)

固定資産取得...・

H

・ . . . ・

H

・ ‑ … . . . . ・

H

・ ‑ …

xxx 

長期借入金返済...・

H

・ . . . ・

H

・ . . . . . ・

H

・ ‑ …

xxx 

運転資本の増加………・

H

H

xxx

経 営 と 経 済

てきた配当額と新株に対する 必要配当額との合計として定 められる口すなわちそれは,

一つには企業の現在の株主の 官を維持するための必要配当 額に基づいて,および他方で

│は株式新発行による新しい資 本のコストに基づいて決定さ れるのである

o

かくて,出資 者成果の獲得必要額が算定さ

~1.,ることになる O

つぎに債権者成果の大きさ についてであるが, {員二権者資 本のうち短期的なそれは一般

X~_X_~ I!

乙約定利子の支払いを生じな いから,ここでは長期的な債 権者資本に対する必要報酬額が問題となるロすなわち,現在の長期他人資本 に対する約定利子額と新規他人資本に対する必要報酬額ないしコストとの合 計として他人資本成果は定められるのである

O

以上のようにして導出される出資者成果と債権者成果を合計することによ

って,企業が獲得すべき資本成果の必要額ないし適正額が算定される。かく

て前節で論じたところの,経営成果原則における実践的ないし経験的アプロ

ーチの内容もまた,より明らかとなったと思われる。ところで,資本成果の

必要額の問題,とりわけ新資本に対する必要報酬額の問題を十分に理解する

ためには,資本コストに対する理解が不可欠であり,次節では資本コストの

概念を中心に簡単に検討を行なうことにする。

(15)

現代企業と経営成果原則 71  五 資 本 成 果 と 資 本 コ ス ト

(  i  )資本コストの概要

近年における財務研究は,資本コストの研究を中心に進められてきている といっても過言ではない。かかる資本コストは,実践的アプローチに基づく 経営成果適正額および経営成果分配基準の確定に際して,資本成果の側面で 係わりあいをもってくる。本節では,かかる資本コストについてその基本的 な概念,および、経営成果問題への関連の程度について簡単に眺める。なお,

資本コスト自体の詳細な検討はここでの課題ではないのであり,まず,ウェ

(1) 

ストンらに従って資本コストの概要をみていこう。

(a)

資本構成要素のコスト

資本コストは資本予算および企業評価と密接に結びっく

o

企業が利用する 資本を債務資本,優先株,および自己資本に大別するならば,資本のこれら 構成要素のコストはそれぞれつぎのようになる。

まず,債務資本のコストは i 普通株主に利用可能な利益を変えないでお

(2) 

くために,債務でまかなわれた投資が稼得しなければならない利益率」とし て定義される

D

かくして,債務コストは債務の利子率であることが判明す る。この場合に注意すべき第一は,債務コストは新しい{立務に適用されうる ものであり,古い債務に対する利子ではないという乙とである

D

資本コスト の本来の関心事は,新投資を行なうために資本を調達せんという決定におい てそれを利用することである

O

注芯すべき第二は,利子支払いが税務上担金 に算入されるという乙とであり,税金の調整を行なうとき債務資本コストは つぎのように切下げられる。

税引後コスト= (税引前コスト)

( 1

.0

ー税率)

俊先株は,債務と普通株の中間に位置する株式であり,そのコストの定義 は債務コストのそれに類似する。それは,

i

普通株主に利用可能な利益を変 えないでおくために,俊先株によって資金調達された投資が限{与しなければ

(3) 

ならない利益率」である

D

ω

必要利益率は,ト足先配当

(Dp)

を,低先制ミの

祈規発行分の売出しから企業がねることのできる正味価格

(Pn)

によって除

(16)

7 2   経 営 と 経 済

したものである

D

悦先株コストニ ‑ 3 :

自己資本のコストは

r

現在の普通株持分の価値を変えないでおくため に,自己資本で調達された投資から稼得されなければならない最小の利益

(4) 

率」として定義される。自己資本のコストは,減価償却および留保利益を源 泉とする内部資本のコストと新株の発行による新しい外部自己資本のコスト

とからなる

o

減価償却および留保利益を源泉とする資本についていえば,かかる資本は コストを生ずる。企業がその純益の一部を配当に支払わないで留保するとき にはいつでも,株主にとって「機会コスト」が生ずるのであり,また減価償 却についても,もし企業がそうすることを望むなら,企業は減価償却を源泉 とする資金をその株主に分配し, しかるのちかれらは手取り額を類似の会社 の株式に再投資することができることになる

o

かくて,配当に対する所得税 および配当収入の再投資の際の手数料の問題についてのある麗の仮定のもと では,減価償却および留保利益のコストはつぎの如くになる

D

kd=kr(1 ‑T) 

ただし

k =

株主の税引前必要利益率

kd

減価償却を源泉とする資金の コスト

kr

留保利益を財源とする資金のコスト,および

T =

資本利得に 対して支払われる税率とする。

新株の発行によって得られる新しい外部資本については,そのコストは前 の二種の資本のコストよりも高くなる。

ko =̲ 

l‑F

ただし

ks rr

株発行による資本のコスト

F

新株の発行費用の%で ある

O

なお,株主の;&'l引前必要利益率 kは,配当の期待成長率がゼロであるなら ば,つぎのようにして算定される

D

k z f  

(17)

現代企業と経営成果原則

73 

ただし,

Do=

現在の予想配当,

Po=

株価である

o

もし配当が一定の率

g

で成長することが期待されるなら,

k

は,つぎのよ うになる

D

k =

長 十

g

(b) 

加重平均資本コスト

ウエストンらは,資本コストは企業が使用する部々のタイプの資金,すな わち債務,優先株,および自己資本の加重平均として計算されねばならない と主張する

D

かれらはいう

O

限界概念は,資本コストとの関辺でしばしば誤 って用いられる

O

ある企業の(責務コストが自己資本コストよりかなりに低 く,また投資プロジェクトが債務資本のみでまかなわれるとするとき,しば しば,このプロジェクトのコストは債務コストであると論ぜられる

o

しかし ながら,この見解は基本的誤謬を含んでいる

D

特定のプロジェクトを債務資 金でまかなうことは,同時に,析しい低コストの伯‑務を得る能力の一部を企 業が使用してしまうことを意味する口今後さらに拡張が行なわれるにつれ て,ある時点で企業は追加的自己資本の調達に頼ることが必要であり,さも なくば負債比率があまりにも大きくなるからである

D

かくて,総合的あるい は平均的資本コストば,経営者によって最適と定義された資本構成比にもと づくウェイトを用いて,各資木和;成要素のコストの加重平均を計算すること によって求められる

o

この平均資本コストが,資本予算において用いられる べき数値であると

q

この総合的加司;平均資本コストの算定を例示的に示すならば,以下の女fIく である

o

すなわち,いま,企業の最適資木構成を3

096

の伝‑務,

96

の 俊 先 株 ,

6596

の普通株ないし自己資本であるとし,はじめの二つのコストをそれ ぞれ,

296

, 

596

とする。また,自己資本は間保利益から

350

万ドノレ,来

rr

株 から

300

方ドノレ, 減価償却から

500

万ドノレを供給し,自己資本格成要素のコ ストはそれぞれ

6.896

9.496

, 

6.8

タムとする。総合的加霊平均資本コス

トは,つぎのようにして算定される。

まず,加m:平均自己資本コストが求められる。

(18)

74  経 営 と 経 済

金 額

百分率×枯成要素コスト=

f 1 f  

( 1

00

万)

3.0  26.1

タ d

0.094  0.025  留保利益 3.5  30.4

タ d

0.068  0.021  減価償却 5.0  43.5

タ d

0.068  0.030 

11.5  100.0  0.076 

自己資本コストは7.696となり,かくて,総合コストは以下のように5.896 となるO

百分率ウェイトX柿 成 要 素 コ ス ト = 30

6 0.020  0.006  優 先 株 0.050  0.003  自己資本 65  0.076  0.049  100.096  0.058 

Cii)資本成果の決定と資本コスト論

資本コストの具体的内容は,ウエストンらに従うとき,概ね上のように理 解しうる口むろん,資本コストの理解をめぐっては他の見解も存在してお り,またウエストンらの立場に従うとしても,その場合にさまざまな問題点 が存在することもいうまでもない口資本コストの問題は,今日の財務研究に おける未だ未決の問題であるO しかしながら,ウエストンらの見解が資本コ ストに関する代表的見解の一つでる以上,これまで眺めてきたところによっ て資本コストの概略は明らかになったと思われるO

さて,このような資本コストは資本成果の決定に際してどの程度,適切な 役割をもちうるであろうか。最後に,この点についてみていこうo

これまでのウエストンらの資本コスト概念から,資本ないし資本コスト論 がもっ幾つかの特質が知られうる。これらの特質はつぎの如くであるD 第一 に,それは資本予算および企業評価に係わりあうのであり,とりわけ資本予 算の問題ないし投資決定の問題と係わりあう口その本来の役割は,設的投資 に関する諸代替案の問での選択の基ifrとして作用することであるともいいう

(19)

現代企業と経営成果原則

75 

o

第二に,資本コストはなるほど企業の投下資本が獲得すべき報酬を扱いは するが,それは企業の新規の投下資本ないし投下資金に関連するのであっ て,企業が出資者および債権者からその提供を受けているところの総資本に 対する報酬を扱うものではない

O

第三に,資本コスト論ではあくまで現在の株主の利益の観点から,新資本 への必要報酬の決定が試みられるということである

o

すなわち,現存する普 通株主の宮を最大化する,ないしは少くとも維持することが,念頭に白かれ

るのである

o

第四に,現在の普通株主に帰属しかれの富を形成しているところの報酬の 水準は,適正であるとされているのであり,かかる報酬はこれまでも正当に 現在株主に帰属し,将来も帰属すべきであるとされる

D

資本コストが有するこれらの特質は,それが資本報酬を扱うものの資本成 果の問題とは必ずしも全面的関連はもたない乙とを示しているといえよう

O

資本コストは,企業の資本ないし資金の調達と起用,とりわけ起用に関述 し,それは企業における管理的レベノレの決定たる財務的決定に係わりあう。

他方,資本成果の決定の問題は,管理的レベソレよりも上位に位百する経営的 レベルにおける決定に関連するのである

D

しかしながら,それが,株式新発 行および新規借入によって企業に導入される追加的資本への必要報酬率をと り扱い,ここから経営成果原則における適正概念の確定に対する実践的アプ ローチと密接に係わりあう以上,資本コストが経営成果問題に対してもつな 義は無視しえないであろう

o

(1)J.  Fred Weston and Eugene F.  Brigham, Managerial  Finance,  second edition

, 

1966

, 

p.275f

f .   (諸井勝之助沢、 「経営財務

1J

、昭和

43 p.316以下)

(2)  J.  F.  WestonandE.  F.  Brigham, op.  cit., p.282 

(前招沢在、

p.324)  . 

③ 

J.F.  Weston elnd  E.F.  Brigham

, 

op.  cit.

, 

p.283 

(前拘訳

3

(20)

76 

経 営 と 経 済

p.326)  . 

(4)  J.F.  Weston  and  E.F.  Brigham

, 

op.  cit.

, 

p.284 (前向沢一丹、

p.327)  . 

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