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ご工第
3
章ーー
現代近江の企業家と企業家精神
1
本 章 の 目 的
環境激変期の企業の消長はーに企業家にかかってくる。企業経営への圧力が 高まると同時にビジネス・チャンスも増え,リスクを冒して自ら事業を起こし たり,新事業を展開していく,つまりイノベーションを遂行する本来の企業家 職能の活用次第で企業の盛衰がよりはっきりと,かつよりスピーディに色分け されてくるからである。現今の中小企業の興亡起伏・新旧交替の急進展はその 証左となるものであろう。 近江(滋賀県)の企業家(社長)の企業家精神やその発露としての経営戦略や 経営行動を探る場合,その深いところで基本的な影響を及ぼしていると思われ る企業家その人の育ち方から性格や意識や能力や行動にまで掘り下げて幅広く 分析のメスを入れないかぎり解明はむずかしいであろっ。そこで,この章では, 現代近江の企業家が一体どんな人達なのかについて,主としてアンケート調査 (138社回答)に基づきそのフロフィール,企業家の事業成否に対する影響力,三 武将へのたとえ,性格,意識,能力,行動などさまざまな側面を解明し,企業 家精神の実態を明らかにしてみようとした。 調査結果の分析に当たっては,第2章と同様,それぞ、れの質問項目ごとにま ず回答企業全体の内訳を提示してその特徴点を明らかにした。ついで成長別(過 去5
年間ぐらいの平均年間売上高成長率が5%
未満とした32
企業を低成長,5
-
10%
未満とした6
4
企業を中成長,10%
以上とした3
9
企業を高成長と3
区分)にクロス分析したものを観察して目立った特徴なり傾向なりを特記した。その際,低成長, 中成長,高成長それぞれのサンプル数が60-99なら全体と比べて 7 %以上の差 異を示したもの, 40-59なら 10%以上, 30-39なら 13%以上, 20-29なら 15% 以上の差異を示したものを記している。この条件にわずかに満たない場合には, 「やや」という言葉を添えて拾い出したものもある。このようにして成長性によ る差異と特徴点が明らかにされていくことになろう。すなわち低成長企業,中 成長企業,高成長企業の企業家の特質が浮き彫りにされ, とりわけ厳しい環境 下でも企業が高成長を達成しうる企業家のあり方が解明されていくのである。 そしてここに浮き彫りにされた企業家の特徴はもとより回答中小企業のもので あり,回答企業の特徴からみて中小企業でもやや規模の大きい意欲あふれる企 業家の特徴であることはあらかじめお断りしておきたい。
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近江企業家のプロフィーノレ
(1) 近江企業家の年齢 回答企業の企業家(社長)の年齢別構成は図3
-
1
のとおりである。60代 が最 も多く32.8%,50代が29.2%,40代 が25.5%となって,この 3代 で 9割近くを 占めている。 70代以上も10.2%を占めるが, 30代以下は2.2%にすぎない。回答 企業全体の企業家の平均現在年齢は57.0歳でやや高齢化がすすんでいる。企業 家就任時年齢の平均は42.1歳,現企業での平均勤続年数は 24.7年, うち14.9年 は社長の職にある。 図3-1 企業家の年齢別構成 10 20 30 40 50 60 70 80 40イ℃ 50イ七 60代 25.5% 29.2% 32.8% (35) (40) (45) 30代以下2.2%(3) 成長別にみると,低成長で50代 が15.6%と少ない。そして 50代は高成長ほど第3章 現代近江の企業家と企業家精神 27 高まる傾向がある (低成長15.6%→中成長30.2%→高成長38.5%。以下この順序で数 字のみ記載)。つまり経験を積んだまだまだバイタ リティーあふれる50代の企業 家は企業を成長させる原動力となっているとみてよいであろう。 (2) 近江企業家の経歴 近 江 企業家の経歴をみるために現企業家と創業者との関係を調べたのが図3 -2である。創業者本人が39.5%と最も多く, ついで創業者の子供か:"28.2%,孫 が12.1%でこの三者で8割を占めている。 つまり近江企業においても創業者企 業 が ほ ぼ
4
割, 子供にバトンタッチされた企業がほぼ3割, さらに孫の代に至 った企業がほほ、1
筈JIて
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中小企業の特徴である世襲企業が大きなウエイトを占 めているのである。 そして,従業員・幹部, 友人・知人など創業者と血縁関係 にないものにノ〈トンタッチされた企業は11.3%となっている。 成長別にみると, 同じ図3-2に示されているように,創業者本人とするもの は中成長でやや少なく (30.4%),。
全jf: illlJX::E毛 成 長~"1"成長 llrj 市成長 10 図3同 2 20 創業者本人 39.5% (49) 35.5% (11) 30 30.4% (17) 60.0% (21) 高 成 長 で60.0%と多い。子供とするものは高 創業者との関係 兄弟姉妹 0.8%(1) 40 50 60 70 80 養子・娘idf' 2.4%(3) 90 100%成長ほど低下する傾向がある (35.5%→28.6%→22.9%)。創業者本人の場合,こ れまでに淘汰きれなかったわけであるからその意味で経営能力があり, しかも 事業欲も強いであろうから成長志向に走るが,子・孫の代に至るとすでに規模 が大きくなっている上に,守りを意識した経営理念に立つことが低成長ぶりに なってあらわれるのであろう。 (3) 近江企業家の得意分野 近江企業家の最も得意な分野は図 3-3のとおりである。営業系(販売,購 買,外注等)が43.8%,技術系(技術・研究開発,製造等)が32.8%,事務系 (総 務,人事・労務,経理等)が20.4%となっている。回答企業に却売業, 小売業を 含んでいることが営業系を得意分野とする企業が多かった理由であろう。 図3-3 最も得意な分野 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100% そ 営 業 系 技 術 系 事務系 43.8% 32.8% 20.4% 2 (60) (45) (28) 9 % 4)
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近江企業家の事業の成功・失敗に対する影響力
近江企業家が事業の成功 ・失敗に対する自らの影響力をどのようにみている のかをみたのが図3-4である。短期的視点と長期的視点に分けて調べてみる と,短期的には,ほとんどすべてとするものが34.3%, 7-8割とするものが 29.9%,半分くらいとするものが24.6%, 2-3割とするものが10.4%となっ ている。長期的には,ほとんどすべてとするものが37.3%, 7 - 8割 が35.8%, 半分くらいが17.9%, 2-3割が6.7%となっている。短期にしろ長期にしろ事 業の成功・失敗に対する企業家の影響力は 7-8割以上とするものが過半を占第3章 現代近江の企業家と企業家精神 29 図3-4 事業の成功・失敗に対する企業家の影響力 ほとんどなし 2-3害JI ほとんどすべて 7-8割 半分くらい
品
的
34.3% 29.9% 24.6% に は (46) (40) (33)判官
F 1 3 1 4 i F │ │ │ │ o 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100% め,回答企業の従業員数が平均して82.1人とかなり大きめの企業が多いにもか かわらず,自らの影響力の大きさを十分に認識していることが明白である。 しかも,短期より長期にみたときのほうが企業家の影響力がより高いとみら れる項目のほうへウエイトがシフトしており,企業家の影響力がそれだけ強〈 作用するとみられていることが明らかである。これは近江企業家は自らの洞察 力や先見の明を武器に,それこそ長期的な視点から企業の戦略や経営行動の基 本的な方向を左右する重要な立場にあることを真剣に認識しているからこその 結果であろう。 成長別にみると,低成長でほとんどすべてとするものが短期的には46.9%と やや多く,長期的にも53.1%と多い。中成長で短期的には半分くらいが32.8% と多い。短期,長期ともに低成長ではほとんどすべてが,中成長では半分くら いが,高成長では 7-8割とするものが相対的に目立っている。長期的にはほ とんどすべてとするものは高成長ほど低下する傾向がある (53.1%→37.7%→26.3 %)。 こうなる理由は詳しく調査しなければ判然とはしないが,企業が低成長にあ る場合,企業家はその原因をほとんどすべて自らの責任とシビアに認識し,高 成長ではその原因を自らに帰するのを 7-8割ぐらいと遠慮、して,あるいは余 裕をもって認識しているからと推察される。中成長で半分くらいとするものが 相対的に多いのは自らの影響力以外の要因がその中途半端な成長度に反映しているとより強〈感じているからであろう。
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近江企業家と三武将
近江企業家の性格,理想,理想、の後継企業家像を信長,秀吉,家康の三武将 にたとえてみた場合,図3-5のとおりである。三武将のうち企業家自らの性格 に近いと考えられているのは,家康で40.9%,秀吉が32.3%,信長が26.8%と なっている。理想とされるのは,家康が56.6%,秀吉が27.9%,信長が15.5% となっている。理想の後継企業家像としては家康が63.1%,秀吉が23.1%,信 長が13.8%となっている。自らの性格,理想、,理想、の後継企業家像と移るにつ れて家康のウエイトが高まり,秀吉と信長のウエイトが低下する傾向が見て取 れる。家康こそは秀吉,信長をはるかにおさえて現代近江の企業家の鑑と認識 されていることが如実に現れている。 成長別にみると,同じ図3-5に示されるように, 三武将のうち企業家自らの 性格に近いのは,低成長で家康が26.7%と少ないし,中成長で信長が 15.3%と 少 な し 家 康 が50.8%とやや多い。高成長では信長が40.0%と多い。そして秀 吉とするものが高成長ほど低下する傾向がある (40.0%→33.9%→22.9%)。つま り信長型は高成長が多いが,そうでなければ低成長の可能性も高い。秀吉型は 低成長ほど目立ち,家康型は中成長に目立つのである。そして近江企業では第2
章でもみたように,堅実かつ安定的な発展をしている企業,すなわち中成長 企業が多いこともあって,この家康型が主流になっているところに特徴が見受 けられるようである。 理想、とされる三武将としては成長別にみて目立ったものはないが,家康とす るものが高成長ほど高まる傾向がある (46.7%→57.6%→62.2%)。 理想、の後継企業家像としては低成長で秀吉が40.0%と多く,家康が43.3%と 少ない。そして家康とするものが高成長ほど高まる傾向がある (43.3%→66.7% →70.3%)。現に低成長企業では秀吉の創意工夫を後継企業家に期待し,高成長 企業では家康の手堅さこそが期待されるからであろう。第3章 現代近江の企業家と企業家精神 31 図3-5 三武将にたとえてみた場合
詰
.
A. 自らの性格に近い三武将 全 体 低 成長 中成長 高 成 長 B.理想とされる三武将 全 体 低 成 長 中成長 高 成 長 C 理想、の後継企業家像としての三武将 全 体 低 成長 中成長 高 成 長これらから家康型が理想、であり, しかも理想の後継企業家像とも考えられて いることが明白であろう。そしてそう考えるものの成長率は高い傾向があるの である。
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近江企業
家
の企業
家精
神とパーソナリティ
(1 ) 近江企業家の性格,意識,能力,行動 近江企業家の性格,考え方,行動について二者択一的質問ごとにどちらを選 ぶか,あるいはどちらとも決めかねるかを聞いたところ図3-6がえられてい る。 これをアンケー ト順に読み取っていくとつぎのようになろう。近江(滋賀県) の中小企業の企業家は,保守的40.3%というよりは革新的46.3%とするものの ほうが多い。合理主義者のほう32.8%というよりは義理人情にあついほう56.2 %とするものが上回っている。人並み外れた経営意欲をもっていると思う38.0 %よりは経営意欲は人並みぐらいと思う53.3%としている。どちらかというと ネクラ23.6%というよ りはネアカ61.8%としている。つまりここまでみても, 近江企業家はその総体としてみると,ネアカな革新者ではあるが, 義理人情に も あ っ し 経営意欲も人並みとするなど,特定の個性の方ばかりギラギラさせ るのでなく,どちらかといえば穏健かつ中庸なきわめて人間的な特徴が現れて いるようである。 自らは工夫・アイデアを出すことは少ない9.7%よりは自ら事業経営上の工夫・ アイデアを出すことが多い75.4%としている。決断に時間をかけるほう27.7% よりは決断が早いほう61.3%,統率力には自信がない19.0%よりは統率力には 自信がある62.0%,洞察力には自信がない9.6%よりは洞察力には自信がある68.9 %としている。経営管理者タイプのほう38.4%よりは企業家タイプのほう47.1 %と している。つまり近江企業家は自ら事業経営上の工夫 ・アイデアを出し, 決断が早<,統率力, 洞察力も備えた企業家の中の企業家なのである。 文書でのコミュニケーション能力は不得手41.9%よりは文書でのコミュニケ第3章 現 代 近 江 の 企 業 家 と 企 業 家 精 神 33 ーション能力は得意44.9%とするもののほうが多い。企業家にとってより大切 なのは専門的知識や経験33.1%よりは企業家にとってより大切なのはパーソナ リティ50.0%としている。つまり近江企業家は文書でのヨミュニケーション能 力を得意ともし,パーソナリティを企業家にとって専門的知識や経験以上に大 切としているのである。 当社は30年後にはなくなっていると思うは6.6%にすぎず78.1%は30年後も存 続としている。がっちり存続基絡を築きあげたとの企業家の自信がほのみえる ように思われる。当社は新製品 ・新技術開発に成功したことがないは18.9%で 成功したことがあるは62.9%と大きく上回っている。これからはマーケティン グにたけた経営者の時代35.6%とするものよりも技術・研究開発力にたけた経 営者の時代45.2%とするもののほうが多い。つまり新製品 ・新技術開発に成功 したことがあるという自負があってこその8割近くの企業が30年後も存続する とし, しかもこれからは技術 ・研究開発力にたけた経営者の時代とするのであ ろう。その上,ここには企業存続に対する社会的責任感の強さも読み取れるよ うに思われる。そしてまた営業系を得意分野とすることもあって,今後は技術・ 研究開発力にたけた経営者のu寺代を予感してもいるのであろう。 洞察力・決断力 ・統率力に秀でた経営者は劣った経営者より企業を成長させ ると思うが66.2%で必ずしもそっとは限らないと思うとするものは22.8%であ る。つまり企業家的能力に秀でた企業家は企業成長と関連すると多くの企業家 からみられているのである。 小企業でも合議体制がよい38.4%というよりは小企業ではワンマン体制がよ い46.4%としている。重要な仕事を自分でやるほう 13.8%よりは部下に重 要な 仕事を任せているほう71.0%としている。もっぱら事業経営に打ち込んでいる とするもの46.7%と社会 奉仕や趣味活動にも時間をきいているとするもの46.7 %とはちょうど同数となって真っ二つにわれている。つまり近江企業家は自ら の企業家的能力に自信があってワンマン体制を是認するものの,重要な仕事は 音1)下に任せもするし,社会奉仕や趣味活動にも事業経営同様,時間をきく余裕 をみせているのである。
企業家の性格,考え方,行動 図
3-6
% 100 保守的 合理主義者のほう 人 並み外れた経首古 、欲 を L っていると 巴う 自らは工夫・アイデアを m すことは1-' ない i'I分 でやるほヮ 文, I~ でのコミュニケーンヨン能力はィ、 得手 企業家にとってよリ大切なのは Wlnl( I ~J 知識や経験 7 ーケティングにたけた統計者向 IIH¥ 30'1 '1去に はなくなっていると J どう 必ず L~ そうとは限りないと思う 小企'1!で~ {'i' ~li 体制がよい どちらかと L 、うとネクラ d と l 折 l こ i 昨 1: :1 をかけるはヲ 経常符Jl I1 者タイプのはワ 統率力には自信がない t同然力には向イ日がなも、 成功したことカ f なし 、 90 46.3 % ( 62) I13脳
(刻
40.3 % (54) 56 . 2 %( 77) li酬
吋
32.8 %( 45) 53.3 % (73) 38.0 % (52) 61.8 % (76) 14 腕(1 8) 23.6 % (29) 75.4 % (1 0 1) lt14 防外 9.7 % 0 61.3 % (84) l川崎
27.7 % ( 38) 62.0 %(8 5)19
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19 腕 (26) 68.9% (93)1:21.5
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13 . 8% (1 9) 80 70 60 50 40 30 20 10 革新的 義理人情にあっいほう 経営君、欲は人並みぐらいと思う 自ら事業経営上の工夫・アイデアを a', す こ とカ'$い 持ゾ は一 引HH EI 自 tL ンの ヨ六。 ン切 一大 ケり ニよ ユて 、、、 つ コル﹄ のにイ で山富ホテ 令官 業リ 文立企ナ 当社は 30 年絞ら存 続 当社は新製品・新技術開発に成功した ニ とカずある これか らは技術 ・研究開発力にたけた 経営者向時代 洞察力 ー 決断力 統率力に秀でた経営 者は劣った経営者より企業を成長させ ると思う 小企業ではワンマン体制がよい 部下に屯喪主 fl:. )iを任せているほう どちらかというとネアカ 決断が早いほう 統率力には自信がある 洞察力には自信がある 企業家タイプのほうfl: 2 , HI や岨)'味治則 l にも 11 キ川をきいて L 、る b っぱり事業経世,に打ち込んでいる 人脈 ・ 情報網は少主いほう 46.7 % (64) 67.2 % (9 2 ) 76.9 % (1 03) 人脈 ・ 情報網は多いほう 企業家になってかり会社町業組は上が った 儲かる仕事には多少 1 11 1J凶があってち取 り制 l む 1 :1.う {:ll 凶があれば干を H'r さをいほう 45.6 % ( 62 ) 1<即 i に任せられるト γ プ肉体制がない 47.8 % ( 65 ) 長期に任せられるトソプ肉体制がある 作業 IIÆ. 制限が~い 52 . 2 % ( 71 ) 仕事中の服装は 1r 広 ワインヤ Y が~ 新聞 l ・ m 却をあまりー:まないほう 73.9 % (1 02 ) 新 I llJ . ;' r 物をよく読むほう 。 1 % (1 2 )1 技術水準は│目 l 業他社に比べ低いほう 76 . 5 % (1 0 1 ) 技術水準は同業他社に 比 べ Zf いほう 出齢者向 kli 川を進めたくない 55 . 6 % ( 75 ) 出荷台者の雇用を進めたい 両親のどちらも 1 1¥ 業経験なし 54.1 % (73) 阿部 L のどちらかに事業経験あり 同拙印刷削 1 0ft の頃の社会経済的附肘は 中 よリド あまり役立 っ ていない 64.4 % ( 87 ) 4 1. 4 % (53) 1 0ft の頃の社会経済的階府は 中 より上 ' 50 、頃の貧乏や犬病の体験は経営上役 立っている 企業家になる iiij に公的 ・ 組織的に企業 家教育をとくに受けていない 溺4内尚凶QUH問山柿川判凡HHm糠州議蕃 企業家になる JJrJ に公的 ・ 組織的に食業 家教育を受けた とくに持 つ てはいない 欲 L かった物を ii うのに使 っ て L まう ほう 1 8 . 7% ( 25 ) 70 . 1 % (9 4 ) 8 8.2 % (1 20 ) 68.4 % ( 93) 経常に対する陥固たる信念 ・ 理念を持 っている 思いがけない大金は 利 姫や貯轄に当て るほっ 近江(滋賀県)は事業経 'i~ に向いてい るほっ u.l u
、
前 lいていないほう 48.9 %( 66) 図表 中 のE
ヨ の部分は 「 どちらとも掛かねる 」 としたものの割合である。 (注)人脈・情報網は少ないほう19.7%よりは人脈・情報網は多いほう67.2%とし ている。企業家になってから会社の業績は伸び悩んで、いるとするものは9.7%と 少なく会社の業績は上がったとするものが76.9%と圧倒的に上回っている。儲 かる仕事には問題があれば手を出さないほ
7
4
1.9%と儲かる仕事には多少問題 があっても取り組むほっ45.6%も見解が分かれている。長期に任せられるトッ プの体制がない37.5%よりは長期に任せられるトップの体制がある47.8%が上 回っている。仕事中の服装は作業服・制服が多い39.0%よりは背広 ・ワイシャ ツが多い52.2%が上回っている。新聞・書物をあまり読まないほうとするもの は13.0%にすぎず, 73.9%は新聞・審物をよく読むほうとしている。つまり近 江企業家は新聞・書物をよく読み,人脈 ・情報網を活用し,長期に任せられる トップの体制も備え,信者かる仕事には対応し,仕事中の服装は背広 ・ワイシャ ツで, 自らの企業家としての能力もあって,企業家になって会社の業績を上げ ているのである。 技術水準は同業他社に比べ低いほう9.1%とするものよりは技術水準は同業他 社に比べ高いほう76.5%が圧倒している。高齢者の雇用を進めたくない28.9% よりは高齢者の雇用を進めたい55.6%が多い。つまり近江企業家は技術水準に 圧倒的な自信をもち,高齢者の雇用にも理解を示しているのである。 両親のどちらも事業経験なし40.0%よりは両親のどちらかに事業経験あり54.1 %が上回っている。 10代の頃の社会経済的階層は中より下25.9%とするものよ りも10代の頃の社会経済的階層は中より上64.4%とするものが多い。若い頃の 貧乏や大病の体験は経営上あまり役立つていない28.9%よりは役立つている41.4 %としている。企業家になる前に公的・組織的に企業家教育を受けたとするも のは9.6%にすぎず公的・組織的に企業家教育をとくに受けていないとするもの が88.2%を占めている。近江企業家は一般の企業家同様,企業家教育こそ公的・ 組織的に受けていないものの, 両親のどちらかに事業経験があり, 10代の頃の 社会経済的階層も中より上で,貧乏や大病の体験もあれば経営上役立てるなど 恵まれた環境下に育っているのである。 経営に対する確固たる信念・理念をとくに持つてはいない16.9%とするもの第3章 現 代 近 江 の 企 業 家 と 企 業 家 精 神 37 よりは持っている68.4%が圧倒している。思いがけない大金は欲しかった物を 買うのに使ってしまうほう18.7%よりは利殖や貯蓄に当てるほう 70.1%として いる。近江 (滋賀県)は事業経営に向いていないほうとするものは26.7%に対 し, 事業経営に向いているほうとするものは48.9%となっている。つまり近江 企業家は経営に対する確固たる信念・理念を持ち,思いがけない大金も利殖や 貯蓄に当て,近江 (滋賀県)を事業経営に向いていると認識しているのである。
(
2
)
近江企業家の企業家精神 以上の二者択一で上回ったほうを, しかもはっき りとは分けにくいが, 一応, 性格・育ち,意識・考え方, 能力・行動の三側面に分けて,その中で割合の多 い順に並べて,近江の中小企業の企業家の特徴点を示してみるとつぎのように なろう。 性 格・育ちとしては, 10代の頃の社会経済的階層は中より上 (64.4%),どち らかというとネアカ (61.8%),両親のどちらかに事業経験あり (54.1%),企業 家タイプのほう (47.1%),革 新的 (46.3%),若い頃の貧乏や大病の体験は経営 上 役立つている (41.4%) の順となっている。つまり近江企業家は企業家として 恵まれた育ち方をし,企業家として不可欠の性格を備えた企業家なのである。 意識 ・考え方としては,当社は30年後も存続 (78.1%),洞察力・決断力・統 率力に秀で‘た経営者は劣った経営者より企業を成長させると思う (66.2%), 経 営意欲は人並ぐらいと思う (53.3%),企業家にとってより大切なのはパーソナ リティ (50.0%),近江は事業経営に向いているほう (48.9%),小企業ではワン マン休制がよい (46.4%),これからは技術・研究開発力にたけた経営者の時代 (45.2%) の順となっている。つまり近江企業家は企業家本来の能力やパーソナ リティに絶大の信頼を置き, 自企業の体制やその存続にも,地元に対してすら も,積極的かっ肯定的な意識・考え方を示し,経営上好ましいと考えられる方 向へシフ トし,健全性が読み取れるのである。 能力・行動としては,企業 家になる前に公的・組織的に企業家教育をとくに 受けていない (88.2%),企業家になってから会社の業績は上がった (76.9%),技術水準は同業他社に比べ高いほう (76.5%),自ら事業経営上の工夫・アイデ アを出すことが多い (75.4%),新聞・書物をよく読むほう (73.9%),部下に重 要な仕事を任せているほ-) (71.0%),思いがけない大金は利殖や貯蓄に当てる ほう (70.1%),洞察力には自信がある (68.9%),経営に対する確固たる信念・ 理念を持っている (68.4%),人脈・情報網は多いはう (67.2%),当社は新製品・ 新技術開発に成功したことがある (62.9%),統率カには自信がある (62.0%), 決断が早いほう (61.3%),義理人情にあついほう (56.2%),高齢者の雇用を進 めたい (55.6%),仕事中の服装は背広・ワイシャツが多い (52.2%),長期に任 せられるトップの体制がある (47.8%), もっぱら事業経営に打ち込んで、いる (46.7 %),儲かる仕事には多少問題があっても取り組むほう (45.6%),文書でのコミ ュニケーション能力は得意 (44.9%) の順となっている。つま り近江企業家は公 的・組織的な企業家教育こそ欠くものの,洞察カ,統率力,決断力,チャレン ジ精神等,天性の企業家としての能力を生かし,確固たる信念・理念をもって, 高い技術水準と新製品・新技術開発,工夫・アイデア,新聞 ・書物,人脈・情 報網の活用,部下への委任,貯蓄重視といった合理的な企業家行動として結実 させて,会社の業績を向上させたなど企業経営にゆるぎなき自信を示している ものといえよう。 そして以上,性格・育ち,意識・考え方,能力・行動のいずれの面からみて も,近江企業家は中小企業の企業家精神を典型的な形で体得し発揮しているも のといってよいであろう。 (3) 近江企業家の企業家精神と企業成長 つぎに,近江企業家が示した企業家の性格,意識,能力,行動を成長別にみ て目立った点を記してみよう。 革新的とするものは低成長で18.8%と少なく中成長で 55.7%と多い。保守的 とするものは低成長で59.4%と多い。保守的とするものは高成長ほど低下する 傾向がある (59.4%→36.1%→28.9%)0 これらから革新的か保守的かは成長度と 大いに関係があり,保守的で、あっては企業を高成長させられないといえよう。
第3章 現 代 近 江 の 企 業 家 と 企 業 家 精 神 39 義理人情にあついほうは中成長で64.1% と多く ,高成長で41.0%と少ない。 合理主義者のほうは逆に中成長で25.0%と少ないのに,高成長では 53.8%と多 い。合理主義者のほうが企業を成長させるようである。人並み外れた経営意欲 をもっていると思うは高成長で51.3%と多く,低成長で25.8%とやや少ない。 そして高成長ほど高まる傾向がある (25.8%→37.5%→5l.3%)。逆に経営意欲は 人並みぐらいと思うは高成長ほど低下する傾向がある (6l.3%→53.1%→43.6 %)。経営意欲の強きが企業成長と関連しているのである。 自ら事業経営上の工夫・アイデアを出すことが多いは低成長で61.3%と少な い。そして高成長ほど高まる傾向がある (6l.3%→76.6%→84.2%)。逆に自らは 工夫・アイデアを出すことは少ないは高成長ほど低下する傾向がある (16.1%→ 9.4%→5.3%)。工夫・アイデアが成長を助けたように思われる。 決断が早いほうは高成長で74.4%と多い。そして高成長ほど高まる傾向があ る (53.1%→57.1%→74.4%)。決断の早さも成長を助けるようである。洞察力に は自信があるは低成長で53.1%と少ない。企業家タイプのほうは高成長ほど高 まる傾向があり (37.5%→47.6%→56.4%),経営管理者タイプのほうは逆に高成 長ほど低下する傾向がある (43.8%→39.7%→30.8%)。企業家タイプのほうが成 長を促進するものと思われるが, ただ企業家タイプとしたものはより小さな企 業に多く成長に積極的で,経営管理者タイプは守成に重点を置いていることが 成長度と関連しているのであろう。文書でのコミュニケーション能力は不得手 は低成長で28.1%と少ない。 企業家にとってより大切なのはパーソナリティとするものは低成長で34.4% と 少 な し 中 成 長 で58.1%と多い。企業家にとってよ り大切なのは専門的知識 や経験とするものは中成長で25.8%と少ない。 当社は30年後も存続とするものは低成長で64.5%と少ない。そして高成長ほ ど高まる傾向がある (64.5%→78.1%→87.2%)。逆に30年後にはなくなっている と思うは高成長ほど低下する傾向がある (12.9%→6.3%→2.6%)。成長度が高い ことは長期的な存続の可能性を期待させるからであろう。 これからは技術・研究開発力にたけた経営者の時代とするものは低成長で59.4
%と多い。小企業ではワンマン体制がよいは中成長で53.1%とやや多い。 部下に重要な仕事を任せているほ7とするものは高成長ほど高まる傾向があ る (62.5%→70.3%→79.5%)。高成長であれば取り組まざるをえない仕事が次々 と生じやすし したがって部下に任せきやるをえないのであろうし,また部下に 任せるからこそ成長が促進された側面もあろう。もっぱら事業経営に打ち込ん でいるも高成長ほど高まる傾向がある (37.5%→47.6%→56.4%)。企業家になっ てから会社の業績は上がったとするものは高成長で91.9%と多い。そして高成 長ほど高まる傾向がある (67.7%→73.0%→91.9%)。部下に重要な仕事を任せる のも,もっぱら事業経営に打ち込むのも,企業家になってから会社の業績が上 がったのもいずれも成長促進要因であろうo 儲かる仕事には多少問題があっても取り組むほっとするものは中成長で54.8 %と多い。儲かる仕事には問題があれば手を出さないほうとするものは中成長 で33.9%と少ない。長期に任せられるトップの体制があるとするものは低 成長 で34.4%と 少 な し 中 成 長 で55.6%と多い。仕事中の服装は背広・ワイシャツ が多いとするものは中成長で60.3%と多い。 新聞・書物をよく読むほ7とするものは高成長ほど高まる傾向がある (65.6% →73.4%→82.1%)。情報入手の熱意が企業成長に反映されるものと思われる。両 親のどちらも事業経験なしとするものは低成長で25.8%と 少 な し 高 成 長 で 52.6 %とやや多い。そして高成長ほど高まる傾向がある (25.8%→39.7%→52.6%)。 両親のどちらも事業経験なしとするものは自らが創業者である場合が多く,成 長第ーと考えることが多いからであろう。 10代の頃の社会経済的階層は中より 上とするものは中成長で71.4%と多い。経営に対する確固たる信念・理念を持 っているとするものは高成長で82.1%と多い。そして高成長ほど高まる傾向が ある (59.4%→63.5%→82.1%)。経営に対する確固たる信念・理念はその lっと して成長を重視するからであろう。近江(滋賀県)は事業経営に向いているほう とするものは高成長ほど高まる傾向がある (40.6%→50.0%→53.8%)。つまり事 業経営に向いているからこそ高い成長も達成できたものであろう。 したがってこれらをまとめてみるに,低成長を特徴づけるのは,保守的で,
第3章 現代近江の企業家と企業家精神 41 人並み外れた経営意欲をもっていると思うがやや少なく,自ら事業経営上の工 夫・アイデアを出すことが相対的に少なく,洞察力には自信があるが相対的に 少 な し 文書でのコミュニケーション能 力 は 不 得 手 が 少 な し 企 業 家 に と っ て より大切なのはノマーソナリティとするものが少なし当社は30年後も存続が相 対的に少なしこれからは技術・研究開発力にたけた経営者の時代が多く,長 期に任せられるトップの体制があるが少なし両親のどちらも事業経験なしが 少ない。つま り企業家が保守的であった り,自ら事業経営上の工夫・アイデア を出さず,洞察力に自信がなく,文書でのコミュニケーション能力を不得手と せず,企業家にとってより大切なのはパーソナリティとせず,当社は30年後は 存続できないとし,これからは技術・研究開発力にたけた経営者の時代とし, 長期に任せられるトップの体制がなく,両親のどちらも事業経験なしとしない 場合,低成長となりがちである。 逆に高成長を特徴づけるのは,合理主義者のほうで,人並み外れた経営意欲 をもっていると思うが多く,決断が早いほうで,企業家になってから会社の業 績は上がったとし,両親のどちらも事業経験なしとするものがやや多く,経営 に対する雄固たる信念 ・理念を持っていることである。つまり企業家が合理主 義者で,人並み外れた経営意欲をもっていて,決断が早く,企業家になってか ら会社の業績を上げたとし,経営に対する確固たる信念・理念を持っている場 合,高成長となりがちである。 そして,低成長,中成長,高成長と成長度が高まるに従ってみられる傾向と してまず,保守的とするものは高成長ほど低下していくことである。つま り保 守的なことは成長にとってブレーキとなっているのである。 逆に,人並み外れた経営意欲をもっていると思うは高成長ほど高まり,自ら 事業経営上の工夫・アイデアを出すことが多いも,決断が早いほうも,高成長 ほど高まる傾向がある。企業家タイプのほうも,当社は30年後も存続とするも のも,高成長ほど高まる傾向がある。 さらに部下に重要な仕事を任せているほ7とするものも, もっぱら事業経営 に打ち込んでいるも,企業家になってから会社の業績は上がったとするものも,
新聞・書物をよく読むほうとするものも,両親のどちらも事業経験なしとする ものも,経営に対する確固たる信念・理念を持っているとするものも,近江は 事業経営に向いているほうとするものも,高成長ほど高まる傾向がある。 こ れ らは皆企業成長の要素と考えることもできょう。そしてこれらはおおむね企業 家精神の合理的な発露ともみることができょう。
6
本章のまとめと提言
以上のことから,本調査のもとになった近江企業家の大雑把な特徴をまとめ てみればつぎのとおりである。企業家の年齢は4
0
代-60
代であり,創業者本人 かその子供ないし孫である。営業系か技術系を得意分野とし,事業の成功・失 敗に対する企業家の影響力を短期的にも,長期的にもほとんどすべてか7-8
割としている。三武将に企業家自らの性格をたとえた場合,およそ家康41%, 秀吉32%,信長27%と3分割されるのであるが,理想、とするところは家康が57 %であり,理想、の後継企業家像としては家康が63%となって,家康が高まって いくのである。 そして近江の中小企業の企業家はネアカで革新的で洞察力には自信があるな ど総体的にみて企業家として望ましいとされる資質も能力も備えているし,企 業行動も望ましい方向で堅実に展開させていることが明らかといえよう。しか もそうした本来的な企業家的な資質や能力を合理的な企業行動に結実させてい る企業ほど企業成長も促進されている傾向がはっきり読み取れることも特筆さ れてよいであろう。 このような時代先取り,進取・革新の精神こそはまさに近江商人の真髄とす るところでもあったことも忘れてはならないところである。そして近江の中小 企業家がこうしたいわゆる企業家精神に一層の磨きをかけていくならばいかな る 環 境 の 厳 し さ を も は ね 返 し 成 功 ・ 成 長 の 決 め 手 を つ か ん で 今 後 と も 大きく 飛躍することが可能で、あろうし,それをこそ期待したいのであるo これまでのたび重なる構造変化や激烈な競争環境下にも中小企業が大いに活第3章 現代近江の企業家と企業家精神 43 躍し,良好なパフォーマンスを示してきたその根源には中小企業家の死中に活 を求めた企業家精神の発揮があったことを想起すべきであろう。
[参考文献】