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第二次審査(論文公開審査)の結果の要旨

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Academic year: 2021

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第二次審査(論文公開審査)の結果の要旨

Importance of prognostic stratification via gene mutation analysis in elderly patients with acute myelogenous leukemia

高齢者急性骨髄性白血病患者の遺伝子変異解析による 予後層別化の重要性

日本医科大学大学院医学研究科 血液内科学分野 研究生 藤原 裕介 International Journal of Laboratory Hematology, Volume 41, number 4, 2019掲載 DOI:10.1111/ijlh.13025

急性骨髄性白血病(Acute Myelogenous Leukemia: AML)は、50歳以降に発症頻度が急激に 増加し、その後加齢とともに発症頻度は増加する。高齢者AML患者では併存疾患が多くな ることや加齢による臓器機能の低下などにより、高齢者AML患者は若年者と比較して近年 AML 治療の進歩の恩恵を受ける事が少なく、その治療成績は未だに不良なままである。

その一方加齢による臓器機能の低下には個人差が大きく、高齢者AML患者の中には若年者 と同様に標準化学療法を問題なく行える症例も存在する。高齢者に対して用量を減量した 化学療法や治療毒性が少ない化学療法を選択することが多いにもかかわらず若年者と同様 の治療を受けた高齢者AML患者は予後が改善するとの報告例が多い。未だ高齢者AML 者の治療は標準治療が確立されておらず、各患者に対して各々の施設で治療法を模索して いるのが現状である。また高齢者AML患者の治療成績が若年者AML患者と比較して不良 な理由は、上述以外に高齢者特有の遺伝子変異が認められることや加齢によって遺伝子変 異の蓄積が多いことが考えられる。よって高齢者AML患者の予後解析は臨床的に大変重要 であるが、これまで染色体分析や遺伝子変異を用いた予後解析は 65 歳以下の若年者 AML を対象とした研究が大多数で、高齢者 AML を対象とした研究は少ない。本研究で高齢者 AML症例に対して網羅的遺伝子変異解析を行い、高齢者 AMLの予後因子となる遺伝子変 異を同定し検討した。

AML 患者281名、その中でも65歳以上の高齢者患者98名を対象に遺伝子変異の解析を行 った。遺伝子変異の頻度は、若年者と比較して高齢者AMLではTP53変異(p =0.026)、PTPN11 変異(p =0.006)、RUNX1変異(p =0.024)、TET2変異(p =0.002)、ASXL1変異(p =0.023)が有 意に多く認められた。寛解率はDNMT3A変異陽性症例(4.26%, p =0.011)とTP53変異陽性

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症例(2.13%, p =0.031)において有意に高齢 AML 患者の寛解率が低かった。全生存率はFLT3- ITD (p=0.003)、DNMT3A変異(p=0.033)、TP53変異(p<0.001)を認める症例は有意に予後 不良だった。一方でPTPN11変異(p =0.014)を認める症例は予後良好だった。多変量解析の 結果ではperformance status (PS) 3以上(p <0.001)や染色体予後不良群(p=0.001)が予後不良 因子となり、FLT3-ITD (p =0.011)やTP53変異陽性(p =0.002)も独立した予後不良因子であ った。一方でPTPN11変異陽性(p =0.023)は独立した予後良好因子であった。

高齢者 AML患者の寛解率は若年者AML患者と比べて有意に低く(p <0.001)いが、特に 染色体予後中間群の患者で寛解率が低い。これは染色体予後中間群に多いDNMT3A変異や

FLT3-ITD を認める患者の寛解率が低いことがその原因の一つと考えられた。高齢者 AML

患者の遺伝子変異は、予後良好と考えられているCEBPA変異の頻度が少なく、予後不良と 考えられているTP53変異やASXL1変異が多かった。このため高齢者AML患者は若年AML 患者と比べてより予後不良となることが明らかになった。

近年では従来の化学療法に加わり、FLT3阻害薬などの分子標的薬の登場により治療方法 の選択肢が提唱されつつある。従来の高齢者AMLにおいて予後因子であったPSや染色体 予後分類だけでなく、今後は遺伝子変異解析を加えることでよりさらに予後解析を明確に することが可能であることが明らかになった。若年者と異なり標準化学療法の適応が困難 な高齢者AML患者において遺伝子変異解析を行うことは、新規薬剤を用いた治療選択肢を 生むことに大変役に立つと考えられる。

学位申請論文により、従来の高齢者AMLにおいて予後因子であったPSや染色体予後分 類だけでなく、今後は遺伝子変異解析を行うことでその予後をより明確にすることが可能 であり、標準化学療法適応である高齢者 AML を正確に診断することが可能となった。二次審 査において、遺伝子変異解析方法、遺伝子変異と遺伝子発現相関の検討、DNMT3変異とメ チル化変化の検討など今後の臨床への展開等について議論され、いずれも文献的考察を加 え的確な回答を得た.本研究は,臨床的に今後の展開を期待できる臨床的意義の高い論文と 考えられた。

以上より、本論文は学位論文として価値あるものと認定した。

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